2021年12月6日月曜日

宣伝大臣ゲッベルス

NHK映像の世紀プレミアムの第18集が「ナチス狂気の集団」だった。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)は1919年にその前身が,反ユダヤ主義・社会主義・右翼の性格を持ったミュンヘンの酒場の鉄道員の集まりから始まっている。ヒトラーはその年に入党し,1920年にナチスと改名してハーケンクロイツをシンボルにしたころには主要なメンバーとなり,1921年には党首(総統)になっている。

その後,クーデター未遂事件のミュンヘン一揆(1923.11.8-9)を経て,1928年には初めて12名の国会議員を送り出し,世界大恐慌の中で党勢を拡大し,1930年には107名が当選して第2党に躍進する。1932年には第1党の座を確保し,1933年1月にヒトラーが首相に就任する。

1933年2月にはドイツ国会議事堂放火事件が起こって共産主義者がスケープゴートとされ,同3月には全権委任法が成立して,立法権が国会から一党独裁のナチス政府に移ってしまう。あっというまですね。日本の改憲勢力もその類似物を目指していると疑われても仕方がない。

1934年の長いナイフの夜で,政敵である突撃隊のレームを粛清し,1938年の水晶の夜で,反ユダヤ主義暴動によるユダヤ人の迫害がピークに達して,その後ヒムラーが主導したホロコーストへの扉が開かれる。1939年9月には,ドイツのポーランド侵攻により第二次世界大戦の火蓋が切られた。

これらの流れをドイツ国民の多くは支持したが,そこには,1933年に設置された国民啓蒙・宣伝省を使って,知識人であったゲッベルス宣伝大臣(ではなくてだった)が繰り広げたプロパガンダ国民ラジオ)が非常に重要な役割を果たしている。

振り返って現在の日本では,宣伝省を作るまでもなく,電通とその傘下のマスメディアが,自ら進んで権力への忖度に勤しんでいる。発祥の地のミュンヘンならぬ大阪でもテレビ新聞が総動員で大阪維新を宣伝し,日本共産党をディスり,民族差別を煽るタレント(大阪府知事を含む)を重宝しているのであった。

そんなことは考えていなかったが,92歳まで生きると1945年8月15日から100周年ということになる。1941年12月8日だと88歳,1937年7月7日だと84歳,1931年9月18日だと78歳。歴史は繰り返すのか?
ヘルマン・ゲーリング(1893-1946.10.15)国家元帥
ルドルフ・ヘス(1894-1987.8.17)ナチス総統代理
エルンスト・レーム(1887-1934.7.1)突撃隊幕僚長
ヨーゼフ・ゲッベルス(1897-1945.5.1)宣伝大臣
アドルフ・ヒトラー(1889-1945.4.30)ドイツ国総統(指導者兼首相)
ハインリヒ・ヒムラー(1900-1945.5.23)親衛隊全国指導者・全ドイツ警察長官
アドルフ・アイヒマン(1906-1962.6.1)親衛隊・ゲシュタポユダヤ人移送長官

2021年12月5日日曜日

ヨビノリ(3)

ヨビノリ(2)からの続き 

教育系YouTuberにならない方がいい7つの理由」というタイトルで,東大駒場祭でヨビノリたくみの講演があった。2017年から教育系ユーチューバとして,予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」というチャンネルを公開し,4年半になった。現在までに83万人が登録し,動画本数は700本,総再生回数が1.5億回,1日平均20万回再生に達している。

その7つの理由だが,(1) 視聴者の母数が少ない,(2) ライバルが多い,(3) 撮影がシンプルにつらい,(4) ミスが許されない,(5)  誰かに嫌われる,(6) 生活できない,(7) 仕事とプライベートの境目がなくなる。というものだった。受験に役立つ教育系ユーチューバの主なチャンネルだけでも120あって,そのうち収益が上がって運営できているのは5本程度だとのこと。

YouTubeは既にレッド・オーシャンになっているが,VR(メタバース)はブルー・オーシャンなのだろうか。そこで教育系のVRチャンネルが成立するのだろうか。思い至ったのが,情報のストック(リソース)情報のフロー(コミュニケーション)の違いだ。1990年代半ばにインターネットの商業化が始まって,インターネットの教育利用が話題になったときに,このキーワードで説明することがよくあった。

YouTubeはその基本機能が動画コンテンツ(リソース)の蓄積と配信であり,VR Chatのようなメタバースの特徴はアバターを通じたコミュニケーションの場というところにあるのではないか。メタバースにおける講義を収録したものがメタバース上で簡単に使えるならば,現在のYouTubeコンテンツと同様に扱えるのかもしれない。しかし,それはYouTubeと本質的には違わないような気がする。


2021年12月4日土曜日

夜間の授業(2)

 夜間の授業(1)からの続き

夕食をとって本屋や文房具屋を回ってもまだ1時間半あるので,MIOの11階のオープンスペースにあるガーデンカフェで時間を潰すことにする。

天王寺キャンパスで,出勤簿への押印や事務手続きを済ませて,2階の教室へ向かう。ここは以前デジタル教材シンポジウムを開いた部屋だった。教室のAV設備へは簡単にアクセスできるので,iPadの画面を表示できるのは助かった。

授業が始まって,聞いてみれば受講者のほとんどが文系で,高等学校理科は基礎科目しかやっていないようだ。授業中に自分の体調不良でトイレ休憩してしまうという災難があったが,なんとか終了。次回以降が心配だわ。

天王寺キャンパスの道路側のフェンスに,建築計画のお知らせと地元説明会のお知らせが貼り出されていた。大阪教育大学(天王寺)合築施設ができるということで,地上10階で延面積6000平米の建物が本館と西館の間にできる。2022年9月着工で,完成は2年後の2023年12月だ。

これは,大阪市教育委員会の新・大阪市総合教育センターが6-10階を,大阪教育大学の教職大学院が1-5階を使うというもので,栗林学長肝煎りの計画だ。現役時代その検討チームからは完全に外されていたのだが,施設課から内々に具体的なイメージのポンチ絵などを描いてと頼まれてこっそり作ったことがあった。もちろん今のプランにその痕跡はかけらもない。

大阪市の教育センターは,現在の10,000平米から3,000平米へと大幅なダウンサイジングになるので,組織もシュリンクするのだろう。大阪維新の考えそうな,喜びそうなプランである。

2021年12月3日金曜日

夜間の授業(1)

 天王寺キャンパスの初等教育教員養成課程の夜間コース後期の非常勤の授業が始まった。小学校教員を目指す学生(主に2回生)の理科の授業で,理科Ⅰが生物と化学の分野,理科Ⅱが地学と物理の分野に相当する内容を扱っている。

諸般の事情で,後半の物理分野のピンチヒッターで登板することになった。夜間コースの平日の授業は,18:00-19:30の6限と19:40-21:10の7限から成り立っていて,理科Ⅱは7限であり,受講者は30名程度である。

現役のときも,夜間の授業(コンピュータ演習など)の手伝いをしたことは何度かあったけれど,7限目は初めてかもしれない。午後一番には柏原キャンパスで非常勤の授業があるので,それが終わってから久しぶりに大阪に向かった。授業が始まるまで4時間以上あるので,どうやって過ごすかが問題だ。

上本町の近鉄百貨店のジュンク堂や天王寺MIOの紀伊國屋書店を回ったが,久しぶりに普通の本屋にいくと面白そうな本がたくさん並んでいる。やはりネットでは出会うことができなかった。あとはメタバースの本屋・読書ワールドができるの(あるのかもしれない)を待つだけかもしれない。

夕食は,阿倍野地下のラーメンと餃子の古潭に入る。1968年にオープンしているが,大学に入った1972年ごろに柳田さんに美味しいラーメン屋があるということで初めて連れて行ってもらった懐かしい店だ。当時はいつも行列ができるほど繁盛していたが,コロナのせいか,時間のせいか,場所柄のせいか店はとても空いていた。普通の味噌ラーメンと餃子にしたが,次は彩菜麺にしてみよう。

2021年12月2日木曜日

Connected Papers

30周年を迎え arxivの機能がいろいろと整備されてきたが,そのすべての機能にアクセスすることはなかなかできない。その中で,ひとつ目に付いたのが Connected Papersである。個別の論文の最下段のタブの一つが Related Papersであり,この中にConnected Papersがある。

How to read the graph
Each node is an academic paper related to the origin paper.
・Papers are arranged according to their similarity (this is not a citation tree)
・Node size is the number of citations
・Node color is the publishing year
・Similar papers have strong connecting lines and cluster together
論文の引用関係ではなくて,論文の類似度がベースになっている。実際には,キーワードで類似論文をまとめてサーベイすることの方が多いけれど,使いこなすことができれば便利かな。


図:arxivのConnected Papersの実例


2021年12月1日水曜日

Julia 1.7.0

11月30日にJulia 1.7.0がリリースされた。普段は,しばらく様子を見てからインストールするのだけれど,macOS Apple Siliconにネイティブ対応したようなので,早速試してみる。

メジャーバージョンアップの際には,いつも困ってしまうのだが,今回もすんなりとはいかなかった。とりあえず手順を書いてみるが,何度もやり直しているので,ヒステリシスがあるかもしれない。

 (1) julia 1.7.0 packege ダウンロード&インストール
 (2) .zshrcのパス変更 % cat .zshrc
export PATH=/Applications/Julia-1.7.app/Contents/Resources/julia/bin
 (3) ln -s /Applications/Julia-1.7.app/Contents/Resources/julia/bin/julia julia
 (4) julia -> using Pkg -> Pkg.add(“IJulia”) -> Pkg.build(“IJulia”)
 (5) brew install jupyter
 (6) jupyter kernetspec list -> jupyter kernetspec uninstall julia1.6.0
 (7) jupyter notebook -> OK
 (8) pip3 uninstall jupyterlab -> pip3 install jupyterlab
 (9) jupyter lab build -> OK


とりあえず,jupyter notebook も jupyter lab も動いたが,パッケージの整合性などからか,これまでのコードがすべてそのまま動くというわけにはいかなかった。ボチボチ様子見よう。

P. S. とりあえず,Plots 周りの不整合はなんとかなった。たいした処理をしていなくても,ときどきカーネルが死んでしまうのが問題だ。

2021年11月30日火曜日

防災省

 NHK午前の「みみより暮らし解説」で,富士山噴火における火山灰被害が取り上げられていた。首都圏の人にとっては非常に重要なテーマだ。調べてみると,NHKではしばらく前から,富士山噴火のリスクについての番組が多くなっている。どんな意図なのかわからないが(改憲時の緊急事態条項がらみか)キャンペーンを繰り広げている。

2001年の中央省庁再編の際に,運輸省,建設省,北海道開発庁,国土庁が統合して国土交通省ができたが,このときに国土庁にあった防災局が内閣府に移管されている。その内閣府の防災情報の火山対策のページの中に,2020年3月まで設けられていた大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループの資料がある。

これによれば,風向きにもよるが首都圏では最大10cmの降灰が数日でおこる。桜島の近くの鹿児島市の場合でもここ10年間の1月あたりの最大値が1650g/m^2なので(火山灰の平均密度を1g/cm^3として)高々1 mmの降灰である。その100倍のオーダーの火山灰が首都圏の4000万人に降りかかることになる。

その結果,(1) 電力網の漏電,(2) 火力発電所のエアフィルタ詰まり,(3) 上水道の汚染,(4) 下水道の詰まり,(5) 電車・列車運行の停止,(6) 自動車交通の渋滞・停止,(7) 航空機の停止,(8) 呼吸器などへの健康被害,(9) 火山性ガスによる金属腐食 などなど,社会生活への致命的ダメージが懸念される。沖縄などの軽石被害もたいへんだが,その比ではない。

どう考えても,防衛省の5兆や6兆の防衛費は,災害防衛費(感染症対策含む)に統合(組織も含めて)したほうが,日本の国土とそこに住む人々を守るにふさわしいような気がして,防災省で検索したところ,関西広域連合や石破茂によってそんな話題がすでに出ているのだった。


写真:1707年の宝永噴火絵図(NHK 富士山噴火降灰シミュレーションから引用)

2021年11月29日月曜日

スマートヘルメット

NHKスペシャル「中国新世紀(3)実験都市深圳 メイドインチャイナの行方」を見た。流通用AIロボットの会社である,Dorabot(ドラえもんにインスパイアされている)もすごかったけれど,びっくりしたのはスマートヘルメットだった。

スマートフォンの次に来る新しいイノベーションツールは何かとずっと考えていた。時代はズレるがストリンガーに潰されたSONYの旧AIBO(1999-2005)や,電脳コイル(2007)の電脳メガネが実体化したようなGoogleグラス(2013-2015)はその候補だった。けれど,いまだに登場していない。

いや,ドローンバーチャルリアリティヘッドセットのように,それは既に登場しているのかもしれない。しかし,スマートウォッチは,それだけでは完結しないものなので違うような気がする。やはり,スマートフォンを代替する単一のウェラブルデバイスが必要だ。

視覚や聴覚へのアクセスと常時身に付けられるという条件で思い浮かんだのが帽子である。スマートキャップ ,これならば常時装着することが可能だ。バイザーのところを工夫すればディスプレイにもなるし,将来的には脳インターフェースをとることもできる。

表面に可塑性を持つ太陽電池をコートすれば,充電もより容易になる。計算すると太陽定数から数Wというオーダーになったが,晴れた日に外にいる時間は短いだろうから現実的ではなかった。そもそも事故の時のスマートキャップのバッテリー破損の問題をクリアするほうが大変だろうか。それはスマートフォンでも同じか。

そんなところに,スマートヘルメットがでてきたので,先を越されたかと思った次第。紹介されていた自転車用のものはたいした機能はなかったが,バイク用は,日本製のCROSS HELMETもオーストラリア製のForciteも,それなりのポテンシャルを秘めているように見える。ヘッドアップディスプレイには,速度やルート,さらには後方の映像などの補助情報を準視線上に投影でき,外音取り込み可能なインナーイアーヘッドセットも使える。


写真:NSウェスト&SHOEIのスマートヘルメット(NSウェスト株式会社から引用)

2021年11月28日日曜日

中村歌右衛門

人間国宝の歌舞伎の中村歌右衛門(六代目:1917-2001)といえば,文化勲章受章者でもあり女形の最高峰として過去の映像をみるくらいなのだが,初代の中村歌右衛門(1714-1791)は,医師の子として金沢に生まれた。そんなわけで,屋号は加賀屋だったのが,四代目のときに成駒屋にかえている。

その初代中村歌右衛門の墓所が金沢にある。知りませんでした。東山寺院群の一角にある日蓮宗の真成寺(しんじょうじ)は,鬼子母神が祀られていることで有名とのこと。寺町寺院群にも浄土真宗の寺はなかったが,このあたりもそうなのか。


写真:金沢東山の真成寺(@19960912_maruさんのtwitterから引用)

2021年11月27日土曜日

21世紀への旅行

1960年代前半,自分が子供のころは日本の高度経済成長の時代と重なっていて,未来への夢や希望が色濃く感じられたものだ。やがて,万博が終わりオイルショックや不況を迎える1970年代にはその反動からか「モーレツからビューティフルへ」というCMが流れ,地球の寒冷化が話題になる短調の時代だった。

1962年(小学校3年のころ)に刊行された読売新聞科学報道本部と手塚治虫による「21世紀への旅行」は,鉄腕アトムのノンフィクション版のような趣があって,むさぼるように読んだものだ。

リアルな社会予想に基づく未来の世界のイメージは,小学館の科学図説シリーズの「未来の世界」でも読むことができた。まあ,台風の進路をコントロールするとか,原爆で運河を掘るとか,ベーリング海峡をつないでダムにするというたいそうな話も満載。

その科学図説シリーズは,ちょっと大人びたデザインで文字による情報量の多い図鑑であり,これも何冊か買ってもらって愛読した。たぶん太字のものは持っていたはずだがこの記憶にも若干微妙なところがある。

1) 動物の世界 (科学図説シリーズ ; 1) / 高島春雄, 今泉吉典 著[他] (小学館, 1960)
2) 昆虫と植物 (科学図説シリーズ ; 2) / 古川晴男, 矢島稔 著[] (小学館, 1962)
3) 生命のふしぎ (科学図説シリーズ ; 3) / 八杉竜一, 大滝哲也, 日高敏隆 著[他] (小学館, 1961)
4) 人類の誕生 (科学図説シリーズ ; 4) / 石田英一郎, 寺田和夫 著[他] (小学館, 1960)
5) 人体のすべて (科学図説シリーズ ; 5) / 岡本彰祐, 岡本歌子 著[他] (小学館, 1964)
6) 宇宙のすがた (科学図説シリーズ ; 6) / 畑中武夫 等著[他] (小学館, 1960)
7) 地球の科学 (科学図説シリーズ ; 7) / 畠山久尚 等著[他] (小学館, 1962)
8) 宇宙旅行 (科学図説シリーズ ; 8) / 原田三夫 著[他] (小学館, 1961)
9) 数の世界 (科学図説シリーズ ; 9) / 矢野健太郎 著[他] (小学館, 1963)
10) エネルギーと原子力 (科学図説シリーズ ; 10) / 崎川範行, 遠藤一夫, 島田豊治 著[他] (小学館, 1962)
11) 科学の歴史 (科学図説シリーズ ; 11) / 菅井準一 等著[他] (小学館, 1961)
12) 未来の世界 (科学図説シリーズ ; 12) / 高木純一, 岸田純之助 著[他] (小学館, 1963)


写真:21世紀への旅行の書影(復刻版しかみつからなかった)

2021年11月26日金曜日

世界の都市総合力ランキング

 最初に竹中平蔵の顔写真が出てきて辟易するのだが,森記念財団 都市戦略研究所が出している世界の都市総合力ランキング(GPCI)の2021年度版が公開された。

ここで注目したいのが,大阪維新に牛耳られるようになった大阪市の凋落ぶりである。橋下徹が2008年から2011年まで大阪府知事,2011年から2015年まではスイッチした大阪市長として君臨し,松井や吉村に引き継がれた時代である。世界の他の都市には類を見ないようなランキングの低下(2012年の17位から2021年の36位までの19ランクダウン)が認められる。

大阪のマスコミは完全に維新と一体化しているため,こうした状況やコロナの死亡数対人口比が全国でダントツであることは報じられず,吉村知事礼賛に終始するのであった。

2012->2021
1->1 London
2->2 New York
4->3 Tokyo
3->4 Paris
5->5 Singapore

7->6 Amsterdam
8->7 Berlin
6->8 Seoul
22->9 Madrid(+13)
14->10 Shanghai

xx->11 Melbourne
15->12 Sydney
9->13 Hong Kong
xx->14 Dubai
20->15 Copenhagen

23->16 Los Angels
11->17 Beijing
13->18 Barcelona
10->19 Vienna(-9)
21->20 Toront

18->21 Zurich
16->22 Stockholm
31->23 San Francisco
19->24 Brussels
12->25 Frankfurt(-13)

28->26 Chicago
27->27 Boston
xx->28 Dublin
24->29 Vancouver
xx->30 Helsinki

26->31 Geneva
37->32 Moscow
29->33 Mikan
25->34 Istanbul(+9)
35->35 Bangkok

17->36 Osaka(-19)
30->37 Washington, DC
32->38 Taipei
34->39 Kuaka Lumpur
xx->40 Buenos Aires

2021年11月25日木曜日

六人部暉峰

 日本経済新聞朝刊の文化欄に六人部暉峰(1879-1956)の話があった。他に情報がないかと探してみると,京大人文科学研究所の論文で「六人部暉峰について --竹内栖鳳門の女性画家--(2021)」が見つかった。著者は向日市文化資料館の里見徳太郎さんで,何のことはない日経文化欄の記事を書いた本人だった。

六人部暉峰は,京都の向日神社の神職の娘であり,10代前半に竹内栖鳳(1862-1942)に弟子入りして本格的に日本画を学び始めた。15歳から各種展覧会に出品し,パリ万博に出展された京都の女性画家の3名に,上村松園(1875-1949)と並んで選ばれるほど高い評価を得ていた。1898年から7人の竹内栖鳳の子供を産み,20代半ばにはその活動を終息させている。

栖鳳は,1942年に湯河原で最期を迎えるが,暉峰は晩年まで湯河原の栖鳳のそばで彼を支えていたようだ(京都の本邸には本妻の奈美がいる)。熱海の保善院には,栖鳳の筆塚や爪塚があり,暉峰の代表作である「白川殿攻落」が所蔵されている。


写真:六人部暉峰白川殿攻落」(向日市文化資料館ポスターより引用)

2021年11月24日水曜日

天狗刺し

 NHKの新人落語大賞NHK新人演芸大賞から派生している。今年は奇数年なので,大阪のNHKホールで開催された。東西107名の参加者から勝ち抜いた6名のファイナリストの中に,笑福亭松鶴(六代目)の弟子の笑福亭松喬(六代目)の弟子の笑福亭生喬の弟子の笑福亭生寿が出るというので珍しく落語の録画を見ていた。

抽選で最後になった,桂米朝(三代目)の弟子の桂米二の弟子の桂二葉が「天狗刺し」で大賞を獲得した。5名の審査員の評価は納得のいくもので,二葉は全員から満点の10点を得て,女性初の大賞となった。なお,笑福亭生寿は第2位の得点だった。

主人公が,新しい商売としててんすき屋(天狗のすき焼き屋)を始めるといって,材料の天狗を捕獲する(刺す)ために鞍馬山へ行く。奥の院の坊さんを天狗と間違えて捕まえた主人公は,京都の町に下りてくる。

さて,米朝の話では次のような下げになる。向うから大きな青竹を10本ばかり担いで来る奴がある。男はもう真似する奴が現れて天狗を捕まえに行くとのかと思い,商売仇を呼び止める。男「お前も鞍馬の天狗さしか」竹を持った男「いやあ、わしは五条の念仏ざしじゃ」

念仏尺(ねんぶつざし)とは,「近江の伊吹山から念仏塔婆が掘り出され,それに精確な尺度が刻んであったので,これを模して念仏尺と名づけた」あるいは「西本願寺大谷本廟のあたりで採れる竹を使っていたことから「念仏」の名称になったという。精密、精巧であったため、緒方洪庵もメートル法を尺貫法に換算する際、基準として用いた」という竹の物差しのことだ。しかし,今では誰も知らないので,これでは落ちない。そこで,二葉は,坊主の衣と天ぷらの衣をかけた下げにうまくアレンジしていた。


写真:鞍馬の天狗像(京都旅屋のページから引用)

2021年11月23日火曜日

三角関数の積

その鈴木貫太郎の問題で次の式の値を求めよというのがあった。

$\cos{\dfrac{\pi}{33}}\cos{\dfrac{2\pi}{33}}\cos{\dfrac{4\pi}{33}}\cos{\dfrac{8\pi}{33}}\cos{\dfrac{16\pi}{33}}$

三角関数の積和の式を繰り返し使うのか,それにしても面倒だろう,どうするのかなあと解答を見ると,$\sin{\dfrac{\pi}{33}}$をかけて倍角の公式からドミノ倒しのようにしてあっという間に解けてしまった。なるほどね。

そこでMathematicaで一般化してみた。

f1[n_, m_] := Product[Cos[2^k Pi/(2^n + 1)], {k, 0, m}] // Simplify
g1[j_] := Table[f1[j, i], {i, j - 1, 20, j}]
g1[5]
{1/32, -(1/1024), 1/32768, -(1/1048576)}

f2[n_, m_] := Product[Cos[2^k Pi/(2^n - 1)], {k, 0, m}] // Simplify
g2[j_] := Table[f2[j, i], {i, j - 1, 20, j}]
g2[5]
{-(1/32), -(1/1024), -(1/32768), -(1/1048576)}


2021年11月22日月曜日

フェルマーの小定理

フェルマーの小定理は,素数を$p$とし,$p$とは互いに素な整数を$a$として,$a^{p-1} \equiv 1 \quad (\mod p \ ) $というものである。

頭の体操のためによく見ている鈴木貫太郎の YouTubeチャンネルでは,ちょっと目には解きにくそうな整数問題に,縦横無尽にmodを使って条件を絞り込んでいくというパターンがよく見られる。自分が,高校生のときには,こんなふうにしてmodを活用するということがなかったので,新鮮な感じがしている。ここまで自由に使えれば便利には違いない。

そんなわけで,フェルマーの小定理あるいは,その他のmod問題の勘を養成するための1行コードをMathematicaで書いてみた。

f[n_] := Table[ Table[Mod[i^k, Prime[n]], {i, 1, Prime[n]}], {k, 1, Prime[n] - 1}]
g[n_] := Table[Table[Mod[i^k, n], {i, 1, n}], {k, 1, n - 1}]

Do[{Print[g[i], " "]}, {i, 2, 7}]
{{1,0}}
{{1,2,0},{1,1,0}}
{{1,2,3,0},{1,0,1,0},{1,0,3,0}}
{{1,2,3,4,0},{1,4,4,1,0},{1,3,2,4,0},{1,1,1,1,0}}
{{1,2,3,4,5,0},{1,4,3,4,1,0},{1,2,3,4,5,0},{1,4,3,4,1,0},{1,2,3,4,5,0}}
{{1,2,3,4,5,6,0},{1,4,2,2,4,1,0},{1,1,6,1,6,6,0},{1,2,4,4,2,1,0},{1,4,5,2,3,6,0},{1,1,1,1,1,1,0}} 


2021年11月21日日曜日

安倍晴明

安倍晴明(921-1005)といえば,先日はライバルの道魔法師(蘆屋道満)が活躍する芦屋道満大内鑑を国立文楽劇場で見たところだ。桜井市にある安倍文殊院を訪ねたとき,お堂の中に安倍晴明の坐像があったので,ここが出身地かと思っていたがそうではなかったようだ。

阪堺電車に乗って,大阪阿倍野の北畠あたりに散歩に行った帰りに,安倍晴明神社を発見した。それによると,出身地には諸説あるが(大和は含まれていない),大阪説が一番有力と主張している。その根拠は「葛の葉伝説」なのだが,それでいいのか。なお,京都の晴明神社は,安倍晴明の没後に邸跡に御霊を鎮めるために設けられたので,生誕地とは関係ない。

日曜午後の安倍晴明神社は,お参りの人や学習ツアーの団体などでかなり賑わっていた。よくわからないが,社務所の横にちょっと怪しい占いコーナというのがあって日替わりで相談に応じていた。

P. S. 神社の近所には,The MARKET Grocery というお店がオープンしたばかりで,美味しいリンゴとミカンを試食させてもらった。ミカンを買ってしまったのは,もしかすると葛の葉の狐に化かされたからかもしれない。


写真:安倍晴明神社の石碑(撮影 2021.11.21)


2021年11月20日土曜日

ギリシャ文字の斜体

統計力学のテキストつながりで,冨田博之先生のウェブサイトを見ていると,2021年度の大学入試共通テストの「物理」「物理基礎」の話題が出てきた。

数年前の阪大・京大の個別学力検査の物理で,波動(音)の問題の出題ミスが話題になった。その当時,日本物理教育学会の近畿支部長だったので,あれやこれやの対応に追われたような,それほどでもなかったような。

その出題ミスを指摘した人の一人が予備校講師の吉田弘幸さんであり,これが契機となって,入試制度や社会問題などにも関わって広く発言されている。

その吉田さんが,2021年度の共通テストの物理の問題の問題点を指摘した。特に,薄膜干渉の問題が出題ミスであると指摘しているのだが,これに対して冨田さんが反論している。これは,冨田さんの方に分があるわ。

ところで,吉田さんの些細な指摘の方が気になった。「数学や物理では変数 $X$ の変化を $\varDelta X$ で表します。$\varDelta$ はギリシャ文字の $\Delta$ を斜体で表したものです。ところが,この問題(第1日程)では斜体でない $\Delta$ を使っています」

これまで,自分がLaTeXで $\Delta$を出力する際は,斜体かどうかなんて気にしていなかったのだ。この点は吉田さんが正しいかもしれない。ということで,確かめてみると,ちょっと面倒なことになっていた。

\begin{equation} \alpha \ \beta \ \gamma \ \delta \ \epsilon (\varepsilon) \ \zeta \ \eta \ \theta (\vartheta) \ \iota \ \kappa \ \lambda \ \mu (\umu) \ \nu \ \xi \ o \ \pi \ \rho (\varrho) \ \sigma (\varsigma) \ \tau \ \upsilon \ \phi (\varphi) \ \chi \ \psi \ \omega (\varpi)\end{equation}

\begin{equation} {\rm A} \ {\rm B} \ \Gamma \ \Delta (\varDelta) \ {\rm E} \ {\rm Z} \ {\rm H} \ \Theta \ {\rm I} \ {\rm K} \ \Lambda \ {\rm M} \ {\rm N} \ \Xi \ {\rm O} \ \Pi \ {\rm P} \ \Sigma \ {\rm T} \ \Upsilon \ \Phi \ {\rm X} \ \Psi \ \Omega \end{equation}

\begin{equation} A \ B \ \mathit{\Gamma} \ \ \mathit{\Delta} \ \ E \ Z \ H \ \mathit{\Theta} \ \ I \ K \ \mathit{\Lambda} \ \ M \ N \ \mathit{\Xi} \ \ O \ \mathit{\Pi} \ \ P \ \mathit{\Sigma} \ \ T \ \mathit{\Upsilon} \ \ \mathit{\Phi} \ \ X \ \mathit{\Psi} \ \ \mathit{\Omega} \end{equation}

P. S. \umu は,単位のミクロン(μ)で使うための立体のミュー(オイラーフォント)であるが,blogspotの環境では出力できない。

2021年11月19日金曜日

少年少女ものがたり百科

偕成社の「少年少女ものがたり百科」のシリーズは,子供の頃に何冊か買ってもらった。調べてみると次のリストのようなタイトルが並んでいる。出版されたのが,1961年から1963年ということは,自分が小学校2年から4年のころにかけてだ。

当時は,夕方になると毎日のように父親に本屋(十一屋のヨコノ書店)に連れて行ってもらったので,本を買ってもらう機会も多かった。太字の本は家にあって読んだ記憶がある。下線の本は,もしかしたらあったかもしれないし,なかったかもしれない,というわけで60年前の記憶のほぼ50%くらいは不確かで怪しいのだった。

三石巌さんの「発明とくふうの光」はアマゾンの中古書で 12,990円もする。


写真:発明とくふうの光の書影(amazonから引用)

1) 日本のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 1) / 宮下正美 著[他] (偕成社, 1961)
2) 世界のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 2) / 中山光義 著[他] (偕成社, 1961)
3) 発明とくふうの光 (少年少女ものがたり百科 ; 3) / 三石巌 著[他] (偕成社, 1961)
4) 十二人の探検家 (少年少女ものがたり百科 ; 4) / 野田開作 著[他] (偕成社, 1961)
5) 星と伝説 (少年少女ものがたり百科 ; 5) / 野尻抱影 著[他] (偕成社, 1961)
6) 日本の英雄 (少年少女ものがたり百科 ; 6) / 中沢巠夫 著[他] (偕成社, 1961)
7) 世界の英雄 (少年少女ものがたり百科 ; 7) / 浅野晃 著[他] (偕成社, 1961)
8) 偉人の光 (少年少女ものがたり百科 ; 8) / 久保喬 著[他] (偕成社, 1961)
9) 宇宙のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 9) / 日下実男 著[他] (偕成社, 1962)
10) 数のふしぎ・形のなぞ (少年少女ものがたり百科 ; 10) / 宮下正美 著[他] (偕成社, 1962)
11) 日本の伝説 (少年少女ものがたり百科 ; 11) / 山本和夫 著[他] (偕成社, 1962)
12) 世界の伝説 (少年少女ものがたり百科 ; 12) / 小出正吾 著[他] (偕成社, 1962)
13) 偉人の少年時代 (少年少女ものがたり百科 ; 13) / 二反長半 著[他] (偕成社, 1962)
14) 日本一・世界一 (少年少女ものがたり百科 ; 14) / 中山光義 著[他] (偕成社, 1962)
15) 動物のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 15) / 小林清之介 著[他] (偕成社, 1962)
16) 植物のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 16) / 真船和夫 著[他] (偕成社, 1962)
17) 日本歴史のひかり (少年少女ものがたり百科 ; 17) / 中沢巠夫 著[他] (偕成社, 1962)
18) 世界歴史のひかり (少年少女ものがたり百科 ; 18) / 浅野晃 著[他] (偕成社, 1962)
19) 理科のふしぎ (少年少女ものがたり百科 ; 19) / 三石巌 著[他] (偕成社, 1963)
20) 世界のオリンピック (少年少女ものがたり百科 ; 20) / 大島鎌吉 著[他] (偕成社, 1963)
21) 日本をめぐる (少年少女ものがたり百科 ; 21) / 本木修次 著[他] (偕成社, 1963)
22) 世界をめぐる (少年少女ものがたり百科 ; 22) / 飛田正夫 著[他] (偕成社, 1963)

2021年11月18日木曜日

お化け煙突

 NHKの映像の世紀プレミアムの再放送,第15回の「東京 夢と幻想の1964年」では,オリンピック前後の東京の様子が映し出されていた。もちろんオリンピックの話題が中心なのが,その前後には意外な都市の表情があった。

1つは,当時の東京が非常に汚かったということだ。家庭のゴミはその辺の道路や川に無造作に捨てられて,街中に腐臭が漂っているようだ。また,血液銀行という名の売血制度があった時代でもあり,日銭を稼ぐための建設労働者が行列していた。その中で,首都高速道路が建設され,東海道新幹線が開業している。

エピソードの一つにお化け煙突の解体というのがあった。隅田川沿いの足立区にあった東京電力の千住火力発電所の4本の煙突のことだ。もちろん現物を見たことはないが,子供のころから知っていた。

それは,偕成社の少年少女ものがたり百科(10)「数のふしぎ・形のなぞ」で取り上げられていたからだ。お化け煙突は,4本の煙突が2本づつ平行に配置されていて,見る方向によって,1本,2本,3本,4本に見えるというものだ。

この他にも,曽呂利新左衛門の褒美の話(等比数列の和),地球の鉢巻の話(円周と半径の関係),一億まで数えるのにかかる時間の話,ガウスのレンガ積みの話(等差数列の和),アルキメデスの原理の話,パスカルの三角形の内角の和の話などが印象深かった。

1962年の出版で,小学校低学年で買ってもらったお気に入りの本の一つで何度も何度も繰り返して読んでいた。


写真:「数のふしぎ・形のなぞ」の書影(日本の古本屋から引用)

2021年11月17日水曜日

オカジマサエ

 非常勤の授業からの帰り。今日はたまたま家人の用務先が大学の近くだったので,車でピックアップしてもらい,どこかで昼食をとることになった。

選んだのが,広陵町のCafe OMO屋。着いてみれば,田んぼの中にある昔の紡績工場の跡を改装した渋い建物だった。平日にも関わらず駐車場はほぼ満杯であり,店の入口で20分くらい待ってからようやく席につくと周りは若い人ばかりだ。

ランチの牛すじ煮込みカレーを食べながら隣の席の女性グループを見ると,いつの間にかワークショップが始まっていた。そういえば,待ち席の壁に,ひらがな絵本の原画が並んでいたのを思い出した。その作者本人が,絵本のイラストの切り抜きを小さなフレームにコラージュするコツを指導しているのだった。

食後のコーヒーを飲み終わって帰ろうとしたら,出口のあたりでオカジマサエさんが描いた絵本「いいもんみーつけた」を販売している。著者のサインがもらえるとあったので,早速,ワークショップの手を止めてお願いしてみたところ,快く孫のすーちゃん宛のサインをしていただいた。

オカジマサエさんの,声がとびだすひらがな絵本「あいうえお」は,現在た行まできている。帰って,Cafe OMO屋のことを調べていたら,今年の12月26日で閉店になるようだ。残念。


写真:オカジマサエの絵本「いいもんみーつけた」の書影(2021.11.17撮影)