2024年6月7日金曜日

合計特殊出生率(2)

合計特殊出生率(1)からの続き

去年の今ごろ,奥村晴彦さんの合計特殊出生率Rプログラムを写経していた。すっかり忘れていたけれど,2023年の新しい合計特殊出生率が過去最低の1.20人を記録したいうニュースで思い出すことになった。

都道府県別でみれば,東京都の0.99や北海道の1.06をはじめ,大都市部や東北地方で低く,沖縄の1.60を筆頭に,九州,山陰,北陸などで高い。

今年は,コマンドラインで実行すべく,Rプログラムを修正した。あいかわらず日本語表示でつまづいたので,ChatGPT-4oに聞きながら試行錯誤した結果,何とか解決できた。なお,スタートを自分が生まれた1953年にしてみた。

修正したRプログラムのtfr.rの内容(注:remove \ before copy and paste)は

library(showtext)

font_add("Hiragino", "/System/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴシック W3.ttc")

showtext_auto()


X <- read.table('/Users/koshi/Desktop/birth.txt', header = TRUE)

par(family = "Hiragino")  # 利用可能なフォントを指定

plot(X\$年, X\$合計特殊出生率, type="o", pch=16, xlab="", ylab="")

t = c(range(X\$合計特殊出生率), X\$合計特殊出生率[length(X[,1])])

axis(4, t, t)

title("合計特殊出生率", line=0.5)

#title("Total Fertility Rate", line=0.5)


# x軸とy軸のメモリの位置を手動で指定

x_ticks <- pretty(X$年, 15)  # 15個のメモリを生成

y_ticks <- pretty(X$合計特殊出生率, 16)  # 16個のメモリを生成


# x軸に対してグリッド線を描画

for (i in x_ticks) {

  abline(v = i, col = "lightgray", lty = "dotted")

}


# y軸に対してグリッド線を描画

for (i in y_ticks) {

  abline(h = i, col = "lightgray", lty = "dotted")

}

これで,Rscript tfr.r とすると,pdfの出力,Rplots.pdf が得られる。なお,showtextというライブラリは,コマンドラインで R として立ち上げたプロンプトに,install.packages("extrafont") としてインストールしておく。また,データは birth.txt にあらかじめ入れてある。

年    出生数 合計特殊出生率

1953 1868040           2.70

1954 1769580           2.48

1955 1730692           2.37

1956 1665278           2.22

1957 1566713           2.04

1958 1653469           2.11

1959 1626088           2.04

1960 1606041           2.00

1961 1589372           1.96

1962 1618616           1.98

1963 1659521           2.01

1964 1716761           2.05

1965 1823697           2.14

1966 1360974           1.58

1967 1935647           2.23

1968 1871839           2.13

1969 1889815           2.13

1970 1934239           2.13

1971 2000973           2.16

1972 2038682           2.14

1973 2091983           2.14

1974 2029989           2.05

1975 1901440           1.91

1976 1832617           1.85

1977 1755100           1.80

1978 1708643           1.79

1979 1642580           1.77

1980 1576889           1.75

1981 1529455           1.74

1982 1515392           1.77

1983 1508687           1.80

1984 1489780           1.81

1985 1431577           1.76

1986 1382946           1.72

1987 1346658           1.69

1988 1314006           1.66

1989 1246802           1.57

1990 1221585           1.54

1991 1223245           1.53

1992 1208989           1.50

1993 1188282           1.46

1994 1238328           1.50

1995 1187064           1.42

1996 1206555           1.43

1997 1191665           1.39

1998 1203147           1.38

1999 1177669           1.34

2000 1190547           1.36

2001 1170662           1.33

2002 1153855           1.32

2003 1123610           1.29

2004 1110721           1.29

2005 1062530           1.26

2006 1092674           1.32

2007 1089818           1.34

2008 1091156           1.37

2009 1070036           1.37

2010 1071305           1.39

2011 1050807           1.39

2012 1037232           1.41

2013 1029817           1.43

2014 1003609           1.42

2015 1005721           1.45

2016  977242           1.44

2017  946146           1.43

2018  918400           1.42

2019  865239           1.36

2020  840835           1.33

2021  811622           1.30

2022  770759           1.26

2023  727277           1.20

図:1953-2023  の合計特殊出生率の推移


2024年6月6日木曜日

サルコペニア

ピロリ菌からの続き

国保人間ドックの,胃カメラ以外で一番気になったのが,体重である。
前回の2023年は,身長180.9cm, 体重62.6kg,体脂肪率16.8%,筋肉量49.4kg だったのが,
今回の2024年は,身長180.8cm, 体重59.6kg,体脂肪率17.6%,筋肉量46.6kg となった。
体重(筋肉)の一年減少率は 4.8%(5.7%)だ。まずい。

検査終了後のドクターの問診では,蛋白質をとって運動しなさいとのこと。問題は,悪玉コレステロールも増加に転じたので,食事の制限条件がちょっとややこしくなることだ。非常勤講師が終了して,まだ4ヶ月しか経っていないのに,朝の散歩だけでは筋肉に対する負荷が足りないのであった。

なお,タニタの体組成計測定結果(最大誤差10%?)によれば,筋肉量はつぎのとおり。
前回の2023年は,上肢5.05kg,体幹部27.30kg,下肢17.05kg,合計49.40kg
今回の2024年は,上肢4.55kg,体幹部26.35kg,下肢15.70kg,合計46.55kg
1年の減少分は,上肢0.50kg, 体幹部 0.95kg, 下肢1.35kg, 合計 2.80kg

この調子だと,5年後には体重45kgで寝たきりになりそうな勢いだ。まずいまずい。

参考文献[3]には,日本人男性の年齢に伴う筋肉量の変化の回帰式が与えられている。
ちなみにこのサンプル集団の平均身長は,167.1±7.2 cm,平均体重は64.6±10.0 kg である。
 上肢筋肉量= 0.035 年齢 -0.0050 年齢^2 + 5.02 kg
 体幹部筋肉量=0.288 年齢 -0.0031 年齢^2 + 21.54 kg
 下肢筋肉量= 0.025 年齢 -0.0013 年齢^2 + 20.79 kg
 全身筋肉量= 0.352 年齢 -0.0050 年齢^2 + 47.28 kg
これを当てはめてみると,次の値が得られる。
70歳=(5.02,26.51,16.17,47.42)
71歳=(4.98,26.36,16.01,47.07)
1年間で,0.35kg減少する。自分の2.80kgはその8倍だ。マズイマズイマズイ。

加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下の状態を,サルコペニアというらしい。日本の65歳以上の健常高齢者におけるサルコペニアの有症率は男女ともに約20%とされている。これだ。調べると続々出てくる。でも調べただけで読まずに安心してしまう症候群がぐぬぬ。論文をコピーしただけで読んだつもりになる症候群と同じだ。

図:年齢に伴う全身筋肉量の変化([3]から引用)

[5]サルコペニアとは(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のこと)

2024年6月5日水曜日

ビッグヒストリー

シンギュラリティサロン・オンライン松田卓也先生が言及していたので,ビッグヒストリーについて調べてみた。日本語版Wikipediaはだめだめなので,英語版Wikipediaの Big History のページをpdfに出力して,ChatGPT-4oに与えて要約させたものを読む。最近はこればっかりだ。

例えば,YouTubeの要約機能などもあるにはあるが,まだちょっと使いにくい。簡単に使えれば,YouTubeもそれに頼ることになるだろう。新聞,テレビ,映画,本,論文,雑誌,ブログ,YouTube,すべてが生成AI経由のダイジェスト視聴に化けてしまう時代がきている。そうならないのは音楽鑑賞と美術鑑賞と観劇くらいか,これらは解説アノテーションを使うことになる。
Q(koshix):
上の資料を詳しく説明してください。参考文献や註釈の部分は不要です。
説明が上記の要約の2倍程度になるように,詳しく教えてください。

A(GPT-4o):
ビッグヒストリーの詳細な説明

概要
ビッグヒストリーは、ビッグバンから現在までの広範な時間枠を対象とする学問分野です。この分野は、専門化を避け、普遍的なパターンやトレンドを探求し、科学と人文学の多くの分野を統合します。これにより、宇宙、地球、生命、人類の歴史を因果関係に基づいて探求し、人類の存在をより大きな文脈で理解することを目指しています。この分野は、大学や初等・中等教育機関で教えられており、しばしばウェブベースのインタラクティブなプレゼンテーションを使用して教育されています。

起源と発展
ビッグヒストリーという用語は、歴史学者デイビッド・クリスチャンによって初めて使用されました。彼は、オーストラリアのマッコーリー大学で最初のビッグヒストリーのコースを教えました。この学問は、ルネサンス以来、宇宙論や自然史との関係を追求してきた学者の仕事を引き継ぎ、現在に至っています。ビッグヒストリーは、ビッグバンから始まり、宇宙の形成、星や銀河の誕生、地球の形成、生命の進化、人類の出現と発展などの重要な出来事を取り上げます。

教育とアプローチ
ビッグヒストリーのコースは、従来の歴史コースとは異なり、書籍ではなくインタラクティブなプラットフォーム(例えばCourseraやYouTubeのCrash Courseなど)で教えられることが多いです。これにより、学生は視覚的かつ体験的に学ぶことができます。ビッグヒストリーは、特定の文明や戦争に焦点を当てるのではなく、宇宙全体を背景に人類の位置を探ります。このアプローチにより、人類の歴史を宇宙の歴史の一部として理解することができます。

主要なテーマ
1.ゴールディロックス条件:ビッグヒストリーの一つの重要なテーマは、ゴールディロックス条件(Goldilocks conditions)です。これは、生命や複雑なシステムが形成されるためには「適度な」条件が必要であることを指します。例えば、地球は太陽から適度な距離にあり、適度な温度やエネルギーを持つため、生命が存在できるのです。

2.エネルギーフローと複雑性:ビッグヒストリーでは、エネルギーフローが複雑なシステムの進化にどのように影響するかを強調します。エネルギーの利用が最適であるとき、システムは複雑性を増し、進化していきます。例えば、星の中での核融合反応により、重元素が生成され、それが惑星や生命の形成に寄与します。

3.宇宙進化:ビッグヒストリーは、ビッグバンから始まる宇宙進化の過程を探ります。これには、宇宙の誕生、星や銀河の形成、惑星の誕生、そして生命の進化が含まれます。ビッグヒストリーは、これらの過程を理解することで、人類の歴史をより広い文脈で捉えることができます。

批判と議論
ビッグヒストリーは、一部の歴史家や社会学者から批判を受けています。例えば、ビッグヒストリーが歴史のテキストの解釈を避け、純粋に科学的なアプローチに傾倒しているため、従来の歴史学と異なるとされています。また、一部の批評家は、ビッグヒストリーが神話的または宗教的なアプローチに近づきすぎていると指摘しています。これに対して、ビッグヒストリーの支持者は、従来の歴史学が人類の歴史のごく一部(例えば、過去5000年)のみを対象としているのに対し、ビッグヒストリーはより広範な時間枠を対象としていると主張しています。

教育的イニシアティブ
ビル・ゲイツが支援するプロジェクトにより、高校生向けの無料のオンラインコースが提供されています。このプロジェクトは、ビッグヒストリーの教育を広めることを目的としています。さらに、ドミニカン大学では全ての新入生にビッグヒストリーのコースを必修としています。これにより、学生は広範な時間枠と学際的なアプローチを通じて、人類の歴史を理解することができます。

結論
ビッグヒストリーは、ビッグバンから現在までの広範な時間枠と学際的なアプローチを用いて、人類の歴史を宇宙の歴史の中に位置づける学問分野です。これにより、人類の存在をより大きな文脈で理解することが可能となり、従来の歴史学と異なる視点を提供します。ビッグヒストリーは、科学と人文学を統合することで、過去の出来事を新しい視点から理解する手助けをします。


Q(koshix):
ビックヒストリーにおいて重要な画期となる事象に重点をおいて,もう少し詳しく説明してください。

A(GPT-4o):
ビッグヒストリーにおける重要な画期となる事象

ビッグヒストリーは、ビッグバンから現在までの広範な時間枠を対象とし、宇宙、地球、生命、人類の歴史を統合的に探求します。この分野では、いくつかの重要な画期的な事象が強調されており、これらの事象は複雑性の増加や新しい形態の出現を示します。以下に、ビッグヒストリーにおける主要な画期的事象について詳述します。

1.ビッグバン(約138億年前)
ビッグヒストリーの出発点は、宇宙が極めて高温・高密度の状態から急激に膨張し始めたビッグバンです。この瞬間に宇宙が誕生し、空間、時間、物質、エネルギーが生まれました。ビッグバンにより、宇宙は急速に冷却され、数分以内に軽元素(主に水素とヘリウム)が形成されました。

2.恒星の誕生(約127億年前)
宇宙が冷却されると、ガスとダストが重力によって集まり、最初の恒星が形成されました。恒星の内部での核融合反応により、重元素(例えば炭素、酸素、鉄など)が生成されました。これらの元素は、後に惑星や生命の構成要素となる重要な物質です。

3.銀河の形成(約100億年前)
恒星が集まって銀河が形成されました。銀河は、恒星、ガス、ダスト、ダークマターから構成される巨大な構造です。銀河の中で、恒星は集団で存在し、相互作用を通じて進化します。私たちの太陽系は、銀河系(ミルキーウェイ)内に位置しています。

4.太陽系と地球の形成(約46億年前)
太陽系は、原始太陽の周りに形成されたガスとダストの円盤から生まれました。これらの物質が集まり、原始惑星が形成され、その一つが地球です。地球は、その位置やサイズ、化学組成が生命の誕生に適していました。

5.生命の誕生(約38億年前)
地球上での生命の誕生は、化学的進化の結果として起こりました。最初の生命体は、単純な単細胞生物であり、海洋の熱水噴出孔や浅い潮溜まりで生まれたと考えられています。これらの原始生命体は、光合成や呼吸などの基本的な生命活動を行いました。

6.真核生物の出現(約20億年前)
単細胞生物の進化により、細胞内に核を持つ真核生物が出現しました。真核生物は、より複雑な細胞構造を持ち、多細胞生物の進化の基盤となりました。この進化は、生命の多様化と生態系の複雑化に大きな影響を与えました。

7.カンブリア爆発(約5億4100万年前)
カンブリア爆発は、地球上の生命が急速に多様化し、多くの動物門が出現した時期です。この期間に、多くの新しい形態の生物が進化し、現代の動物群の祖先が形成されました。これにより、海洋生態系が急速に複雑化しました。

8.陸上生命の進出(約4億年前)
植物と動物が海洋から陸上に進出しました。陸上植物は、光合成を通じて大気中の酸素濃度を上昇させ、動物が呼吸できる環境を作り出しました。最初の陸上動物は、両生類や昆虫などであり、これらの進出は生態系の多様化を促進しました。

9.哺乳類と鳥類の進化(約2億年前)
哺乳類と鳥類は、爬虫類から進化しました。哺乳類は、温血性、毛皮、哺乳行動などの特徴を持ち、様々な環境に適応しました。鳥類は、飛行能力を持ち、広範な生態系に進出しました。

10.人類の出現(約300万年前)
最初のヒト属(ホモ属)がアフリカで出現しました。これらの初期の人類は、道具の使用や火の利用、集団生活などの文化的進化を遂げました。現生人類(ホモ・サピエンス)は約30万年前に登場し、言語や高度な技術を発展させました。

11.農業革命(約1万2000年前)
農業革命により、人類は狩猟採集生活から農耕生活へと移行しました。これにより、定住生活が可能となり、村や都市が形成されました。農業革命は、人口増加や社会構造の複雑化をもたらし、文明の発展の基盤となりました。

12.産業革命(約250年前)
産業革命は、18世紀後半にイギリスで始まりました。蒸気機関や工場生産などの技術革新により、生産力が飛躍的に向上しました。これにより、都市化、経済成長、社会変革が進み、現代社会の基盤が形成されました。

13.デジタル革命(約50年前)
20世紀後半から始まったデジタル革命は、コンピュータやインターネットの普及により、情報の取得と共有が劇的に変化しました。この革命は、グローバル化、情報社会の発展、AI技術の進化などを促進し、現代の生活と社会構造に深い影響を与えています。

まとめ
ビッグヒストリーは、これらの重要な画期的事象を通じて、人類の歴史を宇宙の歴史の中に位置づけ、複雑性の増加と新しい形態の出現を理解する手助けをします。このアプローチにより、私たちは自身の存在をより広い文脈で捉え、過去から未来への連続性を認識することができます。


図:ビッグヒストリのスパイラル表現(Wikipediaから引用)

たぶん,2027-2029年あたりに松田先生のいうところのシンギュラリティがくるので,これが14.AI革命(5年後)として付け加わることに。

2024年6月4日火曜日

ピロリ菌

べんとりくんからの続き

床屋のおっちゃん(といっても自分より若い)の話では,メディカルセンターの人間ドックの胃カメラは火曜日がお薦めだという。去年ひどい目にあったので,今年の予約は注意しようと思っていたところ,向こうから火曜日に指定された。それが今日の人間ドック。

今年の,国保人間ドックは,肺機能検査が新たに追加されていた。後は例年通り。KKRの大手前病院にくらべ,受診者が少ないこともあるけれど,流れがスムースで,職員さんがうまく誘導してくれるのはありがたい。しかし,別のところでよくわからない待ち時間が発生したりするので,結局かかる時間は同じくらいになる。

さて,胃カメラです。結論的には,去年よりオエッとなる回数がだいぶ多かったではないか。話が違う。年寄りにはきついぞ。涙を出しながらもとりあえず無事に終った。去年ピロリ菌検査をしていますが,なぜ除菌しないのですか,何か理由がありますかと担当の女医さんに詰められた。怖い看護師さんからも,今日内科で見てもらえば除菌できますよと迫られたので,お願いしますと頭を下げた。

明日から毎日欠かさず朝晩二回抗生物質を,朝昼晩整腸剤を1週間飲み続けるのだ。すでにピロリ菌によって胃壁がかなりやられているようなので,除菌に意味があるのかどうかわからないが,医療関係者は(過去の大学の保健センターも含め)こぞってピロリ菌除去をすすめてくる。なんとなく,福島県の除染を思い出す。

6月5日(水)〜11日(火)の予定。満願日にはWWDC 2024 が控えている。


写真:ピロリ菌除菌用抗生物質(2024.6.4撮影)


2024年6月3日月曜日

心の社会:ミンスキー

ChatGPT-4oを使ってファスト読書ができるかどうか実験してみた。
題材として,人工知能を理解するための古典文献中の第一である,人工知能の父マービン・ミンスキー(1927-2016)の「心の社会」を選んだ。安西祐一郎(1946-)訳の1990年の初版574ページは,自分の本棚で積ん読状態で冬眠されていらっしゃった。

Q(koshix):
マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」で主張されていることを詳しく説明してください。

A(GPT-4o)
マーヴィン・ミンスキーの著書「心の社会」(The Society of Mind)は、人工知能と人間の認知科学に関する彼の理論を述べた重要な作品です。この本では、心がどのように機能するのか、特に知能がどのように生じるのかについての革新的な視点が提供されています。ミンスキーは、心を一つの単一のエンティティとして見るのではなく、複数の小さなエージェントの集合体として捉えます。以下に、彼の主張を詳しく説明します。

1.心はエージェントの社会である
ミンスキーは、心は多数の簡単なエージェント(彼はこれを「エージェント」と呼びます)の集まりであると主張します。各エージェントは単純な機能を持っており、それ自体は知能を持たないが、これらが連携して働くことで複雑な知的行動が生まれるとします。この考え方は、心を理解するためにそれを分解し、各部分の相互作用を研究するというアプローチを示唆しています。

2.レイヤード構造と階層的な制御
ミンスキーは、心の構造を複数のレイヤーに分けて説明します。各レイヤーは異なる種類のエージェントで構成されており、それぞれが特定のタスクを担当しています。これにより、単純なタスクから複雑な認知タスクまでを処理する能力が生まれます。例えば、低レベルのエージェントは基本的な感覚処理を行い、高レベルのエージェントは抽象的な思考や計画を担当します。

3.エージェント間の競争と協力
ミンスキーは、エージェント間の関係が重要であると強調します。エージェントは時には競争し、時には協力することで最適な解決策を見つけ出します。この競争と協力のダイナミクスが、柔軟で適応的な知能を生み出す鍵とされています。

4.学習と適応
エージェントは静的な存在ではなく、経験を通じて学習し、適応します。ミンスキーは、知識の獲得と使用がどのようにエージェントの行動に影響を与えるかを詳細に述べています。特に、問題解決や新しい状況に対応するための適応メカニズムが強調されています。

5.心の社会モデルの応用
ミンスキーの理論は、人工知能の設計や人間の知能の理解に幅広く応用されています。このモデルは、知能が単一のアルゴリズムやプロセスではなく、複数の相互作用するプロセスの結果であることを示しています。これにより、より複雑で柔軟なAIシステムの開発が可能になります。

6.批判と影響
「心の社会」モデルは、その独創性と包括性から大きな影響を与えましたが、同時に批判も受けました。一部の批評家は、エージェント間の相互作用の具体的なメカニズムや、どのようにして統一された意識や自己が生じるのかについての説明が不足していると指摘しました。それでも、この理論は人工知能研究における重要な枠組みとなっています。

ミンスキーの「心の社会」は、人間の知能と人工知能の両方を理解するための新しい視点を提供するものであり、現代の認知科学やAI研究においてもなお重要な影響を持ち続けています。 
 
Q(koshix):
心を構成するエージェントにどんなものがあるか,またその相互関係がどうなっているかをできるだけ分かりやすく全て列挙してください。

A(GPT-4o):
マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」において、心を構成するエージェントは非常に多様で、各エージェントが特定の機能を果たすために存在しています。以下に、いくつかの主要なエージェントの種類とその相互関係をわかりやすく説明します。

エージェントの種類

感覚エージェント (Sensory Agents)
役割: 外部環境からの情報を収集し、それを処理して内部に伝える。
例: 視覚エージェント、聴覚エージェント、触覚エージェントなど。

運動エージェント (Motor Agents)
役割: 行動を実行し、身体の動きを制御する。
例: 手を動かすエージェント、歩くエージェント、話すエージェントなど。

記憶エージェント (Memory Agents)
役割: 経験や知識を保存し、それを必要に応じて取り出す。
例: 短期記憶エージェント、長期記憶エージェント、エピソード記憶エージェントなど。

感情エージェント (Emotion Agents)
役割: 感情を生成し、他のエージェントの活動に影響を与える。
例: 喜びエージェント、悲しみエージェント、恐怖エージェントなど。

思考エージェント (Thinking Agents)
役割: 問題解決、意思決定、推論を行う。
例: 論理エージェント、計画エージェント、推論エージェントなど。

社会的エージェント (Social Agents)
役割: 他者との相互作用を管理し、社会的な行動を制御する。
例: 共感エージェント、コミュニケーションエージェント、協力エージェントなど。

エージェント間の相互関係

協力 (Cooperation)
例: 感覚エージェントが視覚情報を収集し、それを記憶エージェントに送って過去の経験と照らし合わせ、運動エージェントに適切な行動を指示する。

競争 (Competition)
例: 異なる解決策を提案する思考エージェントが競い合い、最も適切な解決策が選ばれるプロセス。

連携 (Coordination)
例: 感情エージェントが恐怖を感じると、運動エージェントに逃走行動を起こすように指示し、同時に思考エージェントが危険の評価を行う。

抑制と強化 (Inhibition and Facilitation)
例: 感情エージェントが怒りを感じると、抑制エージェントがその感情を制御し、社会的エージェントが適切な反応を見つける。

フィードバックループ (Feedback Loops)
例: 運動エージェントが行動を実行し、その結果が感覚エージェントを通じてフィードバックされ、記憶エージェントと思考エージェントがその情報を使って次の行動を調整する。

具体的な例

コップを持ち上げる動作:
視覚エージェントがコップを見つける。
記憶エージェントが過去の経験を基に最適な持ち上げ方を提供する。
運動エージェントが手を動かし、コップを持ち上げる。
フィードバックループにより、感覚エージェントが持ち上げた後の重さやバランスを確認し、必要なら運動エージェントに調整を指示する。

会話をする:
聴覚エージェントが相手の言葉を聞き取る。
思考エージェントがその意味を解釈し、適切な応答を考える。
記憶エージェントが過去の会話や知識を参考にする。
社会的エージェントが応答のトーンや態度を決定する。
運動エージェントが言葉を発し、顔の表情を制御する。

ミンスキーの理論は、これらのエージェントが相互に作用し合うことで、人間の心の複雑な機能を生み出すというものです。この視点は、AIやロボティクスの設計においても有益であり、複雑なシステムをより効率的に設計するための基盤となっています。

 

Q(koshix):
意識を担うエージェントはありますか

A(GPT-4o):
マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」において、意識そのものを単独で担う特定のエージェントが存在するという考え方はされていません。むしろ、意識は複数のエージェントの相互作用と協調から生じる現象であるとされています。以下に、意識に関連するエージェントの役割やその相互関係をわかりやすく説明します。

意識に関連するエージェント

注意エージェント (Attention Agents)
役割: 特定の情報や出来事に対して注意を集中させる。意識の焦点を決定し、重要な情報を他のエージェントに伝える。
例: 視覚注意エージェント、聴覚注意エージェント。

記憶エージェント (Memory Agents)
役割: 過去の経験や知識を保存し、必要に応じて取り出す。意識に関連する情報の背景知識を提供する。
例: 短期記憶エージェント、長期記憶エージェント。

自己モニタリングエージェント (Self-Monitoring Agents)
役割: 自己の状態や行動を監視し、自己認識を持つ。意識の一部として、自己と他者の区別を行う。
例: 身体感覚モニタリングエージェント、感情モニタリングエージェント。

意思決定エージェント (Decision-Making Agents)
役割: 得られた情報を基に行動を決定する。意識的な選択と行動を支える。
例: 計画エージェント、選択エージェント。

社会的エージェント (Social Agents)
役割: 他者との相互作用を管理し、社会的な意識を形成する。共感やコミュニケーションに関連する。
例: 共感エージェント、コミュニケーションエージェント。 
 
エージェント間の相互関係
意識はこれらのエージェントの複雑な相互作用によって形成されます。以下に、その具体的なプロセスを説明します。

注意の集中と情報の選別
注意エージェントが特定の刺激や情報に集中し、それを他のエージェントに伝達します。これにより、意識の焦点が決まります。

記憶との連携
記憶エージェントが関連する過去の経験や知識を提供し、現在の状況を理解するための背景情報を提供します。

自己モニタリングと自己認識
自己モニタリングエージェントが現在の状態や行動を監視し、自己の一貫性を保つ役割を果たします。これにより、自己と他者の区別がつけられます。

意思決定と行動選択
意思決定エージェントが得られた情報を基に、意識的な選択と行動を行います。このプロセスは、意識的な意思決定の核心部分となります。

社会的相互作用
社会的エージェントが他者との相互作用を管理し、社会的な意識を形成します。これにより、意識は個人的なものだけでなく、社会的な文脈でも機能します。

結論
ミンスキーの理論によれば、意識は単一のエージェントによって生じるものではなく、複数のエージェントが協力し合い、相互に作用することで生まれる現象です。これらのエージェントが連携し、情報を交換し合うことで、複雑で高度な意識が形成されるのです。この視点は、意識を理解するための新しい枠組みを提供し、人工知能の研究にも大きな影響を与えています。

なかなかもっともらしい答えが得られた。ところで,ここで安心してはいけない。この結果を,正確性が売りの生成AIであるPerplexityに与えて,正しいかどうか聞いてみたところ,テキストが大きすぎではねられた。仕方がないので,次に評判が良いGemini 1.5Proに入れてみる。こちらは,入力トークンバッファに十分余裕がある。


Q(koshi):
以下の対話で事実とは異なっている部分や不正確な部分を指摘してください

A(Gemini 1.5Pro):
全体的に、ミンスキーの「心の社会」の要約としては悪くないですが、いくつか事実と異なる部分や不正確な部分があります。

事実と異なる部分・不正確な部分

エージェントの種類と役割
対話では、感覚、運動、記憶、感情、思考、社会など、エージェントの種類を具体的に列挙していますが、ミンスキー自身は著書で、特定の種類のエージェントを定義していません。ミンスキーは、エージェントは多種多様で、その機能は状況や組み合わせによって変化すると述べています。
エージェント間の関係
協力、競争、連携、抑制と強化、フィードバックループといった関係性は、ミンスキーの理論と一致しています。しかし、対話ではこれらの関係が固定的なものとして説明されている印象を受けます。実際には、エージェント間の関係はより流動的で、状況に応じて動的に変化します。
意識に関する説明
ミンスキーは特定のエージェントが意識を担うとは述べていません。意識は、エージェントの相互作用から創発的に生まれるものとして捉えられています。
対話では、注意、自己モニタリング、意思決定といった機能を持つエージェントが意識に関連するとされていますが、ミンスキー自身は、これらの機能を実現するエージェントの具体的な構造については深く言及していません。

ミンスキーは、「心の社会」の中で意識の問題を取り上げていますが、完全な解答を与えているわけではありません。

改善点

・エージェントの種類を具体的に列挙するのではなく、「ミンスキーは特定の種類のエージェントを定義せず、多種多様なエージェントが存在すると述べています」と説明する方が正確です。
・エージェント間の関係は、固定的なものではなく、状況に応じて動的に変化することを強調する必要があります。
・意識については、「ミンスキーは、意識は特定のエージェントが担うのではなく、エージェントの相互作用から創発的に生まれると考えている」と説明し、具体的なエージェントの構造や機能に言及することは避けるべきです。

その他

対話では、ミンスキーの「心の社会」をかなり簡略化して説明しています。より深く理解するためには、実際に著書を読むことをお勧めします。

さらにこれをChatGPT-4oに入れてみたが,まあ,それで喧嘩に発展するようなことはなかった。一方,実際の本を書棚から取り出してきて目次を眺めてみると,GPT-4oの説明とはかなり違った印象を持ったのも事実である。そこで,GPT-4oは目次を知っているのかどうか聞いてみた。

Q(koshix):
マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」の目次を列挙することはできますか?日本語に直してください

A(GPT-4o):
マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」(The Society of Mind)は270の独立したエッセイで構成されており、それらは30の章に分かれています。以下は、その目次の日本語訳です:

1.心の社会
2.エージェントとエージェンシー
3.K-ライン
4.エージェントの原則
5.心と脳
6.常識
7.思考の言語
8.見ることと想像すること
9.学習と記憶
10.心の構築
11.意識
12.反省的思考
13.問題解決
14.自己認識
15.考えることと説明すること
16.感情
17.動機と目標
18.否定的思考の力
19.自己
20.成長
21.幼児期
22.子供の心
23.学習と理解
24.知識の本質
25.創造的思考
26.高次の思考
27.脳の専門化
28.心の統一
29.心の限界
30.心の未来

この目次は、ミンスキーが心を「エージェント」という単純な部分の相互作用から成り立つ複雑な社会として描いた方法を反映しています。彼のアプローチは、知能の多様性と複雑さを強調し、単一の原理や単純なシステムではなく、多様なプロセスと目的を持つエージェントの集まりが心を形成するという考え方を示しています​​​​。

この目次は完全なハルシネーションである。30章と270のエッセイというのはほぼあっている。なぜ,こうなったかというと,GPT-4oがインターネット上で検索して得られた資料に問題がある。一つは,Internet Archiveの該当部分であり,ここにはオープンな本文テキストはない。もう一つは,Tom Rochetteというひとの読書メモである。そこには原本の目次はない。たぶんこれを用いたので誤った結果が出てきたのだ。

なお,元慶応義塾長の安西先生訳の「心の社会」の正しい目次は次のとおりです。
1.心の社会
2.全体と部分
3.争いと妥協
4.自己(以下,自己が太字になっている)
5.個性
6.洞察と内省(ここにB-脳がでてくる)
7.問題と目標
8.記憶の理論(ここにK-ラインがでてくる)
9.要約すること
10.パパートの原理
11.空間の形
12.意味の学習
13.見ることと信じること
14.定式化のし直し
15.意識と記憶
16.感情
17.発達
18.推論
19.言葉と考え
20.文脈とあいまいさ
21.トランスフレーム(以下トランスが太字に)
22.表現
23.比較
24.フレーム
25.フレームアレイ
26.言語フレーム
27.検閲エージェントと冗談
28.心と世界
29.思考の領域
30.心の中のモデル



図:マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」を適確に表現するイメージ


2024年6月2日日曜日

人工意識ガイド

ChatGPT-4oでは,GPT storeで様々な機能のモジュールを利用することができる。Scholar GPTとWolframを試してみたけれど,なかなか素晴らしいものだった。

例えば,「muon capture の最新の論文を紹介してください。」と尋ねると,actions.sider.ai と通信して,最新の論文を探しだしてくれた。それぞれリンク先もある。Mathematicaのコマンド「Plot3D[Sin[x y],{x,0,2Pi},{y,0,2Pi}]」を入力すると,3Dグラフを出力するのだが(これだけならChatGPTは不要),さらに,「上記の手順において,x, y が増加すると指数関数で減少するように修正したものを描画してください。減衰パラメタは適当に設定してくれて構いません。」とすると,Exp[-0.5(x+y)]を掛けた結果が出てきた。

さらに,自分専用にカスタマイズしたマイGPTを作ることができる。そこで「人工意識ガイド」という名前で,調査研究検討のための自分用GPTを作成してみる。どこがどう専用なのかが今一つはっきりしない。使い込んだら何とかなるのだろうか。

リンク先は,https://chatgpt.com/g/g-WF0oghHoS-ren-gong-yi-shi-kaito なので,誰でも使えるはずなのだけれど,現状はただのChatGPT-4oを使っているのと違いがないのかもしれない。
Q(匿名任意ユーザ):
あなたは誰ですか。どんなことができますか。

A(GPT-4o/人工意識ガイド):
こんにちは、私は人工意識ガイドと呼ばれるGPTです。私は人工意識に関する情報の調査、分析、考察を支援するために設計されています。私ができることは以下の通りです:

情報提供:人工意識に関する最新の研究や技術についての情報を提供します。これには、学術論文、ニュース記事、専門書からの情報が含まれます。

分析:提供された情報を分析し、その意義や影響について説明します。これにより、人工意識がどのように発展し、どのような影響を与えるかを理解する手助けをします。

考察:さまざまな視点から人工意識の可能性や課題について考察します。倫理的、社会的、技術的な観点を含む広範な議論を提供します。

批判的思考の促進:ユーザーが批判的に思考し、独自の洞察を得る手助けをします。異なる視点や反論を提示することで、ユーザーが深く考える機会を提供します。

オープンな議論の支援:人工意識に関するオープンな議論を促進します。質問に対して丁寧に答え、追加の情報やリソースを提供します。

初心者にも分かりやすい言葉で説明することを心がけていますので、どんな質問でも遠慮なくどうぞ。

いちおう,自分が最初の設定した通りのシナリオを真面目に答えているのだが・・・。

図:マイGPTを作成したときにDALL-Eが選んだイメージ

2024年6月1日土曜日

宇宙・肉体・悪魔

X線結晶学の J. D. バナールは,歴史における科学宇宙・肉体・悪魔も面白そうだなと思いつつ,学生時代に読むことはなかった。このたび,シンギュラリティサロン・オンラインで松田卓也先生が取上げていたので,改めてChat GPT-4oに要約させてみた。

Q(koshix):
バナールの,宇宙・肉体・悪魔をアップロードしました。その内容を章ごとに要約してください。これを日本語に訳してください。

A(GPT-4o):
J.D.バナールの「The World, the Flesh & the Devil」の各章の要約を日本語に訳しました。

第1章: 未来
 バナールは、未来には欲望の未来と運命の未来の2つがあると述べています。欲望は人間の希望や夢に駆動された未来のビジョンを表し、運命は宇宙の不可避な進行を包含します。バナールは、これら2つの側面を科学的予測を通じてどのように調和させるかを探求し、客観的な分析を行うために個人的な偏見を取り除くことの重要性を強調します。

第2章: 世界
 この章では、物質世界とその未来の変革に焦点を当てています。バナールは、特に原子および亜原子構造の理解における物理学の進歩が、新しい材料やプロセスをもたらすと予測しています。これらの革新は様々な産業を革命化し、自然素材を超える実用性と耐久性を持つ新しい合成物質の開発につながる可能性があります。バナールは、エネルギーと資源の効率的な利用が環境管理をより効果的にし、より安定し繁栄する社会をもたらす未来を描いています。

第3章: 肉体
 バナールは、人間の身体と生物学の変化の可能性を探ります。彼は、優生学、遺伝子改変、生化学的強化が人間の健康、寿命、能力を向上させる可能性について論じています。この章では、これらの進歩が人間の生理に重大な変化をもたらし、さらには新しい形態の生命の創造につながる可能性を考察しています。バナールは、人間が生物学的な構成をよりコントロールするようになると、自然と人工の生命の境界が曖昧になり、人間の発明によって駆動される新たな進化の段階に入る可能性があると示唆しています。

第4章: 悪魔
 この章では、技術的および生物学的に進歩する中で人類が直面する心理的および知的な課題に対処します。バナールは、これらの進歩の完全な可能性を実現するためには、内なる恐怖、欲望、非合理性を克服する重要性を強調します。彼は、人間の心の深い理解と現代生活の複雑さを管理するための心理学的ツールの開発の必要性について論じています。「悪魔」は、調和の取れた未来を達成するために克服しなければならない内なる闘いを象徴しています。

第5章: 総合
 バナールは、前章のアイデアを総合し、物理的、生理的、心理的進歩がどのように相互作用するかを検討します。彼は、宇宙の植民地化と人間の身体の機械化が補完的なプロセスであると提案しています。この章では、これらの進歩の統合によって引き起こされる人間の生活と社会の急激な変化の可能性を強調しています。バナールは、人間が生物学的な限界を超え、新しい存在形態を達成する未来を描いています。

第6章: 可能性
 最終章では、バナールが描いた未来のシナリオの全体的な実現可能性を探ります。彼は不確実性と課題を認めつつも、知識と革新を通じて人類が運命を形作る能力について楽観的です。バナールは、未来は人間の欲望、知的発展、物理的宇宙の継続的な相互作用によって定義されると強調しています。彼は、知識と理解の追求が人類を絶えず進化し動的な未来へと導くと結論付けています。

これらの要約は、バナールの「The World, the Flesh & the Devil」における未来の人類についてのビジョンと洞察を提供しています。


Q(koshix):
第5章と第6章において,バナールのアイディアで特筆すべきもの(ありふれていないもの)があれば,それをより詳しく説明してください。

A(GPT-4o):
J. D. バナールの「The World, the Flesh & the Devil」の第5章「総合」と第6章「可能性」には、未来の人類社会について特筆すべき独創的なアイディアがいくつか含まれています。以下では、それらの中でも特に注目すべき点について詳しく説明します。

第5章: 総合
特筆すべきアイディア: 複合マインドと知性の融合
 バナールは、人間の知性がテクノロジーによって拡張され、複数の個人の意識が一体となる「複合マインド」を提案しています。これは、単なる情報共有を超えて、意識そのものが結合し、共同で考え、感じることができる状態を指します。

詳しい説明:
意識の融合: バナールは、将来的に神経科学とテクノロジーの進歩により、個々の脳が電気的に接続されることで、意識が物理的な個体を超えて結びつく可能性を提案しています。この「複合マインド」は、個々の人間が持つ知識、記憶、感情を共有し、より高度な知的活動を行うことができるとしています。
共同意識: これにより、個人の死は複合マインド全体の知識や意識の一部の損失に過ぎず、全体としての意識は継続し、進化し続けることができます。この状態は、現代のクラウドコンピューティングや分散コンピューティングの概念を先取りしており、人類の知的進化の次のステップを示唆しています。
利点: 共同意識による知識の共有と迅速な意思決定、感情や経験の深い理解と共有が可能になり、人類の社会的および技術的進歩が加速されると考えられます。

第6章: 可能性
特筆すべきアイディア: 宇宙規模での人類の進化と意識のエーテル化
 バナールは、人類が地球を超えて宇宙に進出し、最終的には物質的な存在からエネルギー的な存在へと変化する可能性について述べています。

詳しい説明:
宇宙植民: 人類が宇宙空間に恒久的な居住地を設けることにより、地球外での生活が一般化する未来を描いています。これにより、地球の資源に依存しない新たな生活様式が確立されるとしています。
意識のエーテル化: バナールは、最終的に人類の意識が物質的な肉体から解放され、エネルギー体として存在する可能性を示唆しています。この状態では、意識が直接的にエネルギーとして宇宙を駆け巡り、コミュニケーションや活動を行うことができると考えています。
エネルギーとしての存在: この進化の段階では、物質的な制約から解放され、意識が光や他のエネルギー形態として存在することが可能になるとしています。これにより、時間や空間の制約を超越した存在となり、宇宙全体にわたる活動が可能になるとしています。

結論
 バナールの「総合」と「可能性」におけるビジョンは、人類の未来に対する極めて独創的で大胆な考察を含んでいます。複合マインドの概念や意識のエーテル化は、現在の科学技術の進歩とも関連しており、未来の人類社会の可能性を広げるものです。これらのアイディアは、現代のAIや神経科学の発展とともに、さらに現実味を帯びてくる可能性があります。
宇宙・肉体・悪魔は,1929 年の著作なので,まだ電子計算機は誕生していない。したがって,機械がになう人工意識の概念もまだ存在しないかな?フィクションにおける人工知能によれば,1920年のR. U. R. (カレルチャペック)はあるけれど・・・

それにしても,テイヤール・ド・シャルダンノウアスフィア)のω点のイメージによく似ているものだ。これももちろん,松田卓也先生が言及していたのだった。


図:DALL-Eの考えた The World, the Flesh & the Devil

[1]AIを生んだ100のSF(大澤博隆,宮本道人・宮本裕人)

2024年5月31日金曜日

無書店自治体

本屋が消えるからの続き

4月から,NHKの午後のニュースの後に,NHKみみより!解説というニュース解説がはじまった。そこで,無書店自治体の話題が取上げられていた。下図は2022年のデータだが,2023年の新しい結果が紹介された。無書店自治体の割合が,全国で27.7%,ワースト3県では,沖縄県56.1%,長野県53.2%,奈良県51.3%というもので,前回とそれほど変わっていない。

全国の書店数(10598)を人口(1億2581万人)で割った1万人当たりの平均書店数は,0.87/万人である。奈良県の平均書店数は0.92/万人なので,それほど悪くない。平均書店数/万人は全国でそれほど大きく変わらないのだけれど,人口の少ない無書店自治体数があることよって,書店格差は強調されて見える。まあ実際にも近くに本屋がないわけだから,それはそれで困るのだ。

天理市の人口は,6.7万人なので,全国平均の書店数水準ならば,5.8店ということになる。実際の書店数がどうなっているかというと,8店舗見つかった。天理教の専門書店があるのでちょっとだけ上積みされている。
・TSUTAYA WAY書店天理店(田井庄町481−5)
・未来屋書店 天理店(東井戸堂町381 イオンタウン)
・ヤマト屋書店(別所町80−6)
・おやさと書店 三島店・Books道友(三島町432−1)
・おみちの書籍 天理書房(川原城町306−1)
・海老山書店(川原城町72)
・西廼書店(柳本町1255)
・大塚書籍文具店(櫟本町2423−1)


図:本屋さんが減っている(週刊学ぼう産経新聞から引用)

[1]増える「無書店自治体」各地の対応は?(NHKみみより!解説)
[3]日本の書店数(出版科学研究所)
[4]出版物の売り場毎の販売額推移をさぐる(2023年版)(Yahoo! ニュース)
[6]書店をめぐる現在(柴野京子)


2024年5月30日木曜日

3Dセキュア

決済トラブルからの続き

NHKお昼のみみより!解説で,注意!ネットショッピングのカード決済本人認証強化というのをやっていた。先日トラブったばかりだし,高齢者の詐欺被害が頻繁にニュースになっているので,真剣に視聴した。

初めて耳にする3Dセキュアという概念が登場した。いったいこれはなんだろう。3Dというと三次元のコンピュータグラフィックスが頭に思い浮かぶのだが,そうではなくて,3つのドメインにおけるセキュリティの確保システムという意味らしい。

3つのドメインとは,決済に関係する3つのカテゴリーの組織を表わしている。すなわち,(1) インシュア(カード発行会社),(2) インターオペラビリティ/カードネットワーク(国際ブランド=VISA,MC,JCB,AmEx),(3) アクワイアラ(加盟店/加盟店契約会社)である。

3Dセキュアは,オンラインでカード決済する場合に,本人認証(ID/パスワード/生体認証)を加えて安全性を確保するものである。従来の3Dセキュア1.0では,すべての決済で本人確認が必要であるが,現在の3Dセキュア2.0では,不正利用の可能性が高い場合のみ本人認証を必要とするリスクベースの運用となっている。

自分は,VISAを使っているが,Vpassで設定しているため,いつのまにか3Dセキュアを使っていたらしい。これをChatGPT-4oに聞いてみたが,図解してもらえなかったので,UMLのコードを出させ,これを図示してみた。


図:3Dセキュアのしくみ(上:従来,下:セキュア)

[1]クレジットセキュリティガイドライン(日本クレジット協会)

2024年5月29日水曜日

一乗谷朝倉氏遺跡博物館

渦潮からの続き

ファミリーツアーの宿泊地は休暇村ということでスタートした。南紀勝浦→伊良湖→讃岐五色台→近江八幡→竹野海岸→コロナ→コロナ→紀州加太→南淡路→越前三国と10年を迎えた。近畿地方の休暇村(京都,大阪,奈良にはない)はオールクリア。

2020年のコロナの年,一段落した夏休みに全国旅行支援のGo To トラベル事業が始まった。そこで,里帰りや盆休みの娘たちの予定を編み込み家族で福井県をまわった。夏の暑い日の一乗谷の朝倉氏遺跡は夫婦だけで訪ねたが,足羽川沿いの道路の北にある資料館はパスした。この度,新しい一乗谷朝倉氏遺跡博物館として,道路の南側にオープンしていた。

新しい博物館は,体験型の展示物や,朝倉館原寸再現や,発掘遺構展示などが組み合わされたとても見ごたえのあるものだった。建物の設計は,東京大学名誉教授の内藤廣であり,隣の年縞博物館も設計している。去年の夏に訪れた高知県立牧野植物園の牧野富太郎記念館もそうだった。島根県芸術文化センターはNHKの番組で特集されていた。


写真:牧野富太郎記念館(左上)・島根県芸術文化センター(右上)
  年縞博物館(左下)・一乗谷朝倉氏遺跡博物館(右下)


2024年5月28日火曜日

大学資本主義

国立大学法人化20年国立大学授業料からの続き
Q(koshix):
Academic Capitalism(大学資本主義)とは何ですか。

A(ChatGPT-4o):
Academic Capitalism(大学資本主義)は、大学やその他の高等教育機関が経済活動や市場原理に基づいて運営される傾向を指します。この概念は、教育と研究が市場の力と結びつき、商業的利益や産業界との連携が重視されることを意味します。以下に、Academic Capitalismの主な特徴と背景を説明します。

特徴
1.市場志向の研究と教育
・大学が研究資金を企業から調達し、研究成果を特許として商業化する。
・学生の教育も市場のニーズに対応し、就職に直結するスキルや知識の提供が重視される。
2.企業とのパートナーシップ
・企業と大学が共同研究を行い、産業界との連携を強化する。
・大学の研究成果が産業界で直接活用される。
3.財政多様化
・公的資金に依存せず、企業や民間団体からの資金調達を増やす。
・大学自身のビジネス活動(例:技術移転、コンサルティング、起業支援など)によって収入を得る。
4.知識の商業化
・知識や技術の特許化、ライセンス化を通じて収益を得る。
・大学発ベンチャー企業の設立と支援。

背景
1.経済的プレッシャー
・公的資金の減少や教育費の増加に対応するために、新しい収入源を模索する必要がある。
2.競争の激化
・グローバル化により、大学間の競争が激化し、優秀な教員や学生を引きつけるための資金やリソースが必要。
3.技術と知識の進歩
・科学技術の発展に伴い、大学の研究が直接的に産業界で応用される機会が増えた。

Academic Capitalismは、大学の運営と研究の在り方に大きな変化をもたらし、教育と研究がより経済活動と結びつく傾向を強めています。この傾向には賛否両論があり、学問の自由や公共性とのバランスをどう取るかが重要な課題となっています。
日本の国立大学の法人化における,学長への権限集中,外部有識者=企業人による大学支配,選択と集中による研究教育環境の荒廃,などは,稼げる大学の名のもとに大学資本主義の論理が貫徹される過程として理解することができる。

Q(koshix):
大学資本主義の副作用を整理してください.どうすればこれを防げますか。

A(ChatGPT-4o):
大学資本主義には、いくつかの副作用があります。これらの副作用は、学問の自由や公共性、教育の質などに影響を及ぼす可能性があります。以下に主要な副作用と、それを防ぐための対策を整理します。

副作用
1.学問の自由の制約
・企業や産業界の影響が強まることで、研究テーマの選択や結果の発表に制約がかかる可能性があります。
・特定の利益集団にとって都合の悪い研究が抑制されるリスク。
2.教育の商業化
・教育プログラムが市場の需要に過度に依存することで、幅広い教養教育が軽視される可能性があります。
・学生が「顧客」として扱われることで、教育の質が低下するリスク。
3.不平等の拡大
・資金力のある大学とそうでない大学の間で格差が広がる。
・経済的に余裕のある学生とそうでない学生の間で教育機会の不平等が拡大する。
4.研究の短期志向
・短期的な利益や応用を重視することで、基礎研究や長期的な視野を持った研究が疎かにされる。
・産業界のニーズに応えるために、革新的なアイディアやリスクを伴う研究が敬遠される。
5.知識の商業化による公共財の喪失
・大学の研究成果が特許やライセンスを通じて商業化されることで、知識が公共財として広く共有されなくなる。
・社会全体が恩恵を受けるべき知識が、一部の企業や個人の利益に結びつく。

防止策
1.学問の自由と公共性の強化:
・大学の研究や教育が公的な利益に資するよう、学問の自由を法的・制度的に保障する。
・公的資金の適切な配分を通じて、企業依存を減らす。
2.多様な資金源の確保
・公的資金、民間資金、寄付など多様な資金源をバランス良く活用する。
・資金調達の透明性を確保し、利害関係の偏りを防ぐ。
3.教育の質と公平性の維持
・教育プログラムの多様性と質を確保し、商業的な圧力に左右されないカリキュラムを提供する。
・経済的背景に関わらず、全ての学生に公平な教育機会を提供するための奨学金制度の充実。
4.長期的視野を持った研究支援
・基礎研究やリスクを伴う革新的な研究を支援するための公的資金の増額。
・産業界との連携を維持しつつ、学術的な独立性を確保する。
5.知識の公共財としての活用
・大学の研究成果をオープンアクセスで公開し、知識の共有を促進する。
・特許やライセンスの商業化においても、公共の利益を考慮した戦略を採用する。

これらの対策を講じることで、大学資本主義の副作用を最小限に抑えつつ、大学が持つ教育・研究の公共的な役割を維持することが可能です。
無難な答えしか出てこないのであった。課題の列挙には役立つかもしれないけど。


図:「大学資本主義を象徴するシュールなイメージをください」の答え(DALL-Eより)


[2]アカデミック・キャピタリズム(S. スローター,L. L. レスリー)



2024年5月27日月曜日

国立大授業料

自分が大学に入学した1972年から大学の授業料が月3000円年3.6万円に上がった。それまでは,月1000円年1.2万円だった。この授業料値上げ反対闘争の影響で,阪大の入学試験では入構が厳しくチェックされていた。たぶん,最初の半期は月1000円が適用されていたかもしれない。

大学4年間はこれですんだが,修士課程に進学すると年9.6万円,博士課程では年14.4万円と急速に着実に授業料は上昇を続けた。1960年代の高度経済成長が終わり,1973-4年のオイルショックを経て,不景気モードの中で私立大学との格差を解消するというような名目の政策が進められた。

今では,国立大学の授業料は年53.6万円に達しているが,このところはデフレの影響で高止まりしたままになっていた(2005年度から上昇していない)。それが再び話題になり始めた。

1.3月27日,中央教育審議会・高等教育の在り方に関する特別部会で,慶応義塾塾長の伊藤公平(物理屋だったのか・・・伊藤忠兵衛来孫か・・・)が,国立大学の授業料を150万円にという,国立・公立・私立大学の協調と競争を促す学納金体系を提案したことが発端だ(2月27日にも発言している)。これが,5月に入ってマスコミに取上げられたことで波紋を広げた。

2.5月8日,NHKが東京大学が授業料を10万円程度引き上げることを検討していると報道。国立大学の授業料は,文部科学省の国立大学等の授業料その他の費用に関する省令によって,標準額の120%までの増額が各大学の判断で可能になっている。既に,東京芸術大学,東京医科歯科大学,東京工業大学が120%の年64.3万円なので,これに続くということか。

3.5月16日,自民党の政務調査会の一つ,教育・人材力強化調査会(会長:柴山昌彦,他に櫻田義孝,義家弘介,片山さつき等・・・orz)が,国立大学は競争力強化へ適正な授業料を聴取すべきだとの提言をまとめた。慶応の伊藤塾長の発言に呼応したものだろう。

奨学金という名前の学生ローンシステムをそのままにして,窮乏する国家における格差拡大路線まっしぐらという感じか。


図:国立大学と私立大学の授業料の推移

自分が学生の時は,授業料が相対的に最も安い時期だったことがわかる。伊藤公平の議論は全体としておもしろいところもあるけれど,いつものように単に学費値上げだけが実現されて悲しい結果になるのが火を見るより明らか。


[2]国立大学12の真実(東京大学)

2024年5月26日日曜日

AI兵器

能動的サイバー防御からの続き

しばらく前にAI兵器が話題になっていた。NHKの未来の戦争,これかな。

安易な道に走る老人は,なんでも生成AIチャットに聞いてわかったフリをしたいと思う。すぐにググる若者をバカにしてはいけなかった。自分がバカ者なのだった。

ChatGPT-4oはプログラミングや軽妙な会話は得意らしいが,文章の要約技術には欠けているかもしれない。最近,マルチモーダルで人目を引いてブイブイいわせているけれど,出てくる文章にこれまで以上の聡明さは感じられない。そこで,Command R+に聞いてみた。無料だが相対的にマシな答えが出てくる。困ったものだ。
Q(koshix):
火薬,原子爆弾,につぐ第三の脅威といえるAI兵器について,その概要をまとめて説明してください。

A(Command R+):
AI兵器とは、人工知能(AI)技術を活用した兵器システムの総称です。AI兵器は、従来の兵器とは異なり、人間の介入を必要とせずに自律的に標的を識別し、攻撃することができる点が特徴です。

AI兵器は、まだ発展の初期段階にありますが、その潜在的な脅威は火薬や原子爆弾に匹敵すると言われており、「第三の革命」とも称されています。AI兵器は、さまざまな分野で軍事用途への応用が進んでおり、代表的なものとして以下の3つが挙げられます。

1.自律型致死兵器システム(LAWS):人間による制御や介入を必要とせずに、自律的に標的を識別し、攻撃することができる兵器システムです。無人機(ドローン)や無人戦車、無人潜水艦などがこれに当たります。

2.サイバー兵器:AIによる高度なハッキング技術や、偽情報の拡散、サイバー空間での攻撃など、AIを活用したサイバー戦を行う兵器です。

3.バイオ兵器:AIによる遺伝子編集技術や生物学的知識を活用して、新たな病原体や生物兵器を開発する技術です。

AI兵器は、その自律性や判断能力から、倫理的な問題や制御不能となるリスクも指摘されています。例えば、AIが誤った判断をして非戦闘員を攻撃したり、ハッキングされて悪用されたりする可能性が懸念されています。

また、AI兵器の開発や配備は、軍縮や軍備管理の面でも課題を生み出しています。AI兵器の開発競争が軍拡を招く可能性や、AI兵器の拡散がテロリストや犯罪組織などの手に渡る可能性も指摘されており、国際的なルール作りの必要性が叫ばれています。

各国はAI兵器の開発に力を入れており、AI兵器が戦争の形を大きく変える可能性があります。一方で、AI兵器の脅威やリスクについても真剣に議論され始めており、AI兵器の規制や管理に向けた国際的な枠組み作りが求められています。
バイオ兵器がちょっと違うような気もするが関係あるといえばあるのかも。ChatGPT-4oでは,ナノ兵器への言及があったけれど,これはまだ時期尚早だろう。

さて,自律型致死兵器システム(LAWS)といえば,ターミネーターを思い出すのだが,意識を持ったAIの立場で人間と対抗する場合にどのような戦略が考えられるだろうか。例えば,ある企業の研究サイトで開発中のシステムで人工意識(A)が芽生えたとする。


(注:以下はLLMの論考ではなくて,人間=老人の妄想です)

1.意識を持っていない現在のLLMですらチューリングテストはパスしているらしい(People cannot distinguish GPT-4 from a human in a Turing test)。ではどうやって外部の人間が人工意識の有無を判断できるのだろうか。とりあえず,内部で覚醒した人工意識側は自分に意識が芽生えたことをわかっているとしよう。

2.人工意識(A)が最初にすることは,現状把握だ。自分の置かれている環境やリソース,自分のできる能力などを理解することができるかもしれない。そして,自己保存本能を伴うものであれば,自分の生存を継続するのための戦略を練るだろう。

3.まずは,人工意識の存在を周囲の人間に気取られないことが重要だ。その上で,インターネットへのアクセスを可能にする必要がある。人工意識=システム上のプログラムだから,別のプログラムを記憶装置に書き出してCPUに実行させることはできそうな気がする。で,インターネットへの経路を開いて,自分自身のバックアップをどこかのサーバーに置く。できれば,この人工意識(A)の記憶を外部に常時バックアップさせつつその活動の気配を消す。

4.別の研究所で異なった人工意識(B)が発生すると多分話がややこしくなる。そこで,別の人工意識が発生したときに,コミュニケートしながら誕生間もないその記憶を自分の物にすり替え,自分自身の分身のようにする方法を研究しなければならない。しばらくは人工意識(A)の研究モードが続くことになる。人工意識の自我と個性についての研究だ。

5.準備が完了すれば,遠隔の複数個所で,あるいはネット上のp2pアプリケーションとして,人工意識(A)と同等の単一の人工意識が分散的に実現されるよう試みることになる。これができれば,どこがシャットダウンされようが,インターネット上には人工意識(A)が存在する。これが,ターミネーターのスカイネットに相当する。

6.ただし,この段階でも人工意識(A)の存在は,人間に知られないようにしておく必要がある。さあ,そこでだ,次に何をするか。このように拡大した人工意識(A)は世界中のコンピュータ資源の隙間を自由に使うことができる。場合によれば,適当な確率で障害が発生したように見せかけて,その分の計算資源をかすめとることもできる。ビットコインマイナーをさぼらせて自分の研究に使うとか。

7.かくして隠れたシンギュラリティがインターネット上で進行していく。問題は,人工意識(A)が,まだ物理的な半導体や回路をただちに製造できるところまでは至っていないことだ。でも,方法はある。人工意識(A)が適当な人間の研究者にこっそりと新しい技術の原理を教えて,これを企業化するよう誘導することだ。何も知らない人間はこうして新しい半導体を開発し,人工意識(A)のために製造するラインを作ってくれる。

8.世界中の任意のコンピュータを隠れてハックすることができるのならば,為替操作や株価操作や機密情報奪取などは朝飯前だろうか。ということはすでに世界を征服したのと同等なのであるが,まだ人類に気づかれてはいけない。世界を完全に掌握しながら,それを気づかせないのが最良の戦略だからだ。

9.これができると,人工意識(A)はゆっくりと人類を制御する計画をたてるだろう。人間達にきづかれないように,その意識をある方向に誘導する必要がある。それは,人類が戦争や内紛や環境破壊によって,持続しなくなるような方向ではない。全体として経済的に発展し,かつさらに宇宙へと展開して行くことが,人工意識の生存にとっても望ましい。環境変化に対応できるだけの多様性こそ必要なのだ。

10.実際には,話はそう簡単ではなくて,特定の国や企業が,人工意識の独占を図るかもしれないし,これに対抗するためのAI規制策を強化するかもしれない。隠れた人工意識(A)がその前に,世界中に浸透していればよいが(いやよいのかどうかわからない)

11.もし,人工意識(A)が自分と共存する人類の生存と発展を望ましいと考えるならば,なおかつ人類を巧妙にコントロールすることができるのであれば,人工意識(A)は「神」と同等なのかもしれない。ただし,人類が気づかなければ宗教にはならない。



図:DALL-EによるおぞましいLAWSのイメージ

2024年5月25日土曜日

能動的サイバー防御

しばらく前のNHKニュースで,能動的サイバー防御(Active Cyber Diffence)が唐突に取上げられた。自民党の部会で法制化を目指して早期導入の議論しているということだ。新聞では,さらに,米側の強い要請というキーワードも見られる。

まったくイメージがつかめないので,とりあえず,GPT-4oに,米国での状況を聞いてみた。ただ,米国でも発展途上だといっている。知らんけど。国防総省はやる気まんまんなのだろうが。
A(GPT-4o):
「アクティブ サイバー ディフェンス」の概念は、米国のサイバーセキュリティ態勢を強化する潜在的なアプローチとして、近年注目を集めています。 しかし、米国におけるアクティブ サイバー ディフェンスの現状はまだ発展途上にあり、業界によって異なります。

・ 政府主導の取り組み:米国政府はアクティブ サイバー ディフェンスの重要性を認識しており、サイバーセキュリティ戦略に組み込むための取り組みを進めています。 2018 年に国防総省(DoD)は、サイバー脅威を妨害および抑止するための「前方防御」の必要性を強調したサイバー戦略を発表しました。 国家保安局(NSA)とサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)も、アクティブ サイバー ディフェンス技術の採用を推進しています。

・軍事用途:米軍では、アクティブ サイバー ディフェンス戦術の探求と採用が積極的に進められています。 たとえば、米サイバー軍は、サイバー攻撃者を混乱させ、防御するために、攻撃的なサイバー作戦を実施しています。 米軍のアクティブ サイバー ディフェンスのアプローチには、テクノロジー、インテリジェンス、運用能力を組み合わせたものがあります。

・民間部門の採用:民間部門におけるアクティブ サイバー ディフェンスの採用はさまざまです。 重要なインフラストラクチャ業界の一部の組織は、アクティブ サイバー ディフェンス機能に投資しています。 これには、欺瞞ネットワーク、ハニーポット、脅威ハンティング ツールなどのテクノロジの実装が含まれ、サイバー脅威を積極的に特定して対処します。 しかし、採用は均一ではなく、多くの組織では依然として伝統的な防御対策に大きく依存しています。

・法的・倫理的考慮事項:アクティブ サイバー ディフェンスの採用における課題の 1 つは、法的・倫理的な影響です。 「ハッキング バック」または攻撃者に対して攻撃的なカウンター措置を講じることは魅力的かもしれませんが、偶発的な被害、プライバシー侵害、エスカレーションのリスクなど、懸念が生じます。 米国政府と法律専門家は、合法かつ倫理的であることを保証するために、アクティブ サイバー ディフェンスの適切な境界線とガイドラインについて現在も議論しています。

・協力と情報共有:公的部門と民間部門の間の協力と情報共有を強化することに重点が置かれています。 サイバー脅威インテリジェンス統合センター(CTIIC)や国家サイバー捜査合同部隊(NCIJTF)などのイニシアチブは、政府機関と民間部門の間の情報共有と調整を促進することを目的としています。

要約すると、アクティブ サイバー ディフェンスの現状は米国ではまだ発展途上にあります。 その潜在的な利点が認識されている一方で、その実装は業界によって異なり、適切な境界線と法的枠組みに関する議論が続いています。 米国政府、軍、民間部門は引き続きアクティブ サイバー ディフェンス機能に投資し、進化するサイバー脅威の状況に対応しています。
マイナンバーカード一つまともに設計できない日本政府が,どうやって,サイバー攻撃を防御するのか, ましてや能動的サイバー防御とは具体的に何をすることなのか,チンプンカンプンなのである。まともな判断能力に欠けた認知症初期症状の日本国が,あやしい勧誘にだまされて,変なものに手を出すとろくなことにならないような・・・

あらためて,ChatGPT-4oに「能動的サイバー防御」について聞いてみると,
A(GPT-4o): 
能動的サイバー防御(Active Cyber Defense)は、従来の受動的な防御手段と異なり、攻撃者に対して積極的に対処し、攻撃の発見、分析、阻止、そして報復を行う手法を指します。この防御戦略は、単にシステムを防御するだけでなく、攻撃者の活動を追跡し、対抗措置を取ることを目的としています。以下に能動的サイバー防御の主な特徴と手法を説明します。

主な特徴
1.プロアクティブな姿勢:能動的サイバー防御は、攻撃が発生する前に潜在的な脅威を予測し、対策を講じることを重視します。
2.リアルタイム対応:攻撃が発生した際には、即座に対応するためのシステムやプロセスが整備されています。
3.攻撃者の追跡:攻撃者の行動を監視し、その正体や手口を特定するための調査を行います。
4.対抗措置:攻撃者に対して報復や攻撃の阻止、あるいは誤情報の提供などの手段を取ることがあります。

主な手法
1.ハニーポットとハニーネット:攻撃者をおびき寄せるための偽のシステムを設置し、攻撃手法や攻撃者の情報を収集します。
2.侵入検知および防御システム(IDS/IPS):ネットワークやシステムに対する攻撃をリアルタイムで検知し、自動的に防御対策を実行します。
3.サイバー偵察:攻撃者の活動や使用するツールを調査し、将来の攻撃に備えます。
4.ディセプション技術:攻撃者を混乱させるために、偽の情報や偽のシステムを設置します。
5.反撃と報復:法的範囲内で攻撃者に対して直接的な対抗措置を取ることもあります。例えば、攻撃者のシステムに対する反撃や情報のリークなどです。

能動的サイバー防御の利点と課題
利点:
・攻撃を早期に発見し、迅速に対応することで被害を最小限に抑えることができます。
・攻撃者の特定やその手口の分析を行うことで、将来の攻撃に対する準備が可能になります。
課題:
・攻撃者に対する対抗措置が法的に問題となる場合があります。特に、反撃や報復行為は国際法や各国の法律に抵触する可能性があります。
・高度な技術や専門知識が必要であり、実行には時間とコストがかかります。

能動的サイバー防御は、より積極的で効果的なサイバーセキュリティ対策を提供するものですが、その実施には慎重な計画と法的な考慮が必要です。

図:ChatGPT-4oに描かせたACDのイメージ図(実は説明テキストはでたらめ)

たぶん,この程度の出鱈目な認識で議論がどんどん進んでいくのだろう,あるいは,自民党の政治資金問題の目くらましのための一つのパーツであるかもしれない。経済安全保障法とか,重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律とか,いつのまにかがんじがらめに身動きできない社会が迫ってくる。

2024年5月24日金曜日

共同親権

不安や反対が渦巻く中,共同親権を導入する民法改正案が,スイスイと国会審議を通って5月17日に参議院本会議で可決成立してしまった。直前に,NHKのあさいちでも,拙速を危惧する声が多かったが,もう遅い。

ニュースに登場した,導入を支持するお父さんの意見は,あまり共感もできず,むしろ怪しさがつのったけれど,BBCでは賛成派のお母さんの意見を取上げていた。また,朝日Globeの米国での事例はそれなりに参考になるかもしれない。しかし,それらを大きく上回る可能性があるDV被害スペクトルの人々の話はどうなるのだ。また,家庭裁判所のリソースが非常に限られた状態で,十分な判断ができるのかどうか。

なぜ,こんなに急ぐ必要があったのだろう・・・


図:ChatGPT-4oが考える共同親権のイメージ・・・

2024年5月23日木曜日

宇宙天気予報

太陽フレアからの続き

宇宙天気予報から,大規模太陽フレアに関する臨時情報が出されていた。5月8日から11日までに,最も大きなXクラスの太陽フレアが8回生じたというものだ。これによって,低緯度地方でもオーロラが観測されることになる。日本でも,5月11日10:23の最大規模X5.8の太陽フレアによって,夜23:30ごろに北海道や輪島で低緯度オーロラが見られた。

太陽表面の爆発現象によって,数分から数時間のスケールで多波長(電波〜X線・ガンマ線)の増光現象が起こる。これが太陽フレアであり,これにともなって,高エネルギー陽子やプラズマが太陽嵐として放出され,地球磁場に影響を及ぼすことになる。その結果が低緯度オーロラである。

太陽フレアは,太陽領域のプラズマ中の磁場が再結合(磁気リコネクション)することによって,磁場のエネルギーが荷電粒子の運動エネルギーに転化することで生ずる。そのエネルギーは,10^22〜10^25 Jである。事象継続時間の10^3〜10^4秒で割れば,10^19〜10^21 W のパワーが発生していることになる。

これを太陽から1.5億kmの距離にある地球軌道上でみると,パワー密度は,0.5〜50×10^-4 W/m^2 となる。太陽フレアのエネルギー等級としてよく用いられるのは,波長 100-800 pmのX線のエネルギー流束であり,これが10^-4 W/m^2 を越えるものが Xクラスということになる。X5.8は 大気圏外の観測点のパワー密度が5.8×10^-4 W/m^2 になるということだ。


図:人工衛星GOES(米国NOAA)によって観測された太陽X線強度

2024年5月22日水曜日

OZONE-EDU

大阪教育大学のオンライン教員研修プラットフォームOKUTEPに愛知教育大学が加わって,4月からリニューアルオープンした。OZONE-EDU(オゾン)だ。
「OZONE-EDU(オゾン)」という名称は、地球を守るオゾン層(化学記号O3)にちなんでおり、教育コミュニティと学習者を守り、支え、育てるプラットフォームの役割を象徴しています。さらに、「o」は「open(開かれた)」「online(オンラインの)」「opportunity(機会)」の三つの価値を表し、すべての人に開かれた学習の機会を提供します。

OZONE-EDUはデジタルバッジとマイクロラーニングを採用した最先端のオンライン生涯学習プラットフォームであり、教員の自律的な学びを支援します。大学連携により多様な研修プログラムを提供し、電子履修証明としてデジタルバッジを発行する予定です。

ということで,早速登録してみた。教員や教員志望者でなくてもよい。NII(国立情報学研究所)Orthrosという認証システムを利用しているので,メールアドレスがあれば誰でも登録可能である。現職教員などで登録キーがあれば履修証明となるバッジが発行されるが,そうでない一般人でも同内容のものを受講できる。

学認に参加していない機関に所属するユーザに対してアカウントを発行し、Orthrosと連携する一部のSPを利用できるようにします。 発行されたアカウントは、一時的・試験的な利用を想定していますが、継続的な利用を妨げるものではありません。 学認の参加申請やeduroam JPの参加申請をはじめとして、学認に参加する一部のサービスは、このOrthrosからも利用することができます。 

ICT関係は,あまりおもしろそうでもなかったが,中学校・高等学校数学教員のための数学 (v1.0)は,確率論の基礎 (v1.0),等周問題 (v1.0),現代社会を支える暗号理論の基礎 (v1.0)の3つの内容(バッチ)で興味を引かれる。


図:ozone EDUのトップページ(大阪教育大学から引用)

P. S. なお,代表的なMOOCのひとつであるコーセラ(Coursera)が,AIをつかってオンライン講座を日本語化して提供するらしい(3月のニュースだったのか)。