日本経済新聞が大げさなタイトルをつけて,本日の1面トップと2面コラムと6面の特集面を使って,21世紀の後半には世界人口が減少するという予測記事を出していた。
記事のもとになっているのはワシントン大学医学部の保健指標評価研究所(The Institute for Health Metrics and Evaluation:IHME)の2020年7月14日の論文,Fertility, mortality, migration, and population scenarios for 195 countries and territories from 2017 to 2100: a forecasting analysis for the Global Burden of Disease Study である。
うーん,なんで1年遅れの情報を今ごろに出しているのだろうか。1年かけて「人口と世界」という連載特集を組んでいくための準備をしていたのかもしれない。重要な話だとは思うが・・・
IHMEはコロナ感染症の予測にも力を入れているが,日本の感染状況の予測はぶれがおおきくてこれまでも必ずしも当たっていないのだ。まあ,日本の統計が壊滅状態であることも一因かもしれないが,これならばコロラド先生や牧野さんの方がよっぽど正確なのである。
ワシントン大学グループの予測は,国連の中位予測と下位予測の間に含まれている。世界人口は,2067年に97億人でピークとなり,2100年には87億人まで減少する。日本の人口はこの段階で半減し5900万人になっている。
1972年にローマクラブの報告を見て以来,世界人口は指数関数的な爆発をしていて,どうなるのだろうという頭しかなかったが,ついに減少が予測されるところまできていたのだった。そもそも近年は指数関数的な振る舞いをしていないのだった。
国連統計にある世界人口の対数をとって時間に対して直線になっていれば指数関数滴増加である。1950年から2020年までの70年のデータを使って計算してみた。1950年から1960年までは,世界人口は年率1.8%で増加しているが,2000年から2010年までは,年率が1.1%に減少している。というわけで人類の人口の指数関数的増加は終焉を迎えていたのだった。
[1]国際連合(UN)World Population Prospects の使い方(総務省統計局)