2019年6月19日水曜日

松下ガーデン

金沢の広小路から有松の交差点に向かう道路(南端国道あるいは南大通)の途中に,今は駅西の合同庁舎内に移転した金沢地方気象台があった。その横には松下ガーデン(松下種苗店)が昔からそして今もある。子どもの時にときどきいったことがある。友達と遊びに行って朝顔の種が数粒10円だったので,安いなーと声をあげていたら,おばさんがやってきて,「あんたらなにゆうとるが,こんな高いもんあるかいね」という趣旨のことをいわれた。それはそうだ,そのへんに朝顔はたくさん咲いているので,種はただで取り放題だったのだから。

高校時代に同じ理数科の増永壮平君が,有松の近くの北陸病院に入院していたことがある。見舞いにいった帰りの夕方,もう暗くなるころに,病院に住み着いている迷い猫の首輪が必要なんだという話になって,みんなで探しに行くことになった。北陸病院から猫の首輪を探しながら松下ガーデンあたりまで歩いたがそんなものを売っている店はない。猫の首輪は毛糸を結んだようなものでいいのではないかということで,問題解決は先送りされた。病院で猫を飼うことが可能だったのか。猫の部分は想像だったのか。よくわからない話である。

なぜ,この話を思い出したかというと,今朝,朝顔(秋の季語)の双葉をみかけたから。

「朝顔に 釣瓶とられて もらひ水」(千代女 1703-1775)



2019年6月18日火曜日

Wolfram Alpha 日本語版

Wolfram Alphaの日本語版がオープンして1周年になる。ただし,日本語化されているのはまだ数学分野だけだ。科学の他の分野についても日本語化が待たれる。Wolfram|Alpha は2009年の5月15日に公開されたが,わくわくしながらライブ中継のカウントダウンを見ていた。しかし,なかなか大仰な宣伝だったわりには,実際に使ってみると今一つすごいと感じなかった。それまで約20年間Mathematicaを使い続けてきていたのであまり有難みを感じなかったからなのか,本当のインパクトがまだ感じられない。そうこうしているうちによりオープンなJuliaが登場した(もちろんカテゴリーが違うものなので比較するのもどうかと思うが)。MathematicaやWolfram Alphaはどうしてもその高額な有償部分にひっかかるのであった。

大阪教育大学の理科専攻の1回生向けの選択科目「科学のための数学」では,昨年度はWolfram Alpha(計算知能)での計算を出席課題として課していたが,今年ははじめに紹介するにとどめることにした。このようなシステムがあることは知っておいてほしいが,微分積分の導入教育でどこまで使うべきなのかどうかはよくわからないまま定年を迎えてしまった。

図 Wolfram Japanより引用


2019年6月17日月曜日

Mathematicaについて

Mathematicaのことをはじめて知ったのは,The BASIC(技術評論社, 1983-1996)の紹介記事だったように思う。吉田弘一郎さんが西海岸からの最新情報を定期的にレポートする「バークレイ通信」という連載の中だったのではないか。Mathematicaは,1988年にNeXTにバンドルする形でリリースされた後,1989年にはMacintosh用のMathematica1.2が登場する。さらに,1991年には,Mathematica NotebookやMathLinkが実装される。Mathematicaとはそのころからのつきあいである。 くだんの紹介記事では,アメリカの物理屋さんが,Mathematicaノートブックでどんどん教材を開発しているという話があって,これはすごい!絶対に購入しなければ!と一人でエキサイトしたのだった。

大阪教育大学のリポジトリでMathematicaを検索すると,私の紀要論文が2つだけ見つかる。1993年の「Mathematicaによる1次元量子力学的散乱問題の可視化」と,1995年の「ネットワーク環境のMathematicaを用いた2次元量子力学的散乱問題」だ。このころが自分の能力とMathematicaの機能向上のスピードがマッチしていて,いちばん楽しかったように思う。MathLinkを使うということでは,体育の赤松先生のお友達の宮地力先生が,1998年に岩波コンピュータサイエンスから「Mathematicaによるネットワークプログラミング」を出版され,体育の先生はなんとすごいのかと感心したのだった。

さて,フロッピーディスク版からはじまり,CD-ROM版/DVD-ROM版を経由し,オンライン・ダウンロード版のMathematica 12まで順調にバージョンアップを繰り返しながら使ってきた。数理科学講座にもユーザがいたので,以前には大阪教育大学の情報処理センターでもキャンパスライセンスを取得していた。ところが,21世紀にはいってMathematicaのライセンス料が高騰し,とてもキャンパスライセンスを維持することができなくなってしまい,限定された数の端末だけのライセンスに替わっていった。今ではそれすらなくなっているのかもしれない。自分の研究室のMacにキャンパスライセンスを乗せるのは継続性に不安があったので,研究費や私費で購入したライセンスで運用していた。

最近は,Premeierライセンス更新で毎年5万円近く払ってきたが,この3月にリタイアしたので,これもおしまいだ。もしバージョンが古くて耐えられなくなったら,何年かに一度ホームライセンスで更新しようかとも思うが,どうだろう。Juliaのシンボル計算周りが進化すれば,もうMathematicaは使わなくなるのかもしれない。

写真:Mahtmematica25周年を記念して,Stephan Wolframから送られてきた,私のユーザ登録証のコピー。1989年7月11日に受理されているので,今年の7月で30周年になる。


2019年6月16日日曜日

Software 2.0

テスラのAI部門長アンドレイ・カルパシー(1986-)が,2017年,MediumSoftware 2.0 という記事を書いた。

問題解決のために用いられる従来のプログラム(C++,Java,・・・)をソフトウェア1.0とよび,ニューラルネットワークによる問題解決を1つのツールとして見るのではなく,ソフトウェア2.0として考えようということを提案している。

すなわちニューラルネットワークの重みがプログラムに相当すると考えるのである。この重みの数(ニューラルネットワークのノード数)は膨大な数になることから,従来のプログラムのようにアルゴリズムを考えて人間がコード化するプログラミングとは質的に違ったものになっている。そして,その適応範囲が,画像認識,音声認識,機械翻訳,ゲームと広がっている。

もちろん,ソフトウェア2.0がすべてのソフトウェアによる問題解決をカバーすることはできないので,ソフトウェア1.0と共存することになるが,ニューラルネットワークについての一つの見方を提供するものである。そして,これが,サイエンスにおいてニューラルネットワーク(ディープラーニング)を利用することが持つ意味について,再考させることにつながるのかもしれない。

図 Software 2.0のイメージ(Medium Software2.0から引用)


2019年6月15日土曜日

Discipline-Based Education Research

日本物理教育学会の理事会で,Discipline-Based Education Research:DBERという言葉をはじめてきいた。PER(Physics Education Research)=物理教育研究についても,何年か前に聞いたときに単なる普通名詞だと誤解して査読意見をつけたくらいによくわかっていない自分なのであった。

発端は,今年2019年の3月2日に東北大学で開催された国際シンポジウム「ノーベル賞受賞者が主導した科学・技術教育の科学的変革-カール・ワイマン博士とインペリアル・カレッジ・ロンドンの取組-」だ。あの(冨田先生のお友達で橋下時代に活躍された)大森不二雄さんが仕掛け人なのか・・・orz。笹尾真実子さんが日本学術会議の物理教育委員会の物理教育研究分科会の委員長である。そんなわけで,今年の9月末に学術会議が主催する学術フォーラムで物理教育改革をテーマをした集まりが開かれる予定だそうだ。

Discipline-Based Education Researchとは,主にSTEM教育領域の個々の学術分野の知識や世界観に基づいた視点による学習や教育の方法を研究するものである。具体的には,
天文学   Astronomy education research (AER)
生物学   Biology education research (BER)
化学    Chemistry education research (CER)
計算機科学 Computer science education research (CSER)
工学    Engineering education research (EER)
地球科学  Geoscience education research (GER)
数学    Mathematics education research (MER)
物理学   Physics education research (PER)
などの集合であり,PER(物理教育研究)がもっとも早くから研究されているようだ。

PER(物理教育研究)でいえば,物理学−科学哲学−物理学史−認知心理学−教育方法学−&(社会学−言語学−人類学−倫理学)などが関係する学際的な研究分野が物理教育研究になる。

STEM教育の文脈あるいは教育方法学的な立場では,DBERの共通項を議論することに価値があるだろうが,要点は個別の学問領域の固有の関心やアプローチに基づく「学問分野別教育研究」の推進が必要であるということ。

関連した情報はまだそれほど多くない。
[1]Discipline-Based Education Research(Wikipedia:en)
[2]Physics Education Research (Wikipedia:en)
[3]Discipline-Based Education Research: Understanding and Improving Learning in Undergraduate Science and Engineering(Singer, Nielsen and Schweingruber,2012)
[4]研究領域としての物理教育(新田英雄,2016)
[5]物理教育研究 PER・学問領域に根ざした教育研究 DBER とは何か?(村田隆紀・笠潤平・覧具博義,2017)
[6]日米におけるアクティブ・ラーニング論の成立と展開(西岡加名恵,2017)
[7]米国STEM教育におけるDBER(discipline-based education research)の勃興 ―日本の大学教育への示唆を求めて―(大森不二雄・斉藤準,2018)

2019年6月14日金曜日

総務省の家計調査報告

金融庁のホームページからの続き)

金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の主目的は,金融業界のための個人投資の推進にあると思われる。結果的には,これを巡る混乱状態のニュースによって国民の注目を集めることができ,金融コンサルティングへと足を向かわせた段階で成功したことになるのかな。官邸や政権与党執行部が大慌てで糊塗しようとしている一方で,金融庁のホームページは削除されていない。

ここで問題とされた内容(=年金だけでは2000万円の生活費が不足する)は,ワーキンググループが検討過程で収集した総務省による「家計支出調査(2017)」に基づくものであって,すでに公表済みのデータにすぎない。最新版は,家計調査報告 家計収支編 2018年(平成30年)平均結果の概要として,総務省統計局から公表されていて,本質的には2017年度の結果と変わっていない。

何故こうなったかというと,麻生財務大臣が6月4日の記者会見で雑な対応をしたのが切っ掛けだった。政府の方針と違うも何も,公表済みの公文書である客観的なデータをないものにすることはできない。それでも取り繕ってしまおうとするのが現在の政権与党とそれを支えるマスコミだ。NHKも金融庁に媚を売るようなストーリーでお茶を濁していた。


2019年6月13日木曜日

金融庁ホームページより


まだ,この内容が削除されるには到っていない。

金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について
(令和元年6月3日 金融庁)

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和元年6月4日 金融庁)

以下引用
わが国では、バブル崩壊以降、「失われた 20 年」とも呼ばれる景気停滞 の中、賃金も長く伸び悩んできた。年齢層別に見ても、時系列で見ても、 高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向となっている。公的年 金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、 税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後も この傾向は一層強まることが見込まれる。
支出もほぼ収入と連動しており、過去と比較して大きく伸びていない。 年齢層別に見ると、30 代半ばから 50 代にかけて、過去と比較して低下が 顕著であり、65 歳以上においては、過去と比較してほぼ横ばいの傾向が見 られる。
60 代以上の支出を詳しく見てみると、現役期と比べて、2~3割程度減 少しており、これは時系列で見ても同様である。
しかし、収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦 無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。 この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。
・・・・・
老後の生活においては年金などの収入で 足らざる部分は、当然保有する金融資産から 取り崩していくこととなる。65 歳時点に おける金融資産の平均保有状況は、夫婦世帯、単身男性、単身女性のそれぞれで、2,252 万円、1,552 万円、1,506 万円となっている。なお、 住宅ローン等の負債を抱えている者もおり、 そうした場合はネットの金融資産で見ることが 重要である。
 (2)で述べた収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合 には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リ フォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要である。さらに、仮に 自らの金融資産を相続させたいということであれば、金融資産はさらに必要 になってくる。(2)と合わせ、早い時期から生涯の老後のライフ・マネー プランを検討し、老後の資産取崩しなどの具体的なシミュレーションを行っ ていくことが重要であるといえる。
総務省の家計調査報告に続く)



2019年6月12日水曜日

戦争・革命・崩壊・疫病

オーストリアの歴史学者,ウォルター・シャイデルの The Great Leveler: : Violence and the History of Inequality from the Stone Age to the Twenty-First Century が「暴力と不平等の人類史」として翻訳されている。

平成に入ってから,バブルの崩壊とともに日本の成長は終焉し,人々の格差は拡大し続けている。しかし,これを政策的に逆転させることは難しいのかもしれない。すべての人間社会は時間とともにある方向に変化し,それをリセットして平等化を可能にするのは,戦争・革命・崩壊・疫病によるしかないというのがこれまでの歴史からわかった事実であるという主旨らしい(未読なのでわからない)。

「崩壊」とは国家の崩壊であり,昔のブログでは,飢饉と訳していたものもある
ジャレド・ダイアモンド(1937-)
ジャック・アタリ(1943-)
ダロン・アシモグル(1967-)
トマ・ピケティ(1971-)

2019年6月11日火曜日

余部鉄橋「空の駅」

例年高齢の3ファミリー旅行の目的地の1つが余部鉄橋「空の駅」だった。かつて転落事故があったあの余部鉄橋の一部がエレベータで上る展望台となって,新しい橋梁と駅ができていて,無料で見学することができる。地上にはカメの駅長の「かめだ・そら」ちゃんもいてなかなか楽しかった。

2019年6月10日月曜日

三平方の定理(2)

(三平方の定理(1)からの続き)

ところでこの問題は初等幾何でより簡単に証明できることがyoutubeで示されていた。
それを図形で表したものが下記である。
○は45度を表している。△AOPを時計回りに90度回転すると△BOP'となる。△P'OQ≡△POQがすぐに見て取れるのでQP'=QP=zであり,BP'=xである。また∠QBP'は90度なので△QBP'は直角三角形であることから題意が示される。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 
\begin{tikzpicture}
\draw(0,0) rectangle(4,4);
\draw[thin, -] (0,4)--(4,0) node at(-0.15,-0.15){O};
\draw[thin, -] (0,0)--(1.464,2.536) node at(1.64,2.72){P};
\draw[thin, -] (0,0)--(3.155,0.845) node at(3.28,1.02){Q};
\draw(0.20,3.55) circle(0.08) node at(-0.15,4.15){A};
\draw(0.38,0.28) circle(0.08);
\draw(3.55,0.20) circle(0.08) node at(4.15,-0.15){B};
\draw[dotted] (0,4) to [out=335,in=115] (1.464,2.536) node at(1.05,3.5) {$x$};
\draw[dotted] (1.464,2.536) to [out=335,in=115] (3.155,0.845) node at(2.7,1.9) {$z$};
\draw[dotted] (3.155,0.845) to [out=340,in=110] (4,0) node at(3.75,0.7) {$y$};
\draw[dotted] (0,0) to [out=110,in=250] (0,4) node at(-0.2,2) {$a$};
%\draw[dotted] (0,0) to [out=340,in=200] (4,0) node at(2,-0.2) {$a$};
\draw[thin, -] (0,0)--(2.536,-1.464)--(4,0) node at(2.6,-1.6){P$^{'}$};
\draw(3.55,-0.20) circle(0.08);
\draw(0.48,-0.05) circle(0.08);
\draw(2.536,-1.464)--(3.155,0.845);
\draw[dotted] (4,0) to [out=240,in=30] (2.536,-1.464) node at(3.5,-1.0) {$x$};
\draw[dotted] (2.536,-1.464) to [out=90,in=240] (3.155,0.845) node at(2.5,-0.3) {$z$};
\end{tikzpicture}
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 


2019年6月9日日曜日

三平方の定理(1)

twitterで次の問題をみかけた。

正方形の対角線に2点${\rm P, Q}$を取り,$∠{\rm POQ}=\frac{\pi}{4}$として,$\overline{\rm AP}=x, \overline{\rm PQ}=z,  \overline{\rm QB}=y$ とすると,$x^2+y^2=z^2$が成り立つことを示せ。


Mathematicaでこれを解いてみた。
∠APOと∠OPQ,および,∠BQOと∠OQPに対する余弦定理を等置した式に,△POQに対する余弦定理から得られた式を用いて z を消去する。ただし,PO=√p,QO=√qと置いた。
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In[1]:=  sol =  Solve[{(a^2 - x^2 - p)/(2 x Sqrt[p]) == (z^2 + p - q)/(2 z Sqrt[p]), 
     (a^2 - y^2 - q)/(2 y Sqrt[q]) == (z^2 + q - p)/(2 z Sqrt[q])}, {p, q}]

Out[1]:= {{p -> a^2 - x y - x z, q -> a^2 - x y - y z}}

In[2]:= (z^2 - p - q)^2 == 2 p q /. sol[[1]]

Out[2]= (-2 a^2 + 2 x y + x z + y z + z^2)^2 ==  2 (a^2 - x y - x z) (a^2 - x y - y z)

In[3]:= % /. {z -> Sqrt[2] a - x - y}

Out[3]:= (-2 a^2 + x (Sqrt[2] a - x - y) + (Sqrt[2] a - x - y)^2 + 2 x y + (Sqrt[2] a - x - y) y)^2 
   == 2 (a^2 - x (Sqrt[2] a - x - y) - x y) (a^2 - x y - (Sqrt[2] a - x - y) y)

In[4]:= Simplify[%]

Out[4]:= (a^2 - x y) (a^2 + x y - Sqrt[2] a (x + y)) == 0

In[5]:= z^2 - x^2 - y^2 /. {z -> Sqrt[2] a - x - y} // Simplify

Out[5]:= 2 (a^2 + x y - Sqrt[2] a (x + y))
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余弦定理を組み合わせて得られた式 Out[4]と三平方の定理からzを消去した式Out[5]は一致したので,問題は解決する。

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\begin{tikzpicture}
\draw(0,0) rectangle(4,4);
\draw[thin, -] (0,4)--(4,0) node at(-0.15,-0.15){O};
\draw[thin, -] (0,0)--(1.464,2.536) node at(1.64,2.72){P};
\draw[thin, -] (0,0)--(3.155,0.845) node at(3.28,1.02){Q};
\draw(0.20,3.55) circle(0.08) node at(-0.15,4.15){A};
\draw(0.38,0.28) circle(0.08);
\draw(3.55,0.20) circle(0.08) node at(4.15,-0.15){B};
\draw[dotted] (0,4) to [out=335,in=115] (1.464,2.536) node at(1.05,3.5) {$x$};
\draw[dotted] (1.464,2.536) to [out=335,in=115] (3.155,0.845) node at(2.6,1.9) {$z$};
\draw[dotted] (3.155,0.845) to [out=340,in=110] (4,0) node at(3.75,0.7) {$y$};
\draw[dotted] (0,0) to [out=110,in=250] (0,4) node at(-0.2,2) {$a$};
\draw[dotted] (0,0) to [out=340,in=200] (4,0) node at(2,-0.2) {$a$};
\end{tikzpicture}
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2019年6月8日土曜日

アップルと私

なんだかこの40年間ずっと影響・翻弄され続けてきたような・・・

1980年代初頭,私はPC-9801ユーザで研究室のコンピュータもPC-9801シリーズ(まわりを見回してもみんなそうだった)。ところが,1988年に大阪教育大学に40台のMacintoshII (Mathematica, Fortranつき)+ LaserWriterが導入されたのをきっかけとして,マックユーザに転向してしまった(PC-9801RAくらいまではフォローしていた・・・)。

最初にMacintoshを見たのは日本橋の上新電機の1階だった。PC-9801本体+8087プロセッサが30万円の時代に,小さなモノクロディスプレイ一体型のMacintoshPlusが60万円以上していた。これはコストパフォーマンスが悪いと思い,その後近づかないようにしていた。それでも何か気になって,Mac+(1986-)やMacLife(1987-)などの雑誌を買い始めたところに,各国立大学へ貿易黒字対策のための外国製コンピュータ導入の話が降ってわいた。

いまから思えば,これが日米貿易戦争の端緒であり,半導体産業やコンピュータ産業の凋落の第一歩であったように思う。この米国の作戦に自ら進んで飛び込んで成長力を失った日本は,さらに竹中マジックで骨の髄まで外資にしゃぶられる今日の体たらくになるのであった。当時はバブルとも重なって毎週のようにDRAM技術の革新が報じられ,日本の半導体は少なくとも量的には完全無敵の状態に見えていたにもかかわらず。

さて,大学にMacintoshIIが導入されてからは,ジョブズのいないアップルの業績は下り坂で,その方針も混迷を極めた。日本経済新聞は何かある度にこれでもかというようにアップル叩きに勤しんでいた。その後の手のひら返しをみて,つくづくジャーナリズムにいやけがさすのであった。

なにやかやいっても,おおむねアップルの動きに追随してきたつもりだった。ところがApple Watchを見送ったあたりから,様々な技術や製品についていけなくなった。アーリーアダプターとしてiPhoneを卒業生らに見せびらかしていた時代がなつかしい。

P. S. 池田分校の新しい情報科学専攻に1教室分のMacintoshIIが設置され,ここでMathemacaの授業を1コマ持っていた。毎週朝早く到着して,全台手作業でDisinfectantでウイルス除去をするのが私の仕事だった。

年代 事項    製品      私は       
1976 創業 Apple I 大学院進学
1977 アップルコンピュータ設立 Apple II
1978
1979 Lisaプロジェクト
1979 Macintoshプロジェクト
1981
1982 大阪教育大学
1983
1984 Macintosh PC-9801導入
1985 ジョブズ追放→NeXT
1986
1987 Newtonプロジェクト HyperCard
1988 MacintoshII×40台
1989 MacintoshIIfx導入
1990 (NeXTstation)
1991
1992 Newton MP NeXTstation導入
1993
1994 PowerMacintosh PowerBookDuo270導入
1995
1996 NeXT買収
1997 ジョブズ復帰 漢字Talk7 PowerBook2400購入
1998 iMac/AppleWorks
1999 iBook
2000
2001 アップルストア MacOSX/iPod
2002 iPod購入
2003 iTunes Music Store
2004
2005 スタンフォード卒業式
2006 Apple TV
2007 iPhone
2008 iPhone購入
2009
2010 iBookstore iPad
2011 ジョブズ死去
2012 MacBookPro購入
2013
2014 Apple Pay開始
2015 Apple Watch
2016
2017 ApplePark
2018 定年退職
2019 iPadPro購入
2020

2019年6月7日金曜日

組体操の危険性

NHKをみていたら,大阪経済大学名誉教授の西山豊先生(数学者)が,卵はなぜ卵形なのかの解説をしていた。角度5度以下の斜面で転がり落ちず,振動しながら下ることで,卵がわれないようにするからだ。ところで,西山先生のホームページには他にも重要な論文があった。「組体操・人間ピラミッドの巨大化を考える」である。各教育委員会ではこれを熟読して早急に対策する必要がある。

[1]西山豊:2016年広島移動ピラミッド死亡事故を検証する,大阪経大論集,第69巻5号1-32,2019
[2]西山豊:都道府県別組体操事故統計(2018 年版)


2019年6月6日木曜日

WWDC19(3)

WWDC19(2)からの続き)

Gizmodo Japanで,林信行(1967-)と松村太郎(1980-)が対談していた。
AR kitの話,AppleTVとゲームコンソールの話,Apple Watchの話など興味深い。
Appleの #WWDC19 を著名ジャーナリスト2人とギズ編集長が語る動画ができました

ARグラス=電脳メガネが実用化されるまではまだ時間がかかりそう。でもそれまでに社会の分断化が進んでしまって,この技術は誰のためのものということになるのか。

nobiさんからプログラミング教育で,Swiftを使ったらどうかという提案があった。それで思い出したが,大阪教育大学の新しい理事・事務局長(名称復活...orz)の新津勝二さんは,文部科学省初等中等教育局教育課程課課長補佐の時代にプログラミング教育に関わっていたようだ

2019年6月5日水曜日

WWDC19(2)

WWDC19(1)からの続き)

macOS 10.14 Mojaveはインストールしていない。まだ,High Sierraのままである。当初の不具合に加えて,ダークモードが好きじゃないのだ。もちろんモバイル環境で節電できるというメリットはあるのかもしれないが,この歳になると暗い背景では字が読みにくいのです。

macOS 10.15 Catalinaについての情報もいろいろと入ってきた。ベータリリースノートには,正式版ではScript言語のランタイムが同梱されなくなるとあるようだが,どうなんだろうか。Homebrewさえインストールできれば問題ないのかな。

あと,ハードウェアもソフトウェアもデザイン的な統一感が失われていることが残念。

WWDC19(3)へ続く)

2019年6月4日火曜日

WWDC19(1)

毎年,WWDCなどアップルの発表がある度にkeynotesを見ている。最初に見たのは,スティーブ・ジョブズがアップルに戻ってきて,1998年にiMacを発表したときだったろうか。その約10年後の2007年に最初のスマートフォンであるiPhoneが発表されたときははっきり憶えている。それから1年後に日本で発売されて1ヶ月後にiPhoneを購入したときの高揚感も忘れられない。

残念なkeynotesもあった。iMacの最終段階で,ろくな製品がなくJobsが水玉模様のiMacで一瞬お茶を濁していたのがその最たるものだ。最近のWWDCもそれに匹敵すると言えるかもしれない。OSやアプリケーションの細かな改良とハードウェアの漸進的な更新が続き,場合によっては,改良ではなく後退や悪化にもみえるものもあった。

今回のWWDC19はどうだったろうか。iPadOSができてMacのサブディスプレイや入力となるのはよいかもしれないが,どこまで使うだろうか。新しいMacProはデザインと価格は最悪だが,拡張性が高いことは評価できる。ただし,プロユースでフルセットにすれば数百万円のシステムになるので,我々一般ユーザにはもう関係のない世界に入ってしまった。iOS13のセキュリティ関連やApple SignInはちょっと面白いかもしれない。あとは,TwitterのネイティブアプリがMacに帰ってくるかもしれないことかな。


2019年6月3日月曜日

ウルフラムとペレス

辰己さんが,Jupyterの発音は,ジュパイターではなく,ジュピターじゃないのとFacebookでつぶやいていた。これに対して中野さんは,普通はジュピターでしょと。あれ・・・,pythonオリジンだからジュパイターだと思い込んでいた私はどうしよう・・・

ということでさっそくYouTubeに尋ねてみると,いきなりIPythonJupyterの開発者のフェルナンド・ペレス2017年のJupyterConの講演にぶちあたった。はい,正解はジュピターでした。Project Jupyterにもちゃんと Jupyter=/ˈdʒuːpɪtər/ と書いてある。

ところで,そのペレスは,Pythonの対話型環境であるIPythonを,Wolfram Notebookにインスパイアーされて開発したとある。つまり,ノートブック型インターフェースの始まりは,スティーブン・ウルフラムによるMathematicaであった。その後,IPythonからスピンオフしたプロジェクトがJupyterを創り出す。Jupyterの意義は単に特定の言語の対話型環境をつくることではなく,「Project Jupyterは,オープンソースソフトウェア,オープンスタンダード,そして何十ものプログラミング言語にわたるインタラクティブコンピューティングのためのサービスを開発するために存在します」であった。Jupyter+Julia+α連合軍をみて,Wolfram言語も開放政策に舵をきったのではないか。

スティーブン・ウルフラム(1959-)はイギリス生まれで,17歳でオックスフォードに入学し,ゲルマンに誘われて18歳でカリフォルニア工科大学に入り,1979年に20歳でPh. D.をとる。専門分野は素粒子物理学の理論であったが,1981年にはMathematicaの前身のSMP(Symbolic Manupilation Program)を商業化し,複雑系の物理学の研究(Celuller Automata)を進めた。

一方,フェルナンド・ペレスはコロンビア生まれで,コロンビアのアンティオキア大学で物理学を学び,コロラド大学で素粒子物理学(格子QCD理論)のPh. Dをとる。それ以前には,フラクタル,半古典カオスなども研究しているようだ。2008年にはカリフォルニア大学バークレー校に移り,ソフトウェア開発に主軸を置くことになる。

なんだかよく似たところがある2人である。

2019年6月2日日曜日

AI Feynman(4)

AI Feynman(3)からの続き)

2018年に発表されたウーとテグマークの論文 "Toward an AI Physicist for Unsupervised Learning"は,AI Feynman 論文に先行するものだ。2018年のインターネットでは,AI物理学者が仮想現実の物理法則を発見したものとして話題になっていた。

その要約は次のようなものである。
物理学でよく用いられる4つの戦略を使用して,教師なし機械学習を改善するという課題に挑戦する。その4つは,分割統治,オッカムのかみそり,統一,そして絶え間ない学習である。1つのモデルを使ってすべてを学ぶのではなく,学習と「理論」の操作を中心に置いた新しいパラダイムを提案する。それは(過去の観測から)将来を予測し,その予測が正しい領域を定めるものだ。特に,各理論がその比較的有利な領域に特化するための新しい一般化平均損失,および不良データを除いて理論を単純な数式にまとめることを目指す区別可能な記述長を導入する。理論は「理論ハブ」に格納され,そこでは学習された理論を継続的に統合し,新しい環境に出会ったときに理論を提案することができる。我々は,実装した「AI Physicist」学習エージェントを,しだいに複雑化する環境でテストする。重力,電磁気力,調和運動,弾性衝突などのランダムな組み合わせを含む仮想世界における物体の軌道の教師なし学習を行う。我々の学習エージェントは,同等の複雑さの順伝搬型ニューラルネットより速く学習し,約10億分の1の平均二乗予測誤差を与える。また,整数や有理数の理論パラメータを正しく予言する。この学習エージェントは区分的に一定の力が働く場における非線形カオス二重振り子についても,異なる運動則をもつ領域をうまく同定することができた。

2019年6月1日土曜日

AI Feynman(3)

AI Feynman(2)からの続き)

機械学習と物理で紹介したように,日本物理学会誌では,人工知能と物理学というシリーズが始まっている。第1回目に神嶌敏弘さんが,機械学習の分野の全体像と歴史の概観をしているが,データマイニング・機械学習分野の概要という資料もわかりやすい。

神嶌さんの物理学会誌の特集記事に「変わりゆく機械学習と変わらない機械学習」というのがある。機械学習の自然科学での活用の節で,ドミンゴの "The Master Algorithm" からの引用として,自然科学の研究をブラーエ,ケプラー,ニュートンの業績になぞらえて三段階に分類してとらえることができると紹介している。なんのことはない武谷三男の三段階論ではないか。

「実験データを集めるブラーエの段階, 経験則を発見するケプラーの段階,そしてその経験則の背後の理論を見つけ出すニュートンの段階である」というのは武谷三段階論の現象論,実体論,本質論に対応している。それぞれに対して,データマイニング・機械学習・深層学習・AI(それぞれの分野の概念的な構造関係が十分理解できていないので暫定的に並列にしている)で何ができるかを考えることができる。

テグマークのAI Feynmanは,実体論なのだろうか,本質論なのだろうか。あるいは階層の異る現象論なのだろうか(広重徹ならばそのような三段階論による当嵌めの構図それ自体に意義をとなえるかもしれない)。

AI Feynman(4)に続く)


2019年5月31日金曜日

AI Feynman(2)

AI Feynman(1)からの続き

ニューラルネットワークあるいはディープラーニングを自然科学とくに物理学に応用するという話は昔からあった。30年近く前にもニューラルネットワークで原子核の結合エネルギーを分析するような話題を見かけたことがあるような気がする。

物理科学でのニューラルネットワーク/ディープラーニングの利用というと次のようなものが想像できた。望遠鏡や加速器で得られたデータを分析してシグナルを発見する。物質の合成過程の膨大なデータから目的の性質を持つ組み合わせを推定する。などなど。

で,最近は こんな本が出版されるまでに至る。

ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる(田中・富谷・橋本)

 もう一歩進めると,いわゆるAI(機械学習)で物理学の法則を発見することができるのかが問題になる。理論が予め存在しその方程式のパラメータを探すのではなく,理論それ自身を作り出すことができるかだ。テグマークの論文はその方向の試みなのだろう。

(AI Feynman(3)に続く)