Loading [MathJax]/jax/output/CommonHTML/jax.js

2021年11月3日水曜日

平均自由行程(3)

平均自由行程(2)からの続き

2種類の気体分子A(密度ρA,質量  mA,速度 vA)と気体分子B(密度ρB,質量mB,速度 vB)からなる温度Tの気体中の分子の平均自由行程を考える。両分子の衝突断面積をσABとし,それぞれはマクスウエル分布FA(vA), FB(vB)に従って運動しているとする。

つまり,単位体積中で,速度vKvK+dvKにあるK種の分子の数は,dnK=ρKF(vK)dvK=ρK(mK2πkBT)3/2exp(mKv2K2kBT)dvKとなる。

そこで,上記の速度空間にある分子の衝突回数は,相対速度をu=vAvBとして,dZAB=σAB|u|dnAdnBとなる。そこで,単位体積,単位時間当たりの全衝突回数は,ZAB=dnAdnB σAB|u|となる。

次に,衝突する各分子の速度vA, vBを相対速度uと重心速度Vで表す。重心速度は,V=mAvA+mBvBmA+mB=mAvA+mBvBMであり,vA=V+mBMu, vB=VmAMuとなる。ただし衝突する2分子の全質量は,M=mA+mBであり,換算質量 をμ=mAmBMとする。

このとき,速度空間での積分は,dvAdvB=dVduであり,衝突する2分子の運動エネルギーの和も重心運動と相対運動に分離される,12(mAv2A+mBv2B)=12(MV2+μu2)

そこで,単位体積・単位時間当たりの2種の分子の全衝突回数を,重心・相対座標で表すと,zAB=ρAρBσAB(mA2πkBTmB2πkBT)3/2dVdu|u|exp(MV22kBT)exp(μu22kBT)=ρAρBσAB(M2πkBT)3/2dVexp(μV22kBT)(μ2πkBT)3/2du|u|exp(μu22kBT) となる。

zAB=ρAρBσAB(μ2πkBT)3/24π0u3exp(μu22kBT)du=ρAρBσAB8kBTμπ

そこで,ある1つのA分子がB分子と単位時間に衝突する回数は,zA(B)=nBσAB8kBTπμ

また,A分子=B分子として,ある1つのA分子が他のA分子と単位時間に衝突する回数は,換算質量が μ=mA/2となって,zA=ρAσAA16kBTπmA=ρAσAA2(2π2kBTmA)=ρAσAA2vA

したがって,平均自由行程はλ=vAzA=12ρAσAAとなり,2が現れる。


0 件のコメント: