月曜の授業の予習シリーズ。
位相空間(μ空間)の細胞に含まれる状態数は,プランク定数をhとして,dn=1h3dxdydzdpxdpydpzである。電子のようなスピン1/2のフェルミ粒子を考えると,位相空間の各状態にスピンアップとダウンの2状態がともなう。そこで,単位体積をとって,運動量空間細胞に含まれる状態数は dn′=2V0∫Vdn=2h3dpxdpydpz=8πh3p2dpとなる。ただし,p2=p2x+p2y+p2z。粒子の質量をm,エネルギーをw=p22m, p=√2mwとすると,dw=pmdp より,dn′=8πh3√2m3w dw となる。
この系のフェルミ分布関数は,f(wi)=[exp(wi−wFkT)+1]−1である。ただし,kはボルツマン定数,Tは系の絶対温度,wFはフェルミ準位を表わす。これから,エネルギーの分布関数は,N(w)dw=8πh3√2m3w[exp(w−wFkT)+1]−1dwとなる。これを速度空間の表式にひきもどして,vx,vyで積分すると vzの分布関数が得られる。
そこで,次の関係式に留意する。∫∞−∞dvx∫∞−∞dvy∫∞−∞dvzf(vx,vy,vz)=4π∫∞0f(v2) v2dv
w=m2v2,dw=mv dvなので
4π∫∞0f(v2)v2dv=4π∫∞0f(v2)vmdw=∫∞04πf(v2)√2wm3dw
そこで,N(w)dw=4πf(v2)√2wm3dw とおけば,f(v2)=N(w)14π√m32w となるので, vzの分布関数 N(vz)dvzは次式で与えられる。
N(vz)dvz=∫∞−∞dvx∫∞−∞dvyf(vx,vy,vz)dvz=∫∞−∞dvx∫∞−∞dvyN(w)14π√m32wdvz
=∫∞−∞dvx∫∞−∞dvy2m3h3[exp(w−wFkT)+1]−1dvz
vx,vy平面での積分を2次元の極座標によって実行するため,u2=v2x+v2yとおいて,dvxdvy=2πuduとなる。
∴N(vz)dvz=4πm3h3∫∞0duu[exp(m2(u2+v2z)−wFkT)+1]−1dvz
=4πm3h3∫∞012dt[exp(m2(t+v2z)−wFkT)+1]−1dvz
ここで,a=exp(m2v2z−wFkT),b=m2kTとおけば,必要な積分は∫∞01aexp(bt)+1dtとなり,その値は 1blog(1+1/a) である。これより,N(vz)dvz=4πm2kTh3log(1+exp(wF−m2v2zkT))dvz
これらの分布関数をMathematicaでプロットすると次のようになる。
f[w_, kT_] := Sqrt[w]/(Exp[(w - 1)/kT] + 1)Plot[Table[f[w, 0.01*k], {k, 1, 10, 2}], {w, 0, 2},PlotRange -> {0, 1}]
g[v_, kT_] := kT/2 Log[(Exp[(1 - .5*v^2)/kT] + 1)]
Plot[Table[g[v, 0.01*k], {k, 1, 10, 2}], {v, 0, 2},PlotRange -> {0, 0.5}]
0 件のコメント:
コメントを投稿