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2024年3月4日月曜日

相対論的な速度の合成則

慣性系S (ct,x,y,z) に対して,時刻 t=t=0 で重なっている慣性系S' (ct,xyz)を考える。S'がSに対してx軸方向に速度vで等速直線運動している。このときガリレイ変換では,各座標成分は次式で結ばれる。
{ct=ctx=xvty=yz=z
ローレンツ変換では,(ct)2x2y2z2=(ct)2x2y2z2 となることから,
{ct=γ(ctβx)x=γ(xβct)y=yz=z
である。ただし,β=vc,  γ=11β2とする。

(1) 任意の方向のローレンツ変換

2つの慣性系に共通である座標系基本ベクトルを (ex, ey, ez) とすると,
それぞれの位置ベクトルは,r=xex+yey+zezr=xex+yey+zez で与えられる。そこで,ローレンツ変換の式をベクトルで表現すると次のようになる。
{ct=γ(ctβexr)exr=γ(exrβct)=exr+(γ1)exrγβcteyr=eyrezr=ezr
空間成分の3式の各々に対応する成分の基本ベクトルを掛けて加えると次式となる。
{ct=γ(ctβexr)r=r+(γ1)exrexγβctex
さらに,βex=βとして速度ベクトルを表現すると,ex=ββ であるから,
{ct=γ(ctβr)r=r+γ1β2(βr)βγctβ=r+γ2γ+1(βr)βγctβ

(2) ローレンツ変換における速度の合成則

S系とS'系とS"系を考える。S'系はS系に対して速度v,S"系はS'系に対して速度
uで運動している。β=v/c, γ=1/1β2, β=u/c, γ=1/1β2とする。

{ct=γ(ctβr)r=r+γ1β2(βr)βγctβ=r+γ2γ+1(βr)βγctβ
{ct=γ(ctβr)r=r+γ1β2(βr)βγctβ=r+γ2γ+1(βr)βγctβ
ctに第1式と第2式を代入する。
ct=γγ(ctβr)γβ{r+γ1β2(βr)βγctβ}
=γγ(1+ββ)ctγ(γβ+β)rγ(γ1)β2(ββ)βr
γ(ctβr)
これから,
{γ=γγ(1+ββ)γβ=γ(γβ+β)+γ(γ1)β2(ββ)β
β=1γ(1+ββ){β+γβ+(γ1)β2(ββ)β}
β が合成された速度ベクトルを光速cで割った量となる。

(3) 1次元の場合の速度の合成則

上の式のベクトルの一方向成分だけを取り出して扱うと,
wc=1γ(1+uvc2){uc+γvc+(γ1)uc}=u+vc(1+uvc2)

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