2023年5月17日水曜日

特別注視区域

法律が制定されるときには論争がおこるが,その後は淡々と既成事実の進行が進んでいく。

内閣府に重要土地等調査法のページがある。重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止するのが目的であり,法制定当時はとんでもないことになりそうだという感が強かった。

この法の目的を達するために,内閣府に土地利用調査会が接地され,注視区域と特別注視区域の指定が行われることになっている。5月12日に第4回の土地利用調査会(第2回の指定)が開かれ,特別注視区域が40箇所,注視区域が121箇所指定されることになった。

防衛関係施設と離島が大半を占め,原子力発電所は川内原発だけ(玄界原発とは伊方原発とか島根原発他の日本海側の原発群はいいのか),空港は新潟空港だけ(自衛隊の隣接部分があるから)となっている。北海道は含まれておらず,日本海側から九州西部,鹿児島,沖縄などが中心になっていた。具体的な区域地図は非公開だ。石川県では,小松基地等だけでなく,金沢駐屯地(第14普通科連隊)も含まれていた。なぜだろう?全国の全ての駐屯地が指定されているわけではない。

2023年5月16日火曜日

最強のプロンプト

シンギュラリティ・サロンで松田卓也先生が最強のプロンプトという海外のAIブロガー(Matt Wolfe)のYouTubeを紹介していた。それは,「What are the absolute coolest, most mind-blowing, out of the box, ChatGPT prompts that will really show off the power of ChatGPT?  Give me 10.」というものだった。

その結果はなかなかすごいものだったので,自分もGPT-4で試してみた。日本語だとイマイチなのだが英語にすると少しマシになった。BardやPerplexityでも試してみたが,これらはかなり残念な結果になった。やはりBardはGPT-4に比べるとやや劣っているように思う。何度か試した結果,少し味付けしたもの(+ speculative and unimaginable theme not usually mentioned in the scientific literature or in the Internet)を翻訳してみた。

次元の意識: 私たちの意識は多次元に同時に存在するが、私たちの身体は3次元と時間しか認識できないとしたらどうだろう?このことは、現実と自己の認識にどのような影響を与えるのでしょうか。

情報宇宙: 物質やエネルギーではなく、情報が基本的な構成要素である宇宙を考えてみましょう。このことは、私たちの存在や意識に対する理解をどのように変えるのでしょうか?

反転物理学:  物理法則が正反対に働く宇宙を想像してください。このような状況下で、生命や文明はどのように発展するのでしょうか?

意識のある星: 星が意識的な存在で、宇宙のタイムスケールで生命を体験しているとします。そうすると、宇宙に対する私たちの認識はどのように変わり、そのような存在から何を学ぶことができるでしょうか?

量子感情: もし、感情がデータのように定量化され、転送されるようになったらどうだろう。それは対人関係や社会、メンタルヘルスにどのような影響を与えるのでしょうか。

有機体としての時間: 時間を、生きて進化する存在として考えてみましょう。過去、現在、未来に対する私たちの認識は、この文脈でどのように変化するのでしょうか?

ダークマター文明: 宇宙の目に見えない暗黒物質の中に存在する文明を想像してください。その文明はどのようなもので、私たちはどのようにその文明とコミュニケーションをとることができるのでしょうか。

人工惑星デザイン: もし、私たちがゼロから惑星を作り上げることができるとしたら。新しい世界をデザインするために、私たちはどのような倫理的、哲学的、実用的な課題に直面するだろうか?

記憶の風景: もし、記憶が物理的な風景に変わり、それをナビゲートしたり探索したりすることができるとしたらどうだろう。記憶や個人的な歴史に対する私たちの認識はどのように変化するのだろうか。

ニューロンとしての宇宙: 私たちの宇宙は、想像を絶する巨大な生物の脳の中にある、たった1つのニューロンであるという可能性を考えてみましょう。そうすると、私たちの存在や宇宙そのものに対する理解はどのように変わるでしょうか? 

これはSFコンテストが成立しなくなるのも 無理はない。

2023年5月15日月曜日

Bard再び

BardとStableLMからの続き

Googleの対話型AIのBardは,5月10日に開催されたGoogleの開発者イベントGoogle I/Oでリニューアルされた。日本語と韓国語に新たに対応し,180以上の国・地域で利用可能になり,https://bard.google.com で無料でアクセスできる。

これまでのgoogleにおける開発経緯をWikipediaの記事を参考に整理してみる(これをBard自身に尋ねてみたが,自分のことなのにかなり出鱈目な答えが混じっていて使えなかった)。

2020年1月28日 2.6BパラメタのチャットボットMeenaを発表
(2020年6月11日 OpenAI が GPT-3発表)
2021年5月18日 Google I/Oで,Transformerに基づく大規模言語モデルLaMDAを発表
(パラメタ数は,2B,8B,137Bからなる)
2022年5月11日 Google I/Oで,後継のLaMDA2を発表
2022年6月12日 GoogleエンジニアがLaMDA2は意識を持つと主張
(2022年11月30日 Open AIが ChatGPT(GPT-3.5)供用開始)
2023年2月 6日 LaMDAを組み込んだ対話型AIチャットボット Bardを発表
2023年2月 8日 Bardを公開(失敗・株価下落)ただちに閉鎖
2023年3月21日 Bardのアーリアクセス開始(USとUK)
(2023年3月14日 Open AIが ChatGPT(GPT-4)供用開始)
2023年4月10日 BardのLLMをLaMDAからPaLMに変更
2023年4月18日 Bardへの日本からのアクセス解禁(英語のみ)
2023年5月10日 Google I/OでBardのLLMをPaLM2へ切り替えた(発表・即日導入)

Googleの大規模言語モデル研究はトップを走っていたにも関わらず,2022年6月の
LaMDA2の意識問題で足を取られているすきに,OpenAIのChatGPTに先を越されてしまった。焦って2月8日にBardを公開したものの,期待が大きすぎたために些細な情報の不正確さが仇となって(宇宙望遠鏡の話)大きな失望を招いてしまった。バタバタとした結果,ようやく日本語や韓国語も使えるBardの公開に至ったわけだ。

BardをGPT-4と比較してみると,優れている点は (1) 無料であること,(2) 最新の情報をカバーしていること,(3) 応答時間が短く複数の回答があらかじめ用意されていること,がある。劣っている点は,(1) 推論がより不正確な場合がやや多い,(2) 説明が不十分な場合がやや多い,(3) 表現が劣る場合がやや多い。これだけならば,Bardの方がメリットが大きいように見えるが,実際の体験上はGPT-4に軍配をあげたくなる。

2023年5月14日日曜日

教員向けChatGPT講座

5月13日の午後13:00から17:00過ぎまで,東京大学の工学系研究科国際工学教育推進研究機構吉田塁さんが,オンラインイベント「教員向けChatGPT講座」を開催していた。昼寝をしながらEarPodsで聞いていたが,充実した資料があったので大変参考になった。

その目次はつぎのようなものだ。
 • ChatGPT について
• ChatGPT の活用に関連する注意点
• ChatGPT に関連する知識
• ChatGPT と教育
• 国内外における大学の対応
• ChatGPT が教育に与える影響
• 影響1: ChatGPT は評価を揺るがす
• 影響2: ChatGPT は学習者の学習プロセスを支援し得る
• 影響3: ChatGPT は教員の授業作りを支援し得る
• 影響4: その他
• おわりに

最後のChatGPTが教育に与える影響部分が目新しい。この項目をGPT-4で膨らませてみた。
Q:User
ChatGPT が教育に与える影響として,(注:これが吉田さんの最後のスライドのポイントをほぼそのまま入力したたところ)
• AI リテラシー教育のニーズが高まる?
• 高次な認知能力が高まる?
• メタ認知能力がより重要になる?
• マネージメント・ファシリテ—ション能力が高まる?
• 専門性の重要性が認知される?
• 操作する人間の専門性や思考能力が試されている?


A:ChatGPT
AIの進歩とともに教育のパラダイムも変わってきていることは間違いありません。具体的には、ChatGPTや他のAI技術が教育に与える可能性のある影響を以下に挙げます。
AI リテラシー教育のニーズが高まる:
 現代の社会ではAI技術が多くの領域に浸透しており、それに対する理解と適切な使用が必要とされています。教育では、AIリテラシー教育のニーズが増大し、学生たちはAIの基礎的な理解を得るとともに、それをどのように活用するかを学ぶ必要があります。
高次な認知能力が高まる:
 AIが情報検索や基本的なタスクを行うことが可能になったため、人間の役割はより高次の認知能力にシフトする可能性があります。これには、批判的思考、創造性、問題解決能力などが含まれます。
メタ認知能力がより重要になる:
 AIと共同作業するためには、自分の思考と学習プロセスを理解し、それを調整する能力、つまりメタ認知能力が必要となります。これは自己調節、自己反省、自己認識などを含みます。
マネージメント・ファシリテーション能力が高まる:
 AIツールを効果的に使用するためには、それらを適切に管理し、指導する能力が必要です。これは、AIを学習プロセスに統合し、他の人々との協働を促進するためのスキルも含みます。
専門性の重要性が認知される:
 AIは多くの一般的なタスクを自動化することができますが、特定の専門知識やスキルを持つ人間の役割は依然として重要です。そのため、教育は専門性の開発とそれを活用する能力を高めることを目指すかもしれません。
操作する人間の専門性や思考能力が試されている:
 AIの効果的な活用は、その操作者の技術的な知識だけでなく、倫理的な判断や高次の思考能力をも試すことになります。これはAIが社会の多くの面で活用され、倫理的な問題や困難な決定を伴う可能性があるためです。これには、AIのバイアスの理解、プライバシー問題、情報セキュリティなどが含まれます。したがって、教育は技術的なスキルを超えた範囲で学生を準備することを求められるかもしれません。

全体として、AIは教育の領域において革新的な変化をもたらし、新たなスキルと理解を求めるようになります。しかし、これは教育者や学生にとってチャンスでもあり、学習の効率を高め、より深い理解を達成し、新しい方法で問題を解決する機会を提供します。これらの変化は、教育の方法だけでなく、我々が学ぶべき内容にも影響を及ぼし、未来の学習者が21世紀の社会で成功するために必要なスキルを持つことを保証するためには、教育システム自体の進化が必要となるでしょう。

2023年5月13日土曜日

Bluesky(1)

本来だと2023年の8月18日に,自分がTwitterを利用開始してから15周年を迎えるはずだった。

ところが,イーロンマスクに買収されたTwitterはなんだかボロボロになりつつある。これまでの記録はTwilogに保存されてきたが,そのAPIもストップされて4月5日以降の新規ツイートは記録されなくなってしまった。Twitterからの逃避先として,マストドンノストラダムスが登場したが,今でもTwitterへの情報集積効果は大きい。

そんな中で,Twitterの共同創業者であったジャック・ドーシーが発案した分散型SNSがBlueSkyという新しいSNSだ。2023年1月からiOSやAndroidのアプリは配布されているが,ユーザ登録には招待コードが必要だった。Clubhouseもそうだったけれど,招待制というのはなんとも敷居が高くて面倒だ。

さて,数学ガールで有名な結城浩さんが,Mastodonで招待コード余ってますけれどどなたか要りませんかとアナウンスしていた。さっそく返事したのだけれど,結城さんがフォローしているユーザ限定だった。わかってはいたのだが,確認するのが面倒でとりあえず返信していた。丁寧なお断りが入ったのが先週のこと。さきほど,もう一つ招待コードが手に入ったけど要りませんかとのDMがあった。さっそくいただいて,Blueskyに無事参加することができた。


図:Twilogの統計情報から引用(もうすぐお別れ)


2023年5月12日金曜日

アテンション・エコノミー

アテンション・エコノミーというキーワードにぶつかったので,GPT-4に聞いてみた。

Q:User
アテンションエコノミーと呼ばれるものの構造を整理して理解させてください。

A:ChatGPT
アテンションエコノミー(Attention Economy)は、情報過多の現代社会において、人々の注目や関心(アテンション)が限られた資源であり、それを獲得するために競争が起こるという概念です。このアテンションエコノミーの構造を整理してみましょう。

注目の限定性
人々は限られた時間とエネルギーしか持っていません。そのため、一度に多くの情報に対処することは困難であり、人々の注意力は貴重な資源となります。

情報過多
インターネットやSNS、メディアなどによって、膨大な情報が日々発信されています。この結果、人々はどの情報に注目すべきか選択しなければならない状況に置かれています。

競争
企業、メディア、個人などは、限られた注目を獲得するために競争します。これには、広告、コンテンツの質や魅力、独自性などが重要な役割を果たします。

モノタイズ
アテンションエコノミーにおいて、注目を獲得することは、広告収入や売上などの収益につながります。そのため、企業や個人は注目を集めることで収益を上げようとします。

インセンティブと行動変容
アテンションエコノミーでは、注目を獲得するためのインセンティブが生まれます。これにより、企業や個人は、注目を集めやすいコンテンツや戦略を採用し、行動や価値観が変わることがあります。

このような構造を持つアテンションエコノミーは、人々の行動や価値観、ビジネスモデルなどに大きな影響を与えています。また、偽情報の拡散や、品質の低いコンテンツが増えるといった問題も生じています。


Q:User
アテンションエコノミーの発達が,民主主義をゆがめるものなのか,あるいはそれこそが究極の民主主義への道であるのか,どう思いますか。

A:ChatGPT
アテンションエコノミーが民主主義に与える影響には、ポジティブな面とネガティブな面が存在します。どちらの観点が支配的かは議論の余地がありますが、以下にそれぞれの側面を整理してみました。

ポジティブな面:
情報アクセスの平等化:インターネットの普及により、多くの人々が情報にアクセスできるようになりました。これにより、従来は情報にアクセスできなかった人々も意思決定に参加できるようになり、民主主義の理念に近づいています。
グラスルーツ運動の促進:SNSやインターネットを活用することで、個人や小規模な団体でも意見を発信し、集団行動を起こすことが容易になりました。これにより、市民が直接政治に関与し、民主主義を促進することが可能になります。

ネガティブな面:
偽情報の拡散:アテンションエコノミーの中で、注目を集めるために誇張や偽情報が広がりやすくなります。これにより、有権者が正確な情報に基づいた意思決定ができなくなり、民主主義の質が低下する可能性があります。
意見の分断と極端化:SNSなどのプラットフォームでは、利用者が自分の意見に同調する情報に出会いやすくなります。これにより、意見の分断や極端化が進み、対話や妥協が難しくなることで、民主主義の機能が低下する恐れがあります。

総合的に見ると、アテンションエコノミーは民主主義にポジティブな影響を与える一方で、ネガティブな側面も存在しています。これらの側面がどの程度民主主義に影響を与えるかは、社会や技術の進展によって変わるため、今後も状況を注視し続ける必要があります。

2023年5月11日木曜日

大学教育とChatGPT(4)

大学教育とChatGPT(3)からの続き

大型連休を挟んで前回から2週間経過したので,4月27日以降の追加リスト(前回の取りこぼしを含む)をまとめてみた。大学ではないが,今年の4月に開校した徳島県の神山まるごと高等専門学校が,全学生・教員にChatGPTの有償ライセンスを付与というのが目に付いた。全学生44名と教職員に対して,月額$20を負担するということだ。

明確に禁止のメッセージを出すのも憚られるので,学生の本分は・・・的な道徳論に逃げ込みながら,それでも生成系AIの(この表現の方が生成AIより学術的だとアピールしつつ)重要性はわかっていますよ,といったおためごかしのメッセージであふれているのだった。

武蔵野美大のものは,メディア制作の現場に出る学生さんを預かっているだけに,思慮にとんだメッセージになっている。自分の目で確かめること,現状を知ること,概念的理解と法整備について考えること,危険な側面を考えること(ヘイトスピーチや差別にも言及している)など,後発組だけにこれまでの中でも出色のものだ。
4月12日
学修及び研究活動における AI の取り扱いについて
京都芸術大学大学院芸術研究科長 上村博

4月18日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項について
兵庫教育大学長 加治佐哲也

4月25日
ChatGPT 等の AI 対話サービスの利用について
山梨大学学長

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4月27日
ChatGPTをはじめとする生成AIの利用に関して
神戸大学 教育担当理事 大村直人

4月27日
人工知能の利用について(方針)
駒澤大学長 各務洋子

4月27日
ChatGPT など生成系 AI について
芝浦工業大学長 山田純

4月27日
生成系 AI(Generative AI)の利用に関する注意事項について
大分大学 教育マネジメント機構長 藤井弘也

4月28日
ChatGPT等の生成系AIに対する本学の方針について
北見工業大学 学長 鈴木聡一郎

4月28日
生成AIの利用について
⾼崎健康福祉⼤学 学⻑ ⽯⽥朋靖

4月28日
生成系AI利用に関する注意喚起の発出について
島根県立大学 学長 山下一也

4月28日
生成系AI(ChatGPT等)の使用に関する注意事項(第1報)
東京都市大学 副学長(教育担当) 大上浩

4月28日
ChatGPT 等生成 AI の修学上での利用について
宇都宮大学 理事(学務・社会共創担当)・副学長 吉澤史昭

5月1日
生成系AI(Chat GPT等)と「大学生としてのあり方」について
国士舘大学 学長 佐藤圭一

5月1日
全学生・教員にChatGPTの有償ライセンスを付与
神山まるごと高等専門学校

5月2日
生成系AI(ChatGPT、BingAIなど)の利活用について
近畿大学 学長 細井美彦

5月8日
対話型の生成系AI の利用について
流通科学大学 学長 藤井啓吾

5月8日
生成系AIについての基本的な考え方
神戸女子大学 学長 栗原伸公 副学長(研究・情報担当) 山根千弘

5月8日
宮崎国際大学の生成系AI(主に対話型AI)への対応について
宮崎国際大学 学長 村上昇

5月8日
ChatGPT等の生成系AIの学習での利用について
神奈川工科大学 副学長・教務主任 井上哲理

5月8日
勉学におけるChatGPT の利用について
清泉女子大学 学務部部⻑ 鈴木卓 情報運営委員会委員⻑ 福田健

5月9日
生成系AIへの対応について
武蔵大学長 高橋徳行

5月9日
鹿児島大学における生成系AIの利用について
鹿児島大学長 佐野輝

5月9日
学長メッセージ ~ChatGPT等生成AIについて~
広島修道大学 学長 矢野泉

5月10日
生成人工知能の学修利用に関するガイドライン
工学院大学副学長(教学担当) 教育開発センター

5月10日
東京農業大学における生成AI(ChatGPT等)の取扱いについ
東京農業大学 学長 江口文陽

5月10日
ChatGPT 等(生成系 AI)の利用についての注意喚起
名古屋市立大学 学長

5月10日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項
神奈川大学

5月10日
生成系AIを学生が利用することに対する本学の考え
湘南工科大学 学長 木枝暢夫

5月10日
本学における生成AIの取り扱いについて
武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部 学長 瀬口和義

5月10日
ChatGPTなどの生成系AIの利用について
東京経済大学

5月10日
生成系AI(ChatGPT等)の利用に関する留意事項について
植草学園大学・植草学園短期大学 教学改革推進センター長

5月11日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する取り扱いについて
滋賀県立大学 副学長(教育・学生支援担当) 小泉尚嗣

5月11日
学修におけるAIツール利用に関する宮崎公立大学の考え方
宮崎公立大学 学長 辻利則

5月11日
生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ
武蔵野美術大学 学長 樺山祐和

2023年5月10日水曜日

対話型AIと教育(4)

対話型AIと教育(3)からの続き

Q:どうもありがとうございました。大変参考になる意見ばかりでした。最後に,対話型AIと教育に係わって,これまでに誰も考えていないような,奇抜で突飛なアイディアや予想や盲点というのが,もしありましたら教えてください。

A:対話型AIと教育に関連して、これまでにあまり考慮されていない奇抜で突飛なアイディアや予想をいくつか提案します。

AI教育アバター:
生徒たちがそれぞれに専用のAIアバターを持ち、それが生徒自身の学習スタイルや興味に合わせて進化し、学習体験をパーソナライズする。このAIアバターは生徒が学んだ内容を覚え、彼らの知識やスキルを継続的にサポートする役割を果たす。

AI駆動の実世界学習環境:
教室や学校の中だけでなく、実世界の様々な場所でAI技術を活用し、生徒が学ぶ場を拡大する。たとえば、AIが動植物や歴史的建造物に関する情報を提供し、博物館や公園、遺跡などでの学習体験を向上させる。

AIを使った異文化交流:
対話型AIを活用して、言語や文化の壁を越えた異文化交流が容易になる。生徒たちは、世界中の他の生徒や教師とリアルタイムでコミュニケーションを行い、異文化理解やグローバルな視野を育む。

脳波を利用した学習効果の最適化:
AI技術と脳波センサーを組み合わせて、生徒の学習効果を最適化する。AIは生徒の脳波を解析し、学習状況や集中度を把握。それに基づいて、最適な学習方法やタイミングを提案する。

バーチャルリアリティ(VR)とAIの融合:
VR技術と対話型AIを組み合わせ、生徒が没入感のある仮想環境で学ぶことができる。例えば、歴史の授業で生徒が過去の時代にタイムトラベルし、AIガイドと会話しながら学ぶことができる。

これらのアイディアは、現在の技術や教育環境からはかなり先進的であるかもしれませんが、将来的には、これらのアイディアが現実の教育環境で実現される可能性があります。それにより、教育の質や学習体験が大幅に向上し、生徒の個々のニーズに応える柔軟性が増すでしょう。

ただし、これらの革新的なアイディアを実現するためには、以下のような課題や懸念事項に対処する必要があります。

テクノロジーのコスト:
新しい技術の導入には、しばしば高額なコストがかかります。教育機関は、技術の導入と維持に必要な資金調達や効果的な運用方法を検討する必要があります。

データセキュリティとプライバシー:
個人情報や学習データの取り扱いに関しては、適切なセキュリティ対策やプライバシー保護が重要です。また、AIが持つ潜在的なバイアスや不正確な情報に対処する方法も検討する必要があります。

教育者の研修とサポート:
教育者は、新しい技術を効果的に活用するために継続的な研修やサポートが必要です。彼らがテクノロジーに対する理解を深め、教育に適切に取り入れることができる環境を整えることが重要です。

社会的スキルや人間関係の維持:
AIやVR技術を教育に導入する際には、生徒が対面でのコミュニケーションや社会的スキルを維持・発展させることができるよう配慮する必要があります。技術の導入は、人間関係や共同体を築く重要な要素を犠牲にしないように慎重に進めることが求められます。

これらの課題や懸念事項を考慮しながら、教育機関や関係者は、AIやその他の先進技術を効果的かつ安全に活用する方法を模索していくでしょう。このような革新的なアプローチが取り入れられることで、教育の未来は、より包括的で効果的なものとなるでしょう。新しい技術の導入により、従来の教育システムや方法に限界があった場合でも、個々の生徒が自分に合った学習方法で成長できる機会が増えることが期待されます。

また、対話型AIやVR技術が普及することで、地理的な制約や経済的な制約を克服し、より多くの人々が質の高い教育を受けることができるようになるでしょう。これにより、教育機会の平等化が促進され、世界中で知識やスキルの向上が図られます。

さらに、異文化交流やリアルタイムでのコミュニケーションが容易になることで、生徒たちは異なる文化や価値観を理解し、グローバルな視野を身につけることができます。これは、グローバル化が進む現代社会で、ますます重要となるスキルです。

しかし、これらの未来のビジョンを実現するには、先述した課題や懸念事項に対処し、技術と教育のバランスを適切に保つことが重要です。教育者、技術者、政策立案者などが協力して、効果的で包括的な教育環境を創出し、教育の未来を切り開いていくことが求められます。

2023年5月9日火曜日

対話型AIと教育(3)

対話型AIと教育(2)からの続き

Q:今のスマートフォンのように,対話型AIアシスタントを子供たちが常時使えて,生活の中で対話的な学習(広義の)を進めることも考えられます。あるいは,学校で使用するAIアシスタントが,子供や教師のSNS上のコミュニケーションに介在するようなこともあるかもしれません。さらに単なるテキストではなく,アバターが生成された動画イメージとの対話に発展することが想定されます。この場合,どんな新しい世界が展開することになりますか。

A:対話型AIアシスタントが子供たちの日常生活に組み込まれ、さらにアバターや動画イメージといった視覚的要素が加わることで、新しい学習環境やコミュニケーションの形態が展開されるでしょう。以下に、そのような状況で期待される新しい世界の特徴をいくつか挙げます。

学習の自然な統合:
子供たちが常時AIアシスタントを使えることで、学習が自然に日常生活に組み込まれ、形式的な教育だけでなく、インフォーマルな学習も進むでしょう。

個別化された学習経験:
AIアシスタントは、子供たちの興味や学習スタイルに応じて個別化されたサポートを提供し、より効果的な学習が可能になります。

コミュニケーションの拡大:
教師や生徒がSNS上でAIアシスタントと連携できることで、より効果的なコミュニケーションが可能になり、教育の質が向上するでしょう。

エンゲージメントの向上:
アバターや動画イメージを利用した対話は、子供たちのエンゲージメントを高め、学習意欲を向上させる効果があります。

クリエイティビティの促進:
AIアシスタントとの対話やアバターを活用したインタラクションを通じて、子供たちのクリエイティビティや想像力が刺激されるでしょう。

学習のアクセシビリティ向上:
AIアシスタントは、障害や特別な学習ニーズを持つ子供たちにもアクセシブルな学習環境を提供し、教育の機会均等を促進します。

しかしこのような新しい世界が展開される一方で、プライバシーやデータセキュリティ、バイアスの問題、過度な画面時間や技術依存に関する懸念も生じます。そのため、こうした技術を導入する際には、これらの問題に対処する方法や適切な利用規範を確立することが重要です。以下に、これらの懸念に対処するためのいくつかの方法を提案します。

データプライバシーとセキュリティ:
AIアシスタントの使用に関連するデータプライバシーとセキュリティの問題に対処するために、適切なデータ保護ポリシーや規制を導入し、個人情報の取り扱いに注意を払いましょう。また、保護対象となるデータの範囲や、第三者との情報共有に関するポリシーを明確にすることが重要です。

バイアスの問題:
AIアシスタントが持つ潜在的なバイアスを認識し、その影響を最小限に抑えるために、多様なデータセットを使用してAIを訓練し、定期的な監査を行いましょう。また、AIアシスタントのバイアスに対する教育プログラムを実施し、子供たちや教師がその問題を理解できるようにすることも効果的です。

画面時間と技術依存:
過度な画面時間や技術依存のリスクを軽減するために、適切な使用ガイドラインを設定し、子供たちに健康的なデバイスの使用習慣を教えましょう。また、学校や家庭でのデバイス使用に制限を設けることで、子供たちがオフラインでの活動や対面でのコミュニケーションを維持できるようにしましょう。

教育者の役割の再定義:
AIアシスタントが教育環境に導入されることで、教育者の役割も変化するでしょう。教師は、AIアシスタントを効果的に活用する方法を学び、教育の質を高めるための新しいスキルや戦略を習得する必要があります。

これらの対策を適切に実施することで、子供たちが対話型AIアシスタントを安全かつ効果的に利用し、より豊かな学習環境やコミュニケーションの形態を享受できるようになります。


Q:対話型AIアシスタントが教育で大きな役割を果たすようになると,教育のために学校というシステムが不要ではないかという意見があります。これについては,どう考えられるでしょう。未来の学校はどんなシステムに進化しますか?

A:対話型AIアシスタントが教育で大きな役割を果たすようになっても、学校というシステムが不要になるとは必ずしも言えません。学校は教育だけでなく、子供たちが社会的スキルやコミュニケーション能力を身につける場でもあります。しかし、AI技術の発展によって、未来の学校は従来とは異なるシステムや機能に進化する可能性があります。

ブレンディッドラーニング:
未来の学校では、オンライン学習と対面学習が組み合わさったブレンディッドラーニングが一般的になるでしょう。これにより、生徒は自分のペースで学習を進めることができ、個々のニーズに合わせた学習が可能になります。

より個別化された教育:
AIアシスタントの活用により、教師は生徒一人ひとりの学習進度や理解度に合わせた指導ができるようになります。これにより、従来の「一斉指導」から、個別化された教育へとシフトする可能性があります。

学習者中心のアプローチ:
教師の役割が、情報を伝達するだけでなく、生徒の学習を促進・支援するファシリテーターとして変わります。これにより、生徒は自分自身で問題解決や研究を行い、よりアクティブな学習者となるでしょう。

学習環境の多様化:
学校がオンラインとオフラインの両方で学びの場を提供することで、生徒は様々な環境で学ぶことができます。これにより、生徒が自分に合った学習環境を選択できるようになります。

無境界な学習:
テクノロジーの発展により、生徒は世界中の専門家や他の生徒と繋がることが容易になります。これにより、学習が地域や国境を超えたものになり、より広い視野を持った人材が育ちます。

これらのを踏まえた未来の学校は、従来のシステムや機能から大きく進化し、教育の質やアクセシビリティが向上するでしょう。しかし、その一方で、以下のような課題も考慮する必要があります。

デジタルデバイドの問題:
テクノロジーへのアクセスが不均等である場合、デジタルデバイドが教育格差を拡大させる恐れがあります。そのため、すべての生徒が同等の教育機会を享受できるよう、インフラやアクセスの向上が求められます。

社会的スキルの育成:
AIアシスタントの導入によって、学習が個別化される一方で、生徒間のコミュニケーションや協力が減る可能性があります。未来の学校は、生徒が社会的スキルを育成できる環境やカリキュラムも重視する必要があります。

教育者の役割と研修:
AI技術の導入に伴い、教師の役割が変化することから、教育者向けの研修や支援が重要になります。教師が新しい役割に適応し、技術を効果的に活用できるようサポートが求められます。

倫理的・法的問題:
AIアシスタントを教育に導入する際には、プライバシーやデータ保護、バイアスなどの倫理的・法的問題に対処する必要があります。適切なポリシーや規制を策定し、問題を最小限に抑えることが重要です。

未来の学校は、これらの課題を解決しながら、より効果的で包括的な教育環境を提供することを目指すでしょう。AI技術が教育の質を向上させる一方で、学校は生徒が社会的スキルや対人コミュニケーションを磨く場として、引き続き重要な役割を果たすことが期待されます。

2023年5月8日月曜日

対話型AIと教育(2)


Q:対話型AIシステムが学校教育に及ぼす影響やどのような形で導入すべきかあるいはすべきでないか,についていくつかの立場があります。その立場ごとに主張の要点を整理しながら,どれがもっともらしいかを説明してください。

A:対話型AIシステムが学校教育に及ぼす影響や導入の形態に関しては、いくつかの立場が存在します。ここでは、主要な立場を整理し、それぞれの主張の要点を挙げてから、最もらしいと思われる立場を提案します。

積極的導入派
要点:
・AIは個々の生徒の学習ニーズに対応でき、パーソナライズされた学習経験を提供する。
・教師の負担を軽減し、より効果的な教育を実現できる。
・生徒たちに21世紀のスキル(プログラミングやデータ解析など)を身につけさせることができる。
適切なバランス派
要点:
・AIシステムは教育の一部として活用すべきだが、人間の教師に代わるものではない。
・教育の質を向上させるために、AIと教師の協力が重要である。
・AIの導入に際しては、倫理的・社会的問題に十分な配慮が必要。
消極的導入派
要点:
・AIシステムは生徒のデータを収集し、プライバシー問題を引き起こす可能性がある。
・AIが教育に携わることで、教師と生徒の間の人間関係が損なわれる恐れがある。
・AIシステムはバイアスがあり、不公平な教育結果をもたらす可能性がある。 
最もらしい立場としては、「適切なバランス派」が挙げられます。この立場では、AIシステムは教育の一部として活用すべきであることを認めつつ、人間の教師に代わるものではないと主張しています。教育の質を向上させるためには、AIと教師の協力が重要であり、また導入に際しては倫理的・社会的問題に配慮が必要であるとしています。これにより、教育の効果を最大化しつつ、潜在的な問題を最小限に抑えることができると考えられます。


Q:学校教育へのAI対話システムあるいはその派生システムの具体的な導入イメージを教えてください。どのようなアプリケーションやプラグインがありうるか,各教科の授業シーンで使用される実践例などを知りたいです。

A:学校教育へのAI対話システムや派生システムの導入イメージには、さまざまなアプリケーションやプラグインが考えられます。以下に、いくつかの教科の授業シーンで使用される実践例を挙げます。

数学:
 個別の学習サポート:AI対話システムは生徒が数学の問題を解決する際に、ステップバイステップの指導やヒントを提供できます。
 自動採点・フィードバック:教師の負担を減らすために、AIシステムは生徒の回答を自動的に採点し、適切なフィードバックを提供できます。
言語学習:
 対話型練習:AIシステムは生徒と対話を行い、会話能力を向上させるための練習相手となります。
 文法チェック:AIが生徒の文章をチェックし、文法やスペルの間違いを指摘して、改善する機会を提供します。
科学:
 仮想実験:AIシステムは生徒が仮想環境で実験を行い、科学的な概念を理解する手助けをします。
 シミュレーション:生物学や物理学の複雑なシミュレーションをAIシステムが実行し、生徒が理解しやすい形で結果を提示します。
社会科学・歴史:
 インタラクティブな資料:AIシステムは生徒がインタラクティブな地図や歴史的資料にアクセスし、学習を深める手助けをします。
 論文の添削:AIシステムは生徒の論文をチェックし、論理的な構造や引用の正確さを評価し、改善点を提案します。
芸術・音楽:
 作品の分析:AIシステムは芸術作品や音楽作品を分析し、生徒が理解を深める手助けをします。
 クリエイティブな支援:AIシステムは生徒が独自の芸術作品や音楽作品を制作する際に、インスピレーションやテクニックの提案を行います。

これらのアプリケーションやプラグインは、教師の指導力を補完し、生徒たちがより効果的な学習経験を得ることができます。さらに、AI対話システムや派生システムは、教育環境全体をサポートするために以下のような機能も提供できます。

学習管理システム (LMS) との統合:
AIシステムは、学習管理システムと連携して、教師が生徒の進捗状況を追跡し、必要に応じて個別のサポートを提供できるようにします。
パーソナライズされた学習経験:
AIは生徒の学習履歴や能力に基づいて、個別の学習プランを作成し、学習効果を最大化します。
学習者のモチベーション向上:
AIシステムは、ゲーミフィケーションやインタラクティブな要素を導入し、学習者のモチベーションを維持します。
アクセシビリティの向上:
AIは、障害のある生徒や特別な学習ニーズがある生徒に対して、よりアクセシブルで個別化された学習経験を提供できます。

これらのアプリケーションやプラグインを導入することで、学校教育がより効果的で個別化されたものになり、生徒の学習成果が向上する可能性が高まります。ただし、AIシステムを導入する際には、データプライバシーやバイアスの問題に対処することが重要であることを念頭に置く必要があります。

2023年5月7日日曜日

折り紙で3次方程式(2)

折り紙で3次方程式(1)からの続き

Mathematicaで折り紙の3次方程式問題をplotする関数を書いてみた。

最初に,Plot[{-x - 3, x + 1, 2 x, (x + 2)^2/4,   Sqrt[8 (x)] - 1, -Sqrt[8 (x)] - 1}, {x, -8, 8},  AspectRatio -> Automatic, PlotRange -> {-8, 8}] こんな風に問題ごとにプロットしてみた。係数を混同していてなかなか正解にたどりつかなかったが,どうにか安定して答えがでてきた。ただし,接線の方程式は目の子であてはめている。

係数,a,b,c,dを与えて,焦点,準線,放物線,接線をすべて描画するように改善したものが次のコードである。最終ステップで,三次方程式を解いた解が3つリストとして出てくるので,これを実数の個数によって場合分けして描画するのはさぞ面倒だろうと心配していたのだが,リストの成分表示からリストに直しただけで求めていた結果が得られてしまった。虚数解が入ってきても何の問題もなくスキップしてくれた。やはりMathematicaは賢い。

そのコードは次のようなものである。

fold3[a_, b_, c_, d_] := 
{g0 = Graphics[{Point[{b, a}], Point[{d, c}], 
      Line[{{-10, -a}, {10, -a}}], Line[{{-d, -10}, {-d, 10}}]}, 
     Axes -> True]; 
 g1 = Plot[{(x - b)^2/(4*a), Sqrt[4 d x] + c, -Sqrt[4 d x] + c},
    {x, -10, 10}, PlotRange -> {-10, 10}, AspectRatio -> Automatic]; 
 sol = Solve[a t^3 + b t^2 + c t + d == 0, t]; 
 t1 = t /. sol; 
 s1 = -( a t1*t1 + b t1);
 g2 = Plot[t1 x + s1, {x, -10, 10}, PlotRange -> {-10, 10}, 
     AspectRatio -> Automatic, PlotStyle -> Red];
 Show[g0, g1, g2]}[[1]]

この関数で,fold3[1, 2, -2, -1],fold3[1, 1, 1, 1],fold3[1, 0, -1, 0.0001] を実行した結果を以下に示す。傾きが0の場合は,極限値として得られることになる。



図:fold3の実行結果

2023年5月6日土曜日

折り紙で3次方程式(1)

代数学の基本定理ガロアのおかげなのかどうかは知らないけれど,5次方程式を代数的に解くための一般公式はないことは誰もがみんな知っている。知らんけど。


(1) 放物線の性質
・放物線$\mathcal{L}$の焦点Fが $\ (b,a)\ $,準線$\ \ell\ $が $\ y=-a\ $のとき,この放物線を$\mathcal{L}(b,a:y)$と書く。例えば,$\mathcal{L}(d,c:x)$ならば,焦点が$\ (d,c)\ $で,準線の式は $\ x=-d\ $になる。
・放物線$\mathcal{L}(b,a:y)$上の点Pを$\ (x,y)\ $とすると,距離FP=$\sqrt{(x-b)^2+(y-a)^2}\ $と,点Pから準線に下ろした垂線の足Hへの距離 PH=$y+a\ $が等しいという性質がある。
・$\mathcal{L}(b,a:y)$の式は,$y=(x-b)^2/4a$,$\mathcal{L}(d,c:x)$の式は,$x=(y-c)^2/4d\ $となる。

(2) 折り紙で放物線の接線を折る
・折り紙上に直交直線座標系をとって,焦点Fと準線$\ \ell\ $を記す。
・準線$\ \ell\ $が焦点Fに重なるように折り紙を折線$\ f\ $で折ると,$\ell\ $上にFの像Gができる。
・折り紙を広げるとFGの中点Qは放物線$\mathcal{L}$上の点であり,かつ折線$\ f\ $上の点になる。
・$f\ $はQを接点とする$\mathcal{L}$の接線となる。また,$f\ $の集合の包絡線が$\mathcal{L}$である。

(3) 3次方程式との関係
・折り紙上に2つの放物線,$\mathcal{L}(b,a:y)$と$\mathcal{L}(d,c:x)$を考える。
・その共通の接線となる折線$\ f\ $が少なくとも1つ(あるいは最大の3つ)存在する。
・折り紙上の直交直線座標系で,折線$\ f\ $が$\ y=t x + s\ $となるとき,傾き$\ t\ $が
2放物線の焦点の座標からなる3次方程式$\ a t^3+b t^2 + c t + d = 0\ $の解に対応する。

(4) その説明
接点の座標をQ$\ (\beta,\alpha)\ $として,$\mathcal{L}(b,a:y)$に接する折線の方程式を考えると,
$y-\alpha = (\beta -b)/2a \cdot (x -\beta)\ $であり,$\alpha = (\beta -b)^2/4a\ $が成り立つ。
$\therefore y = (\beta -b)/2a \cdot x -(\beta -b)(\beta + b)/4a = t x + s$,
$\ \beta\ $を消去して,$s = -(a t^2 + 2 b t)\cdots$①
次に,接点の座標をR$\ (\delta,\gamma)\ $として,$\mathcal{L}(d,c:x)$に接する折線の方程式を考えると,
$x-\delta = (\gamma -c)/2d \cdot (y -\gamma)\ $であり,$\delta = (\gamma -c)^2/4d\ $が成り立つ。
$\therefore x = (\gamma -c)/2d \cdot y -(\gamma -c)(\gamma + c)/4d = y / t  - s / t $,
$\ \gamma\ $を消去して,$s=c + d/t\cdots$②
①②より,$\bm{a t^3+b t^2 + c t + d = 0}$ が導かれた。



[1]折り紙の中の数学(三谷純)
[2]代数方程式の折り紙による解法について(森継修一,中村怜子)
[3]折り紙による五次方程式の解法(西村保三,山本一海)
[4]折り紙の数学(上越教育大学公開講座)

2023年5月5日金曜日

RRR

新ノ口のユナイテッド・シネマ橿原でインド映画「RRR」を観てきた。

近鉄橿原線の新ノ口駅を降りて東に進み,いつもは国道24号線に沿った表口から入っていた。ところが,連休中の人の流れは川沿いの裏道をアリさんのように列をなしていたため,それにつられてツインゲートの駐車場側の裏口からアプローチすることになった。

インド映画はテレビの断片的な紹介映像しか見たことがなくて,一度観たいと思っていた。たまたまユナイテッド・シネマ橿原で評判のRRRが上映中だったので,さっそくオンラインチケットを購入した。最近は,平日に映画館にいっても客席には2-3人からせいぜい10人というところだったが,祝日効果もあってか,コロナ自粛解除のためか,170人のシアターの1/5〜1/4くらいは埋っていた。

ストーリーは単純明快で,スローモーションを多用したアクションシーンとダンスシーンに加えて,特殊効果もフルに使われ,主人公の個性もはっきりしているので,3時間まったく眠くならずに画面に集中できた。素晴らしい。特に音響効果というか音楽というか主人公の歌声がよかった。

舞台は1920年のイギリスの植民地支配下にあるインドで,英国人に虐げられた2人の主人公が,友情を持ちつつ葛藤を抱えながら物語が展開するというものだ。英国人はサブヒロインの一人を除いて徹底的に悪役として描かれているので,ある種のインドナショナリズムかとも思えた。

実在のインド独立運動の活動家をモチーフとした主人公の二人が同時にインド神話の二人の神として無敵の戦いを(時々死にそうにはなるのだけど)進めるという勧善懲悪ストーリーなので,最後に超極悪に描かれた英国の総督と婦人がTNT火薬の大爆発で吹っ飛ぶ屋敷を背景として惨めに死んでいくところで,観客は溜飲を下げることになる。

これをナショナリズムと解釈してしまって,日本に置き換えると微妙なことになる。鬼畜米英相手に日の丸振り回す素戔嗚尊と日本武尊ですか。このアナロジーがうまくいかないのは日本が欧米によって植民地として侵略され人権を完全に剥奪されてはいなかったからだ。むしろ,日本はインドを支配した英国と同様に,アジア各国を(より巧妙な方法で)侵略した側だった。だから,日本では残念ながらRRRのような映画をつくることができない。


写真:ダンスシーンに用いられたキーウのマリア宮殿(Wikipedia 記事 から引用

2023年5月4日木曜日

生成AIの利用ガイドライン

5月1日に日本ディープラーニング協会(JDLA)が生成AIの利用ガイドラインを公開した。

会社や学校などの組織で生成AI(ChatGPT)を業務で利用する際のガイドラインのひな形となるもので,安心して利用を進めることができるようにというコンセプトで書かれている。ユーザが何らかのデータを入力して何らかの処理(保管,解析,生成,学習,再提供等)が行われ,その結果(生成物)を得る」という構造を前提として,(1) データ入力に際して注意すべき事項と(2) 生成物を利用するに際して注意すべき事項の2つの部分から成り立っている。

データ入力:
日本の著作権法30条の4の「情報解析」非享受利用のために,多くの場合情報入力が法的に問題となることはない。ただし,出力との関係で注意すべきだという組立になっている。
(1)第三者が著作権を有しているデータ(他人が作成した文章等)○
(2)登録商標・意匠(ロゴやデザイン)○
(3)著名人の顔写真や氏名○
(4)個人情報×△
(5)他社から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報×
(6)自組織の機密情報△
×は法的に問題となるケース,△は法的には問題ないが,それ以外で問題となるケース,○は法的には問題ないケース

生成物:
(1)生成物の内容に虚偽が含まれている可能性がある
(2)生成物を利用する行為が誰かの既存の権利を侵害する可能性がある
  ①著作権侵害
  ②商標権・意匠権侵害
  ③虚偽の個人情報・名誉毀損等
(3)生成物について著作権が発生しない可能性がある
  ①画像生成AIの場合
  ②文章生成AIの場合
(4)生成物を商用利用できない可能性がある
(5)生成AIのポリシー上の制限に注意する

ということで,それぞれの項目については解説がついていて,各組織において判断をすることが必要となっている。

さっそく反論が出てきているので[1],これはそう簡単な話ではなかった。


2023年5月3日水曜日

木庭二郎

木庭二郎(1915-1973)の話題をYouTubeでみかけた

木庭二郎といえば,ディラックの量子力学の教科書の邦訳(手元の原書第4版は,高尾書店で400円のもの)で,朝永振一郎とともに名前が出てくることでお馴染だ。YouTubeの内容は,日本物理学会誌素粒子論研究の記事をまとめたものだった。

物理学会誌の方は,1996年の小特集「回想の木庭二郎」であり,南部陽一郎,伊藤大介,小谷恒之,高木修二,H. B. Nielsen,西島和彦が書いている。素粒子論研究の放談室の記事は,木庭二郎が亡くなってまもなくのもので,野上茂吉郎,早川幸男,並木美喜雄によるものだ。この他,美谷島實によるポーランド時代の木庭二郎の話題がもとになっている。

木庭二郎は朝永振一郎のもとで,朝永グループの一員として場の理論における繰り込み理論の建設に寄与し,その後は中間子の多重発生に重点を移して,KNOスケーリングを見つけることになる。

初めて知ったのが,木庭二郎の兄弟のこと。兄の木庭一郎は文芸評論家の中村光夫(1911-1988)で,弟の木庭三郎も物理学者だった。

また,阪大教養部物理の小谷恒之先生が木庭二郎の指導を受けていた。当時の阪大物理の理論は統計物理の伏見康治グループと物性物理の永宮健夫グループから成り立っていて,伏見グループの助教授が内山龍雄先生だった。今後素粒子に力を入れるということで,別の講座から借りてきた助教授ポストに木庭二郎が着任したわけだ。木庭二郎はその後,京都大学の基礎物理学研究所を経て,ポーランドに移り最後はコペンハーゲンのニールスポーア研究所で病に倒れることになった。

木庭二郎が阪大の助教授として着任していたのは,1949.8〜1954.11である。小谷先生は1951.10〜1954.1まで東京の小林理研で朝永振一郎の助手をしていた後に都立大に移っている。そのため,小谷先生が大阪で木庭二郎の指導をうけて研究していた1949年から1951年の2年間ほどだった。なお,小林理研での朝永振一郎の助手のポストは,小谷先生から森田正人先生(1954.3〜1959.4),安野愈氏(1960.4〜1964.3)へと続いた。

[1]回想の木庭二郎(日本物理学会誌第51巻8号,1996)
[2]放談室 木庭二郎氏を悼んで(素粒子論研究第48巻3号,1973)

2023年5月2日火曜日

若杉山

朝の散歩中に,若杉山という言葉が頭に浮かんだ。

50年前の阪大物理学科には,11講座しかなかったが,そのうち3講座が原子核実験の講座だった。その教授の名前をつなげて若杉山とよんでいた。で,杉本健三先生と山部昌太郎先生はすぐ思い出したのだが,若がわからない。かなり重症である。あの理学部長から総長になった,あのお嬢さんが大阪教育大学の留学生センターに勤めていた,あの・・・。

10分ほど悩んでようやく思い出せた。若槻哲雄先生です。2019年にはちゃんと憶えていたのに

1971年に発足した核物理研究センターができて,原子核実験の分野がなにやら面白そうな気配を感じさせる時代だった。我々原子核理論のグループは杉本研とともにベータ崩壊の研究を進めていたし,若槻先生のあとをついだ江尻先生はその後ダブルベータ崩壊など,電磁相互作用や弱い相互作用に関わる領域へとテーマを展開していた時期だった。

学部3年の物理学実験では,放射線の実験が杉本研の野尻先生,電子回路だったか電位測定だったかが若槻研の柴田先生に指導された。野尻先生は,非常に厳しいという評判で越湖君といっしょにびくびくしながらレポートを持っていったが,なんとか無事にガイガーカウンターの原理に関する口頭試問をクリアできた。柴田先生の追加課題にサイクロトロンの磁場モデルを設計するというのがあって,かなりアバウトなレポートだったけれどやさしく許してもらえた。

インターネットで若杉山&原子核で検索すると,JPARC初代センター長の永宮正治さんのスライド(写真たっぷり)杉本健三先生との半世紀」と,江尻宏泰先生の「恩師の素顔」の4.4節,破格の若槻哲雄教授がでてきた。また,若杉山グループは菊池正士研究室の流れを組むことが,中井浩二先生の「私の加速器遍歴(Ⅰ)私が憧れた菊池研究室」でわかる。さらに,「日本加速器外史(その2)井上信」にも若杉山が登場していた。


[2]日本加速器外史(その1)(井上信)
[3]日本加速器外史(その2)(井上信)

2023年5月1日月曜日

ChatGPTの認知度

4月に入ると毎日のように生成系AIのニュースが新聞やテレビで流れている。テレビ東京がサム・アルトマンの独占インタビューを最初に流したのを別にすれば,玉石混交というかあいかわらずネットからつまみ食いしてフィルターをかけたものばかりだ。

3月中旬のGPT-4が登場した頃の各種調査では,2/3が知らない,1/4は聞いたことがあり,1割弱が使っているというような傾向だった。そこで,先週(4/17)の3回生中心の授業の際に生成AIに関するアンケートをMoodleのアンケートシステムを使って実施してみた。

ところで,学生さん達の情報源は新聞でもテレビでもなかった。それを伝えるネット上のニュース記事やSNSのようだ。各分野の専門家やブロガーのネット上の記事を大手マスコミの記者がとりあげてマスメディアのニュースにする。それがネット上のニュース記事となって拡散していくというルートができあがっているような気がする。

さて「ChatGPT/Bing chatのような最近のAI対話システムを知っていますか」という問いに対して,結果は,聞いたことがないが1/6弱,聞いたことはあるが使ったことはないが2/3強,使ったことがあるが1/6という結果になった。


図:ChatGPT認知度アンケートの結果

なお,問2では,画像生成AIについても聞いているが,こちらのほうは,聞いたことがないと聞いたことはあるが使ったことはないが半々だった。また,DeepLやGrammeryは半数以上が使ったことがあるかよく使っている。

なお,生成AIの教育利用の問題点としては,次のような認識だった。
(1) レポートや課題を自分の代わりに書かせてしまえること。 6
(4) ニセの情報や不正確な情報が正しいとして拡散すること。 6
(3) 個人情報や組織情報等をうっかりと提供してしまうこと。 4
(5) 特定の考え方に無意識に染まってしまう危険があること。 1
(2) AIとの対話にはまってしまいひきこもりが発生すること。 0

 まあこんなものかもしれない。

2023年4月30日日曜日

ルリアード(2)

ルリアード(1)からの続き

その後,arxiv.orgを調べてみたら,Ruliadのキーワードで引っかかる論文が2つあった。1つは本家ウルフラムの"The Physicalization of Metamathematics and Its Implications for the Foundations of Mathematics"である。

もうひとつは,SingularityNETのCEOのBen Goertzelによる"Reflective Metagraph Rewriting as a Foundation for an AGI "Language of Thought"だ。汎用人工知能(AGI)システムのために用いられる,シンボル,接地,変数,型,置換,パターンマッチを扱うための非常に基本的で一般的な機能を持つメタ言語として設計されたMaTTa(Meta Hyper Talk)が,Ruliadに対応するということらしい(OpenCog Hyperon AGI system 参照)。

さて,ウルフラムの論文の概要を要約して,GPT-4に突っ込んだところ次のような話だった。
Q:ルリアードに関するスティーブンウルフラムの論文の概要は次のようなものであった。『メタ数学も物理学も、すべての可能な計算のもつれ限界に対応するユニークなルリアッド構造の観測者によるサンプリングから生まれると仮定している。人間がアクセスできる高次の数学の可能性は、物理的観測者が物理空間を知覚することの数学的観測者にとってのアナログであると仮定される。数学の基礎に対する伝統的な公理的アプローチのバルク限界の物理化された分析が、形式化された数学のいくつかの例に対する明示的な経験的メタ数学とともに与えられる。メタ数学的運動、必然的二重性、証明トポロジー、メタ数学的特異点などの概念に関連する、物理化された数学の一般法則が議論される。現在行われている数学は、物理的世界の経験に類似した直接プラトン的な方法でルリアードから派生したものと見なすことができ、公理的定式化はしばしば便利ではあるが、数学の究極の性格を捉えるものではない、と主張する。この見解の意味するところは、ある特定の公理のコレクションだけが、人間の数学的観察者の必然的な特徴と一致する可能性があるということである。歴史的、哲学的なつながりや、数学の将来に対する基礎的な意味合いについての議論も含まれる』。これはどのように評価されるか。

A:スティーブン・ウルフラムのこの論文は、数学と物理学の関係を調査するために、ルリアード構造という新しい枠組みを提案しています。このアプローチは、数学と物理学が、あらゆる可能な計算のもつれから生まれる観測者によるサンプリングであると仮定しています。また、人間が高次の数学にアクセスする能力は、物理的観測者が物理空間を知覚することと数学的観測者にとって同等であると主張しています。

ウルフラムのこのアプローチは、数学の基礎に関する伝統的な公理的アプローチを超えて、数学の物理化された分析を提案しています。この分析は、形式化された数学のいくつかの例に対する明示的な経験的メタ数学とともに提供されます。物理化された数学の一般法則に関連する概念、例えばメタ数学的運動、必然的二重性、証明トポロジー、メタ数学的特異点などが議論されています。

この論文は、現在行われている数学が、物理的世界の経験に類似した直接プラトン的な方法でルリアードから派生していると主張しており、公理的定式化は便利ではあるが、数学の究極の性格を捉えるものではないと述べています。また、特定の公理のコレクションだけが、人間の数学的観察者の必然的な特徴と一致する可能性があるとしています。

評価に関しては、この論文は物議を醸すものであると言えます。一方で、ウルフラムのアプローチは数学と物理学の関係や数学の基礎に対する新しい視点を提供し、これまでの概念や枠組みを再検討する機会を提供していると評価されるでしょう。一方で、彼の主張は、証明や検証が困難であるため、批判的な意見も多く存在します。

また、歴史的・哲学的なつながりや数学の将来に対する基礎的な意味合いについての議論が含まれているため、この論文は数学者や哲学者から様々な意見や評価を受けることでしょう。ウルフラムの提案は、数学と物理学の境界を模索し、数学の基礎的問題に対する新たな洞察を試みています。このため、彼のアイデアは、革新的で刺激的であると見なされることが多いです。しかし、彼の主張が正確であるという確固たる証拠がまだ不足しているため、懐疑的な意見も存在します。

ウルフラムの論文は、数学の基礎に対する新しいアプローチを提案するだけでなく、数学と物理学の将来の研究に影響を与える可能性があります。彼のアイデアが正しいと証明される場合、数学と物理学の分野に革命が起こることがありますし、数学の理解や物理学の基本原理に新たな洞察がもたらされることが期待されます。しかし、そのような革命的変化が実現するまでには、さらなる研究や実証が必要であると言われています。

結論として、スティーブン・ウルフラムのルリアードに関する論文は、数学と物理学の関係や数学の基礎に対する新しい視点を提供しており、多くの議論と評価を呼び起こしています。彼のアイデアは革新的で刺激的であると見なされる一方で、懐疑的な意見も多く存在します。この論文が将来の研究にどのような影響を与えるかは、今後の研究や実証によって明らかになるでしょう。

大分誤解していた。ウルフラムは物理学の統一理論を目指したプロジェクト(The Wolfram Physics Project)を実行中だが,それから派生してきた概念のようだ。プラトン的な世界とは真逆な方向性を持った話だった。

2023年4月29日土曜日

ルリアード(1)

ルリアード(Ruliad)についてシンギュラリティサロン松田卓也先生が言及していたので,PerplextyのGPT-4モードに教えてもらった。数回の対話の結果(英文で4000字)から,GPT-4により日本語500字で翻訳要約させた。
ルリアードは、スティーブン・ウルフラムが提案した理論的概念で、計算可能な全てのもののもつれた限界を表しています。これは物理的な宇宙を含む究極の抽象化・一般化であり、従来の科学の境界を超える意味を持ちます。ルリアードの目的は、「なぜこの宇宙は存在するのか」という問いに答える可能性を持つ理論的概念として機能することです。
ルリアードは従来の科学分野の境界を超え、宇宙とその根底にある計算機的性質を理解するための統一された枠組みを提供します。数学と論理もルリアードに含まれており、メタ数学の対象とされています。多元宇宙論においても、ルリアードは必然的に存在するユニークな物体であり、別の宇宙に別のルリアードが存在することはありません。これは、ルリアード自体がすべての可能な宇宙をすでに含んでいるためです。
次に,ルリアードに関するウルフラムの原文(2021.11.10)を,ChatPDFに直接かけてみた。pdfファイルを読み込んで,GPT-4によって処理することができるシステムだ。200wordで要約を出させて,これをDeepLにかけた結果が次のものである。
このPDFファイルでは、計算可能なすべてのもののもつれ限界である「Ruliad」の概念について説明します。Ruliadは、すべての形式的な可能性と私たちの物理的な宇宙のすべてを包含しており、それは科学とそれ以外の分野で深い意味を持っています。著者は、技術的な詳細にとらわれることなく、ルリアードについて多くのことを学ぶことができると説明しますが、それでも完全に理解するには難しい数学と形式主義を必要とする複雑な構成物であることに変わりはありません。

ルリアードは、すべてのルリアル・マルチウェイ・システムの究極の限界であり、可能なすべての計算ルールを徐々に適用した結果、絡み合った結果をトレースするものです。著者は、「ルリアード」は、私たちの宇宙を根本的に理解するものであり、科学やそれ以外の分野に極めて深い示唆を与えると信じています。

Ruliadの技術的な詳細を明らかにするのはまだ初期段階ですが、この構成には多くの応用の可能性があります。例えば、気象パターンや金融市場のような複雑なシステムをよりよく理解するために使用できるかもしれません。このPDFファイルは、ルリアードの概念と、宇宙を理解するためのルリアードの潜在的な意味について、興味深い紹介をしています。

Mathematicaを作ったウルフラムらしい発想だけれど結局何がなんだかよくわからない。この世界(宇宙)にある法則全体の集合に名前をつけただけではないのか。法則として言語化・数学化(論理化)されていないものは含まれないのだろうか。計算可能でないものはだめかもしれないが,潜在的に計算可能なものは,可能になった段階ではじめてルリアードのメンバーになるのかな。

あるいは,ある現象が法則化されているかどうかはどうやって判定するのだろうか。観測者によって異なったルリアードは存在するのかなど,疑問はつきないけれど,どうやらプラトンのイデアのようなものが想定されているらしい。それを現代科学の言葉で修飾しただけなのかもしれない。あるいは科学的・数学的知識で確立されたもの全体の時間とともに増大する極限値といったところか。

2023年4月28日金曜日

ソーシャルメディア利用ガイドライン(4)


大学におけるSNSの利用でいろいろとトラブルが生じ,各大学でソーシャルメディアの利用ガイドラインが整備されてきたのを記事にしたのが2019年の夏,ほぼ4年前だった。

さて,ふと気がつくと,昨年の9月に遅まきながら大阪教育大学でも「大阪教育大学ソーシャルメディア利用ガイドライン」というのが学長裁定で作られて公開されていた。もしかして,非常勤講師にも該当するのだろうか。『1.(趣旨)このガイドラインは,大阪教育大学の学生,教職員等が業務又は私的利用にかかわらずソーシャルメディアを安全かつ適切に利用するための基本的な事項を定める。』うーん,等に含まれるのかもしれない。

内容は,(1) 法令等のルールの遵守,(2) 拡散と影響,(3) 正確な情報発信,(4) プライバシー保護,(5) 人権の尊重,(6) 守秘義務・機密保持,(7) 知的財産権の保護,(8) 安全な利用環境,(9) 問題が起こった時の対処,であり穏当なものだった。何かあったので急遽作られたのかもしれない。

ChatGPTのガイドラインについてもほとんどこの程度のものでカバーできると思われる。問題は,レポートや試験での利用をどうするかだけだ。これも全教員への問題周知と理解促進の方が優先されるのではないか。その後は各授業担当教員の判断次第だからだ。