2021年2月8日月曜日

角運動量代数(2)

角運動量代数(1)からの続き

Mathematicaの関数には,かなり昔からClebshGordan係数が含まれていた。さすがに素粒子物理を専攻していたウルフラムだと思った。Mathematicaには次の関数が実装されている。

ClebschGordan[{j1,m1},{j2,m2},{j,m}] |jm〉から|j1m1〉|j2m2〉への分解に対する,クレプシュ・ゴルダン係数を与える。
ThreeJSymbol[{j1,m1},{j2,m2},{j3,m3}] ウィグナーの3-jシンボルの値を与える(m1+m2+m3=0)。
SixJSymbol[{j1,j2,j3},{j4,j5,j6}] ラカーの6-jシンボルの値を与える。

Juliaではどうかというと,WingerSymbols.jlというパッケージがあり,以下の関数が使える。
wigner3j(j1,j2,j3,m1,m2,m3=-m1-m2),wigner6j(j1,j2,j3,j4,j5,j6),clebschgordan(j1,m2,j2,m2,j3,m3=m1+m2), racahV(j1,m2,j2,m2,j3,m3=-m1-m2),racahW(j1,j2,J,j3,J12,J23)

いずれにせよ9-j symbolは実装されていないのだった。一方,PythonのSymPyにあるWignerSymbolsには,Wigner 3-j,6-j,9-j,Clebsch-Gordan係数,Racah係数,Gaunt係数が含まれている。Gaunt係数という名前は知らなかったが,換算行列要素の形では頻出する係数だ。それより,JuliaのWignerFamilies.jlというパッケージで,3-j Symbolの配列が計算されてグラフ化されているのが印象的だった。 

using WignerFamilies
# wigner3j for all j fixing j2=100, j3=60, m2=70, m3=-55, m1=-m2-m3
w3j = wigner3j_f(100, 60, 70, -55)
js = collect(eachindex(w3j))
plot(js, w3j.symbols)


図 f(j) = w3j(j,100,60,-15,70,55) (JuliaPackageから引用)


2021年2月7日日曜日

角運動量代数(1)

大学院への進学が決まって,森田正人先生に最初に宿題として出されたのが,Roseの「角運動量の基礎理論(みすず書房)」 を読んでおくことだった。「Clebsh-Gordan係数の一般式を導出する必要がありますか」という質問に対する答えは,「まあできれば・・・」というようなものだったので,できなくてもよいと勝手に解釈してそこはサボることにした。

当時のベータ崩壊やミューオン捕獲の角度相関係数の計算や軽い核の原子核殻模型の計算には,Racah係数やWinger Symbols(3-j係数,6-j係数,9-j係数)が不可避であり,毎日のように戯れていた。

Fortranで自作したプログラムは,整数の階乗や二項係数を予め配列に保存しておいて,COMMON文で必要な関数で呼び出すという古典的な手法を使っていた。弱い相互作用の低エネルギー過程では,原子核反応などと違って,中間状態を含めてもあまり大きな角運動量が登場しないので,それでなんとかなっていた。

1998年のL. Weiの論文,"New formula for 9-j symbols and their direct calculation" (Computers in Physics, Vol. 12, No. 6, 632-634)では,この9-j symbolを高速に計算するアルゴリズムがあるということで読んでみた。なんのことはない,自分が1980年代に作ったコードとまったく同じ方法でしかなかった。6-j symbolの積和の表式を二項係数にまで落とし込んだだけなのだ。

2021年2月6日土曜日

インターネット白書アーカイブズ

 インターネット白書は,インプレスが1996年から発行している年鑑であり,2020年度版で25周年を迎える。

「インターネット白書」は1996年の創刊以来、日本のインターネットの成長や変化を毎年まとめてきたインターネットの書籍年鑑です。内容構成にあたっては、一般財団法人インターネット協会監修のもと専門家による寄稿と、市場動向調査により構成されてきました。現在は、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)も加わり、3団体の協力のもと、「The Internet for Everything」というキャッチフレーズを掲げて、より広範なインターネットの可能性をレポートしています。

これまでのインターネット白書の記事のデジタルデータが,インターネット白書ARCHIVESとして公開されている。1996年のVol. 1の「インターネットと教育」という項目は,南山大学の後藤邦夫先生が執筆していた。引き続き1997年のVol. 2 から2002年のVol. 7までの間,私が執筆させていただいた。それ以後は,国際大学GLOCOMの豊福晋平さんなどが2009年頃まで担当していたと思う。

やがて,インターネット白書の中で,学校教育が話題としてとりあげられることもだんだん少なくなってきた。最近(2019年度)は,電通の人がEdTech,STEM,Society 5.0 がらみで儲け話がないかというような記事を書いていた。

2021年2月5日金曜日

PDCAサイクルに回されて(2)

 PDCAサイクルに回されて(1)からの続き

Wikipediaには「PDCA」が流行っているのは日本の特殊事情であると書いてあったので,各国政府の状況と比較してみた。前回と同様,政府関係のドメインで検索される総ページ数の内,PDCAというキーワードを含んだページ数の割合を%単位で求めたものである。

  domain URL  country  google (10^4 p)   +PDCA  ratio1(%)
 1  +site:gov      米 国     115000.0  15,700   0.001
 2  +site:gc.ca   カナダ        861.0       467   0.005
 3  +site:gob.mx  メキシコ      2840.0  15,900   0.056
 4  +site:gov.br  ブラジル     8500.0  15,300   0.018
 5  +site:gov.uk  英 国     7810.0       466   0.001
 6  +site:gouv.fr  フランス    2470.0      422   0.002
 7  +site:gov.it   イタリア       645.0   1,070   0.017
 8  +site:gob.es   スペイン     500.0       542   0.011
 9  +site:gov.ru   ロシア      654.0         83   0.001
10 +site:gov.cn  中 国     2970.0    5,730   0.019
11 +site:gov.tw  台 湾     2830.0    7,490   0.026
12 +site:go.kr    韓 国     3720.0  17,100   0.046
13 +site:gov.ph  フィリピン     921.0    6,620   0.072
14 +site:go.id    インドネシア   4850.0  67,900   0.140
15 +site:gov.in  インド      2440.0    1,180   0.005
16 +site:gov.au  オーストラリア  4790.0       934   0.002
17 +site:go.jp    日 本      4830.0 125,000    0.259

やはり,日本政府は飛び抜けて「PDCA」というキーワードの使用率が高かった。英米豪はきわめて低い。インドネシアとフィリピンを除くアジア各国でも日本よりは1桁小さくなっている。なお,ここでは,前回と同様だが,googleの使用言語を英語に設定した上で,各国の中央政府(州政府を含む)のものと思われるドメインについての検索を行なっている。

政策やプロジェクトが合理的に実施評価されていればわざわざ「PDCA」という言葉を持ち出す必要がない。そうでない場合は,「PDCA」という旗を振って合理的な政策実施を進めたくなるのだろうが,科学的・合理的・客観的な分析と反省への関心・意欲・態度が身体化されていない残念な国では,角運動量保存則で逆に自分が振り回される羽目に陥る旗を振り回そうとあがくことになるのかもしれない。

(注)主要国のうちではドイツが抜けていると思われるかもしれないが,ドイツの連邦政府と地方政府がそれぞれよくわからないドメイン名をバラバラと用いているように見えたために,まとめて投網にかけることができなかった。彼の国のインターネット名前空間はいったいどういう仕組みで構成されているのだろうか。誰か教えて下さい。

2021年2月4日木曜日

PDCAサイクルに回されて(1)

最近, PDCAサイクルでググると上位に出てくるのが,PDCAはもう古いとか,時代おくれだとかいうページである。それはそれで新しいコンサルビジネスの種なのかもしれないけれど,PDCAサイクル的なものには散々振り回され,振り回してきた苦い過去の経験があるので,いずれにせよもう勘弁してほしい。

「PDCA」という言葉がはやっているのは日本だけの特殊事情らしい。そこで,中央省庁のホームページのコンテンツ総ページ数に占める「PDCA」を含むページ数の比をgoogle検索を用いて眺めてみたところ,職員数最小の文部科学省が最悪であることがわかった。次の表を見てもらいたい。

  表 各省における「PDCA」を含むページの比率(google検索 2021.2.4)

  組織名   職員数 総ページ数(万)  +PDCA      比率(%)
 1  日本政府    275,000   5110.0    121,000   0.24
 2  内閣府       14,555       26.1       6,210   2.38
 3  総務省         4,798       70.8       5,220   0.74
 4  法務省       54,614         9.8          275   0.28
 5  外務省         6,351       28.2       2,320   0.82
 6  財務省       72,417         7.9       1,400   1.77
 7  文部科学省       2,150       39.4     12,300   3.12
 8  厚生労働省     33,103     251.0     12,300   0.49
 9  農林水産省     20,471       53.5       3,840   0.72
10  経済産業省      7,982       38.2       8,120   2.13
11  国土交通省     58,680    156.0       9,620   0.62
12  環境省         3,204      44.5       3,980   0.89
13  防衛省       20,924      19.0             274   0.14

文部科学省内閣府経済産業省は「PDCA」がお好きなようである。日本のシステムが壊れていくのが最も顕著に現れている分野を担当していることによる焦りなのだろうか。しかし「PDCA」にしがみついている限り,未来は暗そうな気がする。まあ,旗振りキーワードをIT改めDXにスイッチしても,仏作って魂入れず状態を繰り返すだけかもしれませんが。

なお,google検索は,使用言語を日本語にして,キーワードを +site:xx.go.jp とした件数と,
+site:xx.go.jp "PDCA" で表示される件数を用いている。日々の変動はかなりあるので,再現性をチェックする場合は注意したほうがよいかもしれない。日本政府とあるのはxx.を除いた+site:go.jpである。内閣だけでなく,国会や裁判所等も含まれている。

2021年2月3日水曜日

clubhouse と dabel

 セカイカメラからの続き

Clubhouseという言葉がちらちら聞こえ始めたのは1月の26,7日頃だったろうか。Hさんが1月28日のFacebookで,「話題のClubhouseで、貴重な2枠の「招待」を私に使ってくれるキトクな方がいらっしゃればぜひよろしくお願いします」といってたのをみて,はじめてClubhouseがなにものかを認識した。

Clubhouseは2020年の4月からサービスを開始しているが,アメリカでブレイクしたのは2020年の12月になってからだ。日本では2021年の1月23日にベータ版の運用が開始され,招待枠2名という希少価値が鍵になって急速に拡大しているようだ。

とりあえず,仮登録して名前空間だけは確保したものの,誰か友達を探して招待枠の提供をお願いするのは,引きこもりの自分にはハードルが高すぎて放置している。TwitterやFacebookで様子をみていると,アーリーアダプターの皆様方はどんどん参入しているようだ。

この「オーディオソーシャル」というコンセプトには既視感があると思っていたが,なんのことはない,セカイカメラ井口尊仁さんのダベルじゃないか。2019年の1月にear.lyとしてスタートしたダベルの前身のベイビー(2016)やボール(2017)などもチラチラと見ていたけれど,なかなかブレイクしなかった。そして,残念ながらダベルを差し置いてClubhouseがあっという間に広まってしまった。

音の文化というと,ラジオからポッドキャストだったが,いよいよSNSに移ってきた。テキストと時間差が鍵であるインターネットは,コミュニケーションが苦手だった自分にとってはある種の支援ツールになったが,これがリアルタイム音声コミュニケーションに回帰することによって,再び住みにくい世界に戻ってしまうのかもしれない。立食パーティは苦手なのであった。

[1]トレンドの最新SNS「clubhouse」に感じる違和感(阪本明日香,2021.1.28)
[2]『声のインターネット』がもたらすフラットな世界(井口尊仁,2020.9.16)
[3]Clubhouseだけじゃない。“音声SNS戦争”の行方はいかに?(Wired,2021.1.28)
[4]「Clubhouse」はソーシャルメディアなのだろうか?(遠藤諭,2021.2.3)


図 clubhouseで予約した名前空間の点(2021.1.31)




2021年2月2日火曜日

セカイカメラ

頓智ドット株式会社井口尊仁さんが赤松正行さんとつくったセカイカメラのプレゼンテーションは衝撃的だった。自分がはじめてiPhoneを入手したのは2008年の8月11日である。その約1か月後のTechCrunch50における井口さんの英語でのプレゼンテーションは,何のきっかけでいつ頃見たのかはっきり覚えていないが,爆笑の連続だった。

1年後の2009年9月24日にiPhoneのAppStoreで,Sekai Cameraがダウンロードできるようになったときは,やったーと思ったが・・・実際に使ってみるとそこまででもなかった。それでも,世界が情報ゴミであふれるのではないかとそのころは真剣に心配していた。

結局,当時のARやSNSの状況から,残念なことにセカイカメラは1年半ほどで潰れてしまった。いつかまたなんらかの形で復活してもらいたいものだけれど。井口さんは,その後,ウェラブルデバイスのテレパシージャンパーを作ったけどこれもうまく行かなかった。そして,2014年にはDOKI DOKI Inc. をつくって声のソーシャルを目指すことになる。

clubhouseとdabelに続く

2021年2月1日月曜日

CFR(致命率)(5)

 CFR(致命率)(4)からの続き

前回採用した致命率(CFR)の近似値。「致命率*=死亡数累計(t)/新規感染数累計(t-14)」と定義し,感染報告時に対して死亡報告時には2週間(14日)の遅延があると仮定した値を採用した。今回もこの定義を用いて,最新のデータを再分析してみる。各国の値は累計の効果で収束に向かっているが,優等生だと考えられてきたドイツが増加したのが目についた。東京は日本平均よりも小さいことにも注意したい(大阪は逆に大きい)。武漢と中国は当初の混乱の後にほとんど収束へ向かったために,インフレーションの記憶が凍結された値が残っている。

アジアの致命率*:

武漢 6.6%,中国 4.9%,イラン 4.4%,インドネシア 3.3%,フィリピン 2.1%,韓国 2.0%,香港 1.9%,日本 1.8%,インド 1.5%,東京 1.0%,台湾 0.9%(2021.1.31 現在)


図1 アジアの致命率*(2020.5.1〜2021.1.31

欧米の致命率*:

メキシコ 9.7%,イタリア 3.7%,英国 3.1%,ドイツ 2.8%,フランス 2.7%,ブラジル 2.7%,スペイン 2.6%,ロシア2.1%,米国 1.9%,トルコ 1.1%(2021.1.31 現在)


図2 欧米の致命率* (2020.5.1〜2021.1.31)


2021年1月31日日曜日

YouTube(6)

YouTube(5)からの続き

 例のスクレイパープログラムを動かしてみたところ,登録者数と再生回数の両対数グラフできれいに分離した2つの塊が見えた。おお,これはスゴイ発見をしたのかと思ったが,なんのことはない,単なるプログラムのバクだった。修正すると1つの塊に戻った。

ユーチュラから得られた登録済みランキングデータ(p=1からp=1500まで)のうち,登録者数非公開のものを除いた27,557個のデータについて,両対数グラフで散布図を書いてみた。

図1 YouTubeチャンネルの再生回数 vs 登録者数(2021.1)

図2 YouTubeチャンネルの再生回数/動画数 vs 登録者数/動画数(2021.1)

チャンネル再生回数を$y$,チャンネル登録者数を$x$とすると,次のような回帰式が得られる。
$\displaystyle \log_{10} y = 1.17 \log_{10} x +1.83 \ \rightarrow \ y = 67.6 x^{1.17}$

また,チャンネル再生回数/チェンネル動画数を$\bar{y}$,チャンネル登録者数/チャンネル動画数を$\bar{x}$とすると,次のような回帰式が得られる。
$\displaystyle \log_{10} \bar{y} = 1.00 \log_{10} \bar{x} +2.50 \ \rightarrow \  \bar{y} = 316 \bar{x}$


2021年1月30日土曜日

YouTube(5)

 YouTube(4)からの続き

ユーチュラのランキングからYouTuberの分析をするため,手動のデータスクレイパーをPerlで書いてみた。迷惑にならないように,1秒のsleepを入れながらHTMLファイルにアクセスしている。取得したデータを眺めてみた結果についてはもう少し考えてから報告する予定。

HTMLファイルから必要なデータだけ抜き出したCSVファイルを作るのだけれど,その後はExcelで解析する。面倒なのは,ExcelがUTF-8のCSVファイルを読んでくれないこと。ごちゃごちゃすれば回避できそうだが,それくらいなら事前にShift-JISに変換したほうが早い。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
#!/usr/local/bin/perl
# 1/30/2021 K. Koshigiri
# usage: yutura.pl 1 10
# extract data from p=1 to p=10
# original data = https://ytranking.net/ranking/?p=x

\$ytr = "https://ytranking.net/ranking/";

\$p1=$ARGV[0];
\$p2=$ARGV[1];
\$tmp="tmpy-\$p1-\$p2";
system("touch \$tmp");
\$out = "ytr-\$p1-\$p2.csv";

for(\$p=\$p1; \$p<=\$p2; \$p++) {
#  system("lynx -source \$ytr\?p=\$p | fsp -u >> \$tmp");
#  sleep 1;
print "\$p,\n";
}

open(OUT, ">\$out");
open(IN, "<\$tmp");
while(
) {

  if(/\t<p class="title">(.*)<\/p>\t<aside>/
) {

2021年1月29日金曜日

都道府県人口当たりのCOVID-19(3)

都道府県人口当たりのCOVID-19(2)からの続き

東北大学の大隅典子さんが,感染者に対する死亡率のデータがみつからないとおっしゃっていたので,前回のデータを1月28日版データに更新してみた。確かに宮城県はトップではないにせよ,その値がかなり低く抑えられていた(他の東北諸県と対比させるとよいかも)。

ある時点での死亡数累計/感染数累計は,致命率(CFR)の近似値だと考えられる。以下では直近3ヶ月の累計比(CFR-3m)と全期間の累計比(CFR-total)を,前者の降順に並べてみた。日本全国では,これらの値は1.4%前後であり,アジア各国の値とほぼ同水準である。欧米でも,その値は2-3%程度であり,本質的に大きな違いはないように見える。

一時的に医療崩壊に近い事象が起きているとき,この値は増大するので,第1波や第2波を除く直近3ヶ月では,過去のこの部分を差し引いた現在の状況がわかりやすい。北陸三県や徳島県では過去の死亡数急増時の部分を除けば,現在は相対的に落ち着いていることがわかる。

宮城県を除く東北地方ではそもそもの感染数の絶対値が大きくないので,大阪府,兵庫県,広島県などで高い値を示していることとは違う環境的な原因で"CFR"が大きいのかもしれない。

東京都や沖縄県は人口あたりの感染数や死亡数の人口比は大きな値を示しているが,感染者に対しては適切な処置が施されているの"CFR"は大きくない。


都道府県名 CFR-3m CFR-total
 岩手県  5.77%  5.45%
 北海道  3.38%  3.43%
 山形県  3.05%  2.71%
 福島県  2.76%  2.48%
 兵庫県  2.48%  2.37%
 福井県  2.40%  3.36%
 香川県  2.33%  2.27%
 青森県  2.26%  1.86%
 大阪府  2.16%  2.09%
 広島県  2.11%  1.92%
 熊本県  2.03%  1.79%
 静岡県  1.91%  1.69%
 徳島県  1.83%  3.40%
 長崎県  1.79%  1.70%
 群馬県  1.72%  1.82%
 愛知県  1.67%  1.64%
 岐阜県  1.66%  1.66%
 長野県  1.56%  1.51%
 高知県  1.45%  1.68%
 愛媛県  1.41%  1.86%
 三重県  1.40%  1.36%
 石川県  1.40%  4.01%
 大分県  1.36%  1.43%
 京都府  1.32%  1.37%
 新潟県  1.27%  1.01%
 鳥取県  1.25%  1.01%
 滋賀県  1.25%  1.35%
 栃木県  1.25%  1.11%
 山口県  1.23%  1.18%
 埼玉県  1.21%  1.36%
 奈良県  1.19%  1.24%
和歌山県  1.19%  1.26%
 宮崎県  1.12%  0.95%
 茨城県  1.09%  1.30%
 山梨県  1.02%  1.45%
 千葉県  0.91%  1.06%
神奈川県  0.89%  1.12%
 岡山県  0.82%  0.87%
 沖縄県  0.78%  1.22%
 宮城県  0.75%  0.66%
 福岡県  0.72%  1.12%
 東京都  0.59%  0.87%
 佐賀県  0.58%  0.43%
鹿児島県  0.54%  1.14%
 秋田県  0.52%  0.39%
 富山県  0.23%  3.13%
 島根県  0.00%  0.00%

 全 国  1.34%  1.45%

(情報:NHKまとめ 2021/1/28現在)

2021年1月28日木曜日

YouTube(4)

 YouTube(3)からの続き

NHK夕方の番組シブ5時で,教育系YouTuberの特集をやっていた。ヨビノリたくみさんと,葉一(はいち)さんが取り上げられ,葉一さんがオンラインインタビューに答えていた。たくみさんは,横国大の物理工学から東大工学研究科の沙川研(修士)だが,葉一さんは東京学芸大学の初等数学のひとなのか。コロナ禍にともなうオンライン授業の普及や,GIGAスクール構想の展開などから,教育系YouTuberに注目が集まっている。ただ,それにしては日本の教育系YouTubeのコンテンツはほとんど未開拓だ。まあ,塾・予備校などのクローズドコンテンツはたくさんあるのだろう。

Webhackによれば,教育系YouTuberにもいくつかのカテゴリがある。(1) スキル・教養・ビジネス,(2) 本・書籍の要約,(3) 学生向け,(4) クイズ・脳トレ,(5) 英語・英会話 である。ユーチューブチャンネル登録数順に代表的な教育系ユーチューブを並べてみた。受験メタ知識が中心のものは除外している。大学や教育委員会(細々としたものはあるが)がもっと力を入れてもよいかもしれないが,そういうのはたいていおもしろくないので難しいところ。

1 とある男が授業をしてみた(129万人)

2 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(61万人)

3 授業映像TryIT(47万人)

4 Stardy -河野玄斗の神授業(35万人)

5 PASSLABO in 東大医学部発「朝10分」の受験勉強cafe(25万人)

6 「ただよび」文系チャンネル(18万人)

7 超わかる!授業動画(18万人)

8 鈴木貫太郎(13万人)

9 Historia Mundi(10万人)

10 eboard channel(8万人)

番外 中田敦彦のYouTube大学(351万人)




2021年1月27日水曜日

趣味

 趣味は何ですかと問われて困ることが多い。しばらく前は,「文楽鑑賞」と「読書」だったはずなのだが,コロナの影響で観劇もままならず,かといって読書力が筋力に比例して衰えているため,鉄棒にぶら下がっても1回も懸垂ができないようなざまである。

昨日,YouTubeではどんな内容が多いのか,はたまたYouTubeを教育で利用することができるのかどうかを調べるために,ランキングサイトであるユーチュラのタグをざっとながめていた。趣味でいうと,音楽と鉄道と料理と車とスポーツが目についた程度であり,どうも,まだ見残しがあるような気がしてならない

そもそも世の中の趣味にはどんなものがあるのだろう。ググっていると「趣味探し図鑑」にたどり着いた。しかし,どうもYouTubeにはここにでてくる趣味に該当する大きな集団は(先程の例以外では)見当たらなかった。

さて,その趣味探し図鑑に,60代男性のおすすめ趣味ランキングなるものがあったので,ここに紹介する。うーん,なんだかとても微妙なのだ。趣味の「数学」のランクの高さと,よくわからない「大人の塗り絵」に驚いてしまった(塗り絵会社の宣伝だろう)。10代女性のおすすめとかになると,かなり雰囲気が違うのだけれども,ついていけない感は,60代男性のおすすめの場合と大差はない。

1 ひとり旅
2 楽器演奏
3 ツーリング・バイク
4 歴史
5 大人の塗り絵
6 電子工作○
7 数学○
8 絵画
9 彫刻
10 散歩・ウォーキング○
11 貯金・節約
12 家庭菜園・ベランダ菜園
13 レザークラフト
14 写真・カメラ
15 登山・トレッキング
16 ドライブ
17 プラモデル○
18 パークゴルフ
19 習字・書道
20 漬物づくり
21 ドローン・レース
22 DIY
23 株式投資
24 語学(英語以外)
25 アーチェリー
26 陶芸
27 麻雀
28 天体観測
29 釣り
30 料理
31 筋力トレーニング
32 コーヒー(珈琲)
33 瞑想・座禅
34 蕎麦打ち
35 ガーデニング
36 ゴルフ
37 温泉巡り
38 ペン字
39 読書○
40 盆栽
41 ボウリング
42 日本酒・地酒○
43 果実酒づくり
44 作曲・DTM
45 自動車競技
46 競馬
47 卓球
48 ファッション
49 マスターズ陸上
50 海外ドラマ鑑賞
51 クロスワードパズル
52 LEGO(レゴ)○
53 ヨガ
54 乗馬
55 小説執筆
56 熱帯魚飼育
57 テレビゲーム
58 日記
59 スキューバダイビング
60 俳句・川柳・短歌○
61 ボードゲーム
62 水泳
63 国内旅行・海外旅行
64 世界遺産巡り
65 Q&Aサイト回答
66 社交ダンス
67 合唱
68 劇団・舞台演劇
69 ダーツ
70 映画館・映画鑑賞
71 MMORPG
72 動画編集○
73 囲碁
74 FX
75 競艇
76 ドッグスポーツ
77 将棋
78 昆虫飼育
79 ワイン
80 科学・科学実験○
81 ビリヤード
82 トライアスロン
83 ミュージカル鑑賞
84 アニメ鑑賞
85 ゲートボール
86 トレーディングカード
87 野球
88 スポーツ観戦
89 オートレース
90 競輪
91 チェス
92 サッカー
番外 プログラミング○
(丸印○は自分が興味を持ったもの)

2021年1月26日火曜日

YouTube(3)

YouTube(2) からの続き

YouTubeチャンネルのコンテンツについて,タグをざっと眺めてみた。

1位 ゲーム実況(5994),2位 音楽(3111),3位 女性(2519),4位 やってみた(1761),5位 芸能人(1477),6位 企業(1149),7位 鉄道(748),8位 商品レビュー(665),9位 スポーツ(626),9位 Vocaloid(573),10位 お笑い芸人(557)だったが,十分検索しきれていない可能性はある。ここには現れていないが,子ども・おもちゃ関係も関連も合計すれば735以上,その他では,料理が495,車が458などが目立つかもしれない。

一方,YouTubeの教育利用可能性はどうだろうか。同じくタグ数を数えてみた。勉強(178),教育(88),受験(50),プログラミング(44),大学(23),学校(22),資格(20),学習(10),授業(6)など。また,STEAM関係キーワードでいえば,数学(30),科学(28),実験(24),宇宙(23),化学(10),哲学(8),物理(5),統計(5),天文(4),生物(3)。まだまだ開拓されつくしていないようにもみえる。

2021年1月25日月曜日

YouTube(2)

 YouTube(1)からの続き

昨日のチャンネル登録者人数で気持ちがわるかったのは,両対数グラフの順位がユーチュラ掲載数の上限近くで急速に減少していることである。普通ならば,ジップの法則が当てはまりそうなもので,両対数グラフではほぼ直線となり,なんらかの冪乗則が成立してもよいところだ。直感的には,登録者数の少ないチャンネルもある程度の数が存在しているが,これらはユーチュラへの登録動機がないため,ロストされているからと考えられる。実際,ユーチューブチャンネル人気ランキングを出しているTUBERS(ユーチューブ活動支援コンサルティング)では,13万件の日本語チャンネルが存在すると書いているのでユーチュラの捕捉率は1/4程度なのかもしれない。

さて今日は,ユーチュラにおける日本のユーチューブチャンネルの累計動画再生回数である。1位は,Fisher's −フィッシャーズ− (110億回),2位:キッズライン♡Kids Line,3位:avex(88億回),4位:HikakinTV(79億回),5位:はじめしゃちょー(hajime)(78億回)などとなっている。

(1位,110億回),(18位,30億回),(107位,10億回),(506位,3億回),(1514位,1億回),(3923位,3千万回),(7123位,1千万回),(12590位,3百万回),(16760位,百万回),(20794位,30万回),(23690位,10万回),(26107位,3万回),(27708位,1万回),(28720位,3千回),(29262位,1千回)


図1 日本のユーチューブチャンネル累計再生数分布(片対数)



図2 日本のユーチューブチャンネル累計再生数分布(両対数)




2021年1月24日日曜日

YouTube(1)

 ベネッセの「小学生がなりたい職業ランキング2020」では男子小学生の1位が「ゲームクリエータ・プログラマ」,2位が「ユーチューバー」,女子小学生の1位が「芸能人」,4位が「ユーチューバー」ということだ。もっとも,クラレの調査「小学生の将来就きたい職業」ではようやく男子の10位に顔を出している程度。

テレビはつまらないし,読書エネルギーにも欠けるため,最近は自分がユーチューブにハマった。そこで,ユーチューブランキングサイトのユーチュラを使って少し調べてみた。なお,googleのYouTubeヘルプをみれば,自分のチャンネルの作成方法その他がわかる。

まずは,ユーチュラにおける日本のユーチューブチャンネルの登録者数である。YouTubeランキングには,約33,000のチャンネルが登録されている。登録数非公開のチャンネルが1200弱あるので,それ以外のチャンネルを,登録者数と順位で並べてみた。なお,1位は,キッズライン♡Kids Line(登録者数1220万人),2位:せんももあいし−Ch Sen, Momo, Ai & Shii(939万人),3位:はじめしゃちょー(hajime)(906万人),4位:HikakinTV(884万人),5位:タキロン Takilong Kids' Toy(712万人)などとなっている。

(1位,1220万人),(38位,300万人),(304位,100万人),(1434位,30万人),(4169位,10万人),(8915位,3万人),(13863位,1万人),(18923位,3千人),(23196位,1千人),(26549位,300人),(29071位,100人),(30477位,30人),(31265位,10人)


図1 日本のユーチューブチャンネル登録者数分布(片対数)


図2 日本のユーチューブチャンネル登録者数分布(両対数)


2021年1月23日土曜日

開催都市契約

 7月23日まであと半年になった。大栄翔は12勝,正代が照ノ富士に負けて3敗となった。負け越している遠藤が久々に御嶽海に勝っている。いや,相撲の話ではなくて,正代と同様にふらふらの低空飛行を続けている東京五輪の話だ。

開催都市契約によれば,国際オリンピック委員会(IOC)と東京都(開催都市)と日本オリンピック委員会(NOC)の間で契約が締結されている。で,この契約を厳守するオリンピック大会組織委員会(OCOG)の組成(formation)が義務付けられている。

開催都市、NOC(前述の開催都市および OCOG の財務上の責務に関しては除く)、および OCOG は、いかなる性質であっても、また、直接または間接を問わず、本契約の規定違反に起因する、すべての損害、費用および責任について連帯責任を負う。IOC は開催都市、NOC、および/または OCOG に対して、IOC の単独の裁量にて、IOC が適当とみなす場合、訴訟を起こすことができる。

いきなりこれなのであった。で,これである。

いわゆる「ニューメディア」権(インターネットによるダウンロードまたはストリー ミング、IPTV、ホームビデオ、ビデオオンデマンド、モバイル・プラットフォームの権利など)を含む(ただし、それらには限定されない)、既存のまたは将来生まれる あらゆる形態の放送、上映メディアを手段とする、本大会および本大会関連イベントの放送、上映、送信、配信に関するすべての契約(以下、「放送契約」という)は、 IOC が独占的に交渉、締結するものとする。 

なんだか悪質な詐欺のように見えてしまうのは気のせいだろうか。 

本大会開催の結果として生じた剰余金があれば、以下のとおり配分するものとする。
a) NOC に 20%
b) OCOG に 60%。NOC と協議のうえで OCOG が決定する開催国におけるスポーツの全般的利益のために使用することを目的とする
c) IOC に 20%

 

2021年1月22日金曜日

赤いシリウス

 NHKのコズミックフロント☆NEXTは,非常にためになる科学番組である。先日放映された,「天狼星 シリウスのミステリー」もとても刺激的な内容だった。

シリウスは,オリオン座の三つ星を左に伸ばしたところのおおいぬ座にあり,太陽を除いて全天で最も明るい恒星(一等星)だ。地球から8.6光年の距離にあり,シリウスA(太陽と同程度の半径で太陽の約2倍の質量)とシリウスB(地球と同程度の半径で太陽と同程度の質量)からなる連星であり,明るい方のシリウスAは青白く光る主系列星である。シリウスBは非常に暗い白色矮星だ。

そのシリウスが,2千年前には赤く輝いていたという歴史的な文書がある。古代ローマの天文学者プトレマイオス(トレミー)のアルマゲストにその記載がある。超新星を除く普通の天文現象が数千年の時間スケールで起こるわけがないので,これはなんらかの比喩表現ではないかというのが定説らしい。

番組では,赤いシリウスが見えたのは事実であるという,科学的に根拠のあるいくつかの説が紹介されていた。シリウスにはシリウスCという別の三重連星があって,これがシリウスAに接近していたときに放出された物質が光を遮っていたという説や,桜井天体のように白色矮星であるシリウスBがヘリウムフラッシュによって一時的に赤くなったという説である。

シリウスは古代エジプトにおける暦の始まりを特徴づける天体であり,クフ王のピラミッドの南の回廊がシリウスが観測できる方向に伸びていたなど,いろいろとワクワクする話題が多いのだった。

2021年1月21日木曜日

直木賞

芥川賞からの続き

 ついでに,直木賞についても調べてみたところ,6冊/202冊=3.0%であった。芥川賞の半分の割合である。自分の主な読書領域はSFなので,純文学系の方がオーバーラップが大きいからだろうか。※印は受賞作は読んでいないが,それ以外の著書を複数冊読んだ作家。

第42回(1959年下半期) - 司馬遼太郎※
第47回(1962年上半期) - 杉森久英『天才と狂人の間』
第56回(1966年下半期) - 五木寛之※
第67回(1972年上半期) - 井上ひさし※
第72回(1974年下半期) - 半村良※
第80回(1978年下半期) - 宮尾登美子※
第109回(1993年上半期) - 高村薫『マークスの山』
第114回(1995年下半期) - 藤原伊織『テロリストのパラソル』
第117回(1997年上半期) - 篠田節子※
第119回(1998年上半期) - 車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』
第120回(1998年下半期) - 宮部みゆき『理由』
第121回(1999年上半期) - 桐野夏生『柔らかな頬』
第151回(2014年上半期) - 黒川博行※

なお,1970年代芥川賞の受賞数はインフレ気味だったが,直木賞の受賞数の方は逆に凹んでいる。文化的相転移はこのへんから始まって,80年代には完成したということなのだろうか。また,受賞者中に女性作家が占める割合は,直木賞の場合も芥川賞と同様で80年代に入ってから相転移したようにみえる。ただし,女性作家の割合は芥川賞では約1/2になっているのに対し,直木賞では約1/3にとどまっている。下記のテーブルは各年代の受賞者数(カッコ内は女性受賞者の内数)。

1930年代 7(0)
1940年代 19(2)
1950年代 26(4)
1960年代 24(5)
1970年代 18(1)
1980年代 30(7)
1990年代 26(8)
2000年代 27(9)
2010年代 23(9)
2020年代   2(1)

2021年1月20日水曜日

芥川賞

 第164回の芥川賞が,宇佐見りん「推し、燃ゆ」に決まった。「かか」で2019年の文藝賞と2020年の三島由紀夫賞を受賞したのに続くもので,なかなか凄そうである。

そもそも最近はほとんど本を読まなくなってしまった。情報の入力はインターネット(TwitterやYouTubeやFacebookなど)が中心になってしまい,極めて偏っている。ほとんどがデコレーションされた事実の集積物であり,創られた作品にふれる機会が激減している。あ,映画とかドラマはちょっと見ているかもしれないけれど。

そこで,自分がこれまでの芥川賞作品をどれほど読んできたのかをチェックしたところ,13冊/175冊=7.4%であった。ほとんど読んでいませんでした。なお,※は受賞作は読んでいないものの受賞作以外の作品を複数冊読んだ作家である。1970年代はほぼ立ち読みであったが,三田誠広のものはちょっとひどい作品だったと思う。1970年代は受賞者のインフレも起こってるし,選考委員どうなんだよ状態である。

第4回(1936年下半期) - 石川淳※
第25回(1951年上半期) - 安部公房「壁 S・カルマ氏の犯罪」
第28回(1952年下半期) - 松本清張※
第32回(1954年下半期) - 小島信夫※
第39回(1958年上半期) - 大江健三郎「飼育」
第43回(1960年上半期) - 北杜夫「夜と霧の隅で」
第51回(1964年上半期) - 柴田翔「されどわれらが日々──」
第56回(1966年下半期) - 丸山健二※
第61回(1969年上半期) - 庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」
第64回(1970年下半期) - 古井由吉「杳子」
第75回(1976年上半期) - 村上龍「限りなく透明に近いブルー」
第77回(1977年上半期) - 三田誠広「僕って何」
第84回(1980年下半期) - 尾辻克彦「父が消えた」
第98回(1987年下半期) - 池澤夏樹「スティル・ライフ」
第110回(1993年下半期) - 奥泉光「石の来歴」
第115回(1996年上半期) - 川上弘美「蛇を踏む」
第123回(2000年上半期) - 町田康「きれぎれ」
第146回(2011年下半期)- 円城塔※

なお,受賞者中に女性作家が占める割合は80年代に入ってから相転移したようだった。かつては男性作家が受賞者のほとんどを占めていたが,いまではほぼ半数が女性である。下記のテーブルは各年代の受賞者数(カッコ内は女性受賞者の内数)。なお,1945年から1948年は終戦前後の混乱のために中止されている。

1930年代 12(1)
1940年代 13(2)
1950年代 17(0)
1960年代 18(4)
1970年代 27(6)
1980年代 16(8)
1990年代 22(8)
2000年代 22(9)
2010年代 25(12)
2020年代   3(2)