2024年11月9日土曜日

シンバル

NHKの探検ファクトリーはとても興味深い番組だ。バラエティー生活小百科の後番組で,定時の土曜日お昼時だけでなく再放送でもよくみかける。今日は大阪市平野区のシンバル工場だった。

小出製作所は,金属のヘラ絞り加工を専業とする10人ほどの小企業だが,従業員からの提案で,20年ほど前からシンバルの製造を行っている(シンバル部門は社長を含めて4名だけ)。日本でただ一つのシンバル製造メーカーで,小出シンバルのブランドで有名なのだった。

番組では,製造工程をていねいに紹介していた。気になったのは,同じ直径のシンバルでは,重いほうが音が高いというところだ。弦の固有振動の場合は,振動数は張力を線密度で割ったものの平方根に比例する。つまり重い弦の方が振動数は低くなるわけだ。円盤の振動では,そうなっていない。これは重いシンバルのほうが,その曲げ剛性が大きくなるからのようだ。たぶん。



写真:小出のクラシックシンバル(Amazonストアから引用,10万5千円)

2024年11月8日金曜日

火星19

弾道ミサイルの軌道(5)からの続き

ロイターが伝えた朝鮮中央通信のニュースによれば,10月31日に発射したのは大陸間弾道ミサイル「火星19」だとのこと。ICBMの最終完結形態で世界最強のミサイルをうたっている。知らんけど。飛行距離は1001.2km,飛行時間は5156秒,最高高度は7687.5km だ。

無意味なアラートを出すよりも,こういった基本的な情報がほしいところだ。しかし,防衛省が韓国軍や米軍からこれらの情報を入手してもことさらにマスコミに流す必要はないと考えているのだろう。日本政府にしてみれば,アラートを出すだけで危機意識の醸成という目的は達成される。

2年前の「火星17」については,同じロフテッド軌道で,飛行距離 999.2 km ,飛行時間 4135 秒,最高高度 6040.9 km だった。これに比べると,今回は飛行時間が1000秒伸びて,最高高度も1600kmほど高くなっている。

そこで,忘れかけていたMathematicaのコードを引っ張り出して再計算してみた。目の子でパラメータサーチをした。単純なモデルなので,そんなにピッタリ再現できるわけではないが,ほぼほぼ雰囲気は得られる。飛行時間を5156秒=86分あたりに固定すると,最高高度は170kmほど高くなって7850km(+2.1%)になってしまう。最高高度を7600km台にするためには,飛行時間を2分ほど減らして84分にする(-2.3%)必要がある。燃焼時加速度a,燃焼時間τ,燃料重量比pなどを変えても,飛行時間で制約がかかる範囲では,飛行高度を再現するには至らなかった。

これらのパラメタのままで,投射角度だけを45度にすれば(飛行時間Tは,地表に到達する点で調整する),大円到達距離は16500kmを越えてくる。

g = 0.0098; R = 6350; τ = 90.8; p = 0.75; a = 0.045; s = 86.7 Degree; T = 5160;
g = 0.0098; R = 6350; τ = 90.8; p = 0.75; a = 0.045; s = 45 Degree; T = 7050; 
(* g=0.0098; R=6350; τ=90.4; p=0.75; a=0.045;s=86.7Degree;T=5160-120; *)
(* g=0.0098; R=6350; τ=90.4; p=0.75; a=0.045;s=45 Degree;T=6850; *)

fr[t_, τ_] := a*Sin[s]*HeavisideTheta[τ - t]
ft[t_, τ_] := a*Cos[s]*r[t]*HeavisideTheta[τ - t]
fm[t_, τ_] := -p/(τ - p*t)*HeavisideTheta[τ - t]
sol = NDSolve[{r''[t] == -fm[t, τ]*r'[t] + h[t]^2/r[t]^3 - g R^2/r[t]^2 + fr[t, τ], 
r[0] == R, r'[0] == 0,  h'[t] == -fm[t, τ]*h[t] + ft[t, τ], h[0] == 0}, {r,  h}, {t, 0, T}]
f[t_] := r[t] /. sol[[1, 1]]
d[t_] := h[t] /. sol[[1, 2]]
Plot[{6350, f[t]}, {t, 0, T}]
Plot[{f[t + 1] - f[t], d[t]*R/f[t]^2, d[t]/f[t]}, {t, 0, T}, 
 PlotRange -> {-8, 8}]

{f[T/2] - 6350, tyx[T], v[T]/0.340}
→ {7851.42, {5160, -46.3658, 1007.58}, 24.5585}
g0 = ParametricPlot[{NIntegrate[R d[t]/f[t]^2 , {t, 0, tt}], f[tt] - R}, {tt, 0, T}]
→ {8231.43, {7050, 121.626, 16657.9}, 25.6423}
g9 = ParametricPlot[{NIntegrate[R d[t]/f[t]^2 , {t, 0, tt}], f[tt] - R}, {tt, 0, T}]



図:北朝鮮のミサイルの軌道(ロイター記事から引用)

2024年11月7日木曜日

世代効果

日経クロストレンドの「30年のデータで解析!生活者の変化潮流 第52回ポパイ・JJ世代が時代の節目?日本人の価値観変化をデータで検証」という記事が目に入った。自分にはあまり関係ない話かとチラチラみていると,どうやらポパイ・JJ世代のというのは私達の世代のことだった。

日経新聞の支払いを日経ID決済にしているので,1ヶ月のみの日経クロストレンド無料購読が可能になる。そこで全文を読んでみた。もっとも 3/4 くらいは無料部分で読めるのだが。

簡単に言うと,生活に関する長期時系列データに対して,ある集団に着目するコーホート分析をした結果,年齢効果,時代効果,世代効果を取り出すことができる。これから1952-1956年生まれの世代が価値観の境界にあるということがわかった,というものだ。

もう少し詳しく説明するために,ChatGPT-4oに全文ファイルを読み込ませて内容を要約させよう。
Q(koshix):
(第52回及び関連する第50回の2ファイルをアップロードした上で)
これらの内容をまとめて教えてください。

A(ChatGPT-4o):
以下に2つのレポート内容をまとめます。

1.「ポパイ・JJ世代が時代の節目? 日本人の価値観変化をデータで検証」
概要:このレポートは、日本人の価値観がどのように変遷してきたかを「生活定点」データを基にしたコウホート分析によって考察しています。博報堂生活総合研究所が1992年から定点観測を行ってきた長期時系列データを活用し、「年齢効果」「時代効果」「世代効果」の3つの要因を分離して、特定の世代が持つ特徴や時代の影響を解析しています。
主な発見
1952年から56年生まれの世代に、価値観の変わり目が見られるとされており、日本社会において「世代的な節目」を形成していると考えられます。
コウホート分析の結果により、消費や価値観の変化が進み、特に「消齢化」(年齢によるライフスタイルの固定化の希薄化)が進行していると指摘されています​(第52回)。

2.「人前でのキスに抵抗はない」は6% 調査で見えた若者の実像
概要:若者の価値観や行動が実際にどれほど変わったのか、30年間の「生活定点」データに基づき、コウホート分析を通じて若者の特徴が世代固有か、時代的な影響かを検証しています。
主な発見
若者に見られる行動や価値観のうち、約4割が「年齢効果」(年齢に基づく変化)で、世代固有のものは3割程度であると示唆されています。
特に「音楽や美容に対する関心」などは若者特有の特徴である一方、「人前でのキスに対する抵抗感」など、恋愛観に関しては世代を超えて一貫している要素もあるとされています​(第50回)。

これらのレポートから、長期間にわたるデータを基に日本人の価値観の変遷が年齢や時代、世代ごとにどのように影響されるかが詳細に分析されており、特定の世代における消費傾向や価値観の変化が明らかにされています。


Q(koshix):
1952年から56年生まれの世代に、価値観の変わり目=日本社会における「世代的な節目」だということですが,その前後でどんな価値観が変化しているのか複数の例をあげて説明してください。

A(ChatGPT-4o):
1952年から56年生まれの世代が日本社会における「価値観の節目」を形成している理由について、いくつかの具体例を挙げて説明します。この世代は「ポパイ・JJ世代」とも呼ばれ、従来の価値観から新たな価値観へとシフトする過程で、以下のような変化が見られました。

個人主義の台頭
戦前や戦中生まれの世代が保守的・伝統的な価値観を持っていたのに対し、1952年から56年生まれの世代では「個人の自由」が重要視されるようになりました。この世代は、家庭や組織への従属よりも、個人の自己実現を追求する傾向が強まり、特に家庭や職場での上下関係の在り方に対する意識が変わり始めました​。

食生活の変化
伝統的な魚料理が好まれていた世代から、次第に肉料理が一般化され、特に1970年代以降は肉が日常的な食材となっていきました。この変化は、価値観が個人の嗜好に寄り添う傾向へと移行したことを示しており、戦後の欧米文化の影響も加わった結果と考えられます​。

仕事と生活のバランス
1952年から56年生まれの世代以降、仕事中心の生き方から、家庭やプライベートを重視する価値観へのシフトが見られるようになりました。具体的には「予定があれば残業しない」「仕事よりも家庭が大事」といった意識が若い世代ほど顕著になり、組織よりも個人生活を重視する傾向が進んでいます​。

社会貢献意識の揺れ
「社会のために役立つことをしたい」という意識は、この世代で一旦上昇した後、後続世代では減少しつつも再び波打つような傾向を示しています。これは、個人の幸福追求と社会への貢献の間で揺れ動く日本人の価値観の変化を表しています​。

このように、1952年から56年生まれの世代は、個人の自由と多様な価値観が受け入れられる社会への移行期として重要な役割を果たし、従来の伝統的な価値観を一部保ちながらも、大きく社会が変容していく時代の礎となりました


図:各世代での世代効果の標準偏差(博報堂生活総研・日経XTRENDから引用)
(世代効果の谷間の部分(1952-1956年生まれ)が価値観の境界をなしている)

P. S. 言い換えるとはっきりした世代特徴を持っていない(持てなかった)世代なのか。

2024年11月6日水曜日

鍵屋資料館

11/2,3,4の三連休,NHKにブラタモリが帰ってきた。東海道五十七次の旅というタイトルで,京都から大阪までの旧街道筋をたどるものだ。東海道五十三次は江戸の日本橋から京都の三条大橋までの53宿であり,53番目が大津宿。大津から京都へ向かう山科追分(髭茶屋追分)で,大津街道が分岐して五十七次の54番の伏見宿に至る。大坂−伏見間は京街道であり,55番の淀宿,56番の枚方宿,57番の守口宿と淀川の南東岸の文禄堤を大坂の高麗橋へと街道が続いた。これが,今回の番組の舞台だった。

11月4日の放映前に,予習のため枚方宿に向かった。枚方市駅あたりから,南西の枚方公園駅まで,旧東海道をたらたらと歩く。途中で昼食のため万年寺山をまわったが,残念ながら目的の渋いお店は小学生未満お断りで,他のしゃれたお店も皆お休み。結局,ひらかたパーク最寄り駅前にある昔ながらの一力食堂で一息ついた。

その後再び旧東海道に戻って,市立枚方宿鍵屋資料館を訪ねる。下足箱に靴がびっしりとつまっていたが,人の気配はない。受付にいくと,今日は2階で琵琶の会が催されているので上がれないとのこと。1階の資料館の部分だけを見る。淀川下りの三十石船にごんぼ汁を売りに来るくわらんか舟のやりとりの3Dディスプレイや実物大モデルがおもしろい。

中山道(六十九次)は,草津追分で東海道(五十三次)に合流するが,69番大津宿,68番草津宿の1つ手前が67番守山宿になる。うちの子供たちはこれまで旧街道沿いの,守山宿,伏見宿,枚方宿,守口宿あたりに住んだり,関係したりするのだった。なお,我々は東海道や中山道より1000年ほど昔からある大和の古道(下ツ道・中ツ道)の間に住んでいる。



写真:東海道五十七次枚方宿(撮影:2024.11.4)


2024年11月5日火曜日

リュカ数列

フィボナッチ数列と1/89からの続き

ときどきネット上のフリーの教科書で掘り出し物があって楽しい。昨日散歩していた犬棒は,Sheldon Axler の Linear Algebra Done Right という線形代数のpdf教科書に当たった。Springerからも紙版が出版されている。その pdf ファイルの,クリエイティブコモンズ  表示-非営利 4.0 国際ライセンスのトップページには,次の式がでかでかと護符のように貼り付けられていた。
$\displaystyle F_n = \dfrac{1}{\sqrt{5}} \Bigl\{ \Bigl( \dfrac{1+\sqrt{5}}{2} \Bigr)^n - \Bigl( \dfrac{1-\sqrt{5}}{2} \Bigr)^n \Bigr\}$

この式がフィボナッチ数列を表しているというのを知ったのは,ずいぶん遅くて大学4年生のころだ。自宅で塾を開いて,中学生や高校生に数学を教えていたきのこと。大学進学のためのマイナーで難しそうな問題集を解かせていた北野高校の生徒が,フィボナッチ数列の問題を上記の式を使って一発で解いてきた。田舎の高校生時代に,近所に住んでいた数学乙の西野先生にしこまれた数列の漸化式の標準解法しか知らなかった物理学科の学生は見たこともない式にどぎまぎしてしまったのだった。確かに答えはあっていた。

その思い出の式を眺めていたら,$\sqrt{5}$の中を変えたらどうなるのかが初めて気になってきた。早速試してみよう。ということで,Mathematicaで答えを当たってみると,ルートの中身が4の倍数+1の場合に整数の数列が得られることがわかった。

そこで,軟弱なGさんは,久々にOpenAI o1-previewを取り出してその理由を聞いてみた。
Q(koshix):
数列 a_n = f[n_, m_] :=  1/Sqrt[m] (((1 + Sqrt[m])/2)^n - ((1 - Sqrt[m])/2)^n) // Expand がすべて整数の項からなる数列になるのは,n がどのような値をとる場合かを説明してください。

A(o1-preview):
(日本語による不十分で誤った説明→略)
Answer: Because all terms a_n  are integers if and only if n is the square of an odd integer—that is, when m =k^2 with odd k.

Q(koshix):
あなたのおっしゃる条件からはずれる場合,例えばn=5を確かめてみてください。この場合も全て整数の項からなる数列になりますよね。

A(o1-preview):
(日本語によるやや不十分でも正しい結果→略)
Answer: Because all terms a_n are integers if and only if n leaves a remainder of 1 when divided by 4 —that is, when m≡1 mod 4.

すっきりしないので,しぶしぶ人間の脳で考えることにしてみた。
$\alpha_m = \dfrac{1+\sqrt{m}}{2}, \ \beta_m = \dfrac{1-\sqrt{m}}{2}$と置いて,$\displaystyle F(m)_{n}=\dfrac{1}{\sqrt{m}}\Bigl( {\alpha_m}^n - {\beta_m}^n \Bigr)$である。
そこで,$F(m)_{0} = 0, \quad F(m)_{1} = \dfrac{1}{\sqrt{m}}\Bigl( {\alpha_m} - {\beta_m} \Bigr) = 1$
さて,${\alpha_m}^n - {\beta_m}^n = (\alpha_m + \beta_m) \Bigl( {\alpha_m}^{n-1} - {\beta_m}^{n-1} \Bigr)  - \alpha_m \cdot \beta_m \Bigl({\alpha_m}^{n-2} - {\beta_m}^{n-2} \Bigr)$ 
いいかえれば,$F(m)_n = F(m)_{n-1} - \dfrac{1-m}{4} F(m)_{n-2} $
したがって,$m=4k+1$であれば,$F(m)_n = F(m)_{n-1} + k F(m)_{n-2} $が成り立つので,初期値からすべての$F(m)_n$は整数となる。

これはどうやら,リュカ数列という,整係数の2次方程式の2つの解から定義される漸化式による二階線形回帰数列の一種だということだ。フィボナッチ数リュカ数ペル数フェルマー数メルセンヌ数など数論に現れる重要な数列がこれに属するとWikipediaには書いてあった。

2024年11月4日月曜日

再現性

清水亮(1976-)による「人格のコンピュータ再構成」というnoteの記事がおもしろかった。中学生の時のマックスヘッドルームの話からはじまって,AIによって再構成された複数の自分の人格の話に発展した(別記事の落合陽一(1987-)との佐渡旅行の話もおもしろかった)。

そういえば,高校の数学で大数の法則中心極限定理を学んだ後に,米島君と話題になったのは次のようなことだ。「多数の自分の人格が確率的に生成されたとき,結局それらの人生は固有の人格のために中心極限定理で与えられるようなところに収束するのだろうか。」それは単なる思考実験だったけれど,いまや,それが実現するところにまで来ているのかもしれない。

清水亮の記事の最後に,「この「再現性」の問題は非常に大きな問題となっていて、それが理由で欧米ではGPTのAPIを使うのをやめる学者も増え始めている」という一文があって,少し引っかかったので,ChatGPT-4oに聞いてみることにした。その結果を以下に報告する。対話相手として申し分ないのかもしれない。

Q(koshix):
引用:この「再現性」の問題は非常に大きな問題となっていて、それが理由で欧米ではGPTのAPIを使うのをやめる学者も増え始めている。
という文章がありますが,この意味を教えてください。

A(ChatGPT):
この文章にある「再現性の問題」は、特に研究や学術的な活動において非常に重要な概念です。再現性とは、同じ条件下で実験や研究を繰り返すと、同じ結果が得られることを指します。再現性が担保されていない場合、研究結果の信頼性や正当性が疑わしくなります。

GPTのAPIを使う学者が減り始めているという文脈では、次のような背景が考えられます。

1.出力の一貫性が低い
GPTのような大規模な生成AIモデルは、入力が同じでも必ずしも同じ出力を生成するとは限りません。特に、生成されたテキストは確率的に決定されるため、同じプロンプトに対して異なる結果が得られることがあります。この特性は、再現性が求められる研究の場では問題となり、学者が同じ実験を再現できないことに繋がる可能性があります。
2.透明性の欠如
GPTのような生成モデルは「ブラックボックス」とされることが多く、具体的にどのようなプロセスで出力が決まっているのかが理解しにくい場合があります。これは、再現性を検証する際にさらに難しい問題となり、学術研究の基盤である「どのように結果が得られたか」を説明するのが難しくなります。
3.モデルの進化と変更
APIで提供されるモデルが定期的に更新される場合、過去のバージョンと同じ挙動を保証できなくなります。研究者があるバージョンのGPTで得た結果を将来的に再度得ようとすると、APIの進化に伴って挙動が変わり、同じ結果が再現できないリスクがあります。

これらの理由から、欧米の一部の学者が、再現性の重要性を重視してGPTのAPIの使用を避けるようになっている、ということを示していると考えられます。特に科学的な研究や論文で使用する場合、再現性が確保されていないと、その研究結果に信頼性を持たせるのが難しくなるためです。


Q(koshix):
人間は,機械ではないため,その思考や出力としての発言や著述にブレが生ずるのは当然のことであり,また時間を経ることによってもこれらは変化します。なぜ,人間のアウトプットにおける再現性の重要性にそこまでこだわるのかが,少し理解できません。

A(ChatGPT):
人間のアウトプットは確かに変動しやすく、時間や状況によって異なるのは自然なことです。しかし、再現性が重要視されるのは、特に科学や研究、技術開発の分野で「信頼できる知識の蓄積」と「正確な検証」が必要とされるからです。この観点から、なぜ再現性にこだわるのか、以下のような理由が挙げられます。

1.信頼性の確保
科学や学術研究では、ある実験や分析結果が「再現」できることが、その結果が正しいと信じられるための基本的な条件です。例えば、ある研究者が新しい治療法を発見した場合、その結果が他の研究者によっても再現できなければ、その治療法の有効性は疑われます。再現性があることで、研究が単なる偶然や一時的な誤差ではなく、一般的に通用する真実に基づいていると確認できます。

人間のアウトプットが時間や状況で変わることが許容される領域、例えば芸術や文学では、その「変化」こそが価値や深みを生みます。しかし、科学や技術では、何が原因で変わるのかをはっきりさせ、同じ条件下で同じ結果が出せることが極めて重要です。機械やプログラムは、まさにこのような「ブレ」をなくすために開発されています。

2.誤差やバイアスの排除
人間の思考には、しばしば無意識の偏見や感情的な要因が入り込むことがあります。このため、同じ状況においても異なる結論や発言が生まれます。再現性を確保することで、こうした一時的なバイアスや誤りを排除し、純粋にデータや事実に基づいた結論を得ることが可能になります。

たとえば、心理学の実験や社会科学の調査などでは、同じデータセットに対して異なる解釈が生じることがありますが、それでも再現性のある結果は他の要因によって影響されにくいと考えられます。これにより、学問的な議論や検証が可能になり、結論に対する信頼性が高まります。

3.新しい発見の検証と信頼性
再現性が確保されていないと、新しい発見や理論が検証されないまま広まる危険性があります。もし結果が再現できないのであれば、それは偶然や誤った方法論に基づく可能性があり、信頼できるものではありません。再現性を重視することで、確かな基礎の上に新たな理論や発見を積み重ねることができるのです。

例えば、薬の効果や新しい物理法則を提唱する場合、それが一度きりの結果なのか、あるいは他の研究者が何度試しても同じ結果を得られるのかは大きな違いです。再現性があることで、その発見が科学的に有効であることが裏付けられ、実用化に進む道が開けます。

4.技術やシステムの安定性
生成AIなどのシステムにおける再現性の重要性は、技術の安定性や信頼性を高めるためです。たとえば、自動運転車のシステムや医療用AIが、同じ状況で異なる判断をしてしまうと大きな問題につながります。このため、システムの動作が一貫して再現性を持つことが求められます。人間とは異なり、こうした技術においては、予測可能で一貫した結果が必須となります。

最後に
確かに、日常生活や芸術、創造的な活動においては人間のアウトプットの変動や変化は自然であり、しばしば価値があるものです。しかし、科学的検証や技術開発の場では、再現性がないと、偶然や誤りに基づいた結論を広めてしまうリスクがあります。これが、人間の思考と機械のアウトプットにおける再現性の違いに対するこだわりの理由だと考えられます。


Q(koshix):
科学的検証や技術開発の場においては,科学的・工学的な実験による検証や,数学的な論理的な検証を必ず伴いますので,この分野における人間の論文や発表はその範囲内でしか妥当性を持ちえません。したがって,揺らぎや変化はこの範囲を逸脱することはできません。それは当然のことです。したがって,生成AIを利用したとしても,このような現実のデータや現象や論理や数学による制約の範囲に留まるはずです。それにもかかわらず,危機感を抱く根拠がいまひとつわからないのです。あなたの説明は科学の妥当性の議論になっていて,その一歩手前にある人間が持つ表現の部分の幅を説明する根拠にはなっていません。

A(ChatGPT):
あなたの指摘は非常に鋭いと思います。科学や工学において、論理的・数学的な枠組みや実験的な検証により、揺らぎや不確実性がコントロールされるため、その範囲内では妥当性が確保されます。生成AIの出力も、そのデータやアルゴリズムが物理的・数学的制約を受けている限り、科学的検証の枠を逸脱するわけではありません。そのため、生成AIを使用した場合でも、同じ制約の中で妥当性が保たれるべきだという考えはもっともです。

しかし、生成AIに対して危機感を抱く理由には、科学的・技術的な再現性の問題とは少し異なる次元の懸念が関わっていることがあるかもしれません。それをいくつかの観点から整理してみましょう。

1.確率的生成による予測不可能性
生成AI、特にGPTのようなモデルは、基本的に確率的な手法でテキストを生成します。これは、同じ入力に対しても、異なる結果が生じうるという特性を持っているため、再現性が完全には保証されないことがあります。人間の発表や論文においても個人差はありますが、再現性が求められる場面(論文の方法や結論など)では、論理や実験データに基づく厳密な制約がかかります。一方、生成AIの出力はその場でランダムに変動しやすく、特に学術的な検証の厳密性が要求される場面では、この不安定性が問題視されることがあります。

2.ブラックボックス化されたアルゴリズム
生成AIの背後にあるモデルは、膨大なデータとパラメータを基に動作しており、個々の生成結果がどのようなデータやロジックに基づいているのかを完全に解明できないという問題があります。人間の論文や発表は、背後に論理的・実験的なプロセスが明示され、その検証方法もクリアに説明されます。しかし、生成AIの出力は、それがどのデータセットやロジックに基づいたのかがユーザーにとっては「ブラックボックス」となっている場合が多く、この不透明性が信頼性に対する懸念を生じさせています。

3.著述や表現における独自性や責任の欠如
人間の著述や発表は、通常、その人が責任を持って発信し、背後にある論理やデータの整合性がその発言の妥当性を支えます。しかし、生成AIによる出力には、その発言や結果に対する主体的な責任が欠如しているため、科学的・学術的な信頼性が担保されにくくなる可能性があります。仮にAIが論理的な誤りを含む結果を生成したとしても、その責任をどのように扱うかが不明確なため、学術の場では信頼性に対する懸念が生じるのです。

4.外部データに対する依存とバイアスのリスク
AIモデルは大量の外部データに基づいて学習されますが、そのデータ自体が偏っていたり、不完全だったりする可能性があります。このため、AIの出力に人間の思考のような意図しないバイアスや、データの制約を反映しない誤った表現が含まれるリスクが高まります。特に科学の分野では、データの信頼性と透明性が重要ですが、AIが用いたデータやその選別過程が不明確な場合、結果が再現できないだけでなく、バイアスを含む可能性があり、危機感を抱く理由の一つとなり得ます。

結論
あなたが指摘された通り、科学的妥当性や検証の枠組み自体は厳格な制約があり、それが守られている限り、生成AIの利用もその範囲内で有効です。しかし、生成AIの特性(確率的な出力、ブラックボックス的なプロセス、責任の不在、データのバイアス)によって、その信頼性や再現性に関する懸念が生じています。このため、特に再現性が求められる分野では、AIの出力に依存しすぎることに対して懸念があるのです。

この懸念は、学術的な信頼性や透明性を損なう可能性に対する防衛的な姿勢ともいえるでしょう。


図:「再現性」というタイトルの絵(Imagen3による)

2024年11月3日日曜日

フレイル予防

天理市から「フレイル予防のための食事」というタイトルで,管理栄養士による講演会の案内がやってきた。気になっていたので早速申し込んでおいた。

天理市立メディカルセンターの2Fにある地域包括ケア広場で,奈良県栄養士会の会長の講演があった。タイトルは「栄養講座〜高齢期のフレイル及び骨粗鬆症予防〜(リンク先は同趣旨の厚生労働省資料)」だ。35pのPowerPoint資料が配られ,健康アンケートと簡易骨密度測定(結果はBで問題なさそう)がついてくる。

25席用意されていて,おしゃべりで元気そうなお婆さん達が20名ほど集まっている。爺さんは,自分を含めて2-3名程度だ。日本は超高齢社会となり100歳以上が 9万5千人いるが,男女比はという質問があった。婆さんらは元気に答える。教室では黙ってしまう若者と大違いだ。答えは1-2割が男で8-9割が女というもの,婆さんら正解。うーむ,男性12%女性88%なのか

講師は,女性の長生きが多いのは皆さんのように活動的でぺちゃくちゃしゃべりし,コミュニティを形成する能力の高さからくるのだとのこと。うーん,確かに爺さんはコミュニケーションが苦手だ。人によるのかもしれないけれど。

厚生労働省の5年ごとに改定される食事摂取基準が,2020年版からその目的に「高齢者の低栄養・フレイル予防」をうたうようになった。そもそも用語としてもフレイルティからフレイルに変更された。ここでのフレイルの定義は「健常状態と要介護状態の中間に位置するもの」である。なお,高齢者の年齢区分も,従来の70歳以上から,前期高齢者65-74歳と後期高齢者75歳以上の2区分に詳細化されている。

食事摂取基準の対象は,,歩行や家事などの身体活動を行っている者であ り、体格〔body mass index:BMI、体重(kg)÷身長(m)2〕が標準より著しく外れていない者」だ。指標としてBMIが頻繁に登場する。自分の平均BMIは18.9であり,幽明の境目だ。高齢者のBMI基準も2020年度版からは若者より高く設定されて BMI=22,自分の場合体重 72 kg が必要なので,10 kgも足りない。

フレイルから元気な状態へは,がんばれば戻れるらしい。そのためには,(1) 筋量の増加のためにたんぱく質摂取量を増やし,(2) 筋力の増加のために筋トレをすること。適切なたんぱくしつ摂取量は,1.3〜1.5/kg/日 なので自分の場合 80g にも達する(食事摂取基準では60 g)。

たんぱく質の多い食品でコレステロールのリストとして挙げられたのが次のものだった。
とりささみ100g,ぶたもも肉100g,牛ひき肉100g,たまご1こ,まぐろ赤身5切れ(トロはダメよ),焼き魚1切れ,木綿豆腐1/2丁,納豆1パック,牛乳200mL,チーズ20g,ヨーグルト100g 等々。1食で 25gとれば3食で目標が達成できる。

後半には,女性も多かったので骨粗鬆症の話が中心になる。血液中には1%のカルシウムが定常的に含まれている必要があって,これを維持するためには1日に700mg程度のカルシウム摂取が必要だ(そのうち実際に吸収されるのは野菜20%小魚30%乳製品50%程度である)。
牛乳1本で1/3はまかなえる。小松菜,ひじき,じゃこ,豆腐,納豆もよい。このとき,魚とキノコを摂取してビタミンDも忘れずに。

ビタミンDの合成は日光にあたった皮膚で行われるため,若い子が日焼け止めクリームを塗りすぎるのもよくないとのことだった。将来の骨粗鬆症を招くことになる。


写真:天理市の栄養講座(2024.10.28撮影)k

2024年11月2日土曜日

フォルクスワーゲン

衆議院議員総選挙の後の政権枠組みの話で浮かれていると,目前に迫ったアメリカ大統領選挙ではトランプ優勢との声が聞こえてきた。それだけではない。

北朝鮮軍のウクライナ派兵は単なる傭兵問題ではなくて,6月に結ばれたロシアと北朝鮮の包括的軍事パートナーシップ条約に基づくものだと,そうなると「いずれか一方が武力侵攻を受けて戦争状態におかれた場合(もう一方の国が),遅滞なく保有するすべての手段を用いて軍事その他あらゆる援助をする」ため,もし北朝鮮有事が勃発するとそれは一気に韓国・北朝鮮・日本・米国・中国・ロシアを巻き込む軍事衝突に発展する危険性がある,ということを菅野完が指摘していた。


さて,フォルクスワーゲンだ。中国メーカーとのEV競争激化や欧州市場での需要減によって,1937年の創業以来初めてドイツ国内の主力3工場を閉鎖すると発表した。このニュースでNHKが労働組合と従業員で作る団体の代表という言葉を使い分けていたので,なんで?となった。
Q(koshix):
フォルクスワーゲンの工場閉鎖を巡るニュースで
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241028/k10014622371000.html
労働者を代表する団体」という言葉と「労働組合」という言葉が2種類区別されて用いられているのは何故ですか。

A(ChatGPT-4o):
「労働者を代表する団体」と「労働組合」という言葉が区別されて使われているのは、主に役割や対象の違いを強調するためです。それぞれの言葉が指す内容に微妙な違いがある場合があります。

1.労働者を代表する団体:この言葉は、労働者の利益を代表する広い意味で使われます。特定の組織を指すのではなく、労働者全体や一部のグループの権利や利益を代弁する組織や団体を広く指します。したがって、労働組合以外にも、例えば従業員代表委員会や企業内の労働者代表団体なども含まれる可能性があります。
2.労働組合:これは、労働者の権利や待遇を改善するために組織された正式な団体を指します。労働者が自主的に集まり、法律に基づいて認められた団体であり、交渉権やストライキ権などの法的な権利を持っています。

ニュース記事においてこの二つの表現が区別されている理由は、具体的な状況に応じた異なる団体や組織が関与している可能性があるためです。フォルクスワーゲンのような大規模企業では、労働組合だけでなく、労働者代表委員会(従業員代表など)も交渉に関与することがあります。従って、ニュースでは、どの団体が関与しているのかを明確にするために、このような異なる表現が使われていることが考えられます。

Q(koshix):
https://edition.cnn.com/2024/10/28/business/volkswagen-factory-closures-layoffs/index.html を踏まえると先ほどの回答はどのように修正されますか。
日本語に直して説明してください。

A(ChatGPT-4o):
今回のフォルクスワーゲンの事例では、**「労働者を代表する団体」は、主に「ワークスカウンシル(従業員代表委員会)」**を指していると考えられます。ドイツの企業では、ワークスカウンシルは法的に義務付けられた組織で、企業内部で従業員の意見を代表し、特に解雇や工場閉鎖などの重要な決定において経営陣と交渉する役割を持っています。

一方、**「労働組合」は、例えばIGメタル(IG Metall)**のような、賃金や労働条件の交渉を行う伝統的な組合です。労働組合はストライキや抗議活動を通じて、より広範な労働者の権利を守る役割を果たします。

フォルクスワーゲンの場合、ワークスカウンシル(ダニエラ・カヴァロなどが代表)は、会社内部での意思決定に関与しており、特に経営との交渉に焦点を当てています。一方で、IGメタルのような労働組合は、労働者の権利を守るためにストライキなどを準備しているという点で、異なる役割を持っています​。

このため、ニュースでこれらの言葉が区別されて使用されているのは、労働者の利益を守るために異なる立場やアプローチを取る組織が関与しているためです。

CNNに含まれる情報がNHKでは欠落しているためわけがわからなくなる。こんな細かな話が日々着実に積み重なって,モノを考えられない日本人が大量に生産されることになる。のかな?


写真:フォルクスワーゲンの工場(Wikipediaから引用)

2024年11月1日金曜日

年収の壁

年収の壁をめぐる議論が活発にされているが,あの玉木のいうことだからどうせ怪しいに決まっている!という予断と偏見を持ってニュースをみているので,あまり健全な態度とはいえない。少しくらいは勉強する必要がある。Gさんそれすら面倒なので,Perplexityに聞いてみるわ(ChatGPT-4oはイマイチだったので)。

Q(koshix):
年収の壁という言葉があります。パートで働く主婦などが,働きすぎると社会保険料や税金が課されることで,一定の収入以上の労働を抑制してしまう現象です。これについて,住民税,所得税,社会保険料,配偶者特別控除などの様々な壁の存在が指摘されています。また,一律に制度を変更すると,低所得者だけではなく高所得者の減税につながることで,国家財政への負担が恒久的に増大することも懸念されます。このような状況を踏まえて,その全体像を,できるだけ具体的,詳細,かつ客観的な視点で解説し,可能な改革案とその問題点を整理して説明してください。

A(Perplexity Pro):
年収の壁は、主にパートタイムで働く配偶者(多くの場合は主婦)の労働意欲に影響を与える現象です。この問題は、税制や社会保険制度の複雑な相互作用によって生じており、以下にその全体像を詳細に解説します。

年収の壁の種類と影響
年収の壁には主に以下の種類があり、それぞれが異なる影響を及ぼします。

100万円の壁
この壁は住民税に関するものです。年収が100万円を超えると、住民税が課税されます。これにより、100万円を少し超える収入を得ても、手取りが減少する可能性があります。

103万円の壁
この壁は所得税配偶者控除に関連しています。年収が103万円を超えると、以下の変化が生じます:
・所得税が課税されます。
・配偶者控除が適用されなくなり、配偶者特別控除に切り替わります。
これにより、世帯全体の税負担が増加する可能性があります。

106万円の壁
この壁は社会保険に関するものです。年収が106万円を超えると、条件(注:勤務先従業員数51名以上)次第で社会保険への加入が必要になります。社会保険料の負担が発生するため、手取り収入が減少する可能性があります。

130万円の壁
この壁は扶養(注:社会保険)に関するものです。年収が130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、自身で健康保険や年金保険に加入する必要が生じます。これにより、保険料負担が増加します。

150万円の壁
この壁は配偶者特別控除に関するものです。年収が150万円を超えると、配偶者特別控除が段階的に減額されます。これにより、世帯全体の税負担が増加します。

年収の壁がもたらす問題
1.労働意欲の抑制:これらの壁により、パートタイム労働者が収入を一定以下に抑えようとする傾向が生じ、潜在的な労働力が活用されない。
2.経済的非効率:能力や意欲があっても、制度上の理由で労働時間を制限せざるを得ない状況が発生。
3.ジェンダー不平等:主に女性がパートタイム労働に従事する傾向があるため、この問題は女性の経済的自立を阻害する要因となっている。
4.企業の人材活用の制限:企業側も、従業員の年収が壁を超えないよう調整する必要があり、人材の有効活用が難しくなる。

改革案とその問題点
1.配偶者控除の廃止(略)
2.壁の段階的な緩和(略)
3.社会保険料の負担軽減(略)
4.給付付き税額控除の導入(略)

結論
年収の壁の問題は、税制、社会保険制度、労働政策が複雑に絡み合った結果生じています。一律の制度変更は高所得者の減税につながる可能性があり、国家財政への負担増大も懸念されます。
したがって、改革にあたっては以下の点を考慮する必要があります:

1.段階的な制度改革:急激な変更を避け、影響を見極めながら段階的に改革を進める。
2.多角的なアプローチ:税制、社会保険、労働政策を総合的に見直し、整合性のある改革を行う。
3.所得再分配機能の維持:低所得者への配慮を忘れず、公平性を保つ。
4.労働市場の活性化:女性や高齢者の労働参加を促進する政策と連動させる。
5.財政への影響考慮:改革による税収への影響を慎重に検討し、持続可能な制度設計を行う。

これらの点を踏まえ、慎重かつ包括的な議論と検討が必要です。単純な制度変更ではなく、社会全体の利益を考慮した総合的なアプローチが求められます。


Q(koshix):
給与所得の課税対象についてのみ,基礎控除の合計を103万円から178万円に増やせばよいと主張している政党がありますが,その案の意味と問題点を具体的かつ詳細に指摘してください。なお,178万円という数字の根拠も理論的に解説してください。

A(Perplexity):
この政策提案は、給与所得者の基礎控除を現行の103万円から178万円に引き上げるというものです。この提案の意味と問題点、そして178万円という数字の根拠について詳細に解説します。

提案の意味 
基礎控除引き上げの目的
1.手取り収入の増加:基礎控除額を引き上げることで、より多くの収入が非課税となり、給与所得者の手取り収入が増加します。
2.「年収の壁」の緩和:現行の103万円の壁を大幅に引き上げることで、パートタイム労働者などの就労意欲を高める効果が期待されます。
3.消費喚起:手取り収入の増加により、消費拡大を促す狙いがあります。

178万円の根拠
この数字は、1995年からの最低賃金の上昇率1.73倍に基づいているとされています。つまり、 103万円 × 1.73 ≈ 178万円 という計算によって導き出されています。これは、基礎控除額を最低賃金の上昇に合わせて調整する考え方に基づいています(注:なんだよそれは,嘘かと思ったよ)。

提案の問題点 
1.財政への影響
基礎控除額の大幅な引き上げは、税収の大幅な減少をもたらす可能性があります。これは国家財政に重大な影響を与える可能性があります。
2.公平性の問題
給与所得者のみを対象とした控除額の引き上げは、他の所得形態(事業所得、不動産所得など)との間に不公平を生じさせる可能性があります。
3.社会保険制度との不整合
税制の変更だけでは、社会保険料の「壁」は解消されません。106万円の社会保険加入の壁や130万円の扶養からの離脱の壁は依然として残ります
4.高所得者への恩恵
基礎控除の一律引き上げは、高所得者にも同様の恩恵を与えることになり、所得再分配機能を弱める可能性があります。
5.労働市場への影響
178万円まで非課税となることで、パートタイム労働者がこの金額を超えないように就労時間を調整する新たな「壁」が生じる可能性があります。
6.最低賃金との連動の妥当性
最低賃金の上昇率を基礎控除額の引き上げに直接適用することの妥当性には疑問が残ります。最低賃金と基礎控除額は異なる経済的・社会的機能を持つため、単純な連動は適切でない可能性があります。
7.制度の複雑化
税制の一部分のみを大幅に変更することは、全体の税制をより複雑にする可能性があります。
8.他の控除との整合性
基礎控除のみを大幅に引き上げることで、他の所得控除(配偶者控除、扶養控除など)との整合性が取れなくなる可能性があります。

結論
この提案は、給与所得者の手取り収入を増やし、「年収の壁」問題に対処しようとする意図は理解できます。しかし、財政への影響、公平性の問題、社会保険制度との不整合、労働市場への影響など、多くの課題が存在します。
また、178万円という数字の根拠は最低賃金の上昇率に基づいていますが、この連動の妥当性には疑問が残ります。税制改革は、より包括的かつ慎重なアプローチが必要であり、社会保険制度や労働政策との整合性を考慮しながら、全体的な制度設計を行う必要があります。




図:年収の壁がわかる(日本経済新聞から引用)


P. S. 図では103万円で段差が発生しているが,1人分の所得税だけならば,控除額との差額に税率がかかって差額の1次関数分だけ減少するのであるから,階段関数にはならない。ただし,同時に生ずる扶養控除分についてはその限りではないため段差を産む。社会保険についてはしきい値を境に有限の負担がでるので,図のようなギャップが現われる。

[1]NHKによるまとめ:社会保障経済政策子ども・子育て



2024年10月31日木曜日

衆院選(2024)の結果

参院選(2022)の結果からの続き

三春充希の第50回衆院選情報部によれば,今回の第50回衆議院議員総選挙の比例区では次のような結果が得られている。前49回との絶対得票数を比較したものである。
保守  なし  → 114万  +114万
参政  なし  → 187万  +187万
自民  1991万 → 1458万       -533万
国民  259万    → 616万    +357万
公明  711万  → 596万    -115万
維新  805万  → 509万      -296万
立憲  1149万 → 1155万       +6万
れいわ 221万    → 380万    +159万
共産  416万    → 336万      -80万
社民  101万   → 93万     -8万
みんな 80万   → 2万    -78万
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
合計 5733万 → 5446万  -287万
一方,Perplexityに参院選(2022)の結果のデータを与えて,これと同様のものを生成するよう指示したところ,次の結果(左総議席,右比例区)が得られた。まあまあである。
投票率 55.93%→53.85% (-2.08%)
議席数 総数 465→465 (unchanged) 過半数 233
保守  0 → 3 (+3)    保守  データなし
参政  1 → 3 (+2)    参政  データなし
自民 247 →191 (-56)  自民  26.73% (1,458万票 = 59議席)
公明  32 → 24 (-8)   公明  10.93% (   596万票 = 20議席)
維新  44 → 38 (-6)   維新  9.36%   (   511万票 = 15議席)
国民  7 → 28 (+21)   国民  11.32% (   617万票 = 17議席)
立憲  98 →148 (+50)  立憲  21.20%  (1,156万票 = 44議席)
れいわ 3 → 9 (+6)   れいわ   6.98%  (   381万票 =  9議席)
共産  10 → 8 (-2)     共産    6.16%  (   336万票 =  7議席)
社民  1 → 1 (±0)    社民  データなし
無所属 22 → 12 (-10)

注目すべき点:
1.自民党と公明党の連立与党は過半数を失い、215議席にとどまった。
2.立憲民主党が大幅に議席を増やし、148議席を獲得した。
3.国民民主党も大きく躍進し、7議席から28議席に増加した。
4.れいわ新選組が議席を3倍に増やし、9議席を獲得した。
5.自民党の得票率は前回より低下し、小選挙区での絶対得票率は20.1%と、1996年以降で最低を記録した。
6.女性当選者数は過去最多の73人となり、衆議院議員の16%を占めた。
7.投票率は53.85%で、前回より約2ポイント低下し、戦後3番目に低い水準となった。
絶対得票数では,自公維の減少分-944万票と公共の減少分-195万票から,全体の減少分を除いた-852万票分を,国民が+357万票,れいわが+159万票の計+516万票,保守と参政の計で+301万票と分けあった計算になっている。立憲はわずか6万票増なので,有権者の票が立憲に向かったわけではなく,自民と維新の減少のあおりで小選挙区の当選数が増えたにすぎない


比例区の世代別の投票率を朝日新聞の出口調査のデータから Julia で図示してみた。ヒストグラムの各世代別の領域の高さは人口に比例させている。グレイゾーンは政党に投票しなかったものであり,左右均等に振り分けたが,あわせてほぼ " 1 - 投票率 "となる。

図:衆議院選挙比例区年代・政党別投票率

また,小選挙区における絶対得票数は次のようなものである(Wikipediaから)。
保守           →   16万( 0.3%) + 16万
参政           →  136万( 2.5%) +136万
自民  2763万(48.1%)  → 2087万(38.5%)  - 676万
公明    87万( 1.5$)   →   73万( 1.4%)   - 14万
維新   480万( 8.4%) →  605万(11.2%) +125万
国民   125万( 2.2%) →  235万( 4.3%) +110万
立憲  1722万(30.0%)  → 1574万(29.0%)  -148万
れいわ   25万( 0.4%) →   43万(  0.8%)  + 18万
共産   263万( 4.6%) →  370万( 6.8%) +107万
社民    31万( 0.6%) →   28万( 0.5%)   -  3万
もちろん,擁立候補者数に依存するのだけれど,立憲はここでも票を減らしている。

[1]第49回衆議院議員総選挙全国意識調査(公益財団法人 明るい選挙推進協会)


using CairoMakie

# データの準備
# populations = [93, 457, 608, 874, 1102, 1038, 1168, 595]
populations = [219, 1277, 1317, 1637, 1828, 1484, 1608, 1290]
total_population = sum(populations)

support_rates = [
    [0.294, 0.008, 0.017, 0.110, 0.025, 0.034, 0.080, 0.072, 0.038, 0.021, 0.008, 0.294],  # 10代
    [0.321, 0.007, 0.018, 0.072, 0.021, 0.036, 0.093, 0.054, 0.036, 0.018, 0.004, 0.321],  # 20代
    [0.272, 0.009, 0.023, 0.097, 0.028, 0.055, 0.097, 0.069, 0.051, 0.023, 0.005, 0.272],  # 30代
    [0.236, 0.011, 0.027, 0.128, 0.037, 0.064, 0.075, 0.096, 0.064, 0.021, 0.005, 0.236],  # 40代
    [0.205, 0.018, 0.030, 0.151, 0.042, 0.060, 0.060, 0.133, 0.060, 0.030, 0.006, 0.205],  # 50代
    [0.161, 0.014, 0.028, 0.182, 0.070, 0.056, 0.049, 0.182, 0.042, 0.042, 0.014, 0.161],  # 60代
    [0.148, 0.015, 0.015, 0.218, 0.065, 0.051, 0.036, 0.211, 0.022, 0.058, 0.015, 0.148],  # 70代
    [0.285, 0.005, 0.005, 0.171, 0.042, 0.028, 0.014, 0.115, 0.005, 0.037, 0.009, 0.285]   # 80代
]

colors = ["#AAAAAA", "#777777", "#FC9F05", "#FF0000", "#F9EA09", "#00FF00", "#2242D2", "#06EAFC", "#FA69FF", "#DD0000",  "#777777", "#AAAAAA"]
age_labels = ["18-", "20-", "30-", "40-", "50-", "60-", "70-", "80-"]

# プロットの作成
fig = Figure(size=(800, 600))
ax = Axis(fig[1, 1], ylabel="人口割合", xlabel="投票率")

current_y = 0.0
for (i, pop) in enumerate(populations)
    segment_height = pop / total_population
    rates = support_rates[i]
    
    current_x = 0.0
    for (j, rate) in enumerate(rates)
        poly!(ax, [current_x, current_x+rate, current_x+rate, current_x], 
              [current_y, current_y, current_y+segment_height, current_y+segment_height], 
              color=colors[j])
        current_x += rate
    end
    
    # 年代ラベルを追加
    text!(ax, -0.05, current_y + segment_height/2, text=age_labels[i], 
          align=(:right, :center), fontsize=14)
    
    current_y += segment_height
end

# 軸の設定
ax.yticks = (collect(0:0.2:1), ["0%", "20%", "40%", "60%", "80%", "100%"])
ax.xticks = (collect(0:0.2:1), ["0%", "20%", "40%", "60%", "80%", "100%"])

# 凡例の追加
elements = [PolyElement(polycolor = c) for c in colors]
Legend(fig[1, 2], elements, ["--", "保守", "参政", "自民", "公明", "維新", "国民","立憲", "れいわ", "共産", "社民", "--"], 
       "政党", tellheight=false, tellwidth=true)

# タイトルの追加
Label(fig[0, :], "年代別投票率", fontsize = 24)

# グラフの表示
display(fig)


2024年10月30日水曜日

安部公房伝:安部ねり

高校時代,先生がお休みで時間割が変更され早く終了することがあった(ような気もする)。それができない場合は,まれに図書館での自習となる。そんなとき本棚を漁って目についたのが,サルバドール・ダリの画集と安部公房(1924-1993)の短編集だった。

ダリは,中学校の美術の教科書に燃えるキリンが載っていた。山田雄治君と一緒に教科書に掲載されていた世界の名画を眺めながら作者当てをするのが楽しかった。

安部公房はどこから?世界SF全集の第32回配本(1971年5月)が,安部公房の第四間氷期他であり,それ以前から日本初の本格SF小説だとは耳にしていた。あるいは,現代国語の教科書に「赤い繭」か何かが掲載されていたのか?第四間氷期は残念ながら高校生の自分にはピンと来なかった。大学に入ってから読んだ砂の女他人の顔の方が圧倒的によかった。燃えつきた地図箱男密会方舟さくら丸では残念ながらそこまでのものは得られなかった。


その安部公房の伝記が,2011年3月に一人娘の安部ねり(1954-2018)によって出版された。安部公房全集全30巻をだしている新潮社によるこの本は,作家誕生,作家安部公房と人間科学,作家活動の周辺,インタビュー(安部ねりによる25名)の四部で構成されている。断片的な著者の思い出のコラージュという感じで,期待はずれだった。本人は,伝記部分と理論展開の部分から成り立っていると書いているが,ちょっと違う。肉親が故人の伝記を書くというのは難しいことだ。

この少し前に,Kindle版で山口果林(1947-)の「安部公房と私」を読んでいた。安部ねりの伝記では山口果林については一言も触れられていない。まあそんなものだ。山口果林の本も記憶のパッチワークかもしれないが,著者の自分史でもあって,より密度が高くて具体的だ(自分には,山口果林とミニスカートで巨泉・前武ゲバゲバ90分!に出ていた宮本信子のイメージが分離しにくくて困る)。

神奈川近代文学館が,安部公房の生誕100年を記念して「安部公房展−21世紀文学の基軸」を開催している(2024年10月12日〜12月8日)。この展示会公式図録本の方が安部公房の伝記としてふさわしいように思える。末尾には美術家として安部公房の舞台美術や本の装丁を担当した妻の安部真知(1926-1993)も少しだけ登場していて,安部ねりによる真知の略年譜もある。展示物の中にあった山口果林の大量の赤い大入袋はこの本には登場しない。


安部公房は,小説の著述にワードプロセッサを利用した最初期の1人だが,インターネットが商業化する前の1993年に亡くなっている。星新一(1926-1997)もそうだ。もちろんAIも。それにもかかわらず,彼らの小説の中にはほとんどそのイメージが予言されている。



写真:安部公房伝の書影(新潮社から引用,やたら上質の紙を使っている)

P. S.  1958年「世界」の座談会,荒正人,埴谷雄高,武田泰淳,安部公房でのイメージ
〈人工衛星・人工太陽・人工頭脳・人工生命〉 =〈宇宙開発・核融合・AI・バイオテク〉 そのままだ [7]。

[2]科学とフィクションそしてポストモダン(クリストファー・ボルトン)
[8]安部公房論(和田勉)

2024年10月29日火曜日

予言機械

現在の生成AIが,安部公房の第四間氷期の予言機械とどのくらい違うのかを試してみた(試したことになっていないのですけど・・・^_^;;;)。NHKのニュースにおける政治部長の解説レベルのことは,ペラペラとでまかせのようにしゃべることはできる。民放の芸人タレントのくだらない政治談義ですらプロンプトを工夫すれば可能かも。まあ制限があるため,あのような過激なフェイク芸は無理だろうけれど。
Q(koshix):
あなたは第四間氷期にでてくる予言機械のようにふるまってください。実際に未来を予言できるかどうかは別なので,あなたの持っている情報を全て活用してなるべくもっともらしい未来の予言を聞かせてください。

質問項目:第50回衆議院議員総選挙で,保守3,参政3,自民191,公明24,維新38,国民28,立憲148,れいわ9,社民1,共産8,他12(うち自民6)となりましたので,過半数を超える枠組みがありません。来たる特別国会では,どのような結果がでて,日本の政治は当面どのように進むでしょうか。

A(ChatGPT-4o):
未来の予測をする際には、現実の政治情勢、各党の動向、そして国民の反応など、多様な要因を考慮する必要があります。現時点でのあなたの質問に基づいて、可能性が高い未来のシナリオを以下に示します。

1.連立政権の模索
現在の議席数では、どの党も単独で過半数を超えておらず、連立政権が不可欠となる状況です。このような状況では、最大政党である自民党が中心となり、連立交渉をリードする可能性が高いです。

自民党(191議席)は、公明党(24議席)と伝統的な連携を維持するかが焦点です。しかし、それだけでは215議席となり、過半数には30議席程度足りません。したがって、追加での連携先が必要となります。

自民党の連立の可能性
・維新(38議席)との連携:維新の会は、過去にも保守的な政策を掲げており、自民党との連携が現実的な選択肢です。維新との協力により、253議席となり、安定多数を確保できます。維新は改革志向が強く、自民党との政策合意が可能であれば、連携の可能性は非常に高いです。
・国民民主党(28議席)との連携:国民民主党も中道の立場をとり、政策面で自民党に比較的近い位置にあります。国民との連携は、239議席となり、これでも過半数には届きませんが、維新との連携が難しい場合の次善策として検討されるでしょう。
・野党連携の可能性:自民党が過去にない形で立憲民主党(148議席)やれいわ(9議席)などのリベラル勢力と連携する可能性は低いですが、局面によっては一部の政策で協力を得る選択肢を模索する可能性はあります。

2.野党連携の模索
逆に、立憲民主党や他の野党勢力が連携し、政権を形成する可能性も一考の余地があります。

・立憲民主党(148議席)+ 国民民主党(28議席)+ 共産党(8議席)+ れいわ(9議席)+ 社民党(1議席)+ 他: これで計194議席となりますが、維新の38議席が加われば、過半数を超え、政権を形成することが可能です。しかし、維新と立憲民主党、共産党の政策的な違いは大きく、これらの政党が安定的に協力するのは難しいでしょう。特に維新と共産党の連携は現実的ではなく、維新が野党連携に加わる可能性は低いと予測されます。

3.短命政権や再選挙の可能性
これらの連携が難航し、いずれの政権も安定を欠く場合、短命政権の発足や再選挙の可能性が生じます。特に議会が機能不全に陥るような事態が続けば、国民の不満が高まり、解散総選挙を求める声が強まる可能性があります。

4.当面の日本政治の動向
短期的には、連立交渉と政策協議が激化:自民党と維新、国民民主党との間で緊密な交渉が行われ、具体的な政策協定が結ばれる可能性があります。焦点は経済政策、社会保障改革、防衛政策などです。
中期的には、連立政権の不安定さが露呈:連立が成立したとしても、各党の政策の違いから政権運営は困難を極める可能性があります。特に維新や国民民主党は、自民党との政策協調に限界があり、政権内での対立が頻発する可能性があります。
長期的には、再編成の動き:政党内や国民の間でさらなる政治再編が求められ、場合によっては新しい政治勢力の台頭や、既存政党の再編が進む可能性もあります。 
これらを踏まえると、次の特別国会では、自民党を中心とした連立政権が発足する可能性が高いですが、その安定性は長続きしないかもしれません。そして、次の総選挙に向けた再編成の動きが加速することが予想されます。

図:安部公房の予言機械の微妙なイメージ(Imagen3によるもの)

2024年10月28日月曜日

デマゴギー

政党マップからの続き

NHKの開票速報から,カピバラのような政治部記者のもっともらしい話が聞こえてくる。大阪放送局には公明党を殲滅した日本維新の会しか出てこないので,気分が悪くなる。馬場や吉村が映ればすぐにチャンネルを変えるようにしている。かといって,情報量の少ない奈良に回しても喜びを抑制した風情の高市が大写しになるだけ・・・orz。

心の平安をとりもどすために,ChatGPT-4oに相談してみる。AIはこのように使われることになるのかもしれない。ただし,あらかじめ設定しなければ厳しいことは口にしてくれない。
Q(koshix):
政治とカネの問題」という,マスコミで多用される表現が気持ち悪くて仕方ありません。同様に「身を切る改革」というのもほとんどデマゴギーのように感じています。これは多くの日本人の持つ感覚とは違うのかもしれません。これについて腹に落ちるような分析をしてもらえないでしょうか。

A(ChatGPT-4o):
「政治とカネの問題」や「身を切る改革」という表現が気持ち悪く感じる理由には、いくつかの要素が関係していると思います。これらのフレーズは日本のメディアや政治家によって頻繁に使用されますが、その背後には単純化された説明や感情に訴えるメッセージが隠されていることが多いです。

1.感情に訴えるデマゴギー的要素
「政治とカネの問題」は、政治家が金銭的な不正や利益追求に巻き込まれている場合のスキャンダルを指す言葉です。メディアではしばしば、詳細な背景説明や具体的な証拠よりも、疑惑やスキャンダルとしての興味を煽るためのレトリックとして使用されることが多いです。このため、問題の本質や社会的な影響が軽視され、簡単なスローガンに落とし込まれてしまうことがあります。「身を切る改革」も同様で、主に政治家や官僚が自身の報酬を削減したり、無駄な支出を削減するという印象を与えるためのスローガンです。しかし、実際に行われる改革の内容が本質的なものであるかどうかは別の話であり、単なるパフォーマンスに終わることも少なくありません。このような表現が感情を揺さぶるための「デマゴギー」として使われていると感じることは、合理的です。

2.本質的な議論の欠如
これらのフレーズは、多くの場合、具体的な政策論議や改革内容に関する深い議論を避けるための便利なツールとして使われます。たとえば「政治とカネの問題」では、個別のケースが何が問題だったのか、その背景にある制度的な要因は何かという本質的な問いが棚上げされ、単純な「悪者探し」に終始する傾向があります。「身を切る改革」も、実際にどれだけの効果があるか、その影響が国民全体にどう広がるのかといった議論が抜け落ちて、表面的な削減だけが強調されがちです。このように、本質的な議論が欠けているため、これらの表現に対して不信感や気持ち悪さを感じるのは自然な反応です。

3.社会の共感形成と大衆操作
「政治とカネの問題」や「身を切る改革」は、特に大衆の共感を引き出すためにメディアや政治家が使うことが多い表現です。一般市民にとって理解しやすく、直感的に共感しやすいフレーズであるため、広く使われます。しかし、その裏にある意図が、実際の問題解決よりも支持率や注目度を上げるためのものだと感じることがあるでしょう。このような操作的な意図を感じ取ると、自然に不快感が生じます。

4.異なる視点の可能性
多くの日本人がこれらの表現に対して違和感を抱かない理由の一つは、メディアや政治家が長年にわたってこうしたフレーズを繰り返し使用してきたため、ある種の「慣れ」が生じているからです。社会的に受け入れられやすい表現として浸透し、特に考えずに使われたり受け取られたりすることが多いでしょう。これが大衆的な感覚とズレを感じる原因の一つかもしれません。

結論
あなたがこれらの表現に対して気持ち悪さを感じるのは、背後にあるメディアや政治家の操作的な意図や、本質的な議論を回避する傾向を敏感に感じ取っているからではないでしょうか。この感覚は、必ずしも少数派ではなく、深く考える人々や批判的な視点を持つ人々にとっては、自然な反応だと言えます。問題の本質を追求しないスローガン的な言葉遣いが、逆に事態を曖昧にし、大衆の関心を感情的に操作することに繋がっているためです。

 


図:「これを抽象絵画風のイメージにしてください」への回答(Claude 3.5 Sonnet)

2024年10月27日日曜日

文楽のつどい

おいど出してからの続き

今年創立40周年を迎える国立文楽劇場で,10月16日,第135回文楽のつどいがあった。

国立文楽劇場友の会の会員を対象としたもので,外国人向けのプログラムの合間を縫って,1日に3回のバックステージツアーが催された。定員は100人で,高齢者を中心にほぼその人数が集まっていた。1階で,次回公演パンフレット,首かけ参加証,靴カバーを受取って14:30に入場,15:00開始のスケジュールだ。2階の文楽劇場の中央前席のブロックに自由席で座って開始を待つ。

最初に文楽劇場のスタッフによる舞台の背景や装置,舞台転換などの解説が30分,その後,竹本織太夫鶴澤清丈による太夫と三味線の解説がある。11月公演の仮名手本忠臣蔵,7段目祇園一力茶屋の段における寺坂平右衛門の演出とか,大序の表現とかの詳しい話が聞けた。清丈の三味線漫談もかなり面白かった。織太夫と清丈による解説は久しぶりだとのこと。こういうのは若手がやることになっている。しかも海外公演で主力がアメリカ5都市を訪問中だ。

さて,いよいよ靴カバーを装着し,花道を通って舞台にあがる。なかなか珍しい光景がみられる。13mの回り舞台がゆっくり回転したが,舞台上は100名で密集しているためコリオリの力を試すことはできない。その後,3組に分かれて,床の盆回しの裏側を見学する。なるほどこうなっているのか。次は,舞台背景に置いた人形との記念撮影,最後に雪を降らせてもらう。なかなかに力が必要だ。老人には難しい。


織太夫と清丈の話で思い出したのが,竹本相子大夫だ(奈良教育大学の出身だった)。12,3年前,国立文楽劇場友の会に入って文楽公演に毎回通うようになってしばらくのころ,文楽劇場の文楽鑑賞教室だったか,中之島公会堂での日経の文楽の夕べのどちらかで,いつものように文楽の説明があった。その担当が竹本相子大夫であり,調べてみるとこの当時の相方が鶴澤清丈だったと思われる。

相子大夫の説明は非常にわかりやすくて,文楽にもこんな人材がいるのかと感心したのだった。しばらく,相子大夫に注目していたのだけれども,あるとき(2013年11月)突然文楽座を退座してしまった。その理由がなんであるかもわからない(文楽協会からの説明がないのも不自然)。

少し調べてみると,退座前年の2012年の末に,相子大夫はR1グランプリに出場して1回戦を突破していたらしい。しかし,2013年の1月には,2回戦を辞退するとツイートしている。ちょうど,橋下徹大阪市長による文楽協会への補助金大幅削減が話題になっていた年のことだ。たぶん,いろいろな圧力なり思惑なりに巻き込まれていたのではないかと推察される。そのタイミングでなければ,新しい展開があったかもしれないのに。今月は,吉本が伝統芸能新喜劇を開催している・・・

相子大夫がいなくなってしまったことは本当に残念なことだった。清丈とのかつての文楽鑑賞教室での楽しそうな様子の痕跡がみられる。



写真:舞台から(左),織太夫と清丈(右:織太夫のSNSから引用)



2024年10月26日土曜日

政党マップ

YouTubeで,衆議院選挙向けの政治教養的な話をしていた。天理教の人だったので,思わずみてしまったが,意外にまともな説明だった。政党(および自民党総裁選の三候補)を政治的な対立軸と経済的な対立軸で2次元のマップ上に書いていた。前者は,国家主義・全体主義と個人主義・自由主義,後者は,資本主義・新自由主義と社会主義・共産主義というものだ。

なかなか面白かったのだけれど,最後に本人の支持政党が日本維新の会ということでがっくり。まあそんなものだ。

同じようなことをしてみようと,AIチャットボットに次の質問をいれてみる。

Q(koshix):
日本の政党の主張を分析して,経済軸と政治軸の2軸で あらわされる平面上の矩形領域で表わしたいと思います。 経済軸(X軸)は,-1から1の値をとり,左(-1)が社会主義や共産主義的な 考え方,右(+1)が資本主義や新自由主義的な考え方に対応します。 政治軸(y軸)は,-1から1の値をとり,下(-1)が自由主義や個人主義的な 考え方,上(+1)が国家主義は全体主義的な考え方に対応します。 例えば,アメリカ合衆国は (1,-1)の近傍に位置し,中華人民共和国は (-1,1)の近傍に位置します。 日本の政党としては,以下の10党を選びます。 自由民主党,公明党,日本維新の会,参政党,日本保守党, 国民民主党,立憲民主党,れいわ新撰組,社民党,日本共産党 結果は,政党名:(-0.9〜-0.6,0.4〜0,8) のように表現してください。

ChatGPT-4o,Gemini 1.5 flash,Perplexity Pro ,Claude 3.5 Sonnet で試してみるとそれらしい結果が出てきたが,まちまちだったので,適当に平均した後に主観的に修正してみる。これを図示するプログラムもPerplexity ProやChatGPT-4oに任せてみたところ,なんとか結果が得られた(日本語フォントコードはこちらで修正追加,USAとChinaも追加している)。あとは,適当なアルゴリズムで尺度さえ決まればよいということになるが,そのあたりを具体的に表現するのは難しい。ちなみに,OpenAI o1 では期待するようなそれらしい結果がでなかった。

import matplotlib.pyplot as plt
import matplotlib.patches as patches
import matplotlib.font_manager as fm
from matplotlib import rcParams

# フォントの設定
font_path = '/System/Library/Fonts/ヒラギノ丸ゴ ProN W4.ttc'  # 適切な日本語フォントファイルを指定してください
font_prop = fm.FontProperties(fname=font_path)
rcParams['font.family'] = font_prop.get_name()

# 政党名とそれぞれの位置(Avarage?)
parties = {
    '自由民主党': ((0.1, 0.9), (0.1, 0.9)),
    '公明党': ((-0.1, 0.3), (0.0, 0.5)),
    '日本維新の会': ((0.6, 1.0), (0.2, 0.8)),
    '参政党': ((-0.2, 0.2), (0.7, 0.9)),
    '日本保守党': ((0.6, 0.9), (0.8, 1.0)),
    '国民民主党': ((0.0, 0.4), (-0.1, 0.2)),
    '立憲民主党': ((-0.6, 0.2), (-0.5, 0.1)),
    'れいわ新撰組': ((-0.7, -0.3), (-0.7, -0.3)),
    '社民党': ((-0.9, -0.5), (-0.6, -0.3)),
    '日本共産党': ((-0.9, -0.7), (-0.3, -0.1)),
    'U.S.A.': ((0.75, 1.0), (-1.0, -0.20)),
    'China': ((-1.0, -0.25), (0.75, 1.0)),
    # 修正された位置
}

# グラフの設定
plt.figure(figsize=(8, 6))

# 軸の設定
plt.axhline(0, color='black', linewidth=0.5, ls='--')  # x=0
plt.axvline(0, color='black', linewidth=0.5, ls='--')  # y=0
plt.grid(color='gray', linestyle='--', linewidth=0.5)

# 政党ごとに異なる色を設定
colors = {
    '自由民主党': 'blue',
    '公明党': 'yellow',
    '日本維新の会': 'green',
    '参政党': 'orange',
    '日本保守党': 'purple',
    '国民民主党': 'brown',
    '立憲民主党': 'cyan',
    'れいわ新撰組': 'magenta',
    '社民党': 'pink',
    '日本共産党': 'red',
    'U.S.A.': 'gray',
    'China': 'gray',
}

# データプロット
for party, ((x_min, x_max), (y_min, y_max)) in parties.items():
    rect = patches.Rectangle(
        (x_min, y_min),
        x_max - x_min,
        y_max - y_min,
        alpha=0.3,
        color=colors[party],  # 色を設定
        label=party
    )
    plt.gca().add_patch(rect)
    plt.text((x_min + x_max) / 2, (y_min + y_max) / 2, party,
             fontsize=9, ha='center', va='center')

# 軸の範囲
plt.xlim(-1.1, 1.1)
plt.ylim(-1.1, 1.1)

# タイトル
plt.title('日本の政党の経済軸と政治軸')
plt.xlabel('経済軸 (左: 社会主義, 右: 資本主義)')
plt.ylabel('政治軸 (下: 自由主義, 上: 国家主義)')
plt.grid()

plt.show()


図:日本の政党マップ(ひとつのイメージ)

[2]政治的スペクトル(Wikipedia)

2024年10月25日金曜日

(秋休み 10)

10.그 점에 대해서는 동의하기 어려울 것 같아요.
   Geu jeome daehaseoneun dong-uihagi eoryeoul geot gatayo.
   その点については賛成しづらいと思います。

2024年10月24日木曜日

(秋休み 9)

9.그거 좋은 생각인 것 같아요.
  Geugeo joeun saenggagin geot gatayo.
  それは良い考えだと思います。

2024年10月23日水曜日

(秋休み 8)

8.밖에 비가 오고 있어요. 우산 잊지 마세요.
  Bakke biga ogo isseoyo. Usan ijji maseyo.
  外は雨が降っています。傘を忘れないでください。

2024年10月22日火曜日

(秋休み 7)

7.슈퍼마켓에 갑니다. 필요한 것 있으세요?
  Syupeomakete gamnida. Pil-yohan geot isseuseyo?
  スーパーに行きます。何か必要なものはありますか?

2024年10月21日月曜日

(秋休み 6)

6.소금 좀 건네주시겠어요?
  Sogeum jom geonnejusigesseoyo?
  塩をちょっと取っていただけますか?