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2025年12月3日水曜日

自律神経とは

NHKのトリセツは自律神経系が今回のテーマだった。自律神経はどこにあるのから始まったが,いきなり?となった。「自律神経知ってますか」と聞かれたら「はい,自律神経失調症(めまい)のことでしょう」の1行しか答えられない自分を発見した。さっそくテレビを見ながら自分の疑問を次々とChatGPTに投げていった。

その結果をChatGPT-5.1にまとめてもらい解説文書を作成したところいい感じになった。
神経系
├── 中枢神経系(脳・脊髄)
└── 末梢神経系
     ├── 体性神経系(=意識できる系:somatic)
     │       ├ 感覚神経(触覚・痛覚・温冷覚)
     │       └ 運動神経(骨格筋)
     └── 自律神経系(=無意識の系:autonomic)
             ├ 交感神経
             └ 副交感神経
ところが,今朝起きてQ&Aを1つだけ追加して修正しようとしたら,劣化の沼に迷いこんだ。ChatGPTあるあるだ。あきらめてこれまでのQ&A全文をGeminiに投入するが,望みのものは得られない。しかたがないので,Claudeにこれを読ませたところなんとか綺麗にまとまった。文章だらけで少し読みにくかったので,当初の方針を修正して箇条書きを許すことにした。(注:以下の正確性はChatGPTにチェックさせたが,完全に保証されているわけではない
Q(koshix):
以下のQ&A(8項目17000文字30kB)を,私のように自律神経という言葉だけ知っていて,その実態を知らなかったのだが,その構造と機能を基本的なレベルから理解したいという人向けに,まとまった解説記事として(たんなる箇条書きとかテーブルを多用せずに),具体的な定量的な事実を踏まえて,全体像を理解できるような解説文をつくってしてください。私の疑問点なども十分活かして,複数のセクションで構成されていても結構です。できますか?

A(ChatGPT5.1⇒Calude4.5):
自律神経系の全体像:意識できない生命維持システムの構造と機能

0.はじめに:「自律神経」という言葉の向こう側
「自律神経が乱れている」「自律神経を整える」——こうした表現を耳にすることは多い。しかし、この「自律神経」とは実際に何なのか、どこにあって、どんな構造をしているのかを具体的に知る機会は意外と少ない。本稿では、自律神経という言葉だけは知っているが、その実態を詳しく理解したいという人に向けて、神経科学と医学の観点から、この見えない制御システムの全体像を解き明かしていく。

私たちの身体には、意識して動かせる部分と、意識できない部分がある。手を動かす、痛みを感じる、これらは意識できる。しかし心拍数を意図的に下げる、血圧を自分で調整する、消化を早めるといったことは、どれほど集中しても直接的には操作できない。この「意識の届かない領域」を支配しているのが自律神経系である。そして興味深いことに、自律神経系と私たちが意識できる体性神経系は、同じ「ニューロン」という細胞でできているにもかかわらず、その構造、目的、機能は根本的に異なっている。

1.神経系の大きな区分——自律神経はどこに位置するのか
人体の神経系を理解するには、まず全体の構造を俯瞰する必要がある。医学では神経系を大きく二つに分ける。一つは中枢神経系で、これは脳と脊髄を指す。もう一つは末梢神経系で、脳脊髄から体の各部に伸びる神経の総称である。
この末梢神経系はさらに二つに分かれる。
末梢神経系の二大分類:
・体性神経系:触覚や痛覚といった感覚を脳に伝え、筋肉を意識的に動かす(意識できる系)
・自律神経系:心拍、血圧、発汗、消化、瞳孔の大きさなど、生命維持に必要な機能を自動的に調整(意識できない系)
つまり、「脳以外の神経はすべて自律神経」というわけではない。末梢に伸びる神経の多くは体性神経であり、自律神経はその中の一部にすぎないのだ。
自律神経系はさらに交感神経と副交感神経という二つのサブシステムに分かれる。
自律神経の二つの顔:
・交感神経:「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」—— 心拍を上げ、血管を収縮させ、瞳孔を開く
・副交感神経:「休息と消化(Rest and Digest)」—— 心拍を下げ、消化を促進し、リラックス状態を作る
この二つは互いに拮抗しながらバランスを保ち、身体の恒常性を維持している。

2.自律神経ネットワークの特徴——制御系としての設計思想
自律神経のネットワークは、一般的に「神経網」と呼ばれる脳のニューロンネットワークとは、構造的にも目的的にも大きく異なる。脳のネットワークが高度な情報処理、学習、記憶、意思決定といった認知機能に特化しているのに対し、自律神経のネットワークは生命維持とホメオスタシス(恒常性維持)に特化している。
自律神経系の構造は、制御工学における「フィードバック制御」に似ている。たとえば血圧が上がると、血管壁にある圧受容器がそれを感知し、信号が脳幹に送られる。すると副交感神経が活性化して心拍を下げ、血管を拡張させて血圧を元に戻す。このような負帰還ループが階層的に組み合わさり、安定化システムを構成している。
自律神経系の階層構造:
(1) 末梢受容器:血圧受容器、化学受容器などのセンサー
(2) 脊髄・脳幹:延髄(心拍・血圧・呼吸)、橋(排尿・嚥下)、中脳(瞳孔反応)
(3) 視床下部:全体の統合司令塔(体温・血糖・ホルモン)
(4) 大脳皮質:前頭前野・島皮質による上位調整(ストレス・感情の影響)
つまり自律神経は完全に自動的というわけではなく、心理状態や意識とも間接的につながっているのである。
自律神経の伝達物質は比較的限られている。
主要な神経伝達物質:
・交感神経:ノルアドレナリン、アドレナリン
・副交感神経:アセチルコリン
これに対して脳の神経網は、グルタミン酸、GABA、ドーパミン、セロトニンなど非常に多様な伝達物質を駆使し、複雑な意味付けや動機付けを可能にしている。自律神経の信号は比較的定型的で、スイッチ的・調整的な性格を持つ。

3.体性神経と自律神経のニューロンは同じものか
ここで一つ重要な疑問が浮かぶ。体性神経と自律神経を構成するニューロンは、同じ種類の細胞なのだろうか、それとも物理的に異なる構造を持っているのだろうか。
答えは、「基本的には同じニューロンという細胞種だが、形態・サイズ・機能は大きく異なる」である。ニューロンという言葉は、実は非常に多様な細胞型の総称だ。乳房上皮細胞のようにほぼ同じ構造を持つ細胞とは違い、ニューロンは大きさ、軸索の長さ、伝導速度、髄鞘の有無、樹状突起の複雑さなど、あらゆる点で大きく異なる「亜種」の集まりなのである。
体性神経ニューロンの特徴:
・細胞体の大きさ:35~100マイクロメートル(運動ニューロンや触覚ニューロンは特に大型)
・軸索の長さ:数センチから1メートル以上(脊髄から足先まで一本でつながる)
・軸索径:6~20マイクロメートル(Aα線維は最大20マイクロメートル)
・伝導速度:最大で毎秒120メートル(高速伝導)
・髄鞘:ほとんどが厚い髄鞘を持つ
・配線:一本の長いニューロンで末端まで直結
体性神経のニューロンは、大型で高速伝導のものが多い。たとえば運動ニューロンの細胞体は直径35から70マイクロメートルにもなり、触覚を伝える一次感覚ニューロンは50から100マイクロメートルと、脊髄後根神経節の中で最大級のサイズを誇る。軸索も非常に長く、脊髄から足先まで伸びる運動ニューロンは1メートルを超える。軸索径も太く、最も太いAα線維は12から20マイクロメートルに達し、伝導速度は最大で毎秒120メートルに及ぶ。これは意識的な運動制御やリアルタイムの触覚フィードバックに必要なスピードである。
自律神経ニューロンの特徴:
・細胞体の大きさ:15~40マイクロメートル(体性より明らかに小型)
・軸索の長さ:数ミリから数十センチ(短い)
 ・節前線維:1~3センチ
 ・節後線維:10~30センチ
・軸索径:0.2~3マイクロメートル(多くは1マイクロメートル未満)
・伝導速度:毎秒0.5~2メートル(低速)
・髄鞘:節後線維の多くは無髄(C線維)
・配線:二段階構造(節前→神経節→節後)
一方、自律神経のニューロンは小型で、低速だ。細胞体の直径は15から40マイクロメートル程度で、体性神経より明らかに小さい。軸索の長さも短く、交感神経の節前線維は1から3センチメートル、節後線維でも10から30センチメートル程度にすぎない。これは体性神経が1メートル級の長距離を一本の線維で走るのとは対照的だ。さらに自律神経の多くは無髄で、軸索径は0.2から1.5マイクロメートルしかなく、伝導速度は毎秒0.5から2メートルと非常にゆっくりしている。
もう一つ重要な構造的違いがある。体性神経の運動ニューロンは、脊髄から筋肉まで一本の長い軸索で直接つながっている。しかし自律神経は、二段階構造を持つ。まず脊髄や脳幹から「節前ニューロン」が出て、途中の神経節で「節後ニューロン」にシナプスを介してつなぎ替わる。そしてこの節後ニューロンが最終的に内臓や血管を支配する。この二段階という配線方式が、自律神経系の大きな特徴の一つである。

4.身体における自律神経と体性神経の総量
脳を除いた身体全体に存在する自律神経と体性神経の総量を比較すると、興味深い事実が浮かび上がる。ただし「総量」という言葉は注意が必要だ。線維の本数、総延長、体積という異なる尺度で測ると、まったく逆の結果が出るからである。
線維の本数で比較すると:
・体性神経:約1億本(感覚線維+運動線維)
・自律神経:数億~10億本(節後線維が細く枝分かれが多い)
・結論:本数では自律神経が数倍~10倍多い
まず線維の本数で見ると、自律神経のほうが圧倒的に多い。体性神経の感覚線維と運動線維を合わせて約1億本程度だが、自律神経は数億本から10億本規模に達する。これは自律神経の節後線維が非常に細く、枝分かれが多いためだ。しかし本数が多いからといって、存在感が大きいわけではない。
総延長(距離)で比較すると:
・体性神経:数十万キロメートル(皮膚だけで40万~70万キロメートル、地球10周分以上)
・自律神経:数万キロメートル
・結論:総延長では体性神経が10倍~30倍以上多い
総延長で見ると、話は逆転する。皮膚表面や筋肉、腱に広がる体性神経の感覚線維は、1平方センチメートルあたり数千本という密度で分布しており、皮膚だけで総延長は40万から70万キロメートル、つまり地球を10周分以上になると推定されている。一方、自律神経は内臓や血管、腺に分布するが、一本一本が短いため、総延長は数万キロメートル程度にとどまる。つまり長さでは体性神経が10倍から30倍以上も多いのである。
体積(神経束の太さ)で比較すると:
・体性神経:末梢神経束の70~80%を占める
・自律神経:末梢神経束の20%以下
・結論:体積では体性神経が圧倒的に支配的
体積で見るとさらに差は開く。体性神経は軸索径が太く、髄鞘も厚いため、末梢神経束の体積の70から80パーセントを占める。自律神経は本数こそ多いが、無髄の細い線維ばかりなので、神経束全体の20パーセント以下にすぎない。
比較のまとめ:
つまり、「数では自律神経が勝つが、存在感(長さ・体積)では体性神経が圧倒する」というのが正確な理解である。両者は役割も分布場所も異なるため、単純な比較に意味はないが、身体という空間における物理的な広がりという点では、体性神経のほうがはるかに大きなネットワークを形成している。

5.自律神経と体性神経は身体で接続しているのか
ここで重要な問いが生まれる。自律神経と体性神経は、脳以外の身体中で直接つながっているのだろうか。
結論から言えば、直接のシナプス結合は存在しない。体性神経の運動ニューロンは骨格筋を直接支配し、自律神経の節後ニューロンは平滑筋、心筋、腺を支配する。終着点がまったく異なるため、末梢で両者が「線と線でつながる」ことはない。
しかし、両者は同じ末梢神経束の中に混在している。たとえば坐骨神経や腕神経叢といった太い神経束は、一本に見えるが、実際には体性運動線維、体性感覚線維、そして交感神経の節後線維が束ねられている。ただし混在しているだけで、互いにシナプスを形成することはない。
身体における体性神経と自律神経の関係:
(1) 末梢神経束での混在:同じ束に入っているが、シナプスはしない
(2) 中枢での間接的連携:脊髄や脳幹で介在ニューロンを介して協調
(3) 反射レベルの相互作用:
・内臓痛が肩に放散する現象(内臓—体性反射)
・鍼灸による体性刺激が胃腸の働きを改善(体性—内臓反射)
(4) 同一器官の共同支配:
・膀胱:排尿筋(自律)+骨盤底筋(体性)
・眼:外眼筋(体性)+瞳孔・毛様体筋(自律)
一方、脊髄や脳幹のレベルでは、両者は介在ニューロンを介して間接的に連携する。たとえば内臓痛が肩に放散する現象や、鍼灸による体性刺激が胃腸の働きを改善する現象は、脊髄内での体性—自律反射によるものである。
生殖器における三神経系の協働:
また生殖器の機能を見ると、体性神経、副交感神経、交感神経の三者が段階的かつ同時に働いている。
(1) 体性神経:性感覚(触覚・圧・温度)、会陰筋・骨盤底筋の随意的制御
(2) 副交感神経:勃起・膣潤滑・充血(興奮フェーズの主役)
(3) 交感神経:射精・オーガズムの収縮(絶頂フェーズの主役)
性感覚は体性神経が担い、勃起や膣の潤滑は副交感神経が促し、射精やオーガズムの収縮は交感神経が主導する。これは末梢での直接接続ではなく、中枢での高度な協調制御である。

6.中枢神経系との接続——意識できる系とできない系
体性神経と自律神経が根本的に異なる理由の一つは、中枢神経系のどこにつながっているかにある。

体性神経の経路(意識できる系):
感覚系の流れ:
(1) 皮膚・筋・関節の受容器
(2) 脊髄後根(後根神経節)
(3) 後索または脊髄視床路
(4) 視床
(5) 大脳皮質の体性感覚野(S1) ← ここで意識される
運動系の流れ:
(1) 大脳皮質の運動野(M1) ← 意識的な命令の起点
(2) 脳幹
(3) 脊髄前角
(4) 運動ニューロン(一本で骨格筋へ)
体性神経の感覚情報は、脊髄後根から入り、後索や脊髄視床路を経て視床に到達し、最終的に大脳皮質の体性感覚野に届く。つまり体性感覚は「脳の表面」まで到達するため、私たちはそれを意識できる。運動も同様で、大脳運動野が直接命令を出し、脊髄の運動ニューロンを介して骨格筋を動かす。だから手を動かすことは意識的に行える。

自律神経の経路(意識できない系):
主要な統合・実行中枢:
(1) 視床下部:最終的な統合司令塔(体温・血圧・血糖・ホルモン)
(2) 脳幹:実行中枢
・延髄:心拍・血圧・呼吸
・橋:排尿・嚥下
・中脳:瞳孔反応
・迷走神経核:副交感神経のマスターコントロール
(3) 脊髄側角:交感神経前ニューロン(T1~L2)
重要ポイント:大脳皮質には直接届かない → だから意識できない
一方、自律神経の情報は、脳幹や視床下部で止まる。視床下部は体温、血圧、血糖、ホルモン分泌を統合する生命維持の司令塔であり、自律神経の最終的な統合中枢である。延髄は心拍と血圧と呼吸を、橋は排尿や嚥下を、中脳は瞳孔反応を制御する。これらはすべて脳幹で完結する反射システムであり、大脳皮質には直接届かない。だから私たちは心拍や血圧を意識的に操作できないのである。
高次の脳による間接的影響:
ただし、自律神経は完全に独立しているわけではない。
・大脳辺縁系(扁桃体・海馬):情動による自律神経の変化
・前頭前野・島皮質:ストレスや認知による調整
恐怖を感じると心拍が上がり、リラックスすると血圧が下がるのは、この経路を通じた間接的な制御である。
制御階層のまとめ:
・体性神経の最上位:大脳皮質(意図の出力)
・自律神経の最上位:視床下部(恒常性の制御)
・共通の実行エンジン:脳幹(万能の反射・統合センター)
制御の階層をまとめると、体性神経の最上位は大脳皮質、自律神経の最上位は視床下部であり、その下で脳幹が万能の実行エンジンとして働いている。体性神経は「意図の出力」を担い、自律神経は「恒常性の制御」を担う。両者は中枢で介在ニューロンを介して連携するが、末梢では混在するだけで直接接続しない。

7.おわりに:見えないシステムの全体像
自律神経系とは、私たちが意識することのできない、しかし生命維持に不可欠な制御システムである。それは体性神経系と同じニューロンという細胞でできているが、構造、サイズ、伝導速度、配線方式、中枢への接続点、すべてが異なる。交感神経と副交感神経という二つのサブシステムが拮抗し合いながら、心拍、血圧、消化、体温、発汗、瞳孔といった生理機能を自動的に調整する。
身体における存在感は、本数では自律神経が勝るが、長さや体積では体性神経が圧倒する。両者は同じ神経束に混在するが、末梢で直接つながることはなく、中枢で介在ニューロンを介して協調する。そして自律神経の情報は大脳皮質まで届かないため、私たちはそれを意識できない。
この見えないシステムを理解することは、単に生理学的知識を得るだけでなく、私たち自身の身体がどのように設計されているかを知ることでもある。意識の届かない領域にも、精緻な制御と豊かな構造が広がっている。自律神経という言葉の向こう側には、そうした驚くべき生命のシステムが存在しているのである。

 


図:Geminiによる自律神経系と体性神経系の説明図

2025年6月28日土曜日

クビアカツヤカミキリ


まだ6月だというのに27日に梅雨明けしてしまった。例年より22日早いらしい。困ったものだ。梅雨入りしたのは6月9日だから今年の梅雨は18日間だけだった。しかも半分くらいしか雨は降っていない。どうしよう。

マンションの階段を上り下りしていると同じ色のカミキリムシを別の階で2回見かけた。ずいぶん遠くまで移動するものだと思っていたら,その後何度もお目にかかる。これは1匹ではなくて大量に発生しているのだ。

画像検索してみると,クビアカツヤカミキリ(首赤艶天牛)という2017年に第13次指定された特定外来生物だった。みつけたらすぐ殺してくださいということだ。そうですか。わかりました。

「公園や市街地の街路樹に生息し、サクラ、ウメ、モモなどのバラ科樹木に寄生する。」ということは,マンションの玄関のサクラの木が最近虫食いでやられていたのはこいつらのせいなのかもしれない。



写真:玄関の前のクビアカツヤカミキリが逃げた(2025.6.27)

2025年5月29日木曜日

オオキンケイギク

アクアイグニスからの続き


写真:近所のオオキンケイギク(左右2枚)

いつもの散歩に出たとき,中学校の外構から黄色の花が沢山顔を出していて,あらきれいと何の気なしに散歩写真をとっていつものようにインスタグラムにあげていた。

ところがです。ファミリーツアーで柳田さんに聞いたところによれば,これはオオキンケイギクという特定外来生物であって,最近,各地で猖獗を極めていて問題になっているらしい。確かに,アクアイグニスに至る道路も含めて,旅行中も道のあちこちでみかけた。

帰宅して次の日,家の裏を散歩しているとオオキンケイギクが集団で逮捕されていた。かつてのセイタカアワダチソウを超える勢いだそうだ。

特定外来生物といえば,ミシシッピアカミミガメが,猿沢池を含んで奈良盆地のあちこちの池でよくみられる。うちで買っているクサガメのカメキチの敵なのですぐに気がつく。オオキンケイギクはこれまで目にしていてもほとんど意識に上っていなかったが,これからは注意してみることになる。


2024年10月15日火曜日

へび(2)

へび(1)からの続き 〈AI Chatbot free〉

朝一番にマンションの管理人さんのところに。ヘビ対応の経緯をA4にまとめたもの見せて説明する。9:30にオープンする本部に電話して確認してみますとのこと。なんだか腰が重そうな感じである。

その後管理人さんから,電話。
(1) 本部の担当者が午前中健康診断なので,午後にもう一度電話してお返事します。
(2) 市役所に電話しましたが対応だめと,例の2軒の業者を紹介されただけでした。
(3) 郵便受内部は専有部分になるので,住人の個別負担になる可能性が高いですぅ。
とのこと。むむむ。
そして,午後の電話。
(4) ここは植栽が多いので除草消毒すると潜んでいたヘビが出ることがありますね。
(5) レアケースだが今後のこともありますから取りあえず理事会に報告してみます。
(6) 自分で駆除業者対応された場合の領収書は,念のために保存しておいて下さい。

ということで,さっそく業者に連絡する。
業者:まだいますか。
私:はい,います。郵便屋さんが咬まれると困るので,ポストの入口目張りしました。
業者:それでは14:40-15:00 頃うかがいます。少し遅れるかもです。
私:よろしくお願いします。

14:30に駆除業者さん到着
15分ほど格闘してどうにか捕獲できた。
鳩駆除がメインでヘビはあまり経験がなかったのかもしれない。
プロならヘビ捕獲棒を持ってきてほしかったところだが,普通のゴミ拾いトングだった。

行きがかり上,郵便受コーナーの奥の袋小路で観察していたが,ヘビが何度も向かってくるのでたいへんだった。加賀藩の蛇責め前田利常とか加賀騒動とか)の祟りかもしれない。


写真:10分格闘の後,この後さらに5分続くのだった(撮影:2024.10.15)


2024年10月14日月曜日

へび(1)

来年は巳年だ。72歳の年男にあたる。先日,南都銀行から巳年蛇図記念コインの案内が送られてきた。ご丁寧にその後,勧誘電話までかかってくる始末だ。もっとまともな商売をしたほうがよいのではないでしょうか。

巳年コインを断った祟(たたり)なのか,二回り違いで同じ巳年の亡母が様子を見に来たのか,マンションの1Fにある集合郵便受けを開けると中に体長80-90cmほどの蛇(シマヘビヤマカガシかアオダイショウか)がいた。昔,川上弘美蛇を踏むも読んだような気がしたけれど,本棚にはセンセイの鞄真鶴しかない。記憶はどんどん千切れて飛んでいく。


ヘビの対処法をあれこれ考えたけれどなかなか名案が出てこない。近所の農家の人なら手慣れた簡単な話かもしれないけれど,素人がむやみに手を出すなということなので自重する。

(1) マンションの管理会社:自動応答で肝腎の目的先にたどりつくのが面倒なシステムだ。漸く繋がって状況を説明すると,半笑いながらしばらく待たされたが,予想通りで,こちらでは対応できないので警察とかに相談してくださいとのこと。

(2) 消防(119番):いきなり警察でパトカーがこられても困るし,消防の方が装備がありそうなので119番してみた。説明したところ,それは消防の守備範囲ではないので,今日は休日でやってないと思う市役所か警察に相談してみてはとたらい回しされた。

(3) 市役所:もちろん,環境政策課の休日緊急電話受付があるはずもなく,ホームページを調べてみた。AI チャットボットはまったく使いものにならなかった(ChatGPT-4oに演じさせた仮想天理市チャットボットの答えの方が100倍優秀だった)。市役所ホームページのQ&Aにある蜂の巣とセアカゴケグモの事例でも,自分でなんとかせよという感じだった。

(4) 警察署(110番ではない):電話で丁寧に対応してもらったけれど,どうもたよりにならない。ちょっと無理そうな様子で,業者に相談してくださいとなった。

(5) 駆除業者:天理市の2軒の業者に電話した。1軒目は休日対応なしで,費用が2.5万円から5万円ほどといわれた。それってボッタクリ価格ではないのか。2軒目は実働スタッフにつないでくれて,いますぐにでもいけると。費用は1.2万円-1.5万円ほど。

マンションの管理組合を通す必要があるので,明日,管理人さんにお願いしてみよう。毒蛇で非常に危険ですが・・・というと,警察とか消防でもなんとかなったのかもしれない(ChatGPT談),しらんけど。



写真:集合郵便受の中の蛇(撮影:2024.10.13)

2024年9月30日月曜日

ビゲロイ

NHK朝のニュースの特集で,高知大学海洋コア国際研究所客員講師で自宅研究者の萩野恭子さんが取上げられていた。

萩野さんは,ビゲロイという円石藻(えんせきそう)の一種を安定的に培養することに成功し,それによって今回のサイエンスの表紙を飾るような国際共同研究チームの成果を導くこができた。番組では世界で初めて窒素を固定する生物(ビゲロイ)を見つけたというストーリーだったので,ちょっと?となった。根粒バクテリアというのが窒素固定細菌の定番ではなかったのか。

そもそも生物の構成要素として不可欠である窒素だ。その地球上おける窒素循環には,様々な窒素固定細菌の存在が不可欠である。その一部が豆科の植物と共生している根粒菌だ。ところで生物界の分類でいうと,細菌古細菌(アーキア)と並んで真核生物(植物界,動物界,菌界原生生物界)と対比されるドメインを構成している。今回の主役のビゲロイは藻類であり,原生生物界=真核生物ドメインだ。これまでの窒素固定細菌は細菌ドメインなので,初めての真核生物における窒素固定機能の発見ということらしい。

ビゲロイの細胞中にある窒素固定細菌構造(UCYN-A)が,単なる共生なのか細胞小器官(オルガネラ)なのかが問題だったが,ビゲロイの細胞分裂において,核や葉緑体と同様に倍加して分裂することが確認された。



写真:ビゲロイの電子顕微鏡写真(萩野さんの円石藻ページから引用)


2024年7月24日水曜日

植物標本廃棄事件

Perplexity PRO に概要を調べさせ,得られた結果と奈良植物研究会の要望書を,Claude 3.5 Sonnet に与えてブログ記事としてまとめるように指示した結果が,つぎのとおり。

奈良県立大学による貴重な植物標本廃棄事件:1万点の学術資料喪失の経緯と影響

はじめに
2024年3月、奈良県立大学が預かっていた約1万点の貴重な植物標本(通称:岩田コレクション)を誤って廃棄したという衝撃的な事実が明らかになりました。この事件は、学術資料の管理の重要性と、適切な引き継ぎの必要性を改めて浮き彫りにしました。本記事では、この事件の経緯、関係者の反応、そして今後の課題について詳しく見ていきます。

岩田コレクションとは
岩田コレクションは、故岩田重夫氏が収集した植物標本群で、奈良県内外で採集された約1万点(奈良県内7,344点、県外2,732点)の標本から成る貴重な学術資料です。2001年に「県立自然博物館をつくる会」を通じて奈良県に寄贈されました。

寄贈の経緯と協定内容
1.1991年から奈良植物研究会と「県立自然博物館をつくる会」が自然史博物館設立を目指して活動
2.1998年に奈良県が貴重なコレクションの保管施設を検討する意向を示す
3.1999年4月15日、県が「貴重な標本を受贈する場合の基本的な考え方」を提示
4.2000年8月から2001年2月にかけて、奈良植物研究会の会員が標本の整理と台帳作成を実施
5.2001年6月29日、「県立自然博物館をつくる会」から奈良県へ正式に寄贈
6.2001年8月13日、奈良県立大学の標本庫に搬入・配架

寄贈時に交わされた覚書には、以下の重要な点が記されていました:

第1条 標本については、その学術用研究財産としての重要性を踏まえ、散逸等を防止するために、乙(県立自然博物館をつくる会会長 菅沼孝之)が甲(奈良県)に寄贈し、甲が現状のまま保管・管理する。

廃棄の経緯
2024年3月21日、岩田コレクションが廃棄されたことが判明しました。廃棄に至った主な原因は以下の通りです:

1.建物の取り壊し:標本が保管されていた建物の取り壊しに伴い、職員が不要物品の整理を行った
2.所有者不明:標本が新聞紙に包まれていたため、担当者はその学術的価値に気づかず、所有者不明として産業廃棄物として処分
3.引き継ぎの不備:担当者間での引き継ぎが不十分で、標本の価値や管理の重要性が適切に伝達されていなかった

関係者の反応と対応
奈良植物研究会
奈良植物研究会は、2024年7月19日付で奈良県知事宛に要望書を提出し、以下の点を強く求めました:

1.岩田コレクション受け入れに関する奈良県の認識と経緯の説明
2.岩田コレクション廃棄に至った経緯の説明
3.今回の事実に対する奈良県としての対応
4.自然史資料の散逸を防ぎ、自然史研究・教育に資する体制の創設に向けた取り組みの推進
上記4点に関する30日以内の回答

要望書では、この事件を「断じて許されない行為」「奈良県における郷土の自然史資料の散逸を防ぎ自然史研究・教育を推進しようとする当会の願いに反する誠に遺憾な行為」と強く非難しています。

奈良県立大学
尾久土正己学長が会見で謝罪し、再発防止策として重要な資料の確認と引き継ぎの徹底を約束しました。

事件の影響と今後の課題

1.学術的損失:過去に採集された標本の中には、現在その採集地で確認できないものも含まれており、二度と採集することができない貴重な資料が失われました。
2.自然史研究への影響:奈良県、ひいては日本の植物学における大きな損失となりました。
3.資料管理の重要性:学術資料の適切な管理と引き継ぎの重要性が改めて認識されました。
4.自然史博物館の必要性:自然史資料を適切に保管・管理するための専門施設の必要性が浮き彫りになりました。

おわりに
この事件は、学術資料の管理における責任の重さと、適切な引き継ぎの重要性を改めて示しました。今後、奈良県および関係機関が、この教訓を活かし、貴重な自然史資料の保護と活用に向けた取り組みを強化することが期待されます。同時に、この事件を契機に、全国の研究機関や自治体が所有する学術資料の管理体制を見直すきっかけとなることも望まれます。
奈良県は,維新の山下知事のせいで,奈良県立民俗博物館の資料の行方にも暗雲が立ちこめている。日本全国貧すれば鈍する状態だ。そういえば,大阪教育大学にも植物標本資料があって実験準備室に保管されていたけれど,大丈夫だろうか。

この4月に就任したばかりの奈良県立大学の尾久土正己学長(大阪教育大学出身)は,前任者の尻拭いでたいへんなことだ。そもそもこの資料が廃棄された2023年の10月は,前期のNHK朝ドラ「らんまん」が放映されたすぐ後なので,植物標本に関する重要性を認識できなかったのかという意見も巷にはみられた。


写真:搬入時の岩田コレクションの一部(朝日新聞から引用)


2024年7月2日火曜日

金魚三百年

金魚伝来300年というキャッチフレーズが飛び込んできた。金魚伝来からたった300年なのか?300年前は1724年,徳川吉宗の時代だ。Wikipediaのキンギョにもう少し詳しい説明があった。

Chat GPT-4oにWikipediaのテキストを入れてまとめさせると,次のような無味乾燥の結果が得られた。
中国
・発祥と歴史: 金魚の発祥は浙江省近辺で、南北朝時代に飼育が始まった。宋代に養殖が盛んになり、明代には品種が増えた。
・文化大革命の影響: 文化大革命で「旧文化」として非難され、生産・流通が壊滅状態に。1978年の日中平和友好条約後、日本の協力で復興が始まった。
・現状: 改革開放政策後に庶民にも普及し、現在は輸出品として政府の支援を受けている。
日本
・伝来と初期の飼育: 室町時代に中国から伝来。江戸時代に大々的に養殖が始まり、江戸中期には庶民の愛玩物として広まった。
・庶民への普及: 江戸時代後期に大量生産が確立し、庶民に普及。品評会や飼育用具も充実した。
・現代の状況: 各地に養殖産地があり、愛知県(弥富市)、奈良県(大和郡山市)、東京都(江戸川区)の三大養殖地が有名。2022年にはアートアクアリウム美術館が銀座に移転している。

どこが300年なのか。 

Perplexityに尋ねると,その情報源はやはりほとんどWikipediaなのだけれど次のようになる。

Q(koshix):江戸時代の日本に金魚が伝来してその飼育が普及するにいたる端緒になったのはいつどこのどんなことでしょうか。

A(Perplexity PRO):

江戸時代の日本で金魚の飼育が普及するに至った端緒は、以下のような要因が重なったことによります:

1.武士のサイドビジネス:江戸中期になると、藩士たちが副業として金魚の養殖を始めました。これにより金魚の大量生産が可能になり、価格が下がったことで庶民にも手が届くようになりました。

2.養殖技術の発展:江戸時代に入り、平和な時代が続いたことで養殖技術が発展しました。これにより、金魚の生産量が増加し、より多くの人々が金魚を入手できるようになりました。

3.金魚飼育書の出版:延享5年(1748年)に安達喜之による『金魚養玩草』という金魚飼育書が出版されました。この本の影響により、金魚の愛好が広まったとされています。

4.販売形態の確立:江戸中期には、金魚売りや金魚すくいなどの販売形態が成立しました。これにより、金魚がより身近な存在となりました。

5.夏の風物詩としての定着:金魚は江戸時代の夏の風物詩として定着し、庶民の間で人気を博すようになりました。

これらの要因が重なり合って、江戸時代中期から後期にかけて、金魚の飼育が庶民の間で広く普及するようになりました。当初は贅沢品だった金魚が、養殖技術の発展と販売形態の確立により、メダカと並ぶ庶民の愛玩動物として広まっていったのです。

Q(koshix):

大和郡山市では今年金魚伝来300年を記念する行事が行われるそうなのですが,その300年の根拠を教えてください。

A(Perplexity PRO):

大和郡山市で金魚伝来300年を記念する行事が行われる根拠は、1724年に大和郡山藩の藩主であった柳沢吉里が甲斐国(現在の山梨県)から大和郡山に転封された際に、金魚の養殖が始まったことに由来します。この年が金魚養殖の始まりとされており、2024年でちょうど300年を迎えることになります。


写真:大和郡山の金魚(日本経済新聞から引用)

[1]「金魚が旅した中山道を歩く」プロジェクト "金魚旅"(大和郡山市)


2024年6月23日日曜日

大阪公立大附属植物園

天理から枚方への山越えの道は,この十数年,車で頻繁に通っている。その道中,県境の山道を降りた交野のあたりに,大阪市立大学の植物園があることは知っていたが,今回初めて訪れてみた。

入口には車止めのバーがあり,車を一時停止させて受付で入場券を購入するよう案内される。入場料は大人は350円,駐車料金は500円で,65歳以上の大阪府民は150円と優遇されている。左奥には駐車場があり,バスも停まれるようになっている。

入り口の近くには,オニバスやスイレンの池が整然と並び,職員の方々が作業に励んでいる姿が見られる。温室もあるが,これはバックヤードであり非公開になっている。日本産樹木見本園を進むと,立派な年代物の樹が並び,その先は森の中を歩くハイキングコースのようだ。

一周して明るい広場に戻ると,そこにはメタセコイアの木がそびえ立っている。これは1941年に植物学者の三木茂(1901-1974)が発見したもので,かつては化石植物だと思われていたが,中国に生き残っていることが判明した。三木茂は京都帝国大学の理学部を卒業し,1947年から49年まで大阪学芸大学の教授だった。その後,大阪市立大学に移り,理学部附属植物園の園長を務めた。これが,今では家族連れにお薦めのスポットとなった大阪公立大学附属植物園だ。




写真:大阪公立大学附属植物園案内板(撮影 2024.6.21)

2024年6月8日土曜日

カラスに襲われる

サルコペニアからの続き

筋肉量減少に対抗するため,さらに散歩に力が入る今日この頃。本日は,西に向かう日だったので,久しぶりにファミリー公園まで足を伸ばした。

ファミリー公園(奈良県営まほろば健康パーク)を抜けると,奈良県浄化センターの横の広いケヤキ並木道が,大和川沿いに続いており,ジョギングやサイクリングのコースになっている。

ケヤキの上の方にカラスが2羽いたので立ち止まって写真を撮影した(下図参照)。その直後のことだ。撮られてれていたカラスが急にこちらに向かってきた。あぶないじゃないのと立ち去ろうとしたら,頭になにか違和感を感じた。カラスの糞でも落ちてきたのかと思ったらそうではない。

そのまま並木道を歩いていくと,3ー4羽のカラスがカアカアと執拗に追いかけてくるのだった。さらに,私の頭をめがけて何度も蹴りつけてくる。ヒッチコックじゃないか。あわてて小走りで逃げ出した。ケヤキ並木が切れて,空への視界が開けたところでようやく脱出に成功した。

うーん,70年の人生でカラスに襲われたのは初めてかもしれない。大学時代,気分転換に理学部の屋上に上がったとき,大きなカラスが飛んでいた。目が合うと向こうから一直線に向かってきてびっくりしたことはあった。たぶん,なわばり争いの一種だ。それは一度だけであり頭を蹴られることもなかった。


朝の散歩では,毎日必ず鳥に遭遇する。スズメ,セキレイ,ツバメ,ハト,カラス,カモ,ムクドリ,ヒヨドリ,ヒバリ,メジロ,イソヒヨドリ,ケリ,シロサギやアオサギなどが季節ごとに見られる。ほとんどの鳥は逃避距離があって逃げてしまう。一番短いのがカラスだ。また,ケリはカモメに似た声で威嚇するような鳴き声を出しながら,頭上を旋回してくる。

この時期6-7月は,カラスの子育ての時期なので,近づいてくる人を襲うことが一番多い季節らしい。目を合わせるなという説と,目をそらすなという説があって,どうすればいいか困る。両手を頭上にあげろとか,傘をさせとか,走って逃げるなとか,いろいろ。でもしばらくファミリー公園は避けようか。


写真:カラスとの遭遇地点(撮影:2024.6.8)

[2]カラスの被害対策(カラスのトリセツ)

2024年5月13日月曜日

霊長類研究所

昔,犬山城へは行ったことがあるが,日本モンキーセンターの記憶ははっきりしない(確認すると確かに訪れたとのこと)。その隣に京都大学霊長類研究所(1967-2022)があったはずだ。

霊長類研究所はチンパンジーのアイちゃん(1976-)でおなじみだ。童謡のアイアイは,アイちゃんの歌だと思っていたけれど,どうやらマダガスカルのアイアイのことだったらしい。松沢哲郎(1950-)のチンパンジーの知能の研究が有名で,NHKでも何度か特集が組まれていた。

2019年に研究資金の不正使用が報道され,2020年に京都大学の調査委員会は5億円の不正使用があったことを認めた。この結果,2022年3月に霊長類研究所の組織は解体され,一部がヒト行動進化研究センターとして再編された。

その事情を分析した霊長類研究所解体の経緯を考える(杉山幸丸,相見満,黒田末寿,佐倉統,2024)という論文があった。その結論は次のとおりであった。
第1に、ことの発端は飼育チンパンジーを収容する大型の檻2基の設置工事をめぐる業者とのトラブルであるが、事態をここまで悪化させずに収束させられたかもしれないと考えられる時点が複数存在したこと。第2に、このような大型工事が可能になったのは霊長類研究所のA教授とそのグループが霊長類学としては巨額の研究資金獲得に成功したからであり、その背景要因のひとつとして文部科学省による「選択と集中」政策があったこと。これらの構造的要因を踏まえて再発を防ぐには、教育研究組織のリーダーや運営責任者は、単に研究教育面だけでなく、組織の経営管理についても高い見識を有することが求められ、そのような研修をリーダーに義務づける必要があると思われる。
てこと〜(へライザー総統口調で)。日本の研究環境の格差拡大と研究力の疲弊化を招いたことを含め,どう考えても文部科学省の「選択と集中」は誤った政策だった。


写真:チンパンジーのアイちゃん(問題の発端である読売新聞から引用)

2024年4月5日金曜日

ベニコウジカビ

機能性表示食品からの続き

話題の紅麹(紅麹米)は,ベニコウジカビが米を発酵させたものである。麹(コウジ)は,米や麦や豆をニホンコウジカビショウユコウジカビで発酵させたものである。

で,味噌・醤油や日本酒に欠かせないニホンコウジカビやショウユコウジカビとベニコウジカビは,生物分類学的にはかなり遠い親戚なのだと指摘するコメントをネットで見かけた。はいはい,調べてみました。

        動物界|界(kingdom) |菌界
      脊椎動物門|門(division)  |子嚢菌門     |接合菌門
        哺乳綱|綱(class)    |ユーロチウム菌綱 |接合菌綱
   齧歯目/ 霊長目|目(order)   |ユーロチウム目
メガネザル科/ ヒト科|科(family)    |マユハキタケ科  \モナスカス科
  ゴリラ属/ ヒト属|属(geneus)   |コウジカビ属    |モナスカス属
        ・ヒト|種(species)   |・ニホンコウジカビ |・ベニコウジカビ

ということで,「科(family)」レベルで異なる生物だった。ヒトもオランウータンもゴリラもチンパンジーもヒト科なので,そのファミリーよりも遠いファミリー(メガネザル科,テナガザル科,オナガザル科,キツネザル科)に対応する。「目(order)」レベルで異なるネズミやウサギほどは遠くはない。

ただし,クモノスカビやケカビなども中国や朝鮮の発酵食品に使われてきたのだが,これは門レベルでニホンコウジカビとは異なるグループだから,まあそんなものかもしれない。


写真:紅麹(Wikipediaから引用)




2023年12月24日日曜日

6文字のDNA

DNAというと,55年前に高等学校の生物の時間に学んだところで知識が留まっている。4つの塩基が対になって並ぶことで,DNAの複製で情報が保たれるということ。3つの塩基情報が1つのアミノ酸に対応すること。くらいだ。

米島君はこの遺伝情報の伝達のところが一番重要なポイントだといっていたが,自分は,むしろ進化のところに興味があった。結局それもDNAによる遺伝情報の伝達に帰着したのかもしれないが,当時の高校の生物教科書ではそこまで深入りできるわけでもない。

1970年万博の太陽の塔の中を小松左京がデザインした生命の進化の樹ができるというので,すごく期待していたのだけれど,残念ながら,乃村工藝社が作ったような(そうかどうかは知らない)期待外れのモックアップが並んでいた。

DNAの塩基の種類が4でないとどうなるか,これまで考えたこともなかった。「4文字のDNAを6文字に拡張してセントラルドグマを騙す研究」という怪しい記事に出会った(が真面目な論文[1]だった)。そうか,その手があったのか。

論文のアブストラクトをDeepLで訳して,Bardで要約すると前半は次のようなことだった。
人工的に拡張された遺伝情報システム(AEGIS)は、DNAに新たな塩基対を追加したものです。この新たな塩基対は、天然の塩基対と異なる水素結合パターンを持っています。そのため、RNAポリメラーゼによって認識され、処理されるかどうかは不明でした。

 この論文では、大腸菌のRNAポリメラーゼが、6文字に拡張された遺伝システムにおいて、非天然型核酸塩基を選択的に認識することを示しました。高分解能低温電子顕微鏡構造から、AEGISと天然塩基対の認識の背後にある共通の原理が明らかになりました。
このとき,ATGCにBSが追加されることになる。この主の研究は古くからあって,いくつかの可能な塩基ペアが見つかっているらしい。DNAとして機能するためには,複製,転写,翻訳の3つの機能が実現されル必要がある。新しい塩基を含む3塩基組に対応する転写RNAとアミノ酸があって,これまでになかった高機能なタンパク質が生成されるという段階には達していない。

もし,DNAに6塩基対を持って自己増殖できるあらたな生命体系が創造されたらどうなるだろうか。AGIがそのような新しい生命の創造神となるのだろうか。


図:DNAからタンパク質合成へ(KEK物質構造科学研究所から引用)


[1]A unified Watson-Crick geometry drives transcription of six-letter expanded DNA alphabets by E. coli RNA polymerase(Nature)

2023年6月17日土曜日

アミガサハゴロモ?

「ちょっとちょっと」と呼び出されてベランダに出てみると,小さな白い花が落ちている。

この5mm ほどの白い小さなものが動いて跳ねるというのだ。早速指を近づけるともぞもぞ動きはじめ,そのうち20cm以上大きくジャンプした。なんだこれは。ネットで調べてみると,どうやらオオシラホシハゴロモの幼虫らしい。

そんなものかと納得していたのだけれど,今回記事にしようと確認してみたところ,違うかもしれない。幼虫が成虫になるまで追跡調査した人によると,アミガサハゴロモのようなそうでないような。岐阜聖徳学園大学の川上先生のところの進化する昆虫図鑑では,アミガサハゴロモ属の外来種らしい。

生物種の同定というのはなかなか難しいものだ。


写真:たぶんアミガサハゴロモ属の外来種の幼虫

2022年6月9日木曜日

アルゼンチンアリ

 先日のクローズアップ現代で,「静かなる侵略者“史上最強”アルゼンチンアリとの攻防」をやっていて,これは大変だ!と思った。

アルゼンチンアリは,南米原産の特定外来生物であり,日本で大繁殖しているとして,大阪空港や周辺の住宅地での調査や防護の様子が紹介されていた。生態系を破壊し農作物にも被害を与えるのは,複数の女王蟻を擁し,スーパーコロニーという巨大な地下ネットワークを作るからだ。国立環境研究所の五箇公一生態リスク評価・対策研究室がロックなヘアースタイルで説明していた。

ところで,この番組内容をどのくらいの重みで受け止めるべきなのだろうか。一般に放送番組は,その内容を強調して印象を強めるように作られている。放送直後の,これは大変だ!はどこまで尤もな話と考えればよいのか。念のために確認してみる。

環境省の生態系被害防止外来種リストのパンフレットをみると,全体像とアルゼンチンアリの位置づけがわかる。外来種リストには,421種が登録されている。そのうち,外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で定義される特定外来生物であり,かつ緊急対策外来種であるものは,ほ乳類8種,鳥類1種,爬虫類4種,両生類1種,魚類4種,昆虫類3種(アルゼンチンアリも含む),クモ・サソリ類3種,軟体動物1種,その他の無脊椎動物1種,草本植物(陸生植物)4種,草本植物(水生植物)9種の計38種である。

また,防除に関する手引きが作られているのは,アメリカザリガニ,アカミミガメ,アライグマ,カミツキガメ,オオクチバス,アルゼンチンアリの6種なのでそれなりに重要視されていることは間違いなかった。


図:アルゼンチンアリ(防除の手引きより引用, 実サイズは体長2.5mmで小さい)

[1]我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト

2021年11月8日月曜日

伝書鳩

 日曜日の朝,ベランダにハトがいた。ヒヨドリやその仲間はときどきやってきて手すりに留まっているが,人の気配がするとすぐに逃げてしまう。家の近所はスズメやカラスだけでなく,セキレイやツグミ,池や田んぼにシロサギ,アオサギ,カモなどをたくさん見かける環境だ。

マンションには時々厄介なカワラバト(ドバト)が増える年があって,捕獲駆除サービスをお願いすることもある。ところが,このハトは逃げないのである。よく見ると赤と白の脚輪が左右にあり,何やら文字や数字が書かれている。近寄って写真を撮っても平気で餌になる金木犀の花びらをついばんでいた。

調べてみると,伝書鳩(レース鳩)のようだ。日本伝書鳩協会日本鳩レース協会があって,それぞれ固有の番号をつけている。家に来たハトはどうやら伝書鳩協会山口県周南支部の所属らしい。白い脚輪には連絡先が書いてあるのだけれど,汚れが固着している上にハトが逃げるので読み取れない。

伝書鳩協会のページには,迷い鳩の対処方法が書いてあった。どうしましょうどうしましょうと困っているうちに,夕方にはどこかに行ってしまったので,めでたしめでたしとなった。

月曜日の朝,ベランダにハトが帰ってきた。流石に居付かれると困るので,東京の伝書鳩協会本部に電話してみた。どうやらハトを捕獲してその番号を確認しないことには次の手順に進めないらしい。ハトは賢いし素早いので,カメのような爺さんには簡単に捕まらないのである。

何度も失敗を重ねた末に,ベランダに落ちている草の実などを食べているところを背後から掴むことに成功した。早速,脚輪の番号を確認してもらうと,山口県の飼い主の電話番号が判明したので連絡してみた。滋賀県琵琶湖畔からのレースで迷ったものらしい。調べてみると今年の春にも坂本発の400kmレースがあった。平均分速300mで,20-21時間かけて400km離れた自宅まで帰るものらしく,36羽放って2羽しか帰還していない。おいおい。

どうやら京都の支部(都クラブ)の人が取りに来てくれるらしいが,それまで米粒でもやっといてくださいとのリクエストだった。

P. S. 道に迷ったとかで,夜7時過ぎに取りに来られた。協会の規約ということで,お礼をいただく。やはり長距離のレースでは多くのハトが戻ってこないようで,こういうのはレアケースとのこと。山口県までは郵便局のハト専用パッケージで返送されるらしい。


写真:日曜日のハト(赤が協会脚輪,白が個人脚輪)

2021年4月2日金曜日

生物季節観測

標本木からの続き

 桜の開花は天気予報で知らされる。気象庁はこれまで生物季節観測として,桜だけでなく動物23種目,植物34種目の生物季節現象を記録してきた。ところで,気象庁大気海洋部は,昨年の11月に「生物季節観測の種目・現象の変更について」として,令和3年1月からこれらの観測を植物6種類9現象(あじさいの開花,いちょうの黄葉・落葉 , うめの開花, かえでの紅葉・落葉 , さくらの開花・満開 , すすきの開花)のみに変更すると発表した。まあ,国が貧しくなるとリストラはどんどん進行するのだ。

ところが,3月30日には気象庁と環境庁が,「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始について,ということで,国立環境研究所も含めて存続の方向で進められるようだ。朝の散歩で,奈良盆地中央部における四季折々の植物や動物を見る機会が増えていたのでちょっとホッとした。スマートフォンのアプリにも生物名を判定するものがあって,これを市民からの情報提供のツールとして役立てるとか,学校教育と連携するなどの手もあるだろう。そもそも日本人の感性は古来,これらの環境によって育まれ,俳句などの文芸に結実しているわけで,この根幹の部分の情報が欠落することの損失は計り知れなかったと思う。

[1]気象庁に問いたい。動物季節観測の完全廃止は、気象業務法の精神に反するのではないだろうか(森田正光)

[2]生物季節観測,廃止・縮小から一転存続へ 気象庁と環境省、国立環境研究所がタッグを組む(森田正光)

2020年8月27日木曜日

帆立貝定理

帆立貝定理(Scallop Theorem)とは次のようなものである。生物が低レイノルズ数のストークス流れでの遊泳しているとき,「時間反転可能な変形(往復運動)では,変形速度に関わらず生物は運動の一周期で流体中を移動できない」というものであり,その例示として帆立貝の1自由度運動がとりあげられたことでこの名前がついている。

なお,レイノルズ数は,慣性力を粘性力で割った無次元量であり,ストークス流れは,レイノルズ数が非常に小さい状況を指している,っていうか流体力学をちゃんと勉強していないのでいまいちピンと来ていないのであった。

京都大学数理解析研究所の,石本健太・山田道夫による「座標に基づいた帆立貝定理の証明」は,2014年の流体力学論文賞をもらった論文であり,微生物の変形と運動をきちんと定義した上で,帆立貝定理を証明している。

2020年5月9日土曜日

ハナノナ

このところCOVID-19の話ばかり書いてきたのでちょっと食傷気味である。

今日は別の話題です。「無料でカメラを向けた花の名前を即座にAIが教えてくれるアプリハナノナを使ってみた」という記事があったのでさっそくiPhoneにインストールしたところ,なかなかすごいのだった。ベランダのムラサキカタバミを早速言い当てた。

千葉工業大学のステアラボ(人工知能・ソフトウェア技術研究センター)で2017年に開発されたものらしい。ウエブサービスハナノナとして始まった。最近,認識できる花の種類のが770種類にまでアップデートされ,iPhoneアプリも登場した。この手のアプリはのどから手が出るほどほしかった。まあ,ないことはなかったのです。これまでに,京都大学発祥?のいきものコレクションアプリBIOMEを使ったこともあるのだけれど,機能を欲張りすぎた割には精度がいまいちで,アプリ画面のこやしになっていた。

その点,ハナノナは単純な機能がよいのである(草木にも拡張してほしい)。この調子でトリノナ(鳥類),ムシノナ(節足動物・両生類・爬虫類),クモノナ(雲です),ホシノナ(☆です),イシノナ(岩石鉱物),トモノナ(ホ乳類),ウオノナ(魚類・水生生物)など作っていただけるとうれしいなあ。これらができた後でモノノナ(万物)に統合されるのはOKです。これで小学校の理科はOKです。


図 本日の朝の散歩におけるハナノナの成果の一部(2020.5.9撮影)

追伸:モノノナのイメージが出てきた。目に映るものの名前をできる限り知りたい(デイリーポータル,2020.05.22)

2019年12月29日日曜日

鳥の地磁気コンパス

渡り鳥は正しい方角を知って長距離を渡ることができる。この鳥の能力には,地磁気を感知する感覚器が関与しているのではないかと考えられてきた。しかし,その具体的なメカニズムは不明だった。NHKのコズミックフロントをみていたら,量子力学の特集で,この話題について触れられていた。

2009年のGaugerらの論文によれば,ヨーロッパコマドリの渡りのメカニズムが調べられ,鳥の視覚における光のスペクトルが方向検知の能力と関係していることがわかった。そこで,単純な生体磁石も持つ感覚器のモデルではなくて,化学反応速度に対する磁場の影響のモデルが考えられた。鳥の目の光子吸収におけるラジカル対の生成で生ずる一重項と三重項からの生成物質が磁場の向きに依存して異なるため,地球磁場が化学信号をもたらすというものらしいが,肝腎の生成物質とその効果は特定されていないようだ。

光合成やその他の生態系における量子過程についてもまだまだおもしろい問題がたくさんありそうで,エンタングルメントがどう関るのか,興味津々というところ。

[1]Sustained quantum coherence and entanglement in the avian compass(Gauger et al. 2009)
[2]Quantum effects in biology: Bird navigation(Ritz 2011)
[3]Quantum Dynamics of the Avian Compass(Walters 2012)
[4]The Radical Pair Mechanism and the Avian Chemical Compass: Quantum Coherence and Entanglement(Zhang et al. 2015)
[5]The quantum needle of the avian magnetic compass(Hiscock et al. 2016)
[6]Quantum Mechanical Navigation: The Avian Compass(Herbert 2016)