平均自由行程(1)からの続き
クラウジウスは,衝突する気体分子の速度は一定だが,相対速度の方向は一様に分布しているとして,平均自由行程の式を導いている。正確にはその速度分布まで含めた考察が必要になるが,とりあえず方向についての平均を考える。
平均自由行程は,分子の相対速度の大きさ$\langle u \rangle$を単位時間当たりの衝突回数$z$で割ったものであるが,相対速度($\bm{u}=\bm{v}-\bm{v}'$)の大きさの向きによる平均値は次のようになる。
$\langle u \rangle = \dfrac{2\pi \int_0^\pi \sqrt{v^2 + {v'}^2 - 2 v v' \cos \theta }\ sin\theta d\theta}{2\pi \int_0^\pi sin\theta d\theta} = \frac{1}{2} \int_{-1}^1 \sqrt{v^2 + {v'}^2 - 2 v v' t} \ dt $
$\therefore \langle u \rangle = \frac{1}{2} \frac{2}{3} \dfrac{1}{-2 v v'} \Bigl | (v^2+{v'}^2 -2 v v' t)^{3/2} \Bigr |_{-1}^1 = \dfrac{1}{6 v v'} \Bigl\{ |v+v'|^3 - |v-v'|^3 \Bigr\}$
ここで$v=v'$とすれば, $\langle u \rangle = \dfrac{4}{3} v $となり,クラウジウスの平均自由行程は,$\lambda = \dfrac{1}{\frac{4}{3} \rho \sigma }$