2020年8月24日月曜日

豊竹嶋太夫

豊竹嶋太夫が8月20日に 88歳でなくなっていた。最後にお見かけしたのは,奈良の西大寺の奈良ファミリーで買物をしているときだった。思わずサインをもらおうかと思ったが踏みとどまった。師匠もご家族といっしょに何か探しておられたようだった。

いつも日の当たるところにいた住太夫とは異なり,一度文楽から離れて再び戻ってきたという経歴の持ち主だ。残念なことに人間国宝になってからわずか半年で引退している。しかし,住太夫と違って嶋太夫は多くの弟子を育ててきた。津國太夫,靖太夫,芳穂太夫,睦太夫,千歳太夫(越路太夫から),呂勢太夫(呂太夫から),故始太夫など。これからの文楽太夫を担う面々だ。嶋太夫の2016年の引退興行の「関取千両幟」もこれらの弟子たちに囲まれていた。

嶋太夫の語りは発音にクセがあったので,はじめは聞きにくくて苦手だった。ところが,どの演目だったかはっきり憶えていないが,すごく熱のある語りを聞いてから,この嶋太夫の語りが好きになってしまった。その一部は,靖太夫に伝わっているように感じる。


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