朝の散歩で,Googleマップを眺めていたら前栽のあたりの名所旧跡マークで「亀趺(きふ)」というのがでてきた。さっそくいってみた。
前栽駅の北東徒歩7分にある黄檗宗の雲井寺といっても,無人の小さなお堂とお稲荷さんなどがあるだけだ。その一角に亀趺がある。雲井寺の地蔵堂というのが前栽駅前にあり,こちらの方は前をよく通るのでお馴染だった。
亀趺というのは石碑の台石の一種で,大亀の形をしている。これは実は亀ではなく,龍の九子の一つで龍になれなかった「贔屓(ひいき)」という想像上の霊獣だ。贔屓は「一生懸命努力して力を出すさま」を意味するとされた。やがて「特別に便宜を図ったり,力添えをする」という今の意味に転じた。
亀趺はもともと中国の貴族階級の風習だったが,江戸時代に日本でも取り入れられた。日本の亀趺(平勢隆郎)によれば,大名家の墓や神格の顕彰に用いられるようだが,なぜ,前栽の小さな寺にあったのだろう。
亀趺の上の碑の三面に銘文があったので,解読を試みたが,花崗岩が風化しているので,ちょっと全部はわからなかった(たぶん15%くらいは誤りかもしれない)。とくに第三面はほとんどだめだったので二面分だけ。
建立放蕩納妙連経
毎冩一字一華一香
合唱三拝喜捨一銭
皆成彿道以此功徳
八彿出世寺受授記
多宝證明韻言善哉
修瑜枷地右縁無縁
共雪昔雲財法二也
写真:天理前栽雲井寺の亀趺(2022.9.26撮影)
[1]亀趺を持つ石碑の系譜(藤井正直)
[2]亀趺を持つ石碑の系譜(二)(藤井正直)
[3]亀趺を持つ石碑の系譜(三)(藤井正直)
[4]日本近世の亀趺碑(平勢隆郎)
[5]日本近世の亀趺碑−その続(平勢隆郎)
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