Apple iPhoneの5GモデルであるiPhone12が発表された。4つの機種がある。5.4インチ2カメラの12 mini,6.1インチ2カメラの12,6.1インチ3カメラの12 Pro,6.7インチ3カメラの12 Pro Max だ。この前 SE2に更新したばかりなので,当分(数年)手を出すつもりはないけれど,今回のモデルチェンジはデザインもすっきりしているし,コンセプトもOK(大層なカメラも慣れてしまった)なので,昔だったら早速買っていたかもしれない。
芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2020年10月14日水曜日
2020年10月13日火曜日
人間ドック(1)
昨日は晴れ。大手前病院の人間ドックの受診日だった。今年度になって大阪市に出るのもこれが2回目か。そういえば,政令指定都市の大阪市の存続も風前の灯となっている。菅首相のもとで勢いづいている大阪維新に対し,なかなか有効な反撃の手だてが見つかっていない。
新型コロナ感染症対策が厳重になされている中での人間ドックだったが,受診者は例年より多かったかもしれない。なんだか混んでいた。なじみの職員が入れ替わっていたり,あいかわらず胃X線が荒っぽかったり,このごろ眼底検査の要領が悪かったり(こちらの目が濁ってきているのかな),聴力検査の説明がやけに丁寧だったり,心電図のペーストがべとつかなくなったり,なんとなく例年とは違う空気を感じる。ここでの診断も,共済組合の任意継続が終了するので今年限りかもしれない。
大阪城が見える見晴らしのよい12階のレストラン(職員食堂)の人間ドックサービスメニューが変更されていた。昨年までのうどん+おにぎりが,和定食,洋定食,やわらか食の三択になっており,洋定食を注文したところ,ななかなクオリティが高かった。
血液検査の速報値も出るようになった。あいかわらず悪玉コレステロールの値が高すぎる。
2020年10月12日月曜日
ハンスト(1)
菅野完が,菅政権による学術会議人事への介入に抗議して,10/2の午後から官邸前でハンストに入っている。前日あたりに,YoutubeのSEE IT NOW -LIVEで,この重大な事案にどうやって意思表示するかを語っていた。大袈裟太郎が,そのスタート時の様子を「菅野完ハンスト、密着ドキュメント」でライブ中継している。マスコミが当然のようにこれを取り上げない中,田中龍作ジャーナルが,本人にインタビューをしている。1週間目の10/9に,大竹まことゴールデンラジオ(室井佑月と青木理)が同じくオンラインインタビューを流していた。日本の大手メディアが完全に無視する中,海外メディアのARAB NEWSが "Japanese man goes on hunger strike in front of Prime Minister Suga's office" として紹介している。
2020年10月11日日曜日
坪枯れ
10月6日の奈良テレビ放送のニュースによると,「稲刈り目前に,稲の「坪枯れ」被害深刻」ということだ。そういえいば散歩の途中でみる田んぼの多くに茶色く枯れて倒れた部分が目に付いて気にはなっていた。この原因は「トビイロウンカ」という害虫で,奈良県では次のような状況であるらしい。
県病害虫防除所によりますと、7月にウンカの発生が確認され、注意を呼びかけていました。そして、9月に入って県内で被害が目立ち始め、9月下旬に行った調査では、ウンカが発生している田んぼは全体の47%でしたが、10月上旬に行った緊急調査では50%を超えたといいます。
なかなか厳しいことになっている。
2020年10月10日土曜日
村上陽一郎
学術会議(4)からの続き
菅首相は,ついに「会員任命を最終的に決裁したのは9月28日,会員候補リストを拝見したのはその直前だったと記憶している,その時点では最終的に会員となった方(99人)がそのままリストになっていた」(時事通信より抜粋)といい出してしまった。しかし,まともにその論理矛盾を質せるマスコミは皆無の有り様。
そして,村上陽一郎が,「学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか?」などとして,政権擁護(=学術会議批判)発言をはじめたので,ネトウヨや御用学者が大喜びでエサに飛びついている。特に「七期も連続して務めたF氏を中心に,ある政党に完全に支配された状態が続きました」というフレーズが適当に解釈されて拡散されている。F氏が憶測をよんでいるが,伏見康治は7年会長を務めたが,公明党の参議院議員(1983-1989)だったし(日本共産党ではない),福島要一という名前もでてきているが,彼は11期会員を務めている。まともに相手しないほうがよいのだろうけれど,影響力が残存しているので面倒だ。
歴代会長一覧第1期(昭24.1~昭26.1) 亀山直人
第2期(昭26.1~昭29.1) 亀山直人
第3期(昭29.1~昭32.1) 茅誠司
第4期(昭32.1~昭35.1) 茅誠司
第5期(昭35.1~昭38.1) 和達清夫
第6期(昭38.1~昭41.1) 朝永振一郎
第7期(昭41.1~昭44.1) 朝永振一郎
第8期(昭44.1~昭47.1) 江上不二夫
第9期(昭47.1~昭50.1) 越智勇一
第10期(昭50.1~昭53.1) 越智勇一
第11期(昭53.1~昭56.1) 伏見康治
第12期(昭56.1~昭60.7) 伏見康治
(昭57.10~昭58.5) 久保亮五
(昭58.5~昭60.7) 塚田裕三
第13期(昭60.7~昭63.7) 近藤次郎
第14期(昭63.7~平3.7) 近藤次郎
第15期(平3.7~平6.7) 近藤次郎
第16期(平6.7~平9.7) 伊藤正男
第17期(平9.7~平12.7) 吉川弘之
第18期(平12.7~平15.7) 吉川弘之
第19期(平15.7~平17.9) 黒川清
第20期(平17.10~平20.9) 黒川清
第21期(平20.10~平23.9) 金澤一郎
第22期(平23.10~平26.9) 大西隆
第23期(平26.10~平29.9) 大西隆
第24期(平29.10~令2.9) 山極壽一
第25期(令2.10~令5.9) 梶田隆章
2020年10月9日金曜日
学術会議(4)
学術会議(3)からの続き
学術会議の在り方問題に話を捩じ曲げてしまおうとする政府与党。在り方問題についてはこれまでも一定の議論がなされてきた。
(1)2003年7月の学術会議国際協力常置委員会による各国アカデミー等調査報告書では,旧7部制時代の各国アカデミーの比較であり,日本学術会議の予算は14億円だが,女性会員比率は3%にとどまっていた(現在は40%を越える)ころだ。科学アカデミーの設置形態は,欧米ではほとんどが非政府・非営利組織であるが,アジアは政府機関に位置づけられている。そうはいっても,例えば全米科学アカデミー(日本の20倍の予算・人員規模)でも設置には法令的根拠があり,年間予算のほとんどは,連邦政府機関から来ている。
(2)同じ2003年の2月には,総合科学技術会議(現在の総合科学技術・イノベーション会議)の専門調査会が「日本学術会議の在り方について」をまとめている。中央省庁改革の一環として当時総務省におかれていた日本学術会議の在り方を検討することになった。これを受けて7部制が3部制になり,会員選出方法も学会推薦から現行のものに変更され,連携会員が導入された。そこでは次のような提言がされている。
日本学術会議が、科学的水準の高い提言等の活動を行い、その権威を高め、社会に貢献していくためには、優れた研究者が科学的業績に基づいて会員に選出されることが重要であり、欧米諸国のアカデミーのco-optation方式(現会員による欠員補充)による選出を基本とすることが適切である。
政府は,総合的・俯瞰的というのをこのあたりから引いているのかもしれないが,これは学術会議全体として実現されるべき要件であり,会員選出過程の要件としては明文化されていない。なお,設置形態については「 最終的な理想像としては、国家的な設置根拠と財政基盤の保証を受 けた独立の法人とすることが望ましい方向であると考えられる」としている。
(3)これを踏まえて,2015年3月には「日本学術会議の将来展望を考える有識者会議」の報告書が出ている。2005年改革で(2)の大きな課題がクリアされていたため,ここではマイルドな提案しかかでてきていない。例えば,会員選考については次の記述がある。
その会員・連携会員は,自らの専門分野において優れた成果をあげていることに留まらず,様々な課題に対し,自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点をもって向き合うことのできる人材であることが望ましい。
菅政権を支える官僚はこれから,6名を排除した言い逃れの文言を編み出したようだが,抽象度が高すぎ,これを用いればすべての人事に介入する道を開いてしまう。予算の話も同様だ。
2020年10月8日木曜日
ネイチャーの論説
どうしてこんな世界になってしまったのか。
10月6日号のネイチャーが,"Why Nature needs to cover politics now more than ever" という論説を掲載した。政治が科学を蹂躙している例として,アメリカのトランプ大統領,ブラジルのボルソナール大統領,インドのモディ首相にならんで,日本の菅首相の学術会議の問題も取り上げられている。
その結論を引用すると次のようになる。
国が学術の独立性を尊重するという原則は、現代の研究を支える基盤の一つであり、この原則が侵食されると、研究と政策立案における質の基準と完全性に重大なリスクが生じる。政治家がこの誓約を破れば、人々の健康、環境、社会を危険にさらすことになります。
これが、ネイチャーのニュース特派員が、世界中の政治と研究で何が起こっているのかを見て報告するための努力を倍増させる理由です。それは、私たちの専門家の解説の著者が開発を評価し、批判し続ける理由です。
そして、本誌の編集ページでは、政治家に対して、学習と協力の精神を受け入れ、異なる視点を大切にし、科学的・学術的自治へのコミットメントを尊重するよう、引き続き呼びかけていきます。
科学と政治の関係を導いてきた慣習が脅かされており、ネイチャーは黙って見ているわけにはいきません。
ネイチャー 586, 169-170 (2020)
そして,Scienceにもとりあげられた。"Japan's new prime minister picks fight with Science Council By Dennis Normile Oct. 5, 2020"
2020年10月7日水曜日
学士院
インターネットの普及によって,情報の拡散力が圧倒的に強化された。その結果我々の予断(単純な因果/物語による思い込み)と一致するフェイクは瞬く間に拡がるが,複雑な現実を反映した正しい情報での上書きは困難を極めることになる。
学術会議問題でもフェイクが横行している。フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の肩書きを持つ平井文夫がフジテレビ系の番組で,「日本学術会議に6年在籍すれば日本学士院に行き終身で多額の年金がもらえる」というデマを振りまいて,視聴者の「劣情」を煽った。あいかわらずの政権擁護仕草だ。フェイクだという抗議が続いたが本人はまともな謝罪もしない。橋下が始めた維新話法と同じ構造。
日本学士院は,「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として文部科学省に設置されており,学術の発展に寄与するため必要な事業を行う」ことを目的としている。日本藝術院が,「芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関であり,芸術の発達に寄与する活動を行うとともに,芸術に関する重要事項を審議し,これを文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べることができる」とパラレルな関係にある。
日本学士院は,かつては日本学術会議の付置機関であったが,1956年に独立した。ノーベル賞級の学者だけが終身会員として選ばれており,現在の定員は150名である。日本芸術院のほうは,終身会員の定員が120名であり,それぞれ年金は250万円である。なお,文化功労者の年金は350万円,文化勲章にもこれが適用される。また,人間国宝(重要無形文化財の各個認定保持者)の場合は,年額200万円の特別助成金を交付されている。
学士院の会員(物故者を含む)で直接話をしたり目視したことがある人をチェックしてみた。大澤文夫(生物物理学),大塚久雄(西洋経済史),関集三(物理化学),中川善之助(民法),湯川秀樹(理論物理学),霜田光一(物理学),難波精一郎(心理学),山崎敏光(物理学)。
授業を受けたのは阪大の教養の心理学の難波先生。音響心理学の話がとても面白かった。心理学の半分はサルの糸魚川先生だったのかな。山崎先生は,学会でもよく見かけたけれど,ミューオン物理の集中講義がM1のときにあった。霜田先生は物理教育学会の理事会つながり。あとは,講演会などなど。1970年前後に金沢大学の学長だった中川善之助先生は金沢一中の先輩だが,自分が金沢泉丘高校の2年か3年のときに講演に来て下さった。「私がこれからする話は,将来きっと忘れてしまうと思うけれど」という講話の最初の部分だけが普遍的な真理としてきっちり記憶に残ってしまった。
ちなみに,ノーベル賞受賞者で目視したことがあるのは,J. バーディーン,湯川秀樹,T. D. リー,南部陽一郎あたりか。
2020年10月6日火曜日
学術会議(3)
学術会議(2)からの続き
安倍政権時代の2017年の前回の学術会議の105名の交代会員の推薦過程で,官邸が介入し110名超の名簿を出させたという話が出てきた。
菅首相は,記者会見を開くかわりに少数のマスコミに対するインタビューという形式を使って,逆宣伝を始めている。(1) 10億の予算を使った組織の,(2) 特別公務員に任命するが,(3) 現行の会員推薦過程は現会員が推薦できる仕組みになっている。という話を組み立てて,違法行為の正当化を図ろうとしている。
予算については,前回眺めたので,今回は会員推薦過程を調べてみた。
(1) 現会員及び現連携会員(特任の連携会員を除く。以下同じ。)は, 幹事会が定めた様式により,新たな会員候補者及び連携会員候補者を合わせて5人 以内(うち会員候補者は2人以内)推薦する。ということは,全分野に渡って,(210+2000) × (2+3)人以内の会員+連携会員の推薦が出るということか(*)。
(2) 上記の推薦書は選考委員会にあがる。選考委員会は,会長+副会長(3名)+各部の4名(×3)=16名で構成される。各部の4名のうち1名は役員(部長,副部長,幹事)。
(3) 選考委員会の下に3部(人文・社会科学,生命科学,理学・工学)の選考分科会が設けられる。各選考分科会は,各部の会員のうち,副会長,役員,委員会の委員並びに分野別委員会の委員長及び副委員長で構成される。委員会は,関連法規集に20余りあるがどの範囲なのだろうか。なお,この任期は改選前の9ヶ月間くらいである。
(4) 分野別委員会は,言語・文学,哲学,心理学・教育学,社会学,史学,地域研究,法学,政治学,経済学,経営学,基礎生物学,統合生物学,農学,食料科学,基礎医学,臨床医学,健康・生活科学,歯学,薬学,環境学,数理科学,物理学,地球惑星科学,情報学,化学,総合工学,機械工学,電気電子工学,土木工学・建築学,材料工学の30分野からなる。
(5) 選考委員会の結果は,幹事会に伝えられる。日本学術会議法の「第十二条 各部に、部長一人、副部長一人及び幹事二人を置く」と「第十四条 日本学術会議に、その運営に関する事項を審議させるため、幹事会を置く。2 幹事会は、会長、副会長、部長、副部長及び幹事をもつて組織する」から,幹事会は16名で構成される。
(6) この原案が総会で承認された後,改選会員が会長から内閣総理大臣に推薦される。菅政権の説明が匂わせようとしている委員の「世襲」的な恣意性が入る余地はない。
そうこうしているうちにも,研究者の分断は進んでいる。
(*) 改選期の会員が次期の会員を選ぶという話もみかけたので,上限はこれよりもかなり少ないのかもしれない。また,会員と連携会員は推薦数の計算はそれぞれ独立なのかもしれない。
[1]日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議(2015)
[2]日本学術会議における連携会員の主な活動について
2020年10月5日月曜日
学術会議(2)
学術会議(1)からの続き
制御されたネトウヨ(とその周辺のカスケード集団)や新自由主義的な御用学者による直接的な攻撃だけではなく,若手の科学者を中心として,今回の問題に対する冷笑的なあるいは反学術会議的な意見がめだつような気がする。
この問題は香山リカが指摘しているように,杉田水脈が先鞭を切ったヘイト側の科研費攻撃や国立大学攻撃と一続きの問題である。また,安富歩が指摘しているように,軍事研究への道(閉じた科学への道)を開くかどうかの分水嶺の問題でもある。あるいは,学術会議の担ってきた大学教育の分野別質保証の問題などを踏まえれば,高等教育への介入の先駆現象といえるのかもしれない。
令和二年度の日本学術会議の予算は,令和2年度内閣府所管一般会計歳出予算各目明細書の71pから見ることができる。総額は,10億4千9百万円で,日本学術会議の運営に必要な経費が5.5億円,科学に関する重要事項の審議等に必要な経費が5億円だ。小規模な単科大学の1/7程度のたいへん慎ましい予算である。一般職の職員が50人はりついており,庁舎費や情報処理業務庁の1億を除いた職員の人件費が約4.5億ということか。
業務遂行のための費用は,国際学術組織への分担金が1.1億円なので,会員や委員の手当てと旅費などが3.4億円ほどになる。残り0.5億円は国際会議関係と庁費だ。学術会議の会員自身は210名だが,連携会員が2000名おり,学術会議の会合や各種委員会への出席における旅費や手当てをイメージすればひとり平均20万円オーダーの簡素な運用を行っていることになる。
会員の構成をみても女性がかなり多いことがわかる。まあ,政権側には意図的に不正確な情報を流し,それを自発的に増幅する取り巻きがいるわけで,まともな科学アカデミーを維持できない国が滅びへの歩みを進めていくのは必須と思われる。
2020年10月4日日曜日
稲刈り
6.収 穫適期 刈取で良質米作り!確かに,昨日当りから稲刈りが始まっている。今朝の様子ではまだ1〜2割程度か。午後からは雨の予報なのだけれど,どうなるかな。
(1)刈取適期
出穂期の約45日後(全体の籾の9割程 度が黄色く変わった頃)。 平年は10月4日頃。
※刈遅れると、倒伏しやすく、穂発芽粒・胴割粒・茶米が増加し、玄米品 質が悪くなるため、適期刈取に努めること。
(2)乾 燥
・乾燥目標水分は14.5%。
・刈り取った籾の水分が高いときは、最初は低めの温度で予備乾燥。
(3)調 製
・高品質の米に仕上げるため、ライスグレーダー(網目1.8mm)で選別し、 屑米を除くこと。
天皇による皇居内の稲刈りは,うるち米の「ニホンマサリ」ともち米の「マンゲツモチ」で,併せて20株,9月15日に行われている。
2020年10月3日土曜日
学術会議(1)
第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
3 日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。
第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。
第二章 職務及び権限
第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
第四条 政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる。
一 科学に関する研究、試験等の助成、その他科学の振興を図るために政府の支出する交付
金、補助金等の予算及びその配分
二 政府所管の研究所、試験所及び委託研究費等に関する予算編成の方針
四 その他日本学術会議に諮問することを適当と認める事項
第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。
一 科学の振興及び技術の発達に関する方策
二 科学に関する研究成果の活用に関する方策
三 科学研究者の養成に関する方策
四 科学を行政に反映させる方策
五 科学を産業及び国民生活に浸透させる方策
六 その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項
第六条 政府は、日本学術会議の求に応じて、資料の提出、意見の開陳又は説明をすることが できる。
第六条の二 日本学術会議は、第三条第二号の職務を達成するため、学術に関する国際団体に 加入することができる。
2 前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府が新たに義務を負 担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。
参議院議員の小西洋之は,twitterで,「現時点で内閣府が認めた事実。確信犯だ」
として,以下の経緯を明らかにしている。
・H30(2018) に内閣府と内閣法制局で「総理が任命拒否可」の解釈を作成
・本年(2020) 8/31に105名推薦名簿を受理
・9月上旬に上記解釈を再確認
・9/16の菅政権発足後,9/24に6名除外した99名の任命起案を起草し,9/28決裁
6名が任命されないことが新しい委員の任期がはじまる10/1の2日前に,学術会議側に伝えられたようだが,その結果,時間の猶予もなくこの事態を招くことになった。
[2]日本学術会議
[3]日本学術会議の設立と組織の変遷
[5]日本学術会議関連法規集
[6]日本学術会議の沿革
[7]日本学術会議の在り方
[8]総合科学技術・イノベーション会議CSTI
[9]彼らが最初共産主義者を攻撃したとき(ニーメラー)
[10]滝川事件|天皇機関説事件|矢内原忠雄事件|河合栄治郎事件
2020年10月2日金曜日
2020年10月1日木曜日
10月1日では遅すぎる
「 10月1日では遅すぎる」は,イギリスの天文学者のフォレッド・ホイル(1915-2001)の1966年のSF小説。SFマガジンの1968年2月号から5月号まで4回にわたって連載されていた。SFマガジンの定期購読を始めたのはその年の秋からだったので,リアルタイムでは読めなかった。その後,SFマガジンのバックナンバーを収集したときにも読まなかった。ただ,タイトルはとても気になっていたので,ハヤカワSF文庫で読むことになった。
フレッド・ホイルは,ビッグバンを否定する定常宇宙論を主張したことで有名だ。また,SF作家としても「暗黒星雲」はじめいくつかのよく知られた著作がある。一方,ケンブリッジ大学の天文学研究所に所属し,元素合成の研究でノーベル賞をもらっていてもおかしくない業績があるので,決して変な科学者ということではない。
マイベストSFのひとつ,小松左京の「物体O」にもフレッド・ホイルは登場していた。このフレーズは長らく自分の印象に刻み込まれていた。伏見康治をもじった阪大理学部核物理の三伏教授が京大理学部地球物理の大隅教授に話している。
「この状態下では,いくらやってもやりすぎるということはないよ。むしろ立ちおくれているんだ。とにかく大車輪で情報を流さなくちゃならん。—フレッド・ホイルの"暗黒星雲"を読んだかい?」
「宇宙生成論か?」
「ちがうよ,小説さ。あの中で,非常事態に際しては,最も多くの情報をにぎるものが,権力を握るというアイデアがあるんだ」
「それがどうした?」
「鼻持ちならん学者のエリート意識だと言うのさ。政府相手の駆け引きだけで,政治の迷妄を逃れうるなんて甘すぎる考えだ。—もっと大衆を信頼すべきだよ。僕は出来るだけ多くの大衆に,できるだけ正確な情報を大量に流すつもりだ。とにかく勤労大衆の協力なくしては何もできないんだからね」
(小松左京:ハヤカワSFシリーズ3088「日本売ります」の「物体O」から引用)