ウクライナのニュースを見ていて,「メディア・ポートフォリオ」という言葉が頭に浮かんだ。
民放の情報番組(ニュースバラエティ)では,過激なお笑いタレントや芸能事務所所属のご意見番が,勝手な妄想を垂れ流しているらしい。というのも,そんな番組を見る気力がないので,Twitterなどの間接情報で聞き及んでいるだけだから。NHKやTBSの報道系番組でも問題によってはひどく偏った情報やプロパガンダで満ちている。
どうすればよりましな専門家や専門的知識を理解したジャーナリストの発信する情報を選択的に得ることができるのか。それについての一つの答えを,あまり信用できない佐々木俊尚が語っていた。それは,少数のこれはという専門家から出発して,その発信情報からのリンクをたどって,良質な情報発信者の集団を求めるというものだった。
佐々木がそこで例示している3人をみると,1人は東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠であった。日本記者クラブでの3月9日のウクライナに関する会見を見たが,確かに話を聞く価値はある。ところが後の2人は佐々木の好きそうな怪しい雰囲気が満載であり,これではだめだ。結局自分のバイアスは必ず入らざるを得ない。
結局,社会的な問題について相対的に適切な情報を得るためには,問題に応じて信頼度の高い複数のメディアの集合を用意してそれらの比較からよりましな真実に近づく必要があるという考えに至った。これは,メディア・ポートフォリオと呼べるものではないか。日本記者クラブもその一つだし,BBCやCNNなどもこれを構成する要素になるだろうが,すべてのニュースに目を通しているわけにも行かない。一月万冊の平田悠貴による海外ニュースダイジェストは少し近いかもしれない。
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