2021年6月20日日曜日

教育データサイエンスセンター

文部科学省:青木栄一からの続き 

2021年の10月,国立教育政策研究所の下に教育データサイエンスセンターが設置される予定だ。定員が5名のごく小規模な組織である。その目的は,(1) 全国学力・学習状況調査のCBT(Computer Based Testing)化,(2) 教育データサイエンスの普及活動,(3) 教育データ利活用に関わる検討 などとなっている。

教育ビッグデータとは,児童・生徒・学生の学習履歴や行動履歴を広範に収集分析して,個人の学習活動にフィードバックするとともに,教育行政の改善につなげよういうものである。その大きな流れにおける文部科学省側の動きの一つが教育データサイエンスセンターだろう。

これについても,青木栄一さんが「文部科学省」の中で注意を促している。すなわち,文部科学省に対する間接統治の文脈で 268pに,

「間接統治」の「旨味」は,官邸の主である首相が代替わりしても忘れられることはないだろう。むしろ経産省以外の他官庁,その他の政治主体も教育・学術・科学技術の「間接統治」を目論む流れが強まっていくだろう。総務省は学校でのICT活用の主導権を経産省から取り戻そうとするかもしれないし,財務省は効率的(安上がり)な教育政策をさらに実現するかもしれない。また,学校の抱える多種多様で大量の個人データは,マイナンバーを通じた国民管理にはうってつけである。例えば,生徒個人の成績データや問題行動データ(暴力・暴言など)を犯罪抑止に使おうとすることは十分ありえる

権力の源泉は,情報ひと(人事)とかね(予算)である。情報を持つものが権力を掌握し,ひととかねを通じて支配構造を貫徹する。ビッグデータはその情報の部分の鍵なのだ。すでに張り巡らされた監視カメラとネットを流通するデータは補足されているが,GIGAスクール構想によって学校の中にもこの神経網が張り巡らされることになる。

2021年6月19日土曜日

文部科学省:青木栄一

 中公新書2635の「文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術」を読了した。著者の青木栄一(1973-)さんは,東北大学教育学部教授で前職は国立政策研究所の研究員(2003-2010)だ。

「文部科学省」の目次は次のようになっている。

序 章 「三流官庁」論を超えて
第1章 組織の解剖−統合は何をもたらしたか
   1 幅広い業務,最小の人員
   2 組織構成から見る文部・科技のバランス
   3 揺らぐ機関哲学
第2章 職員たちの実像
   1 文科官僚−特急券をもつ者たち
   2 キャリアパスは変化したか
   3 融合は進んだか−幹部人事と出向人事から読み解く
第3章 文科省予算はなぜ減り続けるのか
   1 67万人の教員人件費,3万校の学校施設建築費
   2 高校無償化−政治に翻弄される4000億円予算
   3 国立大学の財政−年マイナス1%の削減
第4章 世界トップレベルの学力を維持するために
   1 ゆとり教育から学力向上へ
   2 教員の多忙化−過労死ライン6割超の衝撃
   3 教育委員会は諸悪の根源か?
第5章 失われる大学の人材育成機能
   1 高大接続−誰のための入試改革か
   2 大学改革−なんのためのグローバル化か
   3 先細る日本の学術・科学技術人材
終 章 日本の教育・学術・科学技術のゆくえ
2001年に文部省と科学技術庁が統合されて発足した,定員数が最も小さな文部科学省(定員2150人)の組織,人事,予算を説明した後,その政策について初等中等教育と高等教育にそれぞれ焦点をあてて非常にバランスよく説明している。自分の見聞・体験してきた分野とほぼ重なるので非常に読みやすく,飲み込みやすかった。

青木さんの専門分野は,教育行政学,地方自治論,公共政策論であり,現在の研究テーマは,官僚制のパネルデータ分析,教育と政治の関係,教員の労働時間とワークライフバランスなどであるため,第4章のゆとり教育の失敗や教員の多忙化のあたりが丁寧に分析されていた。

ただ,文部科学行政を牛耳ってきた自民党清和会の最近の極右的な傾向を反映した教科書検定の結果としての現状(従軍慰安婦記述など)や,その観点からの教員免許更新の意味,あるいは道徳教育の復活など,文科省がかかえる復古的な動きについてはほとんどスルーされているような気がした。

一方,第5章の大学の危機について。高等教育は著者の直接の専門分野ではないけれど,実体験に裏打ちされたリアリティのある記述が,直近の様々な事態までを含んで語られており,とても共感できるのであった。例えば,221ページ
まず政治家は危機を煽り改革を叫び,制度改革の機運を醸成する。いつの間にか既存制度の改革自体が目的となり,冷静な政策論議が忘れられる。企業は,こうした醸成された状況にキャッチアップし,受託を見据えた動きをする。ここに有識者が影に日向に関わっていく。
例としては,大学入試改革が,世代交代した新自由主義的傾向の強い文教族によって,民間委託の名のもとに売り払われようとしていることが挙げられている。そう,GIGAスクール構想などのEdTechの動きについてもまったく同様なのだった。そしてその端緒となる「インターネットの教育利用」に自らの手を貸していた私なのだった。

さらに,文科省の背後にいる,官邸,他省庁,政治家,財界の「間接統治」によってこうした政策(ロジスティクス軽視,前線依存)が進められていることが明らかにされていくが,これを防ぐものがいない。例えば,266ページ
不幸なことに,文科省のこうした思考と姿勢に注意を促す外部主体がいない。教職員組合は本来,文科省を叱咤激励するべき存在だが組織率が低下し弱体化してしまった。教育学者は「エビデンスの罠」に囚われてしまい迷走している。多くの教育学者はエビデンスが政治家や各省庁に都合よく使われる危険性に気づかず,エビデンス重視の流れに無批判に乗ってしまい,その結果,文科省の挙証責任ばかりが求められるようになった。教育メディアは改革の紹介記事を特集するが調査報道は不十分で,多くは「提灯記事」の域を超えない。他方,改革に対する批判の多くが感情的で,何らかの学術的知見に裏付けられたものではない。
最後に,これを打開するための著者のアイディアとして,シンクタンクの活動を呼びかけている。詳細は,本を買って読んでください。


写真:中公新書2635 文部科学省 青木栄一(amazonより書影引用)


2021年6月18日金曜日

コロナワクチン接種状況(3)

 コロナワクチン接種状況(2)からの続き

6/17に,6/20まで出されていた緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の継続・変更・解除についての菅首相の記者会見があった。相変わらず,リスクコミュニケーションに失敗しているのだが,気になったのがワクチン接種100万回を達成したという部分

もし,首相官邸の新型コロナワクチンについてのデータが正しくて,それ以外の接種統計情報がないのであれば,菅首相の説明は誤っている。しかし,だれもこれを指摘していない。いや,リベラシオンとラジオ・フランスの特派員のKaryn Nishimuraさんがtwitterでつぶやいていた。その結果,当日の資料が公開された。


図 首相記者会見でのワクチン接種回数資料(2021.6.17)

6/16水と6/9水の差分が728万回なので,1日平均104万回に達したと書いてあるし,菅首相は自信満々で説明していた。 うーん,ホントなの? 政府のデータが,厚生労働省の新型コロナワクチンの接種実績(2/17-4/9=159万回)と首相官邸のこれまでのワクチン総接種回数だけであれば,首相記者会見で出された数字はおかしいように思われる。それ以外の情報が加わっていたり情報が加工されているのであれば,その限りではない

そもそも,注釈にある「土日は接種がないので金曜日分・月曜日分をつないで補完」とあるが,土日の情報が欠けているのは医療関係従事者等分であり,これも月曜分として,土日を含めた数字が計上されているため,注釈のような補完をすればダブルカウンティングになってしまう。

ただし,6/9-6/16の期間ではこの影響は高々36万回程度であって,大きな要因ではない。6/17付の政府公表データが正しいのであれば,新型コロナワクチン総接種回数は,6/9で2093万回(2038万回),6/16で2660万回(2766万回)なので,その差は567万回(728万回)となる(カッコ内は記者会見資料)。先程の本当は正しくない補完の効果を加えても,603万回にしかならないので,残念ながら菅首相のいう1日100万回には惜しくも到達しないのであった。

P. S. コロナワクチン接種状況(2)で指摘した,まだ加えられていない遡及入力分を評価しているから平均100万回/日突破は正しいという説があった。あるいはそうなのかも知れないので,来週もう一度確認してみることにしよう。

2021年6月17日木曜日

イベント制限

なにがなんでも オリンピックに向かってまっしぐらに進んでいる今日このごろ。

6月20日迄の緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置は解除の方向となり,変更されたものの期限は7月11日迄である。

緊急事態宣言10都道府県{北海道,東京,愛知,京都,大阪,兵庫,岡山,広島,福岡沖縄}のうち,沖縄は継続,岡山と広島は解除,その他下線のところは蔓延防止措置に移行。

蔓延防止等重点措置5県{埼玉,千葉,神奈川,岐阜,三重}の内,岐阜と三重は解除,その他は継続。したがって,蔓延防止等重点措置は合計10都道府県となる。

イベント制限については,緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置が出されている都道府県に対して,現在の定員50%以内かつ上限5000人を解除後は定員50%以内かつ上限10000人に変更し,1ヶ月後程度で問題がなければ,現在のその他地域と同様に,5000人以下か定員50%以内のいずれか大きい方に変更する予定である。

7月23日のオリンピック開始時には,定員の50%がOKになるということだ。関係者が口をそろえて今回のイベント制限変更措置は五輪とは関係ないというのでますます怪しさが露呈している。わかりにくいので,Mathematicaで現在と今後の制限のようすを図示してみる。

現在: g1 = RegionPlot[ {y < 0.5 x && y < 5, y <= 0.5 x || y <= 5}, {x, 0, 40}, {y, 0, 20}, PlotLegends -> "Expressions"]

今後: g2 = RegionPlot[ { y < 0.5 x && y < 10, y <= 0.5 x || y <= 5}, {x, 0, 40}, {y, 0, 20}, PlotLegends -> "Expressions"]



図 イベント制限(左6/20まで,右6/21から,単位は千人)

P. S. 日本経済新聞の朝刊記事の内容をまとめると上のようになったのだけれど,6月17日に開催された,新型コロナウイルス感染症対策本部(第 69 回) によると微妙に解釈が間違っているのかもしれない。その場合,その他地域でも上限の1万人が存在していることになるのだけれど,ちょっと自信がない。どうして,こんなにわかりにくい文書を作れるの?

2021年6月16日水曜日

辻村史朗

NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で,「つくることが,生きること 陶芸家・辻村史朗」をやっていた。就寝の時間だったのでテレビを消して寝ようと思ったのだけれど,「奈良」というキーワードに引っかかって最後までみてしまった。

奈良の山奥(奈良市水間=みま)に自宅と窯があって陶芸を営んでいるが,自然の中で生活している夫婦の笑顔が素晴らしい。辻村史朗の略歴はこれが詳しい。京都のたち吉のウェブサイトにも紹介のショートムービーがある。

海外では高く評価されていて,Wikipediaの英語版はあるが,日本語版がない。細川護熙の陶芸の師匠であり,例年日本のデパートなどで個展を続けている。オンラインストアを覗いてみると,55万円とかだったのでちょっと手が出ません。


写真:陶塚となった水間の山(阪急百貨店から引用)

[1]陶芸家・辻村史朗さんからいただいた「宝物」(永松仁美)


2021年6月15日火曜日

要塞地帯法

 要塞地帯法(1899-1945)は,戦前の大日本帝国憲法(1889-1947)下に制定された法律である。衆議院を通過し,参議院で審議中の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案土地規制法案)」との関連が指摘されている。

要は,大日本帝国時代の法律である要塞地帯法のほうが,現在提出されている基地周辺土地規制法案より,法律としての禁止事項の構成要件が明確になっているという皮肉な事態になっているということだ。政府与党参考人にまで現行法案の重大な問題点が指摘されても,カエルの面に水の自民党,公明党,日本維新の会なのであった。

この法案の源泉には,石原慎太郎−野田佳彦による尖閣列島国有化が影を落としているし,基地や原発への反対運動を弾圧するためにフルに活用されそうな勢いであり,基本的人権に対する深刻な脅威となっている。

P. S. 6/15 国会閉幕直前に参議院を通過成立。

[1]「基地周辺土地規制法」について(内藤功)

[2]取り返しのつかない土地規制法案(馬奈木厳太郎)

[3]要塞地帯法の成立と治安体制(Ⅰ)(遠藤芳信)

2021年6月14日月曜日

ドローン

 周回遅れの三乗くらいだが,NHKで国産ドローンが重要だというニュースをやっていた。ドローンという言葉を最初に耳にしたのはTEDトークだった。2012年から2013年にかけてだと思う。探してみたけれど,どうもそれらしいものが見当たらない。その後まもなく,ドローンが話題になって普及し始めたと思ったら,2015年4月に首相官邸無人機墜落事件が発生して,日本ではあっというまに冷水が浴びせかけられた。

YouTubeとドローンの相性もよかったので,新型コロナ感染症がはびこる前までは,ガジェット系のYouTuberがドローンをとりあげることも多かった。そんなわけで,小型ドローンのトップメーカで世界シェアの76%を占める中国のDJIもなじみ深い会社となった。DJIはドローンだけでなく,動画カメラのジンバルや小型スタビライザー付カメラ,教育用ロボットなど魅力的な製品を送り出している。

中国の急速な技術進化が,このようにハイテク分野に及ぶにいたって,アメリカは中国技術の排除に動き出した。日本も喜んでこれにしっぽを振っている。5G通信インフラからのファーウェイの排除から始まったこの動きはどこまで突き進むのだろうか。多少あがいても中国の技術優位の傾向はかわらないだろう。なにせ,もう月面探査機からのサンプルリターン火星の表面探査に成功するところまで来ているのだから。

そう,光瀬龍の宇宙史シリーズでは,宇宙空間における活動の主役は中国系とアフリカ系の人々だった。


写真:DJI mini2 (DJIから引用)

2021年6月13日日曜日

プリズナーNo. 6

 プリズナー No. 6は1967年から1968年にイギリスで制作・放映されたテレビ番組であり,1969年の3月から6月にかけてNHKの総合テレビで放映された。当時高校1年生。SFドラマだと思って毎週わくわくしながらみていたのだけれど,最終回までたどり着いた記憶がない。途中で挫折したのかもしれない。あるいはストーリーがわからないまま終わったので印象が霧の中なのか。

トマス・M・ディッシュ(1940-2008)によるノベライズがハヤカワ文庫SFの1冊として出たときには飛びついたのは,やはりそのTVドラマのほうが顛末が気になっていたためだ。いや,ドラマの主人公の諜報部員であるNo. 6が閉じこめられていた村の No. 1 が No. 6自分自身だったという結論はどこかでみかけた。もろにインナースペースSFだった。

最近,YouTube上に過去の17回の英語版をみつけ,初回をみたところ,意外なことに気がついた。プリズナー No. 6の主演・企画・(監督)はパトリック・マクグーハン(1928-2009)だ。ドラマ中でNo. 2から監視されていたプリズナー No. 6 の生年月日1928年3月19日というのは,演じている現実のマクグーハンの生年月日に他ならないのだった。

当時のドラマとしては最先端の科学技術考証をしているので,いまみても色あせていない。村に張り巡らされた情報伝達システム,監視システム,白い球やヘリコプターは,現代のインターネット,監視カメラとドローンにそのまま置き換えることができる。


写真:Patrik McGoohan as Prisoner No. 6(Wikipediaより引用)

2021年6月12日土曜日

東京オリンピック(1)

東京オリンピック1964のときには,小学5年生だったので, オリンピックに対してはそれなりに刷り込まれたイメージがある。10月1日の開会式は,晴の確率が高いということで選ばれたが,金沢の家からみた庭の空も晴れていたような気がする。テレビでみた開会式はカラーだったのだろうか?

泉野小学校の各教室の掲示板にはメダル星取り表が配られた。金銀銅メダルのシールを種目別に貼っていくのがクラスの日課になっていた。メダルの結果を知るために4年生の教室に偵察にいったところ,まきびしならぬ押しピンで退散させられた。当時履いていたズックはすぐボロボロになるので,ほぼ裸足状態で校内を走り回っていたからだ。

当時,廊下のささくれが足の裏にささって痛みが続いていたところ,母が夜中に焼いた針でこれを取り除いてくれた。親心のありがたさが身にしみた。

近代オリンピックが,フランスのクーベルタンの提唱によって1896年にアテネで始まってから125年になり,その歪みがこのコロナ禍によって可視化されている。特に,IOCに巣くういわゆる五輪貴族と商業主義の弊害だ。そして,国内でも人材派遣のパソナや電通や大手ゼネコンやITベンダーと中抜きのシステムによって,税金がボロボロに食い荒らされている。

100年前の1920年アントワープオリンピックは,第一次世界大戦とスペイン風邪の後の大会として今回の東京2020と比較されることが多いが,開会式が4月20日,閉会式が9月12日,種目に綱引きがある時代だった。そして,多くの医療関係者や市民の反対にもかかわらず,東京2020は強行されそうだ。

2021年6月11日金曜日

コロナワクチン接種状況(2)

 コロナワクチン接種状況(1)からの続き

自衛隊が東京と大阪で運営する大規模接種センターが現段階で予約が2割とか3割しか満たされていないために,全国からの接種を可能にするらしい。おい,人流はどうなった。大阪維新もそうだけれど,安倍−菅政権を通して十分に吟味検討されていない政策が,整合性も反省もなくいきあたりばったりに積み重ねられている。アジャイル政策開発といえばもっともらしくごまかせるのかな。

さて,証拠に基づく政策づくり(EBPM)とはほど遠い現状で,重要な社会統計データの質や信頼性についても不審な点が多々観測される。コロナワクチンの接種回数統計もその一つかもしれない。前回に続いて,医療関係従事者と高齢者の接種回数をプロットしてみた。一日あたりの接種回数100万回の目標にはほぼ順調に接近しているように見える。ただし,菅首相が100万回に達したと言及したのは嘘であり,高齢者分だけに限ればまだ60万人程度の水準である。

図1 ワクチン接種状況(2021.6.10まで)

高齢者向けワクチン接種統計はワクチン記録システム(VRS)によって集計されているようだが,いまだに1ヶ月以上過去のデータが更新され続けている。つまり,首相官邸のワクチン接種回数データは,数日の遅れはあってもそれより過去のデータは変化しないというものではなくて,毎回の更新時に全過去データへの修正が行われるということだ(医療関係従事者のほうはそうなっておらず過去分は確定した状態で更新される)。

善意で解釈すれば,VRSの導入がまだ続いていて,利用できるようになった会場での遡及入力が行われているということなのかもしれないが,それにしても時系列統計としてどうなのよという感じである。


図2 6/10時点の接種回数と6/9時点からの遡及差分(対数軸)

2021年6月10日木曜日

オーケストラ連盟

YouTubeのバイオリンはじめちゃんねるをみていたら,日本にはプロオーケストラが25しかないということを知った。たったそれだけなのだ。公益社団法人の日本オーケストラ連盟の正会員として25のプロオーケストラが登録されている。

札幌交響楽団, 仙台フィルハーモニー管弦楽団, 山形交響楽団, 群馬交響楽団, NHK交響楽団, 新日本フィルハーモニー交響楽団, 東京交響楽団, 東京シティ・フィルハーモニ ッ ク管弦楽団, 東京都交響楽団, 東京ニューシティ管弦楽団, 東京フィルハーモニー交響楽団, 日本フィルハーモニー交響楽団, 読売日本交響楽団, 神奈川フィルハーモニー管弦楽団, オーケストラ・アンサンブル金沢, セントラル愛知交響楽団, 名古屋フィルハーモニー交響楽団, 京都市交響楽団, 大阪交響楽団, 大阪フィルハーモニー交響楽団, 関西フィルハーモニー管弦楽団, 日本センチュリー交響楽団, 兵庫芸術文化センター管弦楽団, 広島交響楽団, 九州交響楽団

なお,準会員としては次の13オーケストラが登録されている。

千葉交響楽団, 藝大フィルハーモニア管弦楽団, 東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団, 富士山静岡交響楽団, 中部フィルハーモニー交響楽団, 京都フィルハーモニー室内合奏団, アマービレフィルハーモニー管弦楽団(アマービレ楽器), ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団(大阪音楽大学), テレマン室内オーケストラ, 奈良フィルハーモニー管弦楽団, 岡山フィルハーモニック管弦楽団, 瀬戸フィルハーモニー交響楽団, 長崎OMURA室内合奏団

また,公益社団法人の日本アマチュアオーケストラ連盟に所属しているアマチュアオーケストラは134ある。もちろんこれ以外にも多くのアマチュアオーケストラが存在している。

コロナ禍で,多くの芸術・芸能関係者はたいへんな状況にあると思われるが,上記のプロオーケストラのコロナ禍前の活動状況が報告されている。2019年のデータから,楽員+職員一人当たりの収入と一公演あたりの収入による散布図を求めてみた。

N響と読響と都響が飛び抜けているが,オーケストラアンサンブル金沢も日フィルと同程度の上位集団に属していた。

図 プロオーケストラの 一人当たり収入 (x) 公演当たり収入 (y)(単位は千円)

地方自治体からの支援を受けている団体は19団体あるが,大阪の各団体への支援額の低さは際立っている。

2021年6月9日水曜日

WWDC21

 アップルの開発者カンファレンスWWDC(World Wide Developers Conference)がWWDC21として6/7から開催されている。例年,奈良盆地のヒノヒカリやキヌヒカリの田植えの時期に重なるのだった。日本時間では6/8の早朝深夜であり,午後にキーノートの録画を途中まで見たけれど頭に入ってこなくて寝てしまった。

WWDCはそもそもmacOSやiOS/iPadOSのソフトウェア開発のためのカンファレンスなので,新製品発表会ではない。ところが,昨年のM1アップルシリコン発表のインパクトが強すぎたため,今年もM1Xにからめてなんらかのハードウェア新製品の発表があるのではとの期待が過熱していた。

残念ながら,iOS15,iPadOS15,macOS Monteley などOSのマイナーレビジョンアップの話で終始したため,ネット上では残念感が満ちている。その中にもアピールポイントを探そうと努力しているようだが,Apple信者以外にはきびしいのかもしれない。

FaceTimeもMemojiも使わないし,FocusもNotificationもピンと来ない。空間オーディオとロスレスといわれても AirPods Pro も AirPods Pro MAXも持っていない。売り上げはあがっているはずの日本では,地図の更新もWalletへの身分証明書IDのとりこみもLiveTextも当面無関係である。中国語には対応しているのに・・・。

日本経済新聞紙面のトップ記事は,プライバシーの保護であり。iCloud+と合わせて,これは地味だけれど意味があるのかもしれない。あとは,iPadのSwift Playgroundがアプリ開発にまで対応できるということで,Macなしの開発サイクルが実現されるとどうなるのか。

少し興味があったのは,Universal ControlやMacへのAirPlayで手元のMacBook Air M1でiPad Pro (11" 2nd gen) が操作できるとsidecarよりは少しましかもしれない。AutomatorがShortcutsになるようで,ますます,iPadとMacの融合が進んでいる。この先の世界には何がくるのだろう。

2021年6月8日火曜日

本土決戦

76年前の1945年6月8日(金)の最高戦争指導会議御前会議)において,「今後採ルべキ戦争指導ノ基本大綱」(国立公文書館アジア歴史資料センター)により,大東亜戦争を継続し本土決戦にそなえることが決定された。「今後採ルべキ戦争指導ノ大綱(基本のないもの)」はそれまでに3回(1942.3.7,1943.9.30,1944.8.19)策定されており,それらに続くものだ。

今後採ルベキ戦争指導ノ基本大綱

   方  針
七生盡忠ノ信念ヲ源力トシ地ノ利人ノ和ヲ以テ飽ク迄戦争ヲ完遂シ以
テ國體ヲ護持シ楽土ヲ保衛シ征戦目的ノ達成ヲ期ス

   要  領
一、速ヤカニ皇土戦場態勢ヲ強化シ皇軍ノ主戦力ヲ之ニ集中ス
 爾他ノ彊域ニ於ケル戦力ノ配置ハ我ガ實力ヲ勘案シ主敵米ニ對スル
 戦争ノ遂行ヲ主眼トシ兼ネテ北邊ノ情勢急變ヲ考慮スルモノトス
ニ、世界情勢變轉ノ機微ニ投ジ對外諸施策特ニ對「ソ」對支施策ノ活
 發強力ナル實行ヲ期シ以テ戦争遂行ヲ有利ナラシム
三、國内ニ於テハ挙國一致皇土決戦ニ即應シ得ル如ク國民戦争ノ本質
 ニ徹スル諸般ノ態勢ヲ整備ス、就中國民義勇隊ノ組織ヲ中軸トシ益
 々全國民ノ團結ヲ鞏化シ愈々戦意ヲ昂揚シ物的國力ノ充實特ニ食糧
 ノ確保竝特定兵器ノ生産ニ國家施策ノ重點ヲ指向ス
四、本大綱ニ基ク實行方策ハ夫々擔任ニ應ジ具體的ニ企畫シ速急ニ之
 ガ實現ヲ期ス
(注:国立公文書館アジア歴史資料センターの画像から文字起し,正確性に欠く)

東京オリンピック・パラリンピック競技大会と相似形の方針の下,灼熱の8月を迎えようとしている。連合国軍による日本本土上陸作戦(ダウンフォール作戦)には,オリンピック作戦というのがあるのだけれど,その名前の由来はなんなのだろう。

2021年6月7日月曜日

n番目の素数

 $n$番目の素数,$p(n)$を与える式があることを初めて知った。Mathematicaでは,Prime[] という関数があり,10^12番目までを15秒で計算してくれる。

In[1]:= Table[Timing[Prime[10^k]], {k, 1, 12}]

Out[1]= {{0.000014, 29}, {5.*10^-6, 541}, {4.*10^-6, 7919}, {0.000238, 104729}, {6.*10^-6, 1299709}, {3.*10^-6, 15485863}, {3.*10^-6, 179424673}, {3.*10^-6, 2038074743}, {4.*10^-6,22801763489}, {3.*10^-6, 252097800623}, {2.41945,2760727302517}, {15.5547, 29996224275833}}

 その$p(n)$の公式は,1964年にWillansが与えたものである。まず準備として,1から$n$までの自然数の集合に含まれる素数の個数を与える関数を $\Phi(n)$として以下で定義する。ただし,$\lfloor x \rfloor$ はfloor関数(ガウス関数)であり,xを越えない最大の整数を与えるものである。

$\displaystyle \Phi(n) = \sum_{k=1}^m \lfloor \cos^2{\dfrac{(k-1)!+1}{k}\pi} \rfloor -1$

例えば,$\Phi(1)=0, \Phi(2)=1, \Phi(3)=2, \Phi(4)=2, \Phi(5)=3, \Phi(6)=3, \Phi(7)=4 $である。この式が成り立つのはウィルソンの定理を用いているからだ。$k$ が素数ならば $(k − 1)! +1 ≡ 0 \ (\rm{mod}\ k)$ が成り立つというものであり,素数に対しては$\lfloor \cos^2 \rfloor$の項が1,それ以外では0となるため,これを加え合わせたものが素数の数に対応する(1は素数でないために取り除いている)。

次に,これを用いて,$n$番目の素数$p(n)$を与える式が次のようになる。

$\displaystyle p(n) = 1 + \sum_{m=1}^{2^n} \lfloor \Bigl( \dfrac{n}{1+\Phi(m)}\Bigr)^{\frac{1}{n}}\rfloor $

ここで,floor関数の値は,$m$までの素数の数 $< n$ならば1, $m$までの素数の数 $\ge n$ならば0である。つまりこれは1から$m$までの自然数の集合における素数カウンターの働きをすることから,与式により$p(n)$が得られることになる。

なお,$m$を1から$2^n$までとしているのは,ベルトランの仮説(任意の自然数 $n$ に対して,$n < m \le 2n$ を満たす素数 $m$ が存在する)より,$n$個の素数を含む十分大きな範囲としているためである。この仮説は高校生時代のエルデシュによって初等的な証明がされたといういわくつきのものだ。$2^n$は$n=10^4$程度の範囲なら$10n$で置き換えられる。

コンパクトな式ではあるが,実際にMathematicaに落とし込んで数値計算してみると,$2^n$が効くので,p(11)で23秒,p(12)で195秒という悲惨な結果となるのであった。$\Phi(n)$をあらかじめ配列にいれて,$10n$を用いれば,$p(1000)$が15秒で実行できる。

2021年6月6日日曜日

ゼロの焦点

録画されていた 松本清張ゼロの焦点犬童一心監督,2009年)をみた。戦後,昭和32年の金沢や能登が舞台になっていて,当時の街の雰囲気がていねいに作られていた。金沢駅の構内アナウンスでは「0番線(七尾線)ホーム」が出ており,昔のホームの雰囲気が彷彿とされた。

雪の降る金沢市内の浅野川沿いの雰囲気,古い町並みと鉄製の広告看板,雪まじりの道のあるきにくさ,市電の4番線で野町や白菊町の工場に向かう様子,金沢弁の使い方など丁寧に描写されている。金沢市長選の婦人候補の陣営で支援者が歌う金沢市民の歌(昭和24年制定)が特に良かった。

ストーリーは,社会派推理作家の松本清張の特徴がはっきりとして,その後のサスペンス劇場の断崖クライマックスの嚆矢となるものだった。広末涼子,中谷美紀,木村多江がくすんだ北陸の冬景色の中に際立った色彩を放っていた。

能登金剛の巌門は小学校4年か5年の修学旅行でも定番のルートになっていたが,旧作のゼロの焦点(野村芳太郎監督,1961年,久我美子−高千穂ひづる−有馬稲子)では,巌門から15km北のヤセの断崖が舞台になっている。今回もそうだったのか。

アマゾンのこのレビューでは,映画の脚本上の違和感がいくつか指摘されており,概ね同感である。なお,金沢市の歌には他に金沢市歌(1923年)と金沢市民憲章の歌(1980年)がある。


写真:ヤセの断崖(能登 島宿せがわ から引用)

2021年6月5日土曜日

第1回ワクチン接種

 4月5日に予約したコロナワクチンの第1回接種の日がやってきた。14:30からの30分ということで,15分前に会場の天理市文化センターに到着した。

入口でスタッフによる検温チェックがあって,エレベーターで3Fの受付に誘導された。受付前の椅子に座って待つように指示され,ワクチン接種券と問診票を準備して待っているとすぐに受付に案内された。何ももたずに来ていたおばあさんはどうなったのだろう。

受付に書類を提出すると再度手首で検温された。36.4℃。身分証明書(運転免許証)で本人確認した後,50番の番号札を渡され,3Fのホールで待つようにということだった。

3Fの中ホールにはほとんど人が滞留しておらず,呼び出しがあるまで河野太郎がグダグダ話しているビデオを見せられていた。2-3分で番号が呼び出されて,1Fの接種会場に行くようにということでエレベータ(乗員を4人までに制限)に載せられた。要所要所にスタッフがふんだんに配置されていて,混乱なくスムーズな誘導が行われていた。

1Fの接種会場前の椅子で再び待つようにということで,しばらく待っていると番号が呼び出された。番号札の順番には特に意味がなく,たぶん30分で40-50人の想定になっているような気がした。接種ブースが6箇所設けられているが,今日実際に使われていたのは2箇所だけだった。

ブースの前に1人,2人待たされるが,すぐに呼び出されて,問診票に基づく確認とワクチン接種へと進んだ。注射器は評判の悪い2mLのものではなく普通の1mLのものに希釈されたファイザーのRNAワクチンが0.3mL入ったものだ。

14:30に接種が完了して荷物とシャツを回収すると,接種完了の証明書が貼られた接種券が返却されて,接種後の注意事項と15分の観察時刻が示された紙をもらって,1Fの観察スペースで待つことになる。30人の観察スペースが15分で1回転するので,毎分2人くらいの速度で接種が進んでいる計算だ。4時間で500人といったところだろうか。

ということで,到着14:15から終了14:45までほぼ30分のコースだった。天理市は並河市長が賢いので,現時点の高齢者接種率は和歌山県と同レベルの30%越えの水準である。さらに,市の判断で社会の基礎的な活動を支える優先職域(学校,幼稚園・保育所,学童保育,福祉施設,警察署など)の全職員(居住地を問わず)の集団接種を計画しているようだ。


写真:天理市文化センター(撮影 2021.6.3)

2021年6月4日金曜日

オリンピック憲章

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会(7/23-8/8,8/24-9/5)まで50日を切った。新型コロナ感染症が終息しておらず,変異種によるさらなる感染拡大が強く懸念されるこの時期に,陽性者検査数でもコロナワクチン接種率でも世界にはるかに遅れを取っているこの日本で,なぜオリンピックの開会に固執するのかという多くの国民や医療関係従事者の疑問に,責任者たち(日本政府組織委員会国際オリンピック委員会)は誰もまともに答えようとはしていない。

新型インフルエンザ等対策推進会議(尾身議長)の基本的対処方針分科会の尾身茂会長(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)が,「本来は,パンデミックの中で開催するということが普通でない。何のために開催するのか明確なストーリーとリスクの最小化をパッケージで話さないと,一般の人は協力しようと思わない」といいだした。

というわけで,そもそもオリンピックの理念は何か,オリンピック憲章を調べてみた。ところが,想像していた理念をうたう十七条憲法的なものではなく,IOC権利関係や組織に関するガチガチの規程だった。理念的な部分は,いちおうオリンピズムの基本原則として挙げられているが,スポーツ至上主義的空気のただよう なんだかなぁ の内容だった。そもそもこの状況でのオリンピック実施強行は,普遍的で根本的な生命倫理規範を無視するものじゃないのか。

1 オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め,バランスよく結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化,教育と融合させ,生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び,良い模範であることの教育的価値,社会的な責任,さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする

2 オリンピズムの目的は,人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために,人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。

3 オリンピック・ムーブメントは,オリンピズムの価値に鼓舞された個人と団体による,協調の取れた組織的,普遍的,恒久的活動である。その活動を推し進めるのは最高機関のIOCである。活動は5大陸にまたがり,偉大なスポーツの祭典,オリンピック競技大会に世界中の選手を集めるとき,頂点に達する。そのシンボルは5つの結び合う輪である。

4 スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく,オリンピック精神に基づき,スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては友情,連帯,フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。

5 オリンピック・ムーブメントにおけるスポーツ団体は,スポーツが社会の枠組みの中で営まれることを理解し,政治的に中立でなければならない。スポーツ団体は自律の権利と義務を持つ。自律には競技規則を自由に定め管理すること,自身の組織の構成とガバナンスについて決定すること,外部からのいかなる影響も受けずに選挙を実施する権利,および良好なガバナンスの原則を確実に適用する責任が含まれる。

6 このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種,肌の色,性別,性的指向,言語,宗教,政治的またはその他の意見,国あるいは社会的な出身,財産,出自やその他の身分などの理由による,いかなる種類の差別も受けることなく,確実に享受されなければならない。

7 オリンピック・ムーブメントの一員となるには,オリンピック憲章の遵守およびIOCによる承認が必要である。

まあ,LGBT理解推進法でさえ葬る政党のトップが首相の国なので押してしかるべし。

2021年6月3日木曜日

どさくさ餅

 纒向遺跡からの続き

纒向遺跡から箸墓古墳にむかって走り,箸墓を一周すると途中に北橋清月堂という小さな和菓子屋があって,「どさくさ餅 八・十四日」とあったので,毎月8日と14日に売り出される餅かと思って調べてみると,お盆の真っ只中の八月十四日にだけ作られて売り出される餅のことだった。

どさくさ餅は,奈良県に固有の盂蘭盆会のお供えのようだ。みかけはほぼ赤福であり,忙しいどさくさの時間でも作れるようになっているらしい。



写真:北橋清月堂のどさくさ餅

2021年6月2日水曜日

纒向遺跡

 ETV特集の「誕生ヤマト王権~いま前方後円墳が語り出す~」を再放送していたので,さっそく纒向遺跡(まきむくいせき)に向かった。数年前に行ったときは,発掘後の田んぼだけしかなかった。JR巻向駅西の線路沿いにある辻地区がその後若干整備されたようで,看板などが設置されていた。大和川から通じる運河の遺構も発見されていて,全国から物資が集積する古代ヤマト王権の最初の首都だったらしい。その南東すぐのところに箸墓古墳(はしはかこふん)がある。

写真:箸墓古墳(撮影 2021.5.30)

写真:纒向遺跡(撮影 2021.5.30)



2021年6月1日火曜日

コロナワクチン接種状況(1)

 コロナワクチン接種能力からの続き

6月に入りました。温室いちごが終わってヒノヒカリの田植えがそろそろ始まる。首相官邸のコロナワクチンのページが更新されたので,5月末までの状況がわかった。これを眺めると次のようなことがわかる。

(1) 医療従事者向けのワクチン接種総回数は760万回を越え,予定の960万回に対して80%の実施率となった。しかし,ここにきて一日あたりの接種回数は鈍っている。

(2) 高齢者向けを含めた1日あたりのワクチン接種能力は50万回/日程度に至った。この調子で6月末までに100万回/日になって,7月末まで推移すると,高齢者向けのワクチン接種総回数は5800万回となり,予定の7200万回の80%が達成見込みとなる。

モデルナワクチンによる職場や大学での集団接種がうまく進めば良いけれど,相変わらず十分に設計されていない感が漂ってくる。接種体制を各組織で調達せよということなので,そう簡単な話ではなさそうだ。


図1 ワクチン接種回数の推移


図2 都道府県の人口に対する x 医療関係従事者と y 高齢者の接種率 (%)

[1]新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について(厚生労働省)