開票直後の新聞やテレビでは,自民公明の与党が勝利と大々的に報じていたような気がしたが,落ち着いてみるともう少しややこしくなっていた。
・投票率はかなり下がった(特に若年層)。これは政権・マスコミの狙いどおり。
・自民党は議席数をかなり減らしたが,公明党は低投票率に救われ議席数を増やした。
・若年層を中心として支持の高い維新の会やN国党が議席をかなり伸ばした。N国党はYouTubeで資金調達し,選挙区の供託金の300万円を出資金として立候補者をつのり,政党助成金で還元するというビジネスモデルをつくってしまった。政党要件の2%は確保できるというシミュレーションにもとづいている。彼らは政策(NHK放送のスクランブル化のみ)ではなく,単純な利殖の手段として国会を利用している。背後関係はあるかないか不明だが,維新と同様の新自由主義的なヘイト政党であって親安倍であることは違いない。
・今回,立憲の数が増えたのは,国民民主党との再編過程のボーナスにすぎない。
・社民共産の支持者高齢化が進行し,得票率が顕著に下がった。その分をれいわ新選組がカバーした。3党(共社れ)の比例区得票率合計は,15.39%→15.59%である。立憲が食われたという見方が正しいかどうかは疑問。なお,3党(自公維)の比例区得票率合計は,58.63%→58.22%だ。
投票率 54.7%→48.8%
議席数 総数 242→245
2/3 162→164 比例政党得票率
自民 124→113 自民 35.91→35.37 △
公明 25→ 28 公明 13.52→13.05 △
維新 13→ 16 維新 9.20→ 9.80 ○
N国 0→ 1 N国 0→ 1.97 ○
国民 23→ 21 国民 (20.98)→ 6.95 −
立憲 24→ 32 立憲 (20.98)→15.81 −
社民 2→ 2 社民 2.74→ 2.09 ×
共産 14→ 13 共産 10.74→ 8.95 ×
れいわ 1→ 2 れいわ(1.91)→ 4.55 ○
無所属 12→ 17
欠員 4→ 0
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改憲派 162+α → 158/179+β
当初の予定通りに国民民主党を改憲グループに含めれば,179+βで改憲可能になった。
比例得票率でいうと,改憲派(自民+公明+維新+N国+国民)が67.14%で反改憲派(立憲+社民+共産+れいわ)が31.40%である。結局,この参議院選挙が分岐点になったということかもしれない。国民民主党内がどの程度まとまるか,造反が出るかにもよるが,ベネッセと吉本興業(+テレビ・新聞・広告)を押さえた安倍政権は強い。もし,上記の改憲派を背景に安倍がゴーサインを出すことができれば,どんどん改憲キャンペーンのCMを打って,大阪の維新のような様相が全国的に展開されるのは火をみるより明らか。
安倍自身は,背景組織などを踏まえた改憲狙いかもしれないが,別に,極右に義理立てする必要のない新自由主義派のとりまきは,消費税増税+インボイス導入(これ自身は合理的政策だと思う)による不満や反政権の動きを打ち消すための手段として考えているのでは。もちろん,憲法9条,24条の改悪は,それぞれ関連業界の利益(防衛産業はトランプにむしられているか?)と,家族の扶養義務強調=社会保障政策の超軽量化による財政負担の軽減というメリットがあるわけで。
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