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2024年12月4日水曜日

非常戒厳

昨日の夜,宙わたる教室の第9回を見終わって,午後11:00ごろさあ寝ましょうとおふとんに潜り込んで,Blueskyを眺めていたら,韓国で戒厳令という記事が目についた。えっ!フェイクニュース?

さっそく,ネット上をいろいろ調べるとどうやら本当かもしれない。BBC,CNN,アルジャジーラ皆報じている。しかし,テレビをつけてみると,まったくニュース速報が流れてくる気配もない。NHK,朝日新聞などのウェブ版をみても全く情報がない。むむむ。

午後11時23分になって,はじめて日本語でニュースが流れたのはLINEニュース(聯合ニュースから)のもので,「尹大統領が非常戒厳令発令 従北勢力を撲滅し憲政秩序守る」というタイトルの記事だった。

時系列は概ね次のようになっている。

12/03 22:22 尹錫悦 非常戒厳を宣言(YTV 全国放送)
12/03 23:00 陸軍参謀総長戒厳司令官 戒厳司令部布告
 1.国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁止する。
 2.自由民主主義体制を否定したり、転覆を企図する一切の行為を禁止し、フェイクニュース、世論操作、虚偽の扇動を禁止する。
 3.すべての報道と出版は戒厳司令部の統制を受ける。
 4.社会混乱を助長するストライキ、怠業、集会行為を禁止する。
 5.専攻医をはじめ、ストライキ中または医療現場を離脱したすべての医療人は48時間以内に本業に復帰して忠実に勤務し、違反時は戒厳法によって処断する。
 6.反国家勢力など体制転覆勢力を除いた善良な一般国民は、日常生活の不便を最小限にできるように措置する。  
12/03 23:48 国会敷地内に軍230人が進入
12/04 01:00 韓国国会 非常戒厳の解除要求決議案(190名全員賛成/定員300名)
  →国会議員の過半数の賛成=戒厳の宣布の無効化
12/04 02:03 韓国軍戒厳投入兵力の原隊復帰
12/04 02:30 採決後の国会議員はそのまま議会に待機
12/04 04:20 尹錫悦 非常戒厳解除方針を発表

尹錫悦が非常戒厳を宣告したのが午後22時22分,BBCが初報を出したのが30分後の午後22時50分,NHKはそれからさらに40分以上遅れてようやく報じていた。どうなってるの。あまり重要ではないと思われる北朝鮮のミサイル発射のときは,はりきってニュース速報を出し回るのに,肝腎なときは,他国主要報道機関よりずっと遅れを取ってしまっている。



写真:国会前に集まった市民と警官隊(聯合ニュース・ロイターから引用)

この時間に数千人の市民が抗議の意思表示をして警察によって封鎖された国会前に集結している。韓国はすごい。日本では到底無理な光景かもしれない。このおかげで国会決議が可能になったのかもしれない。

2024年11月26日火曜日

ネガティブ・ケイパビリティ

フェイクの時代からの続き

ネガティブ・ケイパビリティという言葉を拾ったのは,社会学者の佐藤卓己(1960-)の書き物からだった。いや,その前にどこぞのブログで見かけたものを検索したら佐藤卓己にたどり着いたのかもしれない。岩波新書の「あいまいさに耐える ネガティブリテラシーのすすめ」をTo Read リストに加えておく。

ネガティブ・ケイパビリティとは,不確実なもの,未解決なもの,答えのでない状況を受け入れる能力だ。最近つくられた社会学・心理学的な用語ではない。19世紀初頭に英国の詩人のジョン・キーツ(1895-1821)がはじめて使った言葉であり,第二次世界大戦後に精神分析医のウィルフレッド・ビオン(1897-1979)が精神分析の文脈で使うようになった。そのため,精神科医で作家の帚木蓬生(1947-)が「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力(朝日選書)」を書いている。これもTo Read リスト入り。


そもそも,この言葉が気にとまった背景は兵庫県知事選挙にある。チーム斎藤説(NHK)か,SNS原因説(田中辰雄)か,関西TVメディア説(菅野完)か,これに折田楓問題がからまってもうグダグダなのである。立花孝志の斎藤支援デマ攻撃の問題性もどこかに霞んでしまうくらいだ。このデマ攻撃を無効化する古田大輔の議論にはほとんど賛成できない。


Q(koshix):
ネガティブ・ケイパビリティと最近のフェイクの時代の関係について考察したいので,対話的な問答につきあっていただけますか?なるべく簡潔に,しかし場合によっては深く答えてください。
A(ChatGPT-4o):
(回答略)

Q(koshix):
ネガティブ・ケイパビリティという概念は有用だと思いますけれども,議論の公平性や客観性というタームが判断保留を沢山生み出してしまって,結局議論を封殺してしまう場合のように,「ネガティブ・ケイパビリティ」を持ち出すこと自身が,フェイクへの対抗的な議論を抑圧することにつながらないでしょうか。(ネガティブ・ケイパビリティ的意見がまずい典型的な例:水野義之さん:兵庫県の県知事選の解釈について11/27...orz)
A(ChatGPT-4o):
(回答略)

Q(koshix):
では,どうすればよいのでしょうか。目的はフェイク議論を多くの人が信じてしまうことをどう防ぐかです。具体例としては,「兵庫県知事選挙における,斎藤元彦は既得権益者達の罠によってはめられた悲劇のヒーローであり,本当はまじめな良い改革者なのだ」というものです。これが,N国党の立花孝志や,斎藤の選挙参謀の明石倫理法人会の朝比奈の作戦によって広く拡散され,関西のテレビマスコミでその下地をつくられていた有権者に軽々と浸透していき,斎藤の当選につながりました。
A(ChatGPT-4o):
(回答略)

Q(koshix):
その回答において,ネガティブ・ケイパビリティはどのような役割を果たし得るのですか? 
A(ChatGPT-4o):
1.ネガティブ・ケイパビリティの役割
(1) 情報の検証と解釈のプロセスでの活用
ネガティブ・ケイパビリティは、曖昧で不確実な状況に耐える能力です。これにより、次のような貢献が期待されます:
感情的反応の抑制:感情的なフェイク議論に触れたとき、即座に信じたり否定したりせず、一歩引いて状況を冷静に見つめることができる。
急ぎすぎない判断:複雑な背景や利害関係が絡む議論(例えば、斎藤元彦氏が本当に「改革者」かどうか)について、急いで結論を出さないことで、誤情報に基づく行動を防ぐ。
(2) 対話の促進
曖昧な部分を受け入れることで、敵対的な議論を回避し、建設的な対話の余地を残します。
・例えば、「斎藤氏の改革性」について賛否が分かれる場合、対立する意見を即座に否定せず、「その意見の根拠は何か?」と問いかける態度を持つことができます。
(3) 長期的な視点の保持
短期的な結果や感情的な満足に流されることなく、長期的な視点で議論を考える余裕を生みます。
・例: 「既得権益者の罠」という説が感情的に訴えるものであっても、その根拠や実際の影響を冷静に検討し続ける。

2.限界とリスク
ネガティブ・ケイパビリティの欠点や限界にも注意する必要があります。
(1) 行動の遅延
判断を保留しすぎると、フェイク議論の拡散を許してしまう可能性があります。
・対策:判断保留のタイミングを「完全な確信」ではなく、「合理的に行動可能な段階」と設定する。
(2) フェイク拡散者の戦略に利用される
フェイクを広める側が「真実はまだ不明だ」といった曖昧な姿勢を利用して、議論を引き延ばし、混乱を助長することがあります。
・対策:不確実性を受け入れると同時に、明確なエビデンスに基づく部分を迅速に共有する。

3.実際の応用例
(1) 有権者への啓発
・ネガティブ・ケイパビリティを促す教育:フェイクニュースを見た際に「これは本当なのか?」と即座に疑問を持つ習慣を育てる。
・判断を急がない文化の普及:SNSやメディアでの情報に対して、「結論を急がないことは強みである」という価値観を広める。
(2) 対話の場での利用
・斎藤氏を支持する人々との対話において、「完全な否定」ではなく、「あなたの主張の根拠を一緒に検討しよう」という姿勢で接する。
(3) 情報発信の戦略
・例えば、ファクトチェックにおいても、「すべてが分かったわけではないが、これまでに明らかになっている事実はこうだ」と曖昧な部分を認めつつ、具体的な事実を提示する。

4.結論
ネガティブ・ケイパビリティは、感情的反応や過度な確信を避けることで、フェイク議論の影響を軽減する助けになります。ただし、それが議論や行動を不当に遅らせたり、フェイク拡散者に利用されたりしないよう、以下のような「バランス的な運用」が求められます:
(1) 不確実性を受け入れる一方で、行動可能な事実に基づいて動く。
(2) 相手を否定するのではなく、対話を通じて曖昧さを解消する努力をする。
(3) 判断保留を過度に引き延ばさない。
フェイクニュース時代の課題において、ネガティブ・ケイパビリティは他のスキルや手段と補完的に活用されるべきです。



図:DALL-E3によればこれがネガティブ・ケイパビリティのイメージらしい
[4]SNSと選挙鳥海不二夫・中村佳美,MBS)

2024年11月16日土曜日

フェイクの時代

カモになるな維新的なものの勝利からの続き

兵庫県知事選挙の投票日を前にした11月14日,兵庫県市長会の有志(代表 蓬萊務 小野市長)からの記者会見案内が発出された。タイトルは「稲村和美さんを支持する表明について」であり,つぎのような内容だ。
兵庫県内の市長会有志21名は(後に22名)、県政の安定と発展を願い、稲村和美氏への支持を表明しました。稲村氏は尼崎市長時代に財政健全化を果たし、幅広い支持を得ています。特定の政党に依存せず、県民に寄り添った政策を掲げる姿勢が評価され、県政の混迷を収束させるリーダーとしての資質が期待されています。この動きは、自民党県議団の一部からの支持も含め、兵庫県の新たな出発に向けた重要な一歩です。
なぜ,このような異例の声明が出されたかというと,「兵庫県政は混乱、混迷し、現在行われている兵庫県知事選挙においても誹謗中傷が行われるなど、大変愛うべき状況です。」 だからである。

兵庫県の西播磨県民局長の内部告発文書を発端として,斎藤元彦兵庫県知事とその取り巻きによる追求や,維新の会議員による圧力によって,県民局長が亡くなられてしまった。その結果,兵庫県議会に百条委員会が設置されて,公益通報者保護に関する問題が焦点化,兵庫県議会で全員一致の知事不信任案が叩きつけられた。

普通は,兵庫県知事が責任を取って辞職することで話は終るのだが,今回はそうならずに,失職した斎藤元彦がしゃあしゃあと新たな知事選挙に出馬してきたわけだ。そこに,NHKから国民を守る党の立花孝志が参戦し,斎藤の応援に回ったことから風向きが変わった。

当初は,元尼崎市長の稲村和美が有利だと考えられていたはずが,立花とその取り巻きに,右翼イデオローグや,維新の会や,旧統一協会らしき有象無象が雪だるまのように加わって,広範なネット宣伝と,立ち会い演説聴衆動員(暴力付き)を図ってきたため,選挙情勢は微妙なところに来てしまった。彼らの言い分は,斎藤ははめられたのであり,マスコミと既得権者によって迫害されているというアンチフェイクデマの拡散と浸透である。

まあ,いつも判断を間違ってしまうというかあえて逆張りをするのが得意な自称リベラルの東浩紀が,(ぼくは兵庫県知事選については情報が錯綜していて判断できないという立場です)といいながら市長会有志のメッセージをディスるくらいである。最低ですね。

兵庫10区の自由民主党の衆議院議員,渡海紀三朗が,この状況を静観しておられず,「知事の資質」として斎藤の再選への危機感を率直に語る事態にまで至っているわけだ。兵庫県民どうするのよ。


問題は何かというと,斎藤支持グループが明らかなデマをSNS経由で広範に発信し,それがいとも簡単に浸透し,十分に否定できない状況が続いていることだ。それまでのテレビや新聞の報道をきいて冷静に判断すれば,デマの悪質性はわかりそうなものなのだが,マスコミ不信と既得権益批判と斎藤の巧妙な作戦にいとも簡単に騙されて,トランプが米国で勝利したように,フェイクが正義として受け入れられていくのだった。


AIによるフェイクが云々以前の問題なのである。いまこそ,水越先生のように,教科情報における学習のキモはプログラミングではなくてメディアリテラシーであると主張しなければならない時代がきたのかもしれない。

兵庫県市長会のうち有志22市長○のリスト(22/29)

_神戸市長 久元喜造
○姫路市長 清元秀泰
○尼崎市長 松本眞
_明石市長 丸谷聡子(泉・西村)
○西宮市長 石井登志郎
○洲本市長 上崎勝規
_芦屋市長 髙島崚輔(維新)
○伊丹市長 藤原保幸
○相生市長 谷口芳紀
_豊岡市長 関貫久仁郎
○加古川市長 岡田康裕
○赤穂市長 牟礼正稔
_西脇市長 片山象三
○宝塚市長 山﨑晴恵
○三木市長 仲田一彦
○高砂市長 都倉達殊
○川西市長 越田謙治郎
○小野市長 蓬萊務
_三田市長 田村克也(泉)
○加西市長 高橋晴彦
○丹波篠山市長 酒井隆明
_養父市長 大林賢一
○丹波市長 林時彦
○南あわじ市長 守本憲弘
○朝来市長 藤岡勇
○淡路市長 門康彦
○宍粟市長 福元晶三
○加東市長 岩根正
○たつの市長 山本実

P. S. どうやら,ことの本質西村康稔による旧来型の選挙手法によって動員された倫理法人会に統一協会や維新の会などが,立花孝志やネトウヨSNSの曇の中で活動しているものらしい。これによって,リアルとネットの両面からの攻撃が成功しているというパターンだ。石丸現象と同じ構造なのかもしれない。

[1]斎藤元彦さんは既得権益のオモチャでしかない(菅野完)

2024年7月13日土曜日

AI-PC

WWDC2024でお披露目されたAI(Apple Intelligence)についての提案。 

Apple Intelligenceのキモは,Personal Intelligenceというコンセプトで,iPhoneやiPadやMacBook 上の個人情報を把握した上で,個人に最適化されてセキュアな生成AI支援が,OSレベルでインストールされるというものだった。玄人受けはしたが,素人への遡及力が弱かったのはキラーアプリが紹介されなかったからだ。

そこで,次のような中核となるアプリケーション群のコンセプトを考えた。AI-PC  (Apple Intelligence-Personal Communicator) である。

今すでに生成AIのカスタマイゼーションは始まっているが,対話型生成AIがさらに進歩して,AppleのいうようなPersonal Intelligence 的な環境が実現したとする。その世界では,個人の情報処理にこれまで以上の大きなAIフィルターがかかることになる。

例えば,外部からの情報入力先の選択や,そこから入手した情報の要約作業における個別最適化は,自分が望む方向に認識を偏向させ,いわゆるエコーチェンバー現象がますます昂進することになりそうな気がする。当初の生成AIは,頑なさがめだったが,最近ではユーザの注文にどんどんすり寄ってくるからだ。それは最終的には,人間と人間のコミュニケーションの分断につながっていく。

そこで,AIを人間のコミュニケーションの支援ツールとして位置づけることで,この分断を解消することを目指す。個別機能としては存在しているものも多いが,これらの全体を含めて,Personal Communicatorとして再定義するわけだ。

例えば,
○異言語間のコミュニケーション 通訳・翻訳機能
○障害者とのコミュニケーション 手話通訳機能
○異年齢間のコミュニケーション よみがな・いいかえ機能
○生物種間のコミュニケーション ペット活動判定機能
○遠隔地でのコミュニケーション 時間差補完通信機能
○ジェンダー異価値観コミュニケーション アノテーション機能
というように。

あるいは,A(B)さんのパーソナルアシスタントをα(β)とする。AさんとBさんがコミュニケートする場合に,パーソナルアシスタントαとβが, それぞれ予め許諾された情報を交換することで,AとBのコミュニケーションが円滑になるように支援することが可能になる。

具体的にはどういうことか,うーん,どういうことでしょうね。理念先行で,まだ具体的なイメージが確立していない・・・

ここまではどうにか自力で考えたけれど,それ以上先に進むのがしんどくなったので,生成AIに頼ることにした。だめだこりゃ。最近,生成AIなしでブログを書き進めることが,まったくできなくなってしまった。ということで,学校教育に本格的に生成AIが導入されたら半年くらいで,子供たちの思考能力は激減しそうな気がしてきた

それでは,以下, Claude 3.5 Sonnetに尋ねた結果をご覧下さい。

Q(koshix):
(先ほどの説明文↑)+ パーソナルコミュニケーターの具体的な利用イメージをいくつか例示してください。

A(Claude 3.5 Sonnet):
ご提案いただいたAI-PC (Apple Intelligence - Personal Communicator)のコンセプトは非常に興味深いですね。人工知能を個人のコミュニケーション支援ツールとして活用し、人々の間の分断を解消しようという発想は素晴らしいと思います。具体的な利用イメージをいくつか例示してみましょう。

1.異文化コミュニケーション支援:
(日本の会社員Aさんがアメリカの取引先Bさんとビデオ会議をする場合)
(1) 言語サポート:
・Aさんの発言を英語にリアルタイム翻訳
・Bさんの発言を日本語に翻訳
・専門用語や業界特有の表現を適切に変換
(2) 文化的コンテキスト補足:
・Aさんの「検討させていただきます」という表現を、より直接的な英語表現に変換
・Bさんの冗談や文化的な参照をAさんに分かりやすく説明
(3) 非言語コミュニケーション支援:
・アイコンタクトや表情、ジェスチャーの文化差を解説
・適切な反応や相槌のタイミングを提案
(4) ビジネスエチケットガイド:
・各国の商習慣の違いをリアルタイムで注意喚起
・適切な敬語や丁寧表現の使用をアドバイス
(5) 会話の文脈理解と補足:
・過去の会話履歴を参照し、関連情報を適宜提供
・業界動向や企業情報を踏まえた発言の解釈補助
(これらの機能により、AさんとBさんは言語や文化の壁を越えて、より深い相互理解と効果的なコミュニケーションを実現できます)

この例では、AI-PCが言語の翻訳だけでなく、文化的な文脈や非言語コミュニケーション、ビジネスエチケットまでサポートすることで、異文化間のコミュニケーションをより円滑にしています。

2.世代間コミュニケーション支援:
(祖父母と孫のビデオ通話を想像してみましょう。AI-PCは以下のような支援を提供できます)
・祖父母の方言や古い表現を、孫に分かりやすい現代語に置き換える
・孫が使う最新のスラングや若者言葉を、祖父母に説明する
・話題に出てきた時代背景や歴史的出来事について、世代間の認識の違いを補足説明する
・聴力の低下した祖父母のために、孫の声を適切に増幅したり、字幕を表示したりする

3.障害者とのコミュニケーション支援:
(聴覚障害者と健聴者の対話を例に取ると)
・健聴者の音声を自動で字幕化し、聴覚障害者に表示する
・聴覚障害者の手話を認識し、音声や文字に変換して健聴者に伝える
・周囲の重要な音(ドアベル、警報音など)を視覚的に通知する
・音声のトーンや感情を視覚的に表現し、ニュアンスを伝える

4.遠隔地間のコミュニケーション強化:
(異なる時間帯で生活する家族や友人とのコミュニケーションを支援します)
・メッセージの送受信を最適な時間帯に調整し、相手の生活リズムを乱さないようにする
・長期間の会話履歴を分析し、重要なイベントや話題を要約して提供する
・バーチャル空間を利用し、離れていても一緒にいるような体験を創出する
・各地の天候や季節の違いを考慮し、適切な話題を提案する

5.ペットとのコミュニケーション支援:
(ペットの行動や状態を解析し、飼い主とペットのより良い関係構築を支援します)
・ペットの鳴き声や体の動きを分析し、その意味(空腹、不快、遊びたいなど)を解釈する
・ペットの健康状態をモニタリングし、異常を早期に検知して飼い主に通知する
・飼い主の声や指示をペットが理解しやすい形(音の高さや長さなど)に変換する
・ペットの種類や個性に基づいた適切な接し方をアドバイスする

これらの例は、AI-PCが単なる情報処理や翻訳ツールを超えて、人々の相互理解と効果的なコミュニケーションを促進する可能性を示しています。このコンセプトをさらに発展させることで、技術の進歩が人々を分断するのではなく、むしろ結びつけるツールとなる可能性があります。

 



そうそう,いいたかったことは大体言語化してくれた。えらいぞClaude。

Apple Intelligenceのページには,テキスト生成,画像生成,Siri,プライバシーの基本的な4項目だけが取上げられている。これらを総合して新しい価値を意味付けるのが,ここでおせっかいながら提案したPersonal Communicator のコンセプトだ。

P. S. パーソナルコミュニケーター(Personal Communicator)をインターネットで検索すると,そのトップに2007年に発売されたSONYのMyloがヒットする。ちょうどiPhoneの登場時期と重なっているが,まったく自分の記憶には残っていない。もちろん,そのまま忘れ去られてしまった商品だ。

2024年7月8日月曜日

東京都知事選挙(4)

東京都知事選挙(3)からの続き

7月7日(日)の夜8時のNHK「光る君へ」はお休みで,短い予告の後に東京都知事選挙の開票速報が始まった。

昨晩の新宿の蓮舫街宣の写真やSNS記事を見ていた自分のイメージでは,石丸の伸びが止まって,小池と蓮舫がいい戦いを繰り広げるから,結果が出るまでに少し時間がかかるのではないかという楽観的な予想だった。

残念でした。ゼロ打ちでした。いきなり小池当確の大画面になった。しかも,2位が石丸で,蓮舫は3位の惨敗だった。当日の高投票率をみて菅野完が予想していた通りだった。


教訓:自分自身がエコーチェンバーの中に足をつっこんでいて,正しい状況分析ができていなかった。部分的には石丸優勢という声も聞こえていたが,聞きたくないものだから,自ら耳を塞いでしまっていた。


小池には,現役知事が持つ利権につながる根強い背景もあるし,政権与党の自民党,公明党に加え,都議会与党の都民ファーストの会や,共産党嫌いの連合などの幅広くしっかりした組織がついている。まあそこまで大きな不満が噴出していない現役都知事が勝つのは当然といえば当然なのだった。

これをひっくり返せるのは,無党派に大きなうねりが発生する場合に限られるのだけれど,今回は石丸伸二に風が吹いた。この前の国政選挙でN国や参政党に見られたあれだ。それにしても,なぜ石丸に若年層や中年層を中心としたこれだけの風が吹いたのか。

(1)新しいネットの力
マスコミはこの方向で議論を誘導しているけれど,もう少し丁寧な分析が必要。例えば,
  小池百合子 TikTok 1.6万 / X 91.3万 / YouTube 3640
  石丸伸二  TikTok 8014  / X 53.8万 / YouTube 30万
  蓮舫    TikTok 0       / X 57.1万 / YouTube 1万
  安野貴博  TikTok 524   / X  7.8万 / YouTube 9320
なので,確かにYouTubeの石丸伸二の存在感は大きい。これに,切り抜き職人やぶら下がりアカウントが多数発生して拡散を増幅している。このためそれらを含めたページビューの実数とその影響の定量的な評価には時間がかかりそうだ(注1)。

(2)自民党清和会の力
石丸伸二だけで,いくらボランティアが集まってもあれだけの規模の組織的な選挙運動は簡単にはできない。清和会系の自民党関係者(統一協会関係者)が選挙スタッフに入っていることは明らかになっている(本人は否定しているが証拠写真は存在)。また,パトロンの存在も含めて裏で様々な力が組織的に働いていることが考えられる。反小池票の分散が目的だ。菅野完が,石丸伸二を甘くみて,石丸票は小池票を削るといったのは誤りだった。

(3)既成マスコミの力
マスコミが小池に関する様々な醜聞や政策上の問題点(情報隠蔽,答弁拒否)に蓋をして,かつ,選挙報道をほとんどしていない。「多少問題があっても小池都知事はそこそこやってきた,蓮舫は文句ばかりで何もしていない」という刷り込みを続けてきた。これが,自ら主体的に情報を獲ようとしない層の意識を確実に固めている。その上で,民放の情報バラエティ番組では,アンチ蓮舫,親小池プロパガンダを盛大に埋め込んでいる。

(4)有権者の無知の力
結局のところ,有権者のマジョリティには小池の情報非公開ぶりも三井不動産や電通等との怪しい関係もほとんど伝わっていない。さらに,石丸の市長時代の安芸高田市や中国新聞をめぐる,パワハラ屁理屈しぐさもほとんど知られないまま(注:これが若者に受けているという話もあった),なんとなく無党派(そうではないのだけれど)の新しい人がでてきたという空気感だけで,これだけの集票ができてしまったという身も蓋もない話らしい。

広島1区を狙うと発言しているので,橋下徹レベルの危険ファシスト予備軍のマキャベリストだ(橋下/泉+石丸で新党をと言い出しているらしい・・・orz)。

(注1)その後の情報によれば,石丸の街頭演説などを撮影してYouTubeで拡散する仕事が多数クラウドワークスに上げられていたようだ。状況からほとんど公職選挙法違反案件だ。開票後のインタビューでおそるおそる聞いていた社もあったが,腰砕けだった。橋下の場合と同じで,マスコミにマウントするような対応をされると,弱々になってしまうのだ。

[2]朝刊チェック敗戦の弁(菅野完)
[4]石丸伸二候補への河合からの評価(ジョーカー議員)
[6]石丸伸二はなぜバズるのか(哲学系ゆーちゅーばーじゅんちゃん)
[7]蓮舫陣営が自滅した東京都知事選  -  戦略思考と緊張感の欠如、マスコミによる石丸伸二宣伝の奸計(世に倦む日々)→ 2024/7/9 追加(菅野完のマスコミ原因説の補強材料)

2024年6月29日土曜日

月裏面サンプルリターン

嫦娥4号月裏面着陸からの続き

最近, マスコミの水準がかなり衰えているような気がする。老化する自分の理解力や思考力も衰えつつあるが,それを上回る勢いだ。NHKのニュースには毎日のように言葉の訂正のお詫びが入る。鋭い政治的なつっこみはほとんどみられず,公平を装いながら為政者へのステルス忖度を重ねている。威勢がいいのは,芸能スキャンダルや生け贄になる弱者を見つけたときだけだ。

マスコミ記者達の情報源が手軽なネット検索になってしまったため,SNSから情報をかき集めてそのまま右から左に紹介するような(自分のようなブロガーはそうなりがちだけれどさ)ことを繰り返している。深い分析や考察はマイナーなごく一部の番組だけだ。こうして,エコーチェンバーで増幅されたセンセーショナリズムが横行する。

さて,ニュース記事を書くのも生成AIに任せれば,記者は楽々仕事を済ませられる。政治家へのインタビューで俯いてパソコンに向かいボイスレコーダに頼る記者の行き着く先だ。ダブルチェックの替わりに複数の生成AIに書かせて平均をとればよい。それなら,新聞もテレビもいりませんよね。いや,生成AIがそれなりの答えを返すのは,リアルな情報源があるからのはずだ。なんだか面倒で鬱陶しい自己参照ループが発生しそうな予感。

そこで一つの見本を考えてみる。これにもう少し手を加えればニュースの出来上がりだ。

Q(koshix):
嫦娥6号と月面探査や月の裏面からのサンプルリターンに関する情報を,新聞のニュース記事のような形でまとめて,解説を加えてください。
Q(koshix):
月面の着陸日時と場所の情報がありません。月面探査ローバーの名称がありません。
Q(koshix):
ありがとうございます。普通日本語の新聞では,である調を用いますので,それに合わせた修正記事にしてください。

A(Perplexity PRO):
中国の無人月面探査機「嫦娥6号」、月の裏側からのサンプルリターンに成功

中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が、世界で初めて月の裏側からサンプルを採取し、地球に帰還した。この歴史的なミッションは、2024年6月25日に完了し、月の裏側の謎に迫る重要な一歩となった。

ミッションの概要
嫦娥6号は2024年5月3日09:27 UTC(協定世界時)に中国海南島の文昌衛星発射センターから長征5号ロケットによって打ち上げられた。6月1日22:23 UTCに、月の南極付近の南極エイトケン盆地内のアポロクレーター南部(南緯41.6385度、西経153.9852度)に着陸した。
探査機は約2kgの土や岩石のサンプルを採取し、6月3日23:38 UTCにサンプルを搭載した上昇機が月面から打ち上げられた。6月6日06:48 UTCに上昇機が周回機(オービター)と月軌道上でドッキングし、07:24 UTCまでにサンプルが帰還機(リターナー)に移送された。
6月25日、サンプルを収めたカプセルが中国内陸部の内モンゴル自治区シリンゴル盟ドルノド旗の指定地点に無事着陸した。中国国家航天局(CNSA)の張克倹局長がミッションの成功を宣言し、習近平国家主席も「歴史的な成果」と称賛した。 
月面探査ローバー
今回のミッションには小型の月面探査ローバー「移動相机」(Yidong Xiangji)が搭載された。このローバーは月面で短距離を走行し、赤外分光法による月面の観測や嫦娥6号着陸機の撮影を行った。
月の裏側探査の意義
月の裏側は地球から見えず、クレーターが多く平坦な地形が少ないため、これまで探査が困難であった。中国は2019年に嫦娥4号で初めて月の裏側への着陸に成功しており、今回の嫦娥6号は裏側からのサンプルリターンという新たな挑戦であった。
月の裏側には希少元素や水を含む氷が存在する可能性があり、科学者たちの注目を集めている。今回のサンプル分析により、月や地球、太陽系の進化に関する新たな知見が得られると期待されている。
技術的課題と解決策
月の裏側は地球との直接通信が不可能なため、中国は2024年3月に中継衛星を打ち上げ、嫦娥6号と地球間の通信を確保した。この通信上の課題を克服したことで、高難度のミッションを成功させることができた。

この嫦娥6号のミッション成功は、中国の宇宙開発計画における重要な節目となり、月探査の新時代の幕開けを告げるものとなった。今後の分析結果が、月と地球の関係や太陽系の形成過程に新たな光を当てることが期待されている。


図:嫦娥6号のイメージ(NHKから引用)

Q(koshix):
中華人民共和国の月開発計画について,年代,プラン名,内容の一覧を作ってください。日本語でお願いします。

A(Claude 3.5 Sonnet):
承知しました。中華人民共和国の月開発計画について、年代、プラン名、内容の一覧を日本語で作成します。
年代 プラン名 内容
2004年 中国探月工程(嫦娥計画)開始長期的な月探査計画の立ち上げ
2007年 嫦娥1号 最初の中国製月周回衛星
2010年 嫦娥2号 改良型月周回衛星、小惑星フライバイも実施
2013年 嫦娥3号 最初の中国製月面軟着陸機と月面探査車(玉兎号)
2018年 嫦娥4号 月の裏側への世界初の軟着陸と探査
2020年 嫦娥5号 1976年以来初の月のサンプルリターン任務
2024年 嫦娥6号 月の裏側からのサンプルリターン計画
2026年 (予定)嫦娥7号 月の南極地域の資源探査
2028年 (予定)嫦娥8号 月面基地技術のテストと実証
2029-2030年(予定)有人月面着陸2名の宇宙飛行士による月面着陸計画
2030年代(予定)国際月面研究ステーション ロシアなど他国と協力して月面基地を建設する計画

この計画は、軌道周回(フェーズI)、着陸と探査(フェーズII)、サンプルリターン(フェーズIII)、そして月面基地の建設(フェーズIV)という段階的なアプローチを取っています。中国は着実に月探査の能力を向上させ、最終的には持続可能な月面プレゼンスの確立を目指しています。

これに相当する記事が,6月26日の日本経済新聞 朝刊3面に掲載されている。ところが,嫦娥計画の開始年や嫦娥4号の年代が誤っている。上記のClaude 3.5 Sonnetによるものは,英語版のWikipediaのChiniese Luna Exploration Program の内容のpdf出力を読み込ませてまとめたものであり,中国語版のWikipedia の中国探月工程 とも一致している。たぶん,日経の記者は日本語版wikipediaで確認しただけなのではないかという疑惑がある。まあ2019年の方は着陸したのが1月だからあながち間違いではないけれど。

それにしても,中国は着実に宇宙計画を進めている。日本が乏しい予算のなかででフラフラになりながら足掻いている(個人の主観です)のとは大きな違いである。

2024年2月27日火曜日

人民の敵

今日,YouTubeのお奨めに現れたのは,外山恒一のチャンネル「人民の敵」だった。

外山恒一のYouTubeというと,我々団ものがあったはずだ。今回のはプロの手が入ったのか,標準的できれいな仕上げになっておりたいへん見やすい。

2007年春の東京都知事選における外山恒一の政見放送は生テレビで見て,いたく感動したのを覚えている。これまでも,東郷健とかありましたが,外山のそれは群を抜いた仕上がりだった。彼の新しいYouTubeチャンネルではその制作裏話を聞くことができた。

(1) あの原稿は,外山が最初に鹿児島県隼人町議会議員選挙に立候補したときに原付街宣用に制作したもので,ほとんどその内容が都知事選で使われることになった。
(2) 都知事選でその原稿を政見放送に使うということは,当初は考えていなかったが後で思いついたことだった。
(3) 原稿の読み方は,カラオケボックスで一文一文周到に吟味しながら,もっとも笑える表現をつなぎあわせたものだった。ものすごい回数練習している。
(4) 政見放送の収録は,NHKと民放1社(2007年はテレビ朝日)の2つ行われ,それぞれ放送される。NHKバージョンとテレビ朝日バージョンは微妙に違うところがある。
(5) 両バージョンの前に東京で行った選挙出馬を模索する集会で試行版のVHSビデオを放映している。それによってようやく供託金の目処がつき始めた。
(6) 政見放送のインパクトは大きかったが,これによって彼の狙っていた対話が拡がることはなかった。ミーハーが集まっただけ。しかし後の教養強化合宿には繋がっていく。

久しぶりに,教養強化合宿の募集案内を眺めていた。過去の学生さん達の体験記が沢山掲載されていて,それらを眺めているとなんだか懐かしい気持ちになってくる。9泊10日正味8日×8時間=64時間講義(+2-3時間/日のメディア視聴)のテキストは,外山恒一『マルクス主義入門』,立花隆の『中核vs革マル』(上),笠井潔の『ユートピアの冒険』,絓秀実の『1968年』である。

外山恒一の政見放送におけるあのような表現が公共の電波に乗せられることが,日本の民主主義の健全性の現れだという言説がよくみられる。ファシストを自称する外山恒一にいわせれば,それはまったく逆だ。今や,日本では選挙制度の中(内側)でしか自由な言論や表現は保障されていない。日常的な活動においてある特定の組織がちょっとビラ撒きをしただけで,選択的に検挙される時代だ。もちろん選挙演説で外からやじるだけでも警察権力によって排除されてしまうのだ。

2024年2月24日土曜日

東京株式市場

2024年2月21日,東京株式市場で日経平均株価が 39,098.68円(終値)となって,1989年12月29日に記録したこれまでの最高値 38,915.87円(終値) を34年ぶりに更新した。翌日の日経朝刊の一面はたいへん興奮した紙面になっていた。

さっそく,Geminiにおうかがいをたててみた(太字はGemini自身による強調部分)。

Q(koshi):東京株式市場での株価指標が最高値を記録しましたが,同じ期間で他国では株価指標が数倍から十数倍になっています。現在の日本の経済は必ずしも社会の全ての階層にとってプラスの方向にあるとはみえません。今後の日本社会はどのようになるでしょうか。

A(Gemini):東京株式市場の株価指標が最高値を更新している一方で、他国の株価指標との比較で、日本の経済状況が必ずしも全ての階層にとってプラスの方向にあるとは言い切れない状況ですね。確かに、一部の指標は過去最高値を更新していますが、日本社会全体が豊かになっているとは言い難い現状は、多くの方が感じていることでしょう。

 今後、日本社会がどのように変化していくのか、いくつかの観点から考察してみましょう。

 1. 人口減少と高齢化社会

 日本は世界でもトップクラスの人口減少と高齢化社会に直面しており、労働力人口の減少は経済成長の大きな阻害要因となります。このまま何も対策を講じなければ、社会保障制度の崩壊や経済の停滞など、様々な問題が発生する可能性が高いです。

 2. イノベーションの加速

 一方、AIやロボットなどの技術革新は、労働力不足を補うだけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。これらの技術を積極的に活用することで、日本の経済活性化に繋がる可能性があります。

 3. 格差拡大

 近年、日本社会では所得格差や富の格差が拡大しており、社会の不安定化を招く懸念があります。格差拡大を抑制するためには、教育や社会保障制度の改革など、様々な取り組みが必要となります。

 4. グローバル化

 グローバル化が進む現代において、日本は国際社会における競争力を強化していく必要があります。そのためには、規制緩和や外国企業の誘致など、経済活性化に向けた政策が必要となります。

 5. 地方創生

 人口減少が進む地方では、地域経済の活性化が喫緊の課題となっています。地方創生に向けた取り組みとしては、観光業の振興や新規事業の創出などが挙げられます。

 これらの課題を克服し、持続可能な社会を実現するためには、政府、企業、そして国民が一体となって取り組んでいくことが必要不可欠です。

 今後の日本社会は、様々な課題を乗り越え、より良い方向へ変化していく可能性を秘めています。

 以下、いくつかの可能性を挙げます。

・AIやロボットなどの技術革新により、労働力不足を補い、経済成長を実現する。
・格差拡大を抑制し、全ての人が豊かさを享受できる社会を目指す。
・国際社会における競争力を強化し、世界に貢献する国となる。
・地方創生により、地方と都市の格差を縮小し、活気ある地域社会を実現する。
 これらの課題は決して簡単ではありませんが、解決に向けて努力することで、より良い未来を築くことが可能となるでしょう。

 未来は私たちの手で創り出すものです。

 一人一人が積極的に社会に関心を持ち、行動していくことが、日本社会の未来を形作る重要な鍵となるのです。

昔,眉村卓の短編SFで,インチキ未来予測師の話があったような気がする。本棚を探しても見つからない。未来が予測できますという触れ込みで,核戦争で世界が終るというニセビデオを見せる商売をしているうちに,社会全体にその意識が浸透してしまい,本物の核戦争が到来しそうになるというものだ。もしかすると著者名も概要も若干?間違っているかもしれないのだが,自分の記憶の中ではそのように格納されている。

なにをいいたいかというと,上のGeminiの回答における太字の調子がそれを想起させてしまったということ。みんながAIに頼るようになると,自分たちの無意識の集合が危険なフィードバックループを作ってしまうかもしれないということ。テレビや週刊誌などのマスメディアやSNSなどのネットメディアだってそれに負けない作用をしているのだろうが,必ずしも具体的で十分な検証はされていないような気がする。

2023年7月10日月曜日

エアレボルーション

最近お薦めに上がってきたエアレボルーションは,島田雅彦(1961-)と白井聡(1977-)とジョー横溝(1968-)が毎週ゲストを招いて対談するチャンネルだ。

長い対談が月額770円で週3回配信されるが,そのうち前半の40分から120分ほど無料で公開されている。外山恒一,鈴木涼美,柄谷行人,鈴木エイト他,多彩なゲストが続いている。無料分だけを見ているが,1月に配信されていた金平茂紀(1953-)の回がおもしろかった。

金平さんは昨年秋まで報道特集のキャスターをしていて,ときどきみていたが,ソ連崩壊の1991-1994までJNNのモスクワ支局長として派遣されていた。島田雅彦は東京外国語大学のロシア語科出身で,白井聡は研究テーマがレーニン主義,社会思想,政治学だ。このベストメンバーがウクライナ=ロシア戦争について語っていた。

金平さんはこの正月に1週間ほどモスクワに観光客として旧知の人を訪ねており,現在のモスクワの様子を伝えていた。我々が目にする耳にするのは,西側のフィルターを通過して,日本のマスコミによって増幅された大政翼賛会的な情報だけなので,新鮮なものがあった。

ロシアは見かけ上ほとんど疲弊しておらず,このままだとウクライナ戦争がベトナム戦争化しそうだとのことだ。アメリカがクラスター爆弾を提供するというのも日本のテレビではシラッと何も問題がないかのように伝えられている。

昨年2月に始まったウクライナ戦争と7月の安倍首相殺人事件を奇貨として,防衛費が倍増され南西諸島へのミサイル配備が進むということになってしまった。

2023年7月9日日曜日

警告メッセージ

7月7日七夕に遭遇した怖い話。

Blogspot(google)から警告がとどいた。最初は,投稿したページになにやら警告マークが出てきて何が何だかよくわからずに焦った。ログアウトして再アクセスしてみると,警告付ではあるもののワンクッションおけば一応は見える最低限のレベルものだった。

YouTube(これもgoogleだ)で収益化できなくなった哲学系ユーチューバ−じゅんちゃんが遭遇した理不尽な話などを散々聞いていたので,これはまずいことになったと思った。あらためて自分の記事を読み返してみて,話題のイーロンマスクとTwitterの話がまずかったのか,最後のBlueskyの招待枠の話がまずかったのか,表現に過激なところがあったのか,誰かに刺されたのか・・・わからない。気になるところをすべて無難なものに修正して再投稿したが,同じ警告がついてしまった。がーん。

少し頭を冷やしていると,googleアカウントにBlogspot運営側からメールが届いていたのに気がついた。引用すると次のようなものだった。
 ご存知のこととは存じますが、Blogger のコミュニティ ガイドライン では、Blogger で許可されるコンテンツと禁止されているコンテンツについて概説されています。Blogger では、お客様の「 Bluesky(2)」というタイトルの投稿について審査の必要があるとの報告を受けました。審査の結果、この投稿には慎重に扱うべきコンテンツが含まれていると判断し、投稿を閲覧しようとした読者に警告メッセージが表示されるようにいたしました (投稿の URL: 略)。読者がこの投稿とブログを閲覧するには、この警告を承諾する必要があります。

さらに,

お客様のブログ投稿に警告メッセージが表示されるようになった理由:この投稿のコンテンツが、アダルト コンテンツに関する Blogger のポリシーに違反していることが判明いたしました。

 えーっ,それはないわ。修正して再審査を申し込めということだけれど,どこがアダルトなのかさっぱりわからない。さらに熟考してみると,どうやら参考コードのなかの英文字列がやや微妙だったことに気付いた。これを直して再審査を申し込んだがなしのつぶてである。

しかたがないので,新しく微修正版(アルファベット3文字×2箇所修正)を投稿したところ無事にパスした。

教訓:言論や表現の自由は,その手段をAIでブラックボックス化されたビッグビジネスに握られている限り,常に風前のともしびであり,相当なコストを費やすことなしに説明責任など果たされることは期待できない。分散IDと分散SNSの普及が待たれる。

2023年6月21日水曜日

メディアリテラシー教育の原理

法政大学の坂本旬さんが,アメリカの National Association for Media Literacy Education (NAMLE)が出している,Core Principles of Media Literacy (2023) 和訳して紹介していた。

そこで,自分でも試してみる。もちろん下請け(DeepLとかChatGPTとか)に任せるわけだけれど。結局,両者をミックスして人間の手を入れないとだめだった。
1. メディアリテラシーの概念を拡大する。それは全てのメディア形態を含み,意識的なメディアの消費者と創作者を育成するために複数のリテラシーを統合するものである。

2. すべての人が,自分の背景,知識,スキル,信念を用いてメディア体験から意味を創り出すことができる学習者であると想定する。

3. 好奇心,柔軟な思考,自己反省的な探求を優先する教育方法を推進する。ただし,理性,論理,証拠を重視することを踏まえながら。

4. 学習者が,絶えず変化するメディアの風景を通じて体験,創造,共有するメッセージについて,積極的な問い掛け,反省,批判的思考を行うことを奨励する。

5. 学習者に対して,統合的で,学際的で,対話的で,年齢と発達段階に適したスキル向上の機会が継続的に必要であるようにする。

6. 個々の人々がメディアを作成し共有する際に多くの倫理的責任を果たす,参加型のメディア文化の発展を支援する。

7. メディア機関は社会化,商業,変化の担い手として機能する文化的および商業的な存在であると認識する。

8. 公共の福祉のための健全なメディア環境は,メディアおよび技術関連企業,政府,市民間での共有の責任であると主張する。

9. メディア産業の社会における役割についての批判的な探求を重視する。メディア産業が,権力の仕組みにどのように影響を与え,また影響を受けているかを含め,公平性,包括性,社会正義,持続可能性に影響を与えるものだから。

10. 個人が,民主主義社会の中で,情報を得,反省し,関与し,社会的責任を負う参加者となるよう支援する。




2023年6月8日木曜日

会話行動に関する調査


シンセティック・メディアについて考えるための,人の情報環境について考えていた。情報通新メディアの利用時間のデータは見つかったので,対面コミュニケーションの時間のデータがないか探してみた。国立国語研究所日常会話コーパスプロジェクトの中に,「一日の会話行動に関する調査報告(2017)」が見つかった。

243人の調査対象に平日2日,休日1日のすべての会話を記録してもらった結果,1日平均の会話数 12.7回,会話時間長 6.2時間,1回の会話時間 29分という結果になった。会話時間の約6時間というのは,情報通信メディアの利用時間約6時間とほぼ同じであった。


図:一日の平均会話の特徴

会話相手の人数がN人の時,自分の発話割合は,1/(N+1)である仮定する。上記の相手人数の割合の加重平均をとれば,(38.3/2+17.9/3+12.5/4+6.6/5+4.3/6+3.2/7+1.9/8+1.5/9+1.1/10+12.7/20)%=32%となる。
したがって,一日の平均会話時間の1/3の2時間は自分が話し,残りの4時間は相手の話を聞いているということになる。

2023年6月7日水曜日

社会生活基本調査

情報通信メディアの利用時間からの続き

さらに,ブラウズしていたら,社会生活基本調査というものに行き着いた。
社会生活基本調査は,統計法に基づく基幹統計調査として,生活時間の配分や余暇時間における主な活動(学習・自己啓発・訓練,ボランティア活動,スポーツ,趣味・娯楽及び旅行・行楽)を調査し,国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として5年ごとに実施しています。

というもので,直近は令和3年(2021年)版だ。詳細行動分類による生活時間に関する結果が昨年の12月に公表されている。ここにスマートフォン・パソコンの使用時間があった。使用者率が65%,平均使用時間(使用者についての)が4.29時間である。この調査は,10歳から75歳以上を対象としているため,情報通信メディアの利用時間(6時間)に比べれば,値が小さくなるのはしかたがない。14歳以下や65歳以上をのぞけば,使用者率78.9%,平均使用時間4.89時間程度にはなるので,6時間にはとどかないがまあ同じオーダにはなっている。

使用者率が78.9%というのは低すぎるような気がするのだけれど・・・。


図:令和3年度社会生活基本調査から


2023年6月6日火曜日

情報通信メディアの利用時間

シンセティック・メディア(2)からの続き

視聴覚メディアからの影響と実体験や対面コミュニケーションによる影響を考えるための基本情報は何かと考えた。とりあえず,視聴覚メディアに接している時間ならばデータがあるかもしれないと思って,調べたところ,総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」というのが見つかった。

とりあえず分かったことは次の通り。
(1) 対象は,全国の125地点の13歳から69歳までの1500人
(2) メディア視聴時間の合計は平均6時間程度であり,年代とともに微増するがほぼ一定
(3) 一日平均のTV(リアル+録画)視聴時間は3時間,ネット視聴時間も3時間(1 : 1)
(4) 20代の場合は,TV視聴時間が1.5時間,ネット視聴時間が4.5時間(1 : 3)

睡眠時間や自分だけの時間の和が12時間とすれば,他者とともにある時間が6時間,メディア視聴時間が6時間という配分になる。他者とともにある時間のうちコミュニケーションに費やされるのがどのくらいかは,人によってかなり違うだろうし,測定も難しそうに思える(ノンバーバルコミュニケーションとかやぎさん郵便状態をどうやって評価するのだろう)。


図:年代別のメディア視聴時間(縦軸 分,横軸 ×10代)

追伸:総務省のICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会資料
各セグメントにおけるメディアの利用状況に関する調査」にもネットメディア接触時間のデータがある。全体平均では200分であり,上記の結果と矛盾しないが,10代では450-500分となっていて,図の結果とはかなり様子が違う。

2023年6月5日月曜日

シンセティック・メディア(2)

 シンセティック・メディア(1)からの続き

シンセティック・メディアが普及すると,世界の様々な事象の真偽が不確実になる。とはいうものの,今だって状況はそれほどかわらないかもしれない。(1) 商業的なマスコミュニケーションの登場(新聞?雑誌?テレビ?)により,大衆迎合的な偏向が生じていること。(2) インターネットの登場(SNS?)により,情報発信の閾が下がるとともに,政治的な宣伝工作等も要因とするネトウヨ的言説の拡散がエコーチェンバーで増幅されること。などなど。

人は,家庭や周囲の人々との対話,学校や職場での組織における活動,マスメディア等を通じた報道や文化の情報伝達によって,世界認識の枠組みが形成される。そのうち実体験や対面のコミュニケーションではない,視聴覚メディアを媒介する寄与分はどの程度だと推定されるのだろうか。この視聴覚メディアの媒介する部分を,シンセティック・メディアが覆いはじめることになる。

その視聴覚メディアについて,大学に入ってからの自分で考えてみる。1972年から1997年までは,新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・本が情報源だった。1997年以降はメーリングリスト・ネットニュース(fj)・ウェブから始まり今では,ブログ・ネット記事・YouTubeが主要な情報源になっている。紙でできた本や雑誌はほとんど買わなくなってしまった。2022年以降は,それらがさらに,AIに媒介されるテキスト,シンセティック・メディアに媒介される情報に置き換わることになる。

そのような環境の中で育つとき,ものごとの真偽を判定する能力を獲得することが可能なのだろうか。これは,結局フランシス・ベーコンの4つのイドラの話にまで戻るということなのか。


図:人間を形成する情報はどこからくるのか

2023年6月4日日曜日

シンセティック・メディア(1)

昨日,国立情報学研究所のオープンハウス(6/2-6/3)の様子がYouTubeで中継されていた。生成系AIの話題にはそれほど目新しいものはなかったが,後半の「フェイクメディア研究の最前線」が印象的だった。

AIの普及で当面大きな問題になるのは,レポートの代筆でも,著作権侵害でも,機密情報漏洩でもなく,シンセティック・メディアかもしれない。シンセティック・メディアの定義は次のようなものだった。
シンセティック・メディアとは、リアルな音声付き動画をAIによって作り出す動画合成技術である。事前に用意したテキストと人(映像、音声)のデータからAIが学習し、その人が本当に話しているような動画の生成が可能である。

深層学習に基づく生成系AIブームのはじまりは,OpenAIのDALL-Eだったけれど,半年前のChatGPT(2ヶ月半前のGPT-4)の登場によって話題は,対話型文書生成AIのほうに集中してしまった。そうこうしているうちに,並行して,AIによるリアルタイムボイスチェンジャーが我々の手元にまできている。

AI革命の第1段階である対話型文書生成AIの応用範囲と実用性は非常に高い。オフィスワークの中で,単純作業よりはむしろデータ分析やクリエーションなどの高い技術を必要とされる分野でのインパクトが大きい。対話型文書生成AIは, (1) 自然言語によるUIインターフェイスを提供するものであることが,プラグインの登場によりますます明らかになると同時に,(2) 汎用的なテキスト処理ツール としての役割が認識され,企業にはすでに浸透しはじめている。

第2段階が,対話型文書生成AIのマルチモーダル化であり(GPT-4は既に実現しているのかもしれないが),その進化系としてのシンセティック・メディアの普及になる。NHKのAIによる音声ニュースが,2018年からはじまった中国の新華通訊社のAIアナウンサーに追いつくのはいつのことだろう。ChatGPTで議論されていることの多くが,MR環境のもとでシンセティック・メディアに進化することになるのだろうか?AppleのWWDCで高くて無駄に高機能だといわれるゴーグルが発表されるのも間近らしいけど。

2019年にNHKのAI美空ひばりが一時話題になったとはいえ,シンセティック・メディアの話題はいまのところ,フェイクニュースが中心となっている。さきほどあげた国立情報学研究所のYouTubeでも,フェイク映像をディープラーニングによってどうやって見破るかという話が中心だった。

2023年5月19日金曜日

生成 AI と報道

5月17日に日本新聞協会が,「生成 AI による報道コンテンツ利用をめぐる見解」を公表した。新聞協会とはいうものの,新聞社だけではなく放送局や通信社も構成社に含まれている。定款によれば,「新聞、通信および放送の倫理水準の向上に資する事業を行い、共通の利益を擁護することにより、健全な民主主義の発展に寄与することを目的とする」とのこと。

生成AIに関する見解は次の項目から成り立っている。
(1)生成 AI による報道コンテンツ利用をめぐる見解
(2)言論空間の混乱と社会の動揺
(3)個人情報保護上の懸念
(4)現行著作権法や法改正に至る過程の問題点
(5)報道機関の著作物等をめぐる課題
(6)不透明な運用実態、権利者への不十分な情報開示
結論は「権利者の権利の実効性を確保するためにも、 AI による報道コンテンツの無断・無秩序な利用が既成事実化される前に、政府等により 適切な対応が検討されることを強く望む」だった。

言論空間が混乱しているというか疲弊しているのは,十分は取材力や批判力を喪失し,安易にインターネット空間上の情報に依存しながら,肝腎の権力批判は避けながら思い込みでストーリーを組み立てている既存メディア"ジャーナリスト"の側に真の原因があるようにも思う。

著作権法の成立過程に,あまり正当でない言いがかりをつけているのはどうかと思うが,国産検索エンジンだけのためにこの項が設けられたわけではない。
著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
政府や行政や企業の発表を端末に入力しながら質問もせずにまとめて報じるのは生成AIにまかせて,その先の地に足のついた取材が必要だと誰かが言っていた。


2023年5月1日月曜日

ChatGPTの認知度

4月に入ると毎日のように生成系AIのニュースが新聞やテレビで流れている。テレビ東京がサム・アルトマンの独占インタビューを最初に流したのを別にすれば,玉石混交というかあいかわらずネットからつまみ食いしてフィルターをかけたものばかりだ。

3月中旬のGPT-4が登場した頃の各種調査では,2/3が知らない,1/4は聞いたことがあり,1割弱が使っているというような傾向だった。そこで,先週(4/17)の3回生中心の授業の際に生成AIに関するアンケートをMoodleのアンケートシステムを使って実施してみた。

ところで,学生さん達の情報源は新聞でもテレビでもなかった。それを伝えるネット上のニュース記事やSNSのようだ。各分野の専門家やブロガーのネット上の記事を大手マスコミの記者がとりあげてマスメディアのニュースにする。それがネット上のニュース記事となって拡散していくというルートができあがっているような気がする。

さて「ChatGPT/Bing chatのような最近のAI対話システムを知っていますか」という問いに対して,結果は,聞いたことがないが1/6弱,聞いたことはあるが使ったことはないが2/3強,使ったことがあるが1/6という結果になった。


図:ChatGPT認知度アンケートの結果

なお,問2では,画像生成AIについても聞いているが,こちらのほうは,聞いたことがないと聞いたことはあるが使ったことはないが半々だった。また,DeepLやGrammeryは半数以上が使ったことがあるかよく使っている。

なお,生成AIの教育利用の問題点としては,次のような認識だった。
(1) レポートや課題を自分の代わりに書かせてしまえること。 6
(4) ニセの情報や不正確な情報が正しいとして拡散すること。 6
(3) 個人情報や組織情報等をうっかりと提供してしまうこと。 4
(5) 特定の考え方に無意識に染まってしまう危険があること。 1
(2) AIとの対話にはまってしまいひきこもりが発生すること。 0

 まあこんなものかもしれない。

2023年1月12日木曜日

量子の冬 

いつものことだけれど,日経は美味しいトピックが見つかると,正月からぶっ込んでくる。今回のそれは,量子コンピュータだ。

1月3日のルイ・ビトン=草間彌生につつまれた日経朝刊の第一面トップ記事が,量子計算機と「富岳」連携 理研実用化25年に前倒し だった。スーパーコンピュータ富岳と理研の量子コンピュータのハイブリッドシステムを和光市の理化学研究所キャンパスに設置するらしい。「ハイブリッド型量子計算機」は世界の潮流になっていると煽っている。

arxivで調べても,hybrid quantum computing をタイトルに持つ論文は16編(全フィールドでも42編)しか見つからないんですけど・・・。富士通の2022年11月のプレスリリースを読んでみた。単に量子化学計算の所与の問題からHPC向けアルゴリズムと量子アルゴリズムのプログラムを生成して,適当に振り分けて使うだけのシステムに過ぎないように見える。8086に8087を付加して数値計算の高速化を図るというようなイメージでまったくない。

量子コンピュータの研究が中国や米国や欧州などで,日本を大きくしのぐ水準で進められているのは確かだとしても,追いつけ追い越せのためにありもしない幻想を振りまいて煽るのは道かと思う。もちろん,これは日経新聞などメディアだけの責任ではなく,怪しげな旗を振っている経済産業省や文部科学省にも問題があると思う。

こうなると,逆張りする人々も現れる。2022年12月に,CNET Japannでは,量子コンピューティングの今--「量子の冬」への警戒と実用化に向けた着実な進化という記事が出ていた。最もここで取り上げていたのは,YouTubeでお馴染の物理学者,あのSabine Hossenfelder なので,これはこれで適当に割り引いて見ておく必要がある。どっちもどっちでなんだかなぁ案件。


図:Image of Quantum Winter by DiffusionBee

[1]The Quantum Hype Bubble is About to Burst(Sabine Hossenfelder)

2023年1月6日金曜日

新聞も消える

本屋が消えるからの続き

本屋の話題では,比較のため新聞発行部数のグラフを示した。12月に日本新聞協会が最新データを出したことでこれがまた記事になっていた。例えば,「1年で200万部減「新聞離れ」は止まらず 「一般紙」は15年後に消える勢い」などだ。

外岡秀俊(1953-2021)は同じ1953年生まれだ。札幌南高校から東大法学部に進み朝日新聞に入社した。在学中に書いた北帰行は石川啄木をテーマとした小説で文藝賞を受賞した。出版早々に読了して強い印象を受けた小説だ。てっきり彼は作家の道へ進むのものと思ったところ,朝日新聞に入社して編集局長までなったことに二度驚いたものだ。

彼が残した最後の論考が,「敗因」から探る新聞の未来,縮小か大胆なDXで再生か(Journalism 2022年1月号)だ。そこで指摘されていたのは日本の新聞社の敗因だ。それは,成功体験からの脱却ができなかったということにつきる。2000年に入ってからのDXに転換する最後のチャンス(当時はDXというキーワードはなかった)をみすみすと逃してしまった。

新聞やテレビの報道機能が縮小していくとして(すでにジャーナリズムの崩壊は進んでいる),外岡秀俊が最後に述べていたメディアの機能は誰がどのようにして維持していくのだろうか。あるいは民主主義が既存メディアと一蓮托生で終焉を迎えるのかもしれない。
SNSの時代が,この先どう変容するか,予見することはできない。だが,埋もれた事実を果断・公正に報道し,誤りがあればお詫(わ)びと訂正を出して品質を担保し,分断の時代に広い言論のフォーラムを提供するというこれまでのメディアの機能と役割は,どのような時代でも,欠かせない民主主義のインフラであり続けるだろう。


図:日本新聞協会のデータから(亀松太郎氏の作図を引用)