国土地理院の地理教育の道具箱のページに,イラストで学ぶ過去の災害と地形の資料ができたとアナウンスされたのは5月27日のことだった。これは,「過去の災害と地形を比較することで災害の危険性を直感的に学び,類似する地形にはどんな災害の危険性があるか把握することを目的としている」。
それが,2ヶ月後の7月28日の日経の夕刊に取り上げられていた。なんの埋草だったのだろうか?
芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
国土地理院の地理教育の道具箱のページに,イラストで学ぶ過去の災害と地形の資料ができたとアナウンスされたのは5月27日のことだった。これは,「過去の災害と地形を比較することで災害の危険性を直感的に学び,類似する地形にはどんな災害の危険性があるか把握することを目的としている」。
それが,2ヶ月後の7月28日の日経の夕刊に取り上げられていた。なんの埋草だったのだろうか?
夏休み子ども科学電話相談はNHKのラジオ番組だ。毎週日曜日の午前10時05分から午前11時50分まで放送されているが,東京オリンピック2020のせいで今年は8月8日と22日だけになった。夏休みの宿題のヘルプを考えていたこども達にとってはちょっと残念かもしれない。
そこで,インターネットの有志が夏休み子ども科学インターネット相談をYouTube上に立ち上げた(NHKのものとはまったく関係がなく,無保証・無答責です)。7月25日にアップロードされた第1回目は,いきなり考古学で「Q.各文明で大切だった宝石は? Q.書記坐像の人は何を書いてるの?」というものだった。googleドキュメントにこの質問や回答者のリストがみられる。
高校生の時に北陸放送ラジオの番組で,同じような子ども電話相談室があった。児童文学者のかつおきんや(1927-2020)さんと,理系は理科教育センターの先生みたいな人が二人で対応していたと思う。覚えている質問は「仏教の三千大世界とアインシュタインの相対性原理の関係はどうなっているのですか」というものだ。リアルタイムの番組なので,なかなか質問をセレクトするのが難しく,回答者も困っていた。
7月23日にスティーヴン・ワインバーグ(1933-2021)が亡くなった。88歳だった。ワインバーグ・サラム理論の一片をなす,1967年の A Model of Leptons Phys. Rev. Lett. 19 (1967) 1264–1266 はまともに読んでいない。横尾由松先生の院生向け自主講義を聴講し,E. S. Abers and B. W. Leeの Physics Gauge Theories Physics Reports Vol. 9 No. 1 (1973) 1-141 を途中まで読んだだけなので,結局のところ十分に理解はしていない。でも,なんだか美しくないと感じてしまうのだった。
なぜか今ごろになって水素エネルギーがはやっている。 いや,今ごろだからこそなのかも。東京オリンピックの聖火台は,新国立競技場の10km南東にある,東京臨海部の有明とお台場の間にかかる幅60mの歩行者専用橋「夢の大橋」に設置されている。
聖火台のデザインは,天理市駅前のコフフンを手がけた佐藤オオキのnendoだ。この水素は福島県のたぶん浪江町の施設で製造され,電気分解のエネルギーには太陽光発電が用いられている。なお,着色の必要から炭酸ナトリウムが添加されている。オレンジの炎のもとになるナトリウムD線の二重項は明日の前期最終授業で取り上げるところだった。
ENEOSが東京五輪の公式パートナーなので,聖火リレーや聖火台の水素はここが供給しているようだ。水素エネルギーのパイオニアであるIWATANIではない。
1974年に太田時男(1925-2009)の「水素エネルギー」がクリーム色のカバーにモデルチェンジしたばかりの講談社現代新書から出版されすぐに買って,第1刷がいまも手元にある。そろそろ原発問題が社会化しはじめたときであり,物理学科のクラスで原発をめぐる討論の際に読んだばかりの知識を片手に斜め左上から水素エネルギー論を展開して顰蹙を買っていた。いまから50年近く前の話だ。
太田時男先生は金沢生まれで,京都帝国大学の物理を出た後に,金沢の高等師範や金沢大学に勤めていた。その後,米国を経由して横浜国立大学工学部の教授になったころ,この新書を書いている。あとがきの末尾は「一九四九年七月 多忙に紛れたミスのあることを恐れつつ 太田時男」となっていておもいっきりミスっている。
金沢一中/泉丘の出身なのかあるいは金大附属なのか,はたまた四高だったのかはわからなかった(太田時男先生のご逝去を悼む 岡崎健)。
「水素エネルギー(太田時男)」の目次ちょうどオイルショックに直撃されつつも,まだ未来に希望があった時代のことである。
Ⅰ 水素エネルギーの登場
1 太陽と水と人間と
2 石油エネルギー圏からの脱出
3 水素エネルギー・システム
Ⅱ 作る・使う・運ぶ
1 水素を作る
2 水素システムの青写真
3 水素を使う
4 水素を運ぶ
Ⅲ 水素エネルギー時代へ
1 水素は危険か
2 水素研究の現状
3 二十一世紀への展望
東京オリンピック(4)からの続き
うちのテレビでは,東京オリンピックの視聴をできるだけしないことになっているので,開会式前後の様子はネットで伝わってくる断片的な(テレビの方が恣意的で断片的かもしれないが)情報だけである。これを脳内で適当に編集しているために,かなり偏向したイメージが固定化されているかもしれない。とりあえず,ここまでの主観的印象をまとめてみる。
(1) 東京の聖火リレー最終点がどうなったかは定かではない。が,開会式の最終場面では,王・長嶋・松井・大坂なおみが富士山型のチンケな聖火台に最終リレー点火したらしい(映像はまったくみていない)。医療関係者もまきもまれていたようだ。ゴジラが遠方の聖火台に点火するという演出は採用されなかったが,松井はゴジラなので微妙にかすったようだ。
(2) ブルーインパルスが昼ごろに新国立競技場上空に五輪を描こうとしたが,雲や風のために1964年のときのようなきれいな五輪を描けなかった。10月と7月の気温・湿度差なども影響しているらしい。これをみようと競技場周辺は人だかりがして超密集状態になっていた。なお,片山さつきが三丁目の夕日の映画で使われた写真を使って偽装ツイートをしていた。
(3) 小林堅太郎の演出は結局ほぼそのまま使われているが,一部変更したという言い訳ができる程度の化粧直しをしたらしい。それにしても全体的な統一にかけるみすぼらしいものであり,開会式予算の165億円がいったいどこの電通関係に吸い込まれたのか。演出のゲーム音楽に感動している人が多数発生したが,任天堂は前回の安倍マリオでこりて使用ゼロ。
(4) 橋本が9分,バッハが13分の非常に長い挨拶が,予定の合計10分以内を越えている意味がわからない。なお,天皇は13秒だった。菅も小池も起立するのがかなり遅れてしまったとのこと(注:小池が立ったために菅がつられて話がややこしくなったらしい。1964の場合は天皇以外みんな着席していたと)。バッハは天皇と対等に並んだ図柄で演出されており,マッカーサーと昭和天皇が並び立ったのを想起させる。
(5) 今回の五輪の出発点が,石原慎太郎や森喜朗や安倍晋三であることから,最初から最期まで差別的な基調トーンでつらぬかれている五輪だった。開会式の演出でも,担当者の辞任に加えて,アフリカ人の排除や差別的言動で有名なすぎやまこういちの楽曲をコアにすえるなど,目も当てられない状況になっていた。
4連休のためにただでさえ抑制されている首都圏のPCR検査が減らされているので,陽性者数はしばらく2000人前にとどまっているかもしれないが,確実にパンデミックが進行していると思われる。五輪関係者の感染もここまでの合計で100名を越え,毎日20名のオーダーとなっている。なお,選手村内がPCR検査なのか定量抗原検査なのかは判然としない。
東京オリンピック(3)からの続き
東京2020への道 −「オリンピックをちゃんと開ける国1964が如何にしてオリンピック一つまともに開けない国2021に転落したかの物語」最終章のあらすじについて−AlphaFold2(1)からの続き
再びAlphaFold2が話題になっていたのでなにかと思ったら,「米Alphabet傘下の英DeepMindが、遺伝子配列情報からタンパク質の立体構造を解析するAI「AlphaFold v2.0」(以下AlphaFold2)をGitHub上で無償公開し、ネット上で注目を集めている」ということだった。
AlphaFold2解体新書をみれば詳細がわかりそうな気がする。論文は,Highly accurate protein structure prediction with AlphaFoldであり,実装が,alphafold@github となっている。ただし,実際にインストールしようとすると,最低でも,2.5TB以上のSSD/HDD容量 (必須),CUDA11に対応しているNVIDIA製GPU(推奨),大容量(32GB以上)のRAM(推奨)が必要なので素人は手を出してはいけません。
大学に進学するとき,第1志望を物理学科,第2志望を生物学科にしたほど,生物学というか生命科学がこれからは重要だという認識があった。大学の教養部では巌佐耕三先生の生物学を履修した。AlphaFold2のニュースから阪大で受けた生物学の授業が連想された。その授業の先生の名前が思い出せなくて調べていたら,巌佐耕三先生だったということがわかったが,2017年に亡くなられていた(阪大理生物同窓会誌 Vol. 14 2017)。
筑摩書房の「生物学のすすめ」をテキストとしていた巌佐先生の授業でたたきこまれたのが,生物の本質が,DNA/RNAからアミノ酸配列(1次構造)が定まり,これからタンパク質の立体構造(3次構造)が決まって様々な生理機能を果たすということに依拠しているということだった。
つまり,ゲノム配列を簡単に求められるようになった時代に,それからタンパク質の立体構造を容易に推定できることの重要性がどれほどのものかということだろう。
それにしても,物理科学も生物科学も機械学習全盛の時代に相転移しつつある。
MCMCへの道(2)からの続き
次は,MCMC法#3マルコフ連鎖である。昼食のメニューが3種類に限られていて,なおかつ当日のメニュー選択の確率が,前日のメニューだけによって定まるという例があげられていた。はい,この例は非常によくわかる。
問題は,Juliaの配列と行列の扱いだ。MahthematicaはすべてListと考えればよいのでわかりやすかったが,Juliaでは型として,ArrayもMatrixもある。見様見真似でとりあえずコードを書いたのだけれど,まだ十分理解できていない。このため,3x3行列の配列であるbをベクトルvにかけて得られる配列の転置ができなかったので,手動で転置している。MCMCへの道(1)からの続き
さて,MCMC法#2棄却サンプリングである。手順は次の通り。
(1) 目標分布 p(x) を事後分布ともいう。これは既知の関数。
(2) 乱数発生計算が容易な分布 q(x) で, k q(x) ≧ p(x) を満たすものを選ぶ。 kは正定数。例えば,一様分布とか正規分布。
(3) q(x) にしたがう乱数 x' を発生する。
(4) [0, k q(x)] の一様分布にしたがう乱数 y' を発生する。
(5) y' ≦ p(x') ならx' を採用する。そうでなければ棄却する。
この(3) から(5) を必要なだけ繰り返す。
法事で京都の街を歩いていたら,丸太町の鴨川縁に女紅場(にょこうば)の碑があった。京都府立第一高女がなんとかとあったので,調べてみた。
女紅場とよばれた女子の教育機関にはいくつかの類型があるようだが,この京都の女紅場は1872年に設置された日本最初の公立の女学校であり,後の京都府立第一高等女学校の前身だった。現在は京都府立鴨沂高等学校である。
大阪でこれに対応するのが,1874年に堺県に設置された女紅場であり,後の大阪府立泉陽高等学校だ。ここは大阪で2番めに古い高等女学校となった。なお,大阪で最も古い女学校というのは,1882年に設置された府立大阪師範学校の附属裁縫場を起源として大阪府女学校となった,現在の大阪府立大手前高等学校である。
ペラン・ブロッカなのかペリン・ブロッカなのかペロン・ブロッカなのかよくわからないが,定偏角分散プリズムというものがあることがわかった。いやあまりわかっていない。幾何光学をまともに勉強していないので。
とりあえず,イメージを掴むために,Mathematicaでプリズムの光路シミュレーションプログラムを書いてみた。わかったような,わからないような・・・それでも高等学校で学ぶ幾何光学の法則さえ知っていればコードは書ける。
プリズムは四角形であり原点(0,0)の内角は90度(直角),y軸上の点(0,2√3-2)は75度,(√3,1)にある点は135度,x軸上の点(√3+1/√3,0)は60度となっていて,その屈折率をnとする。
aは入射光の入射面からはかった入射角度,tbは入射光が屈折した光線の進行方向のプリズム底面に対する傾き,(x1, y1)は全反射する点の座標,tcは反射光の底面に対する傾きの絶対値,tdはプリズムからの出射光の底面からはかった出射角度の勾配,x2は出射点の座標である。
n = 1.6; a = 36.8699;
t1 = Tan[15 Degree]; t2 = Tan[30 Degree]; x3 = Sqrt[3] + 1/Sqrt[3];
tb[n_, a_] := Cos[a Degree]/Sqrt[n^2 - Cos[a Degree]^2]
x1[n_, a_] := Sqrt[3]*t1/(t1 + tb[n, a])
y1[n_, a_] := 1 + Sqrt[3]*t1*tb[n, a]/(t1 + tb[n, a])
tc[n_, a_] := (t2 + tb[n, a])/(1 - t2*tb[n, a])
td[n_, a_] := Sqrt[tc[n, a]^2 - n^2 + 1]/n
x2[n_, a_] := x1[n, a] + y1[n, a]/tc[n, a]
ro = Point[{(1 + 2*t1)/(1 + t1), (1 + 2*t1)/(1 + t1)}];
pol = Polygon[{{0, 0}, {0, 1 + t1}, {1, 1}, {x3, 0}}];
lin[n_, a_] := Line[{{- Sin[a Degree], 1 - Cos[a Degree]}, {0, 1.0}, {x1[n, a], y1[n, a]}, {x2[n, a], 0}, {x3, -td[n, a]*(x3 - x2[n, a])}}]
das[n_, a_] := Line[{{x2[n, a], 0}, {-0.5, -td[n, a] (-0.5 - x2[n, a])}}]
f[n_, a_] := Graphics[{LightGray, pol, Thick, Red, lin[n, a], Dashed, Blue, das[n, a],PointSize[0.03],ro}]
{f[n, a], td[n, a]/Tan[a Degree]}
Manipulate[{f[n, a], n, a, td[n, a]/Tan[a Degree]}, {a, 25, 50}]
例年このころに人間国宝(文化財保護法の重要無形文化財の各個認定保持者)の新規認定が発表される。今年は,人形浄瑠璃文楽人形の桐竹勘十郎さんが入っていた。
Wikipediaで調べてみると,文楽ではこれまでに次の方々が人間国宝に認定されていた。なお,初回は1955年である。文楽協会のページでは,太夫:三味線:人形=21:21:43で人形遣いの人数が多いのだけれど,人間国宝になるのは難しい。(以下は生年-人間国宝認定年-没年 を表す)
人形浄瑠璃文楽太夫なお,人形浄瑠璃文楽座は,重要無形文化財の芸能分野の総合認定を受けており,ユネスコの無形文化遺産にもなっている。大阪府・市の維新行政からはひどい扱いを受けているが・・・
1 豊竹山城少掾(1878-1955-1967)
2 八世竹本綱太夫(1904-1955-1969)
3 六世竹本住太夫(1886-1955-1959)
4 十世豊竹若太夫(1888-1962-1967)
5 四世竹本津太夫(1916-1973-1987)
6 四世竹本越路太夫(1914-1971-2002)
7 七世竹本住太夫(1924-1989-2018)
8 九世竹本綱太夫→九世竹本源太夫(1932-2011-2015)
9 八世豊竹嶋太夫(1932-2015-2020)
10 豊竹咲太夫(1944-2019-)
人形浄瑠璃文楽三味線
1 四世鶴澤清六(1889-1955-1960)
2 六世鶴澤寛治(1887-1962-1974)
3 野澤松之輔(1902-1972-1975)
4 二世野澤喜左衛門(1891-1962-1976)
5 十世竹澤彌七(1910-1972-1976)
6 四世野澤錦糸(1917-1988-1988)
7 五世鶴澤燕三(1914-1985-2001)
8 八世竹澤團六→七世鶴澤寛治(1928-1997-2018)
9 鶴澤清治(1945-2007-)
人形浄瑠璃文楽人形
1 二世桐竹紋十郎(1900-1965-1970)
2 二世桐竹勘十郎(1920-1982-1986)
3 初代吉田玉男(1919-1977-2006)
4 吉田文雀(1928-1994-2016)
5 吉田簑助(1933-1994-)
6 吉田和生(1947-2017-)
7 三世桐竹勘十郎(1953-2021-)
石橋や池田に住んでいたころ,あるいは天王寺に通っていたころは,仕事帰りに本屋に寄るのが日課だった。天理に引っ越してからも,大和八木にはかろうじて本屋らしきものがあったので,毎日新刊をチェックすることができた。
でも本屋の消滅が進み始めたころに定年となったたため,本屋にいくのは2,3ヶ月に1度のペースになってしまった。アマゾンやグーグルでは目的の本を探せるかもしれないが,目的としない本に出会うことができない。ネット上でこれを可能にするにはVRが次の段階まで進化して,アーサー・C・クラーク(1917-2008)のダイアスパーの世界が実現するのを待たなければならない。
そんなとき,YouTubeの読書系チャンネルが未知の本を探すための補完になるかもしれない。ヨビノリたくみと斎藤明里のほんタメをみていたら,【全10冊】小説1000冊読んだ私が最近読んだ本というタイトルで,アンナ・ツィマ(1991-)のシブヤで目覚めてを先月末に紹介していた。そうか,深緑野分によればコニー・ウィリス(1945-)なのか。ますます読んでみたくなる。
そのアンナ・ツィマと訳者の阿部賢一・須藤輝彦を招き,実践女子大学文学部准教授のブルナ・ルカーシュが司会をする特別トーク・イベントがあった。アンナ・ツィマとブルナ・ルカーシュが卒業しているのが,プラハにあるカレル大学だ。1348年創設のドイツ語圏最古の大学である。
カレル大学は知らなかったけれど,ヤン・フス,ニコラ・テスラ,カレル・チャペック,フランツ・カフカ,ミラン・クンデラや,多くのノーベル賞学者を輩出しているヨーロッパの主要大学のひとつだった。アルバート・アインシュタインやエルンスト・マッハもこの大学の教員だった。
そういえば,機械学習をまともに勉強していなかった。いや,そもそも統計学も確率論もあれもこれもである。先日の水素原子波動関数の可視化についても進んでいないのだけれど,どうやら,メトロポリス・ヘイスティング法を使うのが望ましいらしい(by tsujimotter)。そういえば,モンテカルロ法もまともに勉強してこなかった。
そこで,反省してMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)の全体像をマスターすべく,いろいろ探したが,おこちゃま向けの適当なテキストがない。こうなるとYouTubeだのみだ。機械学習基礎理論独習というサイトがあったので,このPythonコードをJuliaで再現しながら学ぶことにした。
その1回目はMCMC法#1モンテカルロ法なので,これを再現してみた。
using BenchmarkTools
using Random
using Plots
function findpi(n)
rng = MersenneTwister(0)
count = 0
for i in 1:n
count += ifelse(rand(rng)^2+rand(rng)^2<=1.0,1,0)
end
return 4*count/n
end
#@btime findpi(10^6)
#@benchmark findpi(10^8)
function circle(n)
x=rand(n)
y=rand(n)
c=zeros(n)
for i in 1:n
c[i]=ifelse(x[i]^2+y[i]^2<=1.0,0.0,1.0)
end
scatter(x,y,
marker_z = c,
markershape = :circle,
markersize = 1,
markeralpha = 0.2,
markercolor = :grey,
markerstrokewidth = 0.1,
markerstrokealpha = 0.1,
markerstrokecolor = :white,
markerstrokestyle = :dot,
aspect_ratio = 1.0,
xlim=(0.0,1.0),
ylim=(0.0,1.0),
legend=:topright
)
end
circle(10000)
先日,立花隆(1940-2021)がなくなったときに, NHKをはじめてとしてマスコミが一斉に知の巨人というフレーズで紹介していたのが気持ち悪くて仕方なかった。たぶん田中角栄からはじまる政治・社会問題で名を上げた後に,科学の領域の評論に手を広げたことで,文系のジャーナリストたちが一目置いた的なことが発端のような気がする。あほらしい。
立花隆は,たしかにジャーナリストの嗅覚を働かせて様々な分野に興味を持ったのだけど,あくまでも表層をなぞっていただけとみえる。著書やNHK特集のタイトルとあらすじをみているとわかる。そもそも田中角栄の案件でさえ,アメリカの日本に対する謀略の中の一つの役割を担ったものであり,それが日本にとってよかったのかどうだか。
それでは,知の巨人にふさわしいのは誰かと考えてみたが,原子爆弾や電子計算機の開発や数学・量子力学の基礎論に重要な寄与をしたジョン・フォン・ノイマン(1903-1957)くらいであまり思い浮かばなかった。たまたま,田中康夫の横浜市長選挙出馬にかかわって茂木健一郎が話しているのをきいて,哲学者・論理学者・数学者・社会批評家・政治活動家のバートランド・ラッセル(1872-1970)を忘れていたことに気づいた。
高等学校では理数科だったため,社会の時間は少なくて,1年地理,2年世界史,3年倫理という選択をした。3年のときの倫理の先生は眼鏡の細川先生だった。1971年なのでちょうどバートランド・ラッセルが亡くなったところだったが,授業に分厚い箱入りのみすず書房の西洋哲学史:市井三郎(1922-1989)訳の本を持ってきていて,なんだかすごいと感動したことがある。
細川先生は,学校を抜け出してとなりの食堂から帰ってきた生徒たちを発見しても,そのまま沈黙して通過させてしまうようなことで,寡黙で特徴のない方だったが,倫理の授業というか教科書は非常におもしろくて,現代国語の次に集中して受講した科目だった。
[1]Bertrand Russel(Stanford Encyclopedia of Philosophy)
晩夏・小暑・蓮始開(はすはじめてひらく)
先週の日曜美術館で,大阪の十三に住んでいる三島喜美代が取り上げられていた。88歳という年齢を感じさせない意欲を持つパワフルなおばちゃんだった。日本語のWikipediaページはないが,英語版はあるので訳してみた。
三島喜美代(1932-)は、日本の現代美術家であり,新聞や漫画、箱などの「壊れやすい印刷物」を陶土で再現した作品で知られている。1960年代初頭に画家として活動を開始した三島は、1971年から陶芸を始めた。 この頃から,新聞や広告ポスターのイメージをシルクスクリーンの技法で粘土に刷り込むようになる。製造物を用いた作品は、クレス・オルデンバーグやアンディ・ウォーホルの作品、戦後の日本の具体や独逸美術協会の作品と類似している。
三島喜美代は1932年に大阪で生まれ,1951年に大阪の公立扇町高校を卒業した。1986/87年、ロックフェラー奨学金ACCの助成を受けてニューヨークに留学。現在は大阪に在住。
夫の三島茂司(1920-1985)も画家であり,二人展が最近開かれていた。岐阜県の土岐市のアトリエはほとんどゴミの集積場のようだ。
東京の倉庫街にあるART FACTORY城南島に展示されている陶器製の新聞の束は天井まで高く積み上げられて迷路になっている。また,1万個の新聞記事を印刷したレンガが敷き詰められる作品を見て,1つ3000円でも3千万円かと思ったが,市場価格は1つ30万円のオーダーだった。
この情報の化石は,ハードディスクや半導体と違って,長く残り続けるのかもしれない。
コラッツ予想に1億2千万円の懸賞金がかかった。胴元は音圧爆上げくんという音楽系ウェブサービス(料金が無料!)の会社だとのこと。クレイ数学研究所の7つのミレニアム懸賞問題(1件100万ドル)より懸賞金が高い。
それはいいとして,コラッツ予想とは次のようなものだ。ある自然数 n (n≧2) から出発してその次の自然数を,n が偶数のときは n/2 ,n が奇数のときは 3n+1 で定義する。こうして得られた自然数の列が最終的には1に到達するという予想である。
まだ証明はできていないが(だから懸賞金問題になるわけで),2^68 ≒ 3x10^20 まではコンピュータで確かめられている。奥が深そうなので,詳細には立ち入らずに,Juliaでコーディングしてみた。まったく工夫のないプログラムによって,1〜10^8までの奇数に対して1分以内で計算することができた。
なお,プログラミング教育と称して小中学校でモソモソする内容よりは,エクセルを使えるようにするほうが圧倒的に価値があるという説にはほとんど賛同したくなる今日このごろである。
using Plots
function collatz(m,n,p)
# m : number of call
# n : argument of function
# p : print switch
#
if p==1
print(n,"->")
end
m=m+1
if mod(n,2)==0
return m,div(n,2)
else
return m,3*n+1
end
end
function sequence(m,n,p)
# n0: starting argument
# m : iteration number
#
n0=n
while n!=1
m,n=collatz(m,n,p)
end
if p==1
println(1,":",m)
else
return n0,m
end
end
function counter(N,M)
for i in 1:2:N
n,m=sequence(0,i,0)
if m > M
println(n,":",m)
end
end
end
function plotter(N)
x,y = zeros(N),zeros(N)
for i in 1:2:N
x[i],y[i]=sequence(0,i,0)
end
scatter(x,y,legend=:topleft)
end
@time counter(100000000,800)
plotter(1000)
午前の昼寝から起きると, 高齢者の健康法というチラシが眼前に届けられました。杏林大学名誉教授石川恭三先生ご指導による日本医師会の健康プラザNo.481(日医ニュース)です。
一読:一日に一度はまとまった文章を読もう。✓(これはクリアできているかな,でもまとまった文章ってどのくらいの量をさすのだろうか,どうやら新聞の社説程度ということで,日経だと2000字弱だ。私の履歴書も同程度なので,文化欄読破というのがよさそうだ)
十笑:一日に十回くらいは笑おう。✓(家族LINEをみていればクリアできそうである)
百吸:一日に百回くらい(一度には十回くらい),深呼吸しよう。×(これはできていません)
千字:一日に千字くらいは文字を書こう。?(認知機能を高めるためにできるだけ漢字を使えとあるので,キーボードはカウントしないのかもしれない。なお千字というのは結構多くてこの日々のブログの平均値ではちょっと足りない)
万歩:一日に一万歩を目指して歩こう。△(目指してはいるのだけれど,毎日の朝の散歩は年平均で4500歩である。歩く日は45分以上で5000歩を超えるのだけれど雨の日もあるからなあ・・・)
球面調和関数(3)からの続き
多くの疑問はよく探してみると答えになるウェブサイトがみつかるものだ。Juliaによる球面調和関数というか原子波動関数の可視化のための関数定義もここにある。面倒なのがラゲール陪関数の定義や規格化なのだけれど,とりあえずなんとかなった。あとは球面調和関数で磁気量子数が負の場合の扱いなど。
using GSL
using Plots
using LinearAlgebra
function Y(l,m,θ,ϕ)
# spherical harmonics
# l: orbital qn, m: magnetic qn
# θ,φ: spherical angular coordinate
#
am=abs(m)
if m <= 0 || mod(am,2) == 0
p=1
else
p=-1
end
#
if am > l
return 0
else
return p*sf_legendre_sphPlm(l,am,cos(θ))*exp(im*am*ϕ)
end
end
function R(n,l,r)
# Z: nuclear charge (set 1 for hydrogen)
# n: principle qn, l: orbital qn
# r: Bohr radius unit a0 = ℏc/α・mc^2
#
Z=1
ρ=2*Z*r/n
if n < l
return 0
else
return sf_laguerre_n(n-l-1,2*l+1,ρ)*exp(-ρ/2)*ρ^l
end
end
function norm(n,l)
# square of radial wave function norm
return (2/n)^3 *factorial(n-l-1)/(2*n*factorial(n+l))
end
x=(0.0:0.1:25)
#
r10=(R.(1,0,x).*x).^2 .*norm(1,0)
r20=(R.(2,0,x).*x).^2 .*norm(2,0)
r21=(R.(2,1,x).*x).^2 .*norm(2,1)
r30=(R.(3,0,x).*x).^2 .*norm(3,0)
r31=(R.(3,1,x).*x).^2 .*norm(3,1)
r32=(R.(3,2,x).*x).^2 .*norm(3,2)
#
plot(x,r10,linewidth=1,legend=:topright)
plot!(x,[r20,r21],linewidth=1.5)
g1=plot!(x,[r30,r31,r32],linewidth=2,linestyle=:dash)
t1=(0.0:0.01:pi)
t2=(pi:0.01:2pi)
#
y10=abs2.(Y.(1,0,t1,0))
y11=abs2.(Y.(1,1,t1,0))
y20=abs2.(Y.(2,0,t2,0))
y21=abs2.(Y.(2,1,t2,0))
y22=abs2.(Y.(2,2,t2,0))
#
plot(t1,[y10,y11],proj=:polar,linewidth=2)
g2=plot!(t2,[y20,y21,y22],proj=:polar,linewidth=2)
plot(g1,g2)