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2022年4月29日金曜日

フェルミ分布

月曜の授業の予習シリーズ。

位相空間(μ空間)の細胞に含まれる状態数は,プランク定数をhとして,dn=1h3dxdydzdpxdpydpzである。電子のようなスピン1/2のフェルミ粒子を考えると,位相空間の各状態にスピンアップとダウンの2状態がともなう。そこで,単位体積をとって,運動量空間細胞に含まれる状態数は dn=2V0Vdn=2h3dpxdpydpz=8πh3p2dpとなる。ただし,p2=p2x+p2y+p2z。粒子の質量をm,エネルギーをw=p22m, p=2mwとすると,dw=pmdp より,dn=8πh32m3w dw となる。

この系のフェルミ分布関数は,f(wi)=[exp(wiwFkT)+1]1である。ただし,kはボルツマン定数,Tは系の絶対温度,wFはフェルミ準位を表わす。これから,エネルギーの分布関数は,N(w)dw=8πh32m3w[exp(wwFkT)+1]1dwとなる。これを速度空間の表式にひきもどして,vx,vyで積分すると vzの分布関数が得られる。

そこで,次の関係式に留意する。dvxdvydvzf(vx,vy,vz)=4π0f(v2) v2dv

w=m2v2dw=mv dvなので

4π0f(v2)v2dv=4π0f(v2)vmdw=04πf(v2)2wm3dw

そこで,N(w)dw=4πf(v2)2wm3dw とおけば,f(v2)=N(w)14πm32w となるので, vzの分布関数 N(vz)dvzは次式で与えられる。

N(vz)dvz=dvxdvyf(vx,vy,vz)dvz=dvxdvyN(w)14πm32wdvz

=dvxdvy2m3h3[exp(wwFkT)+1]1dvz

vx,vy平面での積分を2次元の極座標によって実行するため,u2=v2x+v2yとおいて,dvxdvy=2πuduとなる。

N(vz)dvz=4πm3h30duu[exp(m2(u2+v2z)wFkT)+1]1dvz

=4πm3h3012dt[exp(m2(t+v2z)wFkT)+1]1dvz

ここで,a=exp(m2v2zwFkT)b=m2kTとおけば,必要な積分は01aexp(bt)+1dtとなり,その値は 1blog(1+1/a) である。これより,N(vz)dvz=4πm2kTh3log(1+exp(wFm2v2zkT))dvz

これらの分布関数をMathematicaでプロットすると次のようになる。

f[w_, kT_] := Sqrt[w]/(Exp[(w - 1)/kT] + 1)
Plot[Table[f[w, 0.01*k], {k, 1, 10, 2}], {w, 0, 2},PlotRange -> {0, 1}]
g[v_, kT_] := kT/2 Log[(Exp[(1 - .5*v^2)/kT] + 1)]
Plot[Table[g[v, 0.01*k], {k, 1, 10, 2}], {v, 0, 2},PlotRange -> {0, 0.5}]


図1:エネルギー分布関数 N(w)

図2:速度分布関数 N(v_z)


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