2021年9月15日水曜日

Apple Event 2021 September

 日本時間9月15日午前2時(米国時間 9月14日午前10時),Apple Event 2021 September が開かれた。

M1 Macbook Airの全画面表示でみる映像はなかなか美しい。バイオリンのドローン空撮映像による音楽から始まり,何だろうかと思っていたら Calfornia Soul(1967)だった。自分には The 5th Dimension のアルバムStoned Soul Picnicバージョンでなじみの曲だ。Tim Cookの挨拶は,そのCalifornia賛美から始まり,TV+のちょっとした宣伝の後,次の新製品が紹介される。

(1) iPad / iPad mini:衆目の一致するところ,今回の目玉はこのiPad mini の発表である。A15 Bionic 搭載の8.3インチ Liquid Retina Display に Apple Pencil 2 が対応した。Top ボタンに Touch ID が対応しているので安心して使える。A15 Bionic は CPU 6コア+ GPU 5コア,ニューラルエンジンによる機械学習速度2倍など,なかなかの性能を発揮できるという謳い文句だ。12MP の超広角フロントカメラはセンターフレームによる自動パンに対応。背面にもフラッシュ付の12MP 広角カメラがある。価格は59,800円($499)から。買わないけれどなかなかよろしい。

iPad mini はだいぶ以前のバージョンを大学の研究費で購入したことがある。iPadとしては2台目だったが,そこまでうまく使いこなせなかったような気がする。小さいほうは iPhone があるので,iPad 的な使い方のためにはもう少し広いエリアが必要だから。

(2) Apple Watch Series 7:ディスプレイ部分などマイナーな改良が中心だけれど,しだいによくなっている。ただ,これはあいかわらず,アウトドア派で健康指向の人向きだと思えてしまうので買いません。フィットネスと健康管理には最適なのだろう。ウェアラブルデバイスとしては,直接,視聴覚とリンクしていないと難しいと考えてしまうのだ。

(3) iPhone 13:これもマイナーバージョンアップ。Pro Max,Pro無印,mini の4系列はこれまでと同じ。機種の色合いも落ち着いてきたようだ。いつのまにか,望遠,広角,超広角の3カメラシステムに慣れてきた。カメラが一回りおおきくなり,マクロ撮影もできるし,アダプティブな120 Hzとかシネマティックモードとか,たいへん結構です。ただ,iPhone SE2を去年買ったばかりなので,iPhone19くらいまでは更新しない年金生活者なのであった。死ぬまでにあと1機種くらいかしら。あるいは日本が滅びるほうが先か。

TIme Cook のエンディングの言葉は,Stay Safe, Take Care だった。ビデオの最後のエンディングロールでは,プレゼンター,キャスト,クルー,撮影環境において入念な感染予防対策を行っていることをこれでもかと強調していた。今回のAppleの映像は全編を通して,これまでのシリーズに比べとてもよくできているような印象だった。もちろん,Steve Jobsのマジック(特に2007年)には届かないかもしれないけれど。


写真:見たことがなかった California Soul のシングル盤(Discogsさんから引用)


2021年9月14日火曜日

太陽自転

 千葉大学の堀田英之准教授と名古屋大学の草野完也教授が,スーパーコンピュータ富岳を用いて太陽内部の熱対流・磁場を精密に計算することによって,太陽では赤道が北極・南極(極地方)よりも速く自転するという基本自転構造(差動回転) を,世界で初めて人工的な仮説を用いずに再現することに成功した。

これまでのスーパーコンピュータ京では計算可能な解像度が1億点だったのが,富岳では54億点の超高解像度計算が可能となった。これにより,太陽内部の磁場のエネルギーが乱流のエネルギーの最大2倍以上という従来の常識(乱流エネルギーに比べて磁場エネルギーは十分小さい)を破る結果が得られ,同時に,赤道が極より速く回転する差動回転を初めて再現することができた。

京と富岳ではスーパーコンピュータ高速化のためのプログラミング技術がかなり異なるのでそれを克服したのが重要だった。その上で,計算メッシュ数を増やすことによって本質的に異なった物理が得られ,「熱対流の難問」と呼ばれる長年の謎を解決したという興味深い結果だ。


図:解像度と自転速度の関係(千葉大学プレスリリースより引用)

2021年9月13日月曜日

クローラ

 クローラ(Crawler)とは「ウェブ上の文書や画像などを周期的に取得し,自動的にデータベース化するプログラムである」。ボット(bot)・スパイダー・ロボットなどとも呼ばれるが,google検索ではロボットと表現されている。

25年ほど前から数年間,学校のホームページ宛の管理者宛てにアンケート調査を繰り返していたことがある。ホームページのURLは目視と手動で集めるたものだ。これに対して,perlのプログラムで(wgetを使って)何階層かのページを取得したうえで,メールアドレスを取り出すという操作をしていた。いまだと(当時でも)ほとんど危ない技だ。

さて,google検索において立て続けに類似パターンの検索をすると,googleから「おまえロボットちゃうか」と叱られるのである。そのとき出てくる警告ページを図に示す。なんのことはない,CAPTCHAのロボットチェックをクリアすればよいだけである。

図:google検索における警告メッセージ

今回,これが現れたのは,ひらがな回文タイプの「なか○かな」の○部分にあ〜んまでを順にいれて調べようとしたからだ。なぜかというと,TikToker/YouTuberのなかねかなの「モテすぎて草,誘ってて森」が流行っていたのだ。

「TikTokでよくみるイケメンが カメラ目線で 音に乗せて にこにこしている動画 あれいつも 思うけど めちゃくちゃ私のこと 誘ってて草 完全に私のこと 好きで森・・・(作詞 かなねかな)」のフレーズが耳から離れない。

なかかな(かな先生)といえば,バイオリンはじめチャンネルだったので,もしかしてこのパターンのアカウントが沢山あるのかと調べてみたところ,TwitterやInstagramやYouTubeで「なか○かな」のユーザがぞろぞろ見つかった。

「かな」が人名を表すと同時に俳句の句末の切れ字になっているのでよく出てくるのかも。

2021年9月12日日曜日

ボールウェイン積分

犬も歩けば 面白い式にあたる。ボールウェイン積分というものだ。sinc関数を,${\rm sinc}(x)=\dfrac{\sin x}{x} (x \neq 0),\rm{sinc}(0)=1$ と定義して,次の積分を考える。

$\displaystyle {\rm BW}_n = \int_0^\infty \prod_{k=1}^n {\rm sinc}(\dfrac{x}{2k-1}) dx$

ことき,${\rm BW}_1={\rm BW}_2=\cdots={\rm BW}_7=\dfrac{\pi}{2}$なのだが,$n\ge8$では,${\rm BW}_8=\dfrac{935615849426881477393075728938}{935615849440640907310521750000}\cdot \dfrac{\pi}{2}$などとなって,ほんのわずかだけずれてしまうというものだ。

下記にフーリエ変換を使った丁寧な証明や説明がある。

Mathematicaを使って確かめてみるとこんな感じ。
In[1]:= Integrate[Sinc[x], {x, 0, Infinity}]
Out[1]:= \[Pi]/2
In[2]:= BW[n_] := Integrate[Product[Sinc[x/(2 k - 1)], {k, 1, n}], {x, 0, Infinity}]
In[3]:= Timing[Table[BW[i], {i, 1, 8}]]
Out[3]:= {21.0407, {\[Pi]/2, \[Pi]/2, \[Pi]/2, \[Pi]/2, \[Pi]/2, \[Pi]/ 2, \[Pi]/2, (467807924713440738696537864469 \[Pi])/ 935615849440640907310521750000}}

[1]Some Remarkable Properties of Sinc and Related Integrals(D. Borwein, J. M. Borwein)
[2]Two curious integrals and a graphic proof(S. Hanspeter)
[3]Borwein積分(黒木玄)

2021年9月11日土曜日

9.11

 20年前の2001年の9月11日,アメリカ同時多発テロ事件があった日だ。2001年6月18日に附属池田小学校事件があってまだ3ヶ月もたっておらず気分がザワザワしていたころだ。

NHK番組タイムマシーンを使うと過去の年月日を指定して,その日のNHKの番組表(東京地方)が得られる。2001年9月11日(火) に合わせてみると,午後9時からNHKニュース9,午後10時からNHKニュース10である。NHKニュース10にチャンネルを回すと,ニューヨークのワールドトレードセンタ北棟(1WTC)に航空機が衝突して煙が上がっている映像が生中継されていた。

最初は単なる事故だと思ったのだが,日本時間午後10時からの中継が始まってすぐにワールドトレードセンタ南棟(2WTC)への2機目の衝突が映し出された。これはありえないわと番組を見続けると次々に続報が入ってきて大変なことになってしまったのだった。

それが,アフガニスタン紛争イラク戦争の引き金となって,現在のタリバン政権樹立までつながっている。民族自決は良いとしてもイスラム原理主義による女性抑圧はとてもじゃないが受け付けられない。


写真:2WTCへのユナイティッド航空175便の衝突(WIkipediaより引用)

2021年9月10日金曜日

ホサナ:町田康

2017年に出版され,2020年に講談社文庫として発刊された町田康の「ホサナ」 を読了した。

解説まで含めて文庫で922pというかなりの大部。最初は「スピンク日記(2011)」などのエッセイに登場する犬の話かと思って油断して読んでいたら,突如,光の柱が現れて主要人物が死んでしまった。なんだこれは。

もちろん,これまでに読んだ「パンク侍,切られて候(2004)」,「告白(2005)」,「宿屋めぐり(2008)」でもかなりぶっとんだ状況は出現するのだけれど。ホサナを読むのは苦にはならなかったが,小説の完成度としてはイマイチだったかもしれない。

そういう意味では,最初からSFとして読めればよかったのだけれど,残念ながらそういう建て付けにはなっていない。たぶん,楳図かずおの「漂流教室」や「14歳」のレベルには到達できていない。比較の対象が間違っているのかもしれないけれど。

次は,「ギケイキ2」を読むのが楽しみだ。

2021年9月9日木曜日

バグの日

今日,9月9日は重陽じゃなくてバグの日である。重陽の節句は旧暦にあてはめなければ菊の香りがただよってこない。 上巳端午七夕も同様。

残念ながら,日本のソフトウェア会社が8月9日をバグの日として語呂合わせで登録してしまったので,話が面倒なことになっている。パクチーの日と野球の日と鍼・灸・マッサージの日とパーク(駐車場)の日と薬草の日だけでもおなかがいっぱいなのに,国際的に通用しないものを。

1947年の9月9日に,コンピュータ科学者のグレース・ホッパーハーバード・マークIIというコンピュータの不具合を調べているときに,本物の虫がリレーに挟まっているのを記録として貼り付けたことに由来して,コンピュータ(ソフトウェア)おけるバグという表現が定着していく。


写真:Harvard MarkIIのログブックのバグ(Wikipedikaから引用)

昨日から,これまで機嫌よく動いていたWHOの新型コロナウィルス感染症に関するjsonデータ処理プログラムが動かなくなってしまった。最初は自作のフィルタfspのせいかと思ったが,よく調べてみると,jsonデータを取得するlynxのところが原因で引っかかっている。

lynx -source としているのにもかかわらずダウンロードされるのが11MBのバイナリファイル。wget でも同様だった。ところが直接URLをブラウザ(lynxでもOK)でたたいてからテキストが表示された後にダウンロードすれば,適切な40MB程度のテキストファイルが取得できた。うーん,どうしてだろうか,面倒なことだ。

2021年9月8日水曜日

辰鼓楼

兵庫県の豊岡市出石にある辰鼓楼は日本で二番目に古い時計台だ。親戚家族旅行や友達家族旅行で2回訪れている。当時は日本で一番古いというキャッチフレーズで宣伝していたのだが,その後の資料調査の結果,札幌農学校の時計台(こちらのほうがしょぼかったような記憶が・・・)に続いて二番目ということになった。時計台となったのは1881年(明治14年)9月8日なので,今日で140歳ということ。


写真:辰鼓楼(撮影:2019.6.10かな)

2021年9月7日火曜日

白露

 今日から仲秋,白露の草露白(くさのつゆしろし)。

以前は,立秋に入りお盆を過ぎた頃からシャワー後にヒンヤリとした空気を感じていたが,今年は今日初めてちょっと涼しさを感じた。ということは1ヶ月くらい体感気温カーブがシフトしているのかもしれない。あるいは年のせいで感覚が鈍っただけなのかも。

東京オリンピック・パラリンピックが閉幕し,菅政権もまもなく終わる。新型コロナ感染症は東京も大阪もそろそろ第5波がピークアウトしているようだ。しかし,重症者・死亡者のピークは30日遅れているのでこれからとなる。このままいけば10月が新規感染者数の谷で11月以降に第6波が立ち上がるのかもしれない。

自民党の総裁選挙を巡るニュースがだらだらと続いて自民党の支持率を底上げしている。キーエンス,村田製作所,任天堂が入れ替わりで入った日経平均も政権交代に向けた大盤振る舞いを期待して一時3万円になった。

そういえば,総裁選の派閥縛りに反対して自主投票を求めた派閥横断若手グループの代表というのは,細田派の福田達夫(1967-)なのだ。福田康夫(1936-)の長男,福田赳夫(1905-1995)の孫。まあ,奈良2区の極右・新自由主義の高市早苗(1961-)をのさばらせないためにがんばってほしい。


写真:朝の散歩から(撮影 2021.9.7)

2021年9月6日月曜日

異端の鳥

 異端の鳥(2019)がWOWOWで放映されていた。モノクロームのくっきりとして静謐な映像と象徴的なストーリーが印象的だった。セリフは非常に少なくてほとんどが映像で説明されていくのだけれど,登場した言葉は特定の民族の言語ではなくて,インタースラーヴィクという人工言語だとのこと。

スラヴ諸国における代表者間の意思疎通を円滑にすることや,スラヴ語を知らない人々がスラブ諸国の人々と意思疎通ができるようにすることを目的としており,後者については、教育的な役割も果たしている」ということなので,補助言語として実際に使われているらしい。

最初のうちは,タイトルを「異端の島(しま)」だと認識して見ていたけれど,あらすじを確認している途中でそうでないことに気付いた。鳥飼いによってペンキを塗られた鳥が空に放たれて群れに合流するのだけれど攻撃されてついには死んでしまう。これがこの映画(The Painted Bird)の意味を端的に象徴している。

P. S. この時期の朝の散歩では,白鷺が目立つて集団行動をしているのに気がつく。


写真:異端の鳥の映画ポスター(Wikipediaから引用)


2021年9月5日日曜日

ABBA

 ABBAの40年ぶりの新作アルバムVoyage11月5日に全世界同時発売されて活動を再開する。iTunes Storeではすでに,"I Still Have Faith in You"と"Don't Shut Me Down"の2曲だけを販売している。

ABBAがはやっていたのは,1974年から1981年ごろだ。すでに洋楽ポップスはあまり聴かなくなった大学生-大学院生だったので,よく耳にするようになったのはだいぶ後のことである。ただし,その前身のビョルン&ベニーの木枯らしの少女は1972年の冬(高校3年生のとき)にはやったので,これはしっかりと記憶に刻まれている。ただし,ビョルン&ベニーとABBAがつながったのは,ABBAを聴くようになってからだ。


写真:1974年のABBA(WIkipediaより引用)

中学生のころラジオで聞いていたオールジャパンポップ20によれば,ビョルン&ベニーの木枯らしの少女のランキングは次のとおりである。みのもんたの声がなつかしい。

1972 2月第1週 29位
1972 2月第2週 18位
1972 2月第3週 7位
1972 2月第4週 3位
1972 3月第1週 1位
1972 3月第2週 1位
1972 3月第3週 1位
1972 3月第4週 1位
1972 4月第1週 2位
1972 4月第2週 2位
1972 4月第3週 4位
1972 4月第4週 6位
1972 5月第1週 7位
1972 5月第2週 17位
1972 5月第3週 20位

そうか,3月には1位になっていたのか。大学進学で引っ越しのための準備などでバタバタしていたころだ。その忙しい3月の終わりに,なぜかビージーズの初来日の大阪公演(フェスティバルホール)があって,中学校時代の友達(関西の大学へ進学予定の東君と高校卒業後すぐに大阪の印刷工場で働き始めていた山田君)といっしょに見に行くため,金沢‐大阪を往復した。

中学生のころ(1967-1968年)は,ビージーズが我々に最も影響が大きな洋楽グループだったので,当時少し下火になっていたけれどこれだけは見逃すことができなかった。もっともその5年後の1977年にはサタデー・ナイト・フィーバーの音楽で再びトップに躍り出たのだけれど。

P.  S. なぜか音楽のヒットの時間定数は感染症の波の時間定数と同じオーダーである。

2021年9月4日土曜日

コロナワクチン接種状況(5)

 コロナワクチン接種状況(4)からの続き

8月が終わったので,ここまでのコロナワクチン接種状況を復習しておく。6月21日から職域接種が開始された。7月中に65歳以上の希望者全員のワクチン接種を完了するという目標のもとに,6月21日から7月20日の平均接種回数は約150万回になった。しかし,その後,少し失速して7月21日から8月20日の平均接種回数は約130万回にとどまっている。

8月末に総接種回数は1億3千万回に達しており,子どもを除く必要総回数2億2千万回の56%に達している。現在,平均120万回/日の速度で接種が進んでいるため,もしこのペースが維持できれば,9月末には1億6千万回(75%),10月末には2億回(90%)となるので,次に来ると考えられる第6波の様相はこれまでとは違ったものになるのかもしれない。

6月21日以降のデータとして報告されているワクチン接種回数は,土日や祝日が欠損しているので,これを線形補間してさらに7日平均接種回数の値を求めたのが次のグラフである。なお,職域接種の統計への計上は8月に入ってからなので,これも6月22日から線形にならしている。


図:7日平均ワクチン接種回数の推移(6/22-9/3)

2021年9月3日金曜日

箇条書き

LaTeXの箇条書きで,起点の番号や記号を変更する必要がでてきたので調べた。
 
¥begin{enumerate}
\setcounter{enumi}{9}
\item い
¥begin{enumerate}
\setcounter{enumii}{13}
\item ろ
¥begin{enumerate}
\setcounter{enumiii}{1001}
\item は
¥begin{enumerate}
\setcounter{enumiv}{25}
\item に
%¥begin{enumerate}
%\item ほ
%\end{enumerate}
\end{enumerate}
\end{enumerate}
\end{enumerate}
\end{enumerate}

図:latexのenumerateサンプルの出力結果


標準では四重のネストが可能であり,アラビア数字,英小文字,ローマ数字,英大文字の準になっている。起点変更には \setcounter{}を使うが,ネストの階層に応じて,enumi,enumii,enumiii,enumiv を用いれば良い。

なお,アルファベットは26文字までに制限されるが,アラビア数字やローマ数字に制限はないように見える。


2021年9月2日木曜日

1000

2024年度から流通予定の新一万円札,新五千円札,新千円札の印刷が9月1日から国立印刷局で始まった。ATMや自動販売機,お店のレジなど新紙幣を扱う機器のテストが必要なので早めに用意する必要があるらしい。

[新一万円札,新五千円札,新千円札]のサイズは,これまでと同じで76mm×[160mm,156mm,150mm]だが,[福沢諭吉,樋口一葉,野口英世]から[渋沢栄一,津田梅子,北里柴三郎]に変わる。なんで医学者ばかりなのかな。

慣れたら気にならないのかもしれないが,この度の新札のデザインがどうもしっくりこない。(1) 漢数字のかわりにアラビア数字が全面にきて主張している,(2) 数字のフォントがダサイ,(3) 偽造防止のストリップがデザインを阻害している,のどれが理由なのだろう。渋沢栄一の顔が竹中平蔵とかぶってみえるからかもしれない。

タイトルの1000はこのブログが1000回を迎えたという意味なので,お金とは直接関係はなかった。定年退職を間近にした2018年の12月8日にボケ防止=記憶保全のためにスタートしたが,まだ少しは大丈夫かもしれない。全期間で27600回のアクセスがあるので,平均27回/日(過去を含むすべての記事について)ということになる。実際は直近の1記事あたり5-8回というところだろうか。

 

図:このブログへのアクセス回数/月の推移

2021年9月1日水曜日

デジタル庁

9月1日,菅政権が迷走を続ける中,デジタル庁が発足した。 

お知らせ
デジタル庁ウェブサイトが、一部の方において繋がりにくい不安定な状況が発生しております。現在対策中ですので、ご不便をおかけいたしますが、今しばらくお待ちください。
m1 Macbook Air の chrome ではOKだが safariではウェブサイトが見えない状態だった(P. S. 2021-9-1 17:00ごろには回復していた)。ちなみに,
web: https://www.digital.go.jp/facebook: https://www.facebook.com/digital.jpn
いちおう楠正憲さんが統括官として採用されているようだ。

なお,白紙状態だったトップページのHTMLヘッダーはこんな感じである。

<html data-n-head-ssr="" data-n-head="%7B%22lang%22:%7B%22ssr%22:%22ja%22%7D%7D" lang="ja"> 
<head> <title>デジタル庁</title> <meta charset="utf-8" data-n-head="ssr"></meta> <meta content="width=device-width, initial-scale=1" data-hid="viewport" data-n-head="ssr" name="viewport"></meta> <meta content="website" data-hid="ogType" data-n-head="ssr" property="og:type"></meta> <meta content="STUDIO" data-hid="generator" data-n-head="ssr" name="generator"></meta> <meta content="all" data-hid="robots" data-n-head="ssr" name="robots"></meta> <meta content="デジタル庁" data-hid="ogSiteName" data-n-head="ssr" property="og:site_name"></meta> <meta content="デジタル庁" data-hid="ogTitle" data-n-head="ssr" property="og:title"></meta> <meta content="https://storage.googleapis.com/production-os-assets/assets/8f02b16f-3f50-44cb-a347-3b73c33e590f" data-hid="ogImage" data-n-head="ssr" property="og:image"></meta> <meta content="デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDXを大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。" data-hid="ogDescription" data-n-head="ssr" property="og:description"></meta> <meta content="デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDXを大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。" data-hid="description" data-n-head="ssr" name="description"></meta> <meta content="summary_large_image" data-hid="twitterCard" data-n-head="ssr" property="twitter:card"></meta> <meta content="https://storage.googleapis.com/production-os-assets/assets/8f02b16f-3f50-44cb-a347-3b73c33e590f" data-hid="twitterImage" data-n-head="ssr" property="twitter:image"></meta> <meta content="デジタル庁" data-hid="appleMobileWebAppTitle" data-n-head="ssr" name="apple-mobile-web-app-title"></meta> <meta content="" data-hid="searchConsole" data-n-head="ssr" name="google-site-verification"></meta> <meta content="https://www.digital.go.jp/" data-hid="ogUrl" data-n-head="ssr" property="og:url"></meta> <link data-n-head="ssr" href="https://fonts.googleapis.com/css?family=Noto Sans:400,400i,700,700i|Lato:100,100i,300,300i,400,400i,700,700i,900,900i" rel="stylesheet"></link> <link data-hid="favicon" data-n-head="ssr" href="https://storage.googleapis.com/production-os-assets/assets/851ae3c4-d597-40cf-8108-e209720fa11e" rel="icon" type="image/png"></link> <link data-hid="appleTouchIcon" data-n-head="ssr" href="https://storage.googleapis.com/production-os-assets/assets/851ae3c4-d597-40cf-8108-e209720fa11e" rel="apple-touch-icon" type="image/png"></link> <link data-n-head="ssr" href="https://www.digital.go.jp/" rel="canonical"></link> <script data-n-head="ssr" src="https://polyfill.io/v3/polyfill.min.js?features=IntersectionObserver%2CMap%2CArray.from"></script> <link as="script" href="/_nuxt/f7b3d52.js" rel="preload"></link> <link as="script" href="/_nuxt/a440431.js" rel="preload"></link> <link as="script" href="/_nuxt/4884827.js" rel="preload"></link> <link as="script" href="/_nuxt/2e07ffe.js" rel="preload"></link> <style data-vue-ssr-id="05327124:0 44fc0bae:0"> body { visibility: visible !important } .container[data-v-09e81421] { transition:none } .container.page-enter[data-v-09e81421], .container.page-leave-to[data-v-09e81421] { opacity:0 } .container.page-enter-active[data-v-09e81421], .container.page-leave-active[data-v-09e81421] { transition: .3s cubic-bezier(.4, .4, 0, 1) } </style> </head>
</html>

図:デジタル庁にシンボルマークはない(デジタル庁のブランド


2021年8月31日火曜日

RIAA

 アメリカレコード協会(RIAA)のセールスデータベースによると,この50年の音楽のメディア別の売上高は次のようなグラフで表される。


自分がレコードを買うようになったのは中学2年(1967)の頃からである。そのころは,45回転のシングル(ドーナツ盤)や33回転のEPあるいはLPなどのレコード若しくはカーステレオ用のカセットのようなメディアしかなかった。1970年代には以前ほどではなかったけれど,妹の下宿に導入されたSONYのステレオコンポでLPを聞く時代が続いていた。

1980年代になって結婚したときにもまだCDは登場していなかった。SONYがCDを開発したというニュースが大学の研究室で話題になったときも,大塚さんはこれは普及しないだろうと予測していた。いやそんなことはないだろうと思っていたが案の定あっというまにCDの時代がやってきた。

1990年代になるとCDもレンタルに頼るだけで買わなくなってしまうのだが,そうこうしているうちに2000年代になって,iPodiTunesストアが登場したので早速飛びついた。これで録音された音楽の状況が全く変わってしまい,やがてCDも衰退への道を進み始める。一方,アメリカの状況をみれば,ここ数年で音楽はサブスクリプションで聴くというスタイルに完全に移行してしまっている。でも自分はちょっとそれにはついていけないかな・・・

どうしても必要な音楽はいまでもCDを購入/レンタルして,iTunesストアからダウンロードしている。サブスクリプションのかわりはYouTubeであり,1960〜70年代の懐かしのアーティストを古びた映像つきで視聴するようになった。

2021年8月30日月曜日

リスキリング

 リスキリング(reskilling)という言葉を聞いたとき,リスクマネジメントの変種かと思った。放送大学の奈良先生は,リスクマネジメントの次の宣伝ワードとしてレジリエンスを採用してがんばっているようだ。

そのリスキングは,たぶんリクルートが経産省に売り込んだ宣伝ワードである。「新しい職業に就くために,あるいは,今の職業で必 要とされるスキルの大幅な変化に適応するために, 必要なスキルを獲得する/させること」なのだ。

これが,DX(デジタルトランスフォーメーション)とセットの詰め合わせ商品になっているのではないか。こうしてコンサル屋や広告屋や教材屋がますます儲かるということになるのだけれど,実質的なリスキリングはたぶん進まないのではないかと想像している。

あるいは,学校教育へのリスキリングの適用がプログラミング教育なのかもしれない。

[1]リスキリング デジタル時代の人材戦略(20202021

2021年8月29日日曜日

人新世

たまに本屋にいくたびに, 斎藤幸平人新世の「資本論」(集英社新書)を買おうかどうしようかと迷っているうちに30万部を超えていた。とりあえず,youtubeの対談で予習しているけれど。

その「人新世(Anthropocene)」は「じんしんせい」と読んでいたけれど,斎藤は「ひとしんせい」と発音していた。地質年代に関する概念であり,大気科学者のパウル・クルッツェンらが 2000年にAnthropocene(ギリシャ語に由来し「人間の新たな時代」の意)として提唱したものだ。

地質時代の区分は,動物化石を基に分類されていて,生物の大量絶滅が古生代,中生代,新生代を分けている。新生代は古第三紀(6600万年前〜),新第三紀(2303万年前〜),第四紀(258万年前〜)から成り,人類登場以降の第四紀は更新世(258万年前〜)と完新世(1万1千7百年前〜)に分かれる。

人新世は,人間の経済活動が地球の環境に不可逆な影響を与えうること,人間の活動が地球という惑星の上にすむ他の種や人間自身の生存に,またひいては惑星そのものの存続に影響を与えるということで定義されたものだ。その始まりについては,産業革命の18世紀後半,放射性降下物の1945年,化石燃料が急増した1950年などのいくつかの立場がある。

人間が生み出したもので地球環境全体に深刻な影響しているものは,(1) 人工放射性物質,(2) 環境化学物質(気体),(3) 環境化学物質(薬品,合成樹脂)などがある。いまは,CO2に焦点があたっているが,二酸化炭素にせよメタンにせよ本来地球上に存在していたものである。しかし,半減期が非常に長い人工放射性物質や分解されない合成樹脂(マイクロプラスティック)は,人類以前には存在していなかったものなのでそちらの方が心配なのだった。

図:地質系統・年代の日本語記述(日本地質学会より)


2021年8月28日土曜日

空気感染

 日本の新型コロナ感染症対策がみごとに失敗している件。これまで,厚生労働省の医系技官やネット上の医療系クラスターによって,1) PCR検査は感染を拡大するからなるべく避けるべきという抑制論,2) コロナは空気感染しない=飛沫感染論が跋扈してきた。

ようやくこれに対する揺り戻しがはじまった。一つは,科学社会学系の東北大学の本堂毅さんとKEKの平田光司さんが世話人となった最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明である。例のごとく3行で要約すると

「新型コロナウイルス感染拡大を受け,政府や一部医学関係者から「策が尽きた」との声が聞こえている。早期発見と隔離やワクチンなど有効な施策がないとの意見には同意できない。未だ様々な方法が残されており,それらによる感染拡大の阻止は可能である」

またつぎの3点を提案している。

A)ウイルス対応マスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置

B)熱交換換気装置や空気清浄機,フィルター等の正しい選択と有効な活用についての行政の理解と市民一般への十分な周知

C)効果の科学的証明には時間を要するため,最新の知見から有効と予想できる対策は,中立的組織による効果の検証を平行しつつ,公平性や安全性に配慮して実施する

Scienceの論文 [1] でも空気感染の定義が再検討されて,COVID-19における空気感染=エアロゾル感染を再認識することの重要性が指摘されている。

今後の展望:病原体の空気感染は,これまで十分に評価されていませんでした。その理由のほとんどは,エアロゾルの空気中での挙動に関する理解が不十分であったことと,少なくとも部分的には,極めて重要な観察結果が誤って伝えられていたことによります。飛沫感染や付着物による感染の証拠がないことや,エアロゾルによる多くの呼吸器系ウイルスの感染の証拠がますます強くなっていることを考えると,空気感染はこれまで認識されていたよりもはるかに広く行われていることを認識しなければなりません。SARS-CoV-2の感染について分かったことは,すべての呼吸器系感染症においてエアロゾルによる感染経路を再評価する必要があるということです。換気,気流,空気ろ過,紫外線消毒,マスクの装着など,近距離と遠距離の両方でエアロゾルの透過を緩和するための予防措置を講じなければならない。これらの対策は、現在のパンデミックを終わらせ、将来のパンデミックを防ぐための重要な手段である。

図:空気感染に関する論文[1]より引用

また,PCR検査抑制論への反論については朴勝俊先生の [3] が詳しい。

[1]Airborne transmission of respiratory viruses
[2]FAQs on Protecting Yourself from COVID-19 Aerosol Transmission
[3]クロス表とベイズの公式に基づく新型コロナPCR検査抑制論の検討(朴勝俊)
[4]PCR検査抑制論の年譜と語録(伊賀治)
[5]東京と日本の現状と今後(2021/8/28)(牧野淳一郎)
[6]人命尊重のコロナ政策最優先への根本的転換を(世界平和アピール七人委員会)

2021年8月27日金曜日

稼げる大学

日本学術会議に取って代わろうとしている総合科学技術・イノベーション会議の第56回本会議が8月26日に開催された。その議事は,大学改革の方向性について(世界と伍するトップ研究大学の在り方について,地域中核大学の在り方について)である。

なぜかマスコミ(時事通信)は,「稼げる大学」へ外部の知恵導入という見出しで報道していた。案の定,ネット上では批判殺到である。ただ,会議の配布資料をみると稼げる大学という直接的表現はないにせよ,一方で外部の知恵どころの話でもない

諸外国の大学は,長期の成長(次世代の研究や若手研究者へ投資)が大前提

1 意思決定:長期に渡って一貫した成長戦略を実施できるよう,大学の長ではなく,ステークホルダ ーを入れた合議体が最終意思決定

2 大学の長:自律的な活動により,成長を達成できるマネジメントを実現 → 学内外から経営的資質を踏まえて合議体が選考・監督

3 執行機関:規模の成長や専門性に対応できるよう,大学の長を支える経営幹部の充実 →教学担当役員や事業財務担当役員を配置し,責任体制を明確化

「世界と伍する研究大学」に求められるコミットメント(成長と改革にコミットした数大学を支援

1 ミッションの見直し(人類経済社会への貢献)= 研究力の飛躍的伸長

2 潤沢な外部資金の確保と毎年 3% 以上の事業成長 

3 成長を可能にするガバナンスシステムの導入 最高意思決定機関としての合議体設置/学長の経営資質を重視/学長を支える経営幹部の充実 

国立大学の法人化以降,日本の大学のパフォーマンスが海外の大学に比べて圧倒的に遅れてしまったのは,ガバナンス改革と「選択と集中」政策によるものだというのが, 多くの関係者や識者の分析するところだ。しかしながら,この国は大学ファンドを導入した上で,更なる権力集中と大学選抜を進めようとしている。

P. S. この結論は,今年3月に開催された第1回世界と伍する研究大学専門調査会で出てしまっている。資料では各分野の国別論文ランキングで日本の大学が2004年以降急速にランクダウンしていることを象徴的にとりあげている。これはほぼ国立大学法人化の副作用であることがわかっているが,現状についての分析や反省なしにいきなり英米の大学システムを参照してそれにむけて舵を切ってしまっている。