メディア・ポートフォリオ(1)からの続き
こんなことは誰でも思いつくことだし,現に,FeedlyなどのRSSリーダーはそれに近いコンセプトだろう。そこで,ネットで「メディア・ポートフォリオ」を検索してみると,面倒なことに異なった意味で使われる場合がほとんどだった。
(1)ビジネス分野におけるマーケティング用語:例えば,リード・ジェネレーション(見込み顧客)を獲得するための広報活動では,どのようなメディアを組み合わせて用いるのが有効かという考え方だ。ここでは,ターゲットのボリュームや心理に応じたメディアの選択などが例示されている。
(2)教育分野におけるポートフォリオ評価用語:ポートフォリオ+ルーブリック評価は,このところの流行であったが,動画や音声などのマルチメディアをどうやってうまくこれに組み込むかという論文が出ていた(保健体育教育の人なのか)。マルチメディア・ポートフォリオとして使われることが多い。
ポートフォリオを直訳すると「紙挟み」「書類いれ」であり,本来は,アート・デザイン・建築などの創作分野で,クリエイターが自分の作品を常に準備していて,新しい仕事の獲得のために自分の力量を示すものという意味で使われていた。それが,教育分野に転用された際に,クリエイターは児童・生徒に置き換わり,教師によって評価される対象としての学習記録総体を表わすこととなる。一方で,企業や個人の資産・投資分野では,リスクヘッジのために複数の金融商品や資産などを組み合わせて保持・運用することを意味している。
あ,忌まわしい,そして今はなき,Japan e-Portfolioを思い出してしまった。左記リンク先のコメントを書いた半年後の2020年8月に,野党の批判などを受けた文部科学省が「利用する大学が少なく,債務超過に陥り,今後の事業運営に必要な資産がない。プライバシーマークなど運営要件を満たす資格を取得していない」などの理由によって,Japan -Portfolioは運営の許可が取り消されている。
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