リーマンゼータ関数 ζ(s)=∑∞n=11nsは,その零点となるsが負の偶数と,実部が1/2の複素数に限られるというリーマン予想に結びつく重要な関数であり,数理物理学の難しい議論だけでなく,統計力学の入り口のあたりにも少しだけ登場する。
自由電子気体やデバイ模型のあたりの積分の計算に必要となるのが,ζ(2)やζ(4)の値だ。ただし,時間がもったいないので,結果だけ与えて終りたくなる。簡単な導出法は,sinx の級数展開によるもので,バーゼル問題を最初に解いたオイラーの方法だ。
sinx=x(1−x23!+x45!−x67!⋯)=x Π∞n=1(1−x2n2π2)
ここで,両辺の x2n の係数を比較すると,ζ(2n) の値が求まる。例えば,n=1 の場合,−16=−1π2Σ∞n=11n2 ,すなわち,ζ(2)=π26であり,これがバーゼル問題の解であった。
an=1π2n2とおいて,ζ(4)とζ(6)の場合を考えてみたい。θij=1 if i<jotherwise =0,θijk=1 if i<j<kotherwise =0として,対称和の一般的な分解方法を考える。
n=2の場合:
Σijaiaj=Σijaiaj(δij+θij+θji)=Σijaiaj(δij+2θij)
+15!=Σi<jaiaj=Σijaiajθij=Σijaiaj(1−δij)/2=((Σai)2−Σa2i)/2
∴ζ(4)/π4=Σa2i=(16)2−160=190
n=3の場合:
Σijkaiajak=Σijaiajak(δijk+6θijk+3θijδjk+3δijθjk)
−17!=−Σi<j<kaiajak=−Σijkaiajakθijk=−Σijkaiajak(1−δijk−3θijδjk−3δijθjk)/6=−((Σai)3−Σa3i−3{(Σai)(Σa2i)−Σa3i})/6
∴ζ(6)/π6=Σa3i=(67!−(16)3+316⋅90)/2=1945
付録:
X=(Σai)(Σa2i)=Σijaia2j=Σijaia2j(δij+θij+θji)=Σa2i+Σi<jaia2j+Σi<ja2iaj
Y=Σaiajak(θijδjk+δijθjk)=Σi<jaia2j+Σi<ja2iaj
∴X−Σa2i=Y
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