(1)熱力学的なエントロピーS(U,V)を,dS=d′QT で定義する。これを熱力学第一法則の中に埋め込むと dU=TdS−pdV,すなわち,dS=dUT+pdVT となる。
ここに,理想気体の状態方程式 pV=nRT=NkBT と,単原子分子気体の内部エネルギーの表式,U=nCvT=n32RT=N32kBT を代入する。
dS=NkB(32dTT+dVV)∴∫dS=NkB(32∫dTT+∫dVV)
S=S0+NkB(32logTT0+logVV0)=S0+NkBlogT3/2VT3/20V0
(2)一方,統計力学において,自由粒子の小正準集団のエントロピーは,ボルツマンの原理から,S=kBlogW(E)=kBlog∂∂EΩ0(E) δEとなる。
質量mのN粒子系のエネルギーEまでの状態数 Ω0(E) は,N粒子系の6N次元の位相空間の体積を6N次元細胞の体積 h3N と同一粒子が区別できないことによる因子N!で割ったものになり,運動量空間での半径 √2mE の3N次元超球の体積の式を使うと,
Ω0(E)=1h3NN!∫dq∫Σp2i/2m<Edp=VN(2πmE)3/2h3NΓ(3N/2+1)
W(E)=3N2VNN!(3N/2)!(2πmEh2)3/2δEE=3N2(VN)N(2πmE3N/2)3N/2e5N/2δEE
∴S(E)=kBlogW(E)=Nkb{32log(4πmE3h2N)+logVN+52}
=NkBlog(2πmkBT)3/2Ve5/2Nh3
ここで,1T=∂S∂U=∂S∂E=3NkB2Eより,EN=32kBTを用いた。S(E)の式のlogの中身は無次元であり,V/Nがあるので,全体として示量変数ではないことが保証されている。
理想気体の熱力学的エントロピーと統計力学的エントロピーは,ともに NkBlogT3/2V+const.の形をしているが,定数部分まで含めて同じかどうかがよく理解できていない。
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