N個の粒子系の全エネルギーをEとする。i番目の箱には,gi個の区別できる状態があり,1粒子エネルギーuiを持つni個の粒子がこれらの状態に配置されている。ただし,i=(1,...,M)とする。各粒子は区別できるとして,gi個の状態には粒子がいくつでも入ることができる。このエネルギー分配の場合の数W(W自身は非常に大きな数なので,その対数logWで考える)が最大になるのはどのような粒子配置{ni/gi}のときかという問題を考える。この条件を式で表すと,
δlogW=M∑i=1∂logW∂niδni=0, M∑i=1ni=N (M∑i=1δni=0), M∑i=1uini=E (M∑i=1uiδni=0)
1番目の箱にN個の粒子から取り出したn1個の粒子を入れて,g1個の状態に配置する場合の数は,W1=CNn1gn11である。続いて,2番目の箱に残りのN−n1個の粒子から取り出したn2個の粒子を入れて,g2個の状態に配置する場合の数は,W2=CN−n1n2gn22となる。従って,i番目の箱giにni個の粒子を入れて配置する場合の数は,Wi=CN−∑i−1k=1nknigniiとなる。これを続けると,最終的な場合の数は,各箱の場合の数Wiの積で,W=∏Mi=1Wi=N!gn11gn22⋯gnMMn1!n2!⋯nM!となる。
自然数nの階乗n!の対数logn!についてのスターリングの公式は,n!=nlogn−n (n≫1)であるから,これを用いて logWを表すと,logW=NlogN−N+∑Mi=1(niloggi−nilogni−ni)。そこで,δlogni=1niδniを用いると,δlogW=∑Mi=1(loggi−logni) δniとなる。
ところで,niは独立ではなくて制約条件がついている。これを簡単に処理するためにラグランジュの未定乗数法を用いれば,niを独立変数のように扱うことができる。αとβを,それぞれ粒子数一定,エネルギー一定の制約条件に対応する2つの未定乗数として,
δ{logW+α(N−∑Mi=1ni)+β(E−∑Mi=1uini)}=0, ∑Mi=1(loggi−logni−α−βui)δni=0。δniは独立にとってよいので,loggi−logni−α−βui=0であり,ni=gie−αe−βuiとなる。
ここで,状態の占有率fiは,fi=nigi=1eα+βuiとなる。このα, βは,統計力学的なエントロピーと熱力学的なエントロピーの関係式から定まる。すなわち,S=kBlogW,dS=kB dlogW=kB∑Mi=1logginidni=kB∑Mi=1(α+βui)dni
∴dS=kB(αdN+βdU)=−μdNT+dUTから,α=−μkBT, β=1kBTであり,fi=e−ui−μkBTとなる。
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