プログラミング教育(5)からの続き
手元に,手作りの理科情報演習のテキストが2冊ある。奥付を見ると,一つは1988年4月1日発行で,大阪教育大学理学科情報教育検討委員会,もう一つは1989年4月1日発行の改訂版だ。平成元年,新しい学習指導要領の告示年か。ゆとり教育のピークで,小学校低学年の理科が廃止され生活科が新設されたころだ。
はじめにには次のようにあった(iPhoneの音声入力は便利)
この情報科学の発展と,コンピュータテクノロジーの発達にともなって急速に普及しだしたパーソナルコンピュータの高性能化と低価格化は,コンピューターの利用範囲の拡大に多大な影響をもたらした。パーソナルコンピューターを教育現場へ導入しようとする試みもその1つの例であり,教育現場においてパーソナルコンピュータをどのように活用するかについての研究もその進展が望まれるところである。
最近各地で小・中・高等学校の先生などの教育関係者が中心となって,パーソナルコンピュータを教育機器として利用するための研究グループが作られ始めた,しかし,その規模は全国的に見ても十分ではない。このような時期にあたって,理学科の専門科目として「理科情報演習」を開講することは大きな意義を持つと言うことができる。情報処理を内容とした講義はすでに昭和61年度から理学科および第二部において開始されているが,この間の実践から得られた経験をもとにして「よりよいテキストを」という意図で本書は作成された。
このテキストでは,コンピュータシステムに関する基本的な事柄が一通り学べるように心がけたつもりである。またプログラム言語としては,初学者用の汎用言語として開発されたBASICを取り上げている。利用する立場からみたコンピュータの働き,データの流れ,あるいは計算の手順などのコンピュータ利用に係わる基本的事柄は,BASICによっても十分理解し得ると考えたからである。
さらに,目次は次のようになっていた。
第1章 コンピュータ入門・・・・・・・・・・・・・・・・・1第1節 コンピュータの歴史と発展第2節 コンピュータの現在第2章 コンピュータの仕組み・・・・・・・・・・・・・・・13第1節 ハードウェアの構成第2節 コンピュータの取り扱うデータ第3節 パーソナルコンピュータにおけるデータの流れ第4節 ネットワークシステム第3章 ソフトウェアの基礎・・・・・・・・・・・・・・・・35第1節 ソフトウェアの概念第2節 アプリケーションプログラムの分類第3節 言語処理プログラム第4節 パーソナルコンピュータのオペレーティングシステム第4章 コンピュータを動かす・・・・・・・・・・・・・・・61第1節 FM16πを起動する第2節 PC−98LTを起動する第3節 キーボードをそっと叩く第5章 プログラミングの基礎・・・・・・・・・・・・・・・80第1節 基本文法第2節 基本コマンド第3節 グラフィック第4節 データの型第5節 入出力命令第6節 基本演算第7節 基本文型第8節 サブルーチン第9節 デバッグの概念と方法第10節 ファイル処理第6章 プログラムの構成・・・・・・・・・・・・・・・・109第1節 アルゴリズム第2節 プログラムの構造化第3節 プログラムの解析第7章 コンピュータの可能性・・・・・・・・・・・・・・123第1節 教育・研究・産業とコンピュータ第2節 コンピュータ利用の問題点第3節 コンピュータの未来練習問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
自分が担当したのは,第3章ソフトウェアの基礎の26ページだった。スーパーコンピュータとしてベクトル計算機がとりあげられ,第五世代コンピュータ開発プロジェクトがまだポシャっておらず,未来のコンピュータは光子計算機だと語られていた時代。