2020年8月4日火曜日

月の飛ぶ村

三枝和子の「月の飛ぶ村(新潮社,1979)」を買ったのは,院生時代に購読していた朝日新聞の書評欄がきっかけだったと思う。SFの一種だと思ったからかもしれない。非常に密度の高い読書体験をすることができたので,それから三枝和子の書いたモノに注目するようになった。

あるとき,梅田の紀伊国屋書店か旭屋書店の書棚の上の方の段に「思いがけず風の蝶(冬樹社,1980)」を見つけた。その本はかなりのボリュームであったにもかかわらず,これは買わねばと思ったのも,別の書評の効果だったのかもしれない。その本によって,式子内親王の「玉のをよたえなはたえねなからへは 忍ふることのよはりもそする」と,京都の「糺ノ森」が自分の記憶にインプットされることになった。

なぜかこの本を抱えた自分が,研究室の後輩の横田晃敏君と一緒にいる記憶が残っている。


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