2019年3月18日月曜日

バラカ:桐野夏生

まわりからどんどん書店が消えていく。昔は,毎日の仕事の帰りには本屋に立ち寄って,新刊をチェックすることができたが,最近はその習慣が失われてしまった。先日,久しぶりに上本町の近鉄の書店(JUNKUDO)に立ち寄ったときに見つけたのが,桐野夏生の「バラカ(上・下)集英社文庫」だった。

桐野夏生の本は,昔「OUT」を図書館で借りて読んだ。その他にいくつか文庫本を買っていたはずだと思って調べると,昨年の部屋の片づけの際に処分していた。確か「柔らかな頬」と「グロテスク」だった。スパーク・ジョイがなかったのである。どんなストーリーだったかを思い出そうとしても印象に残っている部分がない。その点,「OUT」にははっきりした読後記憶がある。桐野夏生は1951年に金沢に生まれているけれど,3歳で引っ越しているので,自分の世界線との交わりはほとんどない。

さて,「バラカ」は,福島の原発事故が起こったもう一つの虚構の日本での出来事を描写している。部分的には納得できるのだが,全体として詰めが十分ではないと感じた。自分が期待していたのは,現実の日本を照射するもう一つの世界の精密な描写だった。著者の関心はその物語世界の中の人物造形や関係の方にあって,それはそれでおもしろかったが・・・後半はご都合主義的なまとめ方のような・・・

P. S. 作中でバラカ/おじいちゃんが愛読するのがカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」だったので,これは読んでみようと思った。

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