2021年10月20日水曜日

MacBook Pro

 4月にMacBook Pro (mid 2012)を壊してしまって MacBookAir (2020 M1)に乗り換えてから半年たった。M1 MacBook Air は大変快調に動作している。夏場に少し熱くなったファンレスマシンだけれど,バックグラウンドで動いていたソフトを1つ外したところ,全く問題なくなった。これからはむしろ掌に冷たいボディの心配をする必要があるかもしれない。

さて,昨日(日本時間2021年10月19日未明)のAppleEventで,新しいM1 Pro/MAX チップを搭載した MacBook Pro が発表された。ネット上ではかなり盛り上がっている。新しいチップは,従来のM1チップに比べて面積が2〜3.5倍(トランジスタ数がMAXで570億個)。CPUコア数は8(高性能4+省電力4)から10(高性能8+省電力2)へ,GPUコア数は8から16/32へと増えている。メモリ帯域幅は200GB/s または 400GB/sで,従来のM1チップの3〜6倍である。

今のM1チップとシングルコアでの性能は変わらないそうで,マルチコアによる性能が1〜2倍の範囲で強化されるということになる。Appleの宣伝では大変素晴らしいことになっているが,あくまでも旧いIntelチップとの比較であり,実運用上どこまで確かなのかは試してみないとわからない。最も,動画編集をしない自分にはそもそも関係ない話かもしれない。

というわけで,新しいMacBookで一番良かったのは,TouchBARの廃止。TouchIDの採用,1080pのフロントカメラ,USB-C (Thunderbolt 4) × 3ポート,Magsafeの復活かな。3.5mmヘッドフォンジャックも残った。それに+10万円の価値があるかどうかという問題だけど・・・。

(1) MacBook Air  13":21.2 × 30.4 × (0.4-1.6) 1.3kg, 8CPU+8GPU, 16G+1T = 20万円

(2) MacBook Pro 14" (Pro):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,16G+1T = 30万円

(3) MacBook Pro 14" (Pro):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,32G+2T = 39万円

(4) MacBook Pro 14" (MAX):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,32G+2T = 43万円

(5) MacBook Pro 14" (MAX):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg 10CPU+32GPU,64G+4T = 54万円


写真:MacBook Pro 2021 のサイドビュー(Appleより引用)


写真:M1チップの面積(Appleより引用)

2021年10月19日火曜日

ルジャンドル変換(4)

 ルジャンドル変換(3)からの続き

ルジャンドル変換の例題を考えていて,$f(x=0)=f^*(p=0)=0$ならば,積分の図とうまく整合するのだが,そうでない場合にどうなるのかちょっと困った。そこで,簡単な2次関数の例で試してみた。

図:定数分の補正で説明できるルジャンドル変換の例

図左のように元の関数を,$f(x)=(x-a)^2+b$とする。このとき$x$が増加して$f(x)$が減少する部分があるので,正の面積だけでは表現できない。実際,図中で$f'(x)$は$0<x<a$で負になる。そこで,$f(x) = \int_0^x f(y) dy + C$として,初期値を$f(0)=(a^2+b)=C$,$x$軸以下の部分の面積を負の量として考える。

このとき,$f^{*}(p)= \int_{-2a}^p {f^{*}}'(q) dq - C$として,$f(x) + f^{*}(p) = x\,p$が成り立つことになる。図右には,結果としての$f^{*}(p)$のグラフを示している。このように積分領域や定数を適当に調整することで,面積によるルジャンドル変換の解釈はそのまま使えると思われる。

この例では,$x$の範囲は,$0<x$としているが,$x_\min < x < x_\max$の範囲で$f(x)$を定義し,これに対応する $p_\min < p < p_\max$ の範囲の$f*(p)$を考えて,定数分の補正をすれば良い。

2021年10月18日月曜日

ルジャンドル変換(3)

 ルジャンドル変換(2)からの続き

田崎さんの熱力学の付録HのLegendre変換によれば(変数$\alpha \rightarrow p$として),$f(x)+f^*(p) \ge x p$ というYoungの不等式が成り立つとある。ルジャンドル変換を一般化した凸共役性のところでも,フェンシェル=ヤングの不等式として示され,これらはルジャンドル変換の定義(min/maxを用いるもの)から直ちに導かれるとしている。

ところが,積分で表示した場合はどうなのかちょっと困った。まあ,不等号でmin/maxの条件に当てはまらないところを考えるということならば,単調増加する連続関数の積分における不等式で説明できたということにすれば良いのかな。

(例1)$f(x)=a x^2 + b x$のルジャンドル変換。$f'(x)=2 a x+ b =p$から$x=\frac{p-b}{2a}$が最小値を与える$x$である。これを用いて,$f^*(p) = x p - f(x) = x p - (a x^2 + b x) |_{x=\frac{p-b}{2a}} = \frac{(p-b)^2}{4a}$

(例2)$\alpha, \beta > 1, \frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}=1$として,$f(x)=\frac{1}{\alpha}x^\alpha$のルジャンドル変換。$f'(x)=x^{\alpha-1}=p$から$x=p^{1/(\alpha-1)}$が最小値を与える$x$である。これを用いて,$f^*(p) = x p - f(x) = x p -\frac{1}{\alpha}x^\alpha |_{x=p^{1/(\alpha-1)}} = p^{\alpha/(\alpha-1)} - \frac{1}{\alpha}p^{\alpha/(\alpha-1)} = \frac{\alpha - 1 }{\alpha} p^{\alpha/(\alpha-1)} = \frac{1}{\beta} p^\beta$となる。すなわち,$\dfrac{x^\alpha}{\alpha} + \dfrac{p^\beta}{\beta} \ge x p$ が成り立つ。

(例3)対応する変数を$(\dot{x}, p)$として,$f(\dot{x})=L(\dot{x},x)=\frac{1}{2}\dot{x}^2-\frac{1}{2}x^2$のルジャンドル変換。$\frac{\partial L(\dot{x},x)}{\partial \dot{x}}=\dot{x} = p$となる。これを用いて,$f^*(p)=H(p,x)=\dot{x} p - L(\dot{x},x) = p^2 - L(p,x) = \frac{1}{2}p^2 +\frac{1}{2} x^2$となる。

2021年10月17日日曜日

ルジャンドル変換(2)

 ルジャンドル変換(1)からの続き

ルジャンドル変換にかかわる関数として,2階微分が正であるC1級関数ではなくて,凸関数という表現を使っているのは,相転移点で微分可能でなくなるような熱力学的関数に対してもルジャンドル変換をしたいがためだとあった。

ということで,ある関数$f(x)$の1階微分$f'(x)$が不連続になるような場合を図示してみると次のようになる。この場合も$f(x)$は連続になっている。

通常,このような場合の関数$f(x)$のルジャンドル変換$f^*(p)$は,次の式で表現されている。

$f^*(p) = - \underset{x}{\min} \{ f(x) - p\, x \} =  \underset{x}{\max} \{ p\, x - f(x) \}$

一階微分できる点の場合はカッコ内を$x$で微分すれば,$p$と$x$が一意的に対応する。そうでない点の場合は,その点の左微分から右微分の値の範囲の$p$に対して,上記の条件から$f^*(p)$を定めることになる。


図:一階微分が不連続な場合のルジャンドル変換のイメージ


2021年10月16日土曜日

ルジャンドル変換(1)

 ルジャンドル変換は,積分を使って表現するとわかりやすいという説と通常の説明の対応について考えてみたい。この過程でtikzにおける塗りつぶし方法を練習した。


図:ルジャンドル変換のための説明図

原点を通る単調増加関数上の点C $(x,p)$があって,図のように矩形の領域をとる。矩形領域内で関数の下の部分の面積を$f(x)$,上の部分の面積を$f^*(p)$とすると,$f(x)+f^*(p)=xp$が成り立つ。$f^*(p)$が$f(x)$のルジャンドル変換になる。同様に,$f(x)$は$f^*(p)$のルジャンドル変換である。$f^*(p)$のルジャンドル変換は$f^{**}(x)$とも書けるから,$f^{**}(x)=f(x)$となって,ルジャンドル変換を2回繰り返すと元の関数に戻る。

この単調増加関数は,$x$の関数とすると$f'(x)$であり,$p$の関数と見れば${f^{*}}'(p)$となる。そこで,$f^*(p)$を求めるには,$p=f'(x)$を$x$について解いて,$x=\varphi(p)$を求めてから,$f^*(p) = x p - f(x) = \varphi(p) \cdot p - f(\varphi(p))$として求めることができる。

いいかえれば,$f(x) = x p - f^*(p) |_{p=f'(x)}$ として,元の関数$f(x)$が,傾き$p$と切片$ - f^*(p)$でも表現されるということになる。
/begin{tikzpicture}
\tikzstyle{every node}=[font = \Large];
\filldraw (0,0) circle(1pt) node[below left]{O};
\draw[->] (-2,0) -- (8,0) node[right]{$x$};
\draw[->] (0,-2) -- (0,8) node[above]{$p$};
\draw[step=1.0, dotted] (-2,-2) grid (8,8);
\draw [dotted, pattern=north west lines, pattern color=blue] (0,0) -- (1,1.3) -- (2,2) -- (3,2.4) -- (4,3)-- (5,4) -- (6,5.4) -- (6,0);
\draw [dotted, pattern=north west lines, pattern color=red] (0,0) -- (1,1.3) -- (2,2) -- (3,2.4) -- (4,3) -- (5,4) -- (6,5.4) -- (0,5.4);
\draw[domain=0:3, thick] plot(\x,{-0.2*(\x-3.5)^2+2.45});
\draw[domain=3:7, thick] plot(\x,{0.2*(\x-2)^2+2.2});
\filldraw (6,0) circle(1pt) node[below]{$x$};
\filldraw (3,2.4) circle(1pt);
\filldraw (6,5.4) circle(1pt) node[right]{C};
\node[below right] at (6.5,5.4) {$f^{'}(x)$};
\node[above left] at (6,5.4) {$f^{*'}(p)$};
\filldraw (0,5.4) circle(1pt) node[left] {$p$};
\draw[blue] (4,1) node{$f(x)$};
\draw[red] (2,4) node{$f^*(p)$};
\end{tikzpicture}

2021年10月15日金曜日

日本人のノーベル賞

日本における最近の科学や経済の衰退傾向から,将来,日本人の自然科学系のノーベル賞受賞者が出なくなるのではといわれることがある。一方,最近の中国や韓国は日本より科学技術,経済分野で先んじてはいるけれど,まだノーベル賞受賞者をどんどん輩出するようにはなっていない。

ある研究や発明がなされたときと,それが評価されて普及するようになるまでには時差があることが,その一因と考えられる。そこで,日本人(日本出身)の自然科学系のノーベル賞受賞者25名の,研究・発明年と受賞年をグラフに書いてみた。研究発表の時点から受賞までには平均で約26年かかっているようだ。

図: 日本人の受賞年(横軸)と研究発表年(縦軸)
(赤は時差が25.9年,オレンジは25.9±5年を表す)

湯川秀樹が最初に受賞してからの50年間では5名だけだったのが,2000年以後の20年間余で20名ということになる。1970年代から1990年代にかけて,日本の経済や科学を取り巻く環境が良かった時代を反映しているのかもしれない。

なお,上記のグラフを書くためのJuliaのコードは以下の通りであり,Gadfly.jl でグラフをオーバレイする方法がわかった。

using Gadfly
using Compose
using DataFrames
X = [1949,1965,1973,1981,1987,2000,2001,2002,2002,2008,2008,2008,2008,2010,2010,2012,2014,2014,2014,2015,2015,2016,2018,2019,2021]
Y = [1935,1947,1957,1952,1976,1976,1987,1985,1987,1962,1973,1973,1960,1977,1979,2006,1985,1985,1992,1997,1996,1992,1992,1985,1967]
Labels = ["湯川","朝永","江崎","福井","利根川","白川","野依","田中","小柴","下村","小林","益川","南部","根岸","鈴木","山中","赤碕","天野","中村","大村","梶田","大隅","本庶","吉野","真鍋"]

p1=layer(x=X, y=Y, label=Labels, Geom.point, Geom.label, Theme(major_label_font="CMU Serif",minor_label_font="CMU Serif",major_label_font_size=12pt,minor_label_font_size=12pt))
p2=layer(x->x-25.9, 1949,2035, color=[colorant"red"])
plot(p1,p2)
p3=layer(x->x-20.9, 1949,2035, color=[colorant"orange"])
plot(p1,p2)
p4=layer(x->x-30.9, 1949,2035, color=[colorant"orange"]) 
plot(p1,p2,p3,p4)

2021年10月14日木曜日

凸関数

 ルジャンドル変換について調べようと,田崎さんの熱力学谷村さんの資料を見ていたら,事前知識として凸関数(Convex Function)が要求された。それは次のようなものだった。

(1) 定義:ある区間で定義された実数値関数 $f(x)$ において,区間内の任意の点,$x_1 < x_2$に対して,$0 < \lambda < 1$ として,$f((1 - \lambda) x_1 + \lambda x_2) \le (1 - \lambda) f(x_1) + \lambda f(x_2)$ を満足する$f(x)$は凸関数であるという。

(2) 凸関数は連続である。

(3) 凸関数が2回微分可能な点$x$では,$f''(x) >0$である(2回微分できない点もある)。

(4) 任意の点$x_0$ で右微分$f'_{-}(x_0)$と左微分$f'_{+}(x_0)$が存在し,次の条件,$f'_{-}(x_0) < \alpha < f'_{+}(x_0)$を満足する定数$\alpha$に対して,$f(x) \ge f(x_0) + \alpha (x - x_0)$となる。

(5) 一階微分可能な点$x_0$では,$f(x) \ge f(x_0) + f'(x_0) (x - x_0)$ が成り立つ。


図:凸関数の定義のための補助図


2021年10月13日水曜日

請願権

衆議院選挙の東京8区における,山本太郎と立憲民主党の間での出馬問題についてのトークで,安富歩が請願権について述べていた。新自由主義的な日本維新の会推しで潜在的に学歴差別的傾向を持つ朝日新聞が,あれほどまで山本太郎をディスるのは,2013年の園遊会における天皇への手紙問題以来ではという説だ。

その山本太郎の問題点は,法律上の手続きにあるのであって,天皇への請願が禁止されているわけではないということだった。

日本国憲法第十六条

何人も,損害の救済,公務員の罷免,法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し,何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

請願法

第1条 請願については,別に法律の定める場合を除いては,この法律の定めるところによる。

第2条 請願は,請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し,文書でこれをしなければならない。

第3条 請願書は,請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は,内閣にこれを提出しなければならない

第2項 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは,請願書は,これを内閣に提出することができる。

第4条 請願が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは,その官公署は,請願者に正当な官公署を指示し,又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第5条 この法律に適合する請願は,官公署において,これを受理し誠実に処理しなければならない。

第6条 何人も,請願をしたためにいかなる差別待遇を受けない。

附則 この法律は,日本国憲法施行の日から,これを施行する。


2021年10月12日火曜日

フレッツ光 vs eo光

 最近,自宅のネットワークが遅いというクレームが上がってきている。コロナによる在宅勤務が進んでいるからなのか,なんとなくトラフィックが混んでいるような気がする。より大きな問題は,現在利用しているKCNの集合住宅向けインターネットサービス「Kブロードマンションプレミアム320特割」が下り最大320Mbps,上り最大10Mbpsのベストエフォートサービスであることだ。非対称はいいとしても上りが遅すぎるので,まともなビデオ会議が成立しにくいのだ。

ところでマンションの玄関にはフレッツ光(プラン2)とeo光の案内が貼っている。これでFTTHを実現すれば,速くなるんじゃないかなと思ったがいくつか懸念事項がある。(1) ほんとに速くなるのか,(2) アクセスポイントの機器(ONU)はどこに設置されるのか,(3) KCNのメールは使えるのか,などなど。

(1) フレッツ光eo光遅いを組み合わせて検索すると,出るわ出るわ,こりゃダメだ。前者はユーザが多すぎて,分岐が多いことが理由として挙げられている。マンションの共用部の光スプリッタあたりは1Gbpsと書いてあるが,これもベストエフォートなのでどうだか微妙だ。eo光の方は電話してみると,VDSL上下100Mbpsとのこと。なーんだ,紛らわしい。

(2) アクセスポイントが,現在の同軸線(TV)と電話線(NTT)のどちらあたりになるのかを知りたくてフレッツ光(NTT)のサポートに問い合わせたが,対応の官僚的なこと甚だしで,何にもヒントを教えてくれなかった。ウェブサイトもeo光の方が断然親切なのである。これなら同じNTT回線でもソフトバンク光にしたほうがマシかも。

(3) KCNのメールであるが,KCN側にフレッツ光ネクスト対応プランがあるので,これを使えばなんとかなる。最悪は,別プロバイダ回線でもアクセスできるようにKCN側に問い合わせて設定すればいいはずだが面倒だ。KCNのTV共同視聴設備点検に来たお兄さんに聞いてみたが,弱小KCNではマンションのFTTHになかなか手が出せなさそうだ。

(4) 別の解はないかと,Nuro光を調べたが,残念ながら天理市はサービス対象外。ふと,SoftBank Air はどうかと思ったら,これが思いのほか良さげである。いちいち無線ルータを買わなくてこれ一つで済むし,中継機も使える。問題は,天理市のこの辺りが最大200Mbps程度までであり5Gも使えないこと(これだから田舎は悲しい)。ソフトバンクの5G次第でこれも今後の選択肢になりそうだ。

いずれにせよ,現在のKCNのインターネットは2年縛りで継続されているので,解約できるのは,オリンピック開催年(2000+4n)の7月から9月の間だけである。さもなければ,8800円の解約金が取られるという寸法だ。


図:現在のKCNのKブロードプレミアム320の回線速度(朝7:00)

2021年10月11日月曜日

mas

 macOSのアプリは,Mac App Soreを経由してインストールするのが普通である。このためのアプリ名がApp Soreでなので,iOSやiPadOS用のサービス兼アプリの App Storeと同じ名前になっている。微妙にややこしい。

macOSのApp Storeアプリは普通のアプリケーションソフトウェアなので GUI(グラフィッカルユーザインターフェイス)でアクセスする。可もなし不可もなし。この CLI=CUI(コマンドラインインターフェース)版で mas(mas-cli)というものがあることがわかった。しかも,homebrewで簡単にインストールできた。使用例は次の如し。

$ mas list

863486266 SketchBook (8.7.0)
539883307 LINE (7.2.0)
640199958 Developer (9.2.3)
409222199 Cyberduck (7.10.2)
409183694 Keynote (11.2)
405399194 Kindle (1.33.0)
895264364 DjVu Reader Pro (2.5.8)
1380563956 辞書 by 物書堂 (1.2.15)
682658836 GarageBand (10.4.3)
1482454543 Twitter (8.82)
1496833156 Playgrounds (3.4.1)
425424353 The Unarchiver (4.3.3)
1168254295 AmorphousDiskMark (3.1)
1055273043 PDF Expert (2.5.18)
409203825 Numbers (11.2)
497799835 Xcode (13.0)
1153157709 Speedtest (1.22)
409201541 Pages (11.2)
721540800 PDF to DjVu (1.3.0)
1465576485 GraphicConverter 11 (11.5.2)
408981434 iMovie (10.2.5)
1438772273 Cinebench (23.2)
1024640650 CotEditor (4.0.8)
405843582 Alfred (1.2)
1444383602 GoodNotes (5.7.36)
1272842196 egword Universal 2 (2.2.11)
古くなってしまった(outdated)アプリケーションを更新する(upgrade)こともできるらしいのだが,どうもそれはうまくいかなかった(できたのもあるが)。

2021年10月10日日曜日

円筒電荷分布の電場(2)

円筒電荷分布の電場(1)からの続き

 直感的な説明はできた(と思う)ので,次に積分を真面目に計算してみる。

$z$軸を対称軸とする半径$R$の円筒に,面密度$\sigma$の電荷が一様に分布している。$x$軸上の点Pは座標$(r,0,0)$であり,この点における電場を計算しようというわけだ。このためには円筒面上のすべての電荷素片がP点に作る電場を重ね合わせればよい。

いま,円筒面上に点Qをとり,その近傍の電荷素片は$\sigma R d\theta dz$の電荷を持っている。なお,$\theta$は電荷素片を$x-y$平面に射影した点と$x$軸のなす角度である。この点Qの座標は,$(R \cos \theta , R \sin \theta , z)$である。そこで電場の式は次のようになる。

$ \bm{E}(P) = \dfrac{ \sigma}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{-\infty}^{\infty} \int_0^{ 2\pi} \dfrac{(r-R \cos \theta , - R \sin \theta ,  -z)}{(r^2-2 r R \cos \theta + R^2 + z^2 )} R d \theta dz $

ここで,$z$軸方向の対称性からP点での$E_z$は0,$y$軸方向の対称性からP点での$E_y$も0となる。さらに,$x$軸方向の電場は,$\theta = 0 \sim \pi$と$\theta = \pi \sim 2 \pi$で同じ寄与となるので,片方を計算して2倍すれば良い。つまり,$E_x$だけが残っていて,

$E_x(P) = \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{-\infty}^{\infty} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{(r^2-2 r R \cos \theta + R^2 + z^2)^{3/2}}$

ここで,$s^2=r^2 - 2 r R \cos \theta + R^2$,$z=s \tan \phi$ として,変数$z$を$\phi$に書き換えると,\begin{equation*} \begin{aligned} E_x(P) &= \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{- \pi / 2}^{ \pi / 2} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^3  (1 + \tan^2 \phi )^{3/2} } d \theta \dfrac{s d \phi}{\cos^2 \phi}  \\  &=  \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{- \pi / 2}^{ \pi / 2} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^2} d \theta \cos \phi d \phi  \\ &=  \dfrac{4 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^2} d \theta  \end{aligned} \end{equation*}

さらに,$\tan \theta/2 = t $とおいて有理関数の積分にする。このとき,$d\theta = \frac{2 dt}{1 + t^2}$,$\cos \theta = \frac{1 - t^2}{1 + t^2}$であるから,

\begin{equation*} \begin{aligned} E_x(P) &= \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \int_0^\infty \dfrac{r -R \frac{1-t^2}{1+t^2}}{r^2 - 2 r R \frac{1-t^2}{1+t^2} + R^2 } \dfrac{2 dt}{1+t^2}  \\  &=  \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \int_0^\infty \dfrac{r (1 + t^2) -R (1 - t^2)}{(r^2 + R^2)(1 + t^2) -2 r R (1 - t^2) } \dfrac{2 dt}{1 + t^2}  \\ &=  \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \dfrac{1}{r} \int_0^\infty \Bigl\{ \dfrac{1}{1+t^2} - \dfrac{R^2 - r^2}{(R-r)^2 + (R+r)^2 t^2} \Bigr\}dt \\ &=   \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \dfrac{1}{r}  \Bigl[ \tan^{-1} t  - \tan^{-1} \frac{R+r}{R-r} t \Bigr]_0^\infty  dt\end{aligned} \end{equation*}

したがって,$R>r$の場合は,$ E_x(P) =0$,$R<r$の場合は,$ E_x(P) =\dfrac{\sigma R}{\varepsilon_0 r}= \dfrac{\lambda}{2 \pi \varepsilon_0 r}$となる。$\lambda=2\pi \sigma R$は円筒の線電荷密度である。


図:円筒電荷分布がP点に作る電場

2021年10月9日土曜日

円筒電荷分布の電場(1)

球殻のような 球対称の電荷分布については,電荷分布の外側ではそのすべての電荷が球の中心に集中したとして,クーロンの法則を適用した電場を考えればよい。また,電荷分布の内側では,電場を計算したい点より外側の(原点からより遠い)電荷による寄与はすべて打ち消しあい,その点より内側の(原点により近い)電荷だけを先ほどの方法で考えれば良いことがわかっている。

これは,同じ距離の逆二乗則に従うニュートンの万有引力についても同様であって,入試問題などでもよく扱われるし,大学初年級の力学の教科書でも取り上げられることが多い。ちょっと面倒だが,丁寧に積分すれば導けるし,球殻内の点から見込む立体角の性質を使えば,2つの領域からくる万有引力の打ち消し合いのイメージは直感的に理解できる。

ところで,電磁気学の問題で,無限に伸びた軸対称の円筒状の電荷分布による電場を求めるというものがある。球の場合と同様に電荷分布内部の点での電場は,その点より内側の電荷だけを考慮してガウスの法則を当てはめると,対称性を用いて簡単に電場を計算できる。

その,電場を計算する点より外側の電荷による寄与が無視できるということは,当たり前すぎるのか,対称性からゼロになると簡単に書いてあるだけで,あまり丁寧な説明にお目にかかったことがない。もちろん,積分による証明もそれほど見かけない。


図:軸対称円筒電荷が作る電場

ということで,簡単なイメージ図を書いてみた。無限円筒状電荷分布をz軸に垂直な面で切ったものであり,対称性から電場ベクトルはこの平面内で円の中心を通って電荷素片から外側または内側に向く成分だけが残ることになる。

ここにガウスの法則を当てはめれば,外側のF点では,DとEの電荷素片が作る電場要素が同じ大きさの寄与をして加えあう。また,内側のC点では,AとBの電荷素片が作る電場要素が互いに逆向きの寄与をするため打ち消しあう。

このとき,電場の大きさかける面積要素が左辺,電荷面密度かける面積要素を真空の誘電率で割ったものが右辺となる。例えば,右図の Fd+Feで考えれば,$E_r \cdot r \delta \Delta z = \dfrac{\sigma R \delta \Delta z}{\varepsilon_0} $。なお,$\delta$ は面積要素を見込む微小角度である。これから,$E_r  =  \dfrac{\sigma R}{r \varepsilon_0} = \dfrac{\lambda}{2 \pi \varepsilon_0}\dfrac{1}{r}$となる。ただし,$\lambda = 2 \pi R \sigma $は,電荷線密度である。

2021年10月8日金曜日

後期の授業

後期の非常勤のオンライン授業が一回りして いよいよ忙しい。後期は,同志社大学の物質の科学2×2コマ+量子物理学+物理学Ⅲ+物理課題研究プロジェクト+理科2 1/2コマの合計5.5コマと,前期の物理実験デザインプロジェクト1コマに比べて集中している。なんとバランスの悪いことか。

大阪教育大学では11月10日までオンライン授業であり,その後は対面授業となるのだが,3基あるエスカレータの1号機と2号機の更新工事があるので,階段を登らなければならない。おまけに12月から始まる夜間学部の理科2は天王寺キャンパスの夜間7限の授業(19:40-21:10)なのであった・・・orz


写真:12月末まで更新工事中のエスカレーター(撮影:2021.10.1)


2021年10月7日木曜日

名字マップ

 名字マップというのがあった。

この日本の名字マップは,電話帳や住宅地図の表札名の約4千万件のデータを,都道府県ごとに集計し,地図化したものです。表示方法としては絶対数と特化係数が選べます。また,2画面で異なる名字を地図化したり,絶対数と特化係数の地図を比較したりできます。

特化係数:当該の名字が各都道府県でどの程度特化しているかを示したもので、最大値が100であれば、全国的に均等に分布していることになります。

早速試してみたが,マイナーな名字ではあまり有り難みがないのだった。越桐だと,石川2,東京2,福井1,千葉1,奈良1,兵庫1の計8件である。特化係数は石川と福井で2500程度,ついで奈良の1000ということだった。ちょっとこの係数のイメージが掴めない。


図:2種類の名前の特化係数の比較例(© OpenStreetMap contributors

2021年10月6日水曜日

プリンタ廃インクエラー

 昔は,研究室や家庭用のインクジェットプリンタとしてはCANONを使っていたのだけれど,なんで魔がさしたのか,6,7年前に自宅のインクジェットプリンタをEPSONのEP-805AWに変更した。2012年9月の発売だが,買ったときは若干古いモデルになっていたかもしれない。

この機種の修理対応期限は2018年7月になっている。廃インク吸収パッドがいっぱいになると警告が出て,リセットしなければ再び使えなくなる。EPSONのQ&Aサイトには次のようにある

「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました。」または「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に近付いています。」のエラーが表示された場合の対処方法を教えてください。

 PCまたはプリンター本体に廃インク吸収パッドのエラーが表示された場合は,部品交換が必要です。お客様ご自身での部品交換は,行うことができません。部品交換の作業は,弊社修理センターにて承ります。なお,修理対応期限(補修用性能部品の保有期間)が経過した製品については,修理の受付は行われておりません。お手数ではございますが,製品のお買い換えをご検討ください。

えーっ,阿漕な商売である。6年経てば無理矢理買い替えされられるのだった。早速インターネットを調べてみると,1000円くらいで,廃インクカウンタのリセットツールが販売されていて,化粧用コットンで吸収パッドを代替できるという親切なYouTube動画がたくさん公開されていた。

早速トライしてみた。Amazonでリセットユーティリティを注文したところ,最短5分で届くはずがうんともすんとも返事がないので騙されたかと思ったら,6時間後に無事にメールでマニュアルとソフトのダウンロード先と解除パスワードが送られてきた。マニュアルの説明はWindowsのものであって,Macの場合全く参考にはならなかったが,指示通りに進めてことなきを得た。

問題は,吸収パッドのDIYであり,スギ薬局で高いオーガニックコットン(サイズが一番大きかった)を買ってしまって叱られながら,なんとか無事に作業を終えた。安物ドライバの先端が磁化されていないので,奥深いネジの締め付けが一番の難所だった。

とりあえず,今日のところは動いているので良いことにしよう。ダメなら買い替えるしかないけれど,次に買うならインクタンク式かなあ。最終的に元が取れるかどうかわからないけど。


図:WIC Reset Utilityの最終画面(自動的に指示が出て誘導された結果)


写真:廃インク吸収パッドエラーと廃インクタンク(撮影 2021.10.6)




2021年10月5日火曜日

ノーベル物理学賞2021

 今年のノーベル物理学賞が,Syukuro Manabe(米),Klaus Hasselmann(独),Giorgio Parisi(伊)の3名に決まり,ニュースは予想通り(米国籍でも)日本人の眞鍋淑郎さん(1931-)の話題で集中している。NHKでは,最近心配されている日本の科学技術力の低下と結びつけつつ,それを跳ね飛ばす成果だ的なストーリーを組み立てていた。米国で研究基盤を築いた人が1960年代後半に成し遂げたことを,現在の日本と結ぶのはかなり無理筋だと思うけど。

で,あらためてノーベル賞のページを見てびっくりした。全体が環境問題の話なのかと思っていたら,なんとG. Parisi(1948-)が入っている。いや統計物理学が専門でなくても,Parisi-Wuの確率過程量子化は目にしている(スピングラスのレプリカ対称性の破れの方は知らなかった)。なんだこの組み合わせは,と思ってよく見れば,"for groundbreaking contributions to our understanding of complex systems" となっている。小林・益川・南部のときもちょっと驚いたがその比ではない。

複雑系といえば大気運動に端を発するローレンツアトラクタがカオスの先駆けのように扱われているのでまああながちおかしくないのかもしれない。選考委員会による受賞理由説明は次のような組み立てになっていた。

FOR GROUNDBREAKING CONTRIBUTIONS TO OUR UNDERSTANDING OF COMPLEX PHYSICAL SYSTEMS

I. INTRODUCTION (1.5p)

 A. Instability and nonlinearity underlie multiscale complexity and stochasticity

 B. Stochasticity and Disorder Imply Predictability

II. CLIMATE PHYSICS: BACKGROUND AND HISTORY (0.5p)

III. DEVELOPMENT OF MODEL HIERARCHIES (5.5p)

 A. Energy balance models

 B. Generalized Deterministic Energy Balance Models (EBMs)

 C. The Emergence of Numerical Climate Models

 D. Stochastic Theories

IV. USING OBSERVATIONS TO TEST MODELS (1p)

 A. Fingerprinting

V. THE VASTNESS OF THE LANDSCAPE OF DISORDER (2.5p)

 A. Replicas, Spin Glasses and Frustration.

 B. Solving the Replica Symmetry Breaking Problem

 C. Applications and Implications

VI. SUMMARY

賞金の1/2を占めるParisiについては 2.5p程度の控え目な記述だった。やはり物理学に基づくシミュレーションとはいえ,気象学(地球科学)の人達が物理学賞に入るというのは結構インパクトが 大きいので丁寧な説明が必要だったのだろうか。IPCCについての言及も当然あるが,2013年のものであり,今年示された人為的気候変動の確立ということが大きく影響したわけでもないかもしれないが。


図:真鍋淑郎の気候モデル(ノーベル財団より引用)

2021年10月4日月曜日

ビットレート

 ビットレートとは,データを伝送する際の単位時間あたりの伝送情報量であり,単位としては bps(ビット毎秒 B/s)がよく用いられる。情報科学としての厳密は話はややこしいのでざっくりした話をする。

パソコン通信などのネットワークへのアクセスは,1980年前後に音響カプラーの300bpsから始まって,1200bps,9600bpsとモデムの時代を体験してきた。そのうち64kbpsのISDNが普通の家庭にもやってきたので,早速これによってインターネットのアクセスポイントに繋ぐことになる。アクセスポイントはどこだったのか・・・

それはそれとして,今の関心事はマルチメディアデータのビットレートと品質の関係だった。ビットレート=サンプリング周波数 × 量子化ビット × チャンネルなので,CD-DA(音楽CD)の場合は,41.1kHz × 16 bit × 2 = 1441.2k bpsとなる。

非可逆圧縮の音声MP3では,様々なビットレートに対応している。96kbpsが低品質,192kbpsが中品質,256kbpsが高品質だとのこと。自分の教材は144kbpsなので中品質のあたりか。

YouTubeなど映像の場合は,128-384kbpsがビジネス向けのテレビ会議品質とのことで,自分の教材の288kbpsはその範囲では中位になる。10分で20MBのオーダーのmp4ファイルになっていた。

これが,YouTubeの高品質なコンテンツでは,HDの1080p(1920×1080=200万画素)の60fpsでは,6.8Mbpsということになり,10分で500MBのmp4ファイルが必要になる。音楽の方でもハイレゾということで,96kHz×24bit×2 = 4608kbps = 4.6Mbpsのレベルのコンテンツが要求される時代になっている。


2021年10月3日日曜日

USB-DAC

 オンライン授業の1回目を配信した後で,「ノイズが大き過ぎて聞き取れない,ノイズキャンセリングマイク使ってください」というコメントがあった。昨年は,「声が小さい」というのが何件かあったので,できるだけ iPhone内蔵マイクには口を近づけるようにしていた。

そもそも,オンラインデジタル教材は「遠隔授業のばたばた(2)」にあるように,iPhone のボイスメモ(非可逆圧縮)で収録した音声の m4aファイルと,iPadの GoodNotes5による手書きノートの jpgファイルを,MabBookAirに転送して,ffmpegでマージして mp4ファイルにしたものだった。

音声の収録に,iPhone内蔵マイクを使っていたのを反省して,多少はマシだと思われるEarPodsのマイクを使うことにした。これも3.5mmジャックで MacBook Airに繋ぐか,ライトニングで iPhone SE2に繋ぐか迷ったけれど,とりあえずライトニングの方を選ぶことにして,ffmpegの音声のビットレートを 72kから144kに上げてみた。

#!/bin/sh
for arg in "\$@"; do
 sips -z 880 660 \$arg.jpg
 ffmpeg -loop 1 -i \$arg.jpg -i \$arg.m4a -ab 144k -vb 288k -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -shortest \$arg.mp4
done


これで解決するかどうかよくわからないけれど,いきなり数万円のコンデンサーマイクを買うのもどうかと思うし,ちょっと関心がある AirPods Proにしたところで目的は達成できなさそうだ。これに至る過程でいろいろ調べてみたけれど,音声入力は奥が深くて難しい。

(1) USB接続のノイズキャンセリングヘッドセット(数千円から1万円)を探してみたが,どうもしっくりこない。

(2) アナログ–デジタルの変換やインピーダンスと入力ゲインに鍵がありそうで,USB-DACというものがあることに気づいた。3.5mmジャックをUSB-Cに変換するタイプが1500円からある。これだと思ったが調べてみると EarPodsのマイク入力には対応できそうでない。

(3) ソフトウェアでノイズキャンセルをAI的に処理するものとして,Krispがあったので早速無料版をインストールしてみたが,今ひとつ要領を得なかった。

(4) コンデンサーマイクは1万円からあるけれど,大き過ぎてどうもしっくりこない。iPhoneのライトニング端子に直挿しするzoomのiQ7が対応アプリのHandy Recorderとの組み合わせで良さげであるが,もう少し様子見をする(電波でプチプチ雑音が入るのが難らしい)。

(5) なんだかんだいって,結局 余分なコストゼロで済ませられる EarPods 単体が最も良さそうだなあ。

YouTubeばかり見ていると素晴らしい音質に慣れてしまうのだけれど,これらのYouTuber は数万円から数十万円のマイクやオーディオ環境を整えているので,なかなか簡単には手が届かないということを学生さんは理解してくれるだろうか。

あるいは自分の方がどこかで間違っているのかもしれない。なにせ,高齢者なので高音域の感度が全く悪くなっており,変なノイズもそもそも自分では聞き取れていない可能性も高い。聞こえチェックで,60代の10,000Hzがクリアできないのだから。


写真:zoomのiQ7(Amazonより引用


2021年10月2日土曜日

iPhone

 携帯電話からの続き

まだMacWorldExpoがあったころ,2007年の1月9日にスティーブ・ジョブズが iPhone を発表した。これですけどね。ほとんど感動ものでした。

さて,当時の54歳の自分はこのころ何をしていたのだろう。インターネット狂想曲がおさまって5年たち,子供達も大きくなって写真もほとんど残っていない時期だ。研究室の分属学生も少なかった。過去の手帳をみてもほどんど白紙(手帳を失くして買い替えた年だろうか)。

日本では,孫正義のおかげでソフトバンクでiPhoneが買えるようになったのが,2007年6月の米国の発売から約1年後の2008年の7月11日であり,そのちょうど1ヶ月後の2008年8月11日に天理市役所近くのソフトバンクショップで購入したのが,iPhone3Gだ。

それまで使っていた携帯電話と最も違っていてよかったのが,GPS機能のついた地図だった。また,さまざまなセンサーを駆使して視覚・聴覚・触覚に訴えるアプリケーションが次々と登場するのも珍しくて,卒業生との飲み会で散々自慢したのだった。通勤時にはずっと手に持ったままだったので,平端駅で電車から降りるときに足を踏み外したくらいだ。

翌2009年にはiPhone3GSが発売され,ハードウェア機能が大幅に強化されたため,早速機種更新に走った。これでようやく実用的にも使えるマシンとなったような気がする。院生の市川君と「携帯情報端末の加速度センサーによる実感をともなった運動の理解」を書いたのもこのころだ。今では,誰もが当たり前のようにこれを使える環境が整っている。ただ,GIGAスクールの時代であっても,必ずしも体系的かつ全面的にこうした授業プランが展開されているわけではない。

2年後の2011年のiPhone4Sからはホワイトモデルを買うようになった。ここに至ってようやくiPhoneフィーバーがおさまってきたと同時に,電車で周りを見回すとみんなiPhoneを持っているという時代がやってきたのだった。そして,2015年末か年明けにiPhone6Sを買ってしばらくしたころには,必要な機能がほぼ充足されると同時に革新的な新機能の登場も少なくなり,自分の中のiPhone熱も冷めてしまった。新機種に対応しようという気分がなくなったのである。もう歳なのであった。

2020年にiPhone SE2に更新した話は既に書いている。あと何種類の端末と出会うことになるのだろうか。


写真:この頃が一番よかったのか?iPhone 4S(Wikipediaより引用)

2021年10月1日金曜日

携帯電話

 2008年8月11日に最初のiPhoneを手に入れるまでは,普通の携帯電話を使っていた。どの機種だったか既に記憶が薄らぎ始めているので,記録しておこうとしたが,必要な情報に辿り着くのがなかなか至難の技だった。

ケータイを買おうと決めたのは,i-Modeが始まったのがきっかけだった。これでi-Modeの教育コンテンツサイトを作れるならば価値があると思った。仕事帰りに,自転車で24号線沿いのドコモショップまで走ってパナソニックのP502iを入手した。ところがなぜかP502iの情報があまり見つからないのだ。

たぶん,2000年の3月ごろから関西で先行販売されていたようだが,しばらくたった2000年から2001年にかけての冬に購入したのではなかったか。モノクロディスプレイで,幅43mm×奥行き130mm×高さ16mm,重量は約69gのコンパクトなストレートタイプ。本体色はプレシャスブルー(紺色)を選んだ。


写真:P502i HYPER プレシャスブルー(インプレス ケータイWatchから引用)

2000年代の前半は,次々と新しい携帯が登場する新製品ラッシュの時期だった。カメラが搭載されディスプレイがカラー化されて,画面のタッチセンサーを除いて,今のスマートフォンのベースが出来上がった。

NTTドコモ向け端末では,NECのNシリーズがよくなってきたのでこれに乗り換えることになる。2年後の2002年11月に,N504iSが登場した。当時主流の折りたたみ式になり,31万画素のCMOSカメラが搭載され,2.5インチ163×216ドットのTFTカラー液晶画面になった。丸くてぽっちゃりしたボディだった。


写真:の1インチサブディスプレイ面(Wikipediaより引用)

これは,当時のほぼ必要な機能を備えていたので長く使った。次に機種変更したのは,5年後の2007年11月に発表されたN905iμである。薄型化を図るためにN905iよりは若干機能が絞られていたが,デザイン性からこれに決めた。残念ながらiPhoneが2008年夏に始まったので,これは娘に譲ることになった(のではなかったか・・・)。


写真:N905iμの全体像(インプレス ケータイWatchから引用)