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原子核スピンは高度にコヒーレントな量子オブジェクトである。大規模なアンサンブルにおいて,核磁気共鳴によってその制御と測定が行われ,化学,医学,材料科学,鉱業などで広く利用されている。また,原子核スピンは、量子情報処理の初期のアイデア[1]や実証[2]にも登場している。これらのアイデアをスケールアップするには,個々の原子核を制御する必要がある,つまり,原子核が一つの電子と結合したことを検出できるということだ[3, 4, 5]。
しかし,原子核との相互作用は振動する磁場によってもたらされる必要があるが,磁場を局所化したり遮断したりできないことから,多スピンナノスケール素子への組み込みは複雑になる。電場を用いた制御はこの問題を解決するだろうが,これまでの方法[6,7,8]では,電子と原子核の超微細相互作用をとおして電気信号を磁場に変換することに依存していたため,原子核スピンのコヒーレンスに重大な影響を与えていた。
ここでは,シリコンナノ電子素子内で生成された局所的な電場を用いて,単一アンチモン(スピン7/2)原子核のコヒーレント量子制御を実証した。この方法は、1961年に最初に提案されたアイデア[9]を利用したものであるが、これまで単一の原子核では実験的に実現されていなかった。我々の結果は,微視的な理論モデルによって支持されている。それは,原子核四重極相互作用の純粋な電気的変調が,格子歪みのもとで,コヒーレントな核スピン遷移をもたらすことを説明している。
その結果得られたスピン脱フェージング時間0.1秒は,電気的に駆動するために結合した電子スピンを必要とする方法で得られた結果を1桁以上回っている。これらの結果は,高スピンで四重極能率を持つ原子核が,完全に電気的な制御を用いて,カオスモデル,歪みセンサー,ハイブリッドスピン機械量子システムとして展開できることを示している。電気的に制御可能な原子核を量子ドット[10, 11]と統合することで,振動磁場を必要とせずに動作する,シリコン上でのスケーラブルな核・電子スピンベースの量子計算機への道が開けるかもしれない。
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arxivで見つかる Nuclear Electric Resonance には,日本のNTT−東北大−ERATOグループによる,"Electric-Field-Induced Nuclear Spin Resonance Mediated by Oscillating Electron Spin Domains in GaAs-Based Semiconductors" とか,"Spatial distribution of dynamically polarized nuclear spins in electron spin domains in the ν = 2/3 fractional quantum Hall state studied by nuclear electric resonance"とかが出てくる。ううむ,NERは自然言語処理分野では,Named Entity Recognitionのアクロニムなのか。
たんに,核四重極能率をつかったスピン制御というのであれば,ベータ崩壊の核整列における杉本−南園グループの手法とかわらないような気がするけれど,どこが本質的な違いなのだろうか。
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