2018年12月12日水曜日

大阪府高等学校理化研究会70周年

今日は,標題の会合があるのです。
記念誌に寄稿したものを再掲してみます。

変化の時代と物理教育
 大阪府高等学校理化教育研究会が70周年を迎えられたこと,心からお慶び申し上げます。
 平成の30年間で最も大きな出来事の一つは,インターネットの出現とICTによる世界の構造的な変化の始まりだった。また,我が国では,インフラ劣化の進行にともなう災害被害の甚大化を象徴するかのように,東日本大震災に続く福島第一原発事故があった。それらの背景には物理学を基盤とする科学技術の問題があることから,科学を学ぶことの重要さが改めて示唆されている。
 一方,教育の現場をみると,急速な変化を続ける社会に対応するための改革が繰り返し試みられてきた。しかし,それらは必ずしも成功しておらず,むしろ混迷を深めているようにさえ見える。アクティブ・ラーニングが注目され,様々な手法が提案されているが,すべての生徒と教師に普遍的に適応した単一の方法論が存在するわけではなく,歴史的背景や社会的環境にあわせた個別の多様な取り組みを柔軟に進めていくしかないのだろう。
 その中でも社会の様々なセクターの連携は,重要な因子である。高校の理数科教育の周辺には,大学,予備校,中学校,教育委員会,企業,NPO,SNS上のコミュニティ,学会,など様々な組織に属する人々や個人がとりまいており,それらの連携の潜在的な可能性は大きい。これらの星々の相互作用によって銀河が構成されるだろう。必要なのは従来の慣習や組織の枠を少しだけはみ出して,これらのネットワークを媒介する若い人たちの活躍である。そして我々過去の若者に必要な役割は,ダークマターのように,それらの活動を背景から支えることなのかもしれない。
いよいよダークマターですか・・・

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