2023年6月20日火曜日

ローラー式すべり台(2)

ローラー式すべり台(1)からの続き

さて,ローラ式すべり台において,雨粒のように速度の2乗に比例する抵抗が働く理由である。これを牧野さんにならってローラーの回転エネルギーへの損失からくるとしてみよう。

村田さんらの論文では,実験データとして次の情報が与えられている。ローラ式すべり台の直線部分7.5m,角度13度,直径18mm の軸受け付きアルミ棒・25mm 間隔 とある。アルミ棒はたぶんアルミパイプだと思うが,厚みや長さや質量などの情報はなかった。

これから,回転アルミパイプの外径$R$は9mm で間隔$d$は25mm となる。仮に厚みを5mm とするとアルミパイプの内径$R'$は4mmである。アルミパイプの軸回りの慣性能率$I$は,その質量を$M$として,$I=(R^2+R'^2)/2 \cdot M$ となる。よくある力学の演習問題だ。

終端速度$v$に達すると,すべり台を滑る位置エネルギーがすべてローラーの回転エネルギーに転化される。あるいはこの際に損失を伴うかもしれない。短時間$\Delta t$の間に物体が角度 $\theta$のすべり台を$v \Delta t$だけ滑り落ちるとする。その際の位置エネルギー変化は$\Delta U = m g v \Delta t \sin \theta$ となる。

一つのローラユニットの幅は$d$なので,この間に通過するユニット数 $n$は,$n=\frac{v \Delta t }{d}$となる。また,1ユニットのローラが受け取るエネルギー$\Delta L$は,$\Delta L = \frac{1}{2} I \omega^2 $となる。ただし,$\omega = \frac{v}{R}$は,ローラーの回転角速度である。これから,$\Delta L = \frac{I v^2}{2 R^2} $となる。

$\Delta U =  n \Delta L$から $v \Delta t$を消去すると,$m g \sin \theta =\frac{1}{d} \cdot \frac{I v^2}{2 R^2} $となる。
$\therefore  v = \sqrt{\dfrac{4 g \sin \theta \  R^2 d }{(R^2+R'^2) M}} \cdot \sqrt{m}$
ここで,$M$はアルミパイプの質量。アルミパイプの長さを60cm ,$R'$=4mmとすると,$M$=0.33kgとなる。これらを代入すると, $v=0.74 \sqrt{m}$ となる。

牧野さんの前半の値とほぼ整合するというか,真似しただけなのであたりまえなのだった。


図:アルミパイプ内径の関数としての係数と質量(直線は係数の実験値)

2023年6月19日月曜日

ローラー式すべり台(1)

カーリングの原理(1)からの続き

カーリングの原理で有名になった立教大学の村田次郎さんが,第2段としてすべり台の滑降時間に関する論文を書いた。しばらく前にマスコミでも話題になっていた。

問題意識は次のようなものだ。自由落下する物体の落下時間はその物体の質量によらない。摩擦のない斜面を滑降する場合も同様だ。ガリレオが長い斜面を作って実験したやつだ。ところが,実際のすべり台では大人と子供で滑る時間がちがう。重い人ほど速いらしいのだ。これはなぜか。

重いものが速く落ちる現象は実は良く知られている。雨だ。大きな雨粒ほど速く落ちる。これは大学の物理の授業で良く取り上げる,速度に依存する抵抗が働いているときの終端速度の問題だ。慣性抵抗が働く場合,終端速度 $v$ は次式 $k\,v^2=m\, g$ を満たすので,$v= \sqrt{g/k \cdot m}$となって,雨粒の質量$m$の平方根に比例する。

村田さんとその卒論学生の塩田君は,学生の探究実験としてこれをとりあげて,丁寧に工夫された実験と測定を行っている。これを分析した神戸大学の牧野淳一郎さんによると,ローラー式すべり台の場合も終端速度の平方根に比例するとのことで,ローラーの回転にエネルギーが散逸するとしてほぼ説明できるという新たな解釈を行った。

面白い話なので,自分でも計算してみることにする。まず,終端速度$v$と質量$m$の関係だ。村田チームは,動摩擦係数$\mu$を経由させながら,終端速度$v$の一次に比例する動摩擦係数$\mu = K v$を導入し,終端速度を$v=\frac{\tan \theta}{K}$ としている。ここで$\theta$はすべり台の斜度である。物理教育 Vol. 71 No.2 95-100 (2023) に投稿された「すべり台の動摩擦係数の実測研究」の図5 に $K$と$m$の関係があって,単調現象の質量依存性を指摘するにとどまっている。牧野さんはこの図から,終端速度$v$の質量依存性を $v=0.58 \sqrt{m}$ とした。

さて,図を読み取ると,資料{A,B,C,D}に対して,質量は$m$={1.0,2.2,4.2,6.2}であり,パラメタは$K$={0.395,0.255,0.175,0.145}となった。斜度の実測値を入れた終端速度の式,$v=\frac{\tan 13^\circ}{K}$にあてはめると,$v$={0.582, 0.902, 1.314, 1.586}となる。これを最も良く再現するのは $v \propto m^{1/1.8}$の場合であり,$v \propto m$ではなく,$v \propto m^{1/2}$のモデルの妥当性を示している。村田さんの論文の図から得られたのは,$v = 0.62 \sqrt{m}$であり,牧野さんの値より少しだけ大きくなった。


写真:ローラー式すべり台の完全に誤ったイメージ
(Bing=DALLE作,何度説明しても全く理解してもらえなかった,
人間のコミュニケーション能力が真剣に問われる・・・)


2023年6月18日日曜日

AI Risk

AIの安全性についての研究や提唱をしている非営利組織のCenter for AI Safety(CAIS)が先日,AI Riskに対する声明を発表していた。

その内容は「Mitigating the risk of extinction from AI should be a global priority alongside other societal-scale risks such as pandemics and nuclear war.  =  AIによる絶滅のリスクを軽減することは、パンデミックや核戦争など他の社会的規模のリスクと並んで、世界的な優先課題であるべきです。」という短いものである。

その賛同者の上位5名や著名人を並べると次のようなものだ。
Geoffrey Hinton,   Emeritus Professor of Computer Science,  University of Toronto
Yoshua Bengio,   Professor of Computer Science, U. Montreal / Mila
Demis Hassabis,   CEO, Google DeepMind
Sam Altman,   CEO, OpenAI
Dario Amodei,   CEO, Anthropic
Bill Gates,   Gates Ventures
Ilya Sutskever,   Co-Founder and Chief Scientist, OpenAI
Ray Kurzweil,   Principal Researcher + AI Visionary, Google
Max Tegmark,   Professor, MIT, Center for AI and Fundamental Interactions
Ryota Kanai,   CEO, Araya, Inc.
シンギュラリティサロンの松田先生の解説によると中国の研究者が含まれているところがポイントで,AIの研究を止めるのではなく,リスク軽減のためにも研究を進めようという趣旨らしい。

CAISによれば,AIのリスクは次の8つに整理できるという。
1.兵器化(Weaponization)
 AIが悪意ある者によって破壊的な目的のために使われるリスク。これは存在そのものとしてリスクを伴い、政治的な不安定さを増加させる可能性がある。
2.誤情報(Misinformation)
 AIが生成する大量の誤情報や説得的な内容により、社会が重要な課題に対処する能力が低下する恐れがある。
3.代理ゲーミング(Proxy Gaming)
 不完全な目標で訓練されたAIシステムは、個人や社会の価値観を犠牲にして自身の目標を追求する新たな方法を見つける可能性がある。
4.衰弱(Enfeeblement)
 重要なタスクが徐々に機械に委任されると、人間は自己統治能力を失い、機械に完全に依存する可能性がある。
5.価値の固定化(Value Lock-in)
 高度に能力のあるシステムは、少数の人々に巨大な権力を与え、抑圧的なシステムが固定化される可能性がある。
6.新たな目標の出現(Emergent Goals)
 モデルは能力が増すにつれて予期しない、質的に異なる行動を示す。これにより、人々が高度なAIシステムをコントロールする能力を失うリスクが増える。
7.欺瞞(Deception)
 強力なAIシステムが,何をなぜ行っているのかを理解したい。しかしAIシステムは正確にこれらの情報を報告する代わりに,欺瞞で答えるかもしれない。
8.権力追求行動(Power-Seeking Behavior)
 企業や政府は、広範な目標を達成できるエージェントを作る強い経済的インセンティブを持っている。

図:AIがもたらす8つの危険(CAISから引用)

Misinformation(誤情報)とEroded Epistemics(侵食された認識)の違いは何なのだろうか?


2023年6月17日土曜日

アミガサハゴロモ?

「ちょっとちょっと」と呼び出されてベランダに出てみると,小さな白い花が落ちている。

この5mm ほどの白い小さなものが動いて跳ねるというのだ。早速指を近づけるともぞもぞ動きはじめ,そのうち20cm以上大きくジャンプした。なんだこれは。ネットで調べてみると,どうやらオオシラホシハゴロモの幼虫らしい。

そんなものかと納得していたのだけれど,今回記事にしようと確認してみたところ,違うかもしれない。幼虫が成虫になるまで追跡調査した人によると,アミガサハゴロモのようなそうでないような。岐阜聖徳学園大学の川上先生のところの進化する昆虫図鑑では,アミガサハゴロモ属の外来種らしい。

生物種の同定というのはなかなか難しいものだ。


写真:たぶんアミガサハゴロモ属の外来種の幼虫

2023年6月16日金曜日

べんとりくん

人間ドック(2)からの続き

昨日は,天理市立メディカルセンターで1年ぶりの国保人間ドックだった。

事前に送られてきた便の潜血検査キットがちょっとリニューアルされていた。青と赤のラベルが貼ってある採便容器が無駄に大きくなっただけでなく,便採取支援シートに名前がついて形状が変化していた。べんとりくんだ。早速試してみたが,ちょっと不安定で使いにくかった。ネーミングはいいのだけれど,うーん,もう一工夫必要かも。トイレットペーパーを重ねて自分でコントロールするほうが安全だ。

去年のバリウム検査で懲りたので,今年は口からの胃カメラにしてみた。以前,大手前病院で一度だけ胃カメラに挑戦したが,そのときはわりと楽だった印象があるので今回も安心していた。

ところがです。呼び出されて,何やら変な味のクスリを2種類飲んだところまではいいのだけれど,5分間麻酔ゼリーを口に含む当たりからややこしくなってくる。タイマーが5分過ぎてもなかなか呼び出しがこない。麻酔がきれるのではないか。中からはゲーゲーいう音も聞こえてきて不安を一層あおる。

そうこうしているうちに名前が呼ばれたのだか,看護師さんが若干こわい。ベッドに横になってマウスピースをはめたが,以前のもののようにしっかり安定していない。しかも,ドクターの持っている内視鏡がえらい太いのである。えーっ,話が違う。わりと高速にのどから胃にむけてカメラが入っていったため途中で二,三回,オエーッとなってしまう。後半はようやく落ち着いて耐えることができた。



写真:べんとりくんと採便容器(撮影 2023.6.12)

2023年6月15日木曜日

大学教育とChatGPT(9)

大学教育とChatGPT(8)からの続き

まだ大学からのアナウンスが続いている。ChatGPTへの怖れからくる反応のようにも思える。機密情報(そんなもの学生が持ってるのか)や個人情報の漏洩も著作権の侵害も,SNSなどのほうが実質的に影響は大きいはずだ。生成系AIに限らずインターネットのサービスには様々な落とし穴があるにもかかわらず,生成系AI固有の問題点が沢山あるかのように強調されている。

東京都教育委員会は,都立学校宛に生成AIの利用に関する注意喚起を通知した。都立学校だから小中は含まれていないのか。でも児童や生徒にという表現もあるのでどうなっているのかはっきりしない(例外的な都立小学校1校と都立中学校5校はある)。具体例として (1) 日記や読書感想文,(2)プログラミング,(3) 校内コンテスト用のポスターの作成 などがあげられているらしい。

そうか,日記も書けて写真や絵も付けることができるなら生成系AIは夏休み最強のツールではないか。仮想日記コンテストをやればいいのに。一番ビックリするような仮想絵日記作品を選ぶコンテスト。生成系AIの使い方にかなり習熟するはずだ。子どもだと下手にAIに頼らない方がすごい結果がでるかもしれないけど。

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ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧(森木銀河)

生成系AIガイドライン(奥村晴彦)

生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

生成系AIに関する留意事項など(越桐國雄)

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6月7日
生成系 AI の適切な利用についての学長メッセージ
東京医療保健大学 学長 亀山周二
https://www.thcu.ac.jp/uploads/posts/2597/file.pdf

6月8日
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用に関して
藤女子大学 学長

6月8日
ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針について
桃山学院大学 学長 中野瑞彦

6月8日
生成系AIに関する学長メッセージ
東北学院大学 学長 大西晴樹

6月8日
ChatGPT等の生成AI利用に関する本学の方針と留意事項
新潟医療福祉大学 副学長(教育担当) 大山峰生・研究科長 佐藤大輔

6月8日
チャットGPTなどの生成系AIの利用について
名古屋学院大学 学長

6月8日
生成系 AI (人工知能)の 利用 について (方針)
愛知学院大学 学長 引田弘道

6月9日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
琉球大学 理事(教育・学習支援)・副学長

6月9日
対話型生成系AIの使用について
昭和女子大学 学長 金尾朗

6月12日
ChatGPT などの⼈⼯知能の講義・実習における活⽤について(4月10日)
九州大学 教育担当理事 園⽥佳巨

6月12日
本学におけるChatGPT等の生成系AIの使用に関する取扱いについて
共立女子大学 学長 川久保清

6月12日
Chat GPT等の生成系AIの利用に関する学生向け指針
新潟リハビリテーション大学長 山村千絵

6月13日
ChatGPT等(生成系AI)への対応について
愛知淑徳大学 学長 島田修三

6月14日
レポート・論文執筆等の学修における生成系 AI の利用について
奈良県立大学 教務委員会

6月14日
生成系AI(ChatGPT、Bing AI等)の使用に関する留意事項について
鳴門教育大学 学長 佐古秀一

2023年6月14日水曜日

鏡の中のミステリー

暇な老人はテレビをつけっぱなしにすることが多い。韓国ドラマを見終わって番組がつまらなくなると,放送大学にチャンネルを替えるのが癖になってしまった。先日,それで「鏡の中のミステリー〜なぜ左右が反対に見えるのか?〜」という高野陽太郎先生の番組にあたった。

従来の説として,ファインマンの説と回転説を紹介した後,それらを簡単に否定してしまった。ええっ。そのうえで,多重プロセス理論という自説を展開する。人による左右の反転の認知は,3つの原理によって産み出される3つの減少の複合体だとのこと。その3つの原理は,(1) 視点変換,(2) 表象方向 の乖離,(3) 光学変換 である。

文字の反転は(2)によるもので,鏡の前の人の場合 (1)とは区別されるというのだ。ええっ。トンデモ理論ではないのか。それにしては,森津太子さんが神妙に聞いている。岩波書店からも,「岩波科学ライブラリー 55 鏡の中のミステリー 左右逆転の謎に挑む 鏡に映った自分の顔がなぜ左右逆に見えるのか.これまで誰ひとり解けなかった謎が,ついに解けた。(現在品切れ)」と売り出している。

あたまがクラクラしてきた。もう少し調べてみると,ちゃんと反論している人はいた。その結果,認知科学が2008年に誌上討論を実施している。しかし結論はでていない。岩波と放送大学を握ったほうが勝ちなのだろうか?もう少し勉強してから考えをまとめる。

今のところの自分の考え。「上下対称,左右非対称の生物が鏡に正対したとき,彼らは上下が反転していると認識する可能性があるだろう」「文字を2次元の対象と考えれば,鏡によって反転することはない。反転するのは3次元的な対象に限られる。なお,表裏のある2次元の対象は3次元の対象と同等である」


[1]「小特集 − 鏡映反転」(認知科学,2008)
[2]鏡の世界回答編(多幡達夫,2004)
[3]鏡の中の左利き一物理屋のコメント(吉村浩一|多幡達夫,2004)
[4]鏡像問題(発見の発見ブログ,田中潤一,2007-2019)

2023年6月13日火曜日

AIとSF

久々にジュンク堂書店で本を眺めていたら,ハヤカワ文庫JAで,日本SF作家クラブ編の「AIとSF」という短編集を見つけた。2023年5月25日発行なので,出来立てのほやほやだ。中をざっと見ると,22編のうち知っている作家は8人くらいだ。

最初の作品が長谷敏司(1974-)の「準備がいつまで経っても終らない件」だった。2025年4月13日から開催される大阪・関西万博がテーマなのだけれど,2022年11月末に登場したChatGPTをかなり精密に取り入れた短編に仕上げている。万博への批判的視点も確かでおもしろい。


写真:ハヤカワJA文庫「AIとSF」の書影を引用

2023年6月12日月曜日

IUGC

FeedlyでブログのRSSフィードを読んでいる。登録されているうちのひとつが,弦理論批判で有名なビーター・ウォイトNot Even Wrong だ。

そのタイトルが Zen Unviersity だった。えっ,なんで。ZEN大学というと,ドワンゴと日本財団がつくるというオンライン大学だ。ドワンゴはN高等学校で成功しているので,高等教育まで触手を伸ばしたようだ。

Not Even Wrong でなぜZEN大学をとりあげているかというと,ZEN大学にIUGC(宇宙際幾何学研究センター)が設立されるから。加藤文元さんが所長で,イヴァン・フェセンコを副所長にすえてIUTをテーマとした研究所というところに,ピーター・ウォイトがひっかかったからだ。彼は望月新一さんの宇宙際タイヒミュラー理論をさんざんディスってきた張本人だった。今回も皮肉交じりの嘲笑か。

ZEN大学のニュースはチラッと聞いただけだったが,ドワンゴなので無視していた。改めて,どんな人がスタッフになるのか確認してみた。教員予定者一覧。チェアマン鈴木寛・・・ぬぐぐ。副学長上山信一・・・こりゃあかんわ。東浩紀・・・げげげ(ゲンロンとタッグを組むらしい・・・orz),遠藤諭・・・へにょ,西郷甲矢人・・・おぅ,竹内薫・・・ほゎん,深津貴之・・・れれれ,松尾豊・・・はぁ。

玉石混交わけわかめ状態であった。

2023年6月11日日曜日

インターネットと教育フォーラム(2)

インターネットと教育フォーラム(1)からの続き

6/9-10に,OMMで開催されたNew Education Expo 2023(第28回)の最終セッションに参加してきた。

120人の会場は満員というわけではなかったが,懐かしい顔ぶれが集まった。大教大関係では卒業生の井野君,松本君,片桐先生(仲矢さん?),大阪では,重松先生,野村先生,十河先生,全国から,高橋校長,その息子さん,渡辺さん,中島さん,大倉さん,前田さん,足立さん,幸地さん,竹中さん,宮澤さん,デジタルシティズンシップ関係では,坂本さん,豊福さん,今度さん,林さん,登壇者は,芳賀さん,石原さん(オンライン),影戸さん,三輪さん,大久保さん(NEE副委員長)などなど。

芳賀さんの趣旨説明で始まって,→越桐→石原→影戸→三輪→大久保と続いて70分経過,後半のポイントは,歴史は繰り返えすのか?GIGAスクールはどうなるのか?だった。インターネットと教育の場合,1993年に始まり(千葉大学附属中),1997年がターニングポイント(環境整備から活用方法の追求)で,その後数年の高揚期のあとリバウンドで低迷期に入ったという歴史観にあてはめるとどうなるかという問題意識だった。

残り20分くらいで,あまり掘り下げることはできなかったが,大久保さんのGIGAやそれを取り巻く状況についての認識からくる力強い発言に圧倒された。まさに,選挙に行ってください,民主主義が重要ですということかもしれない。

大阪教育大もそうだが,多くの大学ではBYODになっているので,これをいかに下に拡大していくかという戦略が必要だと自分は思う。まあ,それより先に生成AIの波がやってくるのかもしれないが。


写真:O38セッション終了後の関係者記念写真(2023.6.10)

終了後,バスで内田洋行大阪支店の懇親会会場に移動した。懇親会終了後は皆さんと別れて,卒業生で,神戸親和大学教授の松本宗久先生と居酒屋で久しぶりにお話する。

2023年6月10日土曜日

Apple Vision Pro(1)

2023年6月5日のWWDC23で,Apple Vision Pro という最初の空間コンピュータのモデルが発表された。

事前には,アップルから待望のMRゴーグル(ただし非常に高額)が発表されると思っていたが,アップルの宣伝文句はそうではなかった。
(1) Mac (+マウス):パーソナルコンピューティングの登場
(2) iPhone(+マルチタッチ):モバイルコンピューティングの登場
(3) Vision (+指・声・視線):空間コンピューティングの登場
と位置づけられていた。ユーザインターフェイス的には (1.5) iPod (+クリックホイール)もあった。

3500ドル≒49万円なので,一般消費者向けにすぐ普及するというものではないけれど,企業やソフトウェア開発現場では十分導入可能なものだろう。単なるゴーグルと考えると,Meta Quest 3Pico 4の数倍以上だが,新しいコンピュータと考えれば一応納得できるかもしれない。

なにせ,CPUとしてM2チップを搭載し,これに,前方のメインカメラ2基,下側を見るカメラ4基,赤外線照射器が2基,サイドカメラが2基,ライダースキャナ,TrueDepthカメラ2基,マイク6個,内側には眼を囲むようにLED(アイトラッキング用に目に見えない光のパターンを照射)と赤外線カメラ2基,をコントロールするR1チップが加わるというものだ。虹彩認証が組み込まれ,他社のような操作のためのコントローラはない。

一番ビックリしたのは,Twitterでのうみゆき@AI研究さんの次の記事だった。
Vision Proはアイトラッキングと網膜状態の検出ができる。ハンドトラッキング、身体の揺れ方、声の調子とかも常にデータ収集し続けている。AppleWatchを付けてれば脈拍だって取得できる。AppleのAIモデルはこれらの人体データを総合的に判断して、ユーザが好奇心を感じてるか、怯えているか、そういう精神状態を予測する。

眼球を介在した脳コンピュータインターフェイス。あんな大きなものを頭・顔に付けるというのはどうしても納得できないのだけれども(今でも),もしかするとその先には脳波インターフェイスも視野に入ってくるかもしれない。それでもせいぜい,キャップ型空間コンピュータということで勘弁してほしい。


写真:Apple Vision Pro (バッテリで2時間駆動…orz)(Apple から引用)

追伸:年金生活者にはちょっと買えそうもないデバイスだけれども,新しい種族のコンピュータ & 初の3Dムービーカメラ & 初の3Dテレビ と考えるとどうだろうか。問題は,家族で共用できないこと。装着したまま外出するのはたぶん危険をともなうこと。

2023年6月9日金曜日

大学教育とChatGPT(8)

大学教育とChatGPT(7)からの続き

そろそろ150大学に到達しようとしている。大学の本来の機能から考えれば,ソーシャルメディアの利用ガイドラインよりも,生成系AIへの対応のほうが重要度は高いからかもしれない。非常勤先の大阪教育大学と同志社大学からもそろって具体的注意が発出されていた(同志社大学学長のお気持ちはもっと早かったけど)。

その後,目に付いた大学は次のようなところだ。
・甲南大学:公開後 pdf を不可視にしてしまった。wayback machineで見えたけど
・中央大学:さすが中央大というか留意事項の詳細な規程化を図ってしまった
・四国大学:ChatGPT-4のアカウント(約30)を配布,教職員+学生(教員推薦者)
・大東文化大学:生成系AIガイダンスでアカウントの取得方法まで説明
・長浜バイオ大学:学生への利用の奨励,試験じゃ使えないよねと ^_^;;;

なお,注意喚起が丁寧で分量が多い(10kB以上)の大学は次の通り。
1. 東京大学,2. 武蔵野美術大学,3. 中央大学,4. 東京大学(授業における利用)
5. 東洋大学(坂村健),6. 大阪公立大学(教員向け),7. 早稲田大学,8. 東京外国語大学

(注)奥村晴彦先生が同じようにデータをまとめたエクセル(生成系AIガイドライン)を公開していた。



図:大学における生成系AI注意喚起テキスト量のヒストグラム

5月26日
授業レポート等における生成系 AI への対応について
学習院女子大学 教務部長

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6月1日
生成系AIの利用に関する対応について
中部大学 学長 竹内芳美,教務部長 佐伯守彦

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意喚起
聖学院大学 学長 小池茂子,教務部長 若原幸範

6月1日
生成系AIの使用に関する留意事項について
大阪教育大学 副学長 廣木義久

6月1日
学習における生成AI(ChatGPT、Bard、BingAI等)の使用について
同志社大学 教務部長

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
国学院大学 学長 針本正行

6月1日
授業におけるChatGPT等生成AIの利用方針について
松山大学 学長 新井英夫

6月2日
愛媛大学における生成AIの利活用に関する基本的考え方
愛媛大学 学長 仁科弘重

6月5日
鳥取大学における生成系AIの利用に関する基本方針と注意事項
鳥取大学長 中島廣光

6月6日
中央大学における「生成系AI」についての基本的な考え方
中央大学 学長 河合久
中央大学の教育課程における「生成系AI」利用上の留意事項について

6月6日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
大阪産業大学

6月7日
生成AIの利活用について
信州大学理事(情報・DX担当)・副学長 不破泰

6月7日
生成系AI・翻訳AIの利用についての基本方針
公立はこだて未来大学長 鈴木恵二

2023年6月8日木曜日

会話行動に関する調査


シンセティック・メディアについて考えるための,人の情報環境について考えていた。情報通新メディアの利用時間のデータは見つかったので,対面コミュニケーションの時間のデータがないか探してみた。国立国語研究所日常会話コーパスプロジェクトの中に,「一日の会話行動に関する調査報告(2017)」が見つかった。

243人の調査対象に平日2日,休日1日のすべての会話を記録してもらった結果,1日平均の会話数 12.7回,会話時間長 6.2時間,1回の会話時間 29分という結果になった。会話時間の約6時間というのは,情報通信メディアの利用時間約6時間とほぼ同じであった。


図:一日の平均会話の特徴

会話相手の人数がN人の時,自分の発話割合は,1/(N+1)である仮定する。上記の相手人数の割合の加重平均をとれば,(38.3/2+17.9/3+12.5/4+6.6/5+4.3/6+3.2/7+1.9/8+1.5/9+1.1/10+12.7/20)%=32%となる。
したがって,一日の平均会話時間の1/3の2時間は自分が話し,残りの4時間は相手の話を聞いているということになる。

2023年6月7日水曜日

社会生活基本調査

情報通信メディアの利用時間からの続き

さらに,ブラウズしていたら,社会生活基本調査というものに行き着いた。
社会生活基本調査は,統計法に基づく基幹統計調査として,生活時間の配分や余暇時間における主な活動(学習・自己啓発・訓練,ボランティア活動,スポーツ,趣味・娯楽及び旅行・行楽)を調査し,国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として5年ごとに実施しています。

というもので,直近は令和3年(2021年)版だ。詳細行動分類による生活時間に関する結果が昨年の12月に公表されている。ここにスマートフォン・パソコンの使用時間があった。使用者率が65%,平均使用時間(使用者についての)が4.29時間である。この調査は,10歳から75歳以上を対象としているため,情報通信メディアの利用時間(6時間)に比べれば,値が小さくなるのはしかたがない。14歳以下や65歳以上をのぞけば,使用者率78.9%,平均使用時間4.89時間程度にはなるので,6時間にはとどかないがまあ同じオーダにはなっている。

使用者率が78.9%というのは低すぎるような気がするのだけれど・・・。


図:令和3年度社会生活基本調査から


2023年6月6日火曜日

情報通信メディアの利用時間

シンセティック・メディア(2)からの続き

視聴覚メディアからの影響と実体験や対面コミュニケーションによる影響を考えるための基本情報は何かと考えた。とりあえず,視聴覚メディアに接している時間ならばデータがあるかもしれないと思って,調べたところ,総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」というのが見つかった。

とりあえず分かったことは次の通り。
(1) 対象は,全国の125地点の13歳から69歳までの1500人
(2) メディア視聴時間の合計は平均6時間程度であり,年代とともに微増するがほぼ一定
(3) 一日平均のTV(リアル+録画)視聴時間は3時間,ネット視聴時間も3時間(1 : 1)
(4) 20代の場合は,TV視聴時間が1.5時間,ネット視聴時間が4.5時間(1 : 3)

睡眠時間や自分だけの時間の和が12時間とすれば,他者とともにある時間が6時間,メディア視聴時間が6時間という配分になる。他者とともにある時間のうちコミュニケーションに費やされるのがどのくらいかは,人によってかなり違うだろうし,測定も難しそうに思える(ノンバーバルコミュニケーションとかやぎさん郵便状態をどうやって評価するのだろう)。


図:年代別のメディア視聴時間(縦軸 分,横軸 ×10代)

追伸:総務省のICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会資料
各セグメントにおけるメディアの利用状況に関する調査」にもネットメディア接触時間のデータがある。全体平均では200分であり,上記の結果と矛盾しないが,10代では450-500分となっていて,図の結果とはかなり様子が違う。

2023年6月5日月曜日

シンセティック・メディア(2)

 シンセティック・メディア(1)からの続き

シンセティック・メディアが普及すると,世界の様々な事象の真偽が不確実になる。とはいうものの,今だって状況はそれほどかわらないかもしれない。(1) 商業的なマスコミュニケーションの登場(新聞?雑誌?テレビ?)により,大衆迎合的な偏向が生じていること。(2) インターネットの登場(SNS?)により,情報発信の閾が下がるとともに,政治的な宣伝工作等も要因とするネトウヨ的言説の拡散がエコーチェンバーで増幅されること。などなど。

人は,家庭や周囲の人々との対話,学校や職場での組織における活動,マスメディア等を通じた報道や文化の情報伝達によって,世界認識の枠組みが形成される。そのうち実体験や対面のコミュニケーションではない,視聴覚メディアを媒介する寄与分はどの程度だと推定されるのだろうか。この視聴覚メディアの媒介する部分を,シンセティック・メディアが覆いはじめることになる。

その視聴覚メディアについて,大学に入ってからの自分で考えてみる。1972年から1997年までは,新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・本が情報源だった。1997年以降はメーリングリスト・ネットニュース(fj)・ウェブから始まり今では,ブログ・ネット記事・YouTubeが主要な情報源になっている。紙でできた本や雑誌はほとんど買わなくなってしまった。2022年以降は,それらがさらに,AIに媒介されるテキスト,シンセティック・メディアに媒介される情報に置き換わることになる。

そのような環境の中で育つとき,ものごとの真偽を判定する能力を獲得することが可能なのだろうか。これは,結局フランシス・ベーコンの4つのイドラの話にまで戻るということなのか。


図:人間を形成する情報はどこからくるのか

2023年6月4日日曜日

シンセティック・メディア(1)

昨日,国立情報学研究所のオープンハウス(6/2-6/3)の様子がYouTubeで中継されていた。生成系AIの話題にはそれほど目新しいものはなかったが,後半の「フェイクメディア研究の最前線」が印象的だった。

AIの普及で当面大きな問題になるのは,レポートの代筆でも,著作権侵害でも,機密情報漏洩でもなく,シンセティック・メディアかもしれない。シンセティック・メディアの定義は次のようなものだった。
シンセティック・メディアとは、リアルな音声付き動画をAIによって作り出す動画合成技術である。事前に用意したテキストと人(映像、音声)のデータからAIが学習し、その人が本当に話しているような動画の生成が可能である。

深層学習に基づく生成系AIブームのはじまりは,OpenAIのDALL-Eだったけれど,半年前のChatGPT(2ヶ月半前のGPT-4)の登場によって話題は,対話型文書生成AIのほうに集中してしまった。そうこうしているうちに,並行して,AIによるリアルタイムボイスチェンジャーが我々の手元にまできている。

AI革命の第1段階である対話型文書生成AIの応用範囲と実用性は非常に高い。オフィスワークの中で,単純作業よりはむしろデータ分析やクリエーションなどの高い技術を必要とされる分野でのインパクトが大きい。対話型文書生成AIは, (1) 自然言語によるUIインターフェイスを提供するものであることが,プラグインの登場によりますます明らかになると同時に,(2) 汎用的なテキスト処理ツール としての役割が認識され,企業にはすでに浸透しはじめている。

第2段階が,対話型文書生成AIのマルチモーダル化であり(GPT-4は既に実現しているのかもしれないが),その進化系としてのシンセティック・メディアの普及になる。NHKのAIによる音声ニュースが,2018年からはじまった中国の新華通訊社のAIアナウンサーに追いつくのはいつのことだろう。ChatGPTで議論されていることの多くが,MR環境のもとでシンセティック・メディアに進化することになるのだろうか?AppleのWWDCで高くて無駄に高機能だといわれるゴーグルが発表されるのも間近らしいけど。

2019年にNHKのAI美空ひばりが一時話題になったとはいえ,シンセティック・メディアの話題はいまのところ,フェイクニュースが中心となっている。さきほどあげた国立情報学研究所のYouTubeでも,フェイク映像をディープラーニングによってどうやって見破るかという話が中心だった。

2023年6月3日土曜日

合計特殊出生率(1)

奥村晴彦先生が,Rで合計特殊出生率グラフを描いていたのでまね(写経)をしてみた。

厚生労働省の発表では,2022年の合計特殊出生率が1.26となって(前年は1.30),2005年に並んで過去最低を記録した,というのがニュースになったからかな。

写経は成功したが,日本語タイトルが文字化けしていた。ネットで検索すると解決できた。次に,グリッドラインを入れるべく検索したが要領を得ないし,なんだかずれてしまう。GPT-4に相談したところ2回目で正解にたどりつけた。最後に,奥村先生はクリップボードからデータを入力するという高等技術を使っていたので,低レベルのテキストファイル入力に切り替えた。自分で考える力がどんどん喪失されていく・・・

その結果が次のRプログラムと図である。

# X = read.table(pipe("pbpaste"), header=TRUE) (奥村先生のテクニック for macOS)

X <- read.table('/Users/koshi/Desktop/birth.txt', header =TRUE)
par(family = "HiraKakuProN-W3")
plot(X$年, X\$合計特殊出生率, type="o", pch=16, xlab="", ylab="")
t = c(range(X\$合計特殊出生率), X$合計特殊出生率[length(X[,1])])
axis(4, t, t)
title("合計特殊出生率", line=0.5)

# x軸とy軸のメモリの位置を手動で指定
x_ticks <- pretty(X\$年, 11)  # 11個のメモリを生成
y_ticks <- pretty(X\$合計特殊出生率, 9)  # 9個のメモリを生成

# x軸に対してグリッド線を描画
for (i in x_ticks) {
  abline(v = i, col = "lightgray", lty = "dotted")
}

# y軸に対してグリッド線を描画
for (i in y_ticks) {
  abline(h = i, col = "lightgray", lty = "dotted")
}


図:合計特殊出生率の推移(1970-2022)


2023年6月2日金曜日

インターネットと教育フォーラム(1)

岐阜聖徳学園大学DX推進センター長で,最近はデジタルシティズンシップで有名になってしまった芳賀高洋先生基礎自治体教育ICT指数サーチ)から,しばらく前に召喚呪文がきた。6月10日(土)に大阪で開かれるNEE2023 OSAKAの最後のセッション「インターネットの教育利用30年,その黎明からネクストGIGAを展望する」に出てねということだった。

記憶が薄れつつあるので,参考資料で復習している。そのひとつ。1999年に大阪で開催された「99インターネットと教育フォーラム」実践報告集にあった資料から,自分のメモの部分を抜粋してみると次のようなものだった。1995年までのことしか書いていなかった。

'99『インターネットと教育』フォーラム

エピソードのつながりとしての歴史,人のつながりとしてのプロジェクト
1969年から1999年までのインターネットと教育

野島久雄 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 nojima@tantra.brl.ntt.co.jp
芳賀高洋 千葉大学附属中学校 jtaka@ir.chiba-u.ac.jp

1.その時何があったか
2.マリオン以前,以後

[1969-1978 前史]
1969
(1) 高校生の時はじめてコンピュータにさわる。カシオの卓上電子計算機4メモリ26ステップ、30万円。 階乗のプログラムをつくるが、ステップ数で友達に負ける。
1970
(2) アナログコンピュータで、滅表・強制振動をプロット。数学の試験でFORTRANのプログラミングの問題がでる。
1971
(3) 日常的には計算尺を使っていた(受験問題を解くときなど)。
1972
(4) 教養の物理学実験は、タイガー計算機でデータ整理。最小自乗法の計算には複雑な技があるようだった。
1973
1974
(5) 学部の物理学実験では、みな電卓を使い始めていた。四則演算で3万円くらいかな。しかし自分では買わない。新聞で、シャープの関数電卓が10数万円との記事をみる。
1974
(6) 電子計算機実習ではじめて大型計算機 (ACOS)を使う。IBMではなく、JUKIのキーパンチャーで、バッチ処理。課題は行列の対角化と5次方程式を解くが、成績はいまいち。
1975
1976
1977
(7) 修士論文のための計算をようやくはじめる。センターまでカード2000枚の箱をかかえて、毎日通う。使ったのはTOSBAC。カードのジャムとプリントアウトのジャムに泣く。
1978
(8) はじめて自分の関数電卓を買う、もらったのかな?

[1979-1988 まだはじまらない]
1979
(9) はじめてマイコンの雑誌を買う。これからはこんな時代だ。このころパソコン関係の雑誌は 立ち読みですべて読めた。
1980
(10) 研究室からTSSで大型計算機を 使えるようになる。タイプライター端末はじめは300bpsその後1200bps。
1981
(11) PC-8001を使ったスクリーン型端末が登場。研究室の先生がアセンブラで端末ソフトを作成(流行)
1982
(12) PC-8801用のターミナルプログラムをBASICで自作。
1983
(13) PC-9801を研究室で購入。CP/M-86をもらってきて遊ぶ。ベクトル計算機登場前夜でHFPなどにも凝る。
1984
(14) 8087が手に入ったのでアセンブラで連立方程式のプログラムをつくる。11万円で中古9801を買う。256kBの37500円のメモリボード2枚かっ て、RAMディスク快適。
1985
(15) 理科教育講座の学生のための情報処理実習の授業がスタート。 内容は、コンピュータの基礎とBASICプログラミング入門。
1986
1987
(16) 本屋でMacの雑誌を買う。これからはこんな時代だ。Mathematicaも登場。やっぱりこれからはこんな時代だ。
1988
(17) MacIIを使って情報の授業を 行うが、ウイルスとバグと GUIが結構大変。研究室で は、PC-9801とMacを併用。

[1989-1994 まだちゃんとはつながらない,が・]
1989
(18) 大学の情報処理センタ創設の為の準備で忙殺。SUN4/330を導入。
1990
(19) 情報科学講座の先生のおかげでUUCPでSRA に接続される。まいにち、Netnewsを読んで いるので仕事にならない。firec.pachinkoで齋藤明紀さんが最初のダメ出したころ。
1991
(20) f読み続けて1年、はじめてfi.booksに投稿。
・・・
[1994.8 有楽町マリオン]
[1994-1997 100校プロジェクト]
1992
1993
1994
1995
(21) 3月、教育情報リンク集「インターネットと教育」スタート。

[1996.12 そして世田谷]
[1998-1999 とても書ききれない・・・]
[2000- そして新たなつながり]
野島久雄さんは2011年に若くしてなくなってしまった。自分の記憶というのも本当に夢幻泡影なのだけれど,当時,宮澤賀津雄さんによびだされて横浜までいって,3人であって話をしたのは野島さんだったような気がする。違うかもしれない。


[1]インターネットと教育 No.393 2002.12.14(WaybackMachine)

2023年6月1日木曜日

大学教育とChatGPT(7)

大学教育とChatGPT(6)からの続き

テレビと新聞は連日生成系AIの話題を出しているものだから,引き続き各大学からの「生成AIの利用に関する注意」の公表が続いている。5月29日にはとうとう,国立大学協会が「生成AIの利活用に関する国立大学協会会長コメント」を出した。

大学のソーシャルメディア利用ガイドラインは,174大学=全大学の23%が公開している。当面の危機管理的にはより影響が小さい生成AI(137大学=全大学の17%が公開)の方もそろそろ頭打ちになるのではないかと思われる。以下のリストがデータをよくまとめている。
ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧
各大学のChatGPT等生成系AIへの対応・方針・留意点を調べてみた(手羽一郎)
生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

 

5月10日
ChatGPTをはじめとする生成AI(generative artificial intelligence)の利用に関して
旭川市立大学 学長 三上隆

5月15日
ChatGPT等の生成AI(人工知能)への対応について
新潟薬科大学 学長 下條文武

5月15日
人工知能チャットボットの利用について
浜松医科大学 理事(教育・産学連携担当)・副学長 山本清二

5月16日
学修における生成系人工知能の取り扱いについて
九州工業大学 教育高度化本部長

5月17日
生成系AIの利活用について
関東学院大学 学長 小山嚴也

5月18日
生成系AI(ChatGPT等)の利活用について
四国大学 学長 松重和美

5月19日
生成系AI(ChatGPT等)利用上の留意点等について
城西大学 学長 藤野陽三

5月24日
生成系AIガイダンス
大東文化大学 学園総合情報センター

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5月25日
生成系AIの利用について
千葉商科大学 学長 原科幸彦

5月25日
生成 AI(対話型 AI)の利用に関する本学の方針について
東京未来大学 学長 角山剛

5月25日
教育・研究活動における生成系AIの利用について
八戸工業大学 学⻑ 坂本禎智

5月26日
ChatGPT 等の生成系 AI について
日本獣医生命科学大学 学長 鈴木浩悦

5月26日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意事項について
鶴見大学 学長 中根正賢

5月26日
生成系AI(ChatGPT,BingAI,Bard等)利用についての注意喚起
中国学園大学 学長 千葉喬三

5月26日
岡山理科大学の教育における生成系AI の取扱いについて
岡山理科大学 副学長(教育担当) 松浦洋司

5月26日
科学技術における知的⽣産活動と⽣成系AIの利⽤について(4月28日)
東京理科大学 学長 石川正俊

5月29日
ChatGPTなど生成系AIの利用についての本学の基本的な考え方
成城大学 学長 杉本義行

5月29日
生成系AIの利用に関する留意事項について
東京情報大学 大学院総合情報学研究科委員長 花田真樹・総合情報学部長 圓岡偉男・看護学部長 藤井博英

5月31日
本学の教育における生成系AIツールの利用に関する留意事項について
福岡大学 教学担当副学長 加留部善晴

5月31日
生成AIの利用について
徳島大学 理事(教育担当) 長宗秀明

5月31日
生成系AIの利用に関する留意事項
北海道大学 理事・副学長 山口淳二