図:氷晶核と幻想的な光のグリッド(ChatGPTによる)
生成AIがこれまで人間が解けなかった純粋数学や理論物理の問題を解いたという話はちょこちょこ聞こえてきていたが,この度のはややニュースになっていた。Anthropicの話題のClaude Fable 5が ヤコビヤン予想の反例を見つけたというものだ。問題の意味も反例である説明も分かりやすいものだったから評判をよんだ。
ヤコビアン予想というのは,N変数の複素多項式のヤコビアンがゼロでない定数の場合,その逆関数としてのk変数複素多項式が存在する(より正確には,標数0の体 $K$上の多項式写像$F: K^N \rightarrow K^N$ のヤコビ行列式が非0定数ならば,$F$は多項式逆写像を持つ)というものだ。
Claude Fable 5がみつけた反例は次のようなものだ。Mathematicaで確認してみた。
In[1]:= P[x_, y_, z_] := (1 + x y)^3 z + y^2 (1 + x y) (4 + 3 x y)
In[2]:= Q[x_, y_, z_] := y + 3 x (1 + x y)^2 z + 3 x y^2 (4 + 3 x y)
In[3]:= R[x_, y_, z_] := 2 x - 3 x^2 y - x^3 z
In[4]:= Det[{{D[P[x, y, z], x], D[P[x, y, z], y], D[P[x, y, z], z]},
{D[Q[x, y, z], x], D[Q[x, y, z], y], D[Q[x, y, z], z]},
{D[R[x, y, z], x], D[R[x, y, z], y], D[R[x, y, z], z]}}] // Simplify
Out[4]= -2
In[5]:= {P[0, 0, -1/4], Q[0, 0, -1/4], R[0, 0, -1/4]}
Out[5]= {-(1/4), 0, 0}
In[6]:= {P[1, -3/2, 13/2], Q[1, -3/2, 13/2], R[1, -3/2, 13/2]}
Out[6]= {-(1/4), 0, 0}
In[7]:= {P[-1, 3/2, 13/2], Q[-1, 3/2, 13/2], R[-1, 3/2, 13/2]}
Out[7]= {-(1/4), 0, 0}
この7次式のヤコビアンは-2であるが,独立な3点が1点に写像されるので,逆写像派存在しない。
(注)体Kの標数は,「体 K において、乗法の単位元 1 を n 回加えると加法の単位元 0 になるような最小の正整数 n を、K の標数という。そのような正整数が存在しない場合、標数を 0 とする。」というものだ。なお,標数は0か素数に限られる。
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