2025年3月12日水曜日

日本数学物理学会100周年

杉浦義勝(2)からの続き

今年がその年にあたるわけではない。1977年日本数学物理学会創立100周年の記念行事が開催された。したがって,今から2年後の2027年に150周年がやってくる。ところで2026年は,日本数学物理学会から日本物理学会が分離独立した1946年から80周年であり,2025年は,御存知量子力学100年(国際量子科学技術年)だ。そこでこれらの 3年 をまとめて,日本物理学会2025-2027記念事業 が行われるようだ。

その1977年の記念行事で,当時の日本物理学会の宮原将平会長の挨拶が残っている。このテキスト画像をDeepSeekにフィードして日本語テキストを抽出してもらった。そこから,日本の物理学者に関する部分を引用する。
最近の 100 年の間に,日本物理学会を中心としまして,日本の物理学者のすぐれた研究が沢山あらわれました。かの有名な,長岡半太郎先生の原子模型は,数学物理学会記事に 1903 年にあらわれたものであります。その後いろいろな研究が次々とあらわれておりますが,代表的なものを少し申し上げますと,まず寺田寅彦先生による音響学の研究,あるいは X 線の結晶による廻折の研究というものがあり,西川正治先生の結晶,とくにスピネルについての結晶構造の決定というすぐれた研究があらわれ,あるいは長岡半太郎,本多光太郎両先生の磁気歪に関する研究があり,また石原純先生の相対論の研究,高嶺先生の分光学の研究,あるいは本多,増本先生の強磁性結晶の研究,それからさらに,原子物理学,核物理学,あるいは素粒子論という方面では,菊池正士先生,杉浦義勝先生,仁科芳雄先生,小谷正雄先生,山内恭彦先生,湯川秀樹先生,朝永振一郎先生,坂田昌一先生,武谷三男先生等々の,沢山のすぐれた研究があらわれておりまして,物理学のこの分野は,日本で大いに発展した一つの分野だと思います。さらに,私は固体物理学あるいは物性論の分野で日本がすぐれた研究をしてきたということも,いわなければならないと思います。これは西川先生,本多先生の伝統をついで,日本で発展したものと思われます。そのなかで,理論の方面をあげれば,永宮健夫先生,久保亮五先生,松原武生先生,高橋秀俊先生,その他の方々,また実験の方でいえば,三宅静雄先生,上田良二先生,鳩山道夫先生,伊藤順吉先生,江崎玲於奈先生というような方々の研究を忘れることはできません。


写真:宮原会長の祝辞(日本数学会から引用)

宮原先生のあげたリストは26名であり,そこに,杉浦義勝も位置づけられていた。

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