abc予想(1)からの続き
肝腎のabc予想である。準備のために,自然数 n の根基(radical)を定義する。素数を{pi}として,n=pk11⋅pk22⋅⋯ と素因数分解できるとき,n の根基が次のように定義される。rad(n)≡p1⋅p2⋯ 。例えば,rad(120)=rad(22⋅32⋅5)=2⋅3⋅5=30 。
3つの自然数の組,(a,b,c) において,a+b=c であり,a<b が互いに素であるものを,abc-トリプルとよぶ。普通は,c<rad(abc) であるが,c>rad(abc)も無限に存在しうる。そこで,ある形のabc-トリプルで後者の条件を満たすものが無限個あることを示す。
素数 p>2,自然数 n>1として,a=1,b=2p(p−1)n−1,c=2p(p−1)nというabc-トリプルを考える。このとき,rad(abc)=rad(a)rad(b)rad(c)=1⋅rad(b)⋅2=2 rad(2p(p−1)n−1)となる。
ところで,b=2p(p−1)n−1=(2p(p−1))n−1=(2p(p−1)−1)(⋯)=p2⋅(⋅ ⋯) とかけるので(*),bp2は自然数である。そこで,rad(abc)=2⋅rad(p2⋅bp2)≤2⋅p⋅bp2=2⋅bp<2pc 。ただし,rad(m)≤m を用いた。
(*) フェルマーの小定理により,2p−1 ≡1 (mod p),すなわち,2p−1=k p+1 なので,2p(p−1)=(k p+1)p=Σp−1r=0Cpr (k p)p−r1r+1 。このため,2p(p−1)−1=(k p+1)p−1 を展開した kpの最低次の項は,Cpp−1⋅(k p)=k p2であり,全体はp2を因子として持つ。
つまり,このabc-トリプルは任意のnに対して,c>2pc>rad(abc) となるので,無限個存在する。
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