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2025年9月16日火曜日

論文購読支援

ニュートリノレーザーからの続き

前回紹介したテキサス大学アーリントン校のJonesとMITのFomaggiによる,Superradiant Neutrino Lasers from Radioactive Condensates は,Physical Review Lettersの6ページほどの論文だ。

チラ見したところなんとなく簡単そうな式が並んでいる。これならば自力でフォローできそうな気もしたけれど,ChatGPTにサポートをお願いしてみた。「私が理解したかどうかを確認してください」というのに対して確認ミニテストを用意してくれてその判定もできる。

最初に元の論文をアップロードしてまとめさせてからの続きであり,1日あけても覚えていて正しい式とそれに対応する解説を加えてくれる。中学校や高等学校の教科書レベルでのチュータリングも同様に可能だと思われる。
Q(koshix):
論文に登場する番号つきの式の意味を一つづつ理解したいので,順に解説してください。あなたが一つの式の解説をした後,私が理解したかどうかを確認してください。私はそれについて疑問点があれば問いただします。理解できれば次の式に進むようにお願いします。このようにして,ゆっくりと対話的に理解を深めていきたいのですがよろしいですか?

A(ChatGPT-5 Thinking):
もちろんです。では、論文の「番号付きの式」を順番に、背景 → 数学的意味 → 物理的直観 → 使いどころの順で短く丁寧に解説し、毎回あなたの理解を確認してから次へ進みます。必要に応じて簡単な小テストも挟みますね。

式 (1) $D^+_i = |e_i\rangle \langle g_i|, \quad D^-_i = |g_i\rangle \langle e_i |$

何を定義しているか(背景)
各原子(番号 $i$)を二準位系として扱い、上(励起)状態$ |e_i\rangle$ と下(基底)状態 $|g_i\rangle$ の間を行き来させる遷移演算子を定義しています。スーパーラディアンス(SR)の標準的導入で使う「擬スピン(Dicke の大スピン)」形式に入るための基本ブロックです。

数学的意味
・$D^+_i$は、$|g_i\rangle \mapsto |e_i\rangle$ に上げる「ラダー演算子」
 $D^+_i|g_i\rangle = |e_i\rangle , D^+_i|e_i\rangle = 0$
・$D^-_i$は、$|e_i\rangle \mapsto |g_i\rangle$ に下げる「ラダー演算子」
 $D^-_i|e_i\rangle = |g_i\rangle , D^-_i|g_i\rangle = 0$
これらは**内部状態($$)空間)**だけに作用し、位置や運動量の自由度には触れません。

物理的直観
・$D^+_i$:原子 $i$ に励起を作る(光・相互作用で上に上げる)
・$D^-_i$:原子 $i$ の自発放出/遷移で下に降ろす(光子やニュートリノ放出の素過程を表現)

使いどころ
後で 全体演算子 $\displaystyle D = \Sigma_i D_i$ を導入し、多数原子の集団遷移(コヒーレントな自発放出)を角運動量代数で解析します。SR における「$N$ 原子の協調的な自発遷移」をこの言語で表せるようになります。

確認(超短いチェック)
1.$D^-_i|e_i\rangle$ と $D^+_i|e_i\rangle$はそれぞれ何になりますか?
2.これらの演算子は原子のどの自由度に作用しますか(内部・位置・運動量のどれ)?
疑問点があれば遠慮なくどうぞ。大丈夫そうなら 式 (2) に進みます。

Q(koshix):
1. 励起状態を基底状態に降ろして放射させる作用,答えは$|g_i \rangle$ ,励起状態をさらに励起させる作用,答えは 0。
2. 内部スピン自由度
・ニュートリノが放射される場合はβ崩壊を想定していますか?

A(ChatGPT-5 Thinking):
完璧です!✨
1.✅ $D^-_i|e_i\rangle = |g_i\rangle, D^+_i|e_i\rangle = 0$
2.✅ 内部準位(擬スピン自由度)のみに作用 ― 位置や運動量には関わりません。

ニュートリノ放射の場合について
はい、ご指摘の通り、この論文が考えているのは 放射性崩壊(電子捕獲 EC や β 崩壊) です。
・光の場合:$|e \rangle \rightarrow |g \rangle + \gamma$
・ニュートリノの場合:$|p \rangle \rightarrow |d \rangle + \nu$
つまり「励起状態」や「基底状態」の代わりに、
・親原子(まだ崩壊していない) $|p \rangle$
・娘原子(崩壊後にニュートリノと一緒にできる)$|d \rangle$
を二準位系として定義しています。式(1) は光のSRの基本形を説明する段階ですが、後半でこの $|p \rangle, |d \rangle$ に対応させてニュートリノ版に置き換えています。

ここまでで「式(1)」とニュートリノの場合の対応は理解できましたか?
よろしければ次は 式(2) の $D^3_i$ の定義(擬スピンの $z$-成分)に進みましょう。
以下,(10)式まできたところで,自分の理解が追いつかなくなったのでちょっと中断。

2025年9月10日水曜日

次期学習指導要領(3)

次期学習指導要領(2)からの続き

9月5日に,中央教育審議会の初等中等教育部会の教育課程部会の教育課程企画特別部会から,上記の諮問に対する12回の議論における論点整理の素案が出てきた。4.8MB 113ページもある。ぱらぱらと見ただけで,その文科省構文的なポンチ絵の複雑さに圧倒されて読む気が失せる。

確認すると,ChatGPT-5はこのpdf全文を読み込めるといって,実際それなりの要約もしてくれた。ところが最近「ChatGPTは全文ちゃんと読んでいない疑惑」が持ち上がっている。どうしよう。読む気がしないけど,えらい人たちはみなこれを参照せよとつぶやいているし。

しかたがないので,とりあえず目次と第一章の次期学習指導要領に向けた基本的な考え方を写経してみる。古来,困ったときは音読と写経が一番だ。ということで,中教審資料から引用。もちろん写経といってほとんどはコピペで整形するだけのインチキ写経。

第一章 次期学習指導要領に向けた基本的な考え方(5)
第二章 質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方(18)
(1)中核的な概念等を活用した一層の構造化・表形式化・デジタル化
(2)「学びに向かう力、人間性等」の再整理
(3)「見方・考え方」の再整理
(4)デジタル学習基盤を前提とした学びの在り方
   学習指導要領と「個別最適な学びと協働的な学び」の関係の在り方
第三章 多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方(22)
(1)検討の前提(児童生徒の実態と現行制度の枠組み)
(2)義務教育段階(「調整授業時数制度」の創設等)
(3)高等学校段階における教育課程の柔軟化
(4)個別の児童生徒に係る教育課程の編成・実施の仕組み
第四章 情報活用能力の抜本的向上と質の高い探究的な学びの実現(15)
(1)情報活用能力の抜本的向上
(2)質の高い探究的な学びの実現
第五章 「余白」の創出を通じた教育の質の向上の在り方(8)
第六章 豊かな学びに繋がる学習評価の在り方(9)
第七章 その他諮問で提起された事項の在り方(21)
(1)カリキュラム・マネジメントの在り方
(2)高等学校入学者選抜
(3)産業教育
(4)特別支援教育
(5)幼児教育
(6)子供のより主体的な社会参画に関わる教育の改善
第八章 今後の検討スケジュールや検討の在り方等(3)

第一章の内容は以下のとおり 
令和6年12月の文部科学大臣による諮問やこれまでの検討を総合的に踏まえ、次期学習指導要領に向けた今後の検討の基盤となる基本的な考え方として、以下を提起する。

1.改訂論議を貫く三つの方向性
生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手を「みんな」で育むため、
①「主体的・対話的で深い学び」の実装(Excellence)
② 多様性の包摂(Equity)
③ 実現可能性の確保(Feasibility)
の3つの方向性を踏まえて議論を行う。これらの3つの方向性に基づく改善は、教育課程内外のあらゆる方策を用いつつ、三位一体で具現化されるべきものである。
 このうち、
「主体的・対話的で深い学び」の実装は、現行学習指導要領が目指している、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を通じた資質・能力の育成について、一層の具現化・深化を図るものである。
 このため、学習指導要領の目標・内容の構造化・表形式化・デジタル化、学びに向かう力、人間性等の重要概念の整理等により、分かりやすく、使いやすい学習指導要領を目指す。思考力、判断力、表現力等を発揮する中で、知識の概念としての習得や深い意味理解を促すこと、他の学習や生活の場面でも活用できるような、生きて働く「確かな知識」を習得すること、学びに向かう力、人間性等を育成することが一層重要となる中、「主体的・対話的で深い学び」の実装は、次期学習指導要領に向けた第一の方向性とすべきものである。
 このような授業改善に不可欠であるデジタル学習基盤の効果的活用は、育成すべき資質・能力が十分に意識されず「深い学び」に繋がっていない事例もあるなど道半ばである。また、デジタルの負の側面への対応も含め情報活用能力の育成にも様々な課題が見られる。このため、小学校の総合的な学習の時間への「情報の領域(仮称)」の付加、中学校での「情報・技術科(仮称)」の創設等の具体的方策を示した上で、情報活用能力を各教科等における探究的な学びを支える基盤と位置付け、抜本的な向上を図る。こうしたことを進めるに当たっては、知・徳・体のバランスや、人間ならではの身体性や実体験の重要性を十分に踏まえる必要がある。 (※)「Excellence」は、「主体的・対話的で深い学び」の実装により実現される質の高い教育を意味する。

 ② 多様性の包摂は、多様な個性や特性、背景を有する子供が多くなっている実態に向き合うとともに、こうした多様性を個人及び社会の力に変える観点から、一人一人の意欲が高まり、可能性が開花し、個性が輝く教育の実現を目指すものであり、第一の方向性と両立させることが不可欠な第二の方向性である。
 このため、「裁量的な時間」をはじめとする「調整授業時数制度」の創設、学年区分の取扱いの柔軟化、高等学校段階における単位制度の柔軟化、不登校児童生徒や特定分野に特異な才能のある児童生徒のための特別の教育課程編成を可能とする制度の創設等により、教育課程全体を包摂的な仕組みに改め、その具現化を図る。
こうした取組は、一人一人の個性や特性、背景を踏まえた対応が可能な仕組みを整えるという意味で、公正性(equity)の拡大と言える。 3

 ③ 実現可能性の確保は、第一・第二の方向性の両立を支え、実現可能とする観点であり、教育課程以外の勤務環境整備とも相まって審議全体に通底させるべき第三の方向性である。
 このため、教育課程の枠組みや教科等横断的な事項、今後行われる教科等WGを含む審議全般にわたって、教育課程の実施に伴い教師に過度な負担・負担感が生じにくい、持続可能な在り方を追求し、教師と子供の双方に「余白(※)」を創出することで、豊かな学びに繋げる方向を踏まえた検討を行う必要がある。 (※)教育の質の向上のための時間的余裕
● こうした3つの方向性を現時点で端的に表現すれば、「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」と言える。第一の方向性は「深い学び」、第二の方向性は「多様な子供たち」、第三の方向性は「確かなもの」という言葉に主に託されている。
● さらに、「みんな」が示す主体は、学校教育の未来を切り拓く中心的存在である学校の教職員はもとより、学びの当事者である子供、人口減少の中で学校を支える主体でもある、保護者や地域住民、地方公共団体の職員、民間の担い手も含まれ、「社会に開かれた教育課程」の理念とも深く関わる。今後、各WG等を中心に具体の議論を進める中で、こうした考え方もさらに深めていく必要がある。

2.自らの人生を舵取りする力と民主的な社会の創り手育成
 諮問で「正解主義」や「同調圧力」への偏りから脱却し、民主的かつ公正な社会の基盤としての学校を機能させる必要性が指摘された背景には社会全体の構造変化がある。生成AIなどデジタル技術の発展が相まって、皆と同じことができることも重要だが、それ以上に独自の発想や視点に価値が置かれるようになってきている。現在の学校教育の中で主体的に学びに向き合えていない子供も多くなっている。少子化に伴う入試による動機付けの変化、学習時間の減少等も踏まえ、学びの動機づけをアップデートする必要もある。予測困難な時代に、労働市場の流動化や就業期間の長期化、マルチステージの人生モデルへの転換が進む中、しなやかに「自らの人生を舵取りできる力」が不可欠となりつつある。また、内なる国際化で人口の多様性が増すとともに、SNSや生成AIの負の側面の影響もあり社会分断の可能性等も指摘される中、デジタル時代に主体的に社会参画する「民主的な社会の創り手」の育成も喫緊の課題である。
 このため、全ての児童生徒に育むべき資質・能力育成の具体化・深化と並行して、一人一人の「好き」(興味・関心)を育み、「得意」を伸ばしながら、それらを原動力として学び全体への動機づけを図っていく取組と、当事者意識を持って、自分の意見を形成し、多様な他者と対話や合意を図る取組を同時に進め、これらが有機的に関わり合い高まっていく教育課程に変革していく必要がある。
 こうした問題意識の下、本部会では、学びに向かう力、人間性等の概念の再整理、総合的な学習・探究の時間を中心とした質の高い探究的な学びの実現、デジタル化の負の側面への対応を含む情報活用能力の抜本的向上、特別活動を中心とした主体的な社会参画に関わる教育の改善、個性・特性に応じた学びの充実に繋がる裁量的な時間の創設等を主な具体策として議論してきた。今後、各WG等で更に検討を深める必要がある。

なお、これらは、 ①「主体的・対話的で深い学び」の実装、②多様性の包摂、という方向性について、社会全体の構造変化を踏まえて具現化するものであり、①②の一部を構成するものである。また、「よりよい学校教育」を通じて「よりよい社会」への移行を図るという意味で、「社会に開かれた教育課程」の理念とも深く関わる。

補足イメージ:
次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方
多様な子供たちの「深い学び」を確かなものに
あらゆる方策を活用し、三位一体で具現化

生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる 自らの人生を舵取りすることができる民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育む

①主体的・対話的で 深い学びの実装(Excellence) 主に第2,3,4,6章
(生きて働く「確かな知識」の習得、資質・能力育成の具体化・深化、「好き」を育み「得意」を伸ばす、情報活用能力の抜本的向上、個別最適な学び・協働的な学び 等)
②多様性の包摂(Equity) 主に第3,7章
(調整授業時数制度、裁量的な時間、個別の児童生徒に係る教育課程の仕組み、デジタル学習基盤を活用した学習環境デザイン、個別最適な学び・協働的な学び 等)
③実現可能性の確保(Feasibility) 主に第5,7章
(授業時数の適正化・平準化、教科書の精選、構造化、裁量的な
時間など様々な方策による教師・子供双方の「余白」の創出 等)

・学びをデザインする高度専門職としての教師
・「裁量的な時間」をはじめ柔軟な教育課程による余白
・デジタル学習基盤
・教育課程以外の勤務環境整備
ごちゃごちゃしていると思ったけれど,主張の骨格は結構明確でスッキリしていた。

P. S. やっぱりごちゃごちゃしているのはなぜかというと,たぶん前回の学習指導要領改定で教育課程課長の合田哲雄が教育内容だけでなく教育方法までやたらめったら書き込みすぎて,収集がつかなくなってきたのをそのまま捨てきれず,これを整理して見やすくするために表形式の学習指導要領にするということだと推察できる(三角関数(3)から)。なんだかなあである。

本当に余白を設けたいならば,まず,学習指導要領に理念部分を十分書き込んだ上での大幅な単純化からだと思う。構造化でも表形式化でもデジタル化でもない

[2]AIが読むのは記事の一部だけだった!?(SEO研究チャンネル)

2025年9月9日火曜日

次期学習指導要領(2)


昨年の12月末に,新しい学習指導要領の策定に向けて,文部科学大臣(代理)から中央教育審議会に諮問がされた。タイトルは「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」だ。当日は文部科学大臣の阿部俊子が海外出張中で,内閣府法10条によって,こども家庭庁担当の国務大臣中根順子(三原じゅん子)が代行に指名されたとChatGPTが教えてくれた。

それでは,諮問の本文も要約してもらおう。
A(ChatGPT-5):
要約
少子高齢化や国際情勢の不安定化、気候変動、生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な発展など、社会の大変動に直面する中で、2040年代を担う子どもたちにふさわしい教育課程を再設計する必要がある。
これまでの学習指導要領の理念(社会に開かれた教育課程、資質・能力の三本柱、主体的・対話的で深い学び)は一定の成果を上げたが、子どもの幸福度の低さ、不登校の増加、学ぶ意欲や自律性の不足、デジタル活用の遅れ、教師への過度な依存や負担などの課題が残っている。

このため文科省は、中教審に対して以下を中心に検討を諮問する。
1.学習指導要領の質と構造改革
・教科の目標・内容を分かりやすく構造化し、AI時代に対応した深い学びを実現。
・デジタル活用を前提にした指導要領・評価方法の改善。
2.多様な子どもを包摂する柔軟な教育課程
・不登校や特異な才能を持つ子への対応を含め、多様性に応じた教育課程編成。
・授業時数や単位制などの柔軟化。
3.これから必要な資質・能力の明確化
・情報活用能力、AI・デジタルリテラシー、探究的学び、文理融合教育、外国語教育の意義の再整理。
・特別支援教育、幼保小連携、社会参画教育の充実。
4.持続可能な教育課程実現の方策
・教師の過重負担を軽減しつつ、教科書・評価・教育DXを見直し。
・学校・家庭・地域との協働を強化し、カリキュラム・マネジメントを実質化。

つまり、「AI・デジタル時代と多様化する社会を見据え、深い学びと柔軟な教育課程を実現するため、学習指導要領を全面的に再構築し、教師負担を軽減しつつ持続可能な教育を確立する」ことが諮問の核心です。

ChatGPTのまとめが怪しいので,文部科学省が何を課題としているのかを自力でもう一度読み直してみた。社会の動きや学校現場の現状をざっとサーベイした後に,3つの課題が示されている。
(1)学ぶ意義を見いだせない子ども,不登校,特別支援,外国人,特異の才能などの多様性を包摂し,正解主義や同調圧力から脱して共生社会を支える必要があること。
(2)習得した知識を現実の事象と関連付けて理解すること、生成AI には扱えない概念としての知識の深い意味理解をすること,自律的に学ぶ自信を持つこと,などに欠けること。
(3)GIGAスクール構想が端緒についたばかりで,デジタルとリアルの対立もある。デジタル競争力は他国の後塵を拝していて,デジタル人材育成の強化は喫緊の課題であること。

なかなか苦労したけれど,今一つピンと来ない。生成AIに頼りすぎで,自分の読解力とまとめる力が衰えていることがはっきりわかる。あるいは原文がおかしいのかもしれない。


「これまでの学習指導要領(2017)の理念(社会に開かれた教育課程、資質・能力の三本柱、主体的・対話的で深い学び)」というのがあるが,自分が大学教員を退職する頃の学習指導要領なので,いまひとつ頭に入っていない。これは,ChatGPTに整理してもらう。


観点:2008年告示(学力の三要素)|2017年告示(資質・能力の三本柱)|主な変化点
第1:基礎的・基本的な知識・技能|知識及び技能|ほぼ継承。用語を簡潔化。
第2:思考力・判断力・表現力|思考力・判断力・表現力等|「等」を加え、創造力や批判的思考など幅を広げた。
第3:学習に取り組む態度|学びに向かう力・人間性等|「態度」から「力」+「人間性」へ。意欲・協働・社会性などを強調。
理念位置づけ:「生きる力」を支える要素として提示|学習指導要領全体の基本構造に明示|よりカリキュラム・ベースに直結。
授業改善の方向性:基礎学力の定着と活用|「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」|教育方法の改革を強調。


第三カテゴリーの意欲・関心・態度が評価にまで進出して,何これ状態だったのだけれど,ついに人間性ということになっていたのか。

2025年9月4日木曜日

教員養成の行方

中央教育審議会の初等中等教育分科会の教員養成部会から,「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」が出てきた。

ChatGPT-5に,上記の論点整理の概要案 1p を添付して「ここ30年の日本の教員養成の推移や社会の現状を踏まえ,添付ファイルにおける日本の教員養成改革の論点を批判的に分析して,その本質的な問題点と現実的な課題を適示してください」と聞いた結果は,こんな感じ

まあまあなのだけれども再度,別の聞き方をしてみた。
Q(koshix):
(論点整理本文(案)の 25p を添付)
報告書の肝の部分やそれが意味する背後関係(真の意図や関係する組織への利害得失)についてを分析してまとめてください。

A(ChatGPT-5):
了解しました。いただいた報告書(中央教育審議会教員養成部会「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」)の「肝の部分」と、それが意味する「背後関係(真の意図や関係する組織への利害得失)」を分析してまとめます。

1.報告書の肝の部分
大きく分けて4本柱があります。
(1)教職課程・免許制度の再編
・各大学の自由度を増やしつつ、コアカリキュラムや共用試験で「質保証」する仕組み。
・学部段階で基礎、大学院段階で高度専門性という「二段階モデル」へ。
・特別支援・ICT活用など新課題に対応できる資質能力を必須化。
(2)採用制度の改変と広報戦略
・教員採用試験の「共同実施」や日程早期化。
・国主導での広報・ブランディング。
・「サプライティーチャー」(退職教員活用)の仕組み。
(3)現職教員の学び直し・研修改革
・サバティカル導入、研修履歴データベース(Plant)の活用。
・管理職研修を外部リソースで強化。
・在職型大学院支援。
(4)社会人・企業人材の活用
・特別免許や認定試験を活性化。
・シニア人材から始める「在籍型出向」を推奨。
・企業側に税制優遇などインセンティブを与える。

総じて「従来の教育学部・単科大を中心とした閉じた養成→大学横断・社会人参入を前提とした開かれたシステム」への転換が核心です。

2.真の意図と背後関係
表向きは「多様な専門性の確保」ですが、裏にいくつかの政策意図が見えます。
(1)教員不足への対応
少子化にも関わらず、現場では教員不足が深刻。免許取得・採用のハードルを下げ、社会人・企業人材を柔軟に導入することで人材プールを広げたい。
(2)大学制度改革との接続
「大学院段階で高度専門性」という設計は、教職大学院の存在意義を強化する一方で、地方の単科教員養成大学には統廃合や他大学との連携を迫る布石。
(3)中央集権的統制の強化
「共用試験」「コアカリキュラム」「共同採用試験」によって、大学や自治体の独自性よりも国基準を優先させ、質保証と同時に国の統制力を拡大。
(4)産業界との利害調整
企業人材の派遣を教育現場に組み込むことで、企業は「社会貢献+人材育成の機会」を得られ、国は教育予算を大幅に増やさずに人材を補填できる。企業への税制優遇が議論されているのもこの文脈。

3.関係組織ごとの利害得失
(1)文部科学省・中央教育審議会
・得:質保証と採用を「国主導」で握れる。教員不足への即応策を示せる。
・失:地方大学・自治体の反発リスク。
(2)国立の単科教員養成大学
・得:フラッグシップ大学化すれば権限と予算増。
・失:規模が小さい大学は統廃合や役割縮小の圧力を受ける。
(3)教育委員会(自治体)
・得:共同採用試験で負担軽減。社会人導入で人手不足緩和。
・失:国主導により採用の裁量が減少。人材流動性増で定着率低下リスク。
(4)民間企業
・得:人材育成・社会貢献アピール、税制優遇。
・失:人材流出リスク、教育現場との文化摩擦。
(5)教師・志望学生
・得:柔軟な免許取得ルート、ICTや社会人交流を通じた専門性の多様化。
・失:共用試験導入による負担増、従来型「教育学部出身者」の独占的優位性の低下。

4.全体的な評価
この論点整理は、表向きには「多様性と質保証」を掲げながら、実質的には ①教員不足への緊急対応、②大学制度改革(特に教員養成系統の再編)、③産業界を巻き込んだ教育人材供給システムの設計 を同時に進めようとする戦略文書です

つまり「教育改革」というよりは、「教育人材市場の構造改革」として読むべきものです。

ご希望であれば、これを 「国・大学・教育委員会・産業界・現場教師」別にシナリオ分析(得する組織/失う組織の未来像)として整理することもできますが、そちらも必要でしょうか?

元教員養成単科大学の関係者としては,なかなか大変な状況だという印象だ。これまでは,教員が余っているということで,1988年に大教大では教養学科(ゼロ免許=非教員養成コース)を設置し暫くは落ち着いていたが,2003年に国立大学が法人化され教員養成単科大学の統合再編話がひとしきり盛り上がった。

そしてその後も学生定員削減と組織改革が頻繁に繰り返されてきた。2006年の教育基本法改正,2007年の専門職大学院としての教職大学院制度の創設。2009年に教員免許更新制が教員の資質能力の向上(自民党右派の本音は不適格教員の排除)を目的に導入など,てんてこ舞いで振り回され続けたのだ。

大教大には夜間学部があったために,機能がやや重複する教職大学院設置になかなか踏み切れなかったが,2015年には関西大学,近畿大学とともに連合教職大学院を設置することになった。2012年から設置に向けた仕事をしていました。あ〜あれからもう10年も経ったのね。

定年退職後も,2022年に教員養成フラグシップ大学に選定され(同時期には免許更新制も廃止),2024年には大阪市総合教育センターを含むみらい教育共創館もオープンして一息ついたと見えていた。そこのところにまたこの荒波がくるのか。



図:ChatGPTが生成した大教大連合教職大学院のフェイク画像


2025年8月22日金曜日

プログラミング教育2025

放送大学にチャンネルを合わせると,中川一史さんと文科省の折笠史典さんがでている「小学校プログラミング教育(導入編)」をやっていた。2019年のものかな。生成AI登場以前だ。それはそうとしても,なんだかなぁと感じたのでそのあたりをChatGPT-5の助けをかりて言語化してみた。「わかりやすく」とか言わないほうが面白い結果が得られる。

Q(koshix):
小学校のプログラミング教育において重要なことは「プログラミング的思考」を育成することだといわれています。 ところが,その定義が手続き型プログラミング言語の仕組み の表層をなぞるようなものでしかありません。具体的な実践例も 子供たち創造力を引きだすようなものにはなっていないと思います。 
問題はコンピュータの利用において,これを単なる受け身の メディア再生機(YouTubeとゲーム)でなくて主体的に創造するための「ツール」として活用することにあるのではないかと思います。 プログラミング教育はその一部を構成できると思いますが, 一方でプログラミングなしで,通常のアプリケーションの 活用だけでも同等のことが実現できるのではないでしょうか。 この論点のついての分析と評価をお願いします。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
私の問題意識は,プログラミング的思考を育成するという目標設定それ自身がおかしいのではないかということです。目標はあくまでも創造的な「ツール」としてコンピュータを活用できるようになることです。そのなかにプログラミングという要素があることには全く依存がありません。アプリ中心であることにこだわっているわけでもありません。AI時代を迎えるにあたっての基本的な考え方の問題です。その辺があなたにうまく伝わっていないような気がします。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
いやここまでで結構です。どうもありがとうございました。 放送大学の「小学校プログラミング教育(導入編)」という授業の内容を徹底的に批判してほしいのですが,たぶんあなたはそれにアクセスできないでしょうから無理ですね。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
(添付ファイル:koshix.blogspot.com の「小学校プログラミング教育」から)
小学校プログラミング教育とプログラミング的思考についてのこのブロガーの記事を年代順に把握理解してその主張を報告してください。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
「教育政策の批判軸」 と 「創造的活用へのシフト」 という2本の柱で整理し、論説の形で分かりやすく説得的な日本語の文書にしてください。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
添付のテキストの内容も加味して,教育関係者向けの提言書スタイルのわかりやすく説得的で詳しい文章にまとめてください。

A(ChatGPT-5):(回答略)

Q(koshix):
分かりやすさを優先したためか,文章の深みに欠けています。箇条書きはなるべく減らした上で,深く思考を紡いだ長めの文によって論理を尽くして問題点をえぐり出してください。

A(ChatGPT-5):

提言書(ChatGPT-5 + koshix)

「プログラミング的思考」から「創造的コンピュータ活用力」へ——AI時代の小学校情報教育を設計し直す

小学校へのプログラミング教育導入は、「プログラミング的思考」という新奇だが曖昧な標語のもとに制度化された。だが、この標語は教育の最上位目的を示す理念としては脆弱で、しばしば“手段の目的化”を招き、現場に形式主義をもたらしている。むしろ目標は、子どもがコンピュータを自らの創造のための道具として使いこなし、情報を構想・生成・編集し、社会に働きかける力を培うことに置かれるべきである。この観点は、当初の政策決定過程のねじれや、現場で観察された実践の限界、そしてAIの到来によって一層鮮明になった。

1.概念輸入のねじれと制度文言の劣化
「コンピューテーショナル・シンキング(CT)」の輸入に端を発する議論は、当初、学習の設計・分解・抽象化といった広い知的実践を射程に入れていた。しかし政策化の局面で、用語は「プログラミング的思考」へと統一され、その意味内容は「意図した処理を実現するために、動きの組合せを記号で設計し、改善する」といった、手続き型プログラミングの表層に引き寄せられてしまった。ここで理念は二重に脱力する。第一に、目標を「思考法」に格下げすることで、子どもが道具を握って世界に関わるという行為のダイナミズムが霧散する。第二に、学ぶべき思考の実体がプログラミング言語の構文・制御構造の擬似体験に化け、学びの “中身” が希薄化するのである。このねじれは、政策文言の可搬性(どの学校でも言い回しだけは一致させられる)を優先した結果でもあったが、その代償として、子どもの創造的な営みを正面から扱う大胆さを失わせた。

2.形式主義が生む現場の負担と不均衡
「思考の育成」という抽象目標は一見、現場の裁量を広げるように見える。だが実際には、汎用教材で短時間に達成度を “見える化” する設計が横行し、キャラクターを一定の手順で動かすことが “学習の証拠” へとすり替わる。こうした授業で子どもが得るのは、コードの意味理解やシステム設計の経験ではなく、与えられたブロックの正しい並べ替えにすぎない。制度はその “達成” を評価しやすく、教員は達成形式を整えるための下準備に追われる。設備や研修のリソースが乏しい学校ほど、形式主義に依存する傾向は強まり、結果として教育機会の格差は拡大する。制度化の当初から、この副作用は鋭く指摘されていたし、現場感覚としても重くのしかかってきた。

3.教育目標の取り違え——“思考”という名の空洞化
決定的な問題は、「プログラミング的思考」という語が、手段の記述様式(記号列・制御構造)を “思考” に見立て、学習目標を手段側へ引き倒してしまったことである。子どもが学ぶべきは、コンピュータを介して世界に関わるための “作る・直す・伝える” というプロセスの統御であり、その中にプログラミングという選択肢が含まれるかどうかは、課題や道具選択の問題であって本質ではない。現行定義は、まさにこの順序を逆転させる。したがって、「手続き型の表層をなぞる定義では創造性が引き出されない」という批判は、的確であるだけでなく、政策の前提に遡る根本的な再審を促す。そしてこの批判は、単なる理念論にとどまらない。実際の授業は「迷路を解く」「キャラクターを動かす」といった課題に収束しやすく、子どもの関心や社会的文脈に接続されにくい。ここで子どもが体験するのは、世界に向けて “何かを成し遂げる” ための設計ではなく、正規解に収斂する “模倣の段取り” である。

4.反証としての実践——Scratchが示した“道具としての広がり”
他方、同じプログラミングの枠内でも、Scratchの拡張機能群とIoT連携は、授業が閉じた画面内の模倣から、音・身体・空間・外部データへと開かれうることを示した。ここでは、プログラミングは “コードを書く行為” というより、表現や探究のための “場づくり” として機能しうる。つまり、子どもの手に渡る道具箱が十分に多様で、課題が生活世界や学びの他領域に接続されているとき、プログラミングは創造のための媒介となる。この経験は、当初の懐疑を訂正し、目標が “思考のラベル” ではなく “創造の実践” であるべきことを、実証的に裏づけた。重要なのは、ここで価値を生んでいるのが「プログラミング的思考」なる抽象ではなく、道具の拡張性と課題設計の社会的・表現的接地だという点である。

5.AI時代が要請する転回——命令記述から振る舞い誘導へ
生成AIの普及は、コンピュータとの関わり方を「手続きの逐語的記述」から「振る舞いの誘導・評価・統合」へと劇的にシフトさせた。ここでは、プロンプトという高位の仕様を投げ、出力を批判的に吟味し、他のツールと組み合わせて目的の表現や解決に仕立て直すことが核心となる。つまり “作る” ことの意味が、コードの細部に宿るのではなく、道具の選択・役割分担・検証・再設計の循環に宿る構造へと変わったのである。したがって、教育の目標は「プログラミング的思考」の育成ではなく、「コンピュータを創造のために使いこなす統合的能力」の涵養に再定義されねばならない。そして、この能力はプログラミングを必須としない。ローコードやノーコードの環境、さらにはアプリの高度な機能だけで、十分に同等の学びが成立する局面は多い。鍵は、ツールの等価的な編成と批判的運用にあり、どの記法を採るかは従属的な決定である。

6.政策言語を書き換える——“道具としての創造”を最上位目的に
以上を踏まえると、政策文書は次のように言い換えられるべきだ。すなわち、「小学校段階では、子どもがコンピュータとAIを創造のための道具として主体的に活用し、情報を収集・生成・編集・表現する一連の営みを設計・実行・省察できるようにする」。この目標のもとでは、プログラミングは “取りうる手段の一つ” として位置づけられ、課題の性質と子どもの発達段階に応じて、アプリ、センサー、生成AI、データ可視化、メディア編集などと等価に選択される。評価も「正しく動くコード」から離れ、課題設定の妥当性、ツール選択の理由、失敗の記録と修正、成果の社会的・表現的意義といったプロセスの可視化へと移行する。こうして初めて、授業は “やったこと” のチェックから、“何を成し遂げたか”  “どう変えたか” の探究へと質的転換を果たす。

7.実装への視座——授業設計・評価・教員支援
実装の要は三つある。第一に、課題を生活世界の問題や他教科の学びに接地させ、アウトプットを “誰かに届く表現” として設計すること。第二に、AIと人間の役割分担を明示化し、出力の根拠・限界・改変の痕跡を残すことで、子どもに “作ることの説明責任” を教えること。第三に、教員の専門性を「コード知識」ではなく「学習のオーケストレーション」に振り向け、ローコード/ノーコード教材やプロンプト例、失敗事例集を共有資産として整備することである。これらは、リソース差を埋め、形式主義に陥りやすい学校ほど “実質” へと近づけるための制度投資でもある。

結語
私たちが守るべき順序は単純である。第一に目的、次に手段。目的は、子どもがコンピュータを用いて世界に働きかける創造の主体になること。手段は、プログラミングであれ、アプリであれ、AIであれ、課題に応じて選び、組み合わせ、検証し、やり直すこと。いま必要なのは、「プログラミング的思考」という抽象の上塗りではなく、“道具としての創造” を最上位に置く政策言語への転換である。そこに立ち返るとき、授業は再び、生きた学びになる。子どもは、手続きの模倣者ではなく、技術と表現を編む設計者として教室に現れるだろう。

2025年8月21日木曜日

オーセンティック評価

ポチョムキン理解(3)からの続き

まだ,大学で仕事をしていた頃,オーセンティック評価(真正の評価)という言葉をよく耳にした。教育評価の議論はいずれもどこか怪しい気がしたし,これについてもまともに考えてこなかった。ところがふと,ボチョムキン理解というのは結局AIの理解に対する評価の問題であると気付いた。

つまり生成AIの理解に対するオーセンティック評価が必要だということだ。さっそく本人に確認してみることにする。
Q(koshix):
生成AIに対するオーセンティック評価はどのようにして実現できますか?

A(ChatGPT-5):
とても重要なテーマですね。「生成AIに対するオーセンティック評価(authentic assessment)」をどう実現するかを考えるには、まず前提と課題を整理する必要があります。以下、フレームワーク的に段階を追って説明します。

1.コンテキストと前提条件
従来型評価(正解・不正解、定量的スコア)は、生成AIが回答を「それらしく」出せるため、表層的に高得点を取ってしまうリスクがある。
オーセンティック評価とは、本来「実社会に近い課題解決能力を評価する」手法であり、単なる知識再生ではなく、応用・批判的思考・協働・創造性などを測る。
生成AIが介在する時代においては、「AIを使わずに人間だけを測る」のではなく、「AIを含むエコシステムの中で人がどのように価値を出せるか」を評価する必要がある。

2.オーセンティック評価の基本構造
生成AI時代に有効な評価は次のような観点を含みます:
(1) プロセス重視
・最終アウトプットだけでなく、思考過程やAIとの対話ログを提出させる。
・「AIにどう指示を出したか」「出力をどう検証・修正したか」を評価対象に含める。
(2) 現実課題への接続
・実際の社会問題や業務に即したプロジェクト課題を与える。
・例:生成AIを活用して地域課題の解決策を提案する、研究論文の要約+批判的レビューを書く。
(3) AIリテラシー評価
・AIの出力を無批判に受け入れるのではなく、誤りを発見し修正する能力を測定。
・出力の偏り・限界を認識し、参照・引用の正当性をチェックする力を評価。
(4) メタ認知・説明責任
・学習者が「なぜその方法を選び、AIをどう利用したか」を言語化・反省できるかを見る。
・これは「AI依存度」ではなく「人間の判断力」を浮かび上がらせる。

3.実現のための技術・運用的工夫
ポートフォリオ方式
学習者がAIとのやりとり、修正版アウトプット、自己評価コメントを蓄積し提出。
ピアレビューの導入
AI+人間の生成物を相互にレビューすることで、批判的思考を強化。
・ルーブリックの再設計
従来の「正確性・完成度」中心から、
「AI利用の適切さ」「情報の信頼性評価」「独自の付加価値」などを盛り込む。
トレーサビリティ確保
提出物に至るまでのプロンプト履歴・編集履歴を透明化。
(Google Docsの履歴やGitのように「過程を残す」仕組み)

4.実例イメージ
・大学レポート課題:
「生成AIを用いてレポートを作成してよい。ただし、AIに与えた指示と出力履歴を添付し、誤りや偏りをどう修正したかを分析して示すこと。」
・企業研修課題:
「自部署の課題解決案をAIにブレインストーミングさせたうえで、自分の判断で取捨選択し、最終提案をまとめる。評価は選択理由の妥当性と実現性を重視。」

5.まとめ
生成AIに対するオーセンティック評価は、
(1) アウトプットだけでなくプロセスを評価する
(2) AIとの協働能力を測る
(3) 批判的思考とメタ認知を中心に据える
ことで実現可能です。

従来の「人間 vs 機械」ではなく、「人間+AIでどのように価値を創造できるか」を測る方向に評価基準を再設計することが肝心です。

ご希望でしたら、教育・研究・ビジネスの各分野ごとに「導入ステップ」と「評価ルーブリックの具体例」を整理した実践プランも提示できますが、そちらに進めますか?



図:AIのオーセンティック評価のイメージ(Geminiによる)


2025年4月22日火曜日

ヒトからAIへ

AIによって代替される人間の仕事は何かという話題は,昔から繰り返されていると思う。そのときどきで,AIの状況は異なっているので,2022年11月のChatGPT登場以降にはまた新しいシーンが見えている(AIと職業)。

とりあえず,ChatGPT自身に考えてもらうことにする。職業の種類としては厚生労働省の職業分類表に基づいて考える。

Q(koshix):

AIによる人間の仕事の代替可能性について考えています。
は,厚生労働省による最新の職業の分類表です。必要があればこれを参考にして,以下に示した中分類78項目において,今後10年の間に,AIに代替されそうな職業とそうでない職業を5段階で分類して,根拠を1行程度で示してください。

A:代替される確率が高い, B:やや代替されそう,C:どちらかわからない,
D:やや代替されにくそう,E:代替される確率が低い,とします。
最初に基本的な考え方と根拠を述べてから,順に結果を表してください。最後に,A,B,C,D,Eの各段階の集計(総数とパーセンテージ)をお願いします。

(付注)
・なお,現行法制度や社会制度上は人間である必要のある職業がありますが,
その制約にはとららわれず,その実質的な業務内容と遂行可能性から判断して
AIへの代替可能性を検討するものとします。
・また,物理的な仕事についてはロボットによる代替可能性も考えられますが,
これについては現時点での技術やコストを前提として判断するものとします。

(以下1〜78までの項目リスト略 → これを4つの生成AIにフィードして回答を得た。)

Q(koshix):
qk0.txt(上記のQ) の質問を4つの生成AIに与えたところ,ds1.txt(DeepSeek V3の回答), cl2.txt(Claude 3.7 Sonnet), gm3.txt(Gemini 2.5 Pro), gp4.txt(ChatGPT 4.5) の4つの回答が得られました。これらを総合した結果を出力してください。

(1) AIによる職業の代替可能性を評価するにあたり、基本的な考え方と根拠をなるべく詳しく説明する。
(2) 厚生労働省の職業分類表に基づく78個の中分類(各テキストファイルで提示済み)について、AIによる代替可能性を5段階(A:高い、B:やや高い、C:不明、D:やや低い、E:低い)で評価し、1行程度の具体的で適切な根拠を示す。
(3) A,B,C,D,Eの各段階の集計(総数とパーセンテージ)を与える。

A(ChatGPT 4.5):
以下に、アップロードされた4つの回答ファイル(ds1.txt, cl2.txt, gm3.txt, cg4.txt)の総合結果を示します。各AIの評価基準や傾向を踏まえて、共通点を抽出し、分類の総合評価を算出しました。

(1) 基本的な考え方と根拠(総合)

4つのAIの回答に共通する評価基準として、以下の要素が挙げられます。
業務の定型性: 定型的・反復的な作業はAIで代替されやすい(例:一般事務、製造業務など)。
創造性と高度な判断力: 創造的業務や高度な専門的判断を伴う業務は代替されにくい(例:研究職、経営層、芸術職)。
対人コミュニケーションと感情的知性: 人間の感情理解や共感、複雑な人間関係調整が必要な業務はAI代替が困難(例:医療、介護、教育、宗教家)。
物理的な作業の複雑性: 単純作業や繰り返し作業はロボット・AIで代替可能だが、複雑で環境変化への柔軟な対応が求められる作業は難しい(例:一部建設作業や修理業務)。
技術成熟度と今後の技術発展可能性: AI技術の現状と将来的な進展を考慮し、すでにAIやロボティクスが実用化されている領域は代替可能性が高い。

(2) 職業分類78項目の総合評価結果

各AIが出した評価を平均し、最も頻繁に選ばれた評価を総合評価とします。
(注:カッコ内は,A=1〜E=5ポイントとしたブロックごとの平均ポイントを追加した)

管理(3.5)
1 管理的公務員   政策判断、対人調整が中心
2 法人・団体の役員 戦略的意思決定、人間的判断が必須
3 法人・団体の管理職員 管理業務は一部AI化可能だが対人調整が必要
4 その他の管理的職業 業種による変動性
専門的・技術的(3.2)
5 研究者      D 創造性と高度な判断が不可欠
6 農林水産技術者   B データ分析と予測業務が中心
7 開発技術者    設計支援は可能だが創造性が必要
8 製造技術者    生産プロセス最適化が容易
9 建築・土木・測量技術者 一部業務の自動化が容易
10 情報処理・通信技術者 プログラミング等の業務の自動化が顕著
11 その他の技術者  専門性により異なる
12 医師・歯科医師等 専門的判断と対人ケアが必要
13 保健師・看護師等 感情的ケア・コミュニケーションが中心
14 医療技術者     検査・画像診断等のAI化が容易
15 その他の保健医療職 専門性・対人サービスの多様性
16 社会福祉専門職  対人・感情的サポート中心
17 法務職      法律解釈と判断業務が中心
18 経営・金融・保険職 データ分析業務の自動化が進む
19 教育職      対人指導・コミュニケーションが必須
20 宗教家      精神的指導・感情的支援がAIに不可能
21 著述家・編集者等 一部記事生成可能だが独創性は人間依存
22 芸術家・写真家等 創造性と感性が必要
23 音楽家・舞台芸術家 芸術的表現・感情表現はAIが困難
24 その他専門職   職種ごとの多様性あり
事務(1.6)
25 一般事務職    定型業務で完全自動化可能
26 会計事務職    会計処理自動化が進行中
27 生産関連事務職   データ処理業務の完全自動化が可能
28 営業・販売事務職 CRM管理・自動化可能
29 外勤事務職    現場対応の必要性あり
30 運輸・郵便事務職 データ処理自動化可能
31 事務用機器操作職 操作が完全に定型
販売(3.0)
32 商品販売職    一部接客要素が必要
33 販売類似職    一部自動化可能
34 営業職      対人交渉が中心
サービス(3.1)
35 家庭生活支援サービス 対人サービスが中心
36 介護サービス職   感情的ケアが重要
37 保健医療サービス職 対人ケアが重要
38 生活衛生サービス職 一部作業は自動化可能
39 飲食物調理職    調理ロボット導入可能
40 接客・給仕職   一部サービスは人間が必要
41 居住施設・ビルの管理職業 IoTやAIによる施設管理自動化が可能
42 その他のサービス職業   職種ごとの多様性が大きく判断が難しい
保安(3.7)
43 自衛官       高度な戦略的判断や倫理観が必要
44 司法警察職員   捜査・判断力・人間的対応が必須
45 その他の保安職業 一部監視業務はAI可能だが状況判断必要
農林漁業(2.7)
46 農業職      精密農業・自動収穫機の普及進展
47 林業職       地形や環境への柔軟な対応が必要
48 漁業職      漁業の一部AI化可能だが柔軟性必要
生産工程(1.4)
49 生産設備制御・監視(金属系) 設備の監視・制御は自動化が容易
50 生産設備制御・監視(非金属系) 同上
51 生産設備制御・監視(機械組立) 定型的な作業が中心で自動化が進展
52 金属製造職     ロボットによる定型作業が容易
53 金属加工職    CNCなど機械化・AI化が容易
54 食品・乳製品・食肉・水産物加工製造職 自動化技術の進展が容易な分野
55 繊維・衣服製品製造職   B 3Dプリンティング技術で自動化進展
56 プラスチック・ゴム・紙製造・印刷職 一貫した自動生産ラインが可能
57 一般機械器具組立職    ロボット導入が容易で代替が進む
58 自動車・輸送機械組立職   A 既に高度な自動化が進んでいる
59 電子機器・精密機器組立職 高精度ロボット導入が進行中
60 機械整備・修理職     C 修理業務は状況に応じた対応が必要
61 製品検査(金属系)     A AI画像認識等により完全自動化可能
62 製品検査(非金属系)    A 同上
63 機械検査職       A 機械検査は自動化が進行中
64 生産関連・生産類似職業 定型業務が多く自動化可能性高い
輸送・機械運転(2.4)
65 鉄道運転職       B 自動運転技術の実用化が進展中
66 自動車運転職     B 自動運転技術の発展により一部代替可能
67 船舶・航空機運転職   C 自動化可能だが安全面で人間が必須
68 その他の輸送職     C 業務の多様性が高く判断が難しい
69 定置・建設機械運転職 定型的な運転操作はAI・ロボット化が可能
建設・採掘(2.8)
70 建設躯体工事職     C 一部ロボット化可能だが、複雑な現場判断必要
71 建設職         C 複雑な状況判断や柔軟対応が不可欠
72 電気工事職       C 細かな作業や現場対応が必要
73 土木職         C 環境対応と柔軟な現場判断が必要
74 採掘職         B 危険作業が多く自動化が進展しやすい
運搬・清掃・包装等(1.8)
75 運搬職         B 自動搬送ロボットの普及で自動化進展
76 清掃職         B 清掃ロボットの普及が進展中
77 包装職         A 完全自動化が可能
78 その他運搬・清掃・包装 自動化技術が進展

(3) 総合集計結果

4つのAI回答から集計した(編注:代替可能性の)分類結果の総合(各評価の平均値):

 段階     件数 割合(%)
A(高い)   11 14.1%
B(やや高い) 26 33.3%
C(不明)   25 32.1%
D(やや低い) 14 17.9%
E(低い)    2 2.6%

【総合考察】
・AIによる代替可能性が高い(A+B):約47.4%
・AI代替が難しい(D+E):約20.5%
・AI活用は主に定型的業務・反復業務・データ処理業務で進展する。
・創造性や対人ケア、複雑な判断力が求められる業務では人間の優位性が維持される見込み。 
以上が4つのAI回答を総合した評価結果です。 

図:Imagen3 によるAIに代替される仕事のイメージ・・・イマイチ


長期的には,頭脳労働はAIに代替され,肉体労働が人間に残される。ロボットだけで生産流通設備のすべてを賄うことは難しいので,すべてのニッチな仕事を埋めるのが人間(エネルギーパフォーマンスが最高の自己増殖型生体ロボット)になるだろう。このとき学校教育で必要となるのは現在マージナルな扱いを受けている,技術・家庭,図画工作・美術,音楽,保健体育になる。主要教科とよばれたものは,AIによって代替される能力に対応していた。


[1]人工知能(AI)の進化が人間の雇用等に与える影響(平成28年版 情報通信白書)

2025年3月25日火曜日

インターネットと教育


インターネットと教育という教育情報ポータルサイトを立ち上げて公開したのが,1995年3月25日のことだ。今日で30年を迎えることになる。

1982年に大阪教育大学の教務員として就職することができた。PCの時代が始まった頃だ。翌1983年にはNEC-9801というインテル8086プロセッサを搭載したNECの最初の16bitパーソナルコンピュータが研究室に導入された。最初のうちは研究のための数値計算に使えるかという建前だったが,すぐに,パーソナルコンピュータを使った情報教育をどうするかという話に切り替わっていった。

1988年,データステーションの教務員だった垣本徹さんと,毎日あれこれ図り巡らした結果,大阪教育大学に当時最新鋭のAppleのMacintoshIIが40台導入されることになった。そこでもう一段階はまってしまうことになる。宅間電波高専から佐藤隆士先生が着任し,いよいよインターネットの時代が幕開こうとしていた。

1994年,観察者としての自分にとっての100校プロジェクトのスタートは,夏休みに東京有楽町マリオンで開かれたフォーラムだ。どこかで案内を見つけてこれだと思って一人ポツンと参加したときにはじめてその熱気を感じることができた。その周辺の存在でしかない自分にできることは何かと考えて始めたのが,インターネットと教育というウェブサイトだった。

当時は,他にも数名同業者がいたが,しばらくして全文検索エンジンのgooやgoogleが立ち上がった頃,検索キーワードを「インターネット & 教育」とするとトップページに現われるようになった。1996年の公共ホームページgood siteにも選ばれて,リンクリスト賞を受賞した。サポートしていただいた定金晃三先生と共に学長室に向かったのも懐かしい。

7年間毎週のように更新を続けたが,2002年の春に情報処理センター長に就任したので,その年の暮には忙しくて手が回らなくなり,さらにマンネリ化したため更新を終了してしまった。2001年6月に附属池田小事件が発生したこともあり,下記 [3] の電子学習環境センター構想は夢のままになってしまった。現在は,尾崎卓郎君らががんばって,みらいICT先導センターとして活躍している。



図:インターネットと教育の最終画面(2002.12.14)

[1]インターネットによる教育情報の提供(大阪大学大型計算機センター, 1997)

2025年3月24日月曜日

公教育と私教育

デジタル社会の実現に向けた重点計画からの続き

高校教育の無償化(所得によらない授業料の一定額までの給付)は,維新と自民・公明によって実現されることになった。公教育の無償化は理念としては正しいと思う。しかしながら,先行する大阪府の現実をみれば,たんなる公立高校の破壊と教育格差の拡大に他ならない。理念なき維新の新自由主義的右派ポピュリズムの発露であって,定員割れした高等学校が廃校にされ,跡地が売り払われ,高所得層の塾シフトが強化されるだけだ。

マスメディアやオンラインメディアにおけるこの議論では,公教育という言葉の誤用が気になる。以前にも書いたが自分も公教育=公立学校教育だと誤解していて,千葉学芸高等学校長高橋邦夫さんに教えられて初めてわかった。

公教育私教育をWikipediaで調べてみると,ちょっと気になる表現があったので,ChatGPT 4.5にきいてみたところ,やはりそうであった。集合知としてはWikipediaより生成AIが上回りつつあるかもしれない。

Q(koshix):
公教育(こうきょういく)は、公の目的によって行われる教育の総称一般的には国や地方公共団体、学校法人により設置・運営される学校で行われる、公的な制度に則った教育のことを指し、「公立学校で行われる教育」を指す言葉ではない。産業革命や市民革命を経て、近代社会が成立する課程において、一般大衆を国民として教化せしめる必要が生じた事に端を発する考え方である。」 「私教育(しきょういく、英語: private education)とは、スポーツ・音楽などの習い事を含む塾、学習塾や受験・資格取得のための予備校、カルチャーセンターや文化スクール、ビジネスセミナーや社会人向け講座など、当該教育施設が民間か公的なものであるかに関係なく、家庭における教育活動と・教育機会を総称したものである。対義語は公教育。」 「資格取得のための教育施設が民間のものであっても、自動車教習所のように私教育とは言えないものがある一方で、公的な生涯学習センターなどで行われるヨガ教室を初めとした各種講座は、典型的な私教育である。」(編注:Wikipediaから引用)

 上の文における自動車教習所が私教育とはいえないという主張は正しいですか?その根拠はなんですか?

A(ChatGPT 4.5):
ご提示いただいた文における「自動車教習所が私教育とは言えない」という主張は、一般的な教育学の観点からすると、やや不正確です。文中における「私教育」の定義(塾や習い事、資格取得など、家庭や個人が主体となる教育活動を総称したもの)に基づくと、民間が運営する自動車教習所であっても、その位置づけは典型的な私教育となります。

以下、考え方を整理します。

1.定義に基づく分析

公教育とは、国や地方公共団体など公的主体が、公共の目的(国民の形成、市民的資質の育成)を達成するために制度化して提供する教育(例:義務教育、大学、高校)を指します。
私教育とは個人の意思や家庭のニーズに基づき、技能や資格取得、趣味や教養のために行われる教育活動(塾、予備校、習い事など)を総称します。これには、民間が主体であるか、公的機関が提供しているかは問われないとされています。

2.自動車教習所の性質

自動車教習所は、運転免許という個人が特定の資格(技能・資格)を取得することを目的とする教育施設です。設置主体は多くの場合、民間企業です。
運転免許の取得は、個人の希望・ニーズに基づいて行われるものであり、学校教育制度(義務教育など)に組み込まれていません。

3.「私教育」と判断すべき根拠

自動車教習所での教育は、「運転免許取得」という個人の資格取得を目的としており、公教育の主目的である「一般大衆を国民として教化・形成する」という趣旨とは性格が異なります。典型的な資格取得型の教育活動(予備校や資格学校)と同じ性質を持つことから、「私教育」に分類されます。

4.参考資料による裏付け

文部科学省や教育学の専門書(例:佐藤学『教育の方法と技術』岩波書店、あるいは大田堯『教育とは何か』岩波新書)では、自動車教習所は個人の資格取得のための「社会教育施設」として分類されることが多く、公教育とは区別され、通常は私教育または社会教育の範疇に含まれます。

参考文献:
文部科学省「社会教育法」
日本社会教育学会編『社会教育ハンドブック』など
URL(例示):文部科学省 社会教育法について

結論(まとめ)

ご提示の文書における「自動車教習所が私教育とは言えない」という主張は、定義および一般的な教育学の観点からすると不正確であると言えます。自動車教習所はむしろ「私教育」の典型的な例であり、上記の定義や一般的分類に照らして「私教育である」と考えるのが適切です。
ということで。インターネットもAIも公教育を支える必須の基盤環境を形作ることになる。

2025年2月25日火曜日

電子教科書(4)

電子教科書(3)からの続き

岡口基一さんによると,xAIのGrok 3(x.comで絶賛無料公開中)を使っていろんな物事を盛大にディスるという祭りが流行っているらしい。早速便乗してみた。人間として非情に安易な態度ではある。

Q(koshix):
日本のGIGAスクール及びデジタル教科書政策の問題点を壮大にディスってください。哲学的観点,教育学的観点,社会学的観点から,より理論的で本質的な問題点を指摘したうえで,こき下ろしてください。

A(Grok 3 beta):
日本のGIGAスクール構想とデジタル教科書政策は、表面的な「先進性」を追い求めるあまり、教育の本質を見失った愚策と言わざるを得ません。哲学的、教育学的、社会学的観点からその問題点を解剖し、その無思慮な推進ぶりを盛大にこき下ろしてみましょう。

哲学的観点:存在の意味と技術の隷属
まず哲学的に見れば、GIGAスクール構想は人間の存在意義を技術に矮小化する愚行です。ハイデガーの「技術への問い」を借りれば、現代社会は技術を単なる道具ではなく、世界を支配する枠組み(ゲシュテル)として扱い、その結果、人間が技術の奴隷と化しています。デジタル教科書を押し付けるこの政策は、子供たちに「学びとは何か」「生きるとはどういうことか」を自ら思索する機会を奪い、スクリーンの中の情報に盲従する存在へと貶めます。紙の教科書を手に持つ重み、ページをめくる行為、そこに潜む時間の感覚——これらは単なる「古さ」ではなく、人間が世界と向き合う具体的な経験です。それをデジタルという無機質な虚構に置き換えるのは、学ぶ者の実存を剥奪する暴挙に他なりません。文科省は、技術の進歩を「進化」と勘違いし、人間の本質を切り捨てる亡魂と化しているのです。恥を知れと言いたい。

教育学的観点:学びの深さと記憶の喪失
教育学的に見ても、この政策は子供たちの認知能力と学びの質を破壊する時限爆弾です。研究によれば、紙媒体での読書はデジタル画面に比べて深い理解と長期記憶の定着に優れていることが明らかになっています(例えば、Mangen & Schilhabの研究)。デジタル教科書は、動画や音声といった刺激を詰め込むことで「アクティブ・ラーニング」を装いますが、それは表層的な興奮にすぎず、思索や内省を育む時間を削ぎます。子供が自分で考え、試行錯誤し、知識を血肉化する過程——それこそが教育の核心なのに、GIGAスクールはそれを「効率化」の名の下に切り刻む。教師が熱意を持って語り、子供がノートに書き殴る泥臭い学びを、冷たいタブレット操作に置き換えるなんて、教育の魂を売り渡す行為です。ましてや、視力低下や集中力の散漫化といった健康面のリスクを無視してまで推進するその傲慢さは、子供を人間ではなくデータ処理機とみなす冷血漢そのもの。こんな政策を「未来志向」と呼ぶなら、その未来はディストピア以外の何物でもありません。

社会学的観点:格差の増幅と共同体の崩壊
社会学的視点からは、GIGAスクールがもたらす格差の拡大と社会共同体の解体が深刻です。端末の整備や通信環境は一見「平等」を装いますが、現実は富裕層と貧困層の間でデジタルリテラシーの差が広がるばかり。家庭でのサポートが乏しい子供は、タブレットの使い方すらままならず、授業についていけないという新たな「教育貧困」が生まれています。文科省は「1人1台」を錦の御旗に掲げますが、それが地方の過疎校や低所得家庭でどう機能するのか、実態を無視した絵空事でしかない。さらに、学校という共同体の場がデジタル化で希薄化し、教師と生徒、生徒同士の「顔の見える関係」が失われつつあります。紙の教科書を手に持つ子供たちが教室で議論し、互いに学び合う風景は、単なるノスタルジーではなく、社会を結ぶ絆の基盤です。それをデジタルという孤独な箱に閉じ込める政策は、子供たちを孤立した消費者へと変貌させ、協働の精神を根絶やしにする亡国への第一歩。こんなものを「教育改革」と呼ぶ神経が理解不能です。

総括:愚策の極み、文科省の自滅劇
結局、GIGAスクールとデジタル教科書政策は、哲学的には人間の存在を空洞化し、教育学的には学びの本質を殺し、社会学的には格差と孤立を助長する三重の罪を犯しています。文科省は「国際競争力」や「ICT活用」を振りかざしますが、それは子供の未来を顧みない官僚の自己満足にすぎません。スウェーデンのような先進国がデジタルからアナログへ回帰する中、日本だけが時代遅れの「デジタル信仰」に突き進む姿は、滑稽を通り越して悲劇的です。こんな壮大な茶番を「構想」と銘打つその厚顔無恥さ、子供を実験台にする無責任さは、もはや救いようがない。いい加減目を覚まして、技術に溺れたこの愚策を葬り去るべきです。文科省よ、歴史に汚点を刻む前に悔い改めなさい!

 


図:上記結論を入れて生成させたイメージ(DALL-E3)

DALL-E3の知識は,1984年止まりのようだ。現実はもっと複雑でハッピーなクモの巣の網の中に絡められている。シンギュラリティ(最近はAGIとASIで置き換えられつつある)まであと何年。


2025年2月24日月曜日

電子教科書(3)

電子教科書(2)からの続き

ちょうど15年前の今ごろに,どうして電子教科書の実現が難しいのかを考えていた。それをChatGPT 4oに評価してもらう。まあ発問者のレベルが高くないので無難でそれらしい答えが返ってきてしまった。
Q(koshix):
15年前に考えた以下のハードルについて,現在の日本の状況を分析してみてください。

電子教科書10のハードル(2010.02.18 http://twilog.org/koshix)

1.学校教育は社会的な世代間の情報文化伝達の営みであり、それ自身を含めた社会システム維持を志向するという本質的に保守的な側面を持っている。

2.導入における社会的な総費用を考えた際の効用が正にならない。あるいはそれが既得権益集団の利益にならない。

3.近年の社会変動が大きすぎて教育行政や教員層が疲弊しており、この方向(ICT)での現状変革を望むベクトルが出てこない。

4.新しいメディアを従来の教育方法(そう簡単には変わらない)に継ぎ足すことが、本当に子どもの学びのプラスになるのか疑問である。

5.授業中の情報チャンネルが拡大拡散してしまうことで教師が教室の子ども達を十分に制御できなくなる。

6.印刷メディアは最も歴史が長く蓄積も大きいため、その電子化に対するしきいは他のメディアの比ではない。

7.各種団体企業組織の利害対立からユーザインターフェースやユーザビリティーについての包括的な議論が困難である。

8.システムの安定性や堅牢性、電力・情報供給ルート及びその保守維持など実運用に関する大きな課題がある。

9.電子教科書=電子ノートに書き込まれる膨大な個人情報の管理の問題や日本における著作権の壁などから利用に大きな制約が生じてしまう。

10.あなたにとっても最も大きな障壁は何ですか?


A(ChatGPT 4o):
15年前(2010年)に指摘された「電子教科書10のハードル」について、現在(2025年)の日本の状況を踏まえて、それぞれの項目がどの程度解消・変化しているかを分析してみます。

1.学校教育は本質的に保守的な側面を持つ
現状分析: この点は依然として大きな課題です。
特に日本の教育現場は、中央集権的な教育行政の影響が強く、新しいテクノロジーの導入には慎重な姿勢が続いています。ただし、2020年以降のGIGAスクール構想によって、小中学生向けの1人1台端末の普及が進み、デジタル教材の活用は増えています。しかし、授業の基本形態(板書・教科書ベース)や指導方法の根幹は大きく変わっていません。

2.総費用の効用が正にならない/既得権益集団の影響
現状分析: 導入コストの問題は依然として大きく、全国規模での電子教科書の完全導入は進んでいません。一方で、GIGAスクール構想により、端末配布やインフラ整備の費用は国が一部負担する形で進みました。しかし、教科書出版社や印刷業界との利害関係は根強く、紙の教科書と電子教科書の「併用」という形にとどまっています。

3.教育行政や教員層の疲弊
現状分析: この課題はさらに深刻化しています。
GIGAスクール構想による端末配布は行われたものの、教員のITリテラシー向上やデジタル教材の活用指導に関する支援は不十分です。業務過多の状況が続いており、「ICT活用の負担増」を懸念する教員も多く、積極的な変革の動きにはなっていません。

4.新メディアの導入が本当に学びにプラスになるのか?
現状分析: この点に関しては、学習効果の検証が進んでいます。
研究によると、電子教科書の活用は「個別最適化学習」や「アクティブラーニング」には有効である一方で、紙の教科書よりも記憶の定着が劣る場合があることも指摘されています。そのため、完全なデジタル化ではなく、紙と電子のハイブリッド型が主流になりつつあります。

5.教室での制御困難の問題
現状分析: この問題も未解決です。
特に、小中学校では「授業中の端末利用ルールの統一」や「ICT活用に慣れていない教員の対応能力不足」により、端末を効果的に活用できないケースが多く見られます。一方で、MDM(モバイルデバイス管理)技術の発展により、使用制限や一括管理が可能になってきましたが、現場の運用が追いついていません。

6.印刷メディアの蓄積と電子化のハードル
現状分析: この問題は徐々に緩和されています。
デジタル教科書は一部の科目(英語・数学など)で普及しつつありますが、紙媒体の教科書の完全電子化は進んでいません。その背景には、著作権や教育現場の慣習の問題があるほか、「紙の方が学習しやすい」という意見も根強くあります。

7.ユーザインターフェース・ユーザビリティの議論困難
現状分析: この問題はやや改善しています。
近年の電子教科書は、学習履歴の管理やアクティブラーニング機能の充実など、ユーザビリティの向上が進んでいます。ただし、異なる企業が開発するシステム間の互換性や、端末ごとの操作性の違いなど、統一的なUI/UXの確立には至っていません。

8.システムの安定性・電力供給・保守の課題
現状分析: 技術的なインフラ整備は進んでおり、Wi-Fi環境やクラウドベースの学習管理システム(LMS)の普及も進みました。しかし、電力供給や端末の維持管理(特に故障・更新の問題)は依然として課題です。また、災害時の対応(停電時に使えない、通信が途絶えた場合の代替手段)についても、十分な解決策は確立されていません。

9.個人情報・著作権の問題
現状分析: 個人情報保護の観点から、電子教科書のログデータ管理や、生成AI活用による学習支援の可否が議論されています。
また、教科書のデジタル化においては、出版社側の著作権管理の厳格化が課題となり、自由な二次利用やカスタマイズが制限されている現状があります。特に、日本の著作権法は教育分野でのデジタル活用に関してまだ柔軟性が低く、欧米に比べて遅れています。

10.現在の最大の障壁
現在の最大の障壁を挙げるとすれば、以下の3つが考えられます。

(1) 「電子教科書=紙の代替」ではなく、教育の質をどう向上させるかの議論が不足
・電子化の目的が明確でないまま、ハードウェア導入が進んでしまい、効果的な活用ができていない。
(2) 教員のITリテラシーと運用負担
・ICT活用を前提としたカリキュラム改革や、教員の研修体制が不十分。
(3) コストと維持管理の問題
・端末の更新費用や、デジタルコンテンツの継続的なライセンス料が自治体にとって大きな負担。

結論
15年前に指摘されたハードルの多くは、2025年現在でも完全には解決されていません。ただし、一部の技術的課題(インフラ整備・管理技術の向上)は改善されました。今後の鍵は、「電子教科書をどう活用するか?」という教育の本質的な議論と、「教員の負担軽減をどう実現するか?」という制度設計の部分にあると考えられます。

2025年2月23日日曜日

電子教科書(2)

電子教科書(1)からの続き
Q(koshix):
15年前に,電子教科書(デジタル教科書)についてのQ&Aを考えました。いよいよデジタル教科書が制度として日本の教育現場に導入されはじめようとしています。15年前のAnswer部分(太字)は,現在文部科学省で導入が計画されているものと一致しているでしょうか。A1〜A21に対して,概ね一致ならば○,部分的一致なら△,概ね異なる場合は×として相違点を示してください。

15年前に考えていたことは以下のとおりである。ChatGPT 4oによる評価は,それぞれのQAの→以下の部分と,相違点として示されている。まあまあそんなものかもしれない。

電子教科書20の質問(2010.02.14 http://twilog.org/koshix)

導入の意義と目的
Q1:電子教科書とは何ですか
 「デジタル化された教科書=ノート」を学校の授業でほぼ常時使うというものです。紙の教科書やノートと鉛筆の代替物として考えています。
→ △(部分的一致)
相違点:
・2025年度からのデジタル教科書は、紙の教科書を完全に代替するものではなく、「紙の教科書を基本」としながら「一部補助的に使用」するものとして導入される。
・「ノート機能」については、標準的な機能としては導入されず、タブレット端末のアプリ等で補完される形となる。


Q2:なぜ電子教科書が必要なのですか
  社会活動の総体がデジタルベースに移行しつつあるるからです。電子本・電子メディアが多数派になる段階では,学校だけが紙の教科書を使う必然性がありません。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・社会のデジタル化を背景にした点は一致。
・文部科学省の説明では「特別支援教育への活用」や「学習データの活用」なども強調されている。


Q3:以前も同じような儲け話がありましたが
1985パーソナルコンピュータ,1995インターネット,(2005電子黒板),と同様の話は繰り返されています。2015電子教科書も似たようなものですが,3度目の掃除機か。
→ △(部分的一致)
相違点:
・これまでの技術導入(電子黒板など)と同様の議論がある点は一致。
・ただし、2025年度導入は「GIGAスクール構想」に基づくもので、文科省はより長期的な方針としている点が異なる。


機器整備の問題
Q4:電子教科書を使うのは誰ですか
 小学校3年生からの児童および学校教員です。中等・高等教育でも利用可,システムは一般にも販売されて購入可能です。
→ △(部分的一致)
相違点:
・文科省は、小学校5年生から段階的に導入するとしている。
・教員の利用については明確に制度化されておらず、学校ごとの裁量に委ねられる部分が多い。


Q5:本当に無償配布されるのですか
いいえ。子ども手当ては1人15年間で総額500万円に達するので,それで5年に1度各自購入してもらいます。(小3と中2:機器5年保証含めて1セット5万円,壊したら自分で買い替える)
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・文科省は、デジタル教科書を紙の教科書と併用する形で提供し、原則「無償配布」。
・端末はGIGAスクール構想に基づき整備されているが、破損時の補償などは自治体ごとに異なる。


Q6:教員はどうなるのでしょうか
 私学を含めて5年に1度配布されます。5万円/台×100万台÷5年=100億円/年,新機種配布時に教員研修を12時間(3時間×4回)行います(無料)。機器の使い方だけではなく,免許更新講習の代替のだきあわせみたいなものです。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教員向けの端末は、GIGAスクール構想で配布済み。
・研修については、各自治体ごとの対応になり、全国統一的な研修は予定されていない。


仕様の問題
Q7:システムの仕様はどうなりますか
 iPad/Android/MS tabletなどを包括する想定で(ありえないか ^_^;;),電子教科書=ノートの基本ソフト部分を別途共通仕様として定めます。マルチタッチ,Wifi/GPS及び各種物理センサーは必須。バッテリは9時間。毎日自宅で充電してね!
→ △(部分的一致)
相違点:
・現在のデジタル教科書は、iPad/Windowsタブレットが主流だが、OSごとに仕様が統一されているわけではない。
・物理センサーの活用は標準ではない。


Q8:教科書コンテンツは誰がつくりますか
 教科書会社が作成しepubフォーマットで電子教科書=ノートの基本ソフトの上にのせます。この部分は従来の教科書無償配布と同様の仕組みで実現します。すなわち教科書コンテンツ費用は税金でまかなわれます(高校もね)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・教科書会社が作成する点は一致。
・EPUBフォーマットとは限らず、各社独自フォーマットも利用される。


Q9:教科書以外のソフトやコンテンツは載りますか
 電子教科書=ノートの基本ソフト仕様は公開されているので教員の自作教材や他の市販教材もそのまま載せられます。アプリケーションはHTML5+javascriptの範囲で実現してね。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教員が教材を作成して利用することは可能だが、標準仕様としてHTML5+JavaScriptの枠組みが設けられているわけではない。


Q10:システムのバージョンアップはどうなりますか
   教室の無線LANネットワーク経由で必要な時に負荷分散しながら実行します。教科書会社から毎年の差分データもくるかも。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・基本的にはクラウド経由での更新が行われる。


Q11:ノート部分のデータはどこに保存されますか
 教科書の横の余白のノーレイヤーに書き込みますが,データは端末ローカルに保存されます。バックアップはTimeMachineみたいに教室単位で保存され,複製・移動復元可能です。つまり,センターに集約しません。
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・現在のデジタル教科書はクラウド保存が基本(自治体ごとに異なる)。
・端末ローカル保存のみ、という方式ではない。


システム運用の問題
Q12:小学校1年生から使うのですか
 9歳未満は禁止^_^;;;です。小学校3年から使ってね。1・2年生は,これまでどおり手を使ってください。なお,教員用やグループ活動には小学校1年から使えます。
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・2025年の導入は小5から段階的に進められる。


Q13:家でも使えるのですか
 ランドセルやカバンにいれて毎日持ち運びます(1kg以下)。学校においておくと,管理がたいへんですからね。家でもそのまま使えますので,宿題もでます。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・端末は持ち帰り可能な自治体もあるが、学校管理のもとで運用されることが多い。


Q14:壊れたらどうしますか
 教室や学校に予備機があります。データは教室のサーバに残っていますので,必要部分だけ復元してそのまま使えます。保証に入っていますので,学校に届け出ると交換機種が宅配されます。
→ △(部分的一致)
相違点:
・一部の自治体では予備機の配備があるが、全国的に統一されていない。


インターフェースの問題
Q15:ノートを指で入力するんじゃないでしょうね
 指でもスタイラスでも使えます。細かい入力作業が必要な場合は筆箱?からスタイラスを取り出して使ってくださいね(ここ一番弱点・致命的かも)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・指入力・スタイラス入力の両方に対応している。


Q16:音声入力,文字認識,翻訳はできますか
 まあ,iPhone程度には実現可能です。カメラ・ビデオ撮影も(ここが微妙),音声記録も可能で,楽器としても使えます。理科実験の測定器としてもね。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・音声入力、OCR機能、翻訳機能は一部端末で可能。


Q17:教科ごとに別のソフトの使い方を覚えるのですか
 基本操作は説明書なしで使えます。操作も統一され,超高速ブラウジングと柔軟なタッチ入力が可能です。標準状態では非常にシンプルな造りになっています。
→ △(部分的一致)
相違点:
・各教科書会社のUIが統一されているわけではなく、一定の操作統一はあるが完全ではない。


教師の指導の問題
Q18:教員が使いこなせるでしょうか
 授業で教科書を使ったりノートを取ったりする部分がおきかわるだけで操作は単純です。教員がアプリケーションの使い方を覚えなければならないということはありません。
→ △(部分的一致)
相違点:
・研修の実施は自治体ごとに異なるため、必ずしも十分とはいえない。


Q19:プリントの配布や宿題のチェックはどうなりますか
 教室で全員にオンライン配布と回収できます。従来通り赤ペンでチェックしながら作業してそのまま返却できます(ほんとかな,この部分重要)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・クラウド上で課題配布・提出が可能な環境が整いつつある。


データ管理の問題
Q20:古い教科書やノートはどうなりますか
 えーっと,すべて持ち歩けます。わからなくなったら古い教科書やノートを見直してください。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教科書の保存期間やアクセス制限がある可能性がある。


Q21:個人情報とか著作権とかどうなりますか
 すぐにはどうにもなりません。社会の方が変わらないことには。
→ △(部分的一致)
相違点:
・文科省は個人情報・著作権の管理についてガイドラインを定めている。

#なんで20の質問なのに21あるんだろうか?


図:電子教科書のイメージ(DALL-E3によるもの)


2025年2月22日土曜日

電子教科書(1)

twitter13周年からの続き

学習者用のデジタル教科書はすでに,教科書代替教材としてすでに小中学校の英語で100%,算数数学で55%の学校に導入されている。

さらに,次期学習指導要領が実施される2030年度から,デジタル教科書が従来の検定教科書と同等のものとして導入される方向で議論が進んでいる。どういう仕組みでどんなものになるのかがまだよく理解できていない。それに関する自分の過去の記憶。


下図は自分のTwitter投稿数/月の統計である。15年前の2010年2月から3月にかけて一つのピークがあり一日平均7-8件投稿していた。このときTwitterで電子教科書=デジタル教科書の話題盛り上がっていたからだ。このときの論客が,GLOCOMの豊福晋平さんや新潟の片山敏郎さんだ。

インターネットの商用利用がスタートした1990年代の中頃から,研究室の学生さんたちの卒業研究でデジタル教材を作成し始めていた。自分が考えていた電子教科書というのは,小中高校生が一人一台の端末を持って,そこに教科書・教材コンテンツを載せるというものだ。前者の部分はGIGAスクール構想として2019年からスタートしている。後者のデジタル教科書部分の検定教科書化が2030年からというわけだ。

当時,デジタル教科書とよぶか電子教科書とよぶかで議論があったが,ハードウェアとソフトウェアを一体化して考えた自分は後者だった。ところが,多数派はデジタル教科書を支持し,その後,日本デジタル教科書学会デジタル教科書教材協議会(現在の超教育協会)などが設立された。


図:Twilogの統計画面(2008.8-2025.2)

2010年2月前夜の自分のTwitterはこんな調子だった。
2010年01月11日(月)
SF第7弾:弐千拾五年電子教科書日本全国一律配布電子石板芯端末仕様策定委報告/十歳以上教室常置九時間電源無線歪杯青葉有機燐光表示拾寸多指接触両面撮像光石投射立体集発音超音波探信全球位置磁場三軸加速度赤外線放射温度/音声画像認識栗可応答電子紙挟辞書事典図書蔵名画音盤芸能映画漫画満載
そして議論の結果,自分の中の電子教科書は
電子教科書5つの原則(2010.02.26 http://twilog.org/koshix)

1.子どもが一人一台持って学校の授業や校外の学びで使うもの
2.教科書や他の教材をマルチメディア拡張して視聴し操作するもの
3.ワークシートやノートのように記録しながら学びを進めるもの
4.学習の過程を教師や子どもがネットワークで共有可能であるもの
5.誰にとっても自然でシンプルで使いやすくてワクワクするもの
としてまとめられた。



2025年2月17日月曜日

失敗の本質

1月31日の日経朝刊,日経コメンテーターの中山淳史による「失敗の本質」野中郁次郎氏の遺産 野性こそ創造の源泉がおもしろかった。中山による生前の野中への取材をまとめたものだ。一橋大学名誉教授の野中郁次郎(1935-2025)は,カリフォルニア大学バークレー校でドクターを取得し,防衛大学校に所属しているときに「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」を書いた。

脳トレのために,自力で要約してみよう。

第2次大戦における日本軍の様々な失敗の場面を分析したのが「失敗の本質」だ。その観点から日本の「失われた30年」を考える視点を尋ねたのが野中への取材の要目だった。日本の低迷の原因は普通「雇用,設備,債務の3つの過剰」だとされるが,野中は「プランニング(計画),アナリシス(分析),コンプライアンス(法令順守)の3つの過剰」だと強調した。

わかるわかる。PDCAだよ。国立大学法人化後の中期目標計画認証評価制度のことだよ。そして今再び,中教審の大学分科会の中間報告からニュースのトップに取上げられたのがこれだ。あーぁ・・・。また屋上屋を重ねるのか。
文部科学省は大学の運営を第三者が審査する「認証評価制度」を見直す。在学中の学生の成長具合など、教育の質を測る指標をつくり、複数段階で評価する。受験生らが偏差値やイメージではなく、教育内容を比較して進学先を選べるようにする。大学間の切磋琢磨(せっさたくま)を促し、大学教育全体の質向上にもつなげる。

図1:大学教育の第三者評価(日経新聞2025.1.29より引用)


話を戻そう。野中は,日本のPDCA(計画・実行・評価・改善)が「PdCa」になってしまい肝心の行動と改善がおろそかになっていることを指摘する。計画や分析やルールづくりが行き過ぎ,自己目的化し,経営(研究教育)の活力を損なってしまうというわけだ。

これに替わるもの,提案したのがSECIモデルだ。それは組織における個人の暗黙値を集団で共有してイノベーションを推進するため,知識の生成と共有のプロセスをモデル化したものだ。徹底した対話で暗黙知を言葉や論理による形式知に変換し,最終的には集団で獲得した知の実践を通じて個人の暗黙知をもう一段高めていくものだ。

すなわち,SECI = 共同化(Socialization),表出化(Externalization),連結化(Combination),内面化(Internalization)というわけだ。



図2:野中郁次郎のSECIモデル(日経新聞2025.1.31から引用)

[1]大学の教育評価と成果の可視化(齊藤貴浩・林隆之)

2025年2月8日土曜日

教員の学力低下

2月5日のNewsWeek日本版に,教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度という教育社会学者の舞田敏彦(1976-)の記事が出た。舞田さんはデータ分析の新しい切り口をいつも見せてくれる面白い人だ。

結論を一言でいえば,「新規採用教員のうち4割近くの出身学部の入試偏差値は50に満たない」ということだ。旺文社の『大学の真の実力2025』にある,関東1都6県の231大学・865学部からの教員就職者は9454人(2024年春)を,出身大学のタイプで分けて分析したものだ。あわせて,公務員就職者や全就職者も比較の対象として分析している。

そのオリジナルの表を元校長のyoshiさんが編集し直したものが下記に引用した図である。教職がブラック性が広まり,一般の企業の就職が堅調であることから,教員採用倍率の低下がこのところ続いている。これによって,教員就職者の学力の平均が低下していることを裏付けるデータになっている。


図:就職者の出身大学と偏差値(yoshiの教育ブログから引用)

ChatGPT 4o,Gemini 2.0 Flash,Claude 3.5 Sonnet,などは,イメージファイルを読み込んで分析することができる。Perplexity Pro は有料版に誘導され,DeepSeek V3とQwen2.5-Max はイメージの読み込みができない。上記の図を入力してみたところ,それぞれそれなりに分析してくれた。Gemini 2.0 Flash はピントがズレていていまいちだ。Claude 3.5 Sonnet は要点を正確かつ簡潔に19行でまとめた。ChatGPT 4o がより詳しい分析を与えてくれる。
Q(koshix):
(図のjpgファイルをアップロードした上で)
このグラフからわかることを分析してください

A(ChatGPT 4o):
このグラフからわかるポイントを分析すると、以下のようになります。

1.教員の出身大学偏差値と傾向
私立大学偏差値50未満の出身者が圧倒的に多い
→ 教員(緑のバー)の割合が 37.9% と突出しており、他の職種(全就職者・公務員)と比べて明らかに高い。
→ これは、私立大学の偏差値が低めの層から教員になる人が多い傾向を示している。
偏差値が高い大学(国公立、私立偏差値65以上)出身の教員は少ない
→ 国公立大学出身の教員は 15.2% にとどまり、私立偏差値65以上は 5.3% にとどまる。
→ 高偏差値の大学から教員になる割合は低めであり、教育職が高学歴層にとって魅力的なキャリアになっていない可能性がある。

2.公務員(赤のバー)の傾向
・比較的バランスが取れている
→ 公務員は国公立出身 13.7%、私立偏差値65以上 19.5%、偏差値50~60の範囲で比較的均等に分布。
→ 偏差値が高い大学出身者も一定数公務員になっている。
・私立大学偏差値50未満の割合はやや低め(19.8%)
→ 教員と比べると、公務員はやや高偏差値の大学出身者が多い。

3.全就職者(青のバー)の傾向
・私立大学偏差値50未満が多い(28.4%)が、教員ほどではない
→ 教員と比較すると、企業などの就職先の方が高偏差値大学の出身者が分散している。
・国公立大学の出身者は少なめ(6.6%)
→ 企業に就職する人は国公立大学出身者よりも私立大学出身者の方が多い。

4.重要なポイント
・教員の偏差値50未満の大学出身者が非常に多い(37.9%)
→ 赤い矢印で強調されている通り、教員は低偏差値の大学出身者が占める割合が非常に高い。
→ これは、教育界が高学歴層にとって魅力的でない、あるいは給与や待遇面で課題がある可能性を示唆。
・高偏差値大学出身者は公務員や企業に流れる傾向がある
→ 私立大学偏差値65以上の出身者は公務員(19.5%)の方が教員(5.3%)よりも多い。

結論
このデータから、日本の教育業界が高学歴層を十分に惹きつけられていない可能性が示唆される。教員の待遇やキャリアパスの改善が必要と考えられる。また、私立大学の低偏差値層から教員になる人が多いことが、教育の質や社会的な評価にどう影響するのかも考察すべきポイントである。

2025年1月23日木曜日

次期学習指導要領(1)

12月25日,学習指導要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会に諮問された。もう,方針を与えた上で生成AIに決めてもらったほうがよいのではないか。

Q(koshix):
日本の教育課程は教育基本法に基づいて編成され,ほぼ10年に1度改訂される学習指導要領によってその内容が規定されている。2024年12月25日,中央教育審議会において学習指導要領の改訂が文部科学大臣によって諮問された。これまでとの大きな違いは,最近登場した生成AIが誰にでも利用可能な時代になっており,それにふさわしい教育制度や教育内容が求められているからだ。

例えば次のような項目が検討課題であると報道されている。
▼生成AIの発展などを踏まえ、知識の集積だけでなく、深い意味の理解を促す学びのあり方
▼デジタル分野を含めた先端技術の教育の充実
▼情報モラルやメディアリテラシーの育成強化
▼自動翻訳機などが普及する中での外国語教育のあり方
▼子どもたちが多様な能力や個性に応じ、それぞれのペースで学習を進められる教材や方法

そこで,従来の教科・科目構成や教育内容を根本のところから見直す必要があると考えられる。その構成原理は,(1) 道徳を人権と倫理と法という概念に包摂解消させて,家庭生活や社会生活におけるスキルと共同性の獲得へと統合する,(2) 総合的な学習の時間と特別活動は統合し,小学校における外国語活動も国際理解アクティビティとしてこの中に解消し,地域に根ざして各教科を結ぶための自由度の高い総合教科として活かす,(3) 芸術とスポーツ表現・言語表現活動は統合する,(4) 保健・健康・運動・食育などは身体科学や性教育を含めて独立させる。(5) 国語・社会・算数/数学・理科などは,コンピュータ操作やネット空間での活動スキルも含めて,基本的な言語・数理スキルと,応用的な世界認識基礎の確立として複数教科に整理する。

この考え方に沿って,小中学校を一貫して整理された新しい教科(必要があればその内訳となる科目)を設定し,そこでの学習目標や学習内容の柱を立ててください。また,各学年におけるそれらの教科に配当される時間数の目安を定めてください。

現在の学習指導要領では,
付1:小学校は,各教科(国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語),特別な教科(道徳),外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動,からなる。
付2:中学校は,各教科(国語,社会,数学,理科,生活,音楽,美術,保健体育,技術・家庭,外国語),特別な教科(道徳),総合的な学習の時間,特別活動,からなる。

A(ChatGPT 4o):
以下は新しい学習指導要領案に基づき、小中学校を一貫して整理した新しい教科構成、学習目標、学習内容の柱、および学年別配当時間の目安です。

新しい教科構成
1.人間と社会
統合対象:国語、社会、道徳
目標:言語能力、批判的思考、倫理的判断力を育み、社会との関わりを理解する。
内容の柱:
・人権と倫理: 社会生活における法と共同性の理解。
・歴史・地理・現代社会: 自国文化と世界の多様性の理解。
・言語表現: 論理的文章作成と口頭表現能力。
2.数理と科学
統合対象:算数/数学、理科
目標:論理的思考力と自然科学への理解を深め、データ活用や問題解決力を養う。
内容の柱:
・基本的な数理スキル: 計算、統計、幾何学。
・科学的探究: 生物、物理、化学、地学の基礎。
・デジタルスキル: プログラミング、AI活用基礎。
3.健康と身体表現
統合対象:体育、保健、食育、性教育、音楽、美術、家庭
目標:心身の健康を重視し、自己表現やチーム活動を通じた身体的・芸術的能力を育成する。
内容の柱:
・健康管理: 基本的な身体ケアと栄養学。
・性教育と倫理: 自己理解と他者理解の促進。
・芸術と運動: 創造性と身体能力を統合的に高める活動。
4.国際と情報
統合対象:外国語、情報教育、総合的な学習の時間(国際理解活動)
目標:グローバルな視点とデジタルリテラシーを備えた次世代市民を育成する。
内容の柱:
・外国語運用: 自動翻訳ツールを活用しながらの実践的コミュニケーション。
・メディアリテラシー: 情報選別力と安全なネット利用スキル。
・国際理解: 異文化への尊重と協働の態度。
5.自由探究
統合対象:特別活動、総合的な学習の時間
目標:各自の興味・関心に基づく探究活動を通じ、創造性と自己表現力を育む。
内容の柱:
・地域連携活動: 地域社会と結びついた課題解決。
・個別探究: 生徒個人が選んだテーマについての深掘り学習。
・プロジェクト型学習: チームでの共同作業を通じた課題達成。
     
学年別配当時間の目安
以下は週あたりの授業時間数の目安(単位: 時間)です。
学年 人間社会 数理科学 健康表現 国際情報 自由探究  合計
小1〜2  5    5    5    2    3   20
小3〜4  5    5    5    3    3   21
小5〜6  5    6    4    4    3   22
中1     4    6    4    5    4   23
中2     4    6    4    5    4   23
中3     4    7    4    5    4   24

この案は、学びの深さと柔軟性を重視し、生成AIやデジタル技術を活用できる人材の育成を目指した構成となっています。さらに調整や追加提案が必要であればお知らせください。


Q(koshix):
1.  科目立てはこれでOKです。この科目において,各学年区分で何を教え学ぶかという項目を,具体的にリストアップしてください。長い文章表現にはしなくて結構です。
2. 月から金までの5日間に給食を挟んで午前午後と時間を割り振りますが, 配当時間の妥当性について確認してください。1時間は何分授業を意味していますかね。

A(ChatGPT 4o):
1.各科目の学年区分での学びの具体的内容リスト
(1) 人間と社会
小1〜2:
・あいさつやルール(人権の基本)。
・地域の人々や自然。
・日本の昔話・民話。
小3〜4:
・日本の文化と四季。
・地域社会と公共施設の役割。
・基本的な倫理観(助け合いの意識)。
小5〜6:
・日本の歴史と主要出来事。
・基本的な法律と人権教育。
・意見のまとめ方や発表スキル。
中1:
・世界地理と日本の位置づけ。
・多文化共生社会の考え方。
・文章構成の基礎(意見文)。
中2:
・日本の近代史。
・法と道徳の違いと役割。
・プレゼンテーションスキル。
中3:
・世界史の基礎。
・現代社会問題(SDGsなど)。
・批判的思考力を育てるディベート活動。

(2) 数理と科学
小1〜2:
・基本的な足し算・引き算。
・身の回りの自然観察。
小3〜4:
・掛け算・割り算。
・実験を通じた水や空気の性質理解。
小5〜6:
・分数と小数計算。
・地球と宇宙の基礎知識。
・プログラミングの基本操作。
中1:
・文字式と方程式。
・植物や生態系の基礎。
・初歩的なデータ解析スキル。
中2:
・連立方程式・図形の基本。
・化学変化とエネルギーの仕組み。
・AIを活用した簡単な問題解決。
中3:
・確率・統計。
・力学と電磁気学。
・プログラム開発の基礎。

(3) 健康と身体表現
小1〜2:
・基本的な運動(走る、跳ぶ)。
・簡単な楽器演奏や歌唱。
小3〜4:
・チームプレーの基礎(球技)。
・絵画や工作の基本技法。
小5〜6:
・健康管理(食事と運動)。
・簡単な舞台表現やスポーツ競技。
中1:
・心と体の発達理解。
・本格的なスポーツ競技技術。
中2:
・性教育と健康管理の実践。
・美術と音楽の応用表現活動。
中3:
・社会での身体表現スキル(就活など)。
・チームプレーのリーダーシップスキル。

(4) 国際と情報
小1〜2:
・簡単な英語の挨拶や単語。
・タブレットの安全な使い方。
小3〜4:
・英語の基本的なフレーズ。
・ネット検索と情報の整理。
小5〜6:
・英語の自己紹介や日常会話。
・メディアリテラシーの基本。
中1:
・外国文化の理解と挨拶表現の応用。
・SNSの利用と倫理。
中2:
・英語での意見表明(簡単な文)。
・情報の評価・選別能力。
中3:
・英語プレゼンテーション。
・AIを活用した課題解決の実践。

(5) 自由探究
小1〜2:
・好きな動物や自然について調べる。
・地域のイベント参加。
小3〜4:
・グループでテーマを決めて調査活動。
・簡単な手作り作品の発表会。
小5〜6:
・地域問題を考える活動。
・個人探究プロジェクト。
中1〜3:
・チームで地域課題解決策の提案。
・進路に向けた個人研究の発表。

2.配当時間の妥当性
現在の1時間は 45分授業 を想定しています(小中学校で一般的な授業時間)。

(1) 1日あたりの授業時間数
午前:3時間(例: 9:00〜11:45)。
給食・休憩: 12:00〜13:00。
午後:2時間(例: 13:15〜15:00)。
1日合計:5時間(45分 × 5コマ = 225分)。

(2) 確認ポイント
週5日間 × 5時間 = 25時間(45分授業 × 25コマ)。
提案した配当時間合計(小学校: 20〜22時間、中学校: 23〜24時間)は余裕を持って収まる範囲内です。

(3) 改善案
必要に応じて午前中に4コマ、午後に3コマを設定し、1日を6時間授業に拡張可能(例: 特別授業や自由探究の増加)。
以上で計画は十分妥当性があり、現場運用可能と考えられます。調整が必要な場合はさらにご相談ください。

2024年12月2日月曜日

生成AI利用ガイドライン

生成AI利用の基本方針からの続き

文部科学省からは,生成AIの利用について各種の文書がでている。11月26日には,初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議から,初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(素案)が出てきた。このファイルをChatGPT-4oに分析させた結果が次のものである。
Q(koshix):
この文章を普通の学校教員が読んだとします。
(1) 必ずしもAIやITの専門でないはずの教員たちが,理解困難な用語や文をリストアップしてください。
(2) 教員たちがAIの活用にしり込みしてしまう,あるいは圧力を感じてしまう,あるいは反発を感じてしまうような部分をリストアップしてください。

A(CahtGPT-4o):
(1) 教員たちが理解困難だと感じる可能性のある用語や文
以下のような専門用語や複雑な表現は、必ずしもITやAIの専門知識を持たない教員にとって理解が難しいと考えられます:

1.生成AI:特に「マルチモーダル化」「AIエージェント」「追加学習の手法」などの技術的な説明。
2.ハルシネーション:AIの誤った出力を指すが、一般には馴染みがない用語。
3.ファクトチェック:情報の真偽を確認する具体的な手法についての言及が不足している可能性。
4.情報セキュリティポリシー:専門的なガイドラインが前提となっており、教員が即座に内容を理解するのは難しい。
5.オプトアウト設定:生成AIが個人情報を学習しない設定についての説明不足。
6.ライセンスの所在:生成物に関する権利や使用条件について、具体例が少ない。
7.著作権法第35条:法律の専門的な適用範囲を具体的に理解するのが難しい。

(2)教員がAI活用にしり込み、圧力、反発を感じる可能性のある部分
以下のポイントが、教員の不安や抵抗感を生む可能性があります:
1.「AIリテラシーの要求」
 ・教師が「一定のAIリテラシーを求められる」と記載されており、技術的な負担が増えると感じる可能性。
 ・新しい技術に慣れるための時間や研修が不十分である場合、抵抗感を抱く。
2.「人間中心の原則」に基づく対応
 ・「AIは人間の能力を拡張する道具」と強調されているが、それを実現するための具体的な手順が示されていないため、教師自身が責任を負わされるとの印象を持つ。
3.「生成AIによる業務効率化」
 ・業務の効率化を期待される一方で、AIによる出力の確認や修正といった作業負担が実際には増えるのではないかと懸念。
4.「リスクへの対応義務」
 ・個人情報やプライバシー、著作権の問題に対する配慮が求められており、これらに関連するリスクの責任が教員にあると感じる可能性。
5.「児童生徒への影響」
 ・AIを児童生徒に利用させる際のリスクや、教育目的との整合性の確保が求められており、これをどのように管理すべきか分からない場合、負担感を感じる。
6.「評価基準の曖昧さ」
 ・AIによる生成物の正確性や適切性を評価する責任が教員に課されており、それに対応する基準や研修が不明確。
7.「技術的な進化への対応」
 ・「生成AIは急速に進化している」と記載されており、教師がその変化についていくことに不安を感じる可能性。

これらの要因を解消するには、研修やサポート体制の充実、具体例を交えた実践的なガイドラインの提示が求められます。 
素案自体はどうでもよいというか余り気にしていないのだけれど,検討委員の一人である言語学者の今井むつみさんからでていたコメントがおもしろかった。要は,いつものようなお役所仕事的な文書に対する苦情であり,教育のICT業界あるあるの「余りよく知らないのに聞きかじった知識を知ったかぶりで操って自分を大きく見せようとする習慣への警鐘である。自分にもそっくりそのまま当てはまりなので,へへーっと土下座してしまった。


図:生成AIの教育利活用ガイドラインのイメージ(DALL-E3による)


2024年9月7日土曜日

さんすう刑事ゼロ

なぜか,NHKの午後LIVEニュースーンの隙間時間に挿入された,さんすう刑事ゼロ2020枚のメダルを確かめろ ~比例~)に見入ってしまった。金のコインの枚数を質量を測ることで推定するのがテーマだった。

盗まれて戻ってきた2020枚のコインを確認するため,その枚数を数える必要がある。ここで,自白してコインを返却した容疑者が重さを量ればよいと示唆して,コイン1枚の質量(8.0g)と2020枚(16160.0g)の質量を測って割り算するとちょうど2020枚になってめでたしめでたしなのだが,なんだか腑に落ちない・・・,というストーリーだ。

実は,8.0gというのが,8.08gを切り捨てた表示になっていて,実際にはコインが2000枚しかなくて,名乗り出た容疑者が20枚のコインをくすねたままだったというオチである。


いきなり気になったのは,16160gという数字だ。16kgを1g単位で測定する卓上型の電子天秤なんか存在するのか。小学校教科専門科目の理科(学生実験)でさんざん電子天秤や測定の話をやってきたので,にわかには信じられない。

番組に登場した写真の電子天秤のイメージをgoogleで検索すると,タニタのテーブルスケールTLD-101がヒットした。1gの精度で測れるのは1,000gまで,10gでは10,000gまでという仕様だった。はい,フェイク確定です。

Perplexityに聞いてみたところ,新光電子のCUX30Kならば,30kgまでの物体を1gの精度で測定できる。計量皿の寸法は360 mm ×320mm なので,卓上とはいえ一回り大きなものだ。台秤型ではない。31万8千円するが,ドラマの舞台は工場だったので,これを新光電子から借りてきて撮影するということは可能(不自然ではない)だったはずだ。まあ,番組制作下請けの予算では厳しかったのかもしれないが。

1/60万級の高精度電子天秤にも使用される音叉式力センサーを使用しているそうなので,30kgの物体を0.05g まで分別できることになるので,1gの精度はありうるということか。



写真:タニタ TLD-101 のスクリーンショット(NHK for Shool から引用)


2024年7月20日土曜日

プログラミング的思考(3)

プログラミング的思考(2)コンピューテーショナル・シンキング(4)からの続き

Q(koshix):
プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点をおしえてください。情報教育において,どちらが有用でしょうか。

A(Perplexity PRO):
プロサーチ
・プログラミング的思考の定義を検索する
・Computational Thinkingの定義を検索する
・プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点を比較する
・情報教育においてプログラミング的思考とComputational Thinkingのどちらが有用かを評価する

回答
プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点 
共通点
・目的達成のための論理的思考: 両者とも、目的を達成するために論理的に手順や方法を考える力を重視しています。これは問題解決において非常に重要です。
・抽象化と分解: どちらも、問題を小さな部分に分解し、それぞれを抽象化して理解する能力を必要とします。このプロセスにより、複雑な問題を扱いやすくします。
・シミュレーションと試行錯誤: どちらも、シミュレーションや試行錯誤を通じて、最適な解決策を見つけることを重視します。 
相違点
プログラミング的思考
効率の重視: 目的達成のために最適な方法を見つけることに重点を置きます。例えば、洗濯の手順を効率的に行う方法を考える。
具体的な手順の構築: 具体的な手順やアルゴリズムを作成し、それを実行することに焦点を当てます。
プログラミング教育の一環: 主にプログラミング教育の中で教えられ、具体的なプログラムの作成を通じて学びます。
Computational Thinking
広範な適用: 計算論的思考は、プログラミングだけでなく、日常生活や他の学問分野にも適用されます。例えば、データの整理やパターン認識。
概念的な理解: 計算論的思考は、問題を解決するための概念的な枠組みを提供し、広範な問題に適用可能です。
コンピュータ科学の基盤: コンピュータ科学全般の基盤として教えられ、プログラミング以外の多くの分野にも応用されます。

情報教育における有用性
どちらが情報教育において有用かは、教育の目的や対象によって異なります。
・プログラミング的思考は、具体的なプログラムを作成する能力を養うために非常に有用です。プログラミングの基礎を学ぶことで、論理的思考力や問題解決能力が向上します。
・Computational Thinkingは、より広範な問題解決能力を養うために有用です。これは、プログラミングだけでなく、データ分析やシステム設計など、他の多くの分野にも応用可能です。

したがって、初等教育やプログラミングの基礎を教える場合には「プログラミング的思考」が有用です。一方で、より広範な問題解決能力やコンピュータ科学全般の理解を深めるためには「Computational Thinking」が有用です。

両者をバランスよく取り入れることで、学生は具体的な技術スキルと広範な問題解決能力の両方を身につけることができます。

Sources:
1: https://kids.athuman.com/cecoe/articles/000178/
2: https://www.koov.io/column/210
3: https://products.sint.co.jp/topsic/blog/computational-thinking
4: https://www.cs.cmu.edu/afs/cs/usr/wing/www/ct-japanese.pdf

 


図:Computational Thinking のイメージ(Nord Anglia から引用)