2019年10月20日日曜日

体育の授業

大学の教養課程での体育の授業は,とりあえずちゃんと出席すれば単位を取ることができた。種目は選択だったのかもしれないが,憶えているのは半期ラグビーのコースを選択したことだけだ。受講していたのは30人くらいいただろうか。高校時代にラグビーをやったものなどほとんどいないので,一から手取り足取り,スクラムやラインアウトやパスやキックを順番に体験して,ほとんど試合らしくない練習試合までいったかどうか。試験は目標を設定してそこにキックしたボールが入るかどうかだった。それなりにうまく蹴ることができたような気もしたが,結局成績はいつものように並であった。

2019年10月19日土曜日

児童生徒の自殺

先日のNHKニュースによると,児童生徒の自殺者数が増加しており,平成30年度は,昭和63年以来最多の332人に達したとあった。子どもの数は減っているのだから,実数ではなく比率で比較するべきだと思って統計データを調べてみた。

日本の統計データは,総務省統計局政府統計ポータルサイト e-Stat に集約されているとはいうものの,本当に探しにくく使いにくいものが多い。データを改ざんし,廃棄し,まともに整理できないという,さんざんな日本政府なのである。大学にAI教育を強制しているので,そのうち自動化されることを見越しているのだろう。

なんとか次の2つのデータにたどりついた。
[1]学校基本調査年次統計在学者数(e-Stat)
[2]平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(平成30年度) 7.自殺(学校から報告のあったもの)(e-Stat)

あくまでも学校から報告のあったものであり,調査対象の定義も時期によって変動しているが,傾向は捉えられているだろう。小学生の自殺数は1桁以上小さいのでこれを除き,中学生と高校生の各年度の自殺者数をその年度の在学者数で除したものをグラフ化した。

図 日本の中学・高校生の自殺率(1974-2018)

文部科学省には,生徒指導のカテゴリーに自殺予防というページがあり,児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(平成30年度)が設けられていて,それなりに対応している。しかし,この会議の基本資料であるべき児童生徒の自殺者数推移は横ばいであるという結論を誘導するグラフになっている。出発点がこんな認識なのでこの先が思いやられるのであった。

[1]10代前半の自殺,100年ぶりの高水準に。その要因は(石井志昂:不登校新聞)


2019年10月18日金曜日

プログラミング教育の欠点(2)

以前にプログラミング教育の欠点(1)を書いてそのままだった。

小学校教育現場の状況や教員の負担などを見聞きするとともに,小学校へのプログラミング教育の導入はまずかったという気持ちが強くなってくる。

小学校学習指導要領の「第1章 総則」の「第3 教育課程の実施と学習評価」の「1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」に次の内容がある。
(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施するこ  と。ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要とな   る情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動  イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
これを受けて,「理科」の内容の取り扱いでは,
(2) 観察,実験などの指導に当たっては,指導内容に応じてコンピュータや 情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。また,第 1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第6学年〕の「A物質・エネル ギー」の(4)における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など,与えた条件に応じて動作していることを考察し,更に条件を変えることにより,動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする。
また,「総合的な学習の時間」の内容の取り扱いでは,
(9) 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通し て,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響 を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の 第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を 身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験するこ とが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。
というわけだ。関連業界や学会のみなさんは,プログラミング教育の導入という燃料を投入されて大変活気づいているようだが,どう考えても無理があるような気がする。余裕のある学校や教員が取り組むことには全く異論がないけれど,学習指導要領で規定してしまうことの副作用の方が気になってしまう。結局これも社会階層の分離を推進する方向に働くのだろう。自分にはていねいに分析や批判する気力とエネルギーがないのが残念。

[1] プログラミング教育(文部科学省)
[2]小学校プログラミング教育の手引き(文部科学省)
[3]小学校プログラミング教育に関する研修教材(文部科学省)
[4]教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取り組み状況等(文部科学省)
[5]小学校プログラミング教育に関する指導事案集(文部科学省)
[6]小学校を中心としたプログラミング教育ポータル(未来の学びコンソーシアム)






2019年10月17日木曜日

第二室戸台風

1961年の9月16日に第二室戸台風が日本に上陸して四国・近畿・北陸を縦断した。当時,小学校2年だったが,金沢を通過したのは夜だった。父親が出張で不在であり,父の友人の七野昭治さんが家は大丈夫かと見に来てくれた。雨戸を閉め,台所などの窓を木の板でカバーしていたような気もするが,正しい記憶かどうか。停電になった暗い家の中で母親がバタバタしていた。小学校2年生にはいかんともすることができない。Wikipediaの情報を整理して下記に再掲するが,第二室戸台風はなかなか大きな台風だったようだ。

上陸直前気圧(hPa)の低い台風・・・(陸上での中心気圧の最低値ではない)
1 第2室戸台風 925 1961年 室戸岬西方
2 伊勢湾台風 929 1959年 潮岬西方
3 平成5年台風第13号 930 1993年 薩摩半島南部
4 ルース台風 935 1951年 木野市付近
5 平成3年台風第19号 940 1991年 佐世保市南
5 昭和46年台風第23号 1971年 大隅半島
5 昭和40年台風第23号 1965年 安芸市付近
5 昭和39年台風第20号 1964年 佐多岬
5 昭和30年台風第22号 1955年 薩摩半島
5 昭和29年台風第5号 1954年 鹿児島県西部

最大風速(m/s)の大きな台風・・・(最大瞬間風速ではない)
1 昭和40年台風第23号 69.8 1965年 室戸岬
2 ルース台風 69.3 1951年 細島
3 ルース台風 67.1 1951年 佐田岬
4 第2室戸台風 66.7 1961年 室戸岬
5 昭和29年台風第13号 65.0 1954年 都井岬
6 洞爺丸台風 63.3 1954年 神威岬
7 第2宮古島台風 60.8 1966年 宮古島
8 洞爺丸台風 58.8 1954年 佐多岬
9 昭和45年台風第10号 57.5 1970年 土佐沖ノ島
10 昭和5年台風 57.0推定 1930年 南大東島

(注)地球温暖化・気候変動によって近年台風の威力が増大しているという説は必ずしも正しくないかもしれないことが,上記の記録から見て取れる。

2019年10月16日水曜日

食べログ問題

食べログのスコアの得点分布の3.6点と3.8点に不自然な構造が存在することから,スコアの決定アルゴリズムに対する疑問が涌いていた。これに対して,いくつかの分析がなされていたが,食べログ3.8問題に終止符を打つという因果推論の手法を用いた決定版的な詳細分析がでた。「年会費を払う=有料会員になることはお店のスコアをどれくらいあげるのか」という点にフォーカスされているので結論は物足りない。不自然な構造の説明としては,[3]の話の方がおもしろかった。

[1]食べログ3.8問題を検証
[2]食べログEDA
[3]食べログの得点計算についてのポジティブな可能性を考える−操作されたデータを検証する難しさ−
[4]黒木玄さんの分析

インターネット上の評価システムには,運営側のアルゴリズムが不透明であること,逆に透明化することがスコアハッキングを招くこと,意図的なスコア操作(正も負も)の横行などがあり,評価システムではなくとも溢れる情報の真偽を確かめることはますます困難になっている。上からの単純な情報操作と,これに相互作用する大衆の反応が複雑な社会の意思決定に重大な影響を及ぼすようになっている。

トランプがツイッターを駆使し,政府や政権政党が金任せにネトウヨを操る広告宣伝作戦を進め,対抗側のアクションをツイッターなどSNS企業の一部が潰すという,非常に悲惨な世界への扉が開かれつつある。とりあえずは複数の信頼できる人々の情報を重ね合わせて自分なりの初期情報源とし,後は自力で考えて判断するしかないだろう。ただ,経済問題については何が理論的・実践的に正しいのかが自分にはまったく見えてこないのが残念。

[5]サクラチェッカー(やらせ・サクラレビューを見抜けるレビューチェッカー)


2019年10月15日火曜日

台風の運動エネルギー

台風の重さからの続き)

前回は台風の質量と並進運動エネルギーを求めた。次に,台風の重心に対する風の回転運動エネルギーを見積もってみる。そのために,台風の風速分布を調べてみると,中心から50kmあたりをピークとして台風の外側に向けて緩やかに,中心側にむけて急速に減少している。そこで,半径 $R$[m],高度 $h$[m]の台風の平均風速を中心からの距離$ r$[m] の関数として,$v(r)=60(1-r/R) $[ m/s]とモデル化する。中心では過剰に,周辺では過小に評価している。

これを用い,空気の密度を $\rho = 1$ [ kg/m^3] とすると,回転の運動エネルギー$T_R$は,$\int_0^R \rho \pi h r v(r)^2 dr = 5 \pi h R^2 $[J]より,R=500km  h=10km の場合,$T_R$=4×10^16 [J]となり,前回求めた並進運動エネルギー5×10^16 [J]と同じオーダとなった,というかかなり粗い見積もり。これらを加えた台風の風の運動エネルギーは 10^17[J]である。

さて,インターネットでこれがリーズナブルかどうか調べてみようとしたが,台風の運動エネルギーについてのわかりやすい情報はほとんどない。どういうことか。日本科学協会立方体地球には台風ができるの?に,台風の運動エネルギーは10^18[J]とあった。まあまあ正しかった。

Wikipediaにはエネルギーの比較というページがある。日本語版には地震の記述はあるが,台風はない。しかし英語版の Orders of magnitude (energy) には,"Energy released in 1 day by an average hurricane in producing rain (400 times greater than the wind energy)" が 5×10^19 [J]とあるので,風のエネルギーは 10^17 [J] でほぼほぼあっているのかもしれない。

2019年10月14日月曜日

台風の重さ

台風とは,熱帯の海上で発生する低気圧(熱帯低気圧)のうち
(1)北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し,(2)低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s以上のものを指す。

気象庁の台風の大きさと強さの解説ページによれば,最大風速の大きさの範囲によって,台風は,無印(17m/s以上33m/s未満),強い(33m/s以上44m/s未満),非常に強い(44m/s以上54m/s未満),猛烈な(54m/s以上)の4段階に分類される。また,風速15m/s以上の半径を基準とする大きさは無印(500km未満),大型=大きい(500km以上800km未満),超大型=非常に大きい(800km以上)の3段階に分類される。

そこで,台風の半径を500km高さを10kmとすると,その体積は,10^6 km^3となる。空気は1Lで1.25gだから1m^3で約1kg 1km^3で10^9 kgであるから,台風の領域に含まれる空気の全質量は10^15 kgとなる。1辺が10kmの水の質量と同じくらいだ。

実際には空気だけの塊でなく凝結した水蒸気(雲)混じりの流体だが,飽和水蒸気圧は気圧の数%のオーダーなので,ほぼ空気の塊とした質量と変わりがないと思われる。台風の中心が時速36kmで運動しているならば,台風の重心の並進運動の運動エネルギーは5×10^16 Jとなる。

台風の運動エネルギーに続く)

2019年10月13日日曜日

レオーノフ

台風19号による河川の氾濫は広範囲の地域に渡って甚大な被害となっている。地震を含め,当分はこのような自然災害が続くことが予想される。米国のためのイージス・アショアや辺野古移設利権などに税金を投入するくらいであれば,自衛隊の体制を災害救助目的で強化するほうに使うほうがよほど人命を救い国富を守ることにつながるように思える。

数日前にソ連の宇宙飛行士で世界初の宇宙遊泳に成功したアレクセイ・レオーノフ(1934-2019)がなくなったというニュースがあった。ニュース等ではあまり強調されなかったが,レオーノフといえば宇宙をテーマとした絵画を見たことが印象に残っている。たぶん,千里の万博公園あたりだったように思うのだが,1970年の大阪万博の時だったのかどうか(たぶん時期的に違うような・・・),既に記憶がはっきりしない。

2019年10月12日土曜日

台風の角運動量

台風を,時間的に変化するある領域を区画した巨視的な物体だとしたときに,その質量や速度を考えることができる。このとき台風の中心が重心とほぼ近いものになったらわかりやすいが,衛星写真で雲の分布をみると,必ずしもそうなのかどうかはよくわからない。で,この巨視的物体の速度は,さきほどの仮定がよければ,台風の中心の移動速度とほぼ等しくなる。このとき台風の角運動量はどうなるかと思って検索してみると,琉球大学の伊藤耕介さんの数値天気予報研究室が最初のほうに現れた。角運動量に関する記述もある。

2019年10月11日金曜日

無可有郷

青空文庫で江戸川乱歩のパノラマ島綺譚を読みはじめたら,無可有郷が出てきた。ユートピアのことかと思って調べてみたら,トマス・モアユートピアじゃなくて,ウィリアム・モリスユートピアだよりに行き当たった。そういえば家のリフォームで寝室とトイレに家族が選んでいたのはモリスのデザインの壁紙だった。ユートピアだよりとはまったく結びついていなかった。不覚であった。今朝のニュースではアメリカ合衆国で社会主義がはやっているという。日本はいったいどこへ向かうのだろう。ティール組織にはまったく社会主義のフレーバーは感じられなかった。あの分類だとどうなるのか。

2019年10月10日木曜日

ティール組織

もう新聞もテレビも止めようかとかいいながら,ずるずると旧弊に搦めとられている。テレビにいたっては,ビデオレコーダーを更新したおかげで,2つあったリモコンが1つに統合され,450時間録画可能とかになったため,ますます深みにはまっている。購読紙は,資本主義体制どっぷりの日本経済新聞なので,割り切って文化欄と科学欄と経済欄をみている。

新聞を平均 0.1ページ/秒の速度で読んでいるが,ときどき,おもしろい記事に出会うことがある。今日は,ティール組織。

ベルギーのフレデリック・ラルーが2014年に出した,Reinventing Organization が2018年に「ティール組織」として翻訳された。もう,5年前の話だったが,最近流行っている(ティール・ジャーニー・キャンパス)ようだ。世の中には知らないことが多い。本家の?Wikiサイトもある。

さて,この本「ティール組織」は,人間の組織モデルの進化と新しいモデルの提案を扱っている。ラルーはこれを色でシンボル化して5段階で表現している。フランス語Wikipediaの自動翻訳版を整理すると以下のとおり。

【赤】紀元前1万年〜|衝動的|族長|群狼
   |戦利品・上司の裁量で報酬
   |マフィア・ギャング・部族民兵
   |分業・実証的権限/恐怖・反応性
   |最強の法則・恐怖・暴力・短期主義・不安定性

【琥珀】紀元前4千年〜|従う人|ピラミッド組織|軍
   |階位と卒業証書に応じた給料体系
   |軍隊・カトリック教会・行政・学校・大学
   |正式で統一された役割・手順・計画と反復可能なプロセス・安定した階層,
   &下方制御・適合制御・統一思考
   |手続きの硬直性・過去の反復・変化への不適応・差異の排除

【橙】19世紀〜|成功|機械組織・資本主義企業|機械
   |個人ボーナス
   |ウォールストリート・バンカシュアランス・ナイキ・コカコーラ
   |革新・責任・実力主義・競争力・客観的・合理的/科学的精神による管理/報酬
   |専ら金融目的・金融外の意味の欠如(生態学的・社会的・人間的・感情的)
   &職業と個人の世界の分離

【緑】20世紀〜|多元的|ファミリービジネス・NGO|家族・協会・協同組合
   |集団保険料
   |スターバック・サウスウエスト航空・ベン&ジェリーズ ・
   &ミシェル&オーガスティン・新興企業・NGO
   |エンパワーメント・文化・尊敬・平等・感情・人権
   |ピラミッドの平等・コンセンサス文化は減速し決定をさえ妨げる

【青緑】20世紀〜|スケーラブル/包括||生物
   |ピアコンセンサスによる自己決定給
   |Buurtzorg・AES Corporation・Morning Star・FAVI・True Sounds,
   &パタゴニア・BSO / Origin・Holacracy
   |自己統治 / 自己管理・膨満感・進化論的根拠
   |

【青緑】は,フランス語の原文では,Opal(オパール)になっているが,英文ではTeal(コガモにみられる濃い青緑)だった。オパールというと青というイメージはなかったのだが,Wikipediaで検索するとそうでもないのかもしれない。まあ光のスペクトルの並びからして緑の次は青でよいのだろう。

 日本の大学はどうやら琥珀から橙に向かっているようだ。部分的には赤もちらついているかもしれない。

2019年10月9日水曜日

グッドイナフ-金森則

ノーベル化学賞の発表があって,グッドイナフって聞いたことあるような気がするけどどんな人かなと調べてみたら,金森順次郎先生の名前がでてきた。

当時の理学部の研究室は11しかなくて,理論物理はそのうち3つ。理学部の日当たりのよろしくない北西4階に,内山研,森田研,金森研と並んでいた。金森先生は我々の統計熱力学の授業を担当されていた。演習は助手の寺倉清之さんだった。

グッドイナフ-金森則は,陰イオンをはさんだ磁性イオンに対する超交換相互作用の符号をきめる一般則の名前だ。培風館から金森先生の磁性の本が出ているのだけど,買わずじまいだった。

金森先生には,学部3回生のときにきつく叱られたことがある,佐藤秀明君が機動隊になぐられて目に青痣をつくるなど,豊中キャンパスでの緊張関係が高まっていたとき,再度機動隊が導入されて,これにいきどおり,金森先生の授業がはじまった冒頭に1人でクラスに呼びかけに行った。金森先生はこれに対し,君はなんだ出て行けと一喝した。金森先生は,我々が入学した1972年に学生部長をつとめており,こうした学生の扱いには慣れていたのかもしれない。後に,中性子物性実験の国富信彦先生がフォローしてくださったようなのだが,その後,物理学科の同窓会でお目にかかっても,恐れ多くてあいさつもできなかった。

1994年に大阪教育大学の創基120周年の記念式典が柏原キャンパスで行われた。金森先生は,1991年から1997年まで阪大の総長をつとめていたので,来賓としてこの式典に参加され,自分の母親が大阪教育大附属平野幼稚園だったか小学校だったかの出身で縁があるとおっしゃっていた。



2019年10月8日火曜日

フラッグシップ大学(1)

 10月4日に,中央教育審議会の初等中等教育分科会の教員養成部会に置かれた「教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ」の中間まとめがでた。「Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ)」ということで,怪しさ満点の話だ。

教員養成系大学の再編プロセスにおける飴の一つであり,フラッグシップ大学の認定は期限付きであることから,これを使って大学における学校教員養成への恣意的な政治的介入がより容易に実現できるようになる。
教員養成の現状では,これまで既存の制度や予算等の制約の中で個別の好事例は生まれているものの,教員養成の在り方自体を大きく変革するような起爆剤とはなり得ておらず,大学の体制も,教育課題に対応した機動的な教員養成の実践や先導的試行等が十分に行える体制とは言い難い。
「教員養成のフラッグシップ大学」構想は,Society5.0時代に向け,我が国の教員養成の在り方自体を変革していく牽引役となる大学を創出することの必要性を背景とするものである。
教育職員免許法と教職課程認定でガチガチに縛っておいて,その上からたっぷりと免許状更新講習のソースをかけた状態で,どこが教員養成の在り方自体を大きく変革する起爆剤なのか。すでに改悪された教育基本法それ自身が起爆剤として機能し,日本の教育システムが瓦解しつつあるというのに・・・。

2019年10月7日月曜日

PayPay

最初にPayPayアプリをインストールしてチャージの練習をしたのが,去年の12月4日。このブログをはじめる一寸前だった。最初に使ったのが今年の2月3日,明日香にある自然食品のハム屋さんの店頭にPayPayの看板が出ていたため。その後,3月にジョーシン電気で消耗品を買ったのが最後だった。

消費税増税にからめて,複雑なキャッシュレス誘導策が実行されている。なにこれと思って無視していたが,本日2回ローソンとセブン・イレブンで使ってみたら,前回とは違ってなんだか簡単だった。これも停電などでネットワークが切れてしまえば使えなくなるし,端末のバッテリアップでも使えない。どうしてもバックアップのシステムは必要だ。店舗に手回し充電器やソーラパネルや電気自動車を1台置くとか・・・。

でも,もとのクラウドのサーバに至る経路が切れてしまえばそれまでか。なんと脆弱な基盤の上に成り立つ砂上の楼閣なのだろうか。

2019年10月6日日曜日

地球温暖化(2)

地球温暖化(1)からの続き

これに対して,様々な批判的な論説が現れている。もちろん,昔から地球温暖化に関する懐疑論があったが,一周回ってリニューアルしているということか。

・長周新聞:気候変動サミットと「温暖化論」の破綻 モンスター化したIPCC(2019)
・中村元隆:気候科学者の告白 地球温暖化説は未検証の仮説(2019)
・ジョン・クリスティ:熱帯の空−気候危機論への反証−(2019)
・リチャード・リンゼン:科学を無視した地球温暖化議論(2016)
・山田耕一:素人による素人のための地球温暖化懐疑論(2016)
・深井有:地球はもう温暖化していない−科学と政治の大転換へ−(2015)

自分のスタンスは昔からはっきりしていて,明日香壽川江守正多の議論は,赤祖父俊一丸山茂徳らのそれより信用できないというもの。でも気象学の先生に聞いたら二酸化炭素濃度の増加による温暖化の進行はほとんど正しいとのことだった。まあ,これに便乗した某Kさんによる理科教育・環境教育の二酸化炭素の温暖化効果を確かめる実験の方は,ほとんど否定されているんだけれど。

ということで,金星大の惑星に地表面で90気圧の窒素を充填したときの温度構造が説明したい。

P. S. 中村さんの上記資料には,NHK出演後に海洋研究開発機構からコラムの原稿依頼があったとある。「2014年1月上旬に北米を襲った大寒波について」というタイトルで寒波の原因が温暖化であるとの説を否定している。なお,リチャード・リンゼンは中村元隆の博士課程アドバイザーの一人。


2019年10月5日土曜日

地球温暖化(1)

京大総長の山極壽一は,京大の吉田寮問題,立看問題や折田先生像的問題でなかなかの対応をしていて頭がいたい。山極は日本学術会議会長の職にあるが,この度「地球温暖化問題に対する緊急メッセージ」というのを会長談話として出していた。9月の国連総会における「国連気候行動サミット」の直前に連帯のメッセージとして出したもののようだ。

温暖化の原因は人間の活動にあると断定したところから議論が始まり,2040年度に産業化以前から比べて地球平均気温が1.5度上昇するというシミュレーション結果から,「1.5度目標」というキーワードを強調している。1.5度の意味については,甲斐沼美紀子による「IPCC 1.5°C特別報告書 を読み解く」がある。

環境省のIPCC第5次評価報告書の概要−第1作業部会(自然科学的根拠)−のような政策的プレゼンテーション資料をみていると,グレタ・トゥーンベリがもうこれは絶対だ思うのも無理はない。

なお,典型的な2つの議論は次にみられる。
地球温暖化懐疑論批判(明日香壽川他 2009・・・住明正は表に出ないってことか)
地球温暖化懐疑論批判の誤謬(近藤邦明 2010)

地球温暖化(2)に続く



2019年10月4日金曜日

ノーベル賞飴

今年もノーベル賞の季節が巡ってきた。日本の学術論文数や引用数の国際順位の低下から,今後は日本からノーベル賞受賞者がでなくなるのではないかとささやかれている。これについての議論は,元三重大大学学長の豊田長康先生の分析から出発する必要がある。

それはそうとして,小学校6年生の頃(だと思う),アルフレッド・ノーベルの伝記を読んで読書感想文を書いたことがあった。偕成社の児童伝記全集か何かにノーベルの巻があったのだ。ではなぜ,あまたある偉人の伝記の中からノーベルを選んだのかというと,ノーベル賞が鍵だった。

「世界にはノーベル賞をもらうようなすごい科学者がたくさんいるが,その中から一人をえらぶのは難しい。しかし,それらの科学者はノーベル賞という基準で評価されている。とすれば,その共通の基準をつくりだしたノーベルについて知ることで,その他の科学者の全体をカバーできるのではないか」というイメージに近いことを子どもなりに考えて,ノーベルの伝記を読んだのだった。

いいのやらわるいのやら。

追伸:大阪教育大学の物理学教室の卒論発表会では,とてもよかった発表をえらんでノーベル賞飴をあげていたそうなのだが,自分が着任した年にはその習慣がなくなってしまっていた。ノーベル賞飴が製造中止になったためかもしれないが,その年代はよくわからない。ただ,しばらくは卒論要旨集の表紙の模様がノーベル賞のメダルのデザインとして残っていた。

2019年10月3日木曜日

phyphox

2010年に市川忠樹君といっしょに「携帯端末の加速度センサーによる実感をともなった運動の理解」という論文を書いた。iPhoneが日本に上陸したのが2008年であり,翌2009年の彼の修士論文にもとづくものである。2000年ごろのインターネットの教育利用運動のピーク時にも,モバイル学習端末をテーマにしてはどうかと芳賀さんに水を向けたこともあったけれど・・・,まあ,その時はそれどころではなかった。

その当時から様々なアプリが登場していたが,今日見つけた,ドイツのアーヘン工科大学で開発されたphyphoxはその決定版のような印象だ。日本語化されていて次のようなメニューがみられる。阪大の橋本幸士さんがTwitterで宣伝していたのだった。

写真:phyphoxのメニュースクリーンショットから(引用)

2019年10月2日水曜日

非常勤講師後期授業開始

夏休み50連休が終わって,後期の授業がはじまった。週2回の量子物理学(水2)と物理学Ⅲ(木3)だ。前期は,古典物理学(水2)と科学のための数学(木2)と
電磁気学(金3)だった。これに,小専理科A・Bや小学校教科内容(理科)などのオムニバスものが加わる。

たまにいくといろいろと環境が変化している。やや疲れた。

2019年10月1日火曜日

せとちとせ(1)

大学時代のマンドリンクラブの2学年上の先輩で,ベースを担当していたのが瀬戸俊昭さんである。基礎工学部の情報科学科でヒルベルト空間を羽ばたく蝶々だかなんだかよくわからないシャレを多発していた。部長ではなかったが,クラブの運営の中心的な存在であり,指揮の津江月義男さん(理学部化学科)と丁々発止の漫才を繰り広げていた。ビートルズが大好きでそれをめぐる論争だったようだ。

1回生が何人か,石橋にある炉端焼きの西本に連れていってもらったことがあったが,そのときも瀬戸さんがいただろうか。頭の回転が早くて洒脱な人だったが,卒業してから1度,江坂の東急ハンズがオープンしたてのころにちらっとお見かけしたことがあったくらいで,あまり接点はなかった。

この度,瀬戸さんを検索してみると,博報堂でなかなかの仕事をされた偉才人で,広告に関る多数の賞を獲得され,現在は個人事務所を開設されているようだ。その瀬戸さんが,せとちとせという回文のペンネームで,「たのしい回文」と「笑う回文教室」という本を出版されているようだ。本文カットもご本人。さもあらん。

[1]大手エンジニアも研修,「回文」の効用は