2021年9月14日火曜日

太陽自転

 千葉大学の堀田英之准教授と名古屋大学の草野完也教授が,スーパーコンピュータ富岳を用いて太陽内部の熱対流・磁場を精密に計算することによって,太陽では赤道が北極・南極(極地方)よりも速く自転するという基本自転構造(差動回転) を,世界で初めて人工的な仮説を用いずに再現することに成功した。

これまでのスーパーコンピュータ京では計算可能な解像度が1億点だったのが,富岳では54億点の超高解像度計算が可能となった。これにより,太陽内部の磁場のエネルギーが乱流のエネルギーの最大2倍以上という従来の常識(乱流エネルギーに比べて磁場エネルギーは十分小さい)を破る結果が得られ,同時に,赤道が極より速く回転する差動回転を初めて再現することができた。

京と富岳ではスーパーコンピュータ高速化のためのプログラミング技術がかなり異なるのでそれを克服したのが重要だった。その上で,計算メッシュ数を増やすことによって本質的に異なった物理が得られ,「熱対流の難問」と呼ばれる長年の謎を解決したという興味深い結果だ。


図:解像度と自転速度の関係(千葉大学プレスリリースより引用)

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