2020年5月29日金曜日

特集|迷走する教育(2)

4.木村小夜(日本近現代文学)
  「読む」力と「国語」入試の明日
木村さんの主張はYouTubeにある「参議院 2019年11月19日 文教科学委員会木村小夜(参考人 福井県立大学学術教養センター教授)」という7分あまりの動画をみるのがよい。国語の記述式入試問題の欠陥を明解に指摘していて切れ味が良い。また,彼女が高大接続という言葉で思い出した高校時代のエピソードがよかった。「あなた達が学校で習う日本語の文法は橋本文法というものを元にしているが,実は文法はそれだけではなく,色々な理論がある」と断ってから古典の最初の授業が始まったという一節である。自分は国語は苦手だったしましてや文法は現代文も古典もからっきしダメだったので,そんな話は聞いたことがなかった。現代日本語文法では,山田文法,松下文法,橋本文法,時枝文法の四大文法が重要な位置を占めるとある。そんなことになっていたのか。

5.五味渕典嗣(近現代日本語文学/文化研究)
  文学の貧困
あらめて「文学」とは何か,論理国語と文学国語の分裂を招いた思い込みはなんだったのか(新井紀子が一役買っているのだ)を考えたくなる。高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説では,例によって科目の目標を「知識及び技能」「思考力,判断力, 表現力等」「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で整理した,とある。人間性なのか・・・orz。高等学校の国語は必履修科目の「現代の国語(41)」+「言語文化(35)」に加えて,選択科目の「論理国語(35)」+「文学国語(31)」+「国語表現(37)」+「古典探究(28)」からなる(カッコ内は解説における記載ページ数)。その文学国語は,「主として「思考力,判断力,表現力等」の感性・情緒の側面の力を育成する科目として,深く共感 したり豊かに想像したりして,書いたり読んだりする資質・能力の育成を重視している」ということで,文学=感性と情緒というレッテルが貼られていたのだった。



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