2021年10月5日火曜日

ノーベル物理学賞2021

 今年のノーベル物理学賞が,Syukuro Manabe(米),Klaus Hasselmann(独),Giorgio Parisi(伊)の3名に決まり,ニュースは予想通り(米国籍でも)日本人の眞鍋淑郎さん(1931-)の話題で集中している。NHKでは,最近心配されている日本の科学技術力の低下と結びつけつつ,それを跳ね飛ばす成果だ的なストーリーを組み立てていた。米国で研究基盤を築いた人が1960年代後半に成し遂げたことを,現在の日本と結ぶのはかなり無理筋だと思うけど。

で,あらためてノーベル賞のページを見てびっくりした。全体が環境問題の話なのかと思っていたら,なんとG. Parisi(1948-)が入っている。いや統計物理学が専門でなくても,Parisi-Wuの確率過程量子化は目にしている(スピングラスのレプリカ対称性の破れの方は知らなかった)。なんだこの組み合わせは,と思ってよく見れば,"for groundbreaking contributions to our understanding of complex systems" となっている。小林・益川・南部のときもちょっと驚いたがその比ではない。

複雑系といえば大気運動に端を発するローレンツアトラクタがカオスの先駆けのように扱われているのでまああながちおかしくないのかもしれない。選考委員会による受賞理由説明は次のような組み立てになっていた。

FOR GROUNDBREAKING CONTRIBUTIONS TO OUR UNDERSTANDING OF COMPLEX PHYSICAL SYSTEMS

I. INTRODUCTION (1.5p)

 A. Instability and nonlinearity underlie multiscale complexity and stochasticity

 B. Stochasticity and Disorder Imply Predictability

II. CLIMATE PHYSICS: BACKGROUND AND HISTORY (0.5p)

III. DEVELOPMENT OF MODEL HIERARCHIES (5.5p)

 A. Energy balance models

 B. Generalized Deterministic Energy Balance Models (EBMs)

 C. The Emergence of Numerical Climate Models

 D. Stochastic Theories

IV. USING OBSERVATIONS TO TEST MODELS (1p)

 A. Fingerprinting

V. THE VASTNESS OF THE LANDSCAPE OF DISORDER (2.5p)

 A. Replicas, Spin Glasses and Frustration.

 B. Solving the Replica Symmetry Breaking Problem

 C. Applications and Implications

VI. SUMMARY

賞金の1/2を占めるParisiについては 2.5p程度の控え目な記述だった。やはり物理学に基づくシミュレーションとはいえ,気象学(地球科学)の人達が物理学賞に入るというのは結構インパクトが 大きいので丁寧な説明が必要だったのだろうか。IPCCについての言及も当然あるが,2013年のものであり,今年示された人為的気候変動の確立ということが大きく影響したわけでもないかもしれないが。


図:真鍋淑郎の気候モデル(ノーベル財団より引用)

2021年10月4日月曜日

ビットレート

 ビットレートとは,データを伝送する際の単位時間あたりの伝送情報量であり,単位としては bps(ビット毎秒 B/s)がよく用いられる。情報科学としての厳密は話はややこしいのでざっくりした話をする。

パソコン通信などのネットワークへのアクセスは,1980年前後に音響カプラーの300bpsから始まって,1200bps,9600bpsとモデムの時代を体験してきた。そのうち64kbpsのISDNが普通の家庭にもやってきたので,早速これによってインターネットのアクセスポイントに繋ぐことになる。アクセスポイントはどこだったのか・・・

それはそれとして,今の関心事はマルチメディアデータのビットレートと品質の関係だった。ビットレート=サンプリング周波数 × 量子化ビット × チャンネルなので,CD-DA(音楽CD)の場合は,41.1kHz × 16 bit × 2 = 1441.2k bpsとなる。

非可逆圧縮の音声MP3では,様々なビットレートに対応している。96kbpsが低品質,192kbpsが中品質,256kbpsが高品質だとのこと。自分の教材は144kbpsなので中品質のあたりか。

YouTubeなど映像の場合は,128-384kbpsがビジネス向けのテレビ会議品質とのことで,自分の教材の288kbpsはその範囲では中位になる。10分で20MBのオーダーのmp4ファイルになっていた。

これが,YouTubeの高品質なコンテンツでは,HDの1080p(1920×1080=200万画素)の60fpsでは,6.8Mbpsということになり,10分で500MBのmp4ファイルが必要になる。音楽の方でもハイレゾということで,96kHz×24bit×2 = 4608kbps = 4.6Mbpsのレベルのコンテンツが要求される時代になっている。


2021年10月3日日曜日

USB-DAC

 オンライン授業の1回目を配信した後で,「ノイズが大き過ぎて聞き取れない,ノイズキャンセリングマイク使ってください」というコメントがあった。昨年は,「声が小さい」というのが何件かあったので,できるだけ iPhone内蔵マイクには口を近づけるようにしていた。

そもそも,オンラインデジタル教材は「遠隔授業のばたばた(2)」にあるように,iPhone のボイスメモ(非可逆圧縮)で収録した音声の m4aファイルと,iPadの GoodNotes5による手書きノートの jpgファイルを,MabBookAirに転送して,ffmpegでマージして mp4ファイルにしたものだった。

音声の収録に,iPhone内蔵マイクを使っていたのを反省して,多少はマシだと思われるEarPodsのマイクを使うことにした。これも3.5mmジャックで MacBook Airに繋ぐか,ライトニングで iPhone SE2に繋ぐか迷ったけれど,とりあえずライトニングの方を選ぶことにして,ffmpegの音声のビットレートを 72kから144kに上げてみた。

#!/bin/sh
for arg in "\$@"; do
 sips -z 880 660 \$arg.jpg
 ffmpeg -loop 1 -i \$arg.jpg -i \$arg.m4a -ab 144k -vb 288k -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -shortest \$arg.mp4
done


これで解決するかどうかよくわからないけれど,いきなり数万円のコンデンサーマイクを買うのもどうかと思うし,ちょっと関心がある AirPods Proにしたところで目的は達成できなさそうだ。これに至る過程でいろいろ調べてみたけれど,音声入力は奥が深くて難しい。

(1) USB接続のノイズキャンセリングヘッドセット(数千円から1万円)を探してみたが,どうもしっくりこない。

(2) アナログ–デジタルの変換やインピーダンスと入力ゲインに鍵がありそうで,USB-DACというものがあることに気づいた。3.5mmジャックをUSB-Cに変換するタイプが1500円からある。これだと思ったが調べてみると EarPodsのマイク入力には対応できそうでない。

(3) ソフトウェアでノイズキャンセルをAI的に処理するものとして,Krispがあったので早速無料版をインストールしてみたが,今ひとつ要領を得なかった。

(4) コンデンサーマイクは1万円からあるけれど,大き過ぎてどうもしっくりこない。iPhoneのライトニング端子に直挿しするzoomのiQ7が対応アプリのHandy Recorderとの組み合わせで良さげであるが,もう少し様子見をする(電波でプチプチ雑音が入るのが難らしい)。

(5) なんだかんだいって,結局 余分なコストゼロで済ませられる EarPods 単体が最も良さそうだなあ。

YouTubeばかり見ていると素晴らしい音質に慣れてしまうのだけれど,これらのYouTuber は数万円から数十万円のマイクやオーディオ環境を整えているので,なかなか簡単には手が届かないということを学生さんは理解してくれるだろうか。

あるいは自分の方がどこかで間違っているのかもしれない。なにせ,高齢者なので高音域の感度が全く悪くなっており,変なノイズもそもそも自分では聞き取れていない可能性も高い。聞こえチェックで,60代の10,000Hzがクリアできないのだから。


写真:zoomのiQ7(Amazonより引用


2021年10月2日土曜日

iPhone

 携帯電話からの続き

まだMacWorldExpoがあったころ,2007年の1月9日にスティーブ・ジョブズが iPhone を発表した。これですけどね。ほとんど感動ものでした。

さて,当時の54歳の自分はこのころ何をしていたのだろう。インターネット狂想曲がおさまって5年たち,子供達も大きくなって写真もほとんど残っていない時期だ。研究室の分属学生も少なかった。過去の手帳をみてもほどんど白紙(手帳を失くして買い替えた年だろうか)。

日本では,孫正義のおかげでソフトバンクでiPhoneが買えるようになったのが,2007年6月の米国の発売から約1年後の2008年の7月11日であり,そのちょうど1ヶ月後の2008年8月11日に天理市役所近くのソフトバンクショップで購入したのが,iPhone3Gだ。

それまで使っていた携帯電話と最も違っていてよかったのが,GPS機能のついた地図だった。また,さまざまなセンサーを駆使して視覚・聴覚・触覚に訴えるアプリケーションが次々と登場するのも珍しくて,卒業生との飲み会で散々自慢したのだった。通勤時にはずっと手に持ったままだったので,平端駅で電車から降りるときに足を踏み外したくらいだ。

翌2009年にはiPhone3GSが発売され,ハードウェア機能が大幅に強化されたため,早速機種更新に走った。これでようやく実用的にも使えるマシンとなったような気がする。院生の市川君と「携帯情報端末の加速度センサーによる実感をともなった運動の理解」を書いたのもこのころだ。今では,誰もが当たり前のようにこれを使える環境が整っている。ただ,GIGAスクールの時代であっても,必ずしも体系的かつ全面的にこうした授業プランが展開されているわけではない。

2年後の2011年のiPhone4Sからはホワイトモデルを買うようになった。ここに至ってようやくiPhoneフィーバーがおさまってきたと同時に,電車で周りを見回すとみんなiPhoneを持っているという時代がやってきたのだった。そして,2015年末か年明けにiPhone6Sを買ってしばらくしたころには,必要な機能がほぼ充足されると同時に革新的な新機能の登場も少なくなり,自分の中のiPhone熱も冷めてしまった。新機種に対応しようという気分がなくなったのである。もう歳なのであった。

2020年にiPhone SE2に更新した話は既に書いている。あと何種類の端末と出会うことになるのだろうか。


写真:この頃が一番よかったのか?iPhone 4S(Wikipediaより引用)

2021年10月1日金曜日

携帯電話

 2008年8月11日に最初のiPhoneを手に入れるまでは,普通の携帯電話を使っていた。どの機種だったか既に記憶が薄らぎ始めているので,記録しておこうとしたが,必要な情報に辿り着くのがなかなか至難の技だった。

ケータイを買おうと決めたのは,i-Modeが始まったのがきっかけだった。これでi-Modeの教育コンテンツサイトを作れるならば価値があると思った。仕事帰りに,自転車で24号線沿いのドコモショップまで走ってパナソニックのP502iを入手した。ところがなぜかP502iの情報があまり見つからないのだ。

たぶん,2000年の3月ごろから関西で先行販売されていたようだが,しばらくたった2000年から2001年にかけての冬に購入したのではなかったか。モノクロディスプレイで,幅43mm×奥行き130mm×高さ16mm,重量は約69gのコンパクトなストレートタイプ。本体色はプレシャスブルー(紺色)を選んだ。


写真:P502i HYPER プレシャスブルー(インプレス ケータイWatchから引用)

2000年代の前半は,次々と新しい携帯が登場する新製品ラッシュの時期だった。カメラが搭載されディスプレイがカラー化されて,画面のタッチセンサーを除いて,今のスマートフォンのベースが出来上がった。

NTTドコモ向け端末では,NECのNシリーズがよくなってきたのでこれに乗り換えることになる。2年後の2002年11月に,N504iSが登場した。当時主流の折りたたみ式になり,31万画素のCMOSカメラが搭載され,2.5インチ163×216ドットのTFTカラー液晶画面になった。丸くてぽっちゃりしたボディだった。


写真:の1インチサブディスプレイ面(Wikipediaより引用)

これは,当時のほぼ必要な機能を備えていたので長く使った。次に機種変更したのは,5年後の2007年11月に発表されたN905iμである。薄型化を図るためにN905iよりは若干機能が絞られていたが,デザイン性からこれに決めた。残念ながらiPhoneが2008年夏に始まったので,これは娘に譲ることになった(のではなかったか・・・)。


写真:N905iμの全体像(インプレス ケータイWatchから引用)


2021年9月30日木曜日

(秋休み 10)

 「鳴らざれば気づかざりしに桐は実に」 (加倉井秋を 1909-1988)

2021年9月29日水曜日

(秋休み 9)

  「暗がりに檸檬浮かぶは死後の景」 (三谷昭 1911-1978) 

2021年9月28日火曜日

2021年9月27日月曜日

(秋休み 7)

 「コスモスが浄土をかこむトポロジー」 (をにく 1953-)

2021年9月26日日曜日

2021年9月25日土曜日

2021年9月24日金曜日

2021年9月23日木曜日

2021年9月22日水曜日

2021年9月21日火曜日

2021年9月20日月曜日

敬老の日

 今年の敬老の日は9月20日。2003年から,9月の第3月曜日になったがそれまでは9月15日だった。そのためだかなんだか 9月15日は,老人福祉法により定められた老人週間の初日の老人の日として残ることになった。したがって敬老の日はかならず老人週間に含まれることになる。

新聞によれば,75歳以上の後期高齢者者1880万人(15.0%),団塊の世代を含む70歳以上が2852万人(22.8%),65歳以上の高齢者が3640万人(29.1%)ということだ。65歳以上の働く高齢者は906万人であり4人に1人(就業率25.1%)になっている。


写真:老人の日のポスター(撮影:2021.9.20)

2021年9月19日日曜日

Detexify

たまに TeXの記号を探すのに苦労することがある。それを解決するのが Detexifyである。手書き入力したシンボルに似た形のTeXコマンドのリストを出してくれる。アプリとしてダウンロードすることもできる。シンボルの一覧もスクロールで一気に閲覧できるのでそれはそれでよいかもしれない。


図:Detexifyアプリ版のアイコンより

2021年9月18日土曜日

カップヌードル50周年

1971年 9月18日に日清食品がカップヌードルを発売してから50年たった。商業的に成功した最初のインスタントラーメンといわれるチキンラーメンが1958年8月25日だから,その13年後には登場している。ところが,自分のファーストコンタクトはチキンラーメンではなかったし,学生時代にカップヌードルにもそれほどお世話になった記憶がない。

インスタントラーメンと最初に出会ったのは,小学校4年から5年ごろだろうか,マイ・ラーメンというものだ。固めの即席麺が,色も味も濃い醤油味のスープに漬かっているものを,たまに昼ご飯として食べさせられた。残念ながらあまりおいしくなかった。

そのころラーメンといえば,近所の中華料理屋チューの出前の支那そばしか食べたことがなかったので,まったく違う味とコンセプトのものだったわけだ。

マイ・ラーメンで調べてみると,大阪の岸和田市にある永安食品が作った初期のインスタントラーメンの一つらしい。検索で見つかるのは,モダンなビーガン食品としての全く別のマイラーメンばかりであり,古い記憶はこうしてどんどん上書きされて失われていく。

大学にはいって,自炊するようになるとインスタント・ラーメンにもしばしばお世話になったのだけれど,そのベスト5は次のようなものだったかもしれない。あまりよく憶えていない。

(1) 明星食品:劉昌麺,(2) 日清食品:出前一丁,(3) エースコック:ワンタンメン,(4) 徳島製粉:金ちゃんラーメン,(5) その他いろいろ。

一番お気に入りだったのは,劉昌麺であり,パックされた練り生みそスープがおいしい。学部生の頃クラブ活動で帰りが遅くなると,これにもやしをたっぷり乗せて食べるのが楽しみだった。


写真:いまはなき劉昌麺のパッケージ(明星食品より引用)

[1]インスタントラーメンナビ(日本即席食品工業協会)
[2]ふくろ麺の歴史(i-ramen.net)
[3]わが国食品企業の国際化(斎藤高宏)

2021年9月17日金曜日

小型核融合炉

自民党総裁選に,日本会議グループの圧倒的支持のもと,安倍のエイリアスとして出馬した極右新自由主義の高市早苗が,香ばしいトンデモ発言を繰り返している。

曰く,「電磁波で敵基地を無力化」「情報通信省とサイバーセキュリティ庁」「小型核融合炉の開発」なわけだ。

電磁波でというのは,高高度での核爆発による電磁パルス攻撃のことかと思ったけれど,通常爆弾によるEMP弾というのもあるらしい。いずれにせよ,北朝鮮のミサイル阻止には使えない

核融合炉といえば,国際熱核融合実験炉(ITER)トカマクとか国立点火施設(NIF)阪大レーザー科学研究所レーザー核融合などの大規模施設のビッグサイエンスしか念頭になかったので,なにゆうとんねん状態だったが,とりあえず調べてみると,ないことはなかった。

浜松ホトニクスやトヨタがかんでいる光産業創成大学院大学による,爆縮高速点火による小型レーザー核融合実験炉計画のCANDYだ。YouTubeに研究紹介はあるものの,関連する研究論文がほんの少ししかみあたらないので,どこまで進んでいるのかよくわからない。

阪大のレーザー科学研究所の前身のレーザー核融合研究センターを1976年に作ったのは山中千代衛先生だ。激光12号が建設された1980年代初頭は,飛ぶ鳥を落とす勢いがあった。吹田キャンパスに行くたびにセンターの建物の偉容に圧倒された。

山中先生が退官され,平成の時代にはいると,スーパーコンピューターも大型計算機センターや核物理研究センターのものと統合され,看板も無難なものに掛け替えられてしまったのだった。


写真:NIFのレーザ核融合実験装置NOVA(Wikipediaから引用)

追伸:高市が吹き込まれた核融合炉は,京都フュージョンエンジニアリングなのかもしれない。それはブランケットと廃棄系だけなんですけど。小型モジュール原子炉(SMR)とごっちゃになって混乱しているようだ(→そうでもなかった。二正面トンデモだった)。

[1]FUSION DEVICE INFORMTION SYSTEM (IAEA)

[2]小型モジュール式原子炉はたいていが悪策だ(自然エネルギー財団)

2021年9月16日木曜日

綱領

 TBSテレビの平日(月-金)昼(10:25-13:55)の情報ワイド番組「ひるおび」は恵俊彰と八代英輝が総合司会をしている番組だ。この手の情報番組では,ジャーナリスト崩れや芸人が誤った情報を垂れ流すので要注意である。

先日,この八代弁護士が,野党共闘の話題で「共産党は『暴力的な革命』というのを,党の要綱(注:綱領のこと)として廃止してませんから。よくそういうところと組もうという話になるな」という事実無根のデマを平然と垂れ流した。

これに対する批判が集中した後でも,閣議決定というマジックワードを使って平然と責任逃れの誤魔化しに走っていた。衆議院選挙前の情報戦は,このように展開されている。

そんなわけで,これまで読んだことがなかった日本共産党の綱領を読んでみた。他の政党の綱領もざっと眺めてみた。なるほど,こんな感じだったのか。

自由民主党(現状認識+3項目,2100字):1955年の結党時の綱領は3行だった。「文化的民主国家の完成」「自主独立の完成」「経済の総合計画〜福祉国家の完成」などほとんど現在の日本共産党の綱領である。その後,立党50年の2005年に新綱領,2010年に改訂版の綱領を発表している。「政治主導という言葉で意に反する意見を無視し,与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙しなければならない」ということなので,現在の自民党は国家社会主義的統治を行っているらしい。

立憲民主党(基本理念+私たちのめざすもの7項目,1900字):なんだか全体にぼんやりした印象。ピントが甘いというのかまったくインパクトに欠ける。

公明党(7項目,4900字):たいへんていねいに詳しく書かれているのだけれど,現実の自公政権がやっていることとほとんど矛盾しているところが問題。

日本共産党(5章18節48p,16900字):歴史的な記述が丁寧にされている。ポイントは,日本がまだ完全な独立国家ではないこと。しかし,現在の日本において民主主義革命から社会主義革命への道がどうなるのかのイメージがほとんどつかめない。もちろん八代の話は悪質なデマゴギーなのであった。

日本維新の会(8項目,1200字):ポイントはこれ「政府の過剰な関与を見直し,自助,共助,公助の範囲と役割を明確にする。公助がもたらす既得権を排除し、政府は真の弱者支援に徹する」。なるほど,菅首相と完全に一致しているのか,やっぱりね。

社会民主党(4節13項目,6400字):立憲民主党もこれくらい書き込めばいいのに。

れいわ新撰組(私たちの使命+8行,400字):まあ何もないよりは・・・。