WOWOWのシネマ歌舞伎で,玉三郎の日高川入相花王渡し場の段(2006)をやっていた。歌舞伎では,これは人形振り(役者が人形遣いに操られている人形のように振る舞う)で演じられることになっているらしい。15年前なので,清姫の坂東玉三郎も人形遣いの尾上菊之助もともに若い。船頭は,坂東薪車だった市川九團次だ。
17世紀はじめに出雲阿国によってはじまった歌舞伎であるが,現在も演じられている主要な作品の数々は,元禄時代に近松門左衛門,竹田出雲,三好松洛,並木宗輔らの戯作者によって人形浄瑠璃の演目として作られて大流行した作品が歌舞伎に移植されたものだ。歌舞伎の人形振りというのはその過程を反映しているのかもしれない。
日高川入相花王,文楽では何回か見ているが,玉三郎の所作は文楽での人形の動きを非常に丁寧にシミュレートしていて美しい。これがMIKIKOによるPerfumeの振り付けの源流になるのだろうか?
高野山から国道371号線を南に進むと,和歌山県と奈良県の県境にある護摩壇山に至る。日高川はこのあたりから始まって,椿山ダムを経て御坊市の河口まで続いている。河口の北には道成寺がある。安珍を追いかける清姫は日高川に飛び込んで蛇に化け,道成寺まで到達して鐘に隠れた安珍を焼き殺すわけだ。
図:伝土佐光重(土佐派)画『道成寺縁起』より
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