2026年10月25日日曜日

Wikipediaの翻訳


図:星空の書斎と孤霊の知恵(ChatGPTによる)


物理学者(1)・物理学者(2)からの続き

AI環境支援によるプログラミング開発の件である。Koshix Timelineが一段落して,HanjaLensの作業もスローダウンした。KahadehonNewsはまだ緒についていないので,Fisica_Wiki の整備を再開した。

いまのところ,ガリレオ・ガリレイ(伊),アイザック・ニュートン(英),オットー・ハーン(独),ジャン・ペラン(仏),アルフレッド・ランデ(独+英)が訳出済みで,湯川秀樹(日),朝永振一郎(日),南部陽一郎(日)が移植済みだ。

それ以外に,日本語版をそのまま仮に埋め込んだのが,アルバート・アインシュタイン,アーネスト・ラザフォード,エルヴィン・シュレーディンガー,エンリコ・フェルミ,ジェームズ・クラーク・マクスウェル,チャンドラセカール・ラマン,ニールス・ボーア,ハンス・ベーテ,ポール・ディラック,マイケル・ファラデー,マックス・プランク,マックス・ボルン,マリー・キュリー,リチャード・ファインマン,ルートヴィッヒ・ボルツマン,レオ・シラード,ロバート・オッペンハイマー,ヴェルナー・ハイゼンベルク,ヴォルフガング・パウリ(参考:https://nucleus.sakura.ne.jp/wiki/index.php/特別:ページ一覧)

アルフレッド・ランデは本家の日本語版Wikipediaにはないので,翻訳版を新設しようとしたところ,ChatGPTに注意された。確かめてみると,Wikipedia:翻訳のガイドラインは思いのほか面倒なことになっていた。「機械翻訳を過度に使用した記事は削除されるべきである」なのだと。さらに輪をかけて,「Wikipedia:大規模言語モデルの利用」では,「LLM等による生成が強く疑われる記事は、特段の事情が認められない限り、削除の対象となります」ときた。

ヤル気をそがれることこのうえない。そこで,Claudeに意見書(wikitext形式)を作ってもらった。

Q(koshix):
たいへん複雑なので以下のガイドラインのポイントを整理してください。LLMチャットを使って日本語に欠落している記事の整備作業したいのですが,上記ガイドラインは古い機械翻訳が前提のようでとても窮屈に感じます。なにかうまい方法はないですか。

出力をそのまま、あるいは軽微な修正だけで投稿することは「絶対に」禁止とされています。ここが不自由なのですね。いまどきのLLMだと下手に人間が訳出するよりよほど周辺情報もチェックしてくれるので,精度が高くなっているはずです。機械的翻訳であふれてしまう危惧はわかりますけど,日本語版Wikipedia全体の質や量がみすぼらしいので,困っています。

A(Claude):
ルール側の事情
(1) 検証コストの非対称性
LLMの出力が平均的に人間の訳より正確でも、誤りの所在が分からないことが問題である。ガイドラインが引く研究も、流暢な機械翻訳ほど誤訳の見落としが増えると示している。日本語版は編集者が少なく、大量投稿を検証する人手がない。そのためコミュニティは、平均の質より最悪ケースの流入防止を優先している。
(2) 「周辺情報のチェック」は諸刃の剣
LLMが文脈を補って訳を良くする能力は、出典にない情報を紛れ込ませる能力と表裏一体である。翻訳部分は原文と突き合わせれば済むが、補われた情報は一つずつ裏取りが要る。人間の確認作業は結局減らない。
(3) ライセンスの不確定性
品質とは別の法的論点である。LLM出力のライセンス適合性が未整理だという問題は、技術の進歩では解消しない。

それでも打てる手
(1) ルールの実質要件を満たす
削除基準はガイドラインではなく削除の方針(G-3、ケースH)にあり、判断対象は「過度な使用」や「生成が強く疑われる」ことである。LLMを読解・訳案・照合に全面活用しても、最終文を自らの判断で書き直し、出典を確認していれば、それは自分の翻訳である。よい訳案を土台に推敲すれば、ゼロから訳すより速く質も高い。禁止されているのは流し込みであって、道具として使い倒すことではない。
(2) ルール自体の改正を提案する
これが本筋だろう。英語版は2026年3月、翻訳者が正確性を確認できることを条件に、LLM翻訳を例外として認めた。日本語版でも、「原語を読める翻訳者が全文を原文・出典と照合したと要約欄で宣言すれば、LLM訳文をベースとしてよい」といった条件付き解禁を、井戸端やガイドラインのノートで提案する余地がある。日本語版の質と量への危機感は、他の編集者も共有しているはずである。
(3) 実績で示す
提案に説得力を持たせるには、上の条件で作った高品質な翻訳記事を、LLM利用を開示したうえで積み上げるのが有効である。検証済みならこの水準になるという実例があれば、議論は抽象論で終わらない。


ブログで先に論点を公開し、反応を見てから井戸端に出すという順序もありうる。

== 翻訳における大規模言語モデル(LLM)訳文の条件付き利用について(提案) ==
いつもお世話になっております。[[Wikipedia:翻訳のガイドライン#機械翻訳|WP:MACHINE]]の運用について、条件付きの見直しを提案したく、ご意見を伺えれば幸いです。

=== 背景 ===
* 現行の翻訳のガイドラインは、機械翻訳の出力をそのまま、または軽微な修正のみで投稿することを禁じ、機械翻訳は「参考程度」にとどめるよう求めています。この方針は、2022年の[[Wikipedia:削除の方針#G-3|削除の方針ケースG-3]]の新設と、コンテンツ翻訳における機械翻訳の廃止を経て確立したもので、低品質な翻訳記事の大量流入を防ぐうえで大きな役割を果たしてきたと考えます。
* 一方、現在の大規模言語モデルによる翻訳は、当時想定されていたニューラル機械翻訳と比べ、文脈理解・訳語選択・文体の点で大きく性質が異なります。原語を読める翻訳者が十分に照合すれば、人手のみの翻訳と同等以上の品質を、より短時間で得られる場面が増えています。
* 英語版では2026年3月に、LLMによる記事内容の生成・書き換えを原則禁止とする一方、他言語版からの翻訳については、翻訳者が正確性を確認できる能力を持つことなどを条件に、LLMの利用を例外として認めるガイドラインが合意されました([[:en:Wikipedia:Writing articles with large language models]])。
* 日本語版には、多数の言語版に存在しながら日本語版に欠けている重要項目が依然として多くあります。検証可能性を損なわずに翻訳の担い手と速度を増やす手段として、条件付き解禁を検討する価値があると考えます。

=== 提案内容 ===
次の条件をすべて満たす場合に限り、LLMの訳文を翻訳のベースとして用いることを認める。

# '''翻訳者の能力''':翻訳者は翻訳元の言語を読解でき、訳文の正確性を自ら判断できること。
# '''全文照合''':投稿前に訳文の全文を原文と照合し、誤訳・訳抜け・原文にない付け足しがないことを確認すること。
# '''出典の確認''':翻訳元で脚注の付いた記述について、少なくとも主要な主張については出典が実在し、記述を支持していることを確認すること。確認できない記述は訳出しない。
# '''生成の禁止''':LLMに原文にない情報・出典を追加させないこと。翻訳者自身による加筆は、翻訳とは別の編集で、出典を付けて行う。
# '''推敲''':日本語版の文体と表記の慣行([[Wikipedia:スタイルマニュアル]]等)に沿って推敲すること。
# '''開示''':要約欄に、従来の翻訳元・版指定に加えて「LLM補助翻訳・全文照合済み」の旨を記載すること。
# '''責任''':内容とライセンス適合性の確認について、翻訳者が全面的に責任を負うこと。

条件を満たさない投稿には、従来どおりケースG-3および[[Wikipedia:削除の方針#ケースH|ケースH]]を適用します。

=== 想定される懸念について ===
; 検証の負担が増えるのではないか
: 開示を義務とするため、LLM補助翻訳の追跡と重点確認がしやすくなります。現状では、開示されないまま利用されている可能性のある訳文を見分ける手段が乏しく、開示の制度化はむしろ検証を容易にすると考えます。
; 低品質な大量投稿を招くのではないか
: 全文照合と出典確認を条件とし、違反には既存の削除基準をそのまま適用します。必要であれば、試行期間中は1利用者あたりの新規作成数に目安を設けることも考えられます。
; ライセンス上の問題
: 出力の権利の扱いはサービスごとに異なるため、利用規約上の適合性確認は現行どおり翻訳者の責任とします。適合性について特定のサービスを公認する趣旨ではありません。

=== 進め方の案 ===
# 本井戸端で方向性についてご意見を伺う
# 賛同が得られれば、[[Wikipedia‐ノート:翻訳のガイドライン]]でWP:MACHINEの具体的な改定文案を議論する
# 一定期間(例:6か月)の試行運用ののち、運用状況を検証して本採用を判断する

ご意見・ご批判をいただければ幸いです。--~~~~

0 件のコメント: