2020年の10月に前菅政権が日本学術会議会員の任命拒否問題が引き起こしてからもう2年以上になる。学術会議会員は3年ごとに半期改選だから,そろそろ次の選考プロセスが始まる。このタイミングで12月6日に内閣府は,日本学術会議の在り方についての方針を打ち出してきた。その肝は問題となった会員選考過程に手を突っ込むことだ。
会員等以外による推薦などの第三者の参画など,高い透明性の下で厳格 な選考プロセスが運用されるよう改革を進めるとともに,国の機関である ことも踏まえ,選考・推薦及び内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行 われるよう必要な措置を講じる
という素性の解らない第三者機関を使って,アカデミーの独立性を露骨に侵害しようとしている。津田大介のポリタスTVのゲストとして呼ばれた隠岐さや香は,なぜここまでこだわるのかがわからないといっていた。そうなのである。軍事研究を進めることがねらいだとしても,日本学術会議などは別に大きな支障にはならない。内閣府に別に拵えた総合科学技術・イノベーション会議を使えば,なんでもできるはずである。
あえていえば,安倍晋三=清和会右翼の思い込みによる学者に対するルサンチマンぐらいしか考えられない。日本学術会議に手を突っ込みたがっていたのは清和会的な右派勢力だ。それが,防衛費倍増の財源を巡る清和会と岸田政権の綱引きにからんで話がややこしくなっている。
隠岐さや香が,日本社会のいろいろな分野で安全装置が外されつつあるといっていた。その一番が,ロシアのウクライナ侵攻を奇貨とした防衛費のGDP1%枠の撤廃であり,集団的安全保障の名のもと米国の軍事システムに完全に組み込まれることだった。社会保障制度を守るために導入するといわれた消費税は,法人税減税のために使われた。さらに, 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が惜しげもなく株に資金を投じはじめ,株価の上昇を支えて,日本の階層分化を推し進めてきた。
一方,電通にしっぽを握られて機能不全に陥ったマスコミは沈黙を続け,泥まみれの東京五輪や大阪万博の後押しをしてきた。それらの総仕上げが,安倍殺傷事件による統一教会の悪行の再確認だったかもしれないが,それすらも押し流すように軍拡の合唱が始まっている。そう,統一教会の資金還流が疑われる北朝鮮ミサイル開発の脅威は既に十分に宣伝していて,世論形成に大きく寄与することになる。
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