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2024年11月13日水曜日

月面上の重力

月面上の重力加速度 gm は,地表面上の重力加速度 g の六分の一である。ロケットや人工衛星が開発される前の観測事実からこれを導けるかという話をみかけた。

次のような前提で考えてみよう。
ケプラーの第三法則とニュートンの万有引力の法則運動の法則は既知である。
・地球と月の距離  D 三角測量によってわかっている。
・地球の半径 R と月の半径 r は緯度観測と三角測量からわかっている。
(直接不要だが,地球質量 M ,月質量 m ,万有引力定数を  G とする。)

まず,g=GMR2,gm=Gmr3,gmg=mM(Rr)2 が成り立つ。

また,地球−月系における万有引力の法則とケプラーの法則からは次式が得られる。
μD(2πT)2=GmMD2
ただし,μ =m1+m/M は月の換算質量, T は月の公転周期である。
したがって,(2πT)2=GM(1+m/M)D3=gR2(1+m/M)D3

この式に,T=27.32 d,g=9.81 m/s2,R=6.37106 m,D=3.844108 mを代入すると,m/M=0.0111を得る(ちょっと足りないか,現在わかっている質量を入れると,m/M=7.351022 kg/5.971024 kg=0.0123 である)。

この質量比の値と,地球と月の半径の比の値がわかれば,重力加速度の比が求まる。地球から月までの距離  D  を三角測量で求めたり,月の直径  2r を逆三角測量で与えるためには,月の直径 2r=3470 kmと,地球から月の距離 D=384400 kmの比率の逆正接の値が必要となるが,その角度は 約 0.5度である。



図:月までの距離の三角測量(参考文献 [2]からの引用)




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