2020年10月4日日曜日

稲刈り

稲刈りが始まった。七十二候でも昨日が,秋分・水始涸(みずはじめてかる)。

奈良県農業技術研究開発センターの栽培技術マニュアル水稲「ヒノヒカリ」をつくりこなす7つのポイントによると,このあたりでよく栽培されていると思われるヒノヒカリの刈取適期は10月4日前後である。以下に引用。
6.収 穫適期 刈取で良質米作り!
(1)刈取適期
出穂期の約45日後(全体の籾の9割程 度が黄色く変わった頃)。 平年は10月4日頃。
※刈遅れると、倒伏しやすく、穂発芽粒・胴割粒・茶米が増加し、玄米品 質が悪くなるため、適期刈取に努めること。
(2)乾 燥
  ・乾燥目標水分は14.5%。
  ・刈り取った籾の水分が高いときは、最初は低めの温度で予備乾燥。
(3)調 製
  ・高品質の米に仕上げるため、ライスグレーダー(網目1.8mm)で選別し、 屑米を除くこと。
確かに,昨日当りから稲刈りが始まっている。今朝の様子ではまだ1〜2割程度か。午後からは雨の予報なのだけれど,どうなるかな。

天皇による皇居内の稲刈りは,うるち米の「ニホンマサリ」ともち米の「マンゲツモチ」で,併せて20株,9月15日に行われている。


写真:稲刈りが始まった。(2020.10.04撮影)


2020年10月3日土曜日

学術会議(1)

85万人の日本の研究者から選ばれる日本学術会議の210名の会員は,6年の任期で3年ごとに半数改選される。第25期がこの10月1日から始まったが,菅内閣は日本学術会議から推薦された105名のうち6名の任命を拒否した。これまでは,学問の自由を踏まえるという政府の国会答弁に基づき,学術会議から推薦された会員をそのまま内閣総理大臣が任命してきた。菅内閣はこの慣行を破ったうえに,その説明をまったく放棄している。

 「日本学術会議法」では,学術会議の目的や職務が以下のように規定されている。

日本学術会議法(前文があることに注意)
 日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、 わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する ことを使命とし、ここに設立される。

第一章 設立及び目的
第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
3 日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。
第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。

第二章 職務及び権限
第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
第四条 政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる。
一 科学に関する研究、試験等の助成、その他科学の振興を図るために政府の支出する交付
金、補助金等の予算及びその配分
二 政府所管の研究所、試験所及び委託研究費等に関する予算編成の方針
三 特に専門科学者の検討を要する重要施策
四 その他日本学術会議に諮問することを適当と認める事項
第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。
一 科学の振興及び技術の発達に関する方策
二 科学に関する研究成果の活用に関する方策
三 科学研究者の養成に関する方策
四 科学を行政に反映させる方策
五 科学を産業及び国民生活に浸透させる方策
六 その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項
第六条 政府は、日本学術会議の求に応じて、資料の提出、意見の開陳又は説明をすることが できる。
第六条の二 日本学術会議は、第三条第二号の職務を達成するため、学術に関する国際団体に 加入することができる。
2 前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府が新たに義務を負 担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。

参議院議員の小西洋之は,twitterで,「現時点で内閣府が認めた事実。確信犯だ」
として,以下の経緯を明らかにしている。
・H29(2017) に学術会議の軍事研究(抑制的解禁)声明
・H30(2018) に内閣府と内閣法制局で「総理が任命拒否可」の解釈を作成
・本年(2020) 8/31に105名推薦名簿を受理
・9月上旬に上記解釈を再確認
・9/16の菅政権発足後,9/24に6名除外した99名の任命起案を起草し,9/28決裁
また「仮に説明しても任命拒否は違法であり,許されない。なぜなら,日本学術会議法において,総理には推薦に対して形式的任命権しかなく実質的任命権がないからである」としている。

6名が任命されないことが新しい委員の任期がはじまる10/1の2日前に,学術会議側に伝えられたようだが,その結果,時間の猶予もなくこの事態を招くことになった。 

追伸:毎日新聞によれば,2016年の第23期の補充人事(定年70歳によるもの)の際にも「学術会議が候補として挙げ,複数人が首相官邸側から事実上拒否された」とのこと(官邸周辺に生息している日本会議人脈の影響が強く疑われる)。|

[1]国立アカデミー
[2]日本学術会議
[3]日本学術会議の設立と組織の変遷

2020年10月2日金曜日

御旅所

三十八柱神社からの続き

傍示浚で登場した天理市南六条町の三十八神社の御旅所(おたびしょ)が,傍示浚と三十八神社の中間地点にある。神様が宿る依代のような大きな木があるが注連縄は張られていない。Wikipediaの説明によれば祭礼の神輿の休憩地点ということなのだけれど。このマイナーな御旅所がgoogle検索によってあがってくるのは,自分の検索履歴が影響しているのだろうか。


地図&写真:google mapから引用 & 三十八神社の御旅所(2020.9.30撮影)

2020年10月1日木曜日

10月1日では遅すぎる

10月1日では遅すぎる」は,イギリスの天文学者のフォレッド・ホイル(1915-2001)の1966年のSF小説。SFマガジンの1968年2月号から5月号まで4回にわたって連載されていた。SFマガジンの定期購読を始めたのはその年の秋からだったので,リアルタイムでは読めなかった。その後,SFマガジンのバックナンバーを収集したときにも読まなかった。ただ,タイトルはとても気になっていたので,ハヤカワSF文庫で読むことになった。

フレッド・ホイルは,ビッグバンを否定する定常宇宙論を主張したことで有名だ。また,SF作家としても「暗黒星雲」はじめいくつかのよく知られた著作がある。一方,ケンブリッジ大学の天文学研究所に所属し,元素合成の研究でノーベル賞をもらっていてもおかしくない業績があるので,決して変な科学者ということではない。

マイベストSFのひとつ,小松左京の「物体O」にもフレッド・ホイルは登場していた。このフレーズは長らく自分の印象に刻み込まれていた。伏見康治をもじった阪大理学部核物理の三伏教授が京大理学部地球物理の大隅教授に話している。

「この状態下では,いくらやってもやりすぎるということはないよ。むしろ立ちおくれているんだ。とにかく大車輪で情報を流さなくちゃならん。—フレッド・ホイルの"暗黒星雲"を読んだかい?」

「宇宙生成論か?」

「ちがうよ,小説さ。あの中で,非常事態に際しては,最も多くの情報をにぎるものが,権力を握るというアイデアがあるんだ」

「それがどうした?」

「鼻持ちならん学者のエリート意識だと言うのさ。政府相手の駆け引きだけで,政治の迷妄を逃れうるなんて甘すぎる考えだ。—もっと大衆を信頼すべきだよ。僕は出来るだけ多くの大衆に,できるだけ正確な情報を大量に流すつもりだ。とにかく勤労大衆の協力なくしては何もできないんだからね」

(小松左京:ハヤカワSFシリーズ3088「日本売ります」の「物体O」から引用) 

2020年9月30日水曜日

(秋休み 7)

 「桔梗咲き晩年といふ見えぬもの」 (高橋謙次郎 1925-2007)

2020年9月29日火曜日

(秋休み 6)

 「藤袴手折りたる香を身のほとり」 (加藤三七子 1925-2005)


2020年9月28日月曜日

2020年9月27日日曜日

2020年9月26日土曜日

2020年9月25日金曜日

(秋休み 2)

 「をりとりてはらりとおもきすすきかな」 (飯田蛇笏 1885-1962)

2020年9月24日木曜日

2020年9月23日水曜日

同志社大学京田辺キャンパス(1)

同志社大学の京田辺キャンパスを訪れるのは初めて。近鉄京都線の興戸駅から歩くのだが,行きは道を間違えたため北から大きく回って正門に至った。台風12号が接近していたので雨になったらどうしようと心配していたけれど,秋晴れの遠足日和だった。

京田辺キャンパスは79万㎡なので大阪教育大学の柏原キャンパス67万㎡の1.2倍程度だけれど,建物や芝生などの配置のせいで広々と感じられる。まだ授業が始まっていないので学生さんはまばらだった。図書館のオープンスペースなども利用禁止になっていたが,秋学期からは対面授業も再開されるようだ。

大阪教育大学ではmoodleの利用支援員をしているのだけれど,同志社大学のe-classは勝手が違うので今日は立場が逆転して利用支援をしてもらうために情報メディアセンターを訪問したのだった。ていねいに教えていただいたので30分でほぼ問題は解決した。moodleとe-class一長一短である。


写真:同志社大学京田辺キャンパスのローム記念館(2020.9.23)

2020年9月22日火曜日

三十八柱神社

先日,石上神宮の北西端の結界に対応する三十八神社(みそやじんじゃ)の傍示浚の標を見つけたところだった。今日の散歩は三十八柱神社(みそやはしらじんじゃ)だった。

調べてみると奈良県を中心として各所に三十八の名前がつく神社があった。三十八神社,三十八柱神社,三十八社神社,三十八所神社など。県内分をリストアップすると次のようなことで,半分は天理市にある。

三十八神社(みそやじんじゃ)
〒632-0098 奈良県天理市南六条町223
〒632-0054 奈良県天理市檜垣町94
〒632-0025 奈良県天理市藤井町218

三十八柱神社(みそやはしらじんじゃ)
〒632-0083 奈良県天理市稲葉町162
〒636-0216 奈良県磯城郡三宅町小柳373
〒635-0814 奈良県北葛城郡広陵町南郷1242
〒633-0067 奈良県桜井市大福479

三十八社神社(さんじゅうはっしゃじんじゃ)
〒632-0068 奈良県天理市合場町259
〒634-0825 奈良県橿原市観音寺町882

三十八所神社(さんじゅうはっしょじんじゃ)
〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160(春日大社境内) 

で,三十八柱とは結局どの神様なのかというと,桜井市の三十八柱神社の説明によれば,伊邪那岐命+伊邪那美命+宮中三十六柱ということらしい。では宮中三十六柱は誰なの。Wikipediaの宮中・京中の式内社一覧によれば,つぎのとおり(式内社は延喜式神名帳に記載された神社)。 

御巫祭神 8座
 神産日神・高御産日神・玉積産日神・生産日神・足産日神・大宮売神・御食津神・事代主神
座摩巫祭神 5座
 生井神・福井神・綱長井神・波比祇神・阿須波神
御門巫祭神 8座
 櫛石窓神×4・豊石窓神×4
生島巫祭神 2座
 生島神・足島神
宮内省坐神 3座
 園神・韓神×2
大膳職坐神 3座
 御食津神・火雷神・高倍神
造酒司坐神 6座
 大宮売神×4・酒殿神×2(酒弥豆男神・酒弥豆女神)
主水司坐神 1座
 鳴雷神

なかなか面倒なことになっている。


図 google map において三十八神社等で検索した結果から引用



2020年9月21日月曜日

国土地理院地図

小波秀雄さんがgoogle map国土地理院地図相互変換アプリを作っていた。 そこで,地図へのアクセス方法を調べてみた。

国土地理院地図のURLは次のようになっている。https://maps.gsi.go.jp/vector/#17/34.55095/135.650077/&ls=lvlabel&disp=1&d=l

ここで,#nは縮尺であり,その次に緯度と経度,さらにオプションがつく。

#4 300km
#5 100km
#6 50km
#7 30km
#8 20km
#9 10km
#10 5km
#11 2km
#12 1km
#13 500m
#14 300m
#15 100m
#16 50m
#17 30m
ls=vstd 標準地図
ls=vpale 淡色地図
ls=vblank 白地図
ls=photo 写真
ls=photo2%7Cvlabel 写真+注記
ls=lvlabel 大きい文字
ls=v2std 標準地図②
ls=v2pale 淡色地図②
ls=v2blank 白地図②
disp=0/1 非表示/表示
d=l サイドメニューオン

一方,google mapの方はというと次のとおりである。
https://www.google.co.jp/maps/@34.55095,135.650077,18z

これは@緯度,経度,nz で最後の部分が縮尺となっている。

2z 2000km
3z 1000km
4z 500km
5z 200km
6z 200km
7z 100km
8z 50km
9z 20km
10z 10km
11z 5km
12z 2km
13z 1km
14z 500m
15z 200m
16z 200m
17z 100m
18z 50m
19z 20m
20z 10m
21z 5m

(注)200kmや200mが重複している。縮尺は変化しているが,縮尺目盛が共通になっている。


図 国土地理院のベクターマップの初期画面から(引用)



2020年9月20日日曜日

Juliaの日時処理

Juliaによる日時処理の練習をしてみた。 
日曜日の誕生日は11回目だ。生まれてからまだ2万4427日しかたっていなかった。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
using Dates
daytoday = today()
birthday = Date(1953,9,20)
println(daytoday," ",isleapyear(daytoday))
println(yearmonthday(birthday)," ",isleapyear(birthday)) 
println(yearmonth(birthday)," ",monthday(birthday)) 
println(daysofweekinmonth(birthday)," ",dayofweekofmonth(birthday)) 
println(monthname(birthday)) 
println(dayofweek(birthday)," ",dayname(birthday)) 
println(daytoday-birthday) 

function bd()
  for i in 1953:2020
    k=Date(i,9,20)
    kk=dayname(k)
    age=i-1953
    star=""
    if(kk == "Sunday")
      star="*"
    end
    println(k," ",age," ",kk," ",star)
  end
end

bd()
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

2020-09-20 true
(1953, 9, 20) false
(1953, 9) (9, 20)
4 3
September
7 Sunday
24472 days
1953-09-20 0 Sunday *
1954-09-20 1 Monday 
1955-09-20 2 Tuesday 
1956-09-20 3 Thursday 
1957-09-20 4 Friday 
1958-09-20 5 Saturday 
1959-09-20 6 Sunday *
1960-09-20 7 Tuesday 
1961-09-20 8 Wednesday 
1962-09-20 9 Thursday 
1963-09-20 10 Friday 
1964-09-20 11 Sunday *
1965-09-20 12 Monday 
1966-09-20 13 Tuesday 
1967-09-20 14 Wednesday 
1968-09-20 15 Friday 
1969-09-20 16 Saturday 
1970-09-20 17 Sunday *
1971-09-20 18 Monday 
1972-09-20 19 Wednesday 
1973-09-20 20 Thursday 
1974-09-20 21 Friday 
1975-09-20 22 Saturday 
1976-09-20 23 Monday 
1977-09-20 24 Tuesday 
1978-09-20 25 Wednesday 
1979-09-20 26 Thursday 
1980-09-20 27 Saturday 
1981-09-20 28 Sunday *
1982-09-20 29 Monday 
1983-09-20 30 Tuesday 
1984-09-20 31 Thursday 
1985-09-20 32 Friday 
1986-09-20 33 Saturday 
1987-09-20 34 Sunday *
1988-09-20 35 Tuesday 
1989-09-20 36 Wednesday 
1990-09-20 37 Thursday 
1991-09-20 38 Friday 
1992-09-20 39 Sunday *
1993-09-20 40 Monday 
1994-09-20 41 Tuesday 
1995-09-20 42 Wednesday 
1996-09-20 43 Friday 
1997-09-20 44 Saturday 
1998-09-20 45 Sunday *
1999-09-20 46 Monday 
2000-09-20 47 Wednesday 
2001-09-20 48 Thursday 
2002-09-20 49 Friday 
2003-09-20 50 Saturday 
2004-09-20 51 Monday 
2005-09-20 52 Tuesday 
2006-09-20 53 Wednesday 
2007-09-20 54 Thursday 
2008-09-20 55 Saturday 
2009-09-20 56 Sunday *
2010-09-20 57 Monday 
2011-09-20 58 Tuesday 
2012-09-20 59 Thursday 
2013-09-20 60 Friday 
2014-09-20 61 Saturday 
2015-09-20 62 Sunday *
2016-09-20 63 Tuesday 
2017-09-20 64 Wednesday 
2018-09-20 65 Thursday 
2019-09-20 66 Friday 
2020-09-20 67 Sunday *

2020年9月19日土曜日

お彼岸

 Wikipediaによれば,彼岸は日本の雑節の1つで春分秋分の日を中日とする七日間ということである。今年2020年の秋分の日は秋の四連休の最終日である9月22日火曜日なので,9月19日が彼岸の入りになる。中日は先祖に感謝し,残りの6日で六波羅蜜を修めなければならないのでたいへんだ。ほぼ67年間生きてきたので134セットとりこぼしつづけている。

  1. 布施(檀那,だんな)与えること施すこと。財物を施すこと(財施),教えを施すこと(法施),安心を与えること(無畏施)の三種。
  2. 持戒(尸羅,しら)戒律を守ること。
  3. 忍辱(羼提,せんだい)苦難や迫害に堪え忍ぶこと。
  4. 精進(毘梨耶,びりや)実践にたゆまず努力すること。
  5. 禅定(禅那,ぜんな)瞑想により精神統一すること。
  6. 智慧(慧,え)真理をみきわめ悟ること。
1969年11月号のSFマガジンはちょうど51年前のお彼岸頃にとどき,マレイ・ラインスターの中編「彼岸世界(前編)」が訳出されていた。タイトルは印象深かったので記憶に残っているが,ストーリーはまったく憶えていない。なお英語では"The Other World(1949)"というタイトルであり,"6 Great Short Novels of Science Fiction(1954)"にも取り上げられているくらいなので,それほど駄作ということではないかと思われる。
1. "The Blast" by Stuart Cloete (from Colliers, April 1947)
2. "Coventry" by Robert A. Heinlein (from Astounding, July 1940)
3. "The Other World" by Murray Leinster (from Startling Stories, November 1949)
4. "Barrier" by Anthony Boucher (from Astounding, September 1942)
5. "Surface Tension" by James Blish (from Galaxy, August 1952)
6. "Maturity" by Theodore Sturgeon (from Astounding, February 




2020年9月18日金曜日

マストドン(1)

 久しぶりにhttps://mathtod.online/web/getting-startedhttps://mstdn.jp/web/getting-startedにアクセスしていたら,マストドンが終了するとの記事に遭遇した。

2017年4月の日本におけるマストドンブームはごく一部だけに留まっていた。それは久しぶりに胸熱な動向だったのだが,数週間で熱は冷めていった。このとき一番大きかったのが数式を自由に投稿できるMathtodonの開設だった。本家のマストドン(mstdn.jp)へのアクセスはモーティベーションが続かなかったのですぐに減衰したけれど,Mathtodonの方は興味深い話題が散発的に投稿されていたのでそれなりにアクセスしてきた。

最近はほとんどごぶさただったけれど。そのご本家のマストドン(mstdn.jp)が,2020年の5〜6月に終了というニュースだった。結局米国のsujitechが引き取ったようだ。東大にかかわるSUJI YANがCEOでイリノイ州のChampainに本社があるなかなか不思議な会社だ。

[1]マストドン「mstdn.jp」6月30日に終了(2020.5.25)
[2]マストドンの国内サーバー「mstdn.jp」米企業への譲渡が決定,6月30日での閉鎖は回避へ(2020.6.12)

2020年9月17日木曜日

秋の蝶

 今日の散歩は,鷺がよく目についた。なぜかあちこちの田池や社叢に群がっている。そんな叢の一つを抜けると黄色い蝶がたよりなく舞っていた。「秋の蝶」という季語があったのではないかと思って調べると,蝶(春),夏の蝶(夏),秋の蝶(秋),冬の蝶(冬)と全てそろっていた。

実際の情景は「草にある午前のしめり秋の蝶(鷲谷七菜子)」にやや近いのだけれど,心象風景は「我が影の伸びゆく先の秋の蝶(星野椿)」かもしれない。


写真:平等坊町の鷺の群れ(2020.9.17)


2020年9月16日水曜日

傍示浚

朝の散歩でときどき思いがけないものを発見する。昨日は 傍示浚(ぼうじさらえ)だ。北西ルートで郡山インターの南側を回っていると,石上神宮の傍示浚神事の標識があった。氏子区域の境界を示す杙(くい)が8ヶ所あって,毎年10月1日に神事が行われるもので,添付写真の説明文に詳しい。奈良女子大学の宮路淳子さんの論文から8ヶ所について記されている部分を引用する。散歩コース内には他に何ヶ所かある。

神事の概要については、白井伊佐牟氏の著書に詳しいので、以下抜粋する 16)。「当日午前九時神職二名が北郷・南郷(布留川の北が北郷・南が南郷)にわかれ、北郷は 1 石上町・石上市神社、2 富堂町・岩上神社、3 田井庄町・八剱神社、4 南六条町北方・三 十八神社の四か所、南郷は 5 内馬場町・春日神社、6 川原城町・神明神社、7 備前町南端・ 備前橋南詰道路脇、8 田町・厳島神社の四か所の計八ケ所で祭典が行なわれ、榜示榊は 1・ 2・3・4・5・8 は各神社本殿前の盛砂に刺すが、8 は後刻北西方の境界地へ刺し、1 も以 前は北方の櫟本町との境界に立てていた。6 は一の鳥居跡地(布留街道と上街道の交差点 の東)へ、7 は祭典場所と同じところへ立てる。


写真:天理市南六条町の傍示浚標識(2020.9.15)

[1]宮路淳子:天理市石上神宮の傍示浚神事からみる布留川 流域の水資源利用と土地開発に関する研究

2020年9月15日火曜日

ワードクラウド(2)

ワードクラウド(1)からの続き

時事通信の首相動静は,2020年に加えて,2019年,2018年,2017年の3年分がアーカイブされていた。これを使って首相動静のワードクラウドを求めたところ,午前○時などで埋まってしまった。そこで,次の4つのパターンをエディタ(JEdit)の正規表現検索で除去した。

{午.*?時,同.*時,□.*?分,同.*?分}を除いた。ただし,□は全角空白のことである。その結果は以下のとおりである。秋葉剛男は外務事務次官,警察官僚の北村滋は2019年9月までは内閣情報官。なお,2020年の西村明宏と岡田直樹(金沢市出身)は内閣官房副長官なのか。

図1 2017年の首相動静ワードクラウド(USERLOCALより)

図1 2018年の首相動静ワードクラウド(USERLOCALより)

図1 2019年の首相動静ワードクラウド(USERLOCALより)


2020年9月14日月曜日

ワードクラウド(1)

 物理教育学会誌第68巻第3号(2020)の談話室で,渡會兼也君が「授業評価の記述文を簡単に分析する方法」という記事を書いていた。USER LOCAL AIテキストマイニングのページを使うというものだったので,簡単に試してみることができた。匿名で1万字,ユーザー登録すると20万字までのテキストを無料で分析することができる。さっそく,2020年の1月から8月の首相動静を分析してみた。ただし,次のワードはあらかじめ除去した。{私邸,公邸,官邸,富ケ谷,同所,現在,着,発,来客,午_○時○分}などなど。その結果は次のとおり。


図 2020年1-8月の首相動静のワードクラウド(USER LOCALから)


2020年9月13日日曜日

テレビからの脱出

 なんやかやいいながら,つけっぱなしにしておくと情報がだらだらと流れてきて,ときどき意識を集中させると,飛び込んでくるというのが,これまでのラジオやテレビのニュース・報道系バラエティの作法だったかもしれない。ところが,いわゆる「芸人」によって言論が支配される段階になると,ちょっとテレビが垂れ流す嘘情報を話半分にきくことも限界に近づいてきた。

最近その間隙をうめるのがインターネット(youtube系)の対話番組である。菅野完(4850人),のりこえネット(7690人),DARTHREIDER(1.8万人),一月万冊(5.9万人)。ゲストとの対話がベースになっているものは,ちょっとキャスターとの馴れ合いが気になるけれど,1時間や2時間はすぐに聞いてしまう。まあ,2005年ころから続くポッドキャストの後継者ということなのだろう。

2020年9月12日土曜日

情報学

(1) 情報学 (12800k) ⇔ Information Science (26M)
(2) 情報科学 (4630k) ⇔ Informatics (77M)
(3) 情報工学 (2740k) ⇔Informatics Engineering (1.2M)
*(4) 計算科学 (616k) ⇔ Computational Science (4.4M)
(5) 図書館情報学 (565k) ⇔ Library and Information Science (15M)
(6) ソフトウェア工学 (448k) ⇔ Software Engineering (178M)
(7) 計算機科学 (365k) ⇔ Computer Science (255M)
(8) ソフトウェア科学 (129k) ⇔ Software Science (1M ... no wikipedia title)
(9) 計算機工学 (45k) ⇔ Computer Engineering (32M)
(10) 理論計算機科学 (23k) ⇔ Theoretical Computer Science (3.6M)

・情報学=Informatics,情報科学=Information Science のほうが自分にはしっくりくるような気がするのだけれども,なぜか業界ではそうなっていないらしい。

・日本では岩波中心によくつかわれるソフトウエア科学に対応する Software Science があまり使われていないのはなぜだろう。

・むしろ,情報科学=Computer Science ,情報工学=Software Engineering と対応づけたほうが実態に即しているのかもしれない。

* この中では「計算科学」だけは他の概念と同じ仲間ではないと思われる。

2020年9月11日金曜日

ハイフレックス型授業

 今週も10:30から,NIIの【第16回】4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウムがあった。今日は,旧七帝大の副学長クラスによる後期授業の基本方針のアピール「遠隔・対面ハイブリッド講義に向けての取り組み」だった。マスコミによる大学批判に業を煮やした関係者が反論するということなのだが文部科学大臣があの調子で伝わるのかどうか。

そのなかで,大阪教育大学の尾崎拓郎君が「インターネットを活用した授業を運用するための支援体制 〜後期授業におけるハイフレックス形態の運用を視野に〜」というタイトルでどうどうの2回目登場である。京大のあの中村素典さんもおなじテーマで話していたが一歩も引けを取っていなかった。そうか,これからの時代はハイフレックス型とかブレンディッド型のようなハイブリッドがもてやはされるのか・・・知らんけど。

[1]15 Fall Senarios


2020年9月10日木曜日

首相動静(3)

 さっそくできあがったperl scriptで2020年1-8月,2019年,2018年,2017年と44ヶ月分の首相動静を収集してみた。ところが,2016年は空だった。そうか,時事通信は2017年度以降からしかアーカイブされていないのか。首相動静をインターネットで検索してみたところ,大手各紙に対応するものがある。2016年をキーワードに含めるとかろうじて朝日新聞のそれが一部ひっかかったがURLのエンコード方法が不明。毎日新聞の「首相日々」と読売新聞の「安倍首相の一日」は有料記事の中に埋もれてしまっている。また,日本経済新聞の「首相官邸デジタル」が「写真で見る永田町」に変わって情報量が激減。産経新聞の「安倍日誌」は,URL形式が一定ではない。なかなか難儀な話ではある。


2020年9月9日水曜日

首相動静(2)

 昨日に引き続いて時事通信サイトの首相動静ページのダウンロードプログラムを整える。過去月分は数年前まで同じフォーマットで保存されているようだ。当月分だけが別のURLに置かれている。いずれにせよ,月ごとにまとめて取り出すほうがよろしいので次のようにする。

(1) 与えるのは年yと月mのデータ (2) これからy−m.txtという保存用のファイルを指定する。 (3) perlのTime::Piece モジュールを用いて当月の最終日を得る。(4) これを使うと,時事通信のURL名を指定できる。ファイル名は 202008_01 が8月31日 202008_31が8月1日と逆順になっていることに注意が必要。(5) 1桁の日付は0を補完する必要がある。(6) ファイルへのアクセスはlynx -source を用いるが,これを日付について繰り返えす。結果はコード変換した後にテンポラリファイルに保存しておく。(7) これから,首相動静の内容コンテンツを取り出す。同じものが三重に存在するので1つ目だけを残して,さきほどの保存用ファイルにアペンドしていく。

なお,漢字コードはEUCを仮定しているため,このプログラム自身もEUCで書いてある。結果をmacのデスクトップ上のJEditで読むと漢字コードが毎回おかしいといわれる。なにか変なコードが混じってくるのかもしれない。EUCに指定した上で,UTF-16で保存してみた。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
#!/usr/local/bin/perl
#<!- -------------------------------------- -->
# shusho dousei from jiji dot com news
# 09/09/2020 K. Koshigiri
# % ./shusho.pl year month -> year-month.txt
# date = 01...31 etc. (dates of month) - d
# get data from https://www.jiji.com/
#<!- -------------------------------------- -->

use Time::Piece;
\$tmp="tmpx";
\$r="https://www.jiji.com/jc/v2?id=ssds";
\$y=@ARGV[0];
\$m=@ARGV[1];
\$g=\$y."-".\$m;
open(OUT, ">> \$g");

\$t = Time::Piece->strptime(\$g."-01",'%Y-%m-%d');
\$mld = \$t->month_last_day;
print "今月末日は$mld日\n";

for(
\$k = 1;\$k <= \$mld;\$k++) {
\$tmpk = \$tmp.\$k;

\$kd = \$mld - \$k + 1;
if( \$kd < 10) {
 \$jd="0".\$kd;
};
else {
 \$jd = \$kd;
}
\$f=\$r.\$y.\$m."_".\$jd;
print "\$y年\$m月\$k日 \$f \n";

open(HP, \$tmp);
system("lynx -source \$f | fsp -u | nkf -e > \$tmp");
close(HP);

\$i=0;
open(IN, \$tmp);
print OUT "\n \$y年\$m月\$k日 (\$f) \n";
while(<IN>){
 \$a="";
 if(/br/ && /午/ && !/href/) {
  if(/(<p>.*)/) {
   \$i++;\$a=\$1;
   if(\$i eq 1) {
    print OUT "\$a \n";
   }
  }
 }
}
close(IN);
}
close(OUT);
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

2020年9月8日火曜日

首相動静(1)

 時事通信のページから首相動静を取り出すためにperlプログラムを組んだら,日本語でつまづいた。EUCのままでよかったのだけれどあれこれもがいたため。macの標準ターミナルの漢字コードも,大学のサーバーへのアクセスの都合上EUCコードにしてある。jcode.plは結局不要だった。

lynxで時事通信のJIJI.COMからソースをダウンロードしてfspで改行コードを変換し,nkfでEUCに変換したものを作業ファイルとして保存しておく。作業ファイルから1行づつ取り出して,条件を満たした行にその日の首相動静が格納されているはず。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 
#!/usr/local/bin/perl
#<!- -------------------------------------- -->
# shusho dousei from jiji dot com news
# 09/09/2020 K. Koshigiri
# % ./shusho.pl month date outfile 
# date = 01...31 etc. (dates of month) - d
# get data from https://www.jiji.com/jc/
#<!- -------------------------------------- -->
\$y="https://www.jiji.com/jc/v2?id=ssds2020";
\$m=@ARGV[0];
\$d=@ARGV[1];
\$f=$y.\$m."_".\$d;
print "\$f \n";

\$out=@ARGV[2];
\$tmp="tmpx.txt";
\$i=0;

open(HP, \$tmp);
system("lynx -source \$f | fsp -u | nkf -e >> \$tmp");
close(HP);

open(IN, \$tmp);
open(OUT, "> \$out");
while(){ $i++; \$a="";
  if(/br/ && /午/ && !/href/) {
    if(/(.*)/) {
      \$a=\$1;
      if(\$i eq 1) { print OUT "\$a \n";}
    }
  }
}
close(OUT);
close(IN);
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 

2020年9月7日月曜日

対面授業とオンライン授業

 萩生田文部科学大臣が,昨日のテレビ番組(FNN 日曜報道THE PRIME)で「後期もオンラインの学校には違和感を感じる」とあらためて対面授業の実施を求めたらしい。前期は90%の大学がオンラインのみだったところが,後期は引き続き24%の大学がオンラインのみだということで,これに難癖をつけたものだ。

一方,大阪教育大学の後期授業の実施方法の様子が伝わってきた。後期に開講される1200科目弱のうち,25%が対面授業,35%がオンライン授業,40%がハイブリッド授業だ。ハイブリッドで人数規模がある程度を越えると2交代制で対面授業をするなど非常に複雑なことになっていて,それでもなんとか対面の機会を増やそうとしている。

なかなかたいへんな大学の状況を十分に理解せず,また具体的な感染防止のための大学への支援策も打ち出さないままに,大学に責任転嫁しているということでSNS上では非難轟々である。

そしてセカンドピークの減少を狙いすましたように,大阪維新の大阪市廃止計画が進行している。市民はマスコミに完全に洗脳されていて,ほぼ半数が賛成に回っている。

2020年9月6日日曜日

おもちゃ

 一月万冊の清水有高が元れいわ新選組参議院議員候補者の安冨歩や電通五輪に鋭く切り込む元博報堂の本間龍などをゲストとしてyoutubeチャンネルでやっている番組をときどきみている。菅野完のtwicas/youtubeチャンネルと並んで時間が消費されていく。

今日の話は,安倍晋三が本丸ではなかったのではという件である。第2次安倍政権を実現するべくいやがる本人を引っ張り出したのが菅義偉であるという大下英治説を紹介していた。これまでは,安倍晋三と政策秘書官の今井尚哉や事務担当秘書官の佐伯耕三などの経済産業省系官僚がコアであり,その周辺に菅+麻生+二階が回っているというイメージだったけれど,どうやらこれは天動説であり,実際は地動説が正しかったのかもしれない。

その根拠として取り上げられたのが,安倍晋三のおもちゃとしての憲法改正と拉致被害者問題というコンセプトである。ともに,7年半の間にこれっぽっちも進んでいないしやろうともしていない。そもそも憲法改正の正式な自由民主党案ですら誰もまとめようとしていない。菅義偉が担当の拉致問題も一ミリも動かしていない。これらは安倍が主導権を発揮しなかったというより,むしろ晋三に与えられたおもちゃ(右派勢力を引きとどめるための)であり,地動説の太陽グループが首相をその座に据えておくのに与えた道具だったというわけだ。

それにもかかわらず安倍晋三が主体的に動いている部分がゼロというわけではないと思われる。森友問題,加計問題,桜を見る会・・・(隠蔽作業が菅によるとしても),あるいは,稲田朋美,杉田水脈,河井案里などのお友達人事,甘利明の件などなど。

2020年9月5日土曜日

レピュニット

レピュニット数(repunit = Repeated Unit ) とは,全ての桁が1である自然数のことである。例えば,1,11,111,1111,11111,111111・・・などである。1が$n$個並ぶレピュニット数を$R_n$と書くと,$R_n = \dfrac{10^n - 1 }{9}$である。

tujimotterの「任意の素数はレピュニットの素因数に現れる(2, 5を除く)あとダイヤル数」によると,次の定理「2と5 を除く任意の素数 $p$ に対し,ある正整数 $n>1$ が存在して $R_n$は p で割り切れる」が成り立つ。このとき,$R_n = \dfrac{10^n - 1 }{9} \equiv 0 ,\quad (\mod\ p)$

$p \neq 3$ならば($R_3 = 111 \equiv 0 \mod 3$なので,$p =3$ は OK),$10^n \equiv 1 \ (\mod p) , \quad n>1 $が成り立てばよい。これはフェルマーの小定理にほかならない。

フェルマーの小定理:互いに素である整数 $a$ と 素数 $p$ に対し,$a^{p−1} \equiv 1 \ (\mod p)$が成り立つ。

2020年9月4日金曜日

後期授業開始迫る

 いよいよ後期開始まで3週間を残すばかりとなった。前期のオンライン授業については,外野の評判は芳しくなく,授業料を返せだの,小中高でも対面できててGOTOキャンペーンはじまるのに何故大学だけオンラインなのだとか,大学はそもそも人が集うことに意義があるとか,ありとあらゆる非難が集中している。文科省もこれに対応して対面授業の導入への圧力をかけているが,案の定,米国では大学が大規模クラスター発生源となっている。

各大学における大学生へのアンケートによれば,2/3程度はオンライン授業が良かったと評価している。ただし,はじめて大学に1回生など学生同士の十分なコミュニケーションの場が確保できてないことが大きな問題であることは確かだ。また,オンライン授業で学習時間が増加している中で,各授業の連携なしに課されている課題の負荷が大きすぎるという問題も明らかになってきた。

今日は,NIIの【第15回】4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウムがあった。毎回なかなかためになる話が多い。今回も広島大学の隅谷先生が,LMSログという具体的データによるLearning Analyticsの話をされていた。あとは,物理実験とか,前回の電子工学実験なども興味深かった。

後期から授業を始める先生方を対象とするMoodleの利用支援サポータ活動も来週から始まる。


2020年9月3日木曜日

エンペディア

ウィキペディア(1226,000本)から寄付のお願いがあって2080円寄付したところで,エンペディア(41,000本)にはじめて遭遇した。他にもいろいろあるのかもしれない。アンサイクロペディア(20,700本)は知っていたけど。あとは,Citizendium(実名性),Scholarpedia(実名+専門家)とか。

各分野別では,哲学だと,Stanford Encyclopedia of Philosophy(SEP)とかInternet Encyclopedia of Philosophy (IEP)になる。数学だと Wolfram Math World かな。国内の学会レベルで運用しているのが脳科学辞典(日本神経科学学会),天文学辞典(日本天文学会),ISディジタル辞典(日本情報処理学会)など。

詳細は,List of online encyclopedia をみるのがよいか。

2020年9月2日水曜日

降伏文書

 [全文(日本政治・国際関係データベース 政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所)]

 下名ハ茲ニ合衆国、中華民国及「グレート、ブリテン」国ノ政府ノ首班ガ千九百四十五年七月二十六日「ポツダム」ニ於テ発シ後ニ「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ガ参加シタル宣言ノ条項ヲ日本国天皇、日本国政府及日本帝国大本営ノ命ニ依リ且之ニ代リ受諾ス右四国ハ以下之ヲ聯合国ト称ス

 下名ハ茲ニ日本帝国大本営竝ニ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ノ聯合国ニ対スル無条件降伏ヲ布告ス

 下名ハ茲ニ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国臣民ニ対シ敵対行為ヲ直ニ終止スルコト、一切ノ船舶、航空機竝ニ軍用及非軍用財産ヲ保存シ之ガ毀損ヲ防止スルコト及聯合国最高司令官又ハ其ノ指示ニ基キ日本国政府ノ諸機関ノ課スベキ一切ノ要求ニ応ズルコトヲ命ズ

 下名ハ茲ニ日本帝国大本営ガ何レノ位置ニ在ルヲ問ハズ一切ノ日本国軍隊及日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ノ指揮官ニ対シ自身及其ノ支配下ニ在ル一切ノ軍隊ガ無条件ニ降伏スベキ旨ノ命令ヲ直ニ発スルコトヲ命ズ

 下名ハ茲ニ一切ノ官庁、陸軍及海軍ノ職員ニ対シ聯合国最高司令官ガ本降伏実施ノ為適当ナリト認メテ自ラ発シ又ハ其ノ委任ニ基キ発セシムル一切ノ布告、命令及指示ヲ遵守シ且之ヲ施行スベキコトヲ命ジ竝ニ右職員ガ聯合国最高司令官ニ依リ又ハ其ノ委任ニ基キ特ニ任務ヲ解カレザル限リ各自ノ地位ニ留リ且引続キ各自ノ非戦闘的任務ヲ行フコトヲ命ズ

 下名ハ茲ニ「ポツダム」宣言ノ条項ヲ誠実ニ履行スルコト竝ニ右宣言ヲ実施スル為聯合国最高司令官又ハ其ノ他特定ノ聯合国代表者ガ要求スルコトアルベキ一切ノ命令ヲ発シ且斯ル一切ノ措置ヲ執ルコトヲ天皇、日本国政府及其ノ後継者ノ為ニ約ス

 下名ハ茲ニ日本帝国政府及日本帝国大本営ニ対シ現ニ日本国ノ支配下ニ在ル一切ノ聯合国俘虜及被抑留者ヲ直ニ解放スルコト竝ニ其ノ保護、手当、給養及指示セラレタル場所ヘノ即時輸送ノ為ノ措置ヲ執ルコトヲ命ズ

 天皇及日本国政府ノ国家統治ノ権限ハ本降伏条項ヲ実施スル為適当ト認ムル措置ヲ執ル聯合国最高司令官ノ制限ノ下ニ置カルルモノトス

千九百四十五年九月二日午前九時四分日本国東京湾上ニ於テ署名ス

大日本帝国天皇陛下及日本国政府ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ
重光葵

日本帝国大本営ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ
梅津美治郎


千九百四十五年九月二日午前九時八分東京湾上ニ於テ合衆国、中華民国、聯合王国及「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦ノ為ニ竝ニ日本国ト戦争状態ニ在ル他ノ聯合諸国家ノ利益ノ為ニ受諾ス

聯合国最高司令官
ダグラス、マックアーサー

合衆国代表者
シー、ダブリュー、ニミッツ

中華民国代表者
徐永昌

聯合王国代表者
ブルース、フレーザー

「ソヴィエト」社会主義共和国聯邦代表者
クズマ、エヌ、ヂェレヴィヤンコ

「オーストラリア」聯邦代表者
ティー、ユー、ブレーミー

「カナダ」代表者
エル、コスグレーブ

「フランス」国代表者
ジャック、ルクレルク

「オランダ」国代表者
シェルフ、ヘルフリッヒ

「ニュー、ジーランド」代表者
エス、エム、イシット

(注)茲ニ(ここに),竝ニ(ならびに)


写真:UPI.com 2016.09.02の記事より引用


2020年9月1日火曜日

忠霊塔

 金沢市の野田山墓地の奥にある忠霊塔は,今の大乗寺丘陵公園や三子牛山と並んで泉野小学校から適当な距離にある遠足コースのひとつだった。小学校低学年のときに父親や妹たちと日曜日の散歩で訪れたこともある。

今日の日経新聞に,「旧陸軍墓地保全に危機感」という記事があって,老朽化により耐震不足の施設もあるが予算不足で補修が進まないとされていた。金沢の忠霊塔も全国にある44の旧陸軍墓地のひとつだとわかった。

ところで2003年の歴史民俗博物館の調査活動報告書「全国陸海軍墓地一覧(山辺昌彦)」によれば陸軍墓地が83+4ある(Wikipediaの陸軍墓地でも63となっている)。どういうことか。普通に考えても各都道府県に1つ以上あると思われるので,44の根拠が不明だった。

野田山墓地の忠霊塔の一帯は13,000㎡あって,昭和37年に石川県に無償譲渡されて「石川県戦没者霊苑」となっている。


写真: 2016年2月の忠霊塔(woaimaoの気ままなお話から引用)

2020年8月31日月曜日

五番立

文楽の演目が時代物,世話物,舞踊に分類できるように,能は五番立となっているらしい。
近世から明治・大正までの能の正式の上演形式では一日の番組をこの順に上演する。

初番目(神・脇能物):神がシテで神仏の霊験を称える演目(この前に「翁」がくる)
二番目(男・修羅物):修羅道に落ちた武将がシテとなる演目(勝修羅と負修羅がある)
三番目(女・鬘物) :優美な女性がシテとなる優美な舞による演目
四番目(狂・雑能物):他の分類に入らないストーリ性のある演目
五番目(鬼・切能物):鬼・怨霊・天狗などがシテの派手で豪快な演目

なぜこれが出てきたかというと,三枝和子の最初の長編小説である「八月の修羅(未読)」がこの形式を踏んでいるという倉田容子の論説があったため。三枝和子の小説はあまり文庫化されておらず(いまどきされていてもあっというまに品切れになるが),表にでてこない。大庭みな子・岩橋邦枝・水田宗子・与那覇恵子監修による三枝和子選集(全六巻)が鼎書房から2007年に出版されており,古書店でも入手できる。「月の飛ぶ村」は収録されていないのか・・・。

第1巻
 八月の修羅 
 乱反射 
 処刑が行なわれている より 
   幼ない、うたごえ色の血 
   花塊の午後に 

第2巻
 思いがけず風の蝶 
 野守の鏡 より 
  野守 
  螢酒場 

第3巻
 響子微笑 
 響子愛染 
 響子悪趣 
 響子不生 

第4巻
 隅田川原 より 
  江口水駅 
  隅田川原 
 鬼どもの夜は深い 
 うそりやま考 

第5巻
 その日の夏 
 小説 清少納言「諾子の恋」 
 女王卑弥呼 

第6巻
 恋愛小説の陥穽 
 女の哲学ことはじめ 
 神様の居候たち 
 伝説は鎖に繋がれ より 
  白い月 
  覚束ない虹/葦舟に乗る/潜戸の海蛇 
  白い鎖 
 犬吠埼に〈単行本未収録作品〉 
 年 譜 
 参考文献 

2020年8月30日日曜日

7年8ヶ月

2012/04 大阪府私立小学校設置認可基準緩和
2012/09 [2012年自由民主党総裁選選挙 安倍晋三決選で逆転]

2012/12 [第46回衆議院議員総選挙(野田=安倍による解散)]
2012/12 第2次安倍内閣・アベノミクス
2013/06 甘利明URあっせん利得問題→2016/05 不起訴

2013/07 [第23回参議院議員選挙
2013/09 東京五輪2020開催決定(アンダーコントロール)
2013/11 国家安全保障会議設置法
2013/12 特定秘密保護法
2014/04 消費税 8%増税
2014/09 第2次安倍改造内閣・地方創生・女性活躍

2014/12 [第47回衆議院議員総選挙(消費税10%増税延期)]
2014/12 第3次安倍内閣・アベノミクスの進化
2015/03 報道ステーション人事問題
2014/04 伊藤詩織事件→2017 05 実名被害公表
2015/05 下村博文政治資金規制法違反問題→2016/11 不起訴
2015/05 (大阪都構想住民投票否決)
2015/09 安全保障関連法(集団的自衛権)

2015/09 [2015年自由民主党総裁選挙 安倍晋三再選]
2015/10 第3次安倍第1次改造内閣・一億総活躍社会
2015/11 (大阪府知事・市長ダブル選挙)
2016/03 国谷裕子クローズアップ現代降板
2016/05 (伊勢志摩サミット)

2016/07 [第24回参議院議員選挙
2016/08 第3次安倍第2次改造内閣・働き方改革
2016/08 北朝鮮ミサイル破壊措置命令(Jアラート)
2016/09 自衛隊南スーダンPKO日報問題→2017/07 稲田辞任
2016/11 米大統領選トランプ勝利→2017/01就任
2017/01 加計学園岡山理科大学獣医学部設置認可申請へ
2017/02 森友学園問題→
2017/04 辺野古普天間基地移設埋立工事開始
2017/05 加計学園問題→
2017/05 共謀罪法
2017/08 第3次安倍第3次改造内閣・人づくり革命

2017/10 [第48回衆議院議員総選挙(消費税増税使途変更)]
2017/11 第4次安倍内閣・TPP大筋合意→2018/12発効
2018/03 公文書改ざん強要で財務省職員赤木俊夫さん自死
2018/04 自衛隊イラク派遣日報問題
2018/04 (希望の党=小池百合子と前原誠司による野党分裂)

2018/09 [2018年自由民主党総裁選挙 安倍晋三3選]
2018/10 第4次安倍第1次改造内閣・生涯現役社会
2018/12 厚生労働省統計不正問題→
2019/04 (大阪府知事・市長ダブル選挙)
2019/05 桜を見る会問題→
2019/05 [令和スタート]
2019/06 板門店米朝首脳会談
2019/07 徴用工問題に端を発する韓国貿易紛争→GSOMIA

2019/07 [第25回参議院議員選挙
2019/09 第4次安倍第2次改造内閣・人生100年時代
2019/10 消費税10%増税
2019/10 河井公選法違反問題→
2020/01 黒川弘務東京高検検事長定年延長
2020/03 コロナ一斉休校
2020/03 東京五輪1年延期
2020/04 アベノマスク疑惑
2020/05 検察庁法改正案撤回
2020/06 GOTOキャンペーン・持続化給付金疑惑
2020/07 北方領土交渉完全無効化
2020/08 内閣総理大臣最長在職記録更新
2020/08 安倍晋三辞任表明→


2020年8月29日土曜日

内閣総理大臣

任期途中に自己都合で政権を放り出して内閣総理大臣を辞任するのがこれで2回目となる安倍晋三 。予め指名されたもの(たぶん麻生副総理)が臨時代行をすることを選択せず,辞任理由として「病気と治療で体力が万全でなく政治判断力に不安があるため」と主張しながらも,引き続き後任が決定されるまで職に留まるとした。したがって,自由民主党における次期総裁の公選プロセスに焦点があたることになる。「病気」という言葉に騙されて,その実体がどうであるかをブラックボックスにいれたまま,右から左までの全スペクトラムで忖度が横行している(石垣のりこバッシングのすさまじさを見よ,主力はネトウヨ以外だった)。

日本国憲法
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
○2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
○3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
○2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第七十一条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

国会法
第六十四条 内閣は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は辞表を提出したときは、直ちにその旨を両議院に通知しなければならない。

内閣法
第九条 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。

自由民主党党則
第四条 本党に、総裁を置く。
2 総裁は、党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する。
第五条 本党に、副総裁を置くことができる。
2 副総裁は、総裁を補佐し、総裁に事故があるとき、又は総裁が欠けたときは、総裁の職務を行う。
第六条 総裁は、別に定める総裁公選規程により公選する。
2 総裁が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の総裁を公選する。ただし、特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会においてその後任を選任することができる
3 前項ただし書の規定により総裁を選任する際の選挙人は、両院議員及び都道府県支部連合会代表各三名によるものとする

総裁公選規程
(総裁選挙の施行期日等)
第八条 総裁選挙の施行期日は、総裁の任期満了の一か月前までに(総裁が任期中に欠けたことにより臨時の総裁選挙を行う場合にあっては、速やかに)、党本部管理委員会が総務会の議を経てこれを決定し、公表するものとする。
2 党本部管理委員会は、総裁選挙の施行期日の決定に当たり、総裁選挙の告示日、候補者届出締切日、投票日等の選挙日程を定めるものとする。
3 総裁選挙の告示は、党所属国会議員の投票(以下「議員投票」という)の投票日の十二日前までにしなければならない。
4 議員投票の投票日は、総裁の任期満了日前十日以内とする。
(得票数)
第二十一条 総裁選挙における総裁の候補者の得票数は、議員投票による得票数と、党員算定票との合計とする。
(当選者)
第二十二条 総裁選挙においては、議員投票の有効投票及び総党員算定票(次条において「有効投票等」という)の過半数を得た者をもって当選者とする。
(決選投票)
第二十三条 総裁選挙において有効投票等の過半数を得た者がなかった場合には、投票日において、第二十一条に規定する総裁の候補者の得票数の多かった上位者二人について党所属国会議員及び、都道府県各一票による決選投票を行い、その結果、得票数の多かった者をもって当選者とする。

追伸:安倍晋三の公式twitterの18フォロー中で,外国元首等を除く日本人は,佐藤正久,猪瀬直樹,安倍昭恵の3名。安倍昭恵の9フォロー中で,政治家は参議院議員の世耕弘成1名だけ。まあ,2012年でとまっているけれどね。

2020年8月28日金曜日

量子論の整合性

ETHのD. Frauchigerと R. Rennerによるネイチャー・コミュニケションのオープンアクセス論文,"Quantum theory cannot consistently describe the use of itself",は2018年に発表されていたが,今ごろその情報が伝わってきた。アブストラクトをDeepLで翻訳してみる。R. Rennerの論文はいろいろとおもしろそう。

量子論は物理学の基本的な過程を非常に正確に記述しています。そのため,この理論は,これまで実験的に検証されてきたミクロな領域を超えて応用できる可能性が高いと考えられています。ここでは,量子論が原理的に普遍的な有効性を持つことができるかどうかを調べるための実験を提案します。もし,その答えがイエスであれば,量子理論を使っているエージェントを含む複雑なシステムをモデル化することが可能であるはずだという考えです。この仮定の下で実験を分析すると,あるエージェントが特定の測定結果を観察すると,別のエージェントが確実に反対の結果を予測したと結論づけなければならないことがわかります。これらのエージェントの結論は,すべて量子論の中で導き出されたものであるにもかかわらず,矛盾しています。このことは、量子論は複雑なシステムには外挿できないことを示しています。

2020年8月27日木曜日

帆立貝定理

帆立貝定理(Scallop Theorem)とは次のようなものである。生物が低レイノルズ数のストークス流れでの遊泳しているとき,「時間反転可能な変形(往復運動)では,変形速度に関わらず生物は運動の一周期で流体中を移動できない」というものであり,その例示として帆立貝の1自由度運動がとりあげられたことでこの名前がついている。

なお,レイノルズ数は,慣性力を粘性力で割った無次元量であり,ストークス流れは,レイノルズ数が非常に小さい状況を指している,っていうか流体力学をちゃんと勉強していないのでいまいちピンと来ていないのであった。

京都大学数理解析研究所の,石本健太・山田道夫による「座標に基づいた帆立貝定理の証明」は,2014年の流体力学論文賞をもらった論文であり,微生物の変形と運動をきちんと定義した上で,帆立貝定理を証明している。

2020年8月26日水曜日

つるつるいっぱい

喫茶店で出てきたアメリカンがカップすれすれだったのを見て,「なにこれ,つるつるいっぱいや」といったところ,それどこの方言なのとつっこまれた。「えーと,この前テレビでやっていた青森・・・東北じゃないか」と返事しながら検索すると,なんのことはない,福井・金沢だった。そうか,それで自然に出てきてしまったのか。それにしては,これが金沢弁であるという認識がなかったというのも困った話である。完全に金沢弁だとわかっているものも多い中,一部が意識の表層から脱落しつつあるのかもしれない。




[1]金沢弁(Wikipedia)
[2]金沢の方言(金沢市)
[3]金沢の言葉(金沢のくらしの博物館)
[4]金沢の方言(金沢日和)
[5]金沢方言の成立と今(金沢大学公開「e」講座)

2020年8月25日火曜日

出穂期

奈良県農業研究開発センター水稲「ヒノヒカリ」を作りこなすための7つのポイントによれば,8月下旬が出穂期(しゅっすいき)だ。朝の散歩でも稲の白い細かな花が目につくようになった。

この田んぼからどれだけのお米がとれるのだろうか。上記の資料によれば,ヒノヒカリの精玄米重は560-610kg/10aである。10アール=1000㎡(25m×40m)は約1反であり,散歩でよく目にする一区画に対応している。なお,10反が1町歩で約1ヘクタール=10000㎡。

さて,我々老人は2人で1.5日に3合(450g,水浸前)程度のお米をたべている。1人1日1合150gに相当する。一方,炊き上がったごはんは3合で1050gであり,3合で650g程度の水が必要だ。また,カロリーでいうと,ごはん100gで170kcalなので,600kcalの熱量をごはんから,同じくらいをパンやめん類から摂取している。同量のカロリーを副菜などから取っているので1人1日2400kcalになるということか。

田んぼにもどれば,1反の収量は600kgなので,自分たちの量を基準にすれば,4000人日分になる。けっこうあるのだ。1ヘクタールで100人養えるから,奈良県の全人口140万人分をまかなうには,1.4万町歩≒140 ㎢ の水田があればよい。奈良県の面積,約3690㎢のうち可住地面積は23%の855㎢(全国最小)だ。必要となる水田の面積はその1/6に相当するが,実際に耕地面積のうち田は148㎢となっており,老人程度の食の部分はまかなえるのかもしれない。


写真:朝の散歩写真から(2020.8.25)


2020年8月24日月曜日

豊竹嶋太夫

豊竹嶋太夫が8月20日に 88歳でなくなっていた。最後にお見かけしたのは,奈良の西大寺の奈良ファミリーで買物をしているときだった。思わずサインをもらおうかと思ったが踏みとどまった。師匠もご家族といっしょに何か探しておられたようだった。

いつも日の当たるところにいた住太夫とは異なり,一度文楽から離れて再び戻ってきたという経歴の持ち主だ。残念なことに人間国宝になってからわずか半年で引退している。しかし,住太夫と違って嶋太夫は多くの弟子を育ててきた。津國太夫,靖太夫,芳穂太夫,睦太夫,千歳太夫(越路太夫から),呂勢太夫(呂太夫から),故始太夫など。これからの文楽太夫を担う面々だ。嶋太夫の2016年の引退興行の「関取千両幟」もこれらの弟子たちに囲まれていた。

嶋太夫の語りは発音にクセがあったので,はじめは聞きにくくて苦手だった。ところが,どの演目だったかはっきり憶えていないが,すごく熱のある語りを聞いてから,この嶋太夫の語りが好きになってしまった。その一部は,靖太夫に伝わっているように感じる。


2020年8月23日日曜日

やきとりの秋吉

福井市内,足羽川沿いの宿の近くで夕食の店を探してうろうろしていると,ソースカツ丼で有名なヨーロッパ軒の総本店を発見。ヨーロッパ軒の敦賀店には行ったことがあり,候補のひとつにはあがっていたけれど,店の前には長い行列。これはだめだわ,と,その向いに焼き鳥屋があったので入った。それが,やきとりの名門秋吉の本部直営福井片町店だった。店内はお客さんでいっぱいだったけれど,時間が早かったのでまだ行列はできる前だった。その後,待ち行列がどんどん伸びていく。案内されたカウンター席の前には炭焼きの場所がいくつかあって,炎が舞い上がり透明マスクの職人さんたちが手を休めるまもなく串を焼き続けている。やきとりはこぶりの5串1皿を標準として,310〜360円ほどの値段にそろっている。はじめに二種類のタレがやってるが,みそ焼きには酸っぱいたれが追加された。すごく安くておいしい。この秋吉は本部のある福井が発祥地で,福井27店,石川14店,富山14店など,北陸から大阪,東京を中心に,全国で100店舗展開している。

こんなやきとりの店は大阪にはなかったなあと思ったけれど,実は,石橋にもあった。そういえば,中田博保さんと豊中キャンパスからの物理教育学会総会の帰りに,「あきよし」という名前の最近評判のおいしいやきとり屋があるということで,店を覗いたことがあった。残念ながら満席だったのでいつもの「とり竹」の方に入ったのだった。


写真:やきとりの名門 秋吉 (2020.8.13)


2020年8月22日土曜日

福井大仏

福井大仏は,足羽川にかかる九十九橋を北に5分くらいの光照寺にある。もともとは朝倉氏の一乗谷にあった石仏が,江戸時代に現在地あたりの天台宗光照寺に移されたものだ。これが,1945年の福井空襲や1948年の福井地震で損壊したものを,1958年に金銅製の大仏として再建したものらしい。座高は7mで,胎内に一千余年前の弘法大師の自作と言い伝えられる伽羅木の聖観音像を持っているようだが,これは見られなかった。

なお,座高17mの屋内仏である越前大仏が勝山市にある。いろいろややこしい経緯を経ているのをテレビでも放映していた。いまも拝観できるのだろうか。なお,東大寺の大仏は座高15mなので,これより2mも大きなものだ。勝山の福井県立恐竜博物館恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークに行く機会があれば立ち寄ろうか。


写真:福井大仏(2020.8.14)


2020年8月21日金曜日

グリフィス記念館

 足羽川沿いの宿のすぐそばに福井市グリフィス記念館があった。ウィリアム・グリフィス(1843-1928)は,明治維新の頃,ラトガース大学で福井藩士の日下部太郎と出会ったのを契機に,1870年に来日して福井藩校の教師となる。この記念館は,その当時外国人教師のための居住用としていた建物を復元したものである。グリフィスはその後東京大学の前身である開成学校に移籍して,1875年にはアメリカ合衆国に帰国し,日本を紹介する「皇国(The Mikado's Empire)」を執筆する。亡くなる前年の1927年には日本を再訪し,福井でも大歓迎を受けた写真が展示されていた。


写真:福井市グリフィス記念館(2020.8.13)



2020年8月20日木曜日

気比神宮

福井県敦賀市にある 気比神宮は,越前国一宮の官幣大社。おとなりの加賀国一宮の白山比咩神社は国幣中社,能登国一宮の気多大社は国幣大社。気比神宮は畿内から北陸道への入口に位置しており,北陸道総鎮守として古代から重要な位置づけがされていた。

朱塗りの大鳥居を見逃してしまった。Wikipediaによれば,三大鳥居の定義も様々なので,まあいいことにする。敦賀赤レンガ倉庫まではいったが,肝腎の日本三大松原のひとつである気比松原も見逃した。これも次回にしよう。


写真:敦賀の地名の由来となった角鹿神社(2020.8.13)

2020年8月19日水曜日

一乗谷朝倉氏遺跡

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」のせいで, 福井市の一乗谷朝倉氏遺跡への観光客は増えていたようだが,お盆休みの最中にもかかわらず新型コロナウイルス感染症のためにそこまで混雑してはいなかった。が,猛暑炎天下に影のない遺跡を歩き回ることになる。

福井市の中心を流れる足羽川を東に上ってクルマで30分ぐらいのところから南に向う支流の一乗谷川をはさんで南北に3kmにわたって一乗谷朝倉氏遺跡がひろがっている。手前の足羽川沿いには福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館があったがここはパス。当主の館や侍屋敷,寺院,職人や商人の町屋,庭園から道路に至るまで戦国時代の町並みのうち一部が再現されている。こちらは福井市が管理しているようだ。春や秋で行楽シーズンをずらして人が少ないときにゆっくりと散策するのがおすすめ。


写真:一乗谷朝倉氏遺跡当主館跡(2020.8.14)


2020年8月18日火曜日

かこさとし ふるさと絵本館

ならの大仏さま:かこさとし とつながる

かこさとし ふるさと絵本館「砳」(らく)は,彼の生地である福井県の越前市にあった。敦賀の気比神宮から雨とトンネルの8号線をくぐり抜けてなんとかたどりついた。来場者はほどんどいないが,検温とアルコール消毒ののち連絡先を記帳した。ここでは,かこさとしの作品が収蔵・展示されている。1階には,絵本や紙芝居を読める絵本の部屋,工作のできる遊びの部屋があり,2階には原画や複製原画が展示されていた。館外にはだるまちゃんの遊具などもあって,こじんまりしているがかこさとしファンにはたまらない場所である。近くの8番ラーメン武生店も繁盛していた。

写真:かこさとし ふるさと絵本館の駐車場辺り(2020.8.13)



2020年8月17日月曜日

永平寺

永平寺は福井駅から東にクルマで 30分ぐらいの山中にある。永平寺門前の新しい宿をチェックアウトして土産物屋が並ぶ道をたらたらと上がっていくと右手に寺の入口がある。境内は巨木と苔の絨毯に覆われており,今夏は観光客も少ない。山門をくぐって外から拝観するのかと思っていたらそうではなく,参禅者向けの宿泊施設でもある吉祥閣に誘導された。中に入ってしばらく待っていると,雲水による5分くらいの拝観順案内があって建物の上階に向う。このあたりの雰囲気は天理教の施設内と少し似ている。ここから絵天井のある傘松閣を経由して,僧堂・仏殿・承陽殿・法堂・大庫院・山門と回った。たくさん居るはずの修行僧はどこにいあるのか,写真撮影は禁じられていたけれども,それほど目にすることもなかった。これまでにいろいろと拝観したお寺の中では最も規模が大きいものの一つだろうか。あ,土産物屋のボリュウムも含めれば,モンサンミシェルには負けるかも。その後,てらまえで昼食をとって福井駅に向う。


写真:永平寺境内(2020.8.15)


2020年8月16日日曜日

(夏休み 7)

「蒲の穂は剪るべくなりぬ盆の前」 (水原秋桜子 1892-1981)

2020年8月15日土曜日

2020年8月14日金曜日

2020年8月13日木曜日

2020年8月12日水曜日

2020年8月11日火曜日

2020年8月10日月曜日

2020年8月9日日曜日

さよなら三角

妹のおかげで,少女マンガに触れる機会が多かった。月刊少女マンガ雑誌といえば,少女クラブ(講談社:1946-1962),少女(光文社:1949-1963),なかよし(講談社:1954-),りぼん(集英社:1955-)などだった。どれを購入していたのだろうか。あるいは,週刊誌の少女フレンド(講談社:1962-1974),マーガレット(集英社:1963-1988),セブンティーン(集英社:1968-)だったか。

砂糖や脂肪がふんだんに使われている洋菓子や和菓子のようなフレーバーでなくて,自分にも楽しく読めたのは,恐怖マンガ系の楳図かずお(へび少女とか),ギャグマンガの土田よしこ,あるいは巴里夫(ともえさとお)などに限られていた。巴里夫のデビュー作が「さよなら三角」となっているが,それだったかあるいは別のマンガのエピソードのひとつだっだような気もするけれが,さよなら三角の最初のフレーズだけが印象的だった。

 さよなら三角 また来て四角
 四角は豆腐 豆腐は白い
 白いはウサギ ウサギは跳ねる
 跳ねるはカエル カエルは青い(みどり)
 青い(みどり)は柳(葉っぱ)
 柳(葉っぱ)はゆれる
 ゆれるは幽霊 幽霊は消える
 消えるは電気 電気は光る
 光るはおやじのハゲ頭

また,単行本で萩尾望都のシリーズを揃えていたのを読ませてもらったのは,大阪に出てきてからかもしれない。

中でも最も印象深かったのは水野英子ファイヤー!だった。ちょうど自分が高校生の頃で,洋楽ポップスにはまっていた時期なので強く引かれた作品だった。いまだと,クイーンのボヘミアン・ラプソディー,昔だとロマン・ロランのジャン・クリストフか。

2020年8月8日土曜日

涼風至

きのう立秋を迎えた。朝夕に少し秋めいた風や空も感じられるが,日中の猛暑は続いている。

新型コロナウィルス感染症の第1波第2幕もまだ峠にはさしかかっていない。沖縄や愛知や大阪や東京が特に心配なのだけれど,あいかわらず,PCR検査を抑制しようという日本特有の雑音はいっこうにおさまらない。それどころか大阪維新はあいかわらずのクオリティで在阪TV局の吉本芸人と結託してとんでもない洗脳放送を続けている。一方で官邸政府与党は,いわゆる『低死亡率』を根拠として,積極的な対応を忌避してひたすら逃げ回っている。

それにしても驚いたのは,理科教育畑で日本の教育実践に最も影響力があると自負している大学教員が,家人の緊急連絡によってイソジンを買いに薬局に走ったということを,なんのためらいも,恥じることもなく,フェイスブックで開陳していたことだ。そう,日本の科学教育は確実に失敗の道を進んでいるのだろう。それがすべての分野に染みついている国民的で非合理的な判断態度を下支えしている。

まあ人のことはいえないのである。さんざん否定しておいたGOTOキャンペーンにいそいそと申し込んだのは,もろもろの事情があるのでと言い訳している私です。それにしても日本のITクオリティはすごすぎる。GOTOキャンペーン公式サイトのSTAY NAVIで手続きを進めてみたところ,最終段階で画面遷移せず割引クーポンが発行されなかった。さっそく問い合わせたが,たぶん週明けまで返事はないだろう。こんなポンコツシステムのために大量の税金が湯水のように投入されている。


2020年8月7日金曜日

日の丸

昭和30年から40年にかけては,少年マンガ雑誌は月刊誌がその中心だった。やがて,少年サンデー(小学館:1959-),少年マガジン(講談社:1959-),少年キング(少年画報社:1963-),少年ジャンプ(集英社:1969-),少年チャンピオン(秋田書店:1970-)などの週刊誌が主流となっていく。

小学校低学年のときに,母親からマンガの雑誌を定期購読してもいいという話をとりつけた。少年マガジンやサンデーなどの週刊誌もあるよとすすめられたけれど,付録もついている月刊誌を選択した。それが日の丸(集英社:1958-1963)だった。どちらかといえば最もマイナーだったのだが,どうしてそれが気に入ったのかよくわからない。ナンバーセブン(手塚治虫)やテレビ小僧(石森章太郎)があったのは憶えている。

当時の月刊誌といえば,少年クラブ(講談社:1946-1962),少年(光文社:1946-1968),冒険王(秋田書店:1949-1983),少年画報(少年画報社:1950-1971),まんが王(秋田書店:1952-1971),ぼくら(講談社:1954-1969),少年ブック(集英社:1959-)などがあった。

各社2冊のところがあるので,対象年齢層が少しずれていたのかもしれない。日の丸は小学校3年の終わりに休刊となって,同じ集英社の少年ブックに引き継がれたため,そのまま少年ブックを購読していた。少年ブックは日の丸と違って付録も充実しており,毎号楽しみだった。小学校5年生の時に実家が新築されたので,それを潮時として購読をやめたのかもしれない。やがて小学校が終わるころには,月刊誌のピークも終わりに近づいていた。

定期購読していないものでも,貸本屋,床屋,病院,友達の家などで読む機会は多かったので,各雑誌の主要マンガの印象は大きい。また,少年ブックに連載されていた,ビッグX(手塚治虫)や宇宙エース(吉田竜夫)などは,鉄腕アトムや鉄人28号などのメジャーではない作品がアニメ化されていく過程のさきがけのひとつだった。

2020年8月6日木曜日

海底軍艦

NHKの歴史秘話ヒストリアで「伊400幻の巨大潜水艦」をやっていた。伊四百型潜水艦は全長122mで第二次世界大戦中に就航したものでは世界最大の潜水艦であった(2012年まで世界一)。特殊攻撃機の青嵐を3機搭載できる潜水空母だ。そのコンセプトが後の核ミサイル搭載の原子力潜水艦につながっていく。

Wikipediaをみていると,特撮映画の「海底軍艦」の話がでている。宇宙戦艦ヤマトではないが,伊四百型潜水艦を改造して海底軍艦をつくったのかと思えばそうではなくて,実在の伊400,401, 402に続く,伊403という仮想の潜水艦を奪って終戦時に帝国海軍を離脱したグループが海底軍艦の轟天号をつくってムウ帝国と戦うという話だった。

海底軍艦が上映されたのは,小学校4年の冬だった。おばあちゃんの家で遊んでいたときに,どういう話になったのか,親戚のお兄さん(斉藤之泰さん)に当時の大和の上階で上映中の映画館に連れていってもらうことになる。マンガ月刊誌の付録でも読んだとおもう。印象的なのは冷凍光線だった。氷点下273度ですべてのものを凍らせてしまうというすばらしい兵器を搭載していたのだ。2本立てのクレージーキャッツを見るかと聞かれたが,当然もういいよといって,帰ってきたのであった。たぶん海底軍艦のプラモデルもつくったような気がする。


2020年8月5日水曜日

桑田次郎

桑田次郎が7月2日に85歳で亡くなったという報道があった。桑田二郎とあったので,何を間違えているのかと思ったが,間違えていたのは自分のほうで,1990年ごろに改名されていた。

まぼろし探偵は,少年画報に1957年から1961年まで連載されていた。少年と同じように新保の床屋でみていたのか,あるいは清藤の貸本屋で借りていたのかどうだったのか。吉永小百合が出ていたテレビのまぼろし探偵は1959年から1960年の放送で,これもなんとなく記憶にある。

月光仮面は,1958年から1959年までテレビで放映されていたが,こちらの印象のほうが強い。小学校の絵日記では,風呂敷をマントにして月光仮面ごっこをしている絵をかいていた。桑田次郎の少年クラブのマンガ版のほうは記憶にないが,サタンの爪の赤が印象的だった絵本は買ってもらったことがある。月光仮面といえば佐藤秀明君で,金沢大理(→北教大)の岡崎隆さんと一緒に原子核三者若手夏の学校で踊っていた。

エイトマンは,平井和正原作のスタンダードなSFの設定だった。1963年から1965年までの少年マガジンの方は見ていなかったかもしれないが,1963年から1964年の丸美屋ののりたま提供のテレビマンガのほうは欠かさずに見ていた。小学校のバス旅行の帰りにはエイトマンの歌で盛り上がっていた。エイトマンといえば深山良徳君で,これまた夏の学校でのエイトマンの踊りはシュレーディンガー音頭を圧倒していた。



2020年8月4日火曜日

月の飛ぶ村

三枝和子の「月の飛ぶ村(新潮社,1979)」を買ったのは,院生時代に購読していた朝日新聞の書評欄がきっかけだったと思う。SFの一種だと思ったからかもしれない。非常に密度の高い読書体験をすることができたので,それから三枝和子の書いたモノに注目するようになった。

あるとき,梅田の紀伊国屋書店か旭屋書店の書棚の上の方の段に「思いがけず風の蝶(冬樹社,1980)」を見つけた。その本はかなりのボリュームであったにもかかわらず,これは買わねばと思ったのも,別の書評の効果だったのかもしれない。その本によって,式子内親王の「玉のをよたえなはたえねなからへは 忍ふることのよはりもそする」と,京都の「糺ノ森」が自分の記憶にインプットされることになった。

なぜかこの本を抱えた自分が,研究室の後輩の横田晃敏君と一緒にいる記憶が残っている。


2020年8月3日月曜日

思いがけず風の蝶

「冬の蝶」という季語に引っかかったとき,もしかして「思いがけず冬の蝶」だったのか,そんな伏線が潜んでいたのか・・・と思ったが,なんのことはない「思いがけず風の蝶」でした。1980年に読んでからもう40年になる。

三枝和子が2003年に74歳で亡くなってから17年経過した。「思いがけず風の蝶」で検索してもほとんど情報が得られない。CiNiiで三枝和子を検索すると,駒沢大学の倉田容子さんの論文が3編みつかるだけだった。あとは,小谷野敦高桑法子さん(富山県の福野出身ではないか)相手に,三枝和子をディスっているtogetter,三枝和子をめぐる対話くらいしかない。

2020年8月2日日曜日

SIRモデルとK値(2)

SIRモデルとK値(1)からの続き

新規感染者数の累計に対する微分方程式において,$\beta(t)=\beta e^{-\alpha t} $と仮定すると,
$\dfrac{dJ}{dt} = \beta e^{-\alpha t}J$であり,その解は,$J = J_0 \exp [ \frac{\beta}{\alpha} (1 - e^{- \alpha t}) ]$ となる。

ゴンペルツ関数を $f_G(x) = \exp[ - e^{-x}]$と定義して,$ \frac{\beta}{\alpha}=e^{\alpha t_0}$とおくと,

$J = J_0 \exp [ e^{\alpha t_0} (1 - e^{- \alpha t}) ]  =  J_0 \exp [ e^{\alpha t_0}  - e^{- \alpha (t-t_0)}) ]$
$= J_1 \exp [- e^{- \alpha (t-t_0)}] = J_1 f_G(\alpha (t-t_0))$ ただし,$J_1 = J_0  \exp [ e^{\alpha t_0}]$ とおいた。

これから,$K(t)=1-J(t-\tau)/J(t) = 1-f_G(\alpha (t-\tau -t_0))/f_G(\alpha (t-t_0))$となり,
$K(t) = 1 - \exp[-(e^{\alpha \tau}-1) e^{-\alpha(t-t_0)}]= 1 - f_G(x_k)$とかける。
ただし,$x_k=\alpha (t - t_0 - \delta t),\ \delta t = \frac{1}{\alpha} \log (e^{\alpha t})$ である。

ゴンペルツ関数の微分は,$f'_G(x) = e^{-x} f_G(x)$ であるから,K値の微分は,
$K'(t) = -\alpha e^{-x_k} f_G(x_k)$ となる。つまり,$K(t)=f_G(x_k)=1/2$のとき,
$e^{-x_k}=\log2$が成り立ち,$K'(t) = -\alpha \frac{\log 2}{2}$となる(なお,このモデルにおいて$K'(t)$の絶対値が極大値をとるのは,$f_G(x_k)=1/e, x_k=0$のときである)。

中野モデルを数理的に解析した秋山に従えば,中野モデルでの減衰係数$k \ (0<k<1, 1-k \ll 1)$は  $ \alpha = -\log k $ に対応していた。
$\therefore K' =  \frac{\log 2}{2} \log k =  \frac{\log 2}{2} (k-1) = \frac{1}{2.88}\ (k-1)$
つまり,$k = 1 + 2.88K'$ という中野が導いた現象論的関係式が得られる。

2020年8月1日土曜日

SIRモデルとK値(1)

ゴンペルツ関数からの続き

(復習)
(1) 阪大の中野らは,新型コロナウイルス感染症が拡大する時期の指標としてK値を導入し,その勾配がある範囲で一定になることをみつけた(ここまではOK)。さらにこれが普遍的な現象であると主張した(これはどうよ)。
(2) 東工大の秋山は,中野のモデルを数理的に解析してK値の定性的な振る舞いがゴンペルツ関数で表現されることを導いた。さらに,K=0.5におけるK値の勾配の式が中野モデルと一致することを示した(これは大丈夫)。
(3) 京大基研の大西らは,感染者数の増大の単純な微分方程式で,係数を指数関数にとることにより,感染者数やK値がゴンペルツ関数で表現されることを示した(これも大丈夫)。さらに,各国の感染拡大期の感染者数がこの普遍的なゴンペルツ関数で表されるとした。

K値はその出発点が完全な現象論だったとしても,一定の背景があることが示された。ただし,その適用条件や特性を無視して性急に政策に適応することへの批判は多い。


感染症のSIRモデルは次の非線形連立微分方程式で表すことができる。ただし,人口Nの
集団における感受性保持者(Susceptible)をS(t),感染者(Infected)をI(t), 隔離者・回復者をR(t)として,S(t)+I(t)+R(t)=Nは一定とする。また,$\beta$を感染者1人1日当りの伝搬感染者数,$\gamma$を感染者の回復率(その逆数が平均感染期間)であるとすれば,

$\dfrac{dS}{dt} = -\beta \dfrac{S}{N} I$
$\dfrac{dI}{dt} = \beta \dfrac{S}{N} I - \gamma I$
$\dfrac{dR}{dt} = \gamma I$

初期条件として,感染者$I(0)$が非常に少ないところから感染が拡大する場合を考え,$I(0) \ll S(0)$とする。このとき$S/N \sim 1$であり,元の微分方程式系は次のように近似できる。

$\dfrac{dS}{dt} = -\beta I$
$\dfrac{dI}{dt} = (\beta - \gamma) I = -\gamma (1 -  R_0) I$
$\dfrac{dR}{dt} = \gamma I$

ここで,$R_0 \equiv \beta/\gamma$ は基本再生産数とよばれる定数であり,$1 < R_0$のとき感染者数は指数関数的に増大し,$1 > R_0$ならば感染者は減少する。

$\beta$が定数でなく時間の減少関数であれば感染増大が抑制される。これを表わすために,$\beta$を$\beta(t)$としたときの,$R_t \equiv \beta(t)/\gamma$を実効再生産数とよぶ。

$I(t)$は感染者数であり,回復者の分は減少していく。一方新規感染者数の累計を$J(t)$とすれば
これは,ある集団において単調増加して収束する。そこで,上記微分方程式から減少項
$\gamma I$を除いたものが,$J(t)$に対する微分方程式だと仮定する。
$\dfrac{dJ(t)}{dt} = \gamma R_t J(t) = \beta(t) J(t)$

このとき$\bar{R}$値,$L$値,$K$値を次のように定義する。なお,$\tau=7$であり,時間の単位は日とする。
$\bar{R}(t) = J(t)/J(t-\tau) > 1,\  L(t) = \log \bar{R}(t) > 0,\ K(t) = 1-\dfrac{1}{\bar{R}(t)} < 1$





2020年7月31日金曜日

女帝 小池百合子(2)

女帝 小池百合子(1)からの続き

斎藤美奈子森達也web掲示板談話第105回が,『女帝 小池百合子』を読んで という斉藤から森へのメッセージであった。二人とも1956年生まれで新潟県立新潟高校の同級生だったとか。

「この本を褒めた人は,(1)じつはきちんと読んでいない,(2)都知事選前の時流に流された(リベラル陣営に忖度した・選挙で彼女を落選させたかった),(3)そもそも本を読む力がない,(4)そもそも性差別主義者である,のどれかではないかと思います。」として,「女帝 小池百合子」と石井妙子を強く批判していた。

著者の石井妙子は「おそめ」の件で評価していたけれど,考えてみれば,自分では読んでおらず,松岡正剛や菅野完の情報でしか判断していなかった。立ち読みしたエジプトの下りでも微妙な違和感を感じたのだけれど,それより,小池百合子憎しの気分が優先していたのは事実なので,自分の場合は上の4項目がすべて当てはまりそうだ。

斎藤美奈子は,東京新聞のコラムがときおりtwitterに放流されてきて,ほとんど同意できる内容なので相対的に信頼できるようにも思う。斎藤美奈子の判断の方が正解に近いのかもしれない。

[1]『女帝 小池百合子』石井妙子(千浦僚,2020.7)
[2]小池百合子氏と『モダンガール論』(香山リカ,2020.7)
[4]小池百合子はモンスター?(斎藤美奈子,2020.8)
[7]『女帝 小池百合子』を読む(1)(2)(井戸まさえ,2021.1)


2020年7月30日木曜日

中干し

近所の田んぼの水が干されている。

奈良県農業研究開発センターの,水稲「ヒノヒカリ」をつくりこなすための7つのポイント,によれば,「3.水管理:登熟向上のために!中干しは必要な茎数を確保した後 に,軽くひび割れするぐらいまでで7日程度実施する(7/中〜下)」ということなので,ちょうど今がその時期のようだ。

今年は,稲の大害虫であるスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)が大発生していて,田んぼやその周辺には毒々しい赤い卵が目立つのだけれど,大丈夫なのだろうか。



写真:朝の散歩で撮影した近所の田んぼの様子(左 2020.7.28 / 右 2020.7.13)

2020年7月29日水曜日

ひまわり

もうすぐ梅雨が明けそうだが,列島の各地を線状降水帯の豪雨が襲い,コロナの第一波第二幕の波は人口密集地に達している。今年は冷夏の予想もあって,夏のひまわりの存在感はうすいのかもしれない。

 ひまわりというと金沢市立野田中学校のシンボルであった。

久しぶりにホームページをのぞいてみると,金沢子どもかがやき宣言と野田中学校の目指す学校像がいきなり出てきて,あれあれとなったが,ちゃんと生徒信条は残っていました。

<生徒信条>
一.いつも太陽にむかって咲く ひまわりのように 明るく正しく生きよう
一.たくましく生長する  ひまわりのように  雄々しく元気に伸びよう
一.大きな輪になって咲く ひまわりのように  みんな仲良く協力しよう

有側友雄先生というハンプティ=ダンブティに似た先生がいた。野田中の「ぬし」のような威厳をもった先生だった。生徒指導というか道徳教育の核となり校長先生を差し置いて存在感を発揮していた。全校集会などで悪童どもへにらみをきかせるわけだ。その有側先生は,我々1年生の習字の授業も担当していたが,その最初の授業のときに指名されて,教卓の上に掲げられている生徒信条を読むようにといわれた。

「一(いち) いつも・・・」といったところでストップがかかり,これは一(ひとつ)と読むのだ,と訂正された。生徒信条はクラスの朝礼で毎日発声していたような気もするが,毎朝間違っていたのかもしれない。

有側先生が学年全員の前で講話をすることが何回かあったが,その1回は非常に強く印象に残っている。君たちにとって,頭,体,心,で一番大切なのは何かという問いが投げ掛けられた。幼い中学生の自分は,人間は命あっての物種なので,「体」かなと思ったが,有側先生はそれが「心」であるということをはっきりと語った。そうだったのか,と衝撃を受けた。衝撃を受けるほうがおかしいような気もするが,まあそんなものなのである。



写真:ヒマワリ(2020.8.3撮影)

2020年7月28日火曜日

GPT-3

しばらく前から,GPT-3が話題になっていた。星暁雄さんの解説「革命かパンドラの箱か,新AIツールGPT-3の波紋」がわかりやすかったので要約してみる。GPT-3はサンフランシスコにある非営利組織のOpenAIが開発して2020年6月に公開したAIツールである。OpenAIは,オープンソースと親和性の高い安全な人工知能への道を探ることを目的としている。

GPT-3をひとことでいうと,英単語や短い文章をインプットすると,関連する「それらしい」テキストを自動生成するツールである。文章以外に,プログラムコードや楽譜を自動的に生成すこともできるため,大きな反響をよんでいる。

その仕組みは,"Language Models are Few-Shot Learners"という論文で報告されている。1兆語からなるきわめて巨大な例文集を元に,1750億種類の変数を持つ「言語モデル」に言葉と言葉の関連の度合いを記憶させておき,この「言語モデル」に対して「数種類の実例と課題文」を与えると,それらしい文章を出力するものである。すべては公開されていないが,APIによって短い例文で試してみることはできるようだ。フェイクニュースや差別的表現が簡単に作り出されることなどまだまだ課題は大きいのかもしれないが,汎用的なAIへの一つのステップ。

2020年7月27日月曜日

ゴンペルツ関数

K値再訪からの続き

K値という名の中野さんモデルが主張する振る舞いの根拠として,ゴンペルツ関数(Gompertz function)とよばれる二重指数関数について言及されているものがいくつか見られる。

東京工業大学の生命情報科学の秋山泰さんは,中野さんの提案があってまもなく「累積感染者数の変化に関する新たな指標「K 値」の利点と欠点について(2020.5.10)」で,中野さんのモデルの根拠につながる議論をしている。また,京大基礎物理学研究所の原子核理論の大西明さんのグループは,"Universality in COVID-19 spread in view of the Gompertz function (2020.6.18) "という論文をmedRxivに投稿している。これは,各国の新規感染者数がゴンペルツ関数でユニバーサルに表現できるというものだ。中野さんといい大西さんといい原子核分野の(実験と理論ではあるが)物理屋さんはなぜCOVID-19に引かれるのだろうか。あるいは,Qiitaでは@BMJrさんが「COVID-19 数理モデル 〜 SIR と Gompertz と K値の関係〜(2020.6.30)」という詳しい記事を書いている。

一方,東京海洋大学の勝川俊雄さんは「K値による予測を使うべきでない理由(2020.7.13)」で,ゴンペルツ関数を用いて新規感染者数を予測することに対し,① 現在始まりつつある第二波がゴンペルツ曲線に従うとは限らない,② 現在の限られたデータから,ゴンペルツ曲線のパラメータを推定しても精度は低い,という2つの理由で警告している。さらに,牧野さんが紹介していたのが「K値は擬似科学」・・・なかなか激しい。

例えゴンペルツ関数を持ってしても,牧野さんのいうように,K値(という名の中野モデル)をこの度の事象全域にあてはめることは無謀だと思うのだけれど(まあそうはいっていないのだろうが,だからオフセットを取り続けてグダグダになる),むやみに否定してもそれほど生産的ではない。識者の皆様には,上記あたりにも目を通した上で反論をガードしつつ,その政治・社会的な側面をギリギリと詰めて大阪に充満する維新のよどんだ空気を一掃してほしい。

2020年7月26日日曜日

8億年前の小惑星シャワー

大阪大学理学研究科の寺田健太郎さんが,ネイチャー・コミュニケーションズ に出した論文,"Asteroid shower on the Earth-Moon system immediately before the Cryogenian period revealed by KAGUYA" が話題になっていた。阪大のホームページに詳しい説明がある。

日本の月周回衛星のかぐやが撮影したデータから,直径20km以上のクレータ59個を調べてその周辺に存在する直径が0.1-1kmの微小クレーターのサイズ分布などから,形成年代を推定した結果,8個またはモデルによっては17個の形成年代が8億年前となった。これは偶然では考えられないため,この時期に破砕された小惑星のシャワーが月−地球軌道周辺に降り注いだと考えられるというものだ。

8億年前に破砕した小惑星は100km以上の直径を持ち,一部は地球型惑星や太陽に落下し,一部は小惑星帯に残り,さらに一部は地球近傍小惑星へと軌道進化したようだ。

どうやって形成年代測定するのかを調べてみると,東京大学の諸田智克さんの論文がたくさん出てきた。諸田さんは金沢生まれで金沢大学の地球科学でドクターをとっている。寺田さんのネイチャー論文の共著者にも諸田さんの名前があった。ファーストオーサは寺田さんだけれど,むしろ彼が研究の中心ではないのか。それにしては,東大には記事が出ていない。はやぶさのタッチダウンの話がでたところだからか。


図 月面クレータの形成年代分布(阪大ホームページより引用)


2020年7月25日土曜日

K値再訪

中野さんのK値から2ヶ月半

牧野淳一郎さんが中野貴志さんのK値について言及している。「K値による「予測」は,その数学的構造から必ず,対策しなくても早期に収束する,という楽観的な予測をだすものになっており,そのため対策が不要,事態は深刻ではない,と信じたいメディアや自治体によって取り上げられる,という構造になっているように思われるが,予測事態はこのためにつねに「早期収束する」としか予言できない,実際の予言能力をもたないものになっている」

まあそうだわな。K値はたんなる定義(新規陽性者数累計の1週間差分比率)なので,しょぼい定義だとしても(だれでも簡単に公開データから求められるという長所もある)それ自身に責任はない。問題は,中野さんがその当時の複数のデータをみて,K値の収束パターンは簡単な共通の関数形に落とし込めるとしたところにある。ちょっと考えれば無理筋とわかるのに。

中野君が京大物理の同級生だったという野尻美保子さんもしきりに警告している。ふりむかない中野君に業を煮やした野尻さんは,対抗して f. o. 値(fatal outcome projection) という量を提案した。これは新規陽性者数の年代別分布に死亡率の重みをかけたものなので,K値よりも役に立ちそうである。なんといっても下手な予測をしないところがよい。予測があるとすれば,これを見た人が感じる変動の時間スケールについての直感によるものなので,害は少ない。

K値は,新規陽性者数累計が増加するにつれて感度が悪くなるので,あまり役にたたないように思われる。確かにそのとおりなのであるが,実際にはこの度の日本の第二波というのか第一波の第二幕というのか,これを検知することはできているので,あまり馬鹿にしなくてもいいのにかわいそうだなとは思う。中野説への反論は,実際のデータで単純に収束しない例をあげればいいだけかしら。

図 欧米のK値(4/1-7/23@2020)

最近のデータでは,アメリカ,メキシコ,ブラジルが K=0.1あたりのグループを形成し,ヨーロッパは0.05以下に概ね収束している(最近微増気味)。英国は途中でWHOへの報告データが変更されたので負の値をとっていることに注意する。


図 アジアのK値(4/1-7/23@2020)

香港,東京,日本のK値が この3週間,K=0.05あたりからはじまって,K=0.2をこえる勢いで増加中である。中野さんのいうK値の単調な減衰は感染初期のある時期に見られるだけだ。

追伸:宮沢孝幸がtwitterで大阪のK値の推移というグラフを公開している。6/28に0.9あたりでスタートしているのだけれど,累積値の初期値をどこに取ってリセットしているのだろう。その前後の類似グラフをみると6/24ということなのか。よくわからないが非常に恣意的にみえる(カットオフ色々試したけど K=0.6 前後が3週間ほど続いて今に至るという答えしか出ない・・・)。


2020年7月24日金曜日

赤摂也

高校の数学の時間に,理数科の担任の松川一雄先生が,赤摂也の名前を出したことがある。たぶん,我々の先輩で東大の数学にすすんだ凄い数学者なんだというニュアンスだったと思うが,いつものように記憶はあいまいである。大学に入り理工書の棚を定期的にチェックするようになると培風館の赤白の数学全書のシリーズ本のトップに赤摂也の「集合論入門」を見かけるようになり,その名前はしっかりと定着したのだがその集合論の本は買わなかった。

この度,整列集合の比較定理をなるべく簡単に説明している資料がないかとネット空間をさまよっていたら,赤摂也の名前が出てきた。培風館の「集合論入門」はたいへんよいとあったので,どうしようか。調べてみると,赤摂也先生は昨年の11月に93歳で亡くなられたようだ。金沢市出身なのでたぶん間違いないはずだけれど,金沢一中との関係にふれた記事はない。

なお,松川一雄先生,楠禎一郎先生,谷口澄雄先生が連続して(金沢泉丘高校の理数科の担任の順ではないか)石川県立金沢西高等学校の校長を務められている。一代とんでその次には地学の竹守熈先生も。



写真:赤摂也先生の肖像写真(筑摩書房「現代数学概論」から引用)