2026年11月7日土曜日

福井県年縞博物館

年縞博物館からの続き


写真:年縞博物館(2026.10.30撮影)

諸般の事情で突如福井旅行が実施される運びとなった。

目的地の一つが福井県年縞博物館である。NHKテレビでみてから(注:放送大学の間違い)一度行きたいと思いつつ,なかなか機会がなかった。敦賀からJR小浜線で30分ほどである。小浜線は午前8時台から12時台まで電車が走らない。それ以外は1時間に1本で,交通系ICカードは使えない。敦賀駅の改札を通過してからあわてて逆戻りした。なぜここに新幹線を通そうとしているのだ。米原経由にしてほしい。

幸いなことに,午前中の雨が上がったので,最寄りの三方駅から三方五湖の一つの水月湖の横の縄文ロマンパークにある年縞博物館まで歩くことになった。徒歩20分ほどだが,道はクネクネしていてGoogleマップ頼りだ。山と湖と川と海が接近している地域で,縄文遺跡もある。当時は住みやすかったのだろう。今は天理の田舎と同水準の田舎である。

年縞博物館はシンプルな構造で,最初に5分ほどの紹介動画を見せられた。その後,静かな汽水湖である水月湖の38mの湖底に7万年にわたって沈殿堆積した年縞45m分をスライスしてステンドグラスに固定した標本が直線に並んでいる展示館を見る。季節によって堆積物が違うので,年輪のように1年で0.7mmの幅の縞模様が出来る,これが年縞(varve)だ。

7万年の歴史の中では,火山の大噴火とか地震とか,あるいは長期の気候変動だけが年縞に大きな印をつける。

70年の人生はその1/1000になる。人類が誕生して,旧石器時代から江戸時代くらいまで,社会がゆっくりと繰り返している間は,年寄りはそれなりに経験を積んで知恵が集積した存在として価値があったのではないかと想像される(雰囲気ね)。年縞のように縦に経験が蓄積してゆくわけだ。

ところが,産業革命後から現在に至り,科学技術や社会の変化の速度はあまりにも速すぎる。したがって,老人には経験に基づいた知恵は知識はたまっていかない。コンピューター,インターネット,スマートフォン,AIの登場も若い世代とと老いた世代は並行して経験することになる。むしろ老いた分だけ理解は深まらず,身体化もされない。経験の蓄積は縦ではなく横に火山灰が降るように進行し,それは年縞をつくらない。


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