2020年5月31日日曜日

特集|迷走する教育(4)

8.吉田弘幸(予備校教師)
  共通テストは如何に在るべきか
吉田さんは数年前の阪大や京大の物理の入試問題ミスの件で積極的に発言した人である。ここでは,大学入学共通テストの試行調査について分析から説き起こしている。設問の前置きや場面設定にページ数がさかれ,数学や理科の内容自身が薄くなっているということだ。あらためて,問題をみたがそれなりによくできているように思った。これまでの入試センター試験は,定型的な基本問題であり,無味乾燥に感じていたので,これはこれでありうるような気はする。国語や数学における記述式問題の導入が不必要,不可能であるという部分は完全に同意である。

9.大澤裕一(予備校教師/数学)
  高校数学カリキュラムの過去・現在・未来
大澤さんは数学の入試問題それ自身ではなく,数学のカリキュラム(学習指導要領)の問題点を指摘している。問題だらけだった。10年の周期で無理に変えようとして,専門家の意見ではなく外野の意見を重視することで,より望ましくない道が選択されるという不合理な結果が続いている。ベクトルしかり,行列と一次変換しかりである。統計の重要さはわからなくはないが,これはむしろ応用数学として教科「情報」に組込んだほうがよいのではないか。なお,箱ヒゲ図・四分位偏差(なんのことかわかっていない)不要論には全く同意である。

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