次の調和級数は発散することが知られている。
∞∑k=11k=1+12+13+14+15+16+17+18+19+⋯
ところが,この級数のうちある数字が含まれる項をすべて取り除いた級数は収束する。この級数をケンプナー級数(kempner series)とよんでいる。
例えば,9を含むをすべて取り除いたケンプナー級数を考える。n桁の整数は9×10n−1個あるが,そのうち9を含むものの総数は次式で与えられる。
10n−1+8×10n−2×1−(910)n−11−910=9⋅10n−1−8⋅9n−1
nが増加するとともに,n桁の整数で9を含むものの割合は1に近づくため,ケンプナー級数が発散しないことが期待される。
なお,上記の式は9以外の1〜8についても成立するが,0の場合は,次式に修正される。
9×10n−2×1−(910)n−11−910=9⋅10n−1−9n
実際,9を含まないn桁の数の逆数の和は,その最小値 110n−1とその個数8×9n−1の積で押さえられるので,その総和は8×11−910=80以下になり級数は収束する(0を含まない数の逆数の和は90以下となる)。
[1]Kempner : A Curious Convergence Series (1914)
[2]倪 永茂:無限級数およびその数値計算について(2014)
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