2021年5月11日火曜日

金沢の映画館(3)

 金沢の代表的な映画館といえば,並木町の北国第一劇場と北国会館であり,浅野川大橋のあたりの河畔に並んでいた。ともに洋画の封切館で,メジャーな作品が2本立てで上映される。残念ながら1975年には閉館してしまった。

これらの映画館で見たかもしれない映画といえば,小学校の時の101匹わんちゃん大行進(1962.7),素晴らしきヒコーキ野郎(1965.10)やミクロの決死圏(1966.9)がある。ディズニーのわんわん物語(1955.6)の方は,映画では見ていないが,絵本をもっていた。もしかすると,王様の剣(1964.7)も見ていたかもしれないが微妙なところ。白雪姫からはじまるディズニーのアニメーション長編映画でよかったのはこのころが最後かもしれない(くまのプーさんは別として)。

高校生になると,映画は一人(たまにはクラスの友達と)で行くようになった。エデンの東(1955.10)と誰がために鐘はなる(1952.10)のリバイバルとか,クリスマス・キャロル(1970.11)と幸せはパリで(1970.10)の初演などを北国第一会館か北国劇場でみている。米本良行くんが「エデンの東はよかったけど,誰がために鐘は鳴るはぜんぜんだった」といっていたが,まあそのとおりでイングリッド・バーグマンはいったいなんだったのか。

「クリスマス・キャロル(スクルージ)」は,泉丘高校の英語研究部(E.S.S)の英語劇で,1年生ながらスクルージの役をつとめたことから楽しみにしていたけれども,この作品も残念でしたの部類。しかし,併映でまったく期待していなかった「幸せはパリで(エイプリル・フール)」のほうが面白かったのだった。バート・バカラックディオンヌ・ワーウィックのおかげかもしれない。

1972年には大学進学で金沢を離れてしまったので,それ以来,これらの映画館に行くことがないまま閉館になってしまった。最後にここで観た映画は,アンドロメダ…(1971.8)だ。マイケル・クライトンアンドロメダ病原体(1970)が,早川書房からハヤカワ・ノヴェルズで出版されたときに,真っ先に買ってその現代的で斬新な構成に驚いたものだったことから,映画は必ず見に行こうと思った。ところが,大学入試直前の12月末には上映期間が終わってしまう。日曜日の昼過ぎに片町のうつのみや書店に行くといって,冬の雪空を寺町から浅野川大橋の映画館まで自転車で往復した。帰りにはもうあたりは真っ暗になっていたが,親にはなにもいわれなかった。まあ気づいていたのかもしれないけれど。


写真:ハヤカワノヴェルズのアンドロメダ病原体の書影

[1]石川県の映画館 消えた映画館

2021年5月10日月曜日

金沢の市電

 昔,金沢の街中を走っていた路面電車は,北陸鉄道金沢市内線であり,大正8年(1919年)に開業し昭和42年(1967年)には全線廃止された。当時中学2年,シネマパレスが閉館したころだ。

シネマパレスの情報を調べていたら,奈良女子大名誉教授の西村一朗先生のブログにたどり着いた。1941年金沢生まれ(寺町3丁目≒当時の桜畠)で自分よりちょうど一回り上だ。金沢学園幼稚園→十一屋小学校→野田中学校→金沢大学附属高等学校→京都大学工学部建築学科:大学院へと進まれたので,中学校の先輩ということになる。

西村先生のブログにある金沢の思い出には,当時の寺町界隈や学校に関する話題がいろいろあってとても興味深い。例えば,寺町2丁目の横山酒店の長男(我々の同級生は末っ子だった)が小学校の児童会長をしていたとか,協栄のパン屋と横山酒店の間の筋を入った右手にあった洋裁学校は,西村先生の母上が関係していたとか。

また,当時の市内電車が寺町終点で折り返す話が詳しく説明されていた。ポール型の四輪車とパンタグラフ型の八輪車があったが,寺町まで来ていたのは,朱色のボディとクリーム色の窓天井の2番(2系統)八輪車と,深緑色の5番四輪車だ。

1系統・・・金沢駅―武蔵が辻―橋場町―兼六園下―小立野
2系統・・・金沢駅―武蔵が辻―香林坊―野町広小路―寺町
3系統・・・小立野―兼六園下―香林坊―野町広小路―野町駅
4系統・・・野町駅―野町広小路―武蔵が辻―橋場町―鳴和
5系統・・・寺町―香林坊―兼六園下―橋場町―鳴和―東金沢駅
6系統・・・兼六園下―香林坊―武蔵が辻―金沢駅

百万石まつりのときなどは花電車としてデコレーションされていて,わくわくしたものだった。5歳で幼稚園に入るころに寺町(当時は泉野町)に金沢駅前の本町(当時は田丸町)から引っ越してきた。ご幼少のみぎりは田丸町から祖父母がいた寺町2丁目(洋裁学校の筋奥だ)まで,毎日市内電車で通っていたのだった。

そのころの記憶はほどんど残っていないが,ある日,田丸町への帰りが遅くなってあたりが暗い電車の中で,材木町の火事へ消防車が走っていくと祖母に説明されていた場面だけが刻まれている。たぶん,武蔵ヶ辻のあたりではなかったか。電車は一時停止していたのだろうか。あるいは模造記憶なのかもしれない。

P. S. 金沢市の百年史によれば,この火事は昭和31年(1956年)4月24日午後6時50分ごろの材木町小学校が全焼した大火だったようだ。当時2歳7ヶ月か。


写真・図:金沢の市電(Wikipedia/鉄道写真から引用)

[1]西村一朗の地域居住談義
[2]懐想「石川の鉄道」
[3]市史年表 金沢の百年

2021年5月9日日曜日

金沢の映画館(2)


金沢市内にまだ映画館がたくさん残っていたころの話。寺町の市電の終点の付近,五百羅漢で有名な桂岩寺の隣の宝集寺の隣にシネマパレスという小さな映画館があった。泉野小学校の映画教室で,白蛇伝(1958.10)や西遊記(1960.8)を小学校低学年のクラスでみにいった映画館だ。

映画が娯楽の中心だった時代,夕食後に父がシネマパレスにチャンバラ映画を観に行くことがときどきあった。仕事の電話がかかってくるのを取り次ぐ際は,母の旧姓である「中山」を使うということになっていた。本名だと目立ちすぎるからだろう。観客にあふれ紫煙が充満しているシネマパレスで,美空ひばりだか山城新伍だかの時代劇をみた微かな記憶がある。子どもにはよい環境ではありません。

中学校にはいるころには,シネマパレスは閉館してしまった。ただ,小学校高学年から中学生にかけても学年単位の映画教室は続いていた。サウンド・オブ・ミュージック(1965.6),ディズニーのファンタジア(1955.9),市川崑の東京オリンピック(1965.3),ミケランジェロの生涯を描いた華麗なる激情(1966.2)などを片町の金沢劇場で観ている。

その金沢劇場(きんげき)は,東宝系の封切館であり,ゴジラシリーズや戦記物でお世話になった。その一覧をあげてみる(参考のため,※で東映動画,大映特撮などを併記する)。その金劇も1998年には閉館してしまったようだ。
1 キングコング対ゴジラ 1962.8 (最初に観たゴジラ映画)
2 ※わんぱく王子の大蛇退治 1963.3
3 海底軍艦 1963.12 (これは大和劇場で)
4 ※わんわん忠臣蔵 1963.12
5 モスラ対ゴジラ 1964.4
6 宇宙大怪獣ドゴラ 1964.8
7 三大怪獣地球最大の決戦 1964.12
8 ※ガリバーの宇宙旅行 1965.3
9 ※頭上の脅威 1965.4 (父とアメリカ文化センターで)
10 戦場に流れる歌 1965.8
11 ※大怪獣ガメラ 1965.11
12 怪獣大戦争 1965.12 (子どものころ観た最後のゴジラ映画)
- - - - - - - - - - 
13※大魔神 1966.4
14 日本のいちばん長い日 1967.8(お盆休みに家族全員で)
15 日本海大海戦 1969.8(高校生になってから)
日本のいちばん長い日の終盤に,エキセントリックな横浜警備隊の大尉が終戦を阻止すべく東京に向かおうとするシーンがあるが,当時,千葉の四街道の通信隊にいた父の周りでも同様の状況があったらしい。戦争の話をゆっくり聞かせてもらう機会がなかったのが残念だ。


図 金沢の過去の映画館(金沢くらしの博物館から引用)

[1]石川県の映画館(消えた映画館の記憶)

2021年5月8日土曜日

新型コロナワクチン接種予約(4)

 新型コロナワクチン接種予約(3)からの続き

昨日(5/7),政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は,緊急事態宣言地域の拡大と期間の5/31(月)までの延長,ならびに,蔓延防止等重点措置地域の変更を決定した。そもそも最初の段階で連休末までと設定していたため,休日効果で正確な感染動向も把握できず,こうなることは目に見えていた。戦力の逐次投入や期間の暫時延長の連続が最も駄策なのだ。トップがまともに記者会見で答弁できず,内閣官房のメンバー首相動静で登場する人物達がグズグズなので,状況は悪化の一途をたどる。

菅首相は,ワクチンのみが頼りだと強調しつつ,100万回/日の接種を目指すとした。65歳以上の高齢者(3600万人)と医療従事者(470万人)と15歳未満の子ども(1500万人)を除いた国民の数は約7000万人である。高齢者と医療従事者の接種が7月末までに完了したと仮定して,その後140日で,対象とする国民全体への接種が完了する。つまり2021年12月末には完了というもくろみだ。

EUからは十分なワクチンが供給されている(5/6時点で7200万回が輸出許可済ロイター5/7では2800万回が国内到着済)にもかからわず,接種が進んでいないのはいったいなぜかという疑問が指摘されている。これに関しては,厚生労働省のウェブサイトに新型コロナワクチン供給の見通しが載っている。整理すると,

【第1クール】4/05 の週  100箱(各道府県2箱 東京・神奈川・大阪は4箱)
【第2クール】4/12 の週   500箱(各道府県10箱 東京・神奈川・大阪は20箱)
【第3クール】4/19 の週   500箱(各道府県10箱 東京・神奈川・大阪は20箱)
【第4クール】4/26 の週 1,741箱(全ての市区町村に1箱)
※5/9 までに 4,000箱 = 合計6,814箱 = 6,814 × 195 × 5 =664万回
【第5クール】5/10の週・5/17の週の合計 16,000箱
※第5クール以降では、1バイアルから6回接種が可能な注射器を配布します。
【第6クール】5/24 の週・5/31 の週 13,000 箱+調整枠
【第7クール】6/07 の週・6/14 の週 13,435 箱+調整枠
【第8クール】6/21 の週・6/28 の週13,434 箱+調整枠
※7/4までに 合計 55,869箱 = 55,869 × 195 × 6 = 6,536万回
 ※1-4クール + 5-8クール = 7,200万回 = 3,600万人分

次の4クール(8週)はこれまでの4クール(5週)の10倍量(一日あたりのワクチン接種量で6倍,19万回/日→117万回/日)のワクチンが供給がされるので,これが本当にうまくいけば7月中に 高齢者向け接種が完了するのだが・・・。実際にはこれまでの4クールで22万回(1万回/日)と供給量の1/20しか接種が完了していない(最も多い日でも2万回/日)。


2021年5月7日金曜日

金沢の映画館(1)

 昔は繁華街に映画館があったものだけれど,今では郊外の大型ショッピングモールのシネマコンプレックスに中心が移ってしまった。映画の最盛期には金沢の街中にも映画館がたくさんあった。そのころの話。

ジュール・ヴェルヌの小説には映画化されたものも多い。「地底旅行」も何度か映画化されているが,ヘンリー・レヴィン監督の1959年アメリカ映画「地底探検(1960.4)」を中学生のころに見ている。当時,夏休みに金沢市の小・中学生向けの映画教室があった。早朝8:00〜10:00の時間帯に市内の映画館で子供向けの映画を特別料金(1人10円)で上映するのだ。夏休みに入る前に映画館と上映番組や上映日の一覧が記された半紙が渡される。その中から自由に選んで子供だけで見に行く仕組みだ(中学生だけだったかもしれない)。

ジュール・ヴェルヌが原作だとは知らずに,「地底探検」が面白そうだということで,畦地・有坂・出島・横谷のいつものメンバーのうちの何人かで香林坊の映画館に行ったのではなかったか。地底世界には海があり恐竜が棲んでいたりして中々良かった。1967年当時の香林坊には,金沢東映劇場・金沢大映劇場・金沢日活劇場・金沢松竹座・金沢パリー菊水・金沢スカラ座など10軒近くの映画館が軒を連ねていた。どの劇場だったのかは定かでない。

香林坊で見た映画といえば,コスタ・ガブラス監督の1969年アルジェリア・フランス映画「」,イヴ・モンタンが主演の政治映画だ。なぜか,同じ泉丘高校に進んでいた小林小児科の小林君と鉢合わせるが,彼もこれを見に来ていたのかどうかはわからなかった。おたがいにちょっと恥ずかしかったのかもしれない。


写真:地底探検(1959)から

[1]石川県の映画館(消えた映画館の記憶)

2021年5月6日木曜日

ジュール・ヴェルヌ

 連休末日は,BBC 2019年のテレビドラマシリーズの宇宙戦争(原作 H. G. ウエルズ 1866-1946,全4回)を見て過ごした。手元には早川書房の世界SF全集2のウエルズ(タイム・マシン,透明人間,宇宙戦争)がある。ただし,これは最近入手したものなのだった。どれも子どものころにジュビナイル版で読んだような気がするが,当時は,ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)の方が好きだった。

最初に読んだヴェルヌの小説は十五少年漂流記か月世界旅行だったのではないか。その後,学習研究社から少年少女ベルヌ科学名作全集が出て,これで何冊かを補完して読んだ。

少年少女ベルヌ科学名作全集(学習研究社 1964-1969)
  1 海底2万マイル ✓
  2 月世界旅行 ✓
  3 地底の探検 ○
  4 空飛ぶ戦艦 △
  5 アフリカ横断飛行 △
  6 十五少年漂流記 ✓
  7 八十日間世界一周 ✓
  8 難破船
  9 砂ばくの秘密都市
10 悪魔の発明 △
11 北極冒険旅行
12 動く島の秘密 ○
○はこのシリーズで読んだもの,△は記憶がはっきりしないもの,✓は別の本で読んだもの。

2021年5月5日水曜日

量子力学100年 

1925年の7月29日に受理されたハイゼンベルグの量子力学の第一論文,Über Quantentheoretische Umdeutung kinematischer und mechanischer Beziehungen. (運動学的および力学的関係の量子理論的再解釈について)は,Zeitschrift für Physik December 1925, Volume 33, Issue 1, pp. 879–893 に掲載された。

2025年にはちょうど100周年を迎えることになるので,量子力学誕生100周年のお祭りが催されると思われる。1926年の1月27日に受理され,Annalen der Physik, vol. 384, Issue 4, pp. 361-376に掲載された,シュレーディンガー方程式の第一論文 Quantisierung als Eigenwertproblem (固有値問題としての量子化)まで含めれば,2年にわたって様々な企画が登場するのではないか。

今日の日経1面は,「量子技術官民で研究 トヨタや東芝50社と協議会」で,「量子技術は特殊な物理法則である量子力学を高速計算や通信に利用するものだ。コンピュータの処理能力を飛躍的に向上させられる」とある。特殊な物理法則てなんやねん。

3面には「量子力学」という言葉の解説があり,「アインシュタインの相対性理論と双璧をなす現代物理学の土台の理論」まあ,こちらのほうがましか。量子力学の概要が次のようにまとめられている。
歴史:オーストリアのシュレーディンガーらにより20世紀前半に構築→ハイゼンベルクはどこへいった。 
特徴:電子や光子(光の粒)といった「量子」の不思議な振る舞いを説明
応用:20世紀に半導体,レーザーの技術の発展に貢献
   21世紀に入りコンピュータ,通信,暗号,センサーなどに革新をもたら   「第2次量子革命」が進行中
P. S. 昭和は1926年12月25日からはじまるので,昭和元年≒量子元年とアサインできる。昭和28年は量子28年だった。平成元年(1989)≒量子64年,令和元年(2019)≒量子94年となる。ということは,量子力学100年イベントは,昭和100年イベントと干渉してしまうのかもしれない。そのころに改憲国民投票が設定されるのだろうか・・・orz

2021年5月4日火曜日

溶姫

NHK「 チコちゃんに叱られる」の黒柳徹子バーションで,二八そばのセイロが話題になっていた。その語源や理由はちょっと置くとして,そこで登場した徳川11代将軍の徳川家斉(1787-1837)である。16人の妻妾を持ち53人の子をなしたが,そのうちで現在に続くのは血筋が続くのは,斉民・斉裕・溶姫の3人だけだという。その溶姫(ようひめ・やすひめ,1813-1868)が気になった。

溶姫は1827年に加賀藩前田家13代前田斉泰(1811-1884)の正室となり,その長男が前田家第14代(最後の藩主)の前田慶寧(よしやす,1830-1874)である。さらに慶寧の五女衍(えん,1869-1891)と六女貞(てい,1871-1955)が近衛篤麿(1863-1904)の室,継室となった。

近衛文麿(1891-1945)は,近衛篤麿の長男であり,細川護熙の祖父に当たる。こうして,溶姫から細川護熙までの系図が成立している。溶姫の墓所は金沢の野田山の前田家墓所にあり,偕:13代正室,徳川家斉の娘として斉泰の隣に眠っている。

溶姫(景徳院)は,加賀藩の上屋敷である江戸本郷邸に入輿し斉泰に嫁いだ。現在の東京大学赤門は,景徳院来嫁の時に加賀藩邸に建てられた溶姫御殿の正門である。


写真:東大赤門(Wikipediaの東京大学の建造物より引用)

2021年5月3日月曜日

寺内時計店

 長年愛用してきた腕時計が壊れたのは,4月10日の朝の散歩のときだった。ゼンマイを巻いても空回りしてしまう。早速,修理先を調べるために京都の寺内を検索していると,尼崎の寺内時計店が見つかった。以前,天理の商店街の時計店で一度修理してもらったことがある。そのときは何だったかちょっと忘れたが無事に直った。しかし,天理の商店街も寂れてしまって,時計店もやってるかどうかはっきりしない状況だったので,今回はこの寺内時計店に頼ることにした。

昭和43年に事業を継承された店主の高齢の母上が時計修理術技能士の資格を持って修理してくださるのかと若干不安と期待が入り混じった気持ちだったが,今見ると資格欄は別の女性名だった。しかし,53年前のSEIKOの21石防水腕時計の機種名がスカイライナーであり,故障がゼンマイとネジ1つであることを的確に把握して,きっちりと修理していただくことができた。SEIKOのオンライン修理受付もあったのだけれど,機種番号を入れると古すぎるからか対応不可となってしまったのだった。

スマートフォンやパソコンが非常に短いサイクルで消費されていく時代に,50年以上も同じ機械を使い続けることができるというのはなかなか有り難いことである。


写真:SEIKO スカイライナー1968年製(撮影 2021.4.10)


2021年5月2日日曜日

八十八夜

昨日の朝の散歩(東)のとき,急に「夏も近づく八十八夜とんとん」と頭の中に響いてきた。もうすぐ春も終わり,立夏なので,夏にはいってしまうと「夏も近づく」にはならないし,八十八夜というのは確か立春から数えての日数だったので約3ヶ月だから5月のはじめころになると思い至った。早速iPhoneのアプリ「六曜」で確認すると,今年は5月2日が八十八夜だった。このあたりでは,お茶ではなくて温室のイチゴ摘みの季節だ。

  茶 摘  文部省唱歌 

  1912年(明治45年)刊行 「尋常小学唱歌・第三学年用」

1.夏も近づく八十八夜 

  野にも山にも若葉が茂る 

  あれに見えるは茶摘ぢやないか 

  あかねだすきに菅(すげ)の笠 

2.日和つづきの今日此の頃を、 

  心のどかに摘みつつ歌ふ 

  摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ 

  摘まにや日本の茶にならぬ

[1]新茶商品のお届けについて 


写真:温室のイチゴ(撮影:2021.4.26)


2021年5月1日土曜日

物書堂

Macの定番ソフトとして,エルゴソフトの日本語入力システムEGBRIDGEやワードプロセッサEGWORDには長らくお世話になっていた。 iPhoneが登場した頃,2008年にはMacのパッケージソフト事業から撤退して,その後はどうしたらよいのかという事態に陥った。

これらのソフト開発を担っていた,廣瀬則仁さんと荒野健太さんが物書堂を創業して,日本語入力システムかわせみとワードプロセッサegbridge Universalに引き継いでくれたおかげで,過去のデータをそのまま利用できている。ありがたいことです。

物書堂は,日本語入力システムやワードプロセッサの技術の基盤の上でiOSやiPadOS上の辞書開発に乗り出した。その嚆矢となったのがウィズダム英和・和英辞典や大辞林である。さっそく使ってみて物書堂ファンになった。その後もさまざまな辞書を手掛け,いまでは「辞書」という統合アプリケーション上で各辞書にアクセスできるようになった。

最近,物書堂が,macOS上の「辞書 by 物書堂」をリリースした。なんと,これまで購入していたiOS/iPadOS 上の辞書がそのまま macOS で使えるのだ。神対応ですね。ありがたいことです。


図:物書堂の辞書.appアイコン

2021年4月30日金曜日

4路スイッチ

 電気工事士の実技試験の動画が面白いので見ていたら,難しい問題例として3路スイッチと4路スイッチの配線がでてきた。これは一体何かと調べてみたら,長年の疑問が解消された。

小学校4年のころ,教室で夏目君と一緒に回路部品をたくさんつなげて遊んでいたことがある。どういうシチュエーションだったのかよくわからない。豆電球やスイッチや電池ボックスの乾電池などをビニル線で結べば直列つなぎや並列つなぎができるが,その応用形だった。

それから時代が飛び,大学院時代の昼休みに3路スイッチを拡張する話題が出たことがある。その当時3路スイッチという言葉は知らなかったが,ようは電灯のON/OFFが2箇所それぞれの場所でトグルで可能になる配線のことである。これは普通のスイッチのイメージをちょっと拡張すれば簡単に理解できる。これをN箇所に拡張できないかというのが問題だった。頭を捻っているうちに,連動する3路スイッチを2のN乗個ピラミッド型に並べて配線も2のN乗+1本にするとできるという解を見つけた。これはすごいのだがまったく実用的でなくどうも収まりが悪い。

さらに,四苦八苦した結果2本の入力と2本の出力を並行で導通するか,クロスで導通するかを回転で切り替えることができるスイッチがあれば,その回転スイッチがN個と配線が3本だけで問題が解けることに思い至った。これまでの人生でもっともひらめいた時間だったかもしれない。ただ,そんなものがこの世の中に実際に存在しているかどうかまでは興味もなく調べることもなかった。

それが4路スイッチという名前で製造販売されていて,電気工事士の実技試験にも普通に出題される基本電気部品としてこの世界に存在していた。まあそれはそうですね。


写真:4路スイッチ(Amazon Panasonic ストアから引用)


2021年4月29日木曜日

大手町合同庁舎3号館

新型コロナ感染症ワクチンの話。 3600万人の高齢者接種などを進めるために,東京と大阪に1日1万人規模の大規模接種会場を設置するということだ。東京では大手町合同庁舎3号館を予定しているらしい。なんで,新国立競技場じゃないのだろうか。

高齢者分のワクチン接種はまだ100万回しか終了していないので,菅首相のにいうように7月末(当初は6月末といっていた)までに高齢者接種を終わらせるためには,90日で7100万回,全国で約80万回/日の割合で接種を進める必要がある。全国の接種ロジスティックスを1-2%改善すれば大規模接種会場は不要なレベルなので,政治的デモンストレーションのためという感じは否めない。大阪は維新行政がぼろぼろなので,そちらだけはテコ入れする必要があるのかもしれない。

さて,KKRホテル東京の向かいにある大手町合同庁舎3号館は1971年に竣工し,15階(地下1階)のうち現在1フロアだけが使用されていて99%は空いている。廃止された1号館,2号館も含めた建築延床面積が約60,000㎡である。3号館の面積やエレベータの設置基準がよくわからないが,3号館のみでも10基以上のエレベータはありそうだ。

1階を受付にして,2階から10階が接種会場に割り当てられる。10階部分だけで1000人の接種者があるとして,各階専用にエレベータを1台割り当てるとする。密集をさけて2人ずつのせて往復させるならば500往復は必要になる。1往復に1分とすると500分=約8時間なので,朝から夕方までかかる。各フロアの接種・観察時間を30分として,常時60人が各階に滞留する。また1階の総合受付での待機滞留も常時100人規模ということか。


写真:大手町合同庁舎3号館(食べログより引用)




2021年4月28日水曜日

免許証番号

免許証番号のルールについての記事が流れてみたので,自分の免許証の12桁を確認してみた。 公安委員会番号が使われていて標準の都道府県コードではないのだった。

(1) 1-2桁目:都道府県等の公安委員会番号 北海道10,函館11,旭川12,釧路13,北見14,青森20,岩手21,宮城22,秋田23,山形24,福島25,東京30,茨城40,栃木41,群馬42,埼玉43,千葉44,神奈川45,新潟46,山梨47,長野48,静岡49,富山50,石川51,福井52,岐阜53,愛知54,三重55,滋賀60,京都61,大阪62,兵庫63,奈良64,和歌山65,鳥取70,島根71,岡山72,広島73,山口74,徳島80,香川81,愛媛82,高知83,福岡90,佐賀91,長崎92,熊本93,大分94,宮崎95,鹿児島96,沖縄97

(2) 3-4桁目:最初に免許証を取得した西暦年度の下二桁

(3) 5-10桁目:公安委員会管理番号 6桁なので毎年各公安委員会で100万件まで扱える。

(4) 11桁目:チェックディジット

(5) 12桁:再発行回数

[1]免許証番号とは(Zurich)

2021年4月27日火曜日

近畿のコロナ

 NHKの新型コロナウイルス特設サイトには都道府県の新規感染数と死亡数の情報が集約されている。csvデータで昨年の1月から現在までの都道府県別の情報をみることができる。これから,近畿2府4県をあわせたコロナ新規感染数と死亡数のデータをグラフにしてみた。

第4波がそろそろピークアウトするのか,あるいは単に検査数が飽和しているだけなのかはこれだけではわからない。いずれにせよ,昨年かなり厳しい措置が出たときと比べると,圧倒的に感染数も死亡数も多いのだけれど,我々の対応はゆるくなっている。

行動変容の呼びかけだけで1年間何も手を講じてこなかった国や多くの都道府県の仕事のつけがいよいよ回ってきた。そして聖火リレーは暴走してパンデミックオリンピックへの扉を開こうとしている。


図 近畿2府4県の新規感染数と累計死亡数の推移


2021年4月26日月曜日

Processingをコマンドラインから

 プログラミング言語のProcessingはグラフックスの表現力が高いため,当初は芸術系などでも多用されていた。1.0が2008年,2.0が2013年,3.0が2015年,4.0が2021年以降(予定)のリリースだが,1.0の頃から使っていた。たぶん。マイクロプロセッサGainerの制御言語としても使われていたので,大阪教育大学大学院の理科教育専攻の授業でも取り上げたことがある。

適当なJava Depeloper Kitを用いることでMacBook Air M1にも導入することができた。これはこれで良いのだが,Processingというアプリを立ち上げた環境の中でしか実行できないのがちょっと気になる。調べてみると,UNIXのコマンドラインからでも実行できそうだ。早速,試してみた。

(1) Processingを起動して,適当なスケッチファイルを開く(空でも良い)。

(2) Processingのコマンドバーのメニューからツールを選び 「"processing-java"をインストール」を実行する。これで processing-java というコマンドライン命令がインストールされる。

(3) ユーザ名を koshi として,pdeファイルの場所を /Users/koshi/sample とする。sampleというフォルダの中には,sample.pde という processing ファイルが格納されている。

(4) processing-java --sketch=/Users/koshi/sample --output=/Users/koshi/sample --run とすればコマンドラインから実行できる。

(5)  processing-java --sketch=/Users/koshi/sample --output=/Users/koshi/sample --build とすれば sample.class が生成される。のだが,その先へは進めなかった。


2021年4月25日日曜日

吉田簑助

 大阪日本橋にある国立文楽劇場の4月文楽公演は,4月25日が千秋楽の予定だったが,新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が25日から東京,大阪,兵庫,京都で発出されたことにともない,千秋楽は4月24日土に変更された。

その結果,人間国宝の吉田簑助師匠が引退される最後の舞台が1日前倒しになってしまった。4月25日の舞台を予約していた人はどうなったのだろうか。YouTubeで引退の挨拶の様子を見ることができたが,弟子の桐竹勘十郎が言葉が不自由な師匠の挨拶を代読していた。吉田簑二郎が簑助を支えていたが,涙が止まらないという感じだ。花束贈呈は鶴澤精治師匠だった。

簑二郎が現在の一番弟子に当たるらしいが,なぜ簑一郎ではないのかと調べてみると,確かに入門が昭和53年と昭和56年で簑二郎が早い。どういうネーミングルールなのか。そうか,この時点では昭和42年に弟子入りした桐竹勘十郎が簑太郎として一番弟子の位置にあったため,簑二郎としたのか。それでは簑一郎の説明はどうする。なお,勘十郎の息子は以前簑次として簑助師匠に弟子入りしているが,今は簑太郎に改名している。


2021年4月24日土曜日

MacBook Air M1(3)

 MacBook Air M1(2)からの続き

前回,Processingが動かないと言ったが,正しいJDKが入っていなかったからなのかもしれない。arm対応のJDKが,AZULから入手できた。OpenJDK Runtime Environment Zulu16.28+11-CA (build 16+36) ということで,Processing 4.0α3をインストールしたところ無事に動作した。

その他は次のとおり

(1) Wolfram Engine 12の導入ができた。これをjupyterで実行したところ,無事にMathematicaが動作したが,バージョンが12.2かどうかはわからなかった。これが起動している状態では,カーネルの動作数が制限を越えたということで,元々インストールしていた Mathematica 12.0は動かなかった。

(2) iPad Proを sidecar で繋ぐことができた。ミラーリングでも別ディスプレイでも動くことは動くのだけれど,なぜか想像していた動作とは違うのと,本体の解像度が勝手に変わったりして微妙に使いにくい。macOSX用の GoodNotes 5 があるので,なんとかタブレット代わりには使えるとは思うが,AirDrop が優秀なのでつながなくても十分に使えてしまう。

(3) Time Capsuleのタイムマシンが動いた。無線でつながっている上に,2TBのハードディスクが遅いので,フルバックアップに10時間ほどかかるがそれでも一応の安心感は得られる。

(4) Apple USB スーバードライブがつながった。ドライブが空の状態ではデスクトップにアイコンが表示できないのでどうかと思ったが,ディスクを入れると無事に認識してアイコンが表示された。

(5) iPhone SE2 のバックアップができた。このためMacBook Air M1の1TBストレージの使用量は330GB,残量は700GBを切った。

(6) 環境設定のキーボードで指定した後も,標準の日本語入力で\と¥の入れ替えがうまくいかないような気がしたが,今日は正しく動作している。なんだったのか?



2021年4月23日金曜日

新型コロナワクチン接種予約(3)

 新型コロナワクチン接種予約(2)からの続き

4月12日から始まった全国の高齢者向けワクチン接種は当初の2000人/日から8000人/日の水準に増加したが,まだ全国で4万人しか1回目が終わっていない。優先すべき全国480万人の医療従事者向けは,1回目終了が150万人(31%),2回目終了が80万人(17%)にとどまっている。

さて,天理市の第2回目の予約(1000回分)に滑り込みで間にあったので,自分の集団接種会場(市内に2箇所)での接種予定日は6/5土と6/26土となった。第1回目と合わせて1375人(8%)が6月末にようやく完了の運びとなる。

本日,天理市の第3回コロナワクチン接種(高齢者)のお知らせが来て,第3回の予約受付は4/26月の午前8時半からとのこと。5/10から5/17の週に全国で1万6千箱(1560万回分)が発送される予定だ。単純平均すれば,天理市分は8500人分なので,前回分と合わせて高齢者の6割がカバーされる。ただし,これらが接種完了するのは7月末までかかる。この調子なら,高齢者接種は秋,さらに一般分の接種が行き渡るには来年度まで待つのだろうか。

(1) コールセンターの電話受付は,曜日ごとに年齢指定されるようになった。

(2) 第2回目の接種は自動的に接種1回目と同会場,3週間後の同時刻に割り当てられるようになった。

大阪などでは,まだワクチン接種予約案内すら送られていないとのことで,天理市のスムーズな対応はありがたい。

2021年4月22日木曜日

WHOのCOVID-19データ(4)

 WHOのCOVID-19データ(3)からの続き

WHOのCOVID-19統計のjsonデータの構造が変わったようで,scriptの出力に不具合が生じている。プログラミングが面倒である。これまでは,国・地域別のブロックの中に一連の時系列データが含まれていたところ,このたびは,時系列ブロックの中に一連の国・地域別データが並んでいる。前回よりもプログラムの構造が汚くなってしまった。日時データが通常の形式になっていたので,unix time を経由しなくても良いかと思ったが,そうは問屋が下さなかった。(注 \$ は $と読み替え)


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
#!/usr/bin/perl
# 4/24/2021 K. Koshigiri
# usage: json.pl 2021/04/24 3
# extract 3 day data from 2021/04/24
# original data = https://covid19.who.int/page-data/table/page-data.json

use Time::Local 'timelocal';

$tmp = "tmpx";
$in = "whox";
$out = "who-dat.csv";
$jsn = "https://covid19.who.int/page-data/table/page-data.json";
($sec, \$min, \$hour) = (0,0,0);
($year, \$month, \$day) = split '/', \$ARGV[0];
$epochtime = timelocal(\$sec, \$min, \$hour, \$day, \$month-1, \$year-1900)+32400;

system("lynx -source \$jsn | fsp -u > \$tmp");

open(OUT, ">\$in");
open(IN, "<\$tmp");
while(
) {
  s/],/],\n/g;
  print OUT;
}
close(IN);
close(OUT);

open(OUT,">\$out");
print OUT "Date, Country Code, Region Code, Deaths, Cumulative Deaths, Deaths Last 7 Days, Deaths Last 7 Days Change, Deaths Per 100k, Confirmed, Cumulative Confirmed, Cases Last 7 Days,Cases Last 7 Days Change, Cases Per 100k, WkCasePop, WkDeathPop\n";

for ($i=0; \$i<\$ARGV[1]; \$i++) {
  $ut=\$epochtime+86400*\$i;
  (sec, $min, \$hour, \$day, \$month, \$year) = gmtime(\$ut);
  year += 1900;
  month += 1;
  if($month < 10) {
    $ym = "\$year-0\$month";
  } else {
    $ym = "\$year-\$month";
  }
  if($day < 10) {
    $dt = "\$ym-0\$day";
  } else {
    $dt = "\$ym-\$day";
  }
  print "$dt\n";
  $sw=0;
  open(IN, "<$in");
    while(
) {
      s/\]//g;
      s/\[//g;
      s/"rows"://g;
      if(/"totals":/) {
        if(/$dt/) {
          $sw=1;
        } else {
          $sw=0;
        }
      }
      if($sw==1 && /"[A-Z][A-Z]","[A-Z]{4,5}"/ ) {
        print OUT "$dt,";
        print OUT;
      } elsif($sw==1 && /" ","[A-Z]{4,5}"/) {
        print OUT "$dt,";
        print OUT;
      }
    }
  close(IN);
}
close(OUT);