2024年5月23日木曜日

宇宙天気予報

太陽フレアからの続き

宇宙天気予報から,大規模太陽フレアに関する臨時情報が出されていた。5月8日から11日までに,最も大きなXクラスの太陽フレアが8回生じたというものだ。これによって,低緯度地方でもオーロラが観測されることになる。日本でも,5月11日10:23の最大規模X5.8の太陽フレアによって,夜23:30ごろに北海道や輪島で低緯度オーロラが見られた。

太陽表面の爆発現象によって,数分から数時間のスケールで多波長(電波〜X線・ガンマ線)の増光現象が起こる。これが太陽フレアであり,これにともなって,高エネルギー陽子やプラズマが太陽嵐として放出され,地球磁場に影響を及ぼすことになる。その結果が低緯度オーロラである。

太陽フレアは,太陽領域のプラズマ中の磁場が再結合(磁気リコネクション)することによって,磁場のエネルギーが荷電粒子の運動エネルギーに転化することで生ずる。そのエネルギーは,10^22〜10^25 Jである。事象継続時間の10^3〜10^4秒で割れば,10^19〜10^21 W のパワーが発生していることになる。

これを太陽から1.5億kmの距離にある地球軌道上でみると,パワー密度は,0.5〜50×10^-4 W/m^2 となる。太陽フレアのエネルギー等級としてよく用いられるのは,波長 100-800 pmのX線のエネルギー流束であり,これが10^-4 W/m^2 を越えるものが Xクラスということになる。X5.8は 大気圏外の観測点のパワー密度が5.8×10^-4 W/m^2 になるということだ。


図:人工衛星GOES(米国NOAA)によって観測された太陽X線強度

0 件のコメント: